(平成11-12-1。24-5-1最終修正)(テキスト約41頁) |
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a 殆どの「繰り返し語(畳語)」は、ポリネシア語で解釈できる
ア行
アップアップ/イソイソ/イライラ/イロイロ/ウキウキ/ウジウジ/ウダウダ/ウトウト/ウロウロ/オチオチ/オメオメ/オロオロ
カ行
カサカサ/カスカス/カチカチ/カツカツ/カラカラ/ガラガラ/カリカリ/ガヤガヤ/カンカン/ガンガン/ギシギシ/ギスギス/キチキチ/キラキラ/ギラギラ/キリキリ/キュウキュウ/ギュウギュウ/キョロキョロ/ギョロギョロ/クサクサ/クシャクシャ/グジャグジャ/クスクス/グズグズ/クタクタ/クダクダ/グタグタ/グズグズ/グツグツ/クドクド/グニャグニャ/クネクネ/クラクラ/グラグラ/クリクリ/クンクン/グングン/ゲラゲラ/ココ/コセコセ/コソコソ/ゴタゴタ/コチコチ/コツコツ/コテコテ/コリコリ/ゴリゴリ/コロコロ/ゴロゴロ/ゴワゴワ/コンコン
サ行
サアサア/サクサク/サテサテ/サメザメ/サラサラ/ザラザラ/サワサワ/ザワザワ/シオシオ/シクシク/ジクジク/シゲシゲ/シコシコ/シトシト/ジトジト/ジャージャー/ジュウジュウ/ジリジリ/ジロジロ/ジワジワ/シンシン/ジンジン/スイスイ/スカスカ/スクスク/スゴスゴ/スタスタ/スベスベ/スヤスヤ/スラスラ/ズルズル/スレスレ/ズンズン/セカセカ/セッセ/ゾクゾク/ソモソモ/ソヨソヨ/ソロソロ/ゾロゾロ/ソワソワ
タ行
タマタマ/タラタラ/タラタラ/チカチカ/チクチク/チマチマ/チョロチョロ/チラチラ/チンチン/ツカツカ/ツラツラ/ツルツル/ヅルヅル/テカテカ/テクテク/デカデカ/ドカドカ/ドキドキ/ドクドク/ドコドコ/ドシドシ/トウトウ/トコトコ/ドコドコ/トボトボ/ドヤドヤ/ドロドロ/トントン/ドンドン
ナ行
ナカナカ/ナミナミ/ナヨナヨ/ニコニコ/ニタニタ/ニヤニヤ/ニョキニョキ/ニョロニョロ/ヌクヌク/ヌケヌケ/ヌメヌメ/ヌラヌラ/ネチネチ/ネトネト/ネバネバ/ノウノウ/ノコノコ/ノシノシ/ノソノソ/ノメノメ/ノロノロ
ハ行
パカパカ/ハキハキ/パキパキ/パクパク/バタバタ/パタパタ/パチパチ/ハラハラ/バラバラ/パラパラ/バリバリ//ピイピイ/ピカピカ/ヒクヒク/ビクビク/ピクピク/ヒシヒシ/ビショビショ/ヒタヒタ/ヒヤヒヤ/ビュウビュウ/ヒョロヒョロ/ピョンピョン/ヒラヒラ/ヒリヒリ/フウフウ/フカフカ/ブクブク/フサフサ/ブスブス/ブツブツ/フニャフニャ/ブヨブヨ/フラフラ/ブラブラ/ブルブル/プリプリ/フワフワ/ブワブワ/プワプワ/ヘタヘタ/ベタベタ/ペタペタ/ヘトヘト/ベトベト/ペトペト/ヘナヘナ/ペラペラ/ペロペロ/ホカホカ/ホクホク/ボコボコ/ポタポタ/ボツボツ/ポツポツ/ポトポト/ボロボロ/ポロポロ
マ行
マアマア/マジマジ/マズマズ/マタマタ/マダマダ/マダマダ/マルマル/ミルミル/ムクムク/ムザムザ/ムシムシ/ムシャムシャ/ムラムラ/メソメソ/メラメラ/メロメロ/モクモク/モグモグ/モシモシ/モジモジ/モゾモゾ/モリモリ
ヤ行
ワ行
日本語の特質を解析、解説した学術的文献は数多くありますが、平易な啓蒙書で一般の人々にもっとも読まれたものは、金田一春彦『日本語(上)・(下)(新版)』岩波新書、1988年・同『日本語の特質』日本放送出版協会、昭和56年や、大野晋『日本語の起源(新版)』岩波新書、1994年あたりでしょう。
金田一氏は『日本語の特質』(63ページ)で、「日本の周囲には、日本語のように全部の拍が母音で終わっている言語はありません。全部の拍が日本語のように母音で終わる言語は、日本の近くではポリネシア語がそうです。このことから、日本語ができるときには、ポリネシア族が日本にいたのではないかという説も出るくらいです。」とされ、大野氏は『日本語の起源』(9ページ)で、「日本語の発音の組織の根抵には南方のインドネシア、ポリネシアなどの体系があるらしい。しかし、日本語は文法的にはいわゆるアルタイ語的なー大陸に広がるモンゴル語やトルコ語に共通なー膠着語の性格を多く保っている。」とされています。
そして、両氏を含めて大多数の言語学者は、数詞、身体語をふくむいわゆる基本語の比較だけから、日本語とポリネシア語の同系論を否定しています。
また、両氏を含めて大多数の言語学者は、残念なことに日本語の中の「繰り返し語(畳(じょう)語)」についてほとんど注目しようとしていません。
日本語における「繰り返し語(畳語)」は、社会生活の中のほとんどあらゆる場面での形容、説明に欠かせない語彙です。例えば「はらはら」、「ぶらぶら」、「がやがや」、「おろおろ」など際限なく出てきます。
そしてこの「繰り返し語(畳語)」による形容を抜きにしては、日本人の感覚、考え方を正確に伝えることができませんし、微妙な細かいニュアンスを表現できないと思います。その意味で、「繰り返し語(畳語)」は日本語の中の「根幹語」でもあるのです。
この「繰り返し語(畳語)」は、どうも南方語の特徴のようです。ポリネシア語はもちろん、インドネシア語のようなオーストロネジア語には広範に見られますし、ビルマ語、ミャンマー語などにも頻繁に見られるようです。
ポリネシア語には、極めて多く、殆どの基本語には繰り返し語が元の単語の意味を強調するか、または派生した意味で随伴しています。
しかし、アイヌ語、朝鮮語、中国語には、あることはありますが、南方語ほどは見られません。
これまでオリエンテーション篇、入門篇などで繰り返し説明してきたように、私はかつて東南アジア語の一つであった原ポリネシア語が縄文時代に日本列島に入って縄文語となり、これと弥生時代以降に日本列島に入ってきた大陸・半島系の民族が持ち込んだ言語が融合・発展して、現在の日本語になつたと考えています。
したがって、「繰り返し語(畳語)」の中には、日本人の「心のふるさと」である縄文語がいっぱい残っているはずです。そして、そのほんとうの意味は、原ポリネシア語によって明らかになるはずです。
ただし、「地名」や「記紀」に残された縄文語は、ある時期に固定された「言語の化石」であるのに対し、「繰り返し語(畳語)」は、今に至るまで語り継がれてきた、いわば「生きた言語」ですから、これまで少なくとも数千年の間に、音韻や意味が多少の変化を遂げているかも知れないことは、容易に想像できますし、その間に日本語に取り入れられた漢語などが変化して新しい「繰り返し語(畳語)」が出来ている可能性も否定できません。
今回取り上げた「繰り返し語(畳語)」は、私が加入している古代史研究サークル、「古代史教養講座」(東京都千代田区富士見2−5−10日東ビル3F、TEL03−3230−1251)を主宰されている竹内裕氏が、日本語の源流を尋ねる試みとして、数ある繰り返し語の中から選んだ181語に私が気の付いた23語を追加した計204語をポリネシア語で解釈したものです。竹内氏は、この181語についてビルマの知人にビルマ語との関連を照会中です。
a 殆どの「繰り返し語(畳語)」は、ポリネシア語で解釈できる
以下に見るように、200を越す「繰り返し語(畳語)」の殆どがポリネシア語(主としてマオリ語により、ごく一部は兄弟語であるハワイ語によっています)で、殆ど完全に近い音韻の一致の下に、現在の日本語の意味と完全に、またはほぼ一致もしくは類似して解釈することができます。もちろん、子音、母音の変化は、オリエンテーション篇で解説したところによっています。
しかし、以下に示すポリネシア語の解釈のうちのいくつかについては、畳語の意味とかけ離れており、あまり関係がないと思われるものがあるかも知れません。
その原因の最大のものは、日本語の辞書に書かれた畳語の意味がほとんどの場合極めて抽象的に書かれているのに対して、ポリネシア語の解釈が極めて具体的な表現をとっていることが多いために、一見して無関係のように見えるものがあることによるものと思われます。
畳語とは、擬音語、擬声語を除き、本来、繰り返す前の短い音節の単語の意味が、その同一の単語を重ねること、繰り返しによって強調されるか、または元の単語の意味から派生した別の意味を持つに至った二倍の音節の単語です。このことは、言葉の成り立ちを考えれば自明のことですし、ポリネシア語をはじめ、南方語において、元の単語と畳語の二つが意味のつながったものとしてしばしばセットで見いだされることからも明らかです。ところが、日本語においては、元の単語と畳語がセットであるのは、「くろぐろ」とか、「あかあか」とかごく一部に過ぎません。大半の畳語は、「いそいそ」とか、「とことこ」とか、畳語の意味は分かっていても、その意味が出てくるべき元の単語である「いそ」や「とこ」の意味は全く分からないのです(「いそ=磯、五十」、「とこ=床、常、所」ではないことは明らかです)。これは、おそらく現日本語が弥生時代以降に日本列島に入ってきた征服者の言語の語順、基本語彙と、被征服者の言語である縄文語の基本語彙を除く語彙が融合して成立したものであろうと考えると、容易に説明がつきます。そこでこれまで日本語の辞書は、元の単語の意味が不明のまま、畳語だけをその用例から演繹して、抽象的な表現で解釈を載せざるを得なかったわけで、辞書としてはまことに片手落ちの、語源について全く触れていないという世界でも珍しい不完全な辞書になっているのです。
他方、ポリネシア語による表現は、日本語の表現とはかなり違います。すでに地名の解釈において何度となく解説しましたように、ポリネシア族は自然のすべてが生命をもつものと考え、自然を人になぞらえてその特徴なり、性状を表現すること(擬人法)は珍しくありません。畳語の表現も、身近な人間の生活の中での行動や、身近な動植物、道具等の特徴をとらえて、自由な発想ないし連想によるユニークな比喩を用いたものが数多く見られます。このような具体的な表現は、ポリネシア族の思想、信仰、物事の発想や思考方法から発するもので、古代の縄文人も同じような思想、信仰、物事の発想や思考方法をもっていたのではないかと思いますが、現代の日本人にとっては極めて異質のものと言わざるを得ません。とくに自然と隔絶した都会人や、類型化し、個性を抹殺する教育と、低俗なマスコミによって思考力、想像力、構想力が減退した現代の日本人の物事の発想と思考方法とは、まことに異質で、違和感と抵抗感を覚えるのも無理のないところです。
さらに、ポリネシア語ー英語の辞書によって解釈することに伴う情報の歪みないし欠落の問題があります。それはポリネシア族の独自の思想、信仰、物事の発想や思考方法の表現である言語を、それと全く異なる思想、信仰、物事の発想や思考方法をもつ英語族の人間が聞き取って理解し、英語で解釈・表現した辞書を、これまた全く異なる思想、信仰、物事の発想や思考方法をもつ日本人の我々が読み、理解し、日本語に翻訳することに伴う二重の誤解が生じ、情報の歪みないし欠落が生じていることはまず確実です。それがないとしても、おそらくそれぞれの体質の差が、言葉で表しがたい言語の表現の差となり、違和感となって残ることは疑いありません。
しかし、このような表現形式の差を率直に理解し、虚心にポリネシア語による解釈を読めば、それがいかに音韻が一致し、かつ、いかにポリネシア族独特の表現の下に、元の単語の意味から発して、現日本語の畳語における強調語または派生語としての意味をもたらすにいたったか、なるほどこれが語源であったのかと理解することができるでしょう。
日本語もポリネシア語も「生きた言語」ですから、これまでの少なくとも数千年の間に、音韻や意味が相当変化している可能性があったのに、あまり変化していないか、変化していてもこの程度僅かしか変化していないということは、むしろ奇跡というべきかも知れません。この背景には、日本語の中の畳語は、その元の単語から切り離された熟語として、「言語の化石」的に語り継がれて来たことと、とくにマオリ語が僻遠の地に隔絶して、他の地域との交流がほとんどなかったことによるところが大であったと考えられます。
いずれにしても、この音韻の一致と意味の一致または密接な類似・派生関係は、縄文語とポリネシア語が同根である以外の何物でもないことを証明しているというべきでしょう。
aで解説したように、我々が日常何気なしに使っているこれらの畳語は、よく考えてみると、元の単語の意味が不明で、なぜそのような意味を持っているのかよく分からないものが殆どです。しかし、これらのポリネシア語による解釈によれば、その言葉の本当の、または当初の意味がはっきりと分かるのです。
例えば「いそいそ」は、「恋人のそばに行く、そばにいる(ような)」という意味で実に人心の機微をついた的確な表現です。
「すいすい」は、「縫う、縫い針を動かす(ように)」ですし、「ぺろぺろ」は、「犬が(飼い主の顔を)舐める(ように)」という意味で実に具体的・具象的で、的確です。
「ずるずる」は、「凧が空に舞う(ように)」で、「とことこ」は、「人が杖をついて歩く(ように)」でその動きの本質を見事に捉えています。
「ぺらぺら」は、「相手に構わずに話をする(ような)」で、「ぐずぐず」は、「泳げない人が(水の前に)居る(ような)」など、実に的確な状況の例示で、本当(当初)はこういう意味であったのかと改めて考えさせられる内容です。
これらをみると、古代人の人、物、環境、現象を見る眼の確かさ、暖かさ、表現力の豊かさを痛感します。
このような「繰り返し語(畳語)」は、他の外国語にはどのくらいあるのか詳細はわかりませんが、これは正に日本人ならではの、日本語を特徴づける独特の表現ではないでしょうか。そしてこれこそが、日本語が、南方語である縄文語と、弥生時代以降に日本列島に持ち込まれて来た北方語との融合語であることを証明しているものではないでしょうか。
なお、擬音語、擬声語から構成された繰り返し語については、後世の造語と思われるものがかなりあるように感じます。
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見出し語は、五十音順に通し番号を付して配列し、日本語の意味を載せ、次にその語源と考えられるポリネシア語(マオリ語による。兄弟語または方言同士と考えられるハワイ語によったときは、その旨注記した)とその解釈を載せました。(→)印は、ポリネシア語の発音が日本語で変化した発音、またはポリネシア語の単語の意味がその繰り返し語でどう意味が変わるかを示します。
日本語の意味については、Microsoft/Shogakukan Bookshelf Basic マルチメディア統合辞典1997年(出典、例文が豊富です)、広辞苑第四版(CD-ROM版)岩波書店(表現が簡潔です)などを参照して確認しました。
ア行
水に溺れて苦しむさま。転じて、困難に苦しむさま。
アプ→アップアップ、APU(move or be in a flock or crowd,cram into the mouth)、(人が)密集して移動する(居る)、口に(食物を)詰め込む→息苦しさに口を開ける→水に溺れて苦しむ。困難に苦しむ。
心が進み、勇むさま。嬉しさに心を弾ませて動作するさま。
イ・タウ→イ・ソ(「タウ」のT音がS音に変化し、AU音がO音に変化して「ソ」となった)、I-TAU(i=beside;tau=lover,darling)、恋人のそば→恋人のそばへ行く、そばに居る→心が進み、勇む、嬉しさに心を弾ませて動作する
とげなどがたくさん出ているさま。皮膚や粘膜が、繰り返し突かれるような、小さい刺激を感じるさま。光りや暑さなどが強く人を刺激するさま。あせって心に余裕がないさま。思うようにならなくて、感情がたかぶってくるさま。
イライラ、IRAIRA(freckle,variegated,glitter)、玉虫色の、ピカピカ光る→ピカピカの光に刺激されて感情が高ぶる
(注) (ハワイ語)イラ、ILA(changing colors of an octopus skin)には、鮹(たこ)が(周囲の状況に応じて)体色を変える→(鮹が体色を変えるように)人が周囲からの光り、音、他人からの話かけなどの刺激に反応して感情がたかぶるという意味があります。
さまざまに。種々に。
イ・ラウ→イロ(「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」となった)、I-RAU(i=by,at,in comparison with;rau=hundred,multitude)、無数(百というたくさんの数)の、多数の→さまざま、種々の
楽しさや嬉しさで心のはずむさま。
気持ちが決まらないで、はっきりしないさま。
(1)ウ・キ→ウキウキ、U-KI(u=say;ki=full,very)、口数が多い→楽しさや嬉しさで口数が多い→楽しさや嬉しさで心がはずむ
(2)ウチウチ(006ウジウジの語源と同じ)、UTIUTI(annoy,worry)、悩む、心配する→(ハワイ語)ウキウキ(マオリ語のT音がハワイ語ではK音に変化しています)、UKIUKI(angry,annoyed,irritated)、怒る、悩む、いらつく→気持ちが決まらないで、はっきりしない
行動をためらうさま。絶えず小さく動いて落ちつきのないさま。
ウチウチ、UTIUTI(annoy,worry)、悩む、心配する→行動をためらう
どうでもいいことをいつまでもしたり、言ったりするさま。
ウタウタ→ウダウダ、UTAUTA(frequentative or plural form of uta(uta=put persons or goods on board a canoe etc.),property)、人が装身具をあれでもないこれでもないと頻繁に取り替え引き替えする→どうでもいいことにいつまでもこだわる
眠気をもよおすさま。また、眠りの浅いさま。歩行などのおぼつかないさま。
ウト・ウトウト、UTO(revenge)-UTOUTO(use vindictively)、復讐−執念深い→執念深く襲う→眠気、睡魔→眠気をもよおす
どうしたらよいか分からずに、あわてて動き廻るさま。あてもなくさまようさま。
態度がそわそわと落ち着かないさま。
(1)ウ・ロ、U-RO(u=reach the land,reach its limit;ro=go)、極限まで歩く→どうしたらよいか分からずに、あわてて動き廻る、あてもなくさまよう
(2)ウル→ウロ、URU(be anxious)、不安で→態度がそわそわと落ち着かない
(下に打ち消し語を伴って)落ち着いている様。安心して。
オチ、OTI(finished)、終了した→落ち着いた、安心した
(注) オチオチ(OTIOTI)のT音がK音に変化したオキオキ(OKIOKI(rest,pause))には、休息する、休止するの意味があります。
恥じるべきことと感じても、恥をそそぐことをしないさま。恥を感じないで平然としているさま。
アウ・メ→オ・メ(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」となった)、AU-ME(au=gall,smoke;me=if,like,as it were)、苦々しいもののよう、鉄面皮のよう→恥を感じないで平然としている(133ノメノメ参照)
どうしてよいか分からずあわててとまどうさま。声をうるませて、涙声になっているさま。不十分で、いかげんなさま。
アウ・ラウ→オ・ロ(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」となり、「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」となった)、O-RAU(au=firm,intense,certainly;rau=embarrassed,entangled,confused)、当惑する、紛糾する、混乱する→どうしてよいか分からずあわててとまどう
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カ行
乾いて潤いのないさま。ひからびて水気や脂気のないさま。あわただしいさま。
カタカタ→カサカサ(原ポリネシア語のS音が日本語ではそのまま、マオリ語ではT音に変化した)、KATAKATA(dried up)、干上がった、乾燥した→乾いて潤いがない
(注) カタ(KATA(opening of shellfish)、口を開けた貝、潟)は、カ・タ(KA-TA(ka=take fire,burn;ta=dash,strike)、火にかけた→貝が口を開けた)から来ているものでしょう。
食物などに水がなく、うまみのないさま。潤いのないさま。
カ・ツ→カ・ス、KA-TU(ka=take fire,burn;tu=stand,settle)、火にあてられた→水分を失った→食物などに水がなく、うまみがない
物が非常に堅いさま。堅苦しく、緊張しているさま。堅いものがぶつかる音、規則的に打つ音など。
カチ・カチカチ、KATI(bite)-KATIKATI(bite frequently,of action of the sun)、噛む-しきりに噛む、太陽が地表に噛みつく作用をする→大地や物が乾燥して堅くなる→物が非常に堅い
ある事態、主として暮らしがどうにか成り立つさま。限度ぎりぎりであるさま。
カハ・ツ→カ・ツ(「カハ」の語尾の「ハ」が脱落して「カ・ツ」となり、畳語の「カツカツ」となった)、KAHA-TU(kaha=edge,ridge of a hill,boundary line of land;tu=stand,settle)、崖っぷちに立っている→限度ぎりぎりである、暮らしがどうにか成り立つ
物が乾ききっているさま。
器物の内が空で、何もないさま。
(1)カ・ラ、KA-RA(ka=take fire,burn;ra=wed)、火をあてにあてた→乾かした→物が乾ききっている
(2)(ハワイ語)カラ、KALA(to loosen,remove)、解放する、除去する→空にする→器物の内が空で、何もない
物が乾ききっているさま。内部に何もないさま。非常にすいているさま。
物の崩れ落ちたり、堅いものがぶつかる音。露骨に大声でものをいうさま。
(1)「016カラカラ」の濁音化
(2)(ン)ガラ・(ン)ガ(ン)ガラ→ガラガラ、NGARA,NGANGARA(snarl)、がみがみ言う→露骨に大声でものをいう→物の崩れ落ちたり、堅いものがぶつかる音がする
堅いものを噛み砕く音。雁の鳴く音。
カリ・カリカリ、KARI(dig,cleave)-KARIKARI(strip off,dig,notch)、掘る、裂く−引き裂く、ぎざぎざ→(ぎざぎさの歯で)堅いものを噛み砕く→堅いものを噛み砕く音
多くの人が騒がしく声を立てるさま。
(ン)ガ・イア→ガ・ヤ(「(ン)ガ」のNG音のN音が脱落して「ガ」となり、「イア」が「ヤ」となった)、NGA-IA(nga=satisfied,breathe;ia=indeed,very)、多数の人が息をしている→多くの人が騒がしく声を立てる
日の光が強く照りつけたり、炭火が勢い良くおこっているさま。
強く腹を立てているさま。烈しく怒るさま。
(1)カ(ン)ガ→カン(「カ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「カナ」となり、「カン」となった)、KANGA(=ka=take fire,burn)、火を燃やす→炭火が勢い良くおこる
(2)カナ・カナカナ→カンカン、KANA(stare wildly)-KANAKANA(stare wildly)、凝視する→呪いをかける→(人を呪うほど)強く腹を立てる
(注) 古代において人を凝視することは、呪いをかけること、霊力で相手を圧倒することと同義でした。また、巫者や巫女が鏡の光を人に当てることも、鏡の霊力で相手を圧倒するための行為で、古代の中国ではしばしば戦いの先頭に巫者や巫女が鏡を持って呪文を唱えながら敵に向かいました。このような伝統的信仰・風習の上に『日本書紀』神武即位前紀戊午年11月10日条の「女軍」は巫女の軍と理解すべきですし(地名篇(その五)奈良県の(32)忍坂の項を参照してください)、武蔵国二宮金讃(かなさな)神社のご神体「鏡岩(かがみいわ)」(地名篇(その七)埼玉県の(16)賀美郡の項を参照してください)も理解すべきであると考えます。
金属質の堅い物が連続して打ち当たるやかましい音。
小言などをやかましく言うさま。
(ン)ガナ(ン)ガナ→ガナガナ→ガンガン、NGANANGANA(blustering,noisy)、大声でわめき散らす、うるさい音をたてる。
堅い物がきしんで、こすれあう音。狭くて窮屈なさま。
(1)キ・チ→キ・シ→ギシ、KI-TI(ki=say,call,full,very;ti=squeak,tingle)、けたたましい音を立てる→堅い物がきしんで、こすれあう音
(2)キ・チ→キ・シ→ギシ、KI-TI(ki=full,very;ti=throw,cast)、充満するほど投げ込む→狭くて窮屈な。
愛嬌がなく、かどがあって、親しみにくいさま。やせ細り、ふくらみがないさま。
キ・ツ→キ・ス→ギスギス、KI-TU(ki=say,call,full,very;tu=fight with,energetic,be wounded)、(1)挑戦的にしゃべる→愛嬌がなく、かどがあって、親しみにくい。(2)非常に傷ついている→痩せている→やせ細り、ふくらみがない。
物の分量、寸法や時間がちょうど一杯で、ゆとりがないさま。規則正しいさま。几帳面なさま。
(1)キ・チ、KI-TI(ki=full,very;ti=throw,cast)、充満するほど投げ込む→物の分量、寸法や時間がちょうど一杯で、ゆとりがない(「021ギシギシ」の(2)と同じ語源)
(2)キ・チリ→キチ(「チリ」の語尾の「リ」が脱落して「キ・チ」となり、畳語「キチキチ」となった。「キ・チリ」は、「きっちり」の語源と考えられます)、KI-TIRI(ki=full,very;tiri=throw or place one by one,portion)、充満するまで一つ一つ置く→規則正しいさま
光り輝くさま。際だって立派なさま。
キ・ラ、KI-RA(ki=full;ra=sun)、太陽がいっぱい→光り輝く→際だって立派なさま
目を射るように異様な感じでどぎつく光るさま。
どぎつく強烈な印象であるさま。
024キラキラの語源に同じ(キラキラがギラギラとなった)。
強く力を入れて巻き付けたり、回ったり、引き絞ったりするさま。かいがいしくてきぱきとするさま。
キ・リ、KI-RI(ki=full;ri=protect,bind)、強く緊縛する→強く力を入れて巻き付ける
ゆとりの無いほど、強く締めたり、押し付けたりするさま。押しつけられて苦しみもがくさま。
キ・ウ→キュウ、KI-U(ki=full,very;u=be firm,be fixed,reach its limit)、強く締め付ける、強く固定する、限度に到達する→ゆとりの無いほど、強く締めたり、押し付けたりする
ゆとりの無いほど、強く締めたり、押し付けたりするさま。押しつけられて苦しみもがくさま。
(1) 「026キュウキュウ」の濁音化
(2) (ン)グ・(ン)グ(ン)グ→ギュギュ→ギュウギュウ、NGU(greedy)-NGUNGU(eat greedily)、喰いしん坊、 意地汚く食べる→腹いっぱいに詰め込む
そわそわと落ち着かないさま。落ち着かない様子であたりを見回すさま。
キ・オロ→キョロ(「キ」のKI音と「オロ」の語頭のO音が連結して「キョ」となった)、KI-ORO(ki=full,very;oro=defame,backbite)、いっぱい人を中傷する、陰口をきく→(陰口を本人に聞かれはしないかと心配になって)周囲を見回す→落ち着かない様子であたりを見回す
大きい目玉が鋭く光るさま。
(ン)ギア・ウラ・ウ→ギョ・ロ(「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、その語尾のA音と「ウラ」のU音が連結して「ギョ」となり、「ウラ」の語尾のRA音と「ウ」のU音が連結して「ロ」となり、「ギョロ」となった)、NGIA-URA-U(ngia=seem,appear to be;ura=red,glow;u=be firm,reach its limit)、(目が)極限まで赤く燃え輝くように見える→大きい目玉が鋭く光る
腹を立てたり、憂鬱で、心が晴れないさま。
クタ→クサ(原ポリネシア語のS音が日本語ではそのまま、マオリ語ではT音に変化しています)、KUTA(encumbrance)、邪魔物→心の中に邪魔物がある→腹を立てたり、憂鬱で、心が晴れない
紙、布などを丸めたり、揉んだりするさま。また、その皺だらけになったさま。
物事が混乱したり、まとまりのなくなったさま。
クチ、クチア→クシャ、KUTI,KUTIA(draw tightly together,contract,pinch)、押し潰す、縮める→紙、布などを丸めたり、揉んだりする
031クシャクシャをやや強めた語
クチ・クチア→クシャ→グジャ、KUTI,KUTIA(draw tightly together,contract,pinch)、押し潰す、縮める(031クシャクシャと同じ)
しのんで笑う声、またその様子。こっそりと事をするさま。
クツクツ・アヒ→クスクス(アヒが脱落)、KUTUKUTU-AHI(delirium wandering of a sick person,nonsense talk,incessant grumbling(ahi=ai=beget))、(1)意味のないお喋り、絶え間のないつぶやき→しのんで笑う声、(2)夢遊病者がふらふら出歩く→こっそりと事をする
物の言い方や動作などがあいまいで、はっきりしないさま。のろのろしたさま。
(ン)グ・ツ→グズ、NGU-TU(ngu=a person unable to swim,silent,greedy;tu=stand,settle)、泳げない人が(水の前に)立っている、無言で居る→(水に入るのを)躊躇している→物の言い方や動作などがあいまいで、はっきりしない
疲れたり弱ったりして力・張りが抜けたさま。
物の形が崩れたさま。
弱火に掛けた鍋の中で物が煮える音。また、そのさま。
(1)ク・タハ→クタ、KU-TAHA(ku=silent,wearied,exhausted;taha=side,spasmodic twitching of the muscles,pass on one side(tataha=sweerve)、筋肉が(痙攣して)・弱っている→疲れたり弱ったりして力・張りが抜けたさま。
(2)ク・タ→クタ、KU-TA(ku=silent,wearied,exhausted;ta=dash,beat,overcome,lay)、(物が打撃や煮られることで圧倒される)崩れて・弱くなる→物の形が崩れたり、弱火に掛けた鍋の中で物が煮えるさま。
こなごな、ずたずた。
言い方が明快さを欠き、しつこくて長たらしいさま。
(1)クク・タ→(ククがクとなって)クタ→クダ、KUKU-TA(kuku=nip,anything used as pincers;ta=dash,beat,overcome,lay)、(物が)切られて・(圧倒される)原形を留めなくなる→こなごな、ずたずたになる。
(2)ク・タ→クタ→クダ、KU-TA(ku=silent,wearied,exhausted;ta=dash,beat,overcome,lay)、(物が打撃や煮られることで圧倒される)崩れて・弱くなる→話が一貫しなくなり(明快でなくなり)、退屈になる(しつこくて長たらしくなる)。
034-2クタクタに同じ。
(1)034-2クタクタに同じ。
(2)034-3クダクダの(2)に同じ
ぶつぶつ不平を言うさま。食物などが煮えるさま。
(ン)グツ・(ン)グツ(ン)グツ→グツグツ、NGUTU(lip,mouth)-NGUTUNGUTU(flame,angry ,dispute)、(1)(声高に)異議を唱える→ぶつぶつ不平を言う。(2)炎(が燃える)→食物などが煮える
しつこく繰り返して言うさま。うるさく長々としゃべるさま。思いきりの悪いさま。
ク・ト、KU-TO(ku=make a low inarticulate sound;to=be pregnant,drag,open or shut a door or window)、低い押し潰した声で何回も話を繰り返す→しつこく繰り返して言う
曲がり易いさま。軟らかくてしまりがないさま。力が抜けて身体をしっかり保てないさま。
(ン)グヌ・(ン)グヌ(ン)グヌ→グニュグニュ→グニャグニャ、NGUNU(bend,bent)-NGUNUNGUNU(crouching)、(1)曲がる→曲がり易い。(2)かがみ込む→力が抜けて身体をしっかり保てない
曲がりくねっているさま。
ク(ン)ゲ(ン)ゲ→クネネ(「ク(ン)ゲ(ン)ゲ」のNG音がN音に変化して「クネネ」となった)→クネクネ、KUNGENGE(wrinkled,puckerd)、皺が寄る→曲がりくねっている
めまいのするさま。
クラ、KURA(glowing,precious,treasure)、輝く、貴重な、財宝→(輝きに)めまいがする
湯などの沸きたぎるさま。物が揺れ動くさま。
(1)(ン)グル→グラ、NGURU(rumble,grunt)、がらがら鳴る、ぶつぶつ言う→湯などが沸きたぎる
(2)クラ、KURA(simultaneous movement of a body of warriors)、戦士が一斉に動く→腰のスカートが揺れる→物が揺れ動く
(注) ハワイ語クライ・クラクライ、KULAI(to push over)-KULAKULAI(chest-slapping game)には、押し出す-尻押し相撲→物が揺れ動くという意味があります。
いかにも丸くて、愛らしいさま。肥って肉付きのよいさま。
物が軽く回転するさま。
クリ、KURI(dog)、犬→犬のように丸くて、愛らしい→犬のように走り回る→物が軽く回転する
動物がにおいをかいだり、鼻をならしたりする声をあらわす。
クム・クムクム→クンクン、KUMU(buttocks,hold the breath)-KUMUKUMU(grunt)、尻、息を止める−豚のようにぶうぶう言う→動物が鼻をならす(匂いを嗅ぐ)
物事が勢い良く進行するさま。ためらったり、滞ったりしないさま。
クネ・クネクネ→クンクン→グングン、KUNE(swell as pregnancy advances)-KUNEKUNE(appearing round)、妊婦の腹のように(どんどん)膨らむ−丸みを増す→物事が勢い良く進行する
大声で笑うさま。
(ン)ゲ・ラ→ゲラ、NGE-RA(nge=noise,screech;ra=wed)、雑音が集合した、金切り声で叫ぶ声がいっぱい→大声で笑う
此処
コ・コ、KO(to or at of place)-KO(emphasis)、此処
心にゆとりがなく、態度がおうようでないさま。
場所が狭くて、ゆとりのないさま。
コテ→コセ(原ポリネシア語のS音が日本語ではそのまま、マオリ語ではT音に変化しています)、KOTE(squeeze out,crush)、圧縮する、絞り取る→ゆとりがない→心にゆとりがなく、態度がおうようでない
静かに音のするさま。人に隠れてこっそりと事を行うさま。
コト・コトコト→コソコソ(原ポリネシア語のS音が日本語ではそのまま、マオリ語ではT音に変化しています)、KOTO(sob,make a low sound)-KOTOKOTO(sob)、すすり泣く、低い音を立てる−しのび泣く→静かに音がする→人に隠れてこっそりと事を行う
もめごとの起こっているさま。
雑然としているさま。混乱しているさま。
(ン)ゴ・タ→ゴ・タ、NGO-TA(ngo=cry,grunt;ta=dash,lay)、叫び声が起こる→もめごとが起こっている→混乱している
物が非常に堅いさま。堅苦しく、緊張しているさま。堅いものがぶつかる音、規則的に打つ音など。
コチ・コチコチ、KOTI(divide)-KOTIKOTI(divide,dividing fence,barrier)、分離する−障壁→(1)(障壁のように)非常に堅い物→堅苦しく、緊張しているさま。(2)(時間を分割するように)規則的に打つ音
たゆまず、着実に物事をするさま。戸を叩く音など。堅苦しいさまなど。
(1)コ・ツ、KO-TU(ko=a wooden implement for digging,dig or plant with a ko;tu=stand,serve)、木の鍬で土地を耕す作業に従事する→たゆまず、着実に物事をする
(2)カウツ→コツ(「カウツ」のAU音がO音に変化して「コツ」となつた)、KAUTU(wade)、水中を歩く→たゆまず、着実に物事をする
(注) コツイ、KOTUI(lace,fasten by lacing)には、レースを編む→着実に物事をするという意味があります。
多すぎてごたごたしたさま。濃厚なさま。たどたどしく不器用に仕事をするさま。
カウテテ→コテテ→コテコテ(「カウテテ」のAU音がO音に変化して「コテテ」となり、「コテコテ」となった)、KAUTETE(a wooden handle of holding flints for cutting)、木の棒に黒曜石の小片を多数植えたナイフ→(黒曜石の小片が)多数ある→多すぎてごたごたしている
(注) このカウテテは、黒曜石の小片を一列に並べたと思われるナイフですが、武器としては黒曜石の小片を無数に植え込んだと思われる「マタ・カウテテ」(MATA-KAUTETE=a weapon of sharp flakes of flint lashed firmly to a wooden handle)がありました。このほうが「コテコテ」の原義に近いかも知れません。
布地が目がつみ、厚手で、手ざわりがごわごわしているさま。肉づきが堅くしまつて、弾力がある感じ。
堅いものを、歯切れ良く噛む音。
コリリ→コリコリ、KORIRI(immature fruit)、未熟な果実→果肉が硬い→肉づきが堅くしまつて、弾力がある →堅いものを、歯切れ良く噛む音
コリコリのやや強い語
052コリコリと同語源
丸いもの、小さいものなどが転がる音、そのさま。子供などの丸々と愛らしく太っているさま。
コ・ロコロコ→コロコロ(語尾の「コ」が脱落)、KO-ROKOROKO(ko=emphasis;rokoroko=a variety of potato)、馬鈴薯の一種→丸いもの、小さいもの→子供などが丸々と愛らしく太っている
雷の轟く音、車輪など丸くて重いものが転がる音。
あちこちに物が雑然と転がっているさま。仕事をしないで、むだに暮らしているさま。
(1)054コロコロの濁音化→車輪など丸くて重いものが転がる音
(2)(ン)ゴロ・(ン)ゴ(ン)ゴロ→ゴロ(「(ン)ゴロ」のNG音のN音が脱落して「ゴロ」となり、畳語となって「ゴロゴロ」となった)、NGORO,NGONGORO(snore,utter exclamations of surprise or admiration)、鼾をかく、驚愕(または賞賛)の叫び声を上げる→雷の轟く音
(3)(ン)ガウ・ロ→ゴ・ロ、NGAU-RO(ngau=go about;ro=roto=inside)、(家の)中を歩き回る→仕事をしないで、むだに暮らしている
紙や布などがこわばってしなやかでないさま。
(ン)ガウ・ウアウア→ゴワ(「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」と、「ウアウア」の反復語尾が脱落して「ウア」から「ワ」となった)、NGAU-UAUA(ngau=bite,hurt,act upon,attack;uaua=sinew,vein,firmness,resolution,strenuous,vigorous)、(紙や布などに)作用して・堅くなる→(紙や布などが)こわばってしなやかでないさま。
雪や雨、あられなどの降るさま。
咳をする音、狐の鳴く声、堅いものが当たる音。
(1)コナ→コンコン、KONA(to diffuse,spread abroad)、散乱する→(空から)ばらまかれたものが降ってくる→雪や雨、あられなどが降る
(2)コネネ、コネコネ→コンコン、KONENE(stranger,wanderer)、KONEKONE(shy,weariness)、(旅人のように)疲れ果てて、臆病に、おそるおそる→雪や雨、あられなどの降るさま
(3)コ(ン)ガコ(ン)ガ→コンコン(「コ(ン)ガコ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「コナコナ」となり、「コンコン」となった)、KONGAKONGA(crumbled into fragments)、粉々に砕けた→(粉々に砕けた)雪や雨、あられなどが降る
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サ行
人を強く誘い促す時に発する語。水が流れたり、雨が降ったりする音。
(1)タ→サ・サァ(原ポリネシア語のS音が日本語ではそのままで強調されて「サア」と、さらに畳語「サアサア」となり、マオリ語ではT音に変化しています)、TA(a term of address with certain tribes.occasionally it may be translated "friend")、(呼びかけ語)友よ!→人を強く誘い促す時に発する語
(2)タタ→ササ・サアサア(ザアザア)、TATA(dash down,break in pieces by dashing on the ground)、叩き付ける、叩き付けて粉々にする→雨が強く吹き付ける→水が流れたり、雨が降ったりする音
水などが滞りなく軽快に流れるさま。
歯で物を噛む音、野菜などを刻む音、雪や砂などを踏んで歩く音など連続する軽快でさわやかな音。
ものごとをきっぱり言うさま。
タク・タクタク→サクサク(原ポリネシア語のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化しています)、TAKU(slow)-TAKUTAKU(recite used chiefly of genealogy or incantations etc.)、(1)ゆっくり→水などが滞りなく軽快に流れるさま→連続する軽快でさわやかな音。(2)暗唱(系図、まじないの文句など)→ものごとをきっぱり言うさま
あれはどうか、これはいかに、などと問いかける語。驚嘆、感動などの時に発する語。
タタヒ→サタイ(原ポリネシア語のS音が日本語ではそのまま「サタヒ」で、マオリ語ではT音に変化し、この「サタヒ」のH音が脱落して「サタイ」となった)→サテ(「サタイ」のAI音がE音に変化して「サテ」となった)、TATAHI(=tahi=one,first,together,then,quite)、第一の、一緒に、さあ、それから→あれはどうか、これはいかに
しきりに涙を流して静かに泣くさま。しみじみと言うさま。
タ・マイ→サ・メ(原ポリネシア語の「サ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「タ」となり、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)→サメザメ、TA-MAI(ta=dash,overcome;mai=become quiet)、(感情が)こみ上げて来て静かになる→しきりに涙を流して静かに泣くさま。しみじみと言うさま。
物事が速やかに進むさま。物に湿気や粘り気がなくてさっぱりとしたさま。
物が軽く触れ合う音。風や雨、雪、波などの音。
タラ・タラタラ→サラサラ(原ポリネシア語の「サ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「タ」となっている)、TARA(loosen,brisk)-TARATARA(scatter about)、分離する、活発な−散乱する→物に湿気や粘り気がなくてさっぱりとしたさま→物が軽く触れ合う音。風や雨、雪、波などの音。
手触りが粗く、滑らかでないさま。物事がささくれて荒々しいさま。
粗いものが擦れあって立てる音。
タラ・タラタラ→ザラザラ、TARA(point,peak)-TARATARA(spine,spike,prickly,rough)、尖端−針、とげ(凹凸)が多い→手触りが粗く、滑らかでない、物事がささくれて荒々しい→粗いものが擦れあって立てる音
気分がさっぱりと晴れわたるさま。
草や木の葉をそよがせてさわやかに風が吹くさま。
手順よくすらすらと運ぶさま。
(1)タハ(ン)ガ→タハ→サワ(名詞形語尾のNGA音が脱落して「タハ」から「サハ」、「サワ」となった)、TAHANGA(naked,empty,moderately,as soon as)、@(心の中に)何もない(気分がさっぱりと晴れわたるさま)またはA(物事が)ほどよくもしくはすぐに(運ぶ。手順よくすらすらと運ぶさま)
(2)タハ→サワ、TAHA(side,spasmodic twitching of the muscles regarded as an omen good or bad according as it was on the right or left side,pass on one side,go by)、(風が)吹き抜ける(草や木の葉をそよがせてさわやかに風が吹くさま)
草木の葉や水などが揺れ動き触れ合つて立てる音、そのさま。
大勢の人の声や身動きする音が混じつた騒音、そのさま。大勢の人が動揺して落ち着きのないさま。
嫌悪感・不快感・高熱などで悪寒がしたり、心が乱れ騒ぐさま。
(1)062-2サワサワの(2)に同じ。タハ→サワ→ザワ、TAHA(side,spasmodic twitching of the muscles regarded as an omen good or bad according as it was on the right or left side,pass on one side,go by)、(風が)吹き抜ける(草や木の葉をそよがせて騒がしく風が吹くさま)
(2)タワハ→サワ(「タワハ」のH音が脱落して「タワ」から「サワ」となった)→ザワ、TAWAHA(having an unpleasant taste)、不快な感じがする(大勢の人の声や身動きする音が混じつた騒音、そのさま。大勢の人が動揺して落ち着きのないさま)
(3)062-2サワサワの(2)に同じ。タハ→サワ→ザワ、TAHA(side,spasmodic twitching of the muscles regarded as an omen good or bad according as it was on the right or left side,pass on one side,go by)、(悪い予感がして体が震えるように)嫌悪感・不快感・高熱などで悪寒がしたり、心が乱れ騒ぐ(さま)
涙を流して泣くさま。気落ちして力が抜けたさま。
チハウ→シホ・シホシホ(原ポリネシア語の「シハウ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「チハウ」となり、「シハウ」のAU音がO音に変化して「シホ」となった)→シオシオ、TIHAU(twitter,confused sound of voices)、おろおろ声を出す→涙を流して泣く
勢いなくあわれげに泣くさま。にぶく痛むさま。
チ・ク→シ・ク(原ポリネシア語の「シ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「チ」となった)、TI-KU(ti=throw,cast;ku=silent,wearied,exhausted,make a inarticulate sound)、疲れ切った様子をさらけ出す、変な声を出す→勢いなくあわれげに泣く
水分を多く含んでいるさま。絶えず水がにじみ出るさま。
チ・ク→シ・ク(原ポリネシア語の「シ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「チ」となった)→ジクジク、TI-KU(ti=throw,cast;ku=showery unsettled weather)、雨が多いところに置かれる→水分を多く含んでいる、絶えず水がにじみ出る
数多く、しきりに、頻繁に、たびたび。
つくづく、よくよく、じつと。
チ(ン)ゲイ→シゲ(原ポリネシア語の「シ(ン)ゲイ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「チ(ン)ゲイ」となり、このNG音のN音と語尾の「イ」が脱落して「シゲ」となった)、TINGEI(unsettled,ready to move)、(1)じっとしていない(いつも動き回っている)→しきりに、頻繁に、たびたび。(2)(今にも動きだそうとして)静止している→(その状態で何かを)見つめる→つくづく、よくよく、じつと
弾力があって、噛むと歯ごたえがあるさま。
持続的に地味な活動をするさま。
(1)チ・カウ→シ・コ(原ポリネシア語の「シ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「チ」となり、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)、TI-KAU(ti=throw,cast,overcome;kau=stalk of a plant)、茎を征服する(硬い茎を噛み砕く)→弾力があって、噛むと歯ごたえがある
(2)チ・コ→シ・コ(原ポリネシア語の「シ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「チ」となった)TI-KO(ti=throw,cast,overcome;ko=a wooden implement for digging,dig or plant with a ko)、土地を耕す作業を成し遂げる→持続的に地味な活動をする
雨などがしめやかに降るさま。静かにゆつくりと物事を行うさま。
チ・タウ→シ・ト、TI-TAU(ti=throw,cast;tau=come to rest,be suitable,be comely)、ほどよく(物事が)行われる、(雨が)ほどよく降る→雨などがしめやかに降る。静かにゆつくりと物事を行う。
ひどく湿気を帯びて不快なさま。濡れているさま。
チ・タウ→チ・ト→ジト、TI-TAU(ti=throw,cast;tau=float,lie steeping in water)、水に漬かっている→濡れている、ひどく湿気を帯びて不快なさま
水などが多量にほとばしり、流れ落ちる音。
チアチア→ジャージャー、TIATIA(persistency)、永続する→水などが多量にほとばしり、流れ落ちる音
油、魚や肉の脂身などが焼ける音。熱したものを水につけた時の音。
チウ→ジュウ、TIU(soar,sway to and fro)、(煙が)空に舞い上がる→油、魚や肉の脂身などが焼ける音。熱したものを水につけた時の音。
ゆっくりと少しづつ、力強く押し迫るさま。心が次第にいらだつさま。
油が燃えて焼ける音、太陽が強く照りつけるさま。
チリ・チリチリ→ジリジリ、TIRI(throw or place one by one,scatter)-TIRITIRI(apportion,disturb)、(1)一つづつ積み重ねる→ゆっくりと少しづつ、力強く押し迫る→太陽が強く照りつける→油が燃えて焼ける音。(2)妨害する→心が次第にいらだつ。
無遠慮にしつこく見つめるさま。
チロ・チロチロ→ジロジロ、TIRO(look)-TIROTIRO(look about)、見る−見渡す→無遠慮にしつこく見つめる
ゆっくりと少しづつ物事が進むさま。汗、涙などが少しづつにじみ出るさま。
チワ・チワチワ→ジワジワ、TIWHA(patch,appeal for assistance in war)-TIWHATIWHA(dark,gloomy in mind)、(布の破れを繕う)継布、(戦況が不利になって出す)援軍の要請−憂鬱になる→汗、涙などが少しづつにじみ出る、ゆっくりと少しづつ物事が進む
絶えず湧き出るさま。
物事の盛んなさま。仁義、信愛の厚いさま。
鳥の群がり飛ぶさま。
ひっそりと静まりかえっているさま。
寒気が身に凍みるさま。
(1)チニ→シン、TINI(very many,myriad)、(非常にたくさん)絶えず湧き出るさま、物事の盛んなさま、仁義、信愛の厚いさま、または鳥の群がり飛ぶさま。
(2)チナ→シン、TINA(fixed,firm,exhausted,overcome)、(固定した)ひっそりと静まりかえっているさま、または(圧倒された)寒気が身に凍みるさま。
病気や怪我などで、患部が絶え間なく痛むさま。
物の鳴る音や湯のたぎる音、虫の鳴き声など。
(1)074-2シンシンの(2)に同じ。チナ→シン→ジン、TINA(fixed,firm,exhausted,overcome)、(圧倒された)病気や怪我などで、患部が絶え間なく痛むさま。
(2)074-2シンシンの(1)に同じ。チニ→シン→ジン、TINI(very many,myriad)、(非常にたくさん)物の鳴る音や湯のたぎる音、虫の鳴き声など。
気持ちよく、軽やかに、滞りなく進むさま。
ツイ・ツイツイ→スイ・スイスイ(原ポリネシア語の「スイ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「ツイ」となった)、TUI(pierce,lace,sew)-TUITUI(lace,sew,fasten up)、縫う−縫い針を運ぶ→気持ちよく、軽やかに、滞りなく進むさま
滞りなく物事が進むさま。切れ味がよくて、思いのままに切れるさま。隙間のあるさま。
ツカツカ→スカスカ(原ポリネシア語の「スカスカ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「ツカツカ」となった)、TUKATUKA(start up,proceed forward)、動き出す、前進する→滞りなく物事が進む→隙間がある
滞りなく速やかに進むさま。元気に勢いよく成長するさま。ただひたむきに進んでゆくさま。
ツク・ツクツク→スクスク(原ポリネシア語の「スクスク」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「ツクツク」となった)、TUKU(let go,give up,leave,allow)-TUKUTUKU(let go)、放す、意のままにさせる→滞りなく速やかに進む、元気に勢いよく成長する、ただひたむきに進んでゆく
気落ちして元気のないさま。元気なくその場を離れるさま。
ツ(ン)ゴウ→スゴ(原ポリネシア語の「ス(ン)ゴウ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「ツ(ン)ゴウ」となり、そのNG音のN音と語尾のU音が脱落して「スゴ」となった)、TUNGOU(nod,bow)、頭を下げる→気落ちして元気がない
息せききって、急ぎ歩くさま。どんどん歩くさま。
ツアタ→スタ(「ツア」のT音がS音に変化し、A音が脱落して「ス」となった)、TUATA(early)、早く→息せききって、急ぎ歩く
滑るように、手触りの滑らかなさま。
ツペ→スベ(原ポリネシア語の「スペ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「ツペ」となり、そのP音がB音に変化して「スベ」となった)、TUPE(deprive of power,a charm for depriving one's enemies of power)、力を奪い取る→しなやかになる→手触りの滑らかなさま
静かに気持ちよく寝入つているさま。
ツ・イア→ス・ヤ(「ツ」のT音がS音に変化して「ス」となり、「イア」が「ヤ」に変化した)、TU-IA(tu=stand,beset,be established;ia=indeed)、落ち着いた→静かに気持ちよく寝入つているさま
滞りなく滑らかに、言語、動作、物事が進行するさま。
ツラハ→スラ(原ポリネシア語の「スラハ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「ツラハ」となり、語尾の「ハ」が脱落した)、TURAHA(keep clear,open,not confined)、障害(制限)がない→滞りなく滑らかに、言語、動作、物事が進行する
しまりなく物を引きずるさま。態度、様子、気持ちなどがしまりのないまま、その状態が続くさま。
ツル→ズル、TURU(fly a kite)、凧を揚げる、凧が風の吹くままに空に舞う→しまりなく物を引きずるさま
もう少しで基準、限界に達しそうな、きわどいさま。触れ合いそうなほど近いさま。
ツ・ライ→ス・レ(「ツ」のT音がS音に変化して「ス」となり、「ライ」のAI音がE音に変化して「レ」となつた)、TU-RAI(tu=stand,settle;rai=ribbed,furrowed)、(境界の)溝に立っている→もう少しで基準、限界に達しそうな、きわどいさま
物事が遅滞なく、速やかに進むさま。人が脇目もふらずに力強く進むさま。
ツ(ン)ガ→ズン(NG音がN音に変化し、「ツナ」から「ツン」となり、濁音化した)、TUNGA(send)、送る→物事が遅滞なく、速やかに進む
慌ただしくて、落ち着かないさま。せせこましいさま。こせこせしているさま。
テカ→セカ(原ポリネシア語の「セカ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「テカ」となつた)、TEKA(drive forward,urge on)、前へ追い立てる、駆り立てる→慌ただしくて、落ち着かないさま
休まず、一生懸命に行うさま。
テ・ツテ→セッセ(原ポリネシア語の「セ」、「ツセ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「テ」、「ツテ」となつた)、TE-TUTE(te=the;tute=push,a quarrelsome cock pigeon(TUTETUTE=jostle,hustle))、押し合う、ハッスルする→休まず、一生懸命に行う
嬉しさに心が浮き立つさま。
極度の緊張、感情の高ぶりなどで身の震えを覚えるさま。
恐ろしさに身の毛がよだったり、気味が悪かったり、不快だったりして、背筋がぞっとするさま。
寒くて身が牟震えるさま。
物を刻み切る音、そのさま。
タウ・ク→ト・ク→ゾク(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ゾ」となった)、TAU-KU(tau=come to rest,come over,supervene of feelings,be suitable,be comely;ku=silent,wearied,exhausted,make a low inarticulate sound)、(満足して・声が出ない)嬉しさに心が浮き立つさま、(規則的な(好ましい)・はっきりしない音を立てる)物を刻み切る音、そのさま。
ト・ク→ゾク、TO-KU(to=tingle(toto=causing a tingling sensation);ku=silent,wearied,exhausted,make a low inarticulate sound)、(ひりひり、うずうずして・極度に消耗する)極度の緊張、感情の高ぶりなどで身の震えを覚えるさま、恐ろしさに身の毛がよだったり、気味が悪かったり、不快だったりして、背筋がぞっとするさま、寒くて身が震えるさま。
さて、一体。ものの初め。起こり。
トモ→ソモ(原ポリネシア語の「ソモ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「トモ」となつた)、TOMO(enter,begin)、入る、始まる→ものの初め。起こり。
風が静かに吹くさま(古くは、風に草木がそよぐ音、きぬずれの音、物の動く気配など)。
トイ・アウ→ソヨ(原ポリネシア語の「ソイ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「トイ」となり、その語尾のI音と次のAU音が連結して「イオ」から「ヨ」となつた)、TOI-AU(toi=move quickly,trot;au=firm,intense,certainly)、実に小走りで早く動く→風が静かに吹く
動作が静かにゆるやかに行われるさま。少しづつだんだんと。
トロ・トロトロ→ソロソロ(原ポリネシア語の「ソロ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「トロ」となつた)、TORO(stretch forth,creep)-TOROTORO(put forth the hands,stir a fire,an ant)、徐々に進む、手を(そつと)伸ばす→動作が静かにゆるやかに行われる
人が大勢続いて、後について行くさま。多くの人が無秩序に集まっているさま。
トロ・トロトロ→ソロソロ(原ポリネシア語の「ソロ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「トロ」となつた)、TORO(stretch forth,creep)-TOROTORO(put forth the hands,stir a fire,an ant)、徐々に進む、蟻(のように一列になって進む)→人が大勢続いて、後について行く(090ソロソロと同じ語源)
気持ちや動作の落ち着かないさま。
トハ・トハトハ→ソハソハ・ソワソワ(原ポリネシア語の「ソハ」のS音が日本語ではそのままで、マオリ語ではT音に変化して「トハ」となつた)、TOHA(spread out)-TOHATOHA(spread abroad,distribute,disperse,scatter)、広がる-散開する→気持ちが散漫になる→気持ちや動作が落ち着かない
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タ行
ときおり、ときたま。偶然に。折りよく。
(1)タ・マタマタ→タマタマ(語尾の「タ」が脱落した)、TA-MATAMATA(ta=the;matamata=suddenly(mata=just))、正に突然に→偶然に
(2)(ハワイ語)カマ→タマ(原ポリネシア語の「タマ」のT音が日本語ではそのままで、ハワイ語ではK音に変化して「カマ」となつた)、KAMA(child,to bind,to seize)、結ぶ、捕らえる→遭遇する、縁を結ぶ→偶然に、折りよく
水などが続けさまさまにしたたり落ちるさま。
ある事柄を長くつづけざまにするさま(とくに文句、嫌みなど)。
タラ・タラタラ、TARA(loosen,separate,brisk)-TARATARA(scatter about)、解放する、撒き散らす→水などが続けさまさまにしたたり落ちる
094タラタラと同じ。その強調語。
強い光が目を刺激するさま、一般に暗い中で目立つさま。また、小さな刺激が小刻みに連続するさま。
東京方言で交通信号機の灯がせわしく点滅するさま(名古屋方言では「パカパカ」といいます。134-2パカパカの項を参照してください。)
チ・カ・チ・カ、TI(throw,scatter)-KA(take fire,be lighted,burn)-TI-KA、光りが・放射される・ことが繰り返される→強い光または断続する光が目を刺激する。
先の尖ったものなどで、小刻みに繰り返し刺すさま。その痛みを感じるさま。転じて、精神的な苦痛を与えたり、受けたりするさま。
些細なことがだんだん積み重なるさま。
チ・ヒク→チク(「ヒク」のH音が脱落し、「チ・イク」から「チク」になった)、TI-HIKU(ti=throw,cast;hiku=eaves of a house,tip of a leaf etc.,point)、とげを刺す→先の尖ったものなどで、小刻みに繰り返し刺す
小さくまとまっている、こじんまりとしているさま。
チヒ・マ→チ・マ(「ヒ」が脱落)、TIHI-MA(tihi=top,point,topknot of hair;ma=white,clean)、きれいに結い上げた頭上のまげ→小さくまとまっている
少量の液体の流れるさま。小さなものが動き回るさま。
チ・ホロ→チ・オロ→チョロ(「ホロ」のH音が脱落して「オロ」となり、「チ」の語尾のI音と「オロ」の語頭のO音が連結して「ヨ」となり、「チ・オロ」から「チョロ」となった)、TI-HORO(ti=throw,cast;horo=fall in fragments,drop off or out)、小さな粒となって落ちる→少量の液体が流れる
物が断続的に眼にうつるさま。光りが断続的に弱く光るさま。
雪や花びらなどの細かいものが飛び散るさま。
(1)チ・ラ、TI-RA(ti=throw,cast;ra=sun,sunlight)、日光が(瞬間的に)さす→物が断続的に眼にうつる
(2)チ・ヒラ→チ・ラ(「ヒラ」のH音が脱落し、「チ・イラ」から「チ・ラ」となった)、TI-HIRA(ti=throw,cast;hira=numerous,widespread)、無数に(広く)撒き散らす→雪や花びらなどの細かいものが飛び散る
犬が片足を上げ、後足で立つこと。片足跳び。陰茎(幼児語)。
湯が煮えたぎる音。金属や堅いものが発する音(市街電車の鐘の音など)。
(1)チノ→チン、TINO(essenciality,exact,quite,main)、主要な(犬の行動、躾)、本質的な(もの。男性であることを示す陰茎)→犬が片足を上げ、後足で立つこと。陰茎(幼児語)。
(2)チナ→チン、TINA(fixed,hard,satisfied,exhausted)、満足した、疲れ切った→湯が(満足して)発する音→湯が煮えたぎる音
(注) チンチン・カモカモ(男女の仲が極めて睦まじいこと)は、「チニ・チニ・カモ・カモ」、TINI(very many)-TINI-KAMO(wink frequently)-KAMO、「何回も何回も繰り返し繰り返しウインクをする(色目を使う、馴れ馴れしくする)」の転訛と解します。
ためらわないで、勢い良く動くさま。遠慮なく進みでるさま。遠慮なく物を言うさま。動作の軽率なさま。
ツカツカ、TUKATUKA(start up,proceed forward)、跳び上がる、前進する→勢い良く動く
物事を念を入れてするさま。
ツラツラ、TURATURA(molest,spiteful)、邪魔をする、意地が悪い→物事を念を入れてするさま
動きが滑らかで、滑るようであるさま。
物の状態が滑らかなさま。また、滑りやすそうであるさま。
表面がなめらかで、光沢のあるさま。
ツル、TURU(fly a kite,leak,drip)、(凧が風の吹くままに空に舞う)動きが滑らかで、滑るようであるさま、物の状態が滑らかなさま。また、滑りやすそうであるさま。
ツルア(語尾のA音が脱落して「ツル」となった)、TURUA(beautiful)、(きれいな)表面がなめらかで、光沢のあるさま。
083ズルズルに同じ。
日光の光り輝くさま。
物の表面につやがあって光っているさま。
テ・カ→デカ、TE-KA(te=the,to make an emphatic statement;ka=take fire,burn,be lighted)、((日光や火に)照らされて・光り輝く)日光の光り輝くさま、物の表面につやがあって光っているさま。
同じ調子でひたすら歩くさま。
テ・ヘイ・ク→テク(「ヘイ」のH音が脱落して「エイ」となり、「テ・エイ・ク」、「テ・エ・ク」を経て「テ・ク」となった)、TE-HEI-KU(te=emphasis;hei=go towards;ku=silent)、黙って前進する→同じ調子でひたすら歩く
いかにも大きくて目立つさま。
テカ・テカテカ→デカデカ、TEKA(false)-TEKATEKA(confounded)、(嘘で・当惑した)いかにも大きくて目立つさま。
大勢の者が荒々しい音を立てて、無遠慮に出入りしたり、動き回るさま。
太鼓などが大きな音を続けて響かせるさま。
トカ→ドカ、TOKA(overflow)、溢れる→大勢の者が荒々しい音を立てて、無遠慮に出入りしたり、動き回る
驚き、恐れ、不安、喜び、期待などで動悸がはげしく打ち続けるさま。
トキトキ→ドキドキ、TOKITOKI(all together with out exception)、すべて一斉に→鼓動が一斉に高まる→驚き、恐れ、不安、喜び、期待などで動悸がはげしく打ち続ける
酒、水、血などがさかんに流れ出たり、溢れでるさま。
ト・ク→ドク、TO-KU(to=dive,drag;ku=silent)、静かに飛び込む、静かに引き出す→酒、水、血などがさかんに流れ出る
「どこ」を重ねた語。多く漠然とした場所を指す。
ト・コ→ドコ、TO-KO(to=thy,the...of;ko=of place,at)、(その・場所(何処))漠然とした場所。
力強く地を踏んで歩く音、またそのさま。ためらわずに、または遠慮なく物事をおこなうさま。
ト・チ→ト・シ(「チ」のT音がS音に変化した)→ドシ、TO-TI(to=drag,carry the taiaha(a weapon of hard wood,about 5ft.long)at the trail;ti=throw,cast,overcome)、大きな棍棒を手に提げてあたりを睥睨しながら歩く→力強く地を踏んで歩く
水が盛んに流れるさま。大量の水が悠然と流れるさま。弁舌がよどみないさま。
広大なさま。平坦なさま。穏やかなさま。
(1)ト・ウ、トト・ウ→トウトウ、TO-U(to=wet;u=reach its limit)-TOTO-U(toto=gush forth,spring up,hold without breaking bear a strain as fibre of flax in stripping;u=reach its limit)、極限に達するまで水浸しにする、きわめて大量の水を吐き出す、ぎりぎりまで麻の繊維を切れ目なく剥ぎとる→水が盛んに流れる、弁舌がよどみないさま
(2)タウ→トウ・トウトウ(「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」となり、「トウトウ」となった)、TAU(come to rest,float,lie steeping in water,be suitable,be comely)、休む、水の上にたゆたう、快適な、ゆったりとしている→穏やかなさま→広大なさま。平坦なさま。
継続する軽い音、そのさま。現代では足早に歩く音、そのさま。
トコ・トコトコ、TOKO(pole,rod)-TOKOTOKO(rod,walking stick,walk with a stick)、柱、竿、杖、杖を突いて歩く→継続する軽い音→現代では足早に歩く音、そのさま
力無く緩慢に歩くさま。ぼんやりして、元気の無いさま。
ト・ポ→ト・ボ、TO-PO(to=drag,carry the taiaha(a weapon of hard wood,about 5ft.long)at the trail;po=consumed)、疲れ切った体で大きな棍棒を手に提げて歩く→力無く緩慢に歩く→ぼんやりして、元気の無いさま
他人数が集まり、騒ぐさま。
トイ・イア→トヤ→ドヤ、TOI-IA(toi=move quickly,trot,encourage;ia=indeed)、実に活発に動く→他人数が集まり、騒ぐさま
物が流動体・粘液状になっているさま。
トロ・トロトロ→ドロドロ、TORO(stretch forth,creep)-TOROTORO(put forth the hands,reconnoitre)、ゆつくり前進する、手を伸ばす、偵察する→物が流動体・粘液状になっているさま
二つのものの差がほとんどなく、同じくらいであるさま。
トヌ→トン、TONU(still,continually,quite,just)、連続して、正に、丁度→二つのものの差がほとんどなく、同じくらいであるさま
物事が勢い良く、順調にはかどるさま。威勢のよいさま。
太鼓を続けて打つ音、戸を強く叩く音、床を荒々しく踏みならす音など。水が烈しく音をたてるさま。
トヌ→トン→ドン、TONU(still,continually,immediately)、連続して、すぐさま(113トントンと同じ語源)→物事が勢い良く、順調にはかどるさま→太鼓を続けて打つ音など
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ナ行
中途半端で、どっちつかずのさま。事態が容易に成立しないさま。
肯定できる程度の、かなりよいさま。
(1)ナ・カ、NA-KA(na=satisfied,content,belonging to;ka=take fire,be lighted)、満足して暮らす(行動する)→肯定できる程度の、かなりよいさま
(2)ナカ、NAKA(move in a certain direction)、一定の方向に動く(成り行きに任せて動く)→中途半端で、どっちつかずのさま
水や酒など液体が容器にいっぱいに溢れるほどあるさま。
ナ・ミ、NA-MI(na=satisfied,content,belonging to;mi(Hawaii)=urine,stream)、満足した水→容器にいっぱい入った水→水や酒など液体が容器にいっぱいに溢れるほどあるさま
長いもの、幅広いものが、萎えて曲がりくねっているさま。
ナ・イオ→ナ・ヨ、NA-IO(na=belonging to;io=muscle,line)、紐のような→長いもの、幅広いものが、萎えて曲がりくねっているさま
嬉しそうに笑うさま。ものやわらかなさま。
ニコ、NIKO(form into a coil,take a turn of a rope round anything)、(顔を)丸くする→笑い顔をする→嬉しそうに笑う
声を立てないで、顔だけでうす気味悪く笑うさま。
ニヒ・タ→ニ・タ(「ニヒ」のHが脱落して「ニイ」となり、「ニ」となった)、NIHI-TA(nihi=ninihi=steep,move stealthily,sueprise;ta=dash,beat,lay,fashion)、忍び足で人を襲うような、険しくて無理に作った(笑顔)→声を立てないで、顔だけでうす気味悪く笑うさま
声を立てないで、表情だけでう笑うさま。一人で、冷ややかに、またはうす笑いを浮かべるさま。
ニヒ・イア→ニ・ヤ(「ニヒ」のH音が脱落して「ニイ」から「ニ」となり、「イア」が「ヤ」となった)、NIHI-IA(nihi=ninihi=steep,move stealthily,surprise;ia=indeed)、実に忍び足で(ゆっくりと表情を動かす)、実に険しい(笑顔)→冷ややかに、またはうす笑いを浮かべるさま(「ニヒ」は119ニタニタの「ニヒ」と同じ)
物事が次々に現れでるさま、とくに植物がいくつも生えてくるさま。
ニホ・キ→ニオ・キ→ニョキ(「ニホ」のH音が脱落して「ニオ」となり、「ニョ」となった)、NIHO-KI(niho=tooth,thorn;ki=full,very)、多数の歯、多数のとげ→多数の植物の新芽→植物がいくつも生えてくるさま、物事が次々に現れでるさま
蛇など細長いものがゆっくりとうねり進むさま。
ヌイ・イオ・ロ→ニョロ、NUI-IO-RO(nui=large,many;io=muscle,line;ro=go)、多数の細長い縄(のようなもの)が進む→蛇など細長いものがゆっくりとうねり進むさま
寒い中にあって、その身だけが暖かいさま、また気持ちよく暖かいさま。
周囲をはばからず、ずうずうしいさま。
ノ・ウ・ク→ヌク、NO-U-KU(no=of,belonging to;u=be fixed,reach its limit;ku=silent,wearied,exhausted)、極限までじっと身を潜めているような状態、極限まで疲れ切って動けないでいるような状態→寒い中にあって、その身だけが暖かいさま→周囲をはばからず、ずうずうしいさま
あつかましいさま。
ヌケ・ヌケヌケ、NUKE,NUKENUKE(crooked,humped)、曲がつた、不正直な→あつかましいさま
柔らかく滑らかなさま。
ヌイ・マイ→ヌ・メ(「ヌイ」の語尾の「イ」が脱落し、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)、NUI-MAI(nui=large,many;mai=mussels taken out of the shells)、たくさんの貝の剥き身→柔らかく滑らかなさま
柔らかくて滑りやすいさま、粘液状であるさま。
ヌイ・ララ→ヌ・ラ(「ヌイ」の語尾の「イ」が脱落し、「ララ」の反復語尾の「ラ」が脱落して「ヌ・ラ」となった)、NUI-RARA(nui=large,many,superior;rara=shoal of fish)、無数の魚の大群→柔らかくて滑りやすいさま
粘液状のものがくっついて、不快にねばつくさま。
動作や、話し方、性格などがしつこいさま。
ネイ・チ→ネ・チ(「ネイ」の語尾の「イ」が脱落した)、NEI-TI(nei=to denote proximity or continuance of action;ti=throw,cast)、何回も(行動を)仕掛け続ける→動作や、話し方、性格などがしつこいさま
柔らかくて粘り気があるさま、そういうものが粘りつくさま。
動作や、話し方がのろくて、しつこいさま。
ネイ・ト→ネ・ト(「ネイ」の語尾の「イ」が脱落した)、NEI-TO(nei=to denote proximity or continuance of action;to=wet,anoint)、油を塗り続ける(塗ったままになる)→柔らかくて粘り気があるさま
粘り気があって他の物によくくっつくさま。
声や口調などのしつこいさま。
ネイ・パ→ネ・パ(「ネイ」の語尾の「イ」が脱落した)→ネバ、NEI-PA(nei=to denote proximity or continuance of action;pa=touch,reach,strike)、くっつく(接着したままになる)→粘り気があって他の物によくくっつくさま
束縛から解放されて、気分がゆったりしているさま。
ノア・ノアノア→ノウノウ(「ノア」の語尾の「ア」が脱落して長音化した)、NOA(free from restriction,without restraint,without consideration)-NOANOA(an ancient ritual)、何の拘束もなしに、何も考えること無しに、古代の儀式(のようにしきたりに縛られずに)→束縛から解放されて、気分がゆったりしているさま
なんのこだわりもなく、のんびり歩くさま。とくに一人だけ、周囲の状況に無頓着に姿を現すさま。
ノコ、NOKO(a downstream strut of a fish weir)、魚を捕らえる筌(ウケ)の導樋(川流から水とともに魚を筌(ウケ)へ導く樋)→川流から導樋に入った魚がなすすべなく一直線に筌(ウケ)に直行するさま→なんのこだわりもなく、のんびり歩くさま
力強く、ゆっくりと歩むさま。
広く大きなさま。
(1)ノホ・チ→ノ・チ→ノシ(「ノホ」のH音が脱落して「ノ」と、「チ」が「シ」となった)、NOHO-TI(noho=sit,stay,settle;ti=throw,cast,overcome)、(大地に根を下ろすように・足を下ろす)力強く、ゆっくりと歩むさま。
(2)ノホ・オチ→ノチ→ノシ(「ノホ」のH音が脱落して「ノ」となり、その語尾のO音と「オチ」の語頭のO音が連結して「ノチ」から「ノシ」となった)、NOHO-OTI((noho=sit,stay,settle;oti=finished,gone or come for good)、(満足して・定住する)広く大きなさま。
ゆっくりと歩くさま。動作が鈍く、しゃっきりしないさま。
ナウ・タウ→ノ・ソ、NAU-TAU(nau=come,go;tau=come to rest,float,settle down)、休み休みゆったり進む→ゆっくりと歩くさま
しなければならないことをしないで何となく時を過ごすさま。転じて、恥じらいもなく平然としているさま。
ナフ・メ→ノ・メ(「ナフ」のH音が脱落して「ナウ」となり、そのAU音がO音に変化して「ノ」となった)、NAHU-ME(nahu=well executed;me=if,like,as it were)、あたかもしなければならないことをすべてきちんとしているかのように→恥じらいもなく平然としているさま(010オメオメ参照)
動きが鈍くて、ゆっくりしているさま。
ナウ・ロア→ノ・ロ、NAU-ROA(nau=come,go;roa=long,delayed)、(時間をかけて)遅く行く(来る)
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ハ行
@馬が軽やかな蹄の音を立てて歩むまたは走るさま。
A(人が)目、口などを大きく開いているさま。
B名古屋方言で交通信号機の灯がせわしく点滅するさま(東京方言では「チカチカ」を用いるのが通常です。094-2チカチカの項を参照してください。)
@、Bパカパカ、PAKAPAKA(quarrelsome)、喧嘩っぱやいさま、気短なさま→せっかちな音を立てるさま。せっかちに光りが点滅するさま。
Aパカパカ、PAKAPAKA(dry,baked,burned,dried provisions as fish or birds etc.)、(魚の干物のように)目、口などを大きく開いているさま。→靴が破れて口が開いているさまなど。
明敏で、しっかりしているさま。態度や物言いがはつきりしていて、手早く要領のよいさま。
パキ・パキパキ→ハキハキ、PAKI(slap)-PAKIPAKI(slap frequently,besiege,keep a company in line)、手を打つ-頻繁に手拍子を打つ、攻める、人を整列させる→態度や物言いがはつきりしていて、手早く要領のよいさま
135ハキハキに同じ。
魚などがしきりに口を開閉するさま。物をさかんにたべるさま。
パパ・ク→パ・ク(「パパ」の語尾の「パ」が脱落した)、PAPA-KU(papa=burst,break off suddenly or shortly;ku=silent)、黙って(しきりに口を)爆発させる→魚などがしきりに口を開閉するさま
続けざまに激しく打ち合わせる音、また、そのさま。
(連続的な音から転じて)あわただしく事を行うさま、慌てもがくさま、事がはかどるさま。
(1)パタパタ→バタバタ、PATAPATA(drip,drop as of rain,thrums)、(雨粒が落ちる音)続けざまに激しく打ち合わせる音、また、そのさま。
(2)パタパタイ→バタバタ、PATAPATAI(=patai=question,provoke,challenge,induce)、(事に挑戦する)あわただしく事を行うさま、慌てもがくさま、事がはかどるさま。
136-2バタバタに同じ。バタバタよりも軽い感じで用いられる。
しきりに目ばたきをするさま。
火の強くはぜて燃える音、碁石を打つ音、算盤を使う音など続けさまに響く鋭く小さい音。
(1)パパ・チ→パ・チ(「パパ」の語尾の「パ」が脱落した。この「パパ」は、136パクパクの「パパ」と同じ。)、PAPA-TI(papa=burst,break off suddenly or shortly;ti=throw,cast)、(しきりに目を)急に(短い時間)開ける→しきりに目ばたきをする
(2)パハハ・チ→パ・チ、PAHAHA-TI(pahaha=split open;ti=throw,cast)、隙間(裂け目)を開く→木を裂くような音を出す→火の強くはぜて燃える音、碁石を打つ音など
気をもみ、あやぶむさま。
木の葉、髪、雨、涙などが落ちたり、さがつたりするさま、またその音。
(1)ハラ、HARA(violate tapu,miss)、(してはならないタブー(禁忌)を犯す)、失敗する→気をもみ、あやぶむさま
(2)パラ・パラパラ→ハラハラ、PARA(sediment,dust)-PARAPARA(excrement,remains,scraps)、屑−残存物(枯葉、落葉)(139バラバラの(2)と同じ語源)→木の葉、髪、雨、涙など→木の葉などが落ちたり、さがつたりするさま、またその音
多数が勢い良く一斉に、あるいはつぎつぎに、立ったり動いたりするさま。
あるものが細かく分断されたり、細かくなって落ちるさま。雨などが降る音、そのさま。
(1)パラパラ、PARAPARA(the bird -catching tree)、鳥のねぐら(になっている木)→そこから鳥が飛び立つ→多数が勢い良く一斉に、あるいはつぎつぎに、立ったり動いたりするさま
(2)パラ・パラパラ→バラバラ、PARA(sediment,dust,turned to dust)-PARAPARA(excrement,remains,scraps)、細かくする−屑→あるものが細かく分断されたり、細かくなって落ちるさま(138ハラハラの(2)と同じ語源)
139バラバラに同じ。バラバラよりも軽い感じで用いられる。
こわばつた物が触れ合ったり、紙や布などを引き裂いたり、堅いものを噛み砕く音、そのさま。
物事を精力的にするさま。
(1)パパ・リ→パ・リ(「パパ」の語尾の「パ」が脱落した。この「パパ」は、136パクパクの「パパ」と同じ。)、PAPA-RI(papa=burst,break off suddenly or shortly;ri=bind,protect)、くっついているものを急に引き剥がす(この「パパ」は、136パクパクの「パパ」と同じ)→紙や布などを引き裂く→こわばつた物が触れ合ったり、紙や布などを引き裂いたり、堅いものを噛み砕く音
(2)パリ・パリパリ→バリバリ、PARI(flowing of the tide,flow over)-PARIPARI(flow frequently over)、(潮、元気が)溢れる→物事を精力的にするさま
鳥、虫、笛の音。貧乏なさま。
ピ・ピピ→ピイピイ、PI(young of birds)-PIPI(half-grown,chirp)、幼鳥-ピイピイ鳴く→鳥、虫、笛の音
光り輝くさま。
ピヒ・カ→ピ・カ(語尾の「ヒ」が脱落)、PIHI-KA(pihi=begin to grow;ka=take fire,burn)、火が勢いよく燃えて光る→光り輝くさま
身体や身体の一部が時々細かく動くさま。
ピ・ク→ヒ・ク、PI-KU(pi=young of birds;ku=wearied,exhausted)、瀕死の雛→瀕死の雛が痙攣するさま→身体や身体の一部が時々細かく動くさま
身体や身体の一部が細かく震え動くさま。
不安や恐怖などのため、絶えずおびえ恐れるさま。
ピ・ク→ビ・ク、PI-KU(pi=young of birds;ku=wearied,exhausted)、瀕死の雛→瀕死の雛が痙攣するさま→身体や身体の一部が時々細かく動くさま(143ヒクヒクと同じ語源)→不安や恐怖などのため、絶えずおびえ恐れるさま
小刻みに動くさま、特に体や体の一部などがひきつるように震え動くさま。144ビクビクの語源に同じ。
少しの隙間もなく、ぴったりと寄りつくさま。容赦なく、厳しく迫るさま。
盛んにその行為に集中するさま。
(1)ピヒ・チ→ピ・チ→ヒ・シ(「ピヒ」のH音が脱落して「ピイ」となり、P音がF音を経てH音となつて「ヒイ」から「ヒ」となり、「チ」のT音がS音に変化して、「ヒ・シ」となった)、PIHI-TI(pihi=watertight;ti=throw,cast)、水も漏らさないようにしつらえる→少しの隙間もなく、ぴったりと寄りつくさま
(2)ヒ・チ→ヒシ(「チ」のT音がS音に変化して、「ヒ・シ」となった)、HI-TI(hi=raise,catch with hook and line;ti=throw,cast)、魚を釣ることにのめり込む→盛んにその行為に集中するさま
雨の絶え間なく降るさま。すっかり濡れるさま。
(1)ピ・チオ→ビ・ショ(「ピ」が「ビ」に、「チオ」のT音がS音に変化して「ショ」となった)、PI-TIO(pi=flow of the tide,soaked;tio=sharp of cold,pinched with cold)、水に濡れて寒い→すっかり濡れるさま
(2)ピチ・アウ→ビショ(「ピチ」のP音がB音に変化し、語尾のTI音と「アウ」のAU音が変化したO音が連結して「ショ」となった)、PITI-AU(piti=add,put side by side;au=firm,intense,certainly)、次から次へと(雨が付け加わる)降る→雨の絶え間なく降るさま
水が次第に迫ってくるさま、また、その音。水が迫るように、次第に迫ってくるさま。
ヒ・タ、HI-TA(hi=raise,rise;ta=dash,beat,lay)、(水位が)高くなつて迫ってくる→水が次第に迫ってくるさま
不安や危険を感じて、危ぶみ恐れるさま。肌に冷たく感じるさま。
ヒアヒア→ヒヤヒヤ、HIA,HIAHIA(desire,wish,impulse,thought)、(無事、成功、幸運などの)願い、望み、感情→不安や危険を感じて、危ぶみ恐れるさま
風の烈しく吹くさま。物が烈しく風を切つて動くさま、その音。
ピウ→ビュウ、PIU(throw or swing as with a cord,skip with a rope)、(紐に結んだ石などを)振り回す(投げる)(ときに出る音)、縄跳びをする→風の烈しく吹くさま。物が烈しく風を切つて動くさま
細長く弱々しげに伸びているさま。足元が確かでないさま。
ヒ・イオ・ロア→ヒョロ、HI-IO-ROA(hi=raise,rise;io=muscle,line;roa=long,tall)、縄のように細くて丈が高い→細長く弱々しげに伸びているさま
身軽に飛び上がったり、飛び越えたりを繰り返すさま。
ピオニオニ→ピョン(「ピオニオニ」の反復語尾の「オニ」と語尾のI音が脱落して「ピオン」から「ピョン」となった)、PIONIONI(waggle,see-saw)、(頭、尾などを)振る、シーソーで上下する→身軽に飛び上がったり、飛び越えたりを繰り返すさま
鳥や蝶など、紙、布、葉など薄いものが空中にひるがえるさま。
ピララ→ヒラ(「ピララ」のP音がF音を経てH音に変化し、反復語尾の「ラ」が脱落して、「ヒラ」となった)、PIRARA (separated,scattered,wide apart)、撒き散らされる→紙、布、葉など薄いものが空中にひるがえるさま
細長いもの、小さいものなどが小刻みに動くさま。
皮膚や喉などが、痛みや辛みなどの刺激を感じるさま。
ヒリ、ヒヒリ、ヒリヒリ→ヒリヒリ、HIRI,HIHIRI(laborious)-HIRIHIRI(repeat charms for a variety of purposes)、熱心に励む(小刻みに動く、刺激)−まじない(刺激、痛みを取り除く)を繰り返す→小刻みに動くさま、痛みや辛みなどの刺激を感じるさま
口をすぼめて繰り返して息を強く吹くさま。
烈しく苦しそうな息づかいのさま。
フフ、ウフウフ→フウフウ、HUHU(free from TAPU)、UHUUHU(perform certain ceremonies over the bones of the dead to remove TAPU)、汚れを除去する、死者の骨を清めるために行う(息を吹きかける)儀式→口をすぼめて繰り返して息を強く吹くさま
布団などが柔らかくふくらんでいるさま。物が浮いたり、ただようさま。
(1)フカ・フカフカ、HUKA(foam,frost)-HUKAHUKA(foam,lock of hair)、泡−泡、髪の房→柔らかくふくらんでいるさま
(2)プカ→フカフカ(「プカ」のP音がF音を経てH音に変化して「フカ」となり、畳語となつた)、PUKA(spongy or honeycombed of wood)、スポンジ、多孔質の木材→柔らかくふくらんでいるさま
締まりがなく、太っていたり、膨らんでいるさま。
水中から泡などがつぎつぎに浮き上がる音、そのさま。水中に深く沈んでいく音、そのさま。
(1)プク・プクプク→ブクブク、PUKU(swelling,abdomen)-PUKUPUKU(a cutaneous eruption)、膨らみ(膨らむ)、お腹−発疹(吹き出物)→太っていたり、膨らんでいるさま
(2)プ・ク→ブクブク、PU-KU(pu=blow gently,tube,flute;ku=silent,wearied,exhausted)、(1)笛を吹く→水中から泡などがつぎつぎに浮き上がる音。(2)消耗しきった→水中に深く沈んでいく音。
多く溢れるさま。多く集まって垂れ下がるさま。
プ・タ→フ・サ(「プ」のP音がF音を経てH音に変化して「フ」となり、原ポリネシア語の「サ」が日本語ではそのまま、マオリ語ではT音に変化して「タ」となった)、PU-TA(pu=bunch,heap,stack;ta=lay,allay)、荷物が高く積み上げられている →多く溢れるさま、多く集まっているさま
炎を上げないで、くすぶっているさま。小声で不平不満などをいうさま。針、刃物などが比較的柔らかいものに突き刺さる音。
プ・ツ→ブス、PU-TU(pu=blow gently,pipe;tu=stand,be erect,be ignited)、(火吹竹を)静かに吹いて火を起こす→煙が上がり出す、炎を上げないで、くすぶっているさま→小声で不平不満などをいうさま
粒状のものが多くあるさま。
不平や、小言をいうさま。音を立てて沸騰するさま。
(1)プ・ツ→ブ・ツ、PU-TU(pu=bunch,heap,stack;tu=stand,settle)、膨らんだものがある、腫れ物が出る→粒状のものが多くあるさま
(2)プツ・プツプツ→ブツブツ、PUTU(swell,heap)-PUTUPUTU(close together,frequent)、膨れる−集まつた、頻繁に→粒状のものが多くあるさま
柔らかくて張りのないさま。頼りないさま。
プヌア→フニャ(「プヌア」のP音がF音を経てH音に変化して「フヌア」から「フニア」となり、「フニャ」となった)、PUNUA(young of birds and animals)、幼鳥、幼獣→柔らかくて張りのないさま。頼りないさま。
太りすぎて締まりのないさま。弾力性があって柔らかいさま。
プ・イオ→プ・ヨ→ブヨ、PU-IO(pu=bunch,heap,stack,very;io=muscle,line,spur,lock of hair)、盛り上がった筋肉、髪の高い房→弾力性があって柔らかいさま
物の揺れ動くさま。安定感のないさま。十分に考えないで行動するさま。決断することができなくて迷うさま。
フラ・フラフラ、HURA(uncover,discover,begin to flow)-HURAHURA(uncover,reconnoitring party)、発見する−偵察隊(があちこち動くさま)→物の揺れ動くさま、安定感のないさま、十分に考えないで行動するさま、決断することができなくて迷うさま
なすこともなく、怠惰に暮らしているさま。目的もなく、ゆっくりと歩くさま。
細長い物が、ゆるんだり折れたりして固定せずゆれ動くさま。
フラ・フラフラ→ブラブラ、HURA(uncover,discover,begin to flow)-HURAHURA(uncover,reconnoitring party)、発見する−偵察隊(があちこち動くさま)(162フラフラの語源に同じ)→なすこともなく、怠惰に暮らしているさま、目的もなく、ゆっくりと歩くさま
小刻みに震え動くさま。恐怖や緊張、寒さなどで唇やからだが震えるさま。
フル・フルフル→ブルブル、HURU(hair)-HURUHURU(coarse hair,bristles)、毛髪−髪を逆立てる→恐怖や緊張、寒さなどで唇やからだが震えるさま、小刻みに震え動くさま
弾力性に富んでいるさま。
非常に機嫌が悪いさま、不機嫌をあらわにするさま。
(1)フリ・フリフリ→プリプリ、HURI(turn round)-HURIHURI(turn over)、回転する、(弾力をもつて)反発する−反転する→弾力性に富んでいるさま
(2)プリ・プリプリ、PURI(hold in the hand)-PURIPURI(suppress the feelings)、保持する-感情を抑制する(暴力行動を慎む)→非常に機嫌が悪いさま
柔らかくふくらんでいるさま。軽いものが浮き、ただようさま。
人の心、動作が軽薄で落ち着かないさま。
プア・プアプア→フワフワ、PUA(flower,foam of the sea)-PUAPUA(break of a wave,wreath)、浪の花(泡)−砕ける波→軽いものが浮き、ただようさま→人の心、動作が軽薄で落ち着かないさま
しまりがなく、膨らんでいるさま。166フワフワの語源に同じ。
軟らかく膨らんでいるさま。軽いものが静かに揺れ動くさま。166フワフワの語源に同じ。
力が抜けて急に倒れこむさま。
ペ・タ→ヘ・タ(「ペ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヘ」となった)、PE-TA(pe=crushed,soft;ta=lay,allay)、崩れ落ちる、力を失って座り込む→力が抜けて急に倒れこむさま
物のくっつくさま、粘りつくさま。粘液状のものを濃く塗りつけるさま、紙片などをいたるところに張り付けるさま。
必要以上にまとわりつくさま。
パイ・タ→ペ・タ→ベタ(「パイ」のAI音がO音に変化して「ペ」となり、「ベ」となった)、PAI-TA(pai,papai=patch as clothes;ta=lay,allay)、(布に)継布を当てる、(皮膚に)絆創膏を貼る→物のくっつくさま、紙片などをいたるところに張り付けるさま
(1)力が抜けて急に倒れこむさま。167ヘタヘタの語源に同じ。
(2)平らな物で軽く打つ音、物のねばりつくさま、いたるところに物を貼り付けるさま、素足や草履で歩く音、足跡をつけるさま、幾つも印判を押すさま。168ベタベタの語源に同じ。
疲れがひどく、身体に力がなくなってしまうさま。
ペ・ト→ヘ・ト(「ペ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヘ」となった)、PE-TO(pe=crushed,soft;to=set as the sun)、力を失って(太陽が)沈むように座り込む→ 疲れがひどく、身体に力がなくなってしまうさま
水気を含んで粘るさま。
ペ・ト→ベト、PE-TO(pe=like;to=wet,anoint)、油を塗ったような→水気を含んで粘るさま
170ベトベトに同じ。
弱々しく形の崩れるさま。人の態度が弱々しく、腰くだけのさま。
ペ・ナ→ヘ・ナ(「ペ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヘ」となった)、PE-NA(pe=crushed,soft;na=suffix)、崩れた、軟らかくなつた→弱々しく形の崩れるさま
軽薄な調子でよくしゃべるさま。
紙や布などが薄くて弱いさま、またそれが揺れたりひるがえるさま。
(1)ペラ、PERA(like that which is unconnected with either the speaker or person spoken to)、話す人も相手も互いに相手にかまわずに話すこと→軽薄な調子でよくしゃべるさま
(2)ペ・ラ、PE-RA(pe=crushed,soft;ra=wed)、柔らかくて弱いものがくっついている→紙や布などが薄くて弱いさま
物を舐め回すさま。
ペロ・ペロペロ、PERO(dog)-PEROPERO(a call for dog)、犬−犬を呼ぶ声→(呼ばれた犬が飼い主に抱きついて)舐める→物を舐め回すさま
適度に暖かい様子。穏やかに湯気などの立つさま。
ハウカイ→ホカイ(AU音がO音に変化)→ホカ(語尾の「イ」が脱落)、HAUKAI(feast)、ご馳走→適度に暖かい様子、穏やかに湯気などの立つさま
(注) 日本語の「ほかい(足つきの容器、行器)」は、この「ハウカイ」の語が「ご馳走の容器、行器」の意に転じたものでしょう。
嬉しさを隠し切れないさま。
ホコホコ→ホクホク、HOKOHOKO(trafic,trade,exchange)、物々交換→有利なぶつぶつ交換ができて嬉しい→嬉しさを隠し切れないさま
窪みや穴がたくさんあるさま。
ポコ・ポコポコ→ボコボコ、POKO(be extinguished,beaten,hole)-POKOPOKO(lobe of the ear,extinguished,entirely consumed)、際だっている、えぐられた、穴−耳たぶ、際だっているもの→窪みや穴がたくさんあるさま
水滴や涙、木の実などの小さい物が次々におちる音、またそのさま。
ポウ・タ→ポタポタ、POU-TA(pou=pour out;ta=dash,lay,allay)、こぼれ落ちる→水滴や涙、木の実などの小さい物が次々におちる音、またそのさま
小さい点や粒が散在するさま。
雨が降り始めるさま。のんびりしているさま。
(1)ポウ・ツ→ポツポツ→ボツボツ、POU-TU(pou=pour out;tu=stand,settle)、こぼれ落ちたもの(水滴や涙など)がある→小さい点や粒が散在するさま
(2)ポツリ→ポツ→ボツ、POTURI(deaf,stubborn,slow)、ゆっくり→雨が降り始めるさま。のんびりしているさま
(178ボツボツと同じ)
液体が続けさまに落ちるさま。
ポト・ポトポト、POTO(short)-POTOPOTO(shortly)、短い→短い間隔で落ちる→液体が続けさまに落ちるさま
砕けた物や涙などの粒状の物が激しくこぼれ落ちるさま。物がひどく破れているさま。
ポロ・ポロポロ→ボロボロ、PORO(cut short,come to an end)-POROPORO(darkend,cut)、短く切る→砕けた物や涙などの粒状の物が激しくこぼれ落ちるさま
(181ボロボロと同じ)
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マ行
かなりの程度に、まずまず、一応。
(相手をなだめる時などに用いる)さしあたり、この場は、しばらく、ともかく。
(1)マハ→マア(「マハ」のH音が脱落して「マア」となった)、MAHA(gratified,satisfied,contented by the attainment of a desired object)、(成果に満足している)かなりの程度に、まずまず、一応。
(2)ママ→マーマー、MAMA(light,not heavy,unencumbered)、(軽く考えて、深刻にならないで)さしあたり、この場は、しばらく、ともかく
ひるまないで、はっきりと言ったり、見つめたり、見極めようとするさま。事に動じないさま。
決断できずにぐずぐずしているさま。
マチ・マチマチ→マジマジ、MATI(death),MATIMATI A ONE(beach of death=deep affection)、(死に臨んでの)深い感慨→ひるまないで、はっきりと言ったり、見つめたり、見極めようとするさま→決断できずにぐずぐずしているさま
何はさておき、どうやら、だいたい、まあまあ。
マハ・ツ→マ・ツ(「マハ」の語尾が脱落して「マ」となった)→マズ、MAHA-TU(maha=gratified、satisfied;tu=stand,settle)、満足している→まあまあ
更に重ねて、なおも再び。
マハ・タ→マ・タ(「マハ」の語尾が脱落して「マ」となった)、MAHA-TA(maha=many,abundance;ta=dash,beat,lay)、何回も起こる→更に重ねて、なおも再び
いまだに、その時でもなお。
更に加えて、もつと
(1)マ・アタ→マダ(「マ」の語尾のA音と「アタ」の語頭のA音が連結して「マタ」から「マダ」となった)、MA-ATA(ma=for,by means of,by way of,emphasis;ata=gently,slowly,quite,not so)、未だに
(2)185マタマタに同じ。
いかにも丸く見えるさま。
ある範囲に全面的に事柄・事態がおよぶさま。
完全にその状態であるさま。
(1)ママル→マルマル、MAMARU(sun)、太陽→(太陽のように)いかにも丸く見えるさま
(2)マル・マルマル、MARU(power,shadow,shelter,safeguard)-MARUMARU(shaded,sheltered,loom large)、力、覆い、保護するもの−保護されているもの(すべて)→ある範囲に全面的に事柄・事態がおよぶさま
(注) 「まん丸」は、「ママル」、MAMARU(sun)、「太陽」から転じたものでしょう。
見ているうちに。
ミルミル、MIRUMIRU(white-breasted North Island tit)、(敏捷に動く)小鳥→見ているうちに(位置を変える)
煙や雲などが勢いよく湧き立つさま。毛などが多く重なり合ってはえているさま。厚く柔らかくふくらんでいるさま。
うごめいたり、うごめいて起き上がるさま。
ムフ・ク→ム・ク(「ムフ」の語尾の「フ」が脱落した)、MUHU-KU(muhu=grope;ku=silent)、無言で手探りで進む→うごめいたり、うごめいて起き上がるさま→煙、雲などが湧き起こるさま
価値あるものが不用意に、あるいは無造作に失われるさまを残念に思う気持ちを込めて表す語。
ム・タ→ム・サ→ムザ、MU-TA(mu=silent;ta=dash,beat,lay)、黙ったまま打たれる(破壊される、失われる)→価値あるものが不用意に、あるいは無造作に失われるさまを残念に思う気持ち
湿気が多く、蒸し暑いさま。
マフ・チ→ム・シ(「マフ」のH音が脱落して「マウ」から「ム」となり、「チ」が「シ」に変化して「ム・シ」となった)、MAHU-TI(mahu=steamy;ti=throw,cast)、蒸気(霧、湿気)が多いところへ放り出されている→湿気が多く、蒸し暑いさま
あたりかまわず勢い込んで食べ続けるさま。
ムフ・チア→ム・シャ、MUHU-TIA(muhu=grope;tia=persistency,take a vigorous stroke in paddling)、手探りで進み続ける、力強くカヌーを漕ぐ→あたりかまわず勢い込んで食べ続けるさま
突如として押さえ切れない怒りなどの感情や思いが湧き上げるさま。
雲や煙などの立ちのぼるさま。
ムラ・ムラムラ、MURA(blaze,flame)-MURAMURA(flash)、火炎−明るく燃え輝く→雲や煙などの立ちのぼるさま→突如として押さえ切れない怒りなどの感情や思いが湧き上げるさま
声を立てないで静かに泣くさま。
勢いが衰えたり、小さくなったりするさま。
メト→メソ、METO(putrid,extinction)、腐った、消滅した→勢いが衰えたり、小さくなったりするさま→声を立てないで静かに泣くさま
(1)炎を上げてたやすく燃えるさま。
(2)布などの破れる音を表す語。
(1)マイラ(ン)ガ、MAIRANGA(raise,elevate)、(炎、感情などが)高く上がる(さま)(AI音がE音に変化し、語尾のNGA音が脱落して「メラ」となった)
(1)いくじなく、たやすく泣くさま。
(2)炎を上げてたやすく燃えるさま。めらめら。
(3)塗り物などがたやすく剥げるさま。
(4)しまりなくすっかりだめになるさま。すっかり打ちのめされるさま。
(1),(3)マエロ、MAERO(emaciated,listless,weak,drift,float)、弱い(さま)(AE音がE音に変化して「メロ」となった)(この原義から(2)の意味にも使われるようになった。)
(4)メロメロ、MELOMELO((Hawaii)club used as lure;it was smeared with bait,such as roasted alaala hee,roasted coconut flesh,or various aromatic leaves;let down in the water,it was believed to attract fish to a net)、(特別に調合された)誘引剤(媚薬)を塗った棒(に誘われて網に入る魚のように。すっかり抵抗力を無くしてふらふらと引っ張られるように動くさま。)
『日本書紀』神代下第九段、アジスキタカヒコネ神の妹下照媛の歌に「・・・片淵に網張り渡し 目ろ寄しに寄し寄り来さね 石川片淵」とあり、この「目ろ寄し」の「ろ」は接尾語で、「網の目を引き寄せるように」と通常解されていますが、この「目ろ」も上記の「メロ」であり、「(誘引剤に誘われるように)ただただ一直線に引き寄せるように」と解釈すべきです。
煙、雲などが重なり合うように盛んに湧き起こるさま。ふんわりふくらんでいるさま。
マフア・ク→モア・ク→モク(「マフア」のH音が脱落して「「マウア」となり、そのAU音がO音に変化して「モア」から「モ」となった)、MAHUA-KU(mahua=raised up,lifted;ku=silent)、静かに(煙、雲などが高くなる)湧き起こる→煙、雲などが重なり合うように盛んに湧き起こるさま
物を口にほおばったり、口を十分開けずに物を言ったり噛んだりするさま。
マウ・(ン)グ(ン)グ→モ・ググ(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となり、「(ン)グ(ン)グ」のNG音のN音が脱落して「ググ」となった)→モ・グ・モ・グ、MAU-NGUNGU(mau=food;ngungu=eat greedily)、食物を意地ぎたなく食べる→物を口にほおばったり、口を十分開けずに物を言ったり噛んだりするさま
相手に呼びかける語(もうしもうしの転)。
モウ・ウチウチ→モウチ→モシ(「モウ」の語尾のU音と「ウチウチ」の反覆語尾が脱落した「ウチ」の語頭のU音が連結して「モウチ」となり、「モウシ」から「モシ」となった)、MOU-UTIUTI(mou=for thee,for you;utiuti=annoy,worry,fuss)、(あなたにとって・お邪魔でしょうが)相手に呼びかける語
遠慮したり、恥ずかしがったり、決心がつかなかったりして、はっきりした反応を示すことができないで、落ち着かないそぶりを表す語。
モモウ・チ→モウチ→モジ(「モモウ」の反覆語頭が脱落して「モウ」となり、「モウチ」から「モシ」、「モジ」となった)、MOMOU-TI(momou=struggle,wrestle;ti=throw,cast)、(心が一つに決めかねてもがいている・さまを外にさらけ出している)遠慮したり、恥ずかしがったり、決心がつかなかったりして、はっきりした反応を示すことができないで、落ち着かないそぶりを表す。
動作や態度がはっきりせず、鈍重なさま。
マウ・タウ→モ・ソ(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となり、「タウ」のT音がS音に、AU音がO音に変化して「ソ」となった)→モゾ、MAU-TAU(mau=fixed,captured,entangled;tau=turn away,come to rest,float)、引き返すかどうか迷っている→動作や態度がはっきりせず、鈍重なさま
(注) モツモツ・タカの「モツモツ」が「モソモソ」から「モゾモゾ」に転訛した可能性も否定できません。MOTUMOTU-TAKA(motumotu=divided into isolated portions;taka=fall off,fail of fulfillment;motumotu taka=applied to a person who mishandles property in the owner's absence)、物をうっかり落として粉々に砕いた=所有者の不在中にその大切な物を壊した人→その人の困惑した態度
堅いもの、多量のものをよく喰うさま。
勢いよく事を進めるさま。勢い良く盛り上がったり、ふくらむさま。
マウ・リ→モ・リ(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)、MAU-RI(mau=food products;ri=bind)、まとまった(大量の)食物→多量のものをよく喰うさま→勢いよく事を進めるさま
ヤ行
感動した時や、ほっとした時に発する言葉。
がつかりした時、しくじつた時、あきれた時などに発する言葉。
イア・レ→ヤ・レ、IA-RE(ia=indeed;re=see!)、よく見ろ!→感動した時や、ほっとした時に発する言葉→がつかりした時、しくじつた時、あきれた時などに発する言葉
決して・・・するな、必ず・・・するな。
つとめて、精を出して。
(1)イ・ウ・マイ→ユ・メ(「イ」と「ウ」が連結して「ユ」となり、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)、I-U-MAI(i=by,by reason of;u=ua=expostulation,don't;mai=indicate direction or motion towards)、これからしようとすることはしてはならない→決して・・・するな、必ず・・・するな
(2)イ・フメ→ユ・メ(「フメ」のH音が脱落して「ウメ」となり、「イ」と「ウメ」の「ウ」が連結して「ユ」となった)、I-HUME(i=by,by reason of,with;hume=gird on,put on a girdle)、(しっかり)帯を締めて(ふんどしを締めてかかれ)→つとめて、精を出して
揺れ動くさま、揺れ動かすさま。
動作や気持ちなどがゆったりしているさま。
イ・フラ→ユラ(「フラ」のH音が脱落して「ウラ」となり、「イ」と「ウラ」の「ウ」が連結して「ユ」となった)、I-HURA(i=past tense,by,by reason of;hura=begin to flow of the tide,nervous twitching of the shoulder)、(1)潮が流れ出した→動作や気持ちなどがゆったりしているさま。(2)肩が小刻みに震えた→揺れ動くさま、揺れ動かすさま
歩く足どりがしっかりしていないさま。
イオ・タ、IO-TA(io=muscle,line,lock of hair;ta=dash,beat,lay)、筋肉が打撃を受けている(正常に動かない、やつと動いている)→歩く足どりがしっかりしていないさま
ワ行
大声を上げて泣き叫ぶさま。
大勢の人が一緒になって大声で騒ぐさま。
ワイ・ワイワイ、WHAI(follow,look for)-WHAIWHAI(chase,hunt)、追跡する−(大勢での)追跡、狩猟→大勢の人が一緒になって大声で騒ぐさま
喜び、期待、心配などで、心が落ち着かないさま。
ハク・ハクハク→ワクワク、HAKU(complain of)-HAKUHAKU(grumble at,annoy,tease)、不平を言う−不平を言う、悩む→喜び、期待、心配などで、心が落ち着かないさま
恐怖、怒り、興奮や寒さなどで、身体が激しく震えるさま。
ワナ・ワナワナ、WANA(conspicuous(WANANGA=threatening))-WANAWANA(fear,thrill,quiver,shiver)、顕著な(ワナンガ=悪い前兆)−恐怖、戦慄、震え→ 恐怖、怒り、興奮や寒さなどで、身体が激しく震えるさま
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1 平成12年8月1日
本篇をほぼ全面的に修正しました。
(改訂前のものと比較すれば一目瞭然ですが、かなりの項目の見直しを行い、ハワイ語はできるだけ避け、音韻が一致し、かつ、意味がほぼ一致するマオリ語での解釈に統一、訂正することに努めました。この結果、新発見が続出し、いささか無理があるとご批判のあった解釈をほぼ一新し、真に自信あるものとすることができたとひそかに自負しています。
本篇について貴重なご意見を寄せて頂いた皆様に厚くお礼を申し上げます。)
2 平成19年1月1日
193-2メラメラ、193-3メロメロの項を追加しました。
3 平成19年2月15日
インデックスのスタイル変更に伴い、本篇のタイトル、リンクおよび奥書のスタイルの変更、<次回予告>の削除などの修正を行ないました。本文の実質的変更はありません。
4 平成23年11月1日
094-2チカチカ、134-2パカパカの項を追加しました。
5 平成24年5月1日
006-2ウダウダ、020-2ガンガン、024-2ギラギラ、034-2クタクタ、034-3クダクダ、034-4グタグタ、034-5グダグダ、055-2ゴワゴワ、062-2サワサワ、062-3ザワザワ、074-2シンシン、074-3ジンジン、087-2ゾクゾク、101-2ツルツル、101-3ヅルヅル、101-4テカテカ、106-2ドコドコ、131-2ノシノシ、135-2パキパキ、136-2バタバタ、136-3パタパタ、139-2パラパラ、144-2ピクピク、166-2ブワブワ、166-3プワプワ、168-2ペタペタ、170-2ペトペト、182-2マアマア、185-2マダマダ、195-2モシモシおよび195-3モジモジの項を追加しました。
U R L: http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/
タイトル: 夢間草廬(むけんのこや) ポリネシア語で解く日本の地名・日本の古典・日本語の語源 作 者: 井上政行(夢間) Eメール: muken@iris.dti.ne.jp ご 注 意: 本ホームページの内容を論文等に引用される場合は、出典を明記してください。 http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/timei05.htm,date of access:05/08/01 など) このHPの内容をそのまま、または編集してファイル、電子出版または出版物として 許可なく販売することを禁じます。 Copyright(c)1998-2007 Masayuki Inoue All right reserved |