赤のQ


2

頭上より……

キーパー: さて、人気のない校舎裏を進んでいくと、行く手で人が言い争うような声が聞こえてきます
美緒: どうしたんでしょう?
史乃: 何かな~、近づいていきます
堂本: 「あれは……なんだ?」
キーパー: 4名の学園生が言い争っている場面に出くわします。3名対1名の2グループに分かれて対峙しているようです
史乃: 誰?
キーパー: 美影「……? 何事かしら?」
美緒: おろおろ……
堂本: どうしたんだ!
史乃: 知らない人?
キーパー: 3人のグループの方の1人には見覚えがあります>史乃、美緒
史乃: 誰かな
美緒: どんな方ですか
堂本: 「知ってるのか?」
キーパー: 生徒会長の結城晶(ゆうき・あきら)ですね
史乃: 有名人だ
美緒: 生徒会長さん……
キーパー: あとの二人は晶の取り巻きっぽい名も無き女生徒です。3人と対峙する1人の方の顔も知っていますよ
堂本: 「誰?」
キーパー: 副会長の日下部麻希(くさかべ・まき)です
美緒: 生徒会の内部抗争?
史乃: 何を言い争ってるか聞こえる?
キーパー: 明日の中等部の合唱発表会におけるドリンク・サービスについての見解のようですね
史乃: 何それ?
堂本: ふむふむ
美緒: 飲み放題みたいな?
キーパー: 晶の取り巻き「ですから、予定通りに来賓の方々の分だけ用意することで良いでしょう?」
キーパー: 麻希「それだと、来場した一般のお客さんがゆっくり出来ないと言っているの」
史乃: ほうほう
堂本: とりあえず聞き続ける
美緒: なるほどです
キーパー: 3人を向こうに回して、より冷静なのは麻希の方ですね
キーパー: 美影「なにかしら、なにかしら?」オロオロ
史乃: どの程度深刻なのかな……〈心理学〉でわかる?
堂本: 手が出そうですか?
キーパー: 手は出そうにないですが、〈心理学〉を振るまでも無く、結構テンパっている模様です。晶側は取り巻きの二人がかなり興奮しているように見えます。晶自身はそんな二人をなだめている様子です
史乃: では、近寄っていきましょう
美緒: 止めないとまずそうですね……
史乃: 「ちょっとちょっと、こんな所で何やってるの?」
美緒: おどおどしつつ、「け、喧嘩は止めてください……」
史乃: 「新聞部としては嬉しいけど、ほどほどにした方が良いんじゃないの?」
堂本: 「部外者だけど……、話を聞かせてくれないかな?」
キーパー: 近寄ってきたあなたたちを麻希はチロリと横目で見ただけで、再び目の前の女生徒に視線を戻します。取り巻きの女生徒の方は麻希を睨んだままです。晶は慌てて美影に会釈をしてます
堂本: いつでも介入できるように準備
キーパー: 晶の取り巻き「そんな、今更……。予算が無いことは日下部さんもご存知でしょう?」
キーパー: 麻希「ですから、追加分は私が何とかします。ペットボトルの飲み物くらい、たいした額にはならないでしょう?」
キーパー 〈幸運〉ロール>美緒、史乃(二人とも成功)。学園生の2人は小耳に挟んだことがありますが、生徒会長派と副会長派の間で学園祭を開催するに当たって激しい意見の対立があった聞いています
美緒: あらら……
史乃: あああ
堂本: ふむふむ(なんとなく気配で)
キーパー: 晶の取り巻き「!! それはもう済んだ議論ですわ! 予算内で収めるとの決定には日下部さんも納得してくれたはずでしょう!?」
史乃: 「そうなの?」
キーパー: 美影「ちょ、ちょっと、あなたたち……」
キーパー: 麻希「思ったより来場者が多くなりそうなのは今日の状況を見ても分かるでしょう? 当初の計画にズレが生じたから修正するまでです」
堂本: 一理あるかも?
史乃: 「変更したいなら、ちゃんと説明してあげたら? お金のこととか、段取りのこととか」
堂本: 「そうそう。予算は出所が大事」
キーパー: 真希の言葉を聞いて、女生徒が声を荒げます。「ッ! ケイの立てた計画が悪いような言い方しないでよ!!」
史乃: ケイ? 誰?
美緒: 「あ、あの、落ち着いて下さい」
キーパー〈幸運〉ロール>美緒、史乃
堂本: ……部外者(涙)
キーパー: (二人とも成功)では知っていますが、ケイとは生徒会会計の甲斐螢(かい・けい)の事と思われます
美緒: 名は体を表す、ですね(笑)
キーパー: もっとも、螢は1週間ほど前に交通事故で亡くなっています
美緒: ええっ……
史乃: そりゃ~、意地になるわ
堂本: 解らないのであっけ……
キーパー: 言い争いの声を聞きつけたのか、通用口が開いて一人の男性がこちらに駆けてきます
史乃: 誰だ~?
キーパー: 用務員の白木謙二(しらき・けんじ)ですね
美緒: ふむふむ
史乃: 男だ
キーパー: 白木「君たち! そこで何してるんだ?」白木の声に我に返ったのか、美影もようやく仲裁に入ります。美影「おやめなさい、あなたたち」
堂本: 美影さんを護衛すべく前にでます!
キーパー: すると、堂本の懸念は杞憂に終わり、麻希を相手に言い争っていた女生徒は泣き崩れてしまいます
堂本: おろおろおろおろ~
史乃: あらら
美緒: おどおど……
堂本: 「あ、君、泣かなくてもいいから……」と屈み込む
キーパー: 晶は泣き崩れた女生徒を慰め、麻希はヤレヤレといった風に肩をすくめています
史乃: 「会長さん」
キーパー: 晶「?」
史乃: 「今はこの状態だし、間を置いてから、場所変えて話し合ったらどうかな? 何だったら立ち会うし。当事者ばかりだと大変でしょ」
堂本: 「そうそう。冷静さを失った話し合いでは、結果は出ないからね」
美緒: 「聞き役しか出来ないかも知れませんが、私も立ち会います……」
キーパー: 晶「そう、そうね。そうしましょう。日下部さんもそれで――」
キーパー: 麻希「間を置く時間がないからここで議論しているんです。中等部の発表会まで24時間を切っているのですから」
史乃: 「でも、このままじゃ結論は出ないよ」
美緒: 「少しでも冷静になる時間が必要だと思います……」
堂本: 「場所を移して冷静に」
キーパー: 麻希「会長が許可を出してくれればそれで議論はお仕舞いです。別に学園祭を悪くしようという話ではないのですから」
堂本: 「指揮官の決断か……」
史乃: 「ほら~、それじゃ話し合ってないじゃん。学祭のことを思うなら、遺恨は残さない方が良いんじゃない?」
堂本: 「うむ、確かに。指揮官に決断を強要してはいけないな」
美緒: 「折角の学園祭です」
キーパー: では、そんな泣き崩れた女生徒を慰めるように輪になったあなたたちの真ん中に……


ドスンッ!!!!!!!!!!!!


史乃: 「へっ?」
堂本: 「ひょっ?」
美緒: 「えっ?」
キーパー: と何かが降ってきました
史乃: 飛び降り?
キーパー: ありえない方向に四肢を捻じ曲げたそれは、聖ジェローナの制服を着ています
堂本: ……絶句
史乃: 見たくない、見たくない
美緒: ううっ……
堂本: 応急手当!
キーパー: 一瞬の沈黙の後、その場に居合わせた者が一斉に悲鳴を上げます。正気度ロール
堂本: ぎょえー、失敗!
美緒: 成功です。手で顔を思わず覆います
史乃: 成功、思わず写真を撮ります>キーパー
キーパー正気度ロール成功者は1、失敗したら1D4減らしてください。〈写真術〉でどうぞ>史乃
史乃: 撮れた!  と思いました……(〈写真術〉のロールは失敗)
キーパー: 美影「な、なんてことを……!! 主よ!!」(美影は2ポイント喪失)
堂本: 了、マイナス2します。〈応急手当〉は……失敗
キーパー: 良く分かりませんが、息をしていないのは確かです>堂本
史乃: 「先生、救急車!」
美緒: 「ああっ……」
キーパー: 用務員の白木が救急車を手配に走っていきました
堂本: 着ているもので簡単な担架を作る。頚部固定、心音の確認します
キーパー: 美影「結城さん、この場を確保していてください。皆さんも徒に騒がないようにお願いします」
美緒: 「は、はい」 落ちてきた生徒は誰だかわかりますか?
キーパー: 生徒会書記の垣間澄香(かきま・すみか)です
堂本: 体の状態を確認します。衣類の乱れ、持ち物なんかに不審な点は?
キーパー: 澄香は首の骨が折れています。着衣に乱れはありません。血液などが派手に飛び散ってはいますが。散らばった持ち物にも特別なものはないようです
堂本: 頸椎骨折……助からない
キーパー: 美影「では結城さん、この場をお願い」そう言うと美影は飛び降り現場と思われる屋上へと駆け出していきます。麻希も後を追いました
史乃: ついて行きます
堂本: 美影さんにつづく!
美緒: 同じく追いかけます

ライン

キーパー: バタン! と扉を開けて屋上へと出ます
堂本: はあはあ
史乃: 状況は?
美緒: 不審な点がないか当りを見回します
キーパー: 澄香の飛び降りたと思われる辺りのフェンス越しに美影は下を覗いています
堂本: 隣から見下ろします
史乃: 同じく
美緒: 同じくです
キーパー: 下には晶と取り巻きの二人、澄香の死体、戻ってきた白木の姿が見えます
史乃: 周辺の写真を撮っておきます
キーパー〈写真術〉でどうぞ
堂本: 「史乃ちゃん、ついといで。辺りも撮っておこう」
史乃: 成功。写真は、屋上と下の様子を撮っておきます
美緒: 目ぼしい物は何かありますか?
キーパー: ではパチリパチリと写真を撮っていくと……全員〈アイデア〉ロール(全員成功)。もし飛び降り自殺だとするなら、靴が揃えられていないなー、という事に気付きます
史乃: 争った形跡とかも無いの?
堂本: フェンスに何かありますか?
美緒: 「何者かに落とされたんでしょうか?」
史乃: 「というか、殺されて、投げ落とされたのかも……」
キーパー: 辺りを調べるなら〈目星〉(これも全員成功)。 争った形跡はまったくないようです。屋上に乱れた形跡はありません
美緒: 「……とても変です」
キーパー: ただし、皆が揃って見つけたものがあります
堂本: 見つけた……といわれると?
キーパー: 澄香が飛び降りたと思しきフェンスの下に、血文字で「Q」と書き残されています
堂本: むむむむ?
史乃: 「何これ、Q?」撮っておきます
堂本: 「そのようだね」
美緒: 「何か、呪術的なものでしょうか?」
キーパー正気度ロール、どうぞ(堂本のみ成功。失敗した美緒と史乃は1ポイント減少)
美緒: 「うっ……気持ち悪い……」
史乃: 「気持ち悪い……」
堂本: 「無理もない……」
キーパー: 血文字を見た美影はハッとした様子で次のように呟きます。「……"赤のQ"? まさか、本当に?」
史乃: 「先生?」
美緒: 「シスター?」
堂本: 「まさかっていうと? 先生」
カラスキーパー: みなさんPOWの2倍ロールをしてください(全員失敗)。一羽のカラスが不吉な鳴き声を上げながら屋上の上空を飛び回っていました
堂本: 不吉な……
美緒: 怖いです……
史乃: ところで、副会長は何してるの?
キーパー: あなたたちと同じように屋上を見て回り、血文字を見て眉を顰めています<麻希
史乃: そっか
堂本: 「これ……何か心当たりはないか?」
史乃: 「わかんないよ……」
キーパー: 麻希は上空を飛び回るカラスを見上げて呟きます。「あのカラス……なんだか私たちを見て笑っているみたい」(※麻希は先程のPOWの2倍ロールに成功しています)
史乃: つられて見上げます
堂本: 「笑う……なぜ?」麻希の横顔を見つめます
美緒: 同じく見上げます
キーパー: カァー、カァーと不吉に鳴いて、カラスは屋上から飛び去りました
堂本: ますます不吉
史乃: ちなみに、書記(=澄香)は副会長(=麻希)派?
キーパー: 澄香は副会長派です。まるで澄香を悼むように、コンサートホールから賛美歌が流れてきました