ゴスペラーズ坂ツアー2000 「アカペラ門」 その2

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直人「あれは…」

暗くなるステージ。
そこへ拓之登場。
5人は身を潜めるようにしゃがむ。

拓之「直人。ココにいたのか。
 帰ろう。みんな心配しているよ」
直人「雪ってどんなもの?
 どんなにおいなの?
 どんな手触りなの?
 どんな音がするの?」
拓之「冷たくって…」
直人「冷たくって?」
拓之「柔らかくって、白くって…」
直人「やっぱり今日は降らないのかな?」
拓之「あぁ…、星が出てるしな」
直人「星が出ていると雪は降らないの?」
拓之「めったにな」
直人「じゃぁ帰ろう。バカみたいじゃん、待ってても」
拓之「…もう少し待ってみよう」
直人「いいよ。寒いし。
 また星の出てない日にしようよ」
ドン、ドン、ドン…と足踏みをする拓之
拓之「こうすると少しずつ暖かくなるよ」

それを見ていた5人。
すると1人(北山)が拓之に近づいていき、そのリズムに合わせて足踏みを始める。
そこに他の4人も加わり、足踏みと手拍子でリズムを刻む。

一瞬舞台が暗くなり、立ち位置が変わって5人+拓之でボディーパーカッション。
足踏みをしたり、腿や肩・胸をたたいたり手拍子をしたり…。
(ちなみに立ち位置は左から 安 黒 拓之 北 酒 村。19日と20日は北山さんのタップダンスなんてのもあった!)
北山は手招きし、拓之が上で1人で見てた直人を下に連れてくる。
北山直人の息の合った表現。
ホントに5人が見えていないのか?という邪推はこの際しないでおこう…。

ボディーパーカッションの次は5人で歌う。
曲は「Swan Silvertones」のカバーで「Trouble in My Way」。(1/26ゴスショーより)

歌詩を日本語に変えて、リードを5人で交代しながらとる。
19日20日より26日の方が安北の歌っているところが多かった気がする…。
簡単にこの曲の歌詩の説明をすると、「迷子になっても歩け」「泣いたっていいさ 涙流せ」「笑って泣いて」「前に進め〜」「諦めるくらいなら歩き出すな」みたいな感じ。

舞台上、段の中央上に直人 やや下に拓之
2人を囲むように座る5人。
上から時計回りに 北 村 酒 黒 安

 

直人「他に誰かいるの?」
拓之「どうして?」 <直人に手をかざしたりする黒沢(笑)
直人「たくさんの足音が聞こえなかった?」
拓之「いないよ」
直人「聞こえなかったの?変な声だってしたよ」
村上「変!?変って何だよ」
安岡「失礼なヤツだな」
黒沢「まぁ初めての人はそうだって…」
北山「あまりお気に召さなかったようですね」
酒井「シーッ」
村上「だって…」
直人「ごめんよ、そんなつもりじゃ…」
村上「変って…傷ついたな〜」
安岡「まぁまぁ」
酒井「シーッ」
直人「やっぱり誰かいるの?」
酒井「いませんっ!」<一際大きい声で(笑)
拓之「直人、おまえ誰と話してるんだ?」
直人「誰だろう?
 うなるような、ささやくような、聞いたことのない音なんだ」

5人の天使とノアのお話。
(…ここでゴスが天使の役だと初めて気づいた私(笑)
落ちこぼれの天使だって…。
私は某メンバーを落武者…(以下自粛・爆))

「5人の天使とノア
 5人はいつも酒飲んで騒いで遊んで
 ノアはそのうち一緒に騒いで遊ぶようになって
 仕事もしなくなっていった
 そのうち村の食べ物なくなった
 しかしこれじゃいかんと神様が洪水を起こすといい
 ノアに箱舟造らせた」

と、そんな感じのお話。
原曲は「the Fairfield Four」の「NOAH!」(1/26ゴスショーより)

歌が終わると同時にいなくなる4人。
安岡を残して方々に去っていく4人と、見えない4人を追っていなくなる直人
直人「もっと聞かせてよ。ねぇ」

段のやや右やや下に座る拓之と上左に座る安岡
拓之「あれから直人は前より明るい顔を見せるようになった。
 だけど、周りの人との距離は次第に離れていった気がする」
安岡「距離?」
拓之「いるのか?」
安岡「(あ…、しまった)」…というような表情。
拓之「まぁいい。少し話をしよう。
 弟はそれ以来雪を見ようって言わなくなった。
 君は、君達はここで何をしている?」
安岡「…僕たちは 日々学んでいます。
 人の悲しみや喜びのこと。
 デキソコナイの僕たちに世界はまだわからないことだらけだから」
拓之「…いないか。
 なぁ、この声が聞こえているのなら何か歌ってくれないか?
 歌でなら君たちを感じられると思う」

安岡「♪愛し合える 人に巡り会えた〜」
アカペラでの「I Love You,Baby」。
言葉にできない感情。息をするのも忘れそうなほど聞き入る。
サビで最上部右に黒沢
安岡「♪見つめている」
黒沢「♪いつも」
安岡「♪瞳の奥にあふれ出した涙 この手で」
黒沢「♪この手で」
安岡黒沢「♪止めてあげるよ」
このワンフレーズがすごく力強くて切なくなるくらいに響く。
ここで3人も登場。

3人「♪肩を 並べて」
安岡「♪歩いていこう」
3人「♪いつも隣に」

歌が止まる。
直人「隣にいてくれてるんだよね?いつも…」

直人「最近君達を遠く感じる。
 君たちの歌には難しい言葉が多すぎるよ。
 愛とか未来とか」
村上「僕たちもよくわかっちゃいないんだ」
直人「わからずに歌っているの?」
村上「それが人の胸に響いた時、届いたということだけがわかる」
直人「それが出会いということ?」
村上「人は出会いを求めてる。
 君が初めての雪を待っていたように」

村上「♪愛してる って最近言わなくなったのは…」

新曲。村上のファルセットとやや低い声が織り交ぜられた曲。

「愛してるって最近言わなくなったのはあなたを本当に愛しはじめたから。
 一度離れていったあなたが戻ってきて、許せるようになって
 前に恋していたあなたは別人のようで
 今はこんなに静かに激しくあなたを愛している。
 たったひとつのこと、たったひとりの為に生きていくんだ。
 あなたに二度と悲しい歌を聞かせないように…。」

切ないくらいに一人の人への愛を歌った曲。
村上の歌い方に自然と涙が出そうになる…。

村上「この歌が誰かに届きますように」
黒沢「誰かに響きますように」
北山「その響きが喜びにかわりますように」
安岡「そしてまた新しい歌が生まれますように」
酒井「あなたに届きますように」

讃歌
なんだか今まで以上に力強く感じるのはなぜ?
何度も何度も聴いているのに、何かが違うと感じるのはストーリーのせいなのだろうか?

段の下の方に座って、何かを考えるように聞いていた直人
立ち上がって真っ正面を見据えている。

直人「僕にとって、その瞬間とはいつなのだろうか。
 その瞬間とは何なのだろう。
 わからない僕には待つしかないのだろうか。
 描けない僕には訪れることはないのだろうか」

先程拓之がおいていったレコードを手に取り、ケースから出しプレーヤにセットして針をおろす。(ケースから出すところから仕草のみ)
真っ暗なステージ、レコードの中の沸き上がる歓声。

「何か求めて…」

 


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