フリータイムのお買い物

 今回の旅行は、そもそもが結婚式を主体として構成されたものだったが、同時に家族旅行という意味合いも兼ねていた。そこで、旅行社が最初から用意しているウェディングプランなどは利用せず、通常の旅行プランに結婚式をオプションとして入れる形式を取った。まぁ、ツアーコンダクター(要はオレ)の負担はでかかったわけだが…ただ、自分達のペースに合わせて考えることが出来たのが一番良かった。ていうかね、帯に短したすきに長しなのよ、旅行社のプランってばやっぱり(*1)。非常にベーシックなものなので汎用性はあるけど、細かいトコロまでこだわりたい人向けじゃない。実際、旅行するなら自分で組んだプランだな〜、って実感した。

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(※1)全体の値段が下がるとホテルもチャペルもツアー内容もレベルが落ち、どれかのレベルを上げると一気に値段が跳ね上がる、みたいな。しかも不必要なツアーまでついて来やがる。
 一番気にしたのは、やっぱり家族で行くのだ…ということ。うちの姉貴二人や、きばの方のお母さんは非常に旅行達者な人達だ。もう何度も海外に出かけているので、オレよりも遥かに詳しいくらい。しかし、きばの弟さんやウチの両親ズ、さらにオレ達二人も含めて、海外旅行(ほぼ)初心者組の方が人数は多い。そこで、なるべくゆったりと出来るプランを考えた。何より、せっかく海外まで来てもらうのに、ただ結婚式に出席しただけというのはやはり申し訳ない。現地でしか楽しめない部分を満喫して欲しい。何より、みんな社会人だからお土産とかを購入する必要もあるだろうし(笑)。適当にフリータイムは各々で動いてもらおう、と考えたわけだ。



 このフリータイムの有り難みを一番感じていたのは、ある意味オレときばだったかもしれない。オーストラリアに到着したその日はえらく疲れていたけれど、フリータイムに休息がとれたし、我々が結婚式の打ち合わせに行っている間は適当に他の家族には遊んでもらえた。何より、結婚式後に休むことが出来たのが有り難かった。結構、この旅行の前半はフリータイムを利用してゴロゴロしていた気がする(笑)(*2)。慣れない旅行だったこともあるけど、やはり結婚式の準備から本番、またその後の打ち合わせなども含めると、日本でやる程ではないだろうが、緊張もしたし疲れもした。


 勿論、あんまりゴロゴロしてるのも勿体ないので街に出て色んな買い物もしてきた。
 二日目、結婚式の後はディナーまで結構時間が空いていた。そこで、一休みした後は街に出てちょっと観光をしてみようということに。南国の日差しの照りつける中、ちょっとクラッとしつつも街へ出たのだが。いやもう。

乱暴な太陽光線。

 ん〜、これまでハワイ、沖縄と旅行したけど、そのどちらとも違うんだわ。グァム…よりは湿気が少ないかな。ハワイや沖縄よりは湿気があったかも知れない。加えて沖縄より日差しキツい。こう、「クワッッ!」って感じだろうか。日本の夏のようにジワリジワリと体力を奪われると言うよりも、むしろ表現としては


太陽とスパーリング


おっしゃぁ来たらんかい来たらんかい!!っていうか。ノックアウトされたら負け。でもこっちは日焼け止めクリームでドーピング、みたいな。もちろん、帽子とグラサンは必須。…ほとんど胡散臭いオッサン姿。多分、日本であの姿のオッサンと出くわしたら、目線だけは合わせない。絶対。そのくらい完全防備。
 それでもやっぱり、体力は奪われていく。とりあえず涼しいところに逃げ込みたい。そこで、昼食も兼ねてショッピングモールに入った。この時気付いたのだが、確かに強烈な紫外線と高い気温という問題はあるのだが、ケアンズの夏、日本の夏と違うのは湿気が低いので冷房の効いた室内に入っても必要以上に悪寒を感じないこと。汗でベトベトになったシャツを着ているわけでもないから、体温を奪われることもないし。スーッと、気持ちだけ良くなる。コレは良い…いつも座った場所には汗染みが移植されていると言う苦い経験をしているという俺にとっては、まさにパラダイスのように感じた。



(*2)
ゴロゴロしている子供達

 休憩した後は『ケアンズ博物館(*3)』でケアンズの歴史や骨董品などを見学。キュランダの鉱山としての歴史(*4)やアボリジニーの文化(*5)などが説明展示されていた。ウチの夫婦は博物館好きで、勿論マニアという程ではないのだが、滋賀でも色んな博物館(琵琶湖博物館、安土城博物館、銅鐸博物館等)を巡っては遊んでいるので、この博物館でも大いに楽しめた。何より、今自分達の居るその場所で、昔どの様な人がどの様に生活していたのか、どんな文化が生まれていたのか…思いを馳せ、自分達の生活と比べてみて、または自分達をその思いの中に配置してみたりして…非常に楽しい。時々変なオブジェがあったりするのも、博物館の魅力かも知れない。歯医者のオブジェ(*6)なんて…何の為の説明だ?と(笑)。
 しかし一つだけ気に喰わんかったことがあった。この落書き。ケアンズ博物館内の、学校施設の紹介スペースに置かれていた黒板なのだが、特に何か囲いがしてあるわけでもなく、チョークも黒板も実際のを使っていたからかも知れないが、誰だよ、この

 ゆうこ
 まみ
 まァちん
 ヒロミ

とかいう低脳軍団。日本の恥部。ていうか未だに旅先でここまで恥を撒き散らす日本人が居るとは思わなんだ。真似したくもないしこの様な行動は思いつきすらせん。実はコイツら、この後他の展示室で見かけたのだが、明らかに喫茶店か何かと間違えてるような感じで座っていたのだが…アレ、展示品の椅子じゃなかったろうか。馬鹿が感染るのもイヤなので無視しといたが、呪われろ。莫迦共。

…ちょっとイヤな思いもしたが、ケアンズ博物館は面白かったのだ。それはホント。


 他にもケアンズには面白いオブジェが結構あった。ピア・マーケットプレイス内のナゼか落ちそうになっているコックの像(*7)や、土産物屋の呪いの人形(?)(*8)、そして妙に多かったエロティックなオブジェ達(*9)。きばが狂喜していた海獣のオブジェの数々(*10)


(*7)

(*8)

(*9)

(*10)



(*3)

(*4)

(*5)

(*6)

 また、ケアンズで一番のショッピングセンター街であるケアンズ・セントラル(*11)にも行ってきたが、ここは全然観光客が居なくて…ホントに地元民ばっかり。ガイドブックなんかには割とよく書いてあるだけに意外だった。いや、もしかしたら我々が観光客向けの店に行かずに、ケアンズ・セントラル内のスーパーとかで買い物をしていたからかも知れないが。なんか、外国の一般客向けの製品って、作りやデザインが奇抜で面白いのだ。あんまり買う気にはならないんだけど(笑)。ていうか、外国人にとって、日本の製品って「何かボケた色の没個性的な商品」としか見えてないのかも知れない…もしかして。



(*11)
 ちなみに海外旅行の楽しみといえば色々あるが、「買い物」もその一つであることはこれはもう、異論の無いところだろう。特に欲しいわけでなくとも、日本とは一味違う商品を見て回るだけで十分楽しめる。ただし、我々は免税品には興味がない。海外旅行に行くってーと免税店に詰めかけてはごっそりと免税品を買いたがる人が居るが、

日本でも売ってるものを買ってどうするよ

と言いたい。また、例えそれが日本未発表の物であっても、

なんでケアンズでMade in Italyとか買わなアカンのでせうか。

 おかしいやろ?明らかに。「税金がかからないから安いんだ」ァ!?何の為の旅行か。んじゃアンタらは、例えば北海道で東京バナナが三割引だったら買うんか。「ブランド品はその持つ意味が違うのよ」ハッ、韓○あたりで無印の買ってきてその辺の路上で売ってるプレートでも付けたら同じ様なもんじゃろがい。と、ゆー事でDFSギャラリアなんぞは用無しである。一度だけ「水が無料で貰える」ということで行ったけど、水を貰ったらハイさようなら。ブランド品を目の色変えて買うよりは、色んな店を見て回って面白い商品を見て愉しむ方がなんぼも意味があるのだ。


 そんなコンセプト(?)のもと、色んな店をまわっていたわけだが、イヤ〜苦労した。何がって生徒への土産。やっぱり豪州に来ているからには、豪州らしいものを買って行ってやりたいではないか。あんまり高過ぎると値段も張ってしまうので、一番安いのはキーホルダーあたりから始めて、オーストラリアの形のマウスパッド、コアラの顔の鍋つかみ(恐いんだ、これが)、オーストラリアのスーパーで買えるカップラーメン(日清)、やっぱオーストラリアだけにブーメラン、アボリジニアートのTシャツなど…バリエーションに気をつけながら購入したのだが、何より隠し球として用意したのは

 コイツ→

見た瞬間に「これしか無い」と決めた。ちなみにキュランダの店でも売っていた。店によって色々値段が違うが、ケアンズ市内の最安価格がキュランダとほぼ同じだったので、欲しい人はキュランダに行くことをオススメする。
 なお、このカンガルーの前脚の孫の手、掻くとかなり痛い。カンガルーの怨念…?いやいや、そんな事はないと思うけど、これで引っ掻いて血でも出たら、その時にはアナタの身に、もしかしたら…コワイコワイ

 ケアンズでのショッピングで特に目を引いたのは、アボリジニアートのTシャツだった。生徒にも一枚買ったけど、他の先生方へのお土産もこれにした。色とりどりのTシャツはデザインが豊富にあり、また店毎に違うデザインがあったり、値段が違ったり…(*12)(*13)。安い店を探しながら何件もハシゴしたが、どれを買おうか迷いに迷い…最後には疲れてしまったくらいだが、品質的にも満足のいく良いTシャツだった。あまりに大量に買ったので、トランクに入りきるかどうか不安だったが(笑)。


(*12)

(*13)

 6日目には、ケアンズにあるアートギャラリー(*14)にも行って来た。
 不思議な感じのする…アボリジニアート中心の、お洒落なギャラリーだった。このアボリジニアートというやつ、基本的に原色が多く彩度の高いものが多い(*15)(*16)。でもって、オレ自身はもともとあんまり減色使いの派手なものや彩度の高いデザインは好みじゃない。でも、このアボリジニアートに関してはむしろ好きだな、と感じた。何がどうだから…と言うのでもないのだが、独特の表現方法(人体や世界の表現の仕方)やグラデーションの出し方、含まれる世界観や大地・太陽・生命への感謝の様なものが感じられる部分…何か、そこに「生きている」思いを感じたというか。このオーストラリア旅行の中で、気に入ったものの一つだった。
 他にも、頭の部分が花になっている人形による人文字(と思われる)オブジェ(*17)や、檻に閉じこめられているアザラシ(*18)(コレにはきばがいたく憤慨していた)など、近代美術的なものも置いてあって、オージーアート(と言うのか?)を存分に味わうことが出来、なかなか楽しかった。

(*15)

(*16)

(*17)

(*18)



(*14)

 歩き回って疲れたので、カフェで休憩することにした。アートギャラリーのすぐ横にオープンタイプのカフェがあり(*19)、ちょっとお洒落な雰囲気だったので入ってみた。色んなメニューがあったが、なんか読むのも邪魔っ気だし何が出て来るのかも分からん。こういう時には最もオーソドックス系を頼むに限る…と考えて、

 「One ice coffee,please.」

と頼んだわけだ。お、ちょっと英語で喋ったよオレ、カッコイイかもオレ、どーよオレ、とか思いつつ(思ってない思ってない)。しかし。出てきたのはコレ(*20)

…え…!?アイスコーヒー…?コーヒーの上に、アイスが乗ってて…アイス+コーヒー!?そんなバカな…

 納得出来ない思いを抱きつつも、さすがに飲まざるを得ないわけで…飲む、と言うか、食う、と言うか。あとで調べてみたら、ケアンズに来た日本人旅行者の多くが、やはりその事で驚いたそうで、「ケアンズ アイスコーヒー」でググってみたらかなりヒットした。日本人だけなのかな…?アイスコーヒーって言い方。





(*19)

(*20)
 さて、賢明なる(と言うより我々夫婦に対して若干の偏見をお持ちの)諸氏ならば、「北極夫婦にしてはメシネタが無いじゃないか」とお思いになることだろう。

そんなハズが無いじゃないか。

 こっからやねんて、こっからやねんてエエとこは!!
 さぁ〜て、それじゃ行ってみようフリータイムのお買い物お食事編!!


(1)ケアンズショッピングモールにて 〜豪快に山独逸地〜

 3日目、挙式後のフリータイムに街へ出かけた我々。暑さから逃げるように入ったショッピングモールでサンドイッチを食べた。…といっても、日本でよく見る、耳を落としたサンドイッチじゃない。もー、パンまんま。レジで好きなパンの種類を選び、具材を注文していく。この時はフォカッチャにパストラミとレタスとチーズ、それにキュウリを挟んだもの(*21)と、ベーグルだったかにローストビーフとレタスなどを挟んだ物(*22)を食べた。イヤもう、デカイのなんのって。ちょっと塩気が強かったが味は割と良かった。ちなみに奥に見えているのはポテトフライなのだが、これはもう抜群に美味かった。量はやっぱり半端じゃなかったが。オーストラリアでもハワイでもグァムでも感じたことだが、基本的に外国で食うものは『あまり手を加えてないもの』が美味い。素材は良いのだ。活かし方が不味いのだな。この辺り、日本の料理人は超一流だと思う。世界的に見ても。

(2)5日目・夜 〜ナイトマーケットでお手軽に〜
 ケアンズ博物館のすぐ近くに、「ナイト・マーケット」と呼ばれる場所がある。  表通りからアーケードの中に入ると、多くのショップが軒を連ねる場所で、観光スポットの一つとなっている。ありとあらゆるケアンズ土産が集まっているのではないかと思われる程の多種多様ぶりで、土産物屋以外にも整体マッサージ店、洋品店、理髪店などが密集し、「商店街」と言うよりはまさにマーケット…しかも非常に大勢の観光客でいつも賑わいを見せている場所だった。この一角に、「フードコート」と言われる場所がある。多くのファーストフード店が中央に設置された椅子やテーブルをぐるりと取り囲んで、客は各々の店で好きな物を購入し、好きな場所で食べられるという場所(*23)だった。
 正直、ここ数日の御馳走ラッシュに疲れていた我ら夫婦は、「今日はもうココで良いよね…」と、適当に済まそうということにした。オレがラーメン、きばが中国料理バイキング(*24)。ラーメンも中国料理も、至ってファーストフードだと言う感じの味ではあったが、大量の料理に食傷気味だった我々にとっては、ジャンキーさ漂うこの夕飯は、少しホッとするものだった。

(3)6日目・朝 〜朝からモリモリ(予定外)〜
 この旅行中、主に朝食はミールクーポンを使ってレストランで食べていたというのは、前述の通り(4日目・キュランダの頁)。でも、さすがに毎日それも面白くないので、たまには散歩がてらどこかカフェでも入って朝食にしよう、ということにした。入ったのは、ラディソン・プラザ・ホテル・アット・ザ・ピアーに隣接する、ピア・マーケットプレイス内のボードウォーク・カフェというお店。固有名称の羅列で説明的になってしまっていること、陳謝。海に面したオープンカフェ(*25)で、朝日に映える港を眺めながらの朝食は、なかなかお洒落さんな気分を味わえた。そう、雰囲気だけは「優雅」だったのだ。
 前記の夕食を軽くしておいたおかげで、朝からすこぶる二人とも調子が良く、また朝から散歩をしたおかげで「さて、食べるぞぉ」という気分になっていた我ら二人。ケアンズガイドにも載っていた事から、ここを選んだ。ガイドの、

「料理はどれもボリューム満点で、一人では食べきれない程。」

という文字も目に入らずに…つい「モーニングセット(*26)一つ」「パンケーキセット(*27)」「あ、パンケーキだけだから…チーズケーキ(*28)食べたいな♪」と頼んでしまったのが運の尽きだった(ちなみに、この朝にもアイスコーヒーを頼んで失敗していたのである)



(*21)

(*22)


(*23)

(*24)


(*25)


デカイのだ。やっぱりというか当然というか。

イヤ、断じてオレ達に学習能力がなかったわけではない…と思う。しかし、やはり「ここは豪州だ」という感覚が鈍っていたのかも知れない。
 無論、日本人としては比較的恵まれた体格二人でもってしても、食べきれなかったことは言うまでもない。…て言うか、どういう胃してるんだ、豪州人。きっと彼らの胃は、あの恵まれすぎた体躯の実に50%近くを占めているに違いない…。コレ、トリビアにならない?


(*26)

(*27)

(*28)

 なお、心配された多量のTシャツだったが、何とかトランクに押し込むことが出来た。やっぱりものが布だけに、圧縮が効く。ヤレヤレ安心、と思っていた我々だったが…以降は後日の話。



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