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ウェディングディナー
旅で重要なモノはナニ?と聞かれた場合、皆さんならどう答えるだろうか。これはもう人それぞれで、その嗜好・趣味によって十人十色だと言える。「観光」だという人も居るだろう。「お土産こそ大事だ」という人も居るかも知れない。「一緒に旅行に行く相手」も大事だろう。「現地でのアバンチュールに尽きる。」…勝手にラブアフェアを楽しんでて下さい。
今回の旅行を計画する上で最初に困ったのもここで、家族だけの気楽な旅行なものだから、そりゃぁもうコーディネーター(つまりオレ)には好き勝手な意見が飛び込んでくる。特にホテルの件では姉貴達との考え方が異なったものだから、色々思い悩んでしまった。モチロン、姉貴達は困らそうとしていたわけではなく少しでも力になろうとしてくれていたのだけれど、当時のテンパっていたオレにはそこまで気は回らなかった。
オレが今回の旅行で重視したものは「ゆったりとした気楽な旅」にする、ということだった。だから、旅程もあんまり詰めたモノにはせず、またホテルもそれなりのモノを選んだ。旅慣れない人間が多い中、くつろげる場所としてホテルは大事だろう、と思ったのだ。
同時に気を配ったのは、ご飯のこと。ドコでもそうだが、メシは体力の源である。特に海外の様な勝手の分からない場所では、体調を崩すことは最も避けたい。そこでミールクーポンを取れるコースを選び、時間の余裕のあまり無い朝食などでも困らない様にした。その中に一つ、「ファーストミールクーポン」が含まれていたのだ。
「ファースト」だけに一番目の…、と思いたくなるのが人情ではないか。最初の日は、朝食が出る人と出ない人があるだけに、夕食の方にまわされるのだ、とばかり思っていた。実際はこの「ファースト」、料理のランクのことを言うらしい。ファーストミールクーポンというのは、三つある料理のコースの中での二番目…通常のランクよりも一段高い料理を食べられる、とでもいうものだったらしい。イヤ、実は今でも良く分かっていないのだが、最初の日の現地職員の説明でそう言われたのだ。
結局、このファーストミールクーポンは最終日、カフェ・チャイナというレストランでの中華コースに使うことにした。さらに、二日目のディナーは日本でウェディングディナーを申し込んでおいたし、加えて一日目の夕食は日本食レストラン「カモメ」という場所で…という風に最初の日に決めてしまった。よく考えたら、連日レストランでの高級ディナー。…もう少し考えれば良かった…今から思えば…………。
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非常に楽しく、思い出に残るであろう結婚式を終えた日の夕方。
この日は午後からフリーにしておいたので、買い物など済ませてからみんなでウェディングディナーへと出向いた。場所は「シロッコ」、海沿いに建つラディソンプラザホテル
(*1)
の1階(グランドフロアーの上だから日本的には二階)にある、海鮮料理の評判高い店。さすがにこの日は格式高いレストランだと言うことで、皆それなりに決めた格好で出向いた。
レストランに着いたが、まだ誰も客が居ない
(*2)
。ふと気になって、予約時間を確認する。18:30スタート。間違いない。開店時間を確認する。18:30。時計を確認する。18:25。開店前じゃん!!つか、なんで日本での予約時にその辺のこと確認してくれないかな〜、確かに開店時間と同じだけどさ、その辺少しは余裕持たしてやりたいじゃん?お店にも。何故って、
サービスが無茶苦茶になるから。
つか、書いてあるメニューと別のもの来てますが?あ、それで良いのね、そういうことになってるのね…?メニュー内容が一部差し替え、と。むしろ客にとって都合がいい様にはしてあるのね?ふむ。
でも、なかなか食事が出てきませんが!?…あ、ディナーってのはこういうもんなのね、楽しくお喋りをしろ、と。早メシ早グソは日本人の悪癖だ、と。そういや欧米人はディナーに何時間もかけるそうですからな。イタリア人は昼飯に二時間近くかけるとか聞きましたが。職場では5分で食べ終えてるオレは国際人失格ですかそうですか。
ていうか、店員自体がなかなかこっちにやって来ませんが?…あ、そういうもんなのね、「まだ時間が早いから店員が全員来てないんだよ、仕方無いじゃんかダグラス。」と。そかそか、居ない人を呼ぶのは無理だもんね、だから先刻から良くワカラン眼鏡のニーチャンがたまーに御機嫌取りにやってきて「ハロ〜〜♪」とかワケ判んない事言ってんのね成る程ね、って、
……そんなわけあるかぁぁぁぁ!!!!
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我々が開店直後から来店したからか、結構店はドタバタしていたらしい。落ち着くまでに30分はかかった気がする。しかし普通は、開店時間からフル稼働できて然るべきだと思うのだが…その辺、日本人と豪州民との感覚の違いだろうか。なお、シロッコの名誉のために言っておくが、決して悪い店ではない。むしろ、サービス、料理の質、全てに於いてケアンズ最上級のモノではあったのだろうと思う。日本の店のレベルが高すぎるのだ、とも言える。コレはこの後のどの店でも感じた。
なお、我々がこの日に頂いたのは、
グラス一杯のシャンパン
お好きなパンをバスケットより
シェフの本日のアペタイザー
デラックス・シーフードラプター
マッドクラブ、セミ蝦、海老
タスマニア産生牡蠣、スモークサーモンに薬味とソースを添えて
本日のリフレッシャー
柔らかな牛フィレ肉の石焼き または バラマンディの石焼き
フレッシュガーデンサラダ
ウェディングケーキ
珈琲or紅茶 ビスコッティを添えて
(メニューより転記)
…というメニュー。それなりのお値段なだけに、どれも満足できる代物だった。特にマッドクラブ
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!! どうしてオプショナルツアーでマッドクラブ捕獲ツアーを入れなかったのか、本気で後悔したほど美味かった。日本の蟹よりも味が濃い感じ。勿論日本のカニも美味いんだが、マッドクラブも負けずに美味い。ケアンズ、さすが海沿いの街だけあって海鮮類はどれも美味いと感じたが、特にこの店の海鮮料理はさすが評判になるだけに特別だと感じた。
皆で会話も弾みつつ、和やかな会食は進んでいく。しかし、少しずつ日が陰り始め夏のケアンズにも夕闇が迫り始めた頃。ねぐらに帰るために一気に飛び立つ鳥達
(*4)
の羽音が、不吉なプレリュードの様に我々には聞こえ始めていた…というのも、コレはオーストラリアに居る間中感じていたことだが、基本的に食事の量が「多い」のだ。まぁそれはそこいら一帯に転がり、日光浴をしている
肉塊
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肉体を見れば肯けることなのだが、上記の海鮮盛り合わせだって、コレで三人分なのだ。しかも、オレの場合はこれをオレときばとうちの姉とで分けていた。小食な二人のとペアなので、いきおいオレの喰う量は一人前をはるかに上回る。結構喰う方のオレが厳しくなってきているのだ、他の家族は…と見れば、やはりさすがに厳しそうな顔をしている。
それと言うのも、一日目から和食料理屋で焼き肉やらしゃぶしゃぶやらを「オーストラリアンサイズ」で喰ったからだ。しかも、一日目は嵐のクルージングで胃も結構やられていた。まだそのダメージが残っていたらしい。マッドクラブをほじくりつつ、牡蛎を啜りつつ、海老の殻を剥きつつ「これで後コレとコレが出てくるから…」と、すでに腹具合の計算がそこかしこで始まりつつあった。そして、ヤツが来た。
こ れ ぞ 肉 塊 。
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(*7)
いやはや、「コブシ大」なんてもんじゃなく。大体顔面くらいのデカさはあるというか。「イヤ、喰えんだろ」と誰もがツッコミを入れたデカさ。魚を頼んだ人はまだマシ…という感はあったが、肉を頼んだ人の呆け顔たるやなかなかのモノであった。
ちなみにオレは魚を頼んだ。バラマンデ
(*8)
ィという、地元では結構有名な魚らしい。大味と言えば大味だが、白身の淡水魚でクセもなく美味しいと感じた。姉貴達の喰いきれない(むしろオレが喰いたそうだったらしい)肉も頂いたが、オージービーフは脂身が少ないためか、量は多くてもそれほどしつこさも胃もたれも感じなかった。あくまでオレは、だが…親達は、「こんなにシッカリした格好で来なければ良かった」と言っていた。
これからオーストラリアに旅行しようとしている人に言いたい。なめたらアカンぜよ、オーストラリアは。なめたらアカン。ファーストフード店で適量を選んで買うなら(それでも結構な量なんだが)、まだイイ。しかし、ちゃんとしたレストランで食べるなら、そのつもりでちゃんとお腹を空かせていかなければならない。いやさ、オレ達もそのつもりでお腹は空かせていたのだ。言い直そう。
量 に 関 し て は あ き ら め ろ 。
ちゃんとしたレストランは基本的にジャケットか、襟のある服を着ていかなければならない。ラフな服装でお腹に余裕を持たせるわけにはいかないのだ。だから、あとはアナタの胃を信じるだけ…
(*1)
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一通り喰い、飲み、腹を膨らませた頃に、ウェディングケーキ
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が運ばれてきた。実はこのウェディングディナーは、せめて家族の前でだけでもケーキ入刀とかやってみて〜〜〜、ということで入れておいたモノだったのだ。無論、日本でやる様なバカでかいものではないのだが、ちゃんとデコレーションのトップには「CONGRATULATIONS」の文字が入っている。二人で入刀。ちょっと嬉しかったりした。人数分の切り分けはレストランの人に任せて、ウェディングディナーの最後をケーキで締めくくる。
無理。
ナニが無理って生クリーム多すぎ
(*10)
。スポンジケーキの表面に、たっぷり2cmはあろうかという生クリームの層が出来上がっている。最後まで、「量」に圧倒されたウェディングディナーだった…。
(*9)
(*10)
何だかんだ言っても、ウェディングディナー、とても良かった。ハーバーの夜景を眺めながらの海鮮料理の数々、内輪だけだからこそ可能な和やかな会食。とても忙しく、とても疲れた一日だったけど、とても感動した、決して忘れることのない一日の締めくくりだった。
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I N D E X
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