#3 津島 幸乃




(アクション・1)

1.蒼戸空也を呼び出す(村の中の人気のない場所で)
 呼び出した後、まず「あなたは、厨子を狙っているの? もしそれで、夜婚の儀を止めれるなら、協力しても良いけど、どう?」と、提案してみます。
 空也が特に興味を示さないなら、普通に質問します。質問の内容は「今回の夜婚の儀において芦鷹家がしなければならないこと。不測の事態が起こった場合のことを含めて具体的に。」
(下げる能力は、探索)

2.叔父の家へ行く
 叔父が居なければ、何か夜婚の儀に関することが分からないか、探索したい。叔父の日記とか(笑)。
 叔父は居た場合は、質問する。
1.人が死ぬと分かっていて、どうして儀式を進めるのか。
2.最初に厨子にふれる叔父こそ、一番危ないのではないか。
3.花嫁が死んだ後、巧美を礼一の妻とするつもりなのではないか。
4.村のためだとしても、巧美や礼一を含めて、全ての村人を危険に巻き込 んでは、村の存続自体が危ういのではないか。最低でも、3家の1つくらいは途絶えるのではないか。

3.叔父の家へ行く
 基本的には上に同じ。2で叔父が在宅だった場合は、何とか探索を試みよう。



(リアクション・1)

【蒼戸空也を呼び出す】
 携帯電話で蒼戸空也に連絡を取ってみる。場所を指定してきたのは空也の方だった。村はずれの森の中を流れる沢の水辺を指定してきた。
 待つこと数分、ガサガサと繁みを掻き分けるようにして黒スーツ姿の空也が現れる。肩に乗った木の葉や小枝を払い除けながら辺りを見回し、フンと小さく鼻を鳴らした。
「・・・ちゃんと一人で来たようだな」
 あの上目遣いの嫌な目つきであなたを見つめて、ニヤリと笑う。
 雑談するには向かない相手だ。あなたは早速用件を切り出す。もしも厨子夜婚の儀を止められるのなら、狙っている厨子の奪取に協力する用意がある、と。
 意外な申し出だったのか、驚いた表情を浮かべた空也の銀縁眼鏡がずり下がる。しかし、すぐに眼鏡をかけ直すと、いつもの冷笑的な表情に戻った。
「面白い申し出だが、根本的な所で既に破綻しているな。オレは厨子夜婚の儀が執り行われるから厨子に用がある訳であって、厨子夜婚の儀を止めるために厨子を必要としているわけじゃないからな」

【出題】
 あなたの提案に対する空也の返答は以上の通りです。これを受けて何か違う提案をするなら申請してください。交渉は決裂したとみなして、当初決めておいた質問をする事も可能です。



(アクション・2)

「そう、あなたは厨子に象徴される何かに用があるのね。それが、村中の人間を危険に晒すと分かっていても・・。いいわ、分かった。それなら、教えて・・・」
 という訳で、当初の予定通りのことを聞きます。

 最後に
「あなたは、夜婚の儀を終わらせるつもりなの?」
 と、問いかけてみましょう。可能ならですが。



(リアクション・2)

【空也に問う】
 今回の厨子夜婚の儀で芦鷹家がしなければならない事とは何なのか、あなたは空也に問う。
「知れた事。厨子夜婚の儀を決行する事こそ、芦鷹の最大の役目だ」
 煙草の灰を落としながら、空也は大して面白くもなさそうに言った。25年周期で訪れる奇祭を途絶える事なく執り行い続ける事、それが厨子村御三家の命題なのだから。それが御三家を名乗る家の義務であるのだから。その義務を果たすからこそ、御三家を名乗れるのだから。
 では、不測の事態が起こった場合に芦鷹家は具体的にどのような行動に出るのか、との問いには、空也は肩をすくめて首を横に振った。
「それは何とも言えないが、御三家は敏感だ。厨子夜婚の儀に支障を来たす要素には、祭儀が始まる前までに何らかの手を打ってくるだろう。例えば、祭儀を邪魔する人間がいれば―――開始前にその人間を排除するだろう。殺しちまう、とかな」
 事も無げな空也の言葉。少なくとも空也は、殺人すら厭わない覚悟で御三家が厨子夜婚の儀に取り組んでいると考えている。
 短くなった煙草を何の躊躇もなく沢の清流に投げ捨て、空也は言葉を終えた。呆然と立つあなたを一瞥する事もなく踵を返すと、再び森の中へと分け入って姿を消す。その背中に向かってあなたは問いかけた。
 厨子夜婚の儀を終わらせるつもりがあるのか、と。
 空也は少しだけ顔をこちらに向けて、口元に薄く笑みを浮かべながら答える。
「厨子夜婚の儀が執り行われた方が都合が良いのさ。オレにとっても、厨子村にとっても。そしてお前にとってもな」
(※【探索】を1ポイント減らしてください)


【芦鷹家へ行く】
 芦鷹邸へ出向く。間が悪いことに、芦鷹真輔は留守であるとの事だ。厨子夜婚の儀の打ち合わせで出かけているらしい。
 祭儀を明日に控え、宮司を務める芦鷹家には頻繁に人が出入りしている。真輔の家族たちはもちろん、真輔に指示を受けたらしき村人が何人も、男女を問わず来訪しては準備に取り掛かっている。
 喧騒に紛れ、あなたは真輔の書斎を目指した。
 広大な芦鷹邸の奥まった一角に芦鷹真輔の書斎がある。襖を開けて中に入ると、思った通り書斎は無人だった。薄暗い室内に素早く目を走らせると、物書き机の上に一冊の書物が置かれていることに気づく。その黒表紙の薄い冊子には見覚えがある。昨日、芦鷹邸を訪れた際に真輔が手に持っていた書物だ。興味を引かれて、あなたは書物の題目を見る。『ゐをどノ書 暗ノ巻』。それがこの書物の題目だった。黒色の表紙を捲り、概要を掴むべく素早く目を通す。

 書物はかなり古い時代に記述された、所謂古文書だった。言い回しが古臭く、難解で、字面を追うだけでも努力を要する。仄めかしや婉曲が多く、部分的には暗号にさえなっているようだ。6割理解できたかも怪しい。しかし、この古文書には、にわかには信じられないような事が記述されていた。

 古文書曰く、かつてこの地には“暗く静かなるもの”厨子耶恨という怪神が住み着いており、災厄を撒き散らしていた。暴れる怪神に頭を悩ませていた時の天皇は、ある時、術者に厨子耶恨を封じ込めるよう勅令を出す。術者は旧き神・降来主(おりくす)を招来し、厨子耶恨に対抗させる。二柱の神格は666日に渡って争い、ついには降来主が勝利を収める。降来主は厨子耶恨を封印し、その地にやがて喰われる運命の生贄を置いた。その生贄たちの末裔によって作られたのが厨子村である。
 しかし、厨子耶恨は完全に沈黙したわけではなく、25年に一度その禍々しい力を振るって暴れ回る。それを鎮めるために執り行われるのが奉贄の儀式「厨子耶恨の儀(=厨子夜婚の儀)」である。この祭儀が婚礼の儀の体裁を取るのは、“ずしゃこん”に「厨子夜婚」の字を当てて血生臭さを覆い隠そうとした、後付けの解釈に過ぎない。

 降来主を招来した術者は、厨子耶恨から己が身を護るために、一つの策を講じていた。それが「四神の護符」である。青龍、白虎、朱雀、玄武の四枚の護符があり、これを持つ者が厨子耶恨の災厄から逃れられるという効力を持っている。

 厨子耶恨と接触するには、ある種の低い音色を用いる。低音の鐘音に厨子耶恨の意識は惹かれ、その源へと呼び出され得るからである。厨子耶恨は“闇”であり、その顕現に際しては空を暗黒に染める事によってその合図とし、地の震え、温度の低下を伴って約束の地を闇で覆う。それが山震と大震である。

 鐘音と山震と大震をもってその要素とし、以下の祝詞を奉上する事により、厨子耶恨は顕現する。

 掛けまくも 畏き 厨子耶恨大神
 全の 初めの 産土の 睡る命に
 御穢 穢し給ひし時に 生り坐せる
 穢戸の 大神等
 諸々の 禍事 罪 穢 あらむをば
 招き給ひ 産み給へと 白す事を
 聞こし食せと 恐み 恐み 白す

 祝詞の邪悪さには、我知らず身体に震えが来た。稚拙な祝詞だ。それだけに剥き出しの悪意に満ちている。

 更なる詳報を求めて古文書の頁を捲ろうとした時、背後の襖がスッと開き、薄暗い書斎に光が差し込んだ。反射的に振り向いたあなたの目に、陽光を背に負った黒く小柄な人影が映る。
「探しモノは、見つかったか?」
 感情の感じられない、真輔の声。思考の凍りついたあなたの目に、次々と書斎に入ってくる人影が映る。
 囲まれた。そして、もう逃げられない。
(※ロールに1回失敗しています)
(※『ゐをどノ書 暗ノ巻』を読んだ事により、【正気】が1ポイント減ります)
(※3AP目のアクションは自動的にキャンセルされます)


【芦鷹邸にて】
 抵抗が無駄な事を悟り、捕まったあなたは大人しく指示に従った。そのおかげか、何ら手荒に扱われる事なかった。しかし、丁重にもてなしてくれる雰囲気は微塵もない。書斎から連れ出され、帰郷初日に通された、応接間に移動させられる。周りを固めているのは、真輔の他に5人。逃走は試みるだけ無駄だった。
 応接間に着くと、真輔とあなたを残して、5人の村人たちは退出する。しかし、部屋の外で目を光らせている気配は消えない。
 真輔はあなたに座るように命じ、自分もその対面になるように腰掛けた。表面上、怒りの気配は感じられない。しかし、死刑を宣告する裁判官が被告に自らの苦悩を明かさないのと同様に、目に見える表情が心根と比例しないという事は往々にしてあるものだ。例えば、今がそれに当たる。
「何を知りたかったのかは知らんが・・・」
 真輔が手の中で『ゐをどノ書 暗ノ巻』をもてあそびながら言葉をかけてくる。その声に込められているのは憤怒か、慙愧か、判断はつかなかった。
「お前には失望した。厨子夜婚の儀が終わるまで、芦鷹家の敷居を跨ぐ事まかりならん」
 それだけ宣告すると、真輔は立ち上がって応接間を出て行く。入れ違いに外で控えていた男が5人入ってきて、丁重ではあるが、有無を言わせない様子であなたを玄関まで連れて行く。無言であなたを芦鷹邸の敷地の外まで送ると、慇懃に頭を下げ、クルリと踵を返した。

 門が閉じられ―――あなたは芦鷹家から拒絶された。