2002年北海道

 昨年はどこにも行かなかったため、久しぶりにどこかへ行きたくなった。日帰りや1泊2日の旅もいいけど、その効果は長持ちしないしなぁ。久しぶりに北海道へ行くか!

 まずは新幹線で京都へ。そう、京都12:38発、札幌9:07着、寝台特急「トワイライトエクスプレス」の旅!前回乗車した時の逆ルートで、最大のウリである日本海に沈み行く太陽を車内から眺めようという次第。そして今回の部屋は、前回使用したA個室「ロイヤル」に比べればかなり狭いB個室「シングルツイン」をチョイス。寝るだけと割り切ってしまえば、この狭さは問題ない。

 13時を過ぎた頃、食堂車「ダイナープレヤデス」へ向かう。長距離列車の旅を満喫できるよう、13時~16時はランチ・ティータイムとして営業しているのである。サンドイッチ(\800)などもあるが、せっかく食堂車で食べるのだからプレヤデスランチ(ビーフシチュー \2000)をオーダー。まだ明るい時間帯に流れ行く景色を見ながら、ゆったりとした時間の中での食事。最高の贅沢じゃないでしょうか。時間に追われる日常では絶対に味わえない雰囲気です。

 金沢到着。ここで夕食を調達する。食堂車でディナーを楽しむのは相棒ができた時の楽しみにとっておいて、今回は駅弁。停車時間はわずか、売店へ駆け込みターゲットを購入する。

 本を持ってロビーカー「サロンデュノール」へ。食堂車では気付かなかったが、列車全体の内装がリニューアルされていて、特にロビーカーは以前よりも落ち着いた空間に生まれ変わっている。そんな空間で本を読んだり、車窓を眺めて緩やかな時間を過ごす。夕暮れ時、空が赤く染まり、海もキラキラと輝き、うっとりする景色がしばらく続く。この列車のコンセプト「日本海の夕日を優雅に楽しむ」の通りで、また来たいと思わせる。

 日も暮れたし、お腹も空いてきたため部屋に戻って夕食を取ることにする。金沢駅で購入した駅弁「利家御膳」(\1000)。見た目は輪島塗の2段重ねの重箱を模していて、中には加賀藩前田家の歴代藩主が宴席で食した献立を現代風にアレンジしたものが入っている。お殿様料理だけあって、結構いけます。(HP作るのが判っていたら写真を撮ってたのに…)

 2日目。今まで何回か北海道には来ているけど、札幌は通過するだけだったので、列車の時間まで今回は市内観光をする事にした。北海道庁旧本庁舎,大通り公園,時計台といった定番中の定番をまわって、北海道の歴史に触れたり、時計台はビルに囲まれた所にあってしかも小さいという事実を知ったりと、あっという間に時間が過ぎてしまった。

 札幌14:00発、特急「スーパーおおぞら」で今日の宿泊地である釧路へ向かう。新得,帯広,池田と定刻どおり運転されていたのだが、駅もなく見る限り人家もなさそうな所で停止してしまった。何かあったのかと心配していると「鹿と衝突したため安全確認をしています」とのアナウンスが流れる。相手が鹿とはいえ安全運行に支障が出る場合もあるのだろう、思わぬ所で北海道らしさを体験する事になってしまった。

 3日目の朝、釧路駅前のホテルをチェックアウトして、6:54発の「くしろ湿原ノロッコ」号に乗車するため駅に向かう。”ノロッコ”とは”ノロノロ”と”トロッコ”を掛け合わせたもので、名前の通り釧路~塘路間をノロノロと走る車内から大自然を満喫しようという列車。同じ車両を使って「くしろ湿原紅葉ノロッコ」号(釧路~川湯温泉)や「SL冬の湿原」号(釧路~標茶)、「流氷ノロッコ」号(網走~知床斜里)といった列車も運行されていて、いつでも乗ることができる。(いつでもといっても毎日ではないので運転日の確認は必要)
 釧路湿原駅で途中下車して細岡展望台へ登る。
 ここから眺めると釧路湿原の広大さが非常によく判る。人工物も片手で数えられるくらいしかない。この展望台には1時間くらいいて景色を眺めていたが、自分のように景色を楽しむ人はほんの一握りの人だけ。ほとんどの人は入れ替わり立ち替わりに釧路湿原をバックに記念写真を撮って帰ってしまう。これだけの大自然、自分の目で見るのと写真で見るのとでは受ける印象も異なると思うのだが…。記念写真を撮りに来ただけではあまりにももったいない。
 次に立ち寄ったのが小清水原生花園。ここはオホーツク海と涛沸湖に挟まれた約8kmにわたって、数十種類の野生の花が自生する砂州で、花の見頃になればハマナスやエゾスカシユリなど多くの花が咲き乱れる場所。あいにく見頃を過ぎていたため、残念ながらその景色を見ることはできなかったが、目前まで迫ったオホーツク海を眺めたり遊歩道を散策するだけでも充分満足できる。

 以上で今回の旅の予定は終了。網走から先は「オホーツク」「はまなす」「はつかり」「やまびこ」「ひかり」といつもの列車を乗り継いで帰る。