2008年上海(2日目:南京)

 朝7:00。ホテルを出て、地下鉄1号線で上海駅へ。
 小雪が舞う中、上海駅はものすごい人出で、すでに春節(旧正月)の帰省ラッシュが始まっているかのようです。

 セキュリティ強化のためか、切符を見せないと駅の中に入ることができないし、中に入ったら空港と同じく手荷物検査があります。
 手荷物検査が終わると、乗車する列車毎に待合室が決められているので、待合室に入ります。この待合室に入る時に改札があります。
 すぐにはホームへ降りることが出来ず、列車の発車約20分前にならないとホームへ通じる扉が開きません。

 ホームに下りると、和谐号がいました。
 日本の新幹線E2’系がベースで、8連×2本の16両編成です。日本のE2’系と大きく違うのは、5号車と13号車に喫茶スペースがあることでしょうか。
 今日は、この和谐号で300km離れた南京に向かいます。

 ほとんどの区間を160~170km/hで走行するので、乗り心地は良いです。ただ、デッキと客室との仕切り扉がないし、中国人たちの会話の声が大きいので、少しウルサイですが…。
 駅に着くたびに良く見ているとあることに気付いた。それは乗降口の使い方が日本と違うという事。
 日本の場合、席から近い乗降口を使っているのだけど、中国の場合は進行方向前側が下車用、後ろ側が乗車用と分けて運用(中間駅のみで始発・終着駅は日本と同じです)しています。その様子を見ていると、日本より乗降がスムーズで合理的に思えましたね。

 上海市内では小雪が舞う程度だったのに、蘇州,無錫,常州と進むにつれ雪深くなる。南京駅に着くなり駅前広場に出て周りを見渡すと辺り一面真っ白、積雪十数センチの雪景色。大丈夫か?今回の旅は…。

 折りたたみ傘をたたみながら地下鉄の南京駅へ向かう途中、観光地図を売っている人がいたので購入したのだが、この時、折りたたみ傘を落としたことに気付かず、そのまま切符を買いに券売機へ行こうとすると、地図を買った人とは違う人が追いかけて届けてくれました。
 中国人というだけで快く思わない人もいるけれど、日本人にも様々な人がいることを考えれば毛嫌いするのは如何なものかと思う。

 まずは、南京駅から地下鉄で玄武門駅へ。
 ここには、三国時代、呉の水軍が鍛練した玄武湖があります。
 その歴史ロマンに浸ろうと思ったのですが、何も見えません。水面と空の境界も判らない位、モノクロの世界が広がっています。

 玄武湖畔を歩いて、解放門を通って鶏鳴寺へ。
 日本でもお寺は信仰の場所ではあるが、観光という面も多分にある。しかし、中国のお寺は純粋な信仰の場です。熱心な信者がお参りしています。
 そんな姿を見ていると、見るだけという軽い気持ちで来たことに対して少し申し訳ない気がしました。

 鶏鳴寺を出ると、何やら胸騒ぎが…。

 バスかタクシーで次の目的地に行こうと思ったものの、バス停が見当たらないし、タクシーも捕まらない。しかたなく、近くの地下鉄の駅(鼓楼駅)まで歩くことに。
 さて地下鉄に乗ろうかという時に、胸騒ぎが現実の物となりました。持病(不整脈)の発作が起こってしまいました。ベンチに座っていても治るどころか、ますます酷くなってくる。保険会社に連絡を取ってみてもつながらない。
 少し動ける状態になった時を見計らって、新街口まで地下鉄で移動。駅の出口を出てすぐの所にある金陵飯店というホテルのロビーで様子を見る。暖房の効いていないホームに比べれば多少は期待できるかな。周りの観光客からは少し怪訝な顔をされたけど、そんなのを気にしている余裕は全くない。意識が朦朧とする中、必死に保険会社へ連絡を取る。
 何度目かの電話でようやく保険会社と電話がつながったけど、つながったのは遠く離れた西安にある保険会社の事務所。南京市内の病院に問い合わせてくれたのだが、日曜日ということもあってか病院から良い返事が返ってこないらしい。

 どのくらいの時間が経ったでしょうか。暖かいロビーで休んでいたおかげで意識だけははっきりしてきたので、外へ出てみる。歩ける事をこんなに嬉しく感じられるとは…。新街口の地下街へ行き目に入った食堂で美味しそうな”全肉大包”という大きめの肉まんを売っていたため、2個買って小腹を満たした。
 腹が満たされると欲が出てきて、中山陵や中華門,南京大虐殺記念館など行ってみたい場所はまだあるので行こうかと思ったが、発作は続いているのでこのまま南京市内の観光を継続するのは危険とやむなく判断。地下鉄で南京駅へ移動する。
 4~5時間続いた発作は南京駅で帰りの列車を待っている時に治まりました。命の危険性を感じたのは今回が初めてだったので、今まで避けていた手術を真剣に考えなければいけませんね。

 上海駅に着くと、大きな荷物を持った人がものすごく多い。雪が降っているため、地下道にも溢れ、カップラーメンを食べて暖を取っている人も多い。これから夜行列車で中国各地へ移動するのでしょうね。