『コンセント』 | 田口ランディ | 幻冬舎 | 2000/6 | ♪:☆☆☆ | 作品紹介 | 「兄はなぜ引きこもり、生きることをやめたのか?」 |
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ひきこもりの兄が失踪して二ヶ月。 .....あるアパートの一室で、衰弱死したと思われる兄の腐乱死体が発見された。 掃除機のコンセントがささったままの状態で、何故兄は生きることをやめたのか。 死んで後はじめて自分の中で意識した、兄という存在を捜し始める。 | 感想 | ひっきー問題あわせて、マスコミで話題に | ||
ひきこもり問題なんかと合わせて、TVや雑誌などで『コンセント』が大きく取り上げられて話題になったのは、
確か今年の頭くらいだったと思います。 デビュー作にして異例の重版を重ね、何十万部を売ったとかでも話題になりました。 興味はあったのですが、なんか時流に流されて本を読むのもやだな・・・という理由と、 冒険はしないという消極的な理由で購入はしませんでした。それでもって、図書館に予約しておいて 早数ヶ月、やっと私の順番がまわってきました。ん〜人気あるんですね。 感想は....そんなに騒ぐ程の本か?という印象。 いずれ読むつもりだったので、コンセントに関する情報は極力シャットアウトして、 予備知識なしで読みました。 つまらなくもないですし、面白く読めたのも確かなのですが、なんというか・・・・。 『リング』『黒い家』が騒がれていた時に読んだのと同じ印象を受けました (『リング』は好きですが、しつこく続編を出したのはイタイけど)。 ちなみに『バトロワ』は別だと思っています。 主に女性層を中心に支持された本だと思うので、男性の私にはあわないという部分もあるのでしょうが、 村上龍さんなどが「この10年で、もっとも面白い!」とかいうわりにはなんとなく......。 まー素人考えですが。 どうも「サイコ要素」+「ホラー要素」+「自分捜し」が絡んでマスコミが騒ぐ小説って、 こういう感想多いです。私が「ホラー要素」が嫌い(怖いから(笑))ってのもあるのですが。 ネタバレの方に詳しく書きますが、取りたてて新しいことも書いてないと思うのですよ、私は。 既存のネタを組み合わせた形態。勿論、それが悪いとはいわないです。 実際新しい概念なんて滅多にでてくるものではないでしょうし、ようは読ませ方とかだとも思うし。 それでも新境地とか騒がれていたので気になります。 新境地ではないだろ。まーキャッチコピーの王道として使われてるのが実際のところだとしても。 なんだか批判的なことばかり書いてしまいましたが、作品自体は面白いのです。 一部の方が絶賛するのもわかります。・・・・辺りの考え方なんかは私も凄く共感です。 ラストは賛否両論は当然だとも思います、私は否派かな....。 長文のわりに作品の感想が少ないですが、それは私がマスコミが騒ぐ小説に対して常々疑問を 抱いている上に、狭量な心の持ち主だということで勘弁してください。 一応、他の著作にも手をつけてみようとは思ってます。 | 感想(ネタバレかつ自分勝手) | 知識という道具 | ||
なんだか否定的なことばかり書いていますが、作品自体は面白いのですよ、やっぱり。 それでも幾つか気になることが...... まずは、幾つかの雑誌の書評でいわれていた新しいとかいうことについて。 私は、ひきこもり問題を扱った癒し系ストーリーかと思って読み始めたのですが、 内容はサイコ系です。サイコ系というか電波系とでもいうのか.....。 この手の概念を知らない人が読めば全く新しい印象と供に衝撃を受けるのでしょうが、 電波もアカシックレコードも、今やコンビニで売ってそうなまでにありふれたネタなのに、多 くの雑誌などでその辺りで何故騒がれているのかが、正直いえば気になる、いえ気に入らないのです。 「Windowsで動く精神にトラウマは適用できるが、Macで動く精神には適用できない、 それと、最近はそれ以外のOSで動くやつもいる」とかの表現が絶賛されてたりもしましたが 、とりたてて新しい考えではないでしょう。 ラストに関して「新しいシャーマン」ということも、新しくはないでしょう。聖娼という 考え方はキリスト教が普及する以前のバビロニアの女神イシュタルの例を出せば納得 なんで。 性によって心を癒し繋げる、「コンセント」と「プラグ」という考え方がなんで今更 あちこちで絶賛されてるのかどーも理解できない、私には。 そりゃ「・・・の概念を内包させて女性的見地から描く云々...」とか書くよりは、 売るためには仕方ないにしてもちょっと疑問も感じますよ、正直。 これはさらに個人的なことなのですが、 『コンセント』で新しいといわれてる概念の一つに 人間をOS(ソフト)に例えたり、世界をホストコンピューターに例えたりがあると思います。 ・・・全体的な内容や主旨は全く違うのですが、細部になんだか..... 私の大好きなアニメーション作品 『serial experimets lain』というのに似た部分があるのが気になる。初出はこっちが先。 踏み切りで立つ死んだ筈の兄に「お兄ちゃん?」「お兄ちゃんなの」「お兄ちゃん」と声をかけて消える場面、 その後、何度も繰り返し出てくる踏みきりで自殺する場面。 世界がホスト、人はOS。 まーこの辺りはありがちなんだとしても、 世界の仕組みがわかったと叫んで倒れた後の病院でのセリフ廻しとかも知ってる人がみれば凄く似てます。 「律子は言ったじゃない、この世界にはホストコンピュータがあって、全ての記憶が保存されている。 だからそこにアクセスできれば、どんな記憶も...(中略)... この世界はね、細かい周波数によって分類されてるんだ。全てのものがデーター化されてる。 意識も物体も..」とか「ううん、なんとなくわかっちゃった」とか。 勿論物語の内容自体全然違うのですが、なんとなく似てる部分あるんですよね....... 別にパクッタというつもりはないですし、そもそも『lain』自体が色んな作品をNETに絡めて統合した 作品だともいえるし(シーンをそのままってのもあるし(^^;) 著者が『lain』を見ていたのかな?とも思ったのですが、 後書きには何も書いてない。これは死者と踊ったダンスだと書いてある。 一種のシンクロニシティというものは実際ありますから、偶然でしょうし、内容は似ても似つきません。 .....それでも、前述した作品にあまりにも思い入れがあり過ぎる為に、私はどうしても気になってしまいました。 ...こうして私が邪推してしまうも、ライフワークともいうべき習性でDNAのせいなんでしょーがないです。 長々と自分勝手で手前な感想を、相も変わらず書いてしました。 最後に記述しますが、この作品は私は嫌いじゃないです。他の著作もおりをみて読んでみようと思いましたし。 逆にいえば、1冊の本を読んで思うことが多い、ってことは同時にその作品の魅力の一つだとも思います。 さて、他の作品を予約しにいくか...次は何時くるだろうか。 | KeyWord:国貞篤男 | いい男(笑) | ||
「生きられなかった人間が死ぬのは誰のせいでもない。 運命だったのかも知れない。わからない。本人以外は誰もね。 兄さんはもう死んでいる。 だから兄さんの死の意味は永遠に謎だ。君にはそれを解き明かすことはできない。 もちろん解き明かすことに挑戦するのはあなたの勝手だ。でも答えは永遠にでない。 なぜなら、あなたはあなたであって、あなたの兄さんではないからだ。 あなたが抱えている問題、それはあなたの問題あなたの疑問なのだ。 そのことを、しっかりと自分に引き寄せないと、自分を見失うかもしれないよ。 もちろん、自分なんてのは見失ってみて初めて見つかったりもするものだけれどね」 「あらゆる刺激を自発的にシャットアウトすることだ。 刺激がなくなると自我と世界の境界がなくない、世界と自分は一つになる。 ハタから見れば自閉だが、本人にとっては内的世界との完全な融合だ」 | KeyWord:朝倉ユキ | んー苦手な女性像です | ||
「エロチックなエネルギーを注ぎ込むことが一番即効性がある」 「人間の感情が嫌いだ」 | KeyWord:本田律子 | こっちのが理解できるな | ||
「人間の心は自分で自分を癒すことができる。その能力がある。 カウンセラーという職業が蔓延したら、 人の手を借りないと自分を癒せないと思い込む人がもっと増えてしまう。 お節介サービス業に頼りすぎると人間は滅びるよ」 |
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