ワクワクの木



9:洞窟の奥に潜む恐怖



キーパー:意識を取り戻すと、佐村は洞窟の床にうつ伏せに転がされていることに気づきます。背後から何者かが君を動けないように押さえつけています。目を上げると、おそらく盛屋が奥宮と言っていた、祠のような社があります。
佐村:はい。
洞窟の奥に潜む恐怖キーパー:非常に暗いのですが、奥宮のそばに立てられた蝋燭台からの弱々しい燈明と、入り口から辛うじて射し込む陽光により、内部の様子はおぼろに分かります。地面は土で、その中央付近に君たちを追ってきたウサギじみた連中が何か大きなものを取り囲むように集まっています。

 湿った地面から屹立したものはモアイ像に似て見えた。しかし、それは石でできてはおらず、まったき植物で構成されていた。枝葉に埋もれた2つの眼が君を見下ろす。巨大な虚のごとき口が、風に騒がされた木々の葉のように波打ち、何かを囁きかける。盛屋和一を押しつぶした巻きひげのような触手が、微光を放ちながら君に伸ばされた。触手の先に着いた、己が体の一部を、君に植え付けようとするかのように……。


キーパー:ということで、まずは正気度ロールを。
佐村:(コロコロ……)成功です。
キーパー:1D4ポイント正気度を失います(※3ポイント喪失しました)。恐ろしい神は巻きひげを君の方へ伸ばしてきて、口の中に何かを植え付けようとします。(コロコロ……)その攻撃は楽勝で成功。植えつけられました。
佐村:「おえっ」



キーパー:一方その頃、新城と須堂は後ろから迫りくるウサギ人間の足音に怯えながらも、ほぼ同時に細長い棚畑に出ます。そこには息づく山の樹々の放つ燐光とはリズムを異にする、黄緑色に光る、実を落としたワクワクの木が立っています。
須堂:やっべーーーーー! と思って、伊武さんの家の方へ逃げて行きます。
新城:う~ん、ワクワクの木に何が!? ということで見てみます。
キーパー:ワクワクの木の放つ光は、山の樹々に比べると明らかに強いものです。輝いていると言ってもいいかもしれません。
新城:うう~、これは俺も逃げるしかないか?
キーパー:……そうですね、ここで〈アイデア〉ロールを振ってみましょうか。(コロコロ……2人とも成功)山の燐光が大元が、おそらくこのワクワクの木だろうと思い至ります。
新城:なるほど! このワクワクの木をどうにかすれば――
須堂:引っこ抜くとかできるんですか?
キーパー:引っこ抜くのは難しいけど、折ってしまうことはできるかもしれない。
須堂:「これを折ってしまいましょう!」
新城:「よし! じゃあ、せーので……」
キーパー:ワクワクの木とのSTRでの対抗ロールです。2人で力を合わせるなら、STRの高い人がロールをしてください。その際、ボーナス・ダイスを1個あげます。
須堂:(コロコロ……)28でレギュラー成功。
キーパー:(コロコロ……木のSTRロールは失敗)ワクワクの木はボキッと折れました。
一同:おお~。
キーパー:ワクワクの木は折れると、急速に光を弱めて、葉がシワシワと萎びて、枯死してしまいました。



キーパー:一方その頃、山頂の奥宮。
佐村:「ゴホ、ゴホッ!」何を植え付けられたんだ?
キーパー:恐ろしい神の前には灰色に萎びたワクワクの実が横たえられていて、その傍らには人影が立っています。その人影は右足を引きずっていて、見たことのあるパーカーを着ています。パーカーのフードは引き下げられていますが、そこから垣間見える横顔は既に人間のものではなく、ウサギ人間のものです。
佐村:「もしかして、お前……伊武!? 伊武なのか、オイ!!」
キーパー:変わり果てた伊武は神に向かって何かを言っているようですが、佐村の耳にその声は届きません。すると突然、恐ろしい緑色の神がガサッと枯れ始めます。カサカサと音を立てて葉が落ちていって、形を崩していきます。そして地面に開いた直径20㎝ほどの小さな穴に、まるでゴカイやミミズが穴の中に身を引いていくかのように、シュルシュルと蔓が吸い込まれていきます。
一同:……。
キーパー:恐ろしい神の周りにいた、あるいは佐村を押さえつけていたウサギ人間たちは、ヒュッと同じ穴に引かれて、物理法則を無視して吸い込まれて行きます。
佐村:パーカーを着ている奴も?
キーパー:いいえ、パーカーを着ている奴はそれを見送っています。そこで佐村の意識は再び途切れました。
佐村:がくっ。



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