変圧器で絶縁と変圧をするため、変圧器にかける電圧は交流でなければなりません。
でもそれは、コンセントの電気でおなじみの正弦波以外でもいいのです。
実のところ理想としては正弦波で変圧/伝達したいのですが、いちばん簡単で原理をつかみやすいので、ほとんどの場合非対称矩形波です。
非対称矩形波の抱える意味を、フライバックコンバータの波形で解説しましょう。
まず一番最初に思い出してほしいのは、コイル、トランスが飽和しない最低限の条件は、電圧・時間積の均衡です。
入力側のスイッチ素子(FET)がオンしているとき、トランスには入力電圧と同じ電圧がかかります。それを数μ秒かけてトランスにエネルギーを預けます。
入力側スイッチ素子がオフになると、今までの電流を維持しようとする効果で出力側へ電流が流れます。そのときのトランスの電圧は、出力電圧と同じ電圧に整えられます。
なので非対称矩形波であるトランスの電圧には、入力電圧の要素と出力電圧の要素が交互に現れている。
ということになります。
フォワードコンバータのトランスでは、入力側スイッチ素子オフ期間の電圧は単に励磁エネルギをリセットするための電圧が発生します。
電圧・時間積の均衡を示す入力電圧と出力電圧を映した波形は、変圧/伝達トランスではなく出力平滑用チョークコイルの電圧として現れます。
なのでチョークコイルの電圧波形からも、入出力電圧を推測することができます。
そのため変圧器に正弦波交流をかけなくとも充分に実用となる絶縁/変圧が実現できているのです。