#3 楢須藤 竜一




(アクション)

1AP目 蒼戸空也を呼び出します。
 減らす能力値は【正気】から、聞きたいことは…
「25年前私の両親に何が起こったのか? その時の厨子夜婚の詳細が聞きたい」
 蒼戸空也からの情報いかんによって後の行動が変わるかもしれませんが2AP目の行動は、

「脇道を進む」を選択します。ヘリポートがあるらしいのでそれを徹底的に調べます。私の【秘密】から推測するにこの村は何らかの権力を持っています。と言うことはこのへリポートから誰か来るかもしれません、明日の厨子夜婚に備えて。それは(同盟から得た情報によると)まだ帰郷していない人かもしれません。そこら辺のことも含めて探索したいと思います。



(リアクション)

【蒼戸空也を呼び出す】
 携帯電話で蒼戸空也が指定してきたのは、村はずれの林の中にある沼のほとりだった。
 待つこと数分、ガサガサと繁みを掻き分けるようにして黒スーツ姿の空也が現れる。肩に乗った木の葉や小枝を払い除けながら辺りを見回し、フンと小さく鼻を鳴らした。
「・・・ちゃんと一人で来たようだな」
 あの上目遣いの嫌な目つきであなたを見つめて、ニヤリと笑う。
 雑談するには向かない相手だ。あなたは早速用件を切り出す。25年前、両親に何が起こったのか、その時の厨子夜婚の儀の詳細が聞きたい、と。
 空也は手ごろな丸石を見つけるとそれに腰掛ける。上着の内ポケットからPeaceを取り出し、銀色の使い古したZippoで火をつけると、一服吸い込んで煙をくゆらせた。
「だいたい・・・想像はついてるんじゃないのか?」
 吐き出した紫煙が虚空に溶けてなくなるのを眺めながら、空也は言った。あなたの背中を嫌な汗が伝う。認めたくない自分の想像を、この男の言葉が確固たる物にしてしまう―――そんな不安に駆られて。

 25年前の厨子夜婚の儀は香住家が宮司を務め、祁堂家が嫁神を出して執り行われた。嫁神の名は祁堂容子(けどう・ようこ)。花婿は御三家とは何の血縁もない男だった。
 厨子夜婚の儀は滞りなく行われ、結果、嫁神は厨子耶に娶られ、21名の村人が厨子耶に引かれて命を失った(25年前に命日が一致した人数は22名である)。その21名の内の一人があなたの父親である。死因は定かではない。ただ、何らかの耐え難い要因によってショック死した線が濃厚だ。発狂死と言っても差し支えない。
 同時に祭儀に参列していたあなたの母親は、おそらく自らの眼をえぐり出そうとして視神経を損傷し、視力を失ったと思われる。厨子夜婚の儀で視力を失った者は村を出て行かなくてはならない決まりなので、盲目となった母は乳飲み子のあなたを連れて厨子村を後にした。

「村を後にしたお前の母親がどうなったかは、オレは興味がないし、お前の方が良く知っているだろう。ハンデを負ったお前の母親が、立派にかどうかは知らないが、お前を育て上げることが出来た要因や、そもそも厨子耶は何者なのかという事は、まぁ、今回の件には関係ないな」
 短くなったタバコを何の躊躇もなく澄んだ沼の水面に投げ捨て、空也は言葉を終えた。呆然と立つあなたを一瞥することもなく丸石から腰を浮かすと、空也は再び林の中へと分け入って姿を消す。
(※【正気】を1ポイント減らしてください)


【脇道を進む】
 曲がりくねった脇道を進んでいくと、急に視界が開けた。
 コンクリートとアスファルトで舗装された100メートル四方程度の平地。山奥に突然現れた異様な風景に、絶句する。目の前の近代的な施設を厨子村の風景と比較すると、そのあまりのギャップに眩暈がする。コンクリートの上にペンキで描かれた円のようなものから察するに・・・これはヘリポートか?
 施設の脇には建物が建っており、窓から内部を覗くと複雑そうな機器がいくつも見える。更にその横に建つ倉庫らしき建造物の内部には・・・3機のヘリコプター。ここがヘリポートなのは間違いなさそうだ。
 何か有事に備えた施設であることは間違いないが、厨子村の規模を考えるとこの施設は不自然に立派過ぎる。しかも、格納されたヘリコプターは3機。御三家で一機ずつという事か?
 ヘリポートは無人で、頻繁に使われている様子も無い。これ以上新たな発見が無いと判断したあなたは、たどってきた脇道を共同墓地まで戻り、更にそこから厨子村へと戻ることにする。



(補記・同盟)

【同盟】
 香住薫からの連絡内容はこうだった。“午後×時に村はずれの水車小屋まで来られたし”。
 時計を確認すると、まだ指定の時間までは余裕がある。予定した通りの行動を終えてからでも十分間に合いそうだ。
 あなたはヘリポートへ行った後、水車小屋へと向かう。

 小川べりの水車小屋はもう何年も前に廃棄され、水車も回っていない。しかし、小屋の中からは人の気配がする。どうやら、既に先客がいるようだ。

 決して広いとは言えない水車小屋の中に、5名の人間が集った。
 玉木司、香住薫、楢須藤竜一、そして天野信一。互いに見知った顔はこの4人だ。既に互いに知り得た情報を交換しあっている。そして最後の一人は―――

 ポニーテールにまとめられた髪の毛は金色に染め上げられており、この寒村には不釣合いで、突出して異質だ。胸に青色のアルファベットのロゴが大きくプリントされた白のTシャツと、色褪せしたスリムジーンズ、ラメの入った紫のミュール。厨子村に入り込んだ雑音(ノイズ)。
 容貌は沙奈枝と瓜二つだが、纏う雰囲気が決定的に違う。沙奈枝を「静寂」と言い表すならば、目の前の女性に似合う言葉は「苛烈」。
 香住夕貴。沙奈枝の双子の妹。

「香住夕貴です。よろしく」
 あなたたちの顔を見渡してから、夕貴は小さく頭を下げた。あなたたちが自己紹介をすると、口の中で名前を反芻しては、頷いている。一通り自己紹介を終えると、思い思いに水車小屋の中で楽な姿勢をとる。夕貴が金糸で飾られた表紙の書物を取り出し、それを回し読みするように促す。書物の題目は『ゐをどノ書 輝ノ巻』。所々に付箋が貼られており、そこを拾い読みすれば概要が掴めるようになっているようだった。

 古文書曰く、かつてこの地には“暗く静かなるもの”厨子耶恨という怪神が住み着いており、災厄を撒き散らしていた。暴れる怪神に頭を悩ませていた時の天皇は、ある時、術者に厨子耶恨を封じ込めるよう勅令を出す。術者は旧き神・降来主(おりくす)を招来し、厨子耶恨に対抗させる。二柱の神格は666日に渡って争い、ついには降来主が勝利を収める。降来主は厨子耶恨を封印し、その地に封印の監視者を置いた。その監視者たちの末裔によって作られたのが厨子村である。
 しかし、厨子耶恨は完全に沈黙したわけではなく、25年に一度その禍々しい力を振るって暴れ回る。それを鎮めるために執り行われるのが奉贄の儀式「厨子耶恨の儀(=厨子夜婚の儀)」である。この祭儀が婚礼の儀の体裁を取るのは、“ずしゃこん”に「厨子夜婚」の字を当てて血生臭さを覆い隠そうとした、後付けの解釈に過ぎない。

 次の付箋部に読み進む。
 降来主を招来した術者は、厨子耶恨から己が身を護るために、一つの策を講じていた。それが「四神の護符」である。青龍、白虎、朱雀、玄武の四枚の護符があり、これを持つ者が厨子耶恨の災厄から逃れられるという効力を持っている。

 最後の付箋部を開く。
 降来主を招来するために用いられるのが「白と紫の魔方陣」である。魔方陣と言っても数字の配列や図形の配置によって力を発揮する類のものとは違い、色(白と紫)によって力を活性化させる特殊なものだ。<降来主招来>の呪文を詠唱する術者が白と紫の服や装飾品を身につけているだけで良い。その色に反応して、呪力が増幅される。

 『ゐをどノ書 輝ノ巻』を読み終えたあなたは、一つフーッと息を吐く。どれもがにわかに信じられない話だが、宮司の態度や命日の一致から察すると、作り事ばかりではないらしい。何かの仄めかしが怪神譚となって伝わっているのかもしれない。
 書物から夕貴に目を移すと、彼女の白いTシャツと紫のミュールが目に入る。「白と紫の魔方陣」―――。少なくとも夕貴は何らかの真実がこの書物に含まれていると考えているようだ。

「信じるも信じないも、あなたたちの自由です。でも、私はこの書物に記された事が真実だと確信しています」
 薄暗い小屋の中に、幾分低められた夕貴の声が響く。「特に―――」と前置きして夕貴が示したのは、「四神の護符」の件(くだり)。この護符の入手が、明日の厨子夜婚の儀に臨むに当たって最重要事項であると彼女は語った。夕貴の見立てでは、四神の護符は神社の御神体である厨子に収納されているとの事。
「明日の早朝、見張りが手薄な隙を突いて、四神の護符を奪取します。それに協力して欲しいのです」
(※香住夕貴と同盟関係になりました)
(※『ゐをどノ書 輝ノ巻』を読んだ事により、【正気】が1ポイント減少します)

【出題】
 明日の早朝、夕貴は四神の護符奪取の計画を実行します。その計画に加担するかどうかを決めておいてください。この計画には隠密性が必要とされますので、多人数で当たれば良いというものではありません。適正人数を考えることが重要です。尚、厨子の見張りは3人です。
 もしこの計画が失敗した場合、加担したキャラクターは不利な立場に追い込まれる可能性があります。
 当然、この計画に加担しなくても構いません。加担しないからといって、同盟を抜けなければならない事もありません。
 このアクションは第四話・1AP目にて発生しますので、その時に参加か否かの申請をしてもらいます。