予言




四:サロメ


 『サロメ』
 全一幕の悲劇

 登場人物:
 ヘロデ・アンティパス…ユダヤの王
 ヨカナーン…預言者
 ヘロディアス…王の妻
 サロメ…ヘロディアスの娘
 若きシリア人…警備隊の隊長
 ヘロディアスの侍童
 ナマーン…処刑人
 兵士と奴隷

 場面はヘロデの宮殿の広い露台。宴会場より高くしつらえてある。兵士たちが露台の手すりにもたれかかっている。右手に巨大な階段。左手奥にはブロンズ製の緑色の囲いをした古めかしい水槽がある。月の光。
若きシリア人: 今宵のサロメ姫の何と美しいことよ!
ヘロディアスの侍童: 見ろ、あの月を! なんて不思議な月だろう! どう見ても墓から抜け出してきた女のようだ、まるで死んだ女そっくりだ。どう見ても、屍をあさり歩く女のようだ。
若きシリア人: まるで死んだ女のようだな。それがまたたいそうゆっくり動いている…。今宵のサロメ姫の何と美しいことよ!
ヘロディアスの侍童: さっきから姫ばかり見ているな。度が過ぎるぞ。そんな風に人を見つめるのは良くない。何か災いが起きるかもしれない。
ヨカナーンの声 我が後に、我より力のある者がやってこよう。その男の来たるとき、荒れ果てた沙漠も喜びにあふれ、百合のごとく咲き乱れよう。盲者の目は日の光を仰ぎ、聾者の耳は開かれる。
兵士1: あいつを黙らせろ。飽きもせずに馬鹿げたことばかり言いおって。

キーパー:という所で、観客席にいる二人は<聞き耳>をしてください。
村瀬成功。
久川全然ダメ。
キーパー:(村瀬に向かって)何か後ろの方がざわざわと騒がしいので振り向いたら、観客席への入り口近くで騒ぎが起こっています。よく見てみると君の知っている人、つまり押川入人が劇場に入ってきていて、最後尾で腕を組んで壁に背をもたれかけて舞台を見ています。それを見た人が「あれ、押川じゃないの?」という感じでざわついているようです。

兵士2: いや、駄目だ。彼は聖人だぞ。そして彼は至って礼儀正しい。
兵士1: 何者なのだ?
兵士2: 預言者さ。
兵士1: 名は?
兵士2: ヨカナーンだ。
[サロメ登場]
サロメ あそこはいや。とても我慢できないわ。なぜ王は私ばかり見るのかしら、目蓋を震わせ、モグラのような目をして? 変よ、お母様の夫ともあろう人が、あんな目で私を見るなんて。私には解からないわ、どういう意味なのか。本当は、そうよ、分かっているんだから。
[奴隷登場]
奴隷: 姫、王様のお言葉でございます、お席へお戻りくださいますように。
サロメ 戻りたくないわ。
ヨカナーンの声 パレスチナの国よ、おのれを打ちし者の鞭折れたりとて喜ぶな。見よ、やがて蛇の卵より怪蛇バジリスクが孵り、それは育ての親鳥を貪り食らうであろう。

キーパー:観客席の二人、<アイデア>ロールをしてください。
久川村瀬失敗(笑)
キーパー:そっスか(笑) ※不意の雑音等が消えているのですが、劇に見入っているのか、二人は気付きませんでした。

サロメ 今の声は誰?
兵士2: 預言者です、姫。
サロメ 年寄りなの、その預言者は?
兵士2: いいえ、姫、まったくの若者で。
サロメ なんて不思議な声なのかしら! あの男と話がしたいわ。
若きシリア人: 恐らく叶わぬことでございましょう、姫。王は、誰にせよ、あの男と話をさせたくないのです。
サロメ あの男と話がしたいわ。あの預言者を連れてきて。
兵士たち: 恐れながら、我々にはできません、姫。
サロメ (若きシリア人を見ながら)お前はやってくれるわよね、ナラボート? 私のためにそうしなければならないことは、お前ならきっと分かるはず。そうしたら明日、神像買いの群がる橋の上を吊台に乗って通るとき、モスリンのヴェイルの奥から、きっとお前の方を見てあげるわ。お前を見てあげるのよ、ナラボート、もしかしたら微笑んであげるかもしれない。
若きシリア人: 預言者を連れて来い…。姫は彼に会うことをお望みだ!
ヘロディアスの侍童: おお! なんて不思議な月だろう! 死んだ女の手としか思えぬ、その手が経帷子をまさぐり、身にまとおうとしているかのように。

キーパー:えーっと、(千尋に向かって)<目星>を振ってください。
千尋失敗。
キーパー:分かりました。続けます。 ※才川がナイフを手に持ってステージ前方に控えていましたが、千尋は見逃しました。

[預言者が水槽から出てくる。サロメそれを見て、ゆっくりと後じさる]
サロメ なんて痩せているの! ほっそりした象牙の人形みたい。まるで銀の像ね。きっと純潔なのね、月がそうであるように。彼の肉は、きっと冷たいに違いないわ、象牙のように。もう少し近くで彼を見てみたいわ。
若きシリア人: どうぞお引きを、姫。お願いでございます、お引き上げを。
ヨカナーン この女性は何者か、この私を見ているのは? 見てはならぬ。隈どれる目蓋の下から金色の眼もて、なにゆえ私を見つめるのか? 何者かは知らぬ。知りたいとも思わぬ。
サロメ 私はサロメ、ヘロディアスの娘、ユダヤの姫よ。
ヨカナーン 下がれ! バビロンの娘!
サロメ 続けてちょうだい、ヨカナーン。そなたの声は、私を酔わせるの。
ヨカナーン 下がれ! 私には聞こえる、この宮殿に死の天使の羽ばたく音が!

キーパー:観客の二人は<聞き耳>
久川村瀬成功。
キーパー:そうすると、観客席は自分の吐息の音とか、隣にいる知り合いの声とかで、なんとなくざわざわしているもんなんですが、そういう声がまったく聞こえずに、「バタバタバタ…バタバタバタ…」と、何か紙とかボロ切れが風にはためくような音が聞こえます。
鹿田ほうほうほうほう。
キーパー:同時にいきなり空調が利いてきたかのように、背後にはズラーっと人が連なっているからそんなことはないはずなんだけど、後ろからのスーッとした風を感じます。
村瀬思わずギョッとして後ろを見てしまいます。
久川俺も。
キーパー:すると押川が見えますね。
久川俺は初めて押川に気付くのか。「!…おや、あんな所に」
キーパー:黴臭い風が吹き寄せてくるのを感じます。
村瀬バタバタという音は押川から?
キーパー:いや、それは全然別の場所から。ただ、気が付いていない人はまったく気が付いていない様子で劇に見入っています。あなたたちみたいにキョロキョロしている人もいます。
鹿田何人かが「おかしいなぁ?」みたいな?
キーパー:そうです。
久川みんな押川の方を見ているの?
キーパー:いや、押川に気が付いていない人もいるみたいだね。では続けましょう。

サロメ ヨカナーン、そなたの肌がほしくてたまらない! そなたの肌は山に降り敷いた雪のように白い、ユダヤの山々に降り積もり、やがてその谷間に降りてくる雪のように。そなたの唇は象牙の塔に施した緋色の縞のよう。司祭の撒いた餌を拾いながら神殿に遊ぶ鳩の足よりも、もっと赤い。どこにもありはしない、そなたの唇ほど赤いものなんて…。さあ、そなたの口にキスさせてちょうだい。
ヨカナーン 触るな、ソドムの娘よ! 私に触るな。
若きシリア人: 姫よ、その者とそんな言葉でお話し召されるな!
サロメ そなたにキスしたいのです、ヨカナーン。
若きシリア人: 姫、そのようなことを仰ってはなりませぬ。私には言ってくれぬのに…。姫、姫よ…ああ!
[若きシリア人は自ら命を絶ち、サロメとヨカナーンの間に倒れる。ヨカナーンは水槽へと向きを変えて、下へ下りていく]

キーパー:今度は役者二人、<アイデア>ロールをしてください。
鹿田ブー、失敗です。
千尋成功。
キーパー:若きシリア人がヨカナーン(高岡悠哉)とサロメ(仁倉千尋)の間に倒れているんですが、「血…本物じゃね?」みたいな。
鹿田え? でも演劇だから、血糊とかないよね?
千尋血を流しているんだ。
村瀬血が出る演出自体なかった?
キーパー:なかったね。つーか、死んでるでしょう、彼(若きシリア人役)。ということで二人はSANチェックを。
鹿田千尋成功。
キーパー:では1喪失で。
千尋あれ? 才川さんってどこにいるんだっけ?
キーパー:舞台袖にいたはずですね。
千尋次の台詞を口にする前にとりあえず舞台袖を見て才川さんを探します。
キーパー:いませーん。 ※二つ前のシーンで千尋は<アイデア>ロールに失敗しているから見つけられないのです。
千尋いない? このまま続けて良いものかどうか…。ヘロデ王(鹿田)はこの状態に気付いているっぽいんだよね?
キーパー:そうですね。
千尋「…あれっ?」ていう感じなんだけど…(鹿田を見る)。
キーパー:まだヘロデ王は舞台に登場していないので…。
鹿田そろそろ出番だと思ってみてたら「おりゃ?」って話になっているわけですね。
千尋監督に続けて良いか聞こうと思ったけどいないから、しょうがないので、「ここは舞台度胸見せておくか?」ということで…

サロメ そなたの口にキスするわ、ヨカナーン。私はそなたの口にキスをする。
[ヘロデ、ヘロディアス、すべての臣下が登場]
ヘロデ サロメはどこか? 姫はどこか? なぜわしの命令に従って宴に戻ってこないのか? そこにいたか!
ヘロディアス あの子を見ないでちょうだい。いつもあの子を見ているではありませんか。

千尋監督を探しています。舞台上から必死で。

ヘロデ 今宵は不思議な月だな。月は狂女、行く先々で男を捜し求めて歩く狂った女のようだ。それも裸のまま。雲が月に衣をかけようとしても、月はそうはさせない。中空で、自ら裸であることを晒しておる…。ワインを注げ。サロメ、ここへ来てわしと共に少しワインを飲むのだ。

キーパー:(千尋に向かって)POW1倍ロールを。
久川おおう?
千尋1倍か(笑)。POW14だよ〜ん…(コロコロ)85
キーパー:集中しましょう(笑)。ハイどうぞ。 ※千尋は演劇の呪縛を破れずに演技を続けます。

サロメ 咽喉は渇いていませんわ、王様。
ヨカナーンの声 おお! 時、来たれり! 予言した通りとなった。
ヘロディアス あの者を黙らせなさい。あの者の声など聞きたくもない。あの男は永久に罵詈雑言を吐き続けるでしょう。
ヘロデ お前の娘が見えないのか、酷く青ざめているではないか?
ヘロディアス あの子が青ざめているとして、それがあなたにとって何だというのです?
ヘロデ あのように青ざめているなど、ついぞ見たことがない。
ヘロディアス あの子を見ないでちょうだい。

キーパー:観客の二人、鼻につく甘ったるいような匂いに気付きます。後方からの「バタバタバタ」っていう音が「ガサガサガサッ!」と、だんだん大きくなってくる。ボロがはためくような音。
久川後ろを見ても何の変化もないの?
キーパー:見たんだね?(笑)
村瀬(笑)その前に、他の観客できょどっている人がいないかを窺います。
キーパー:いるいるいる。ただ、全員ではない。
鹿田(村瀬に向かって)押川のことが気になるよね?
村瀬そうですね、見ましょう(笑)
一同:(笑)
キーパー:すると、振り向いた所でフッと青白い人影が暗がりからあなたの方を凝視していることに、それぞれ気付きます。顔は見えないんだけど、こちらを凝視している雰囲気を感じます。
久川視線をビリビリ感じるのね。
キーパー:(観客席の)二人は正気度ロール。(二人とも成功)成功なら喪失なし。
村瀬ギョッとします。
キーパー:えー、続けましょうか。

ヨカナーンの声 その日、太陽は黒布のように翳り、月は血のごとく染まり、そして天の星々は地に落ちよ!
ヘロデ 踊るのだ、サロメよ。
サロメ 踊りたくありません、王様。
ヘロデ サロメ、ヘロディアスの娘よ、踊るのだ。
ヘロディアス 踊ってはなりません、娘よ。
ヘロデ 踊ってくれ、と頼んでおる。踊ってくれたならば、何なりと欲しいものをつかわそう。たとえそれが王国の半分であろうとも、それを与えよう。
サロメ 本当に何でも良いのですか、王様?
ヘロデ 何なりと、王国の半分でも。
サロメ お誓いになりますか、王様?
ヘロデ 誓おう、サロメよ。
ヘロディアス 娘よ、踊ってはなりません!
ヘロデ ああ! 月を見よ、血のように赤くなっている。預言者の予言は真実となった。奴は月が血のように赤くなるであろうと予言したのではなかったか?
ヨカナーンの声 何者だ、エドムの地より来たれる者は、美々しき装いに光り輝き、権威を笠に威張り歩く者は? なにゆえ汝の衣は緋色に染めてあるのか?

キーパー:観客のキャラクターは観客席の後ろの方で何かが動く音が、さらに大きくなって聞こえてきます。
久川さっきの青白い顔は見えた気がしたと思ったら元に戻っているの?
キーパー:そうだね。ゲーム的にいうと正気度ロールしたらフッと消えているって感じかな。
久川了解。
キーパー:後ろの方が大分騒がしくなってきています。
久川覚悟を決めてもう一回後ろを見ます。
キーパー:そうすると絶叫が上ります。そして「ボキッ…」という骨が折れるような嫌な音がおこります。それでピシャッと何か顔に飛沫が…。
村瀬(力なく)あははは…。
久川何が見えるのかな?
キーパー:(顔を拭うしぐさをしながら)何かなって見てみたりする?
久川「ん?」(拭うしぐさ)
村瀬「んん?」(拭うしぐさ)
キーパー:血だ(笑)。正気度チェック。(二人とも成功)成功したら1喪失で済む。
村瀬後ろで何が起こっているのかな?(笑)
キーパー:絶叫が起こっているにもかかわらず、演劇を見ている人は見入っています。
久川魅入られているんですね。
キーパー:絶叫があなたたちの方へ、ようするに、舞台の方へと近づいてくる。風は相変わらず吹いている。
久川何も見えないの?
キーパー:暗がりだけど、ただ、何か大騒ぎになっていることは分かる。立ち上がっている人とかも当然いるし。
村瀬絶叫って言うのは観客の絶叫なんですよね?
キーパー:そうだね。
久川俺も立ち上がろう。立ち上がって通路の方に出てそちら(騒ぎ)の方へ近寄っていくぞ。
村瀬立ち上がって、この段階で劇としてはグダグダになると思うんで…
キーパー:照明や音響はちゃんと変ったりしているし、劇自体は淡々と進んでいる。
鹿田それに見入っている人もいると。
村瀬…舞台の袖の横の方へと動きます。観客席全体を見渡せるように。
キーパー:あなたたち以外にも「おかしい」と思っている人がいたり、騒ぎの起こっている方向から逃げて来るように走ってくる人とかがいるので、なかなか思うように進めません。
村瀬パニックが伝播する気配はないんですか?
キーパー:全然ない。見ている人は息を凝らして見ているような感じ。
久川押川が後ろにいましたからなぁ。そちらの方へ近寄ろうとしますね。

ヘロディアス 中へ入りましょう。あの者の声には我慢がなりませぬ。
ヘロデ 踊るまでは入らぬ。サロメ、踊るのだ。
サロメ いつでも、王様。
[サロメは7つのベールの踊りを踊る]
ヘロデ ああ! 見事だった! 見事だったぞ! 近こう寄れ、サロメ、近くに来てお前の望むものを何なりと言え。何が欲しい?
サロメ 銀の大皿に乗せて持ってこさせてください…
ヘロデ (笑いながら)銀の大皿に乗せて? 良いとも、銀の大皿に乗せよう。可愛いことを言うではないか、のう? 銀の大皿に乗せて、何を?
サロメ ヨカナーンの首を。
ヘロディアス ああ! よく言ってくれました、娘よ。
ヘロデ 駄目だ、駄目だ、サロメ。それはいかん。
サロメ お誓いになったはずです、ヘロデ王。お忘れにならないでください、お誓いになったことを。
ヘロデ 分かっているとも。しかし、サロメ、何か他のものを頼む。王国の半分を要求すれば、それを与えるというのだ。しかしそれだけはならん、お前が要求したものだけは。
サロメ ヨカナーンの首が欲しいのです。
ヘロデ 聞こえぬか。聞こえぬのか。わしの言葉を聞いてくれ、サロメ。聞くのだ。ここに宝石を隠してある――お前の母でさえ見たことのない宝石を…
サロメ ヨカナーンの首を。
ヘロデ その娘の欲しがるものを与えよ! さすがはこの母の娘だ。

キーパー:舞台上の二人は<目星>を振ってください。
鹿田千尋(%を)振ってないんだよねー…しっぱーい(笑) ※成功すれば頭上にナイフを掲げて何かを詠唱する才川に気付くはずでした。
キーパー:(久川に向かって)君は人ごみを掻き分けながら騒ぎの方へ向かう。村瀬は?
村瀬まず状況を見渡すんですけど、何がまず見えます?
キーパー:まず当然舞台が見えます。客席の前の方は舞台に見入っています。ただ、前列の人でも何か騒ぎが起こっていることが分かって腰を浮かせている人もちらほらいます。
村瀬パニックが伝播する気配はまだない?
キーパー:そうだね。つーか、音が聞こえていないんじゃないかな、と。見入っている人には舞台の音しか聞こえていないような感じ。
村瀬後ろの絶叫はまだ続いている感じ?
キーパー:続いている。
村瀬浩次村瀬絶叫の方から前の方に逃げてくる人がいるんですよね? その人ってどういう状態なんですか?
キーパー:「何か…、何か…!!」 恐慌に陥っているね。「助けてくれ!」とかは言ってるけど何が起こっているかは分かっていないらしい。「何かおかしいぞ!? 警備員はどこなんだ!? 出口は!?」という感じですね。
鹿田ほうほう。
キーパー:(久川に向かって)で、あなたはそっちに向かったんだけど、観客席って当然椅子があるんだけどさ、その椅子の上空に何か人影があって、その周りを黴臭い冷たい空気が渦を巻くようにコォォォォッっという感じに取り巻いています。
久川上空に?
キーパー:上空って言ってもこの辺だよ、高さ的には(頭の上辺りを指し示す)。頭の上くらい、頭上にって感じかな。
久川「何?」って感じで見上げます。
キーパー:人が巻き上げられては放り出されたり。人の形として巻き上げられるんだけど、放り出されるときは明後日の方向に腕が曲がったり、首がなかったり。
一同:(乾いた笑い)
久川倒れている人は何人もいるの?
キーパー:かなりいる。劇を見入っちゃっている人も巻き上げられて、肉塊に変えられたりしています。
久川「逃げるんだ、みんな! 前へ、前へ逃げて!!」って言うけど。
キーパー:きょどっていた人たちはそうしました。ただ見入っている人たちは動きません。
久川「おい!?」と言って近くにいる人を揺すりますけど。
キーパー:全然反応を見せません。
久川<心理学>的にどんな反応か分かりますか?
キーパー:それだけゆっくりと観察してみるわけ?(笑)
久川ダメか。風、人影は列の真ん中を通っているの?
キーパー:通路を通っているわけじゃないから。完全に観客席の上を滑ってきている。適当にうろついていると言うか、徘徊していると言うか。
久川吹っ飛ばされた人に近づくけど。「おい!?」
鹿田いや、でも…グチャ。
キーパー:(笑)「おいおい…」っていう感じだね。肉塊だからね(笑)
村瀬飛び散っているとか言っていたんで(笑)
久川とりあえず息があるかは確認しましょう。
キーパー:じゃ(正気度ロール)振って(笑)
久川成功。
キーパー:えーと、(ルールブックをめくりながら)成功したならいいや。
久川今、俺と竜巻は相対的にどういう位置関係?
キーパー:このまま君が進んでいって、渦が進んでくれば鉢合わせするよ。
久川とりあえず座っている奴を通路に投げ飛ばしたいんだけど。
キーパー:「何をするんだ!?」と言って抵抗します。彼らは劇が見たいので。「マナー違反だぞ!」
久川問答無用で投げ飛ばします。
キーパー:じゃあSTR対抗ロールでいいや。振ってみて。
久川(コロコロ)00
村瀬ファンブった。手首グキッとかいう感じですか(笑)
キーパー:そうだな。
久川「クソッ!」と思って押川の方を見ますけど。
キーパー:押川はそのままの姿勢でいるようですな。
久川駆け寄りましょう。
キーパー:その間にも劇は進行するわけですなー。
村瀬私の行動を一つだけ良いですか? 非常ボタンがあるかどうか見渡しますが。
一同:おお〜。
キーパー:それはあるよ。
村瀬ではそちらへ向かって移動をしました、ハイ。

[処刑人が水槽に入る]
サロメ (水槽の上に屈みこみ、聞き耳を立てる)音がしないわ。何も聞こえない。あの男はなぜ悲鳴を上げないの? 私が殺されそうになったら、悲鳴を上げるでしょうに…。分からないわ。だめ、何も聞こえない。静まり返っている、不気味なほどに。

キーパー:処刑人役が水槽に入っていきます。
鹿田はい。
キーパー:そして水槽の中でどったんばったんという音が聞こえて、舞台上の人たちには「ぉぉーぅ…」というくぐもった悲鳴が聞こえて、ぶちぶちっという何か嫌な音が聞こえます。舞台上の二人はSANチェックを。
鹿田成功。
千尋失敗。
キーパー:成功だと1で、失敗だと1D3で。
千尋(コロコロ)ふひゃーひゃーほぅ(泣笑)(出目は3
キーパー:で、水槽から処刑人役が上ってきます。こう、頭の上に銀の大皿を、実際は盾なんですけど、その上に高岡君の血の滴る新鮮な生首を乗せて出てきたのは、手の指が6本ある、皮膚をダラリとぶら下げた、表情のない怪物で…。
村瀬田中君(処刑人役の役者)はどこに行ったの? という状況なんで(笑)
一同:(笑)
キーパー:そういえば二つくらいくぐもった悲鳴が聞こえて、何かを引きちぎった音が聞こえたかなー。何を引きちぎった音かはご想像にお任せしますけど(笑)みたいな。
一同:(笑)
仁倉千尋キーパー:そしてそれ(生首)をそっとあなた(千尋)の方に…。
久川うわ〜…
キーパー:(千尋に)正気度ロールを。
千尋(コロコロ)失敗、失敗、失敗!
キーパー:じゃあ2D6で(笑)
一同:うおわーあお!(多重音声で色々な悲鳴)
千尋(コロコロ)7点。
キーパー:<アイデア>ロールですな。
千尋失敗。
村瀬今のは生首SANチェック? クリーチャーSANチェックはなしで良い?
キーパー:ああ、そうだね。振ってください。
千尋成功。
鹿田失敗(笑)
キーパー:成功したら減らさなくて良いです。失敗したら1D10
鹿田行ったろかぁ! (コロコロ)8。ぼーーーん(笑)
キーパー:まだ<アイデア>ロールが(笑)
鹿田でも、これがねぇ、頭は良いんスよ。(コロコロ)成功(笑)
久川(一時的狂気表を探しながら)えーと、ナンボ振るんだっけ?
キーパー:いえ、いいです。劇を続けてもらいます。
一同:おお〜。
キーパー:処刑人役(?)の怪物はフッと姿を消しました。観客席からはものすごい絶叫がバンバン上ってきています。
村瀬この段階でさっきの非常ボタンまでたどり着けているなら、押します。
キーパー:ハイ。…音が…音が…出なぁぃ。 
村瀬あー…まぁそうだろうなぁとは思っていたんですが(笑)
久川押川の方に駆け寄りますけど。
キーパー:すると押川がこちらの方へ向かってツカツカと歩いてくるね。
久川平助久川「押川君! 押川君!! 一体どうなっているんだ!?」
キーパー:押川は黒革の手帳のようなものを持っていて、そのページを破っては観客席の方へ投げ入れていきます。
久川ガシっと肩を掴みますけど。「押川!!!」
キーパー:さっき(00を出して)筋を痛めているからねぇ。簡単に振りほどかれるけど。
久川じゃあ、ページを拾い集めますわ。
キーパー:英語で何か書かれていますけど。
久川読みます。<英語>50%…失敗。
キーパー:押川はブツブツと何か口だけを動かしながら、ページを破っては捨て、破っては捨てながら舞台へと近づいていきます。
久川それを回収しつつ「どうなっているんだ…」と言いながら奴の後をついていきましょう。後ろから蹴りでもくれてやろうか? …しばらく<組み付き>出来ないの、俺は?
キーパー:まぁ、してもいいけど、要するに彼に戦闘を挑むということ?
久川戦闘を挑むというか、様子がおかしいから取り押さえようと思って。
村瀬それは戦闘を挑むということでしょう。
久川まあね。
鹿田まぁ、やりたきゃやって良いけど、全体としてどうなの、この流れ? っていうのはあるよね。うん。(※さすがです、空気読めてます)
久川正気に戻って欲しいんですけど。彼自身も危険かな、と。
鹿田彼が何かを知ってるのは確かなわけでしょ? 要するに今彼が行っている行動が、全体にプラスに作用するのかマイナスに作用するのか、まだ現状では決定してないよねっていう話。
久川そうかぁ。とりあえず奴がちぎり捨てたものを拾い集めましょう。
キーパー:劇を続けましょう。
千尋これって<アイデア>ロールに失敗してるから正気を失っているっていう状況ではないんだよね?
鹿田ぼんやりはしてるけど、っていう。
千尋何が起こっているか分かっていないんだよね、結果的には。だから劇は続けられるんだよね?
キーパー:「ここまで高岡君は身体を張って役を演じているんだ」っていうような感じに陥りますね。

[水槽から処刑人が現れ、銀の盾の上にヨカナーンの首を運んでくる。サロメはそれを掴む。ヘロデはマントで顔を隠す。ヘロディアスは微笑み、自らを扇であおぎ始める]
サロメ ああ! そなたの口にキスをさせてくれなかったヨカナーンよ。さあ、今こそキスを。熟れた果実を噛むかのように、私の歯で噛んであげる。でもなぜそなたは私を見ないの、ヨカナーン? あれほど恐ろしかった軽蔑に満ちたそなたの目は、今やじっと閉じられている。ああ! なぜ私を見ないの、ヨカナーン? もし私を見てくれていたなら、きっと私に恋していたでしょうに。私はそなたヨカナーンを見てしまったから、そなたに恋してしまったのよ。愛しているのはそなただけ…。そなたの美しさを飲み干したい。そなたの身体に焦がれているの。無垢だった私の身体を、そなたは炎の血潮で濁らせてしまったのよ。
ヘロデ 不埒な女だ、そなたの娘は。いずれにせよ、あの娘のしたことは大罪だぞ。
ヘロディアス 娘のしたことは良いことです。だから今はここにいましょう。
ヘロデ (立ち上がって)わしは下がる。何か災いが起ころうとしているのだ。篝りを消せ。何も見たくない、何ものにも見られたくないのだ。篝りを消せ! 月を隠せ! 我らも宮殿の中に隠れよう。わしはそら恐ろしくなってきた。

キーパー:舞台上のライトがちらつき始め、やがて消えます。完全に舞台は真っ暗になります。すると冷たい風が劇場の中全体を渦巻くようになります。
久川押川の様子は何か変るの?
キーパー:押川は舞台に近づいていきます。「これはヤバイ!」と思った観客が開けた出口から雪崩を打って出て行きます。完全にマナー違反ですが、そんなことは言ってられっか!って感じですね。ただ見入っている人は、ライトが消えたからってどうって事ありません。
鹿田暗闇の中、舞台を見ていると。
村瀬開けた扉から光は差し込んできているわけですね?
キーパー:それは差し込んでくるね。舞台上の俳優たちも光が消えたからってどういうこともなく、劇は続いています。当然客席は後ろが高くて前が低い坂になっているわけですけど、足元が「すっごい滑るよ!」って感じ。何か赤黒いものがツーっと大量に流れてきます。
村瀬うむ。この段階で、私のキャラも外に逃げます(笑)。一人くらいは生き残ろう(笑)
久川押川の後をついていきます。

[奴隷が篝火を消す。大きな黒雲が月を覆い、完全に隠す。ステージは暗くなる。王は階段を上り始める]

キーパー:(千尋&鹿田に向かって)開けられた出口から差し込んだ薄明かりで、舞台袖に才川が立っているのが見えます。彼はベルトに差していた短剣を握っています。ただその刀身は血に塗れています。

サロメの声 ああ! そなたの口にキスしたわ、ヨカナーン。苦い味。これは血の味なの? それとも恋の味なのかしら? 恋は苦い味だというものね…。でも、それがどうしたっていうの? そなたの口にキスしたわ、ヨカナーン。
[サロメの上に月光が降り注ぎ、光が彼女を包む]
ヘロデ (振り返ってサロメを見て)その女を殺せ!

キーパー:そこで押川が客席の最前列まで来て、最後に残ったページを全て剥ぎ取って、それをバッと舞台上へ投げつけます。そこで舞台の上の二人はPOW3倍ロールをしてください。
鹿田失敗!
千尋成功。
キーパー:(千尋に向かって)「その女を殺せ!」というヘロデ王の声が階段のある方から聞こえたかと思うと、あなたに殺到してくる兵士役の足音が聞こえます。
千尋はい。
キーパー:このままだとヤバイ! ということがあなたには分かります。
村瀬…演劇の呪縛状態から逃れたんだ。
千尋気が付いてヤバイってことになったんだったら、舞台の傍にずっと探してた才川がいるんだから、その場で「監督!!」と悲鳴を上げます。
キーパー:分かりました。そうすると恐慌を来たして殺到してきた兵士たちがあなたを盾で押しつぶして、殺してしまいました。
千尋ハイ(笑)
一同:(力ない笑い)

[兵士が殺到し、ヘロディアスの娘、ユダヤの姫サロメを盾で押し潰す]

キーパー:ゴォォォォォッという渦巻きに包まれた人影は、ついに舞台に上がります。そして舞台袖の才川が「おお! 王よ! 黄衣の王よ!!」と芝居じみた台詞を言うと、黄衣の王は彼の頭上に来て、彼と共にスーッと消えていきます。
一同:おお〜。
キーパー:幕が下がってきて、劇は終了となります。



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