#3 玉木 司




(アクション)

 今回は、3AP使って重点的に神社を調べます。
 粘ります。



(リアクション)

【厨子神社に行く】
 厨子神社の境内には10名以上の村の男衆が集まり、厨子夜婚の儀の準備に奔走していた。男衆の真ん中で次々と指示を出しているのは宮司・芦鷹真輔である。
 本殿の正面入り口が開け放たれ、中に祭壇が組んであるのが見える。祭壇の中央には神社の御神体「厨子」が置かれており、祭壇の前には、見張り役といった役どころか、神主装束の男たちが数名いて酒を酌み交わしながら何やら雑談中だ。
 境内は整然と篝火台が並べられ、注連縄や紙垂、幕によって厳かに飾り立てられている。そんな祭儀の仕様の中にあって一際違和感を醸し出しているのが、本来鈴が取り付けられている場所に吊るされた「鐘」だ。鐘と言っても寺社で用いられる釣鐘型のものではなく、どちらかと言うと西洋教会の尖塔に吊るされる「ベル」に近い。
 境内には見知った顔があった。昨日、宝物殿を一緒に見学した朝倉圭だ。頭を下げると、礼を返してくる。

 昨日との変わり様に驚いて興味津々で境内を散策していると、石段を駆け上がって人影が現れる。そのままの勢いで本殿に歩み寄り、宮司に面会を申し込んでいる。それは香住薫だった。
 剣呑とした雰囲気で、薫は真輔に詰め寄っている。祭儀の準備で動き回っていた男衆たちもその手を止め、事の成り行きを見守っているようだ。ただし、受ける真輔には薫の剣幕に動じている様子は微塵も感じられない。表情を変えずに、薫の言葉が切れるのを待っている。
「それを知って、どうするというのだ?」
 そんな真輔の声が聞こえた。絶対的な拒絶―――それを感じた。思いがけない返答だったのか、薫がたじろぐのが分かる。静かに諭すように、そしてたたみ掛ける様に、真輔は薫に声をかける。二の句の告げられない薫が逡巡している間に、真輔はクルリと背を向け、祭儀の準備の指揮を再開した。二言三言、薫は食い下がった様子だが、真輔は二度と薫と言葉を交わすことはなかった。
 悔しそうに顔を歪めて、薫は境内から去る。去り際にあなたに気付いたようだったが、目を逸らすとそのまま石段を足早に降りていった。
 薫が立ち去ってからしばらくすると、男衆たちにあれこれと指示を残して真輔も境内を後にした。


【厨子神社に行く】
 大震を受けて始まった厨子夜婚の儀の準備で、ついに御神体の厨子がその姿を現す。
 祭儀の会場となる本殿に組まれた祭壇に鎮座している御神体に興味を引かれたあなたは、間近で仔細に観察するべく、御神体に近付く。あなたに気づいた神主装束の男衆が、直接手で触れないという条件付きで、祭壇の前まで近付くことを許してくれる。

 厨子は高さが50cmくらいの木製で、表面に漆でも塗ってあるのか、黒光りしている。正面に観音開きの小さな扉がついていて、これを開閉することによって厨子内部に物を格納できる仕組みのようだ。扉は30cm×20cmくらいの縦長で、閂棒のような金属製の部品でピタリと閉じられている。

 良く見ると、扉の表面には何らかの図形が刻み付けられている。造られた当初は金箔でも押し当てられていたのかも知れないが、今ではそれもほとんどはがれて擦れてしまっている。五芒星形の中央に、なにやら燃える火柱のようなものが刻まれた図形は、観音開きの扉に半分ずつ刻まれており、扉を閉めると割符のように合わさって一つの図形を成すようになっている。
 魔術師であるあなたには分かった。ムナールの星―――古き印。太古の邪悪を封印するために旧き神々が作り出した紋章だ。通常、封印の要石などに刻まれる事が多いのだが、厨子の扉に刻まれているということは・・・?

 神主装束の男衆が見張っているので、今はこれ以上厨子を調べるのは不可能だ。あなたは礼を言ってから、名残惜しく厨子の前から離れる。


【厨子神社に行く】
 再び厨子神社を散策していると、神崎浩輝が現れる。きょろきょろと誰かを探すように境内を見回していたが、目当ての人物はいなかったのか、肩をすくめたのが分かる。
 本殿で寝ずの番をするらしい神主装束の男たちに近づいていったところで、祝い酒を勧められた様だ。杯を受け取って一杯付き合っている。ちょっとした雑談を終えると、浩輝は石段を降りて帰っていった。

 浩輝が去ってからしばらくの後、境内に若い男が現れる。
 水色の開襟シャツに薄茶のズボン。切り整えられた頭髪は、彼が都会で暮らしていたことを物語るほどに洗練されており、清潔さを感じさせる。顔をみるのは初めてだが、彼が噂の花婿、祁堂礼一だろう。
 本殿へ行って見張り番の男たちに声をかけるのかと思いきや、礼一はまるで人目を避けるようにして暗がりを進み、宝物殿へと向かう。そして宝物殿の影から、ゆらりと闇が揺れて、黒スーツの蒼戸空也が姿を現す。どうやら礼一は空也と会う約束をしていた模様だ。
 二言三言声を交わした後、礼一は懐から何か薄い封筒のような物を出して、それを空也に渡す。空也はそれを確かめると、わずかに笑みを浮かべて頷いた。
 礼一が何かをもう一言何かを言うと、空也は礼一の肩をポンと一つ叩き、すれ違うようにして歩み去っていく。
 去り行く空也の背中をしばらく見つめていた礼一だが、その黒スーツ姿が闇に消えて見えなくなると、再び人目を避けるようにして石段を下りて境内から姿を消した。

 既に陽の代わりに月が支配する空を見上げて、かなりの時間が経過していることに気付く。本日の調査を終える事にして、あなたは厨子神社の石段を下りる。
 朝倉圭もあなた同様、終日厨子神社にいたようだった。
(※ロールに2回成功、1回失敗しています)



(補記・同盟)

【同盟】
 香住薫からの連絡内容はこうだった。“午後×時に村はずれの水車小屋まで来られたし”。
 時計を確認すると、まだ指定の時間までは余裕がある。予定した通りの行動を終えてからでも十分間に合いそうだ。
 あなたは厨子神社へ行った後、水車小屋へと向かう事にする。

 小川べりの水車小屋はもう何年も前に廃棄され、水車も回っていない。しかし、小屋の中からは人の気配がする。どうやら、既に先客がいるようだ。

 決して広いとは言えない水車小屋の中に、5名の人間が集った。
 玉木司、香住薫、楢須藤竜一、そして天野信一。互いに見知った顔はこの4人だ。既に互いに知り得た情報を交換しあっている。そして最後の一人は―――

 ポニーテールにまとめられた髪の毛は金色に染め上げられており、この寒村には不釣合いで、突出して異質だ。胸に青色のアルファベットのロゴが大きくプリントされた白のTシャツと、色褪せしたスリムジーンズ、ラメの入った紫のミュール。厨子村に入り込んだ雑音(ノイズ)。
 苛烈―――それが目の前の女性の第一印象だった。
 香住夕貴。沙奈枝の双子の妹。

「香住夕貴です。よろしく」
 あなたたちの顔を見渡してから、夕貴は小さく頭を下げた。あなたたちが自己紹介をすると、口の中で名前を反芻しては、頷いている。一通り自己紹介を終えると、思い思いに水車小屋の中で楽な姿勢をとる。夕貴が金糸で飾られた表紙の書物を取り出し、それを回し読みするように促す。書物の題目は『ゐをどノ書 輝ノ巻』。所々に付箋が貼られており、そこを拾い読みすれば概要が掴めるようになっているようだった。

 古文書曰く、かつてこの地には“暗く静かなるもの”厨子耶恨という怪神が住み着いており、災厄を撒き散らしていた。暴れる怪神に頭を悩ませていた時の天皇は、ある時、術者に厨子耶恨を封じ込めるよう勅令を出す。術者は旧き神・降来主(おりくす)を招来し、厨子耶恨に対抗させる。二柱の神格は666日に渡って争い、ついには降来主が勝利を収める。降来主は厨子耶恨を封印し、その地に封印の監視者を置いた。その監視者たちの末裔によって作られたのが厨子村である。
 しかし、厨子耶恨は完全に沈黙したわけではなく、25年に一度その禍々しい力を振るって暴れ回る。それを鎮めるために執り行われるのが奉贄の儀式「厨子耶恨の儀(=厨子夜婚の儀)」である。この祭儀が婚礼の儀の体裁を取るのは、“ずしゃこん”に「厨子夜婚」の字を当てて血生臭さを覆い隠そうとした、後付けの解釈に過ぎない。

 次の付箋部に読み進む。
 降来主を招来した術者は、厨子耶恨から己が身を護るために、一つの策を講じていた。それが「四神の護符」である。青龍、白虎、朱雀、玄武の四枚の護符があり、これを持つ者が厨子耶恨の災厄から逃れられるという効力を持っている。

 最後の付箋部を開く。
 降来主を招来するために用いられるのが「白と紫の魔方陣」である。魔方陣と言っても数字の配列や図形の配置によって力を発揮する類のものとは違い、色(白と紫)によって力を活性化させる特殊なものだ。<降来主招来>の呪文を詠唱する術者が白と紫の服や装飾品を身につけているだけで良い。その色に反応して、呪力が増幅される。

 『ゐをどノ書 輝ノ巻』を読み終えたあなたは、一つフーッと息を吐く。どれもがにわかに信じられない話だが、宮司の態度や命日の一致から察すると、作り事ばかりではないらしい。何かの仄めかしが怪神譚となって伝わっているのかもしれない。
 書物から夕貴に目を移すと、彼女の白いTシャツと紫のミュールが目に入る。「白と紫の魔方陣」―――。少なくとも夕貴は何らかの真実がこの書物に含まれていると考えているようだ。
 そして、降来主―――厨子耶に敵対した神格。ついに尻尾を掴んだ。その実践とも言うべき、招来の呪文さえも。これを学べれば、あなたの魔術師としての“格”は数段上がる。

「信じるも信じないも、あなたたちの自由です。でも、私はこの書物に記された事が真実だと確信しています」
 薄暗い小屋の中に、幾分低められた夕貴の声が響く。「特に―――」と前置きして夕貴が示したのは、「四神の護符」の件(くだり)。この護符の入手が、明日の厨子夜婚の儀に臨むに当たって最重要事項であると彼女は語った。夕貴の見立てでは、四神の護符は神社の御神体である厨子に収納されているとの事。
「明日の早朝、見張りが手薄な隙を突いて、四神の護符を奪取します。それに協力して欲しいのです」
(※香住夕貴と同盟関係になりました)
(※『ゐをどノ書 輝ノ巻』を読んだ事により、【正気】が1ポイント減少します)

【出題】
 明日の早朝、夕貴は四神の護符奪取の計画を実行します。その計画に加担するかどうかを決めておいてください。この計画には隠密性が必要とされますので、多人数で当たれば良いというものではありません。適正人数を考えることが重要です。尚、厨子の見張りは3人です。
 もしこの計画が失敗した場合、加担したキャラクターは不利な立場に追い込まれる可能性があります。
 当然、この計画に加担しなくても構いません。加担しないからといって、同盟を抜けなければならない事もありません。
 このアクションは第四話・1AP目にて発生しますので、その時に参加か否かの申請をしてもらいます。