フロント周りの交換


様々な改造を施し、様になってきた我がRZV。しかし「おお、やってるな」と万人に言わせるには足りない改造があった、それがフロント周り。


1. 出物に遭遇

テイスト・オブ・フリーランス(絶版車好きは是非行くべし!)のフリーマーケットに行った時のこと。何にも無いだろなぁ、とぶらぶら回っていると、”FZR400RR用F周り一式3万円”とあった。こ、これはぁ!普通F周り一式なんて言うと5万は平気でする。それがこの値段。一緒に行った後輩に金を借りて購入。「アップハン用のステムいる?タダであげるけど」と言われ、いらないけどタダならいいかと貰ってきが、後でこれが重要な意味を持ってくるとはその時は知る由もなかった。

2. 装着作業

唯一の欠品であったハンドルを解体屋でGETし、装着作業開始。

アクセル、クラッチブレーキ関係の部品とハンドルを外す。何度もやった作業なので簡単簡単。本来ならこの次はキャリパーを外しホイールを外すという順序なのだろうけれど、横着して少し高めにジャッキアップしてステムごと下にごっそりと抜いてしまう。

そしてお待ちかねFZRのF周りを挿入しようとすると、オイルタンクとラジエータリザーバタンクにアンダーステムが当たって入らない!パズルの様に部品が詰め込まれたRZVの弱点が顔を出したのだ。仕方がないのでオイルタンクをずらしラジエータリザーバタンクを取り外した。まぁこれは後で代わりの物を付ける事にしてと。今度は何も干渉することなくはまった。

さぁてステムナットを締めますかね、が!なんとステムシャフトが短くてナットがネジ山に噛まない!海外のHPに書いてあったのでボルトオンと思っていただけにショックはかなりでかい。はぁ、どうしよう。とりあえずどれだけ足りないか計ってみるか。都合のいいことにもう1setステムあるし、とRZV用とFZR用ステム(アップハン用クランプの付いたもの)を見比べてみると同じ位の長さ。じゃあなんで今付いているのは短いの?もしかして、と外して比べてみると長さが違う!どうやらどちらかが(あるいは両方)のステムシャフトが打ち換えられていたようだ。そうと分かればアップハン用として貰ったきた方のアンダーステムと交換。おお、長さも丁度いいぞ!いやぁ何でも貰っとくもんだね。

早速ステムナットを締めるが、ここの締め具合は重要。元ヨシムラで現アサカワスピードの浅川さんも「ガタが出ない程度に緩く」と言っている。バイクというのはセルフステアが重要なので、それを阻害するステムの締めすぎはイカンらしい。その言葉に従い組み付ける。後はハンドル、トップブリッジ(キーシリンダーは全く問題なく付いた)、レバー類を取り付け左右のフォークの取り付け位置を確認し作業終了。

まずは逞しい前足を手に入れたその勇姿を眺める。かっちょいいトップブリッジの下に付いたセパハンがレーシーでいいねぇ、思わずウットリ。フォーク長が短いので結構前下がりになっている。格好いいけどおかげでサイドスタンド掛けてもほとんど寝ない。またハンドルの切れ角がかなり狭くなりハンドルロックが掛かる所まで切ることが出来ない。何とかしないといけないけれど後は試乗してから考えることにした。乗って全然だめなら元に戻すので(バイクは乗って楽しくてナンボ!)解決する必要も無くなるからね。

3. ドキドキの試乗、そして

ホイールやオフセット、車高等々走りにかなり影響のある部分が一度に変わったのでちゃんと走るか心配だった。実際に走ってみるとハンドルが重い。ステムナットを締めすぎたか?しかしこれ以外に問題は特に無かった。ハンドル切れ角がかなり減ったので狭い所や取り回しが辛くなったけど。

早速家に戻りステムナットを調整(緩める)、が更に症状はひどくなった。こんなはずでは・・・。しかも今度はブレーキングの度にブレるし、乗れば乗るほど悪化する。試しにステムベアリングをグリスアップしてみても事態は変わらず。原因を考えてみるとハンドルが重いのはステムの締めすぎ、ブレるのは緩すぎ。でもこれじゃ矛盾している。何故だ?試してない事は無いか。そうだ!ステムナットを締めるのをやっていないじゃないか。押してだめなら引いてみな、と締め込んでみるとハンドルの重さが解消、これだったのだ!後はブレが収まるまで締め込む。

やったぜぇと走り回っていると、またブレだしてきた。何らかの理由でステムナットが緩んでしまうらしい。ここはダブルナットになっているのだが、RZVのステムを外す時上に付いているナットにほとんどトルクが掛かっていなかったので同じ様(つまり手で締めた程度)に締めた。物理的にはその上をトッププリッジがピッタリ付いているはずなので緩むはずない(ナットなので緩むと上にずれる、しかし上にずれることは出来ないので緩むことはない)のでおかしいなぁと思って覗いてみると2~3mm隙間があるではないか!トップブリッジはステムシャフトに限界まで入っているのでシャフトが僅かに長いことになる。緩まないようにするのはダブルナットを工具を使ってキッチリ締めればOKだけど、隙間があるというのは機能的にも見た目にもまずい。やっぱり打ち換えが必要かぁ。

4. 改善策

ステムシャフトの打ち換えを考えつつも、VF1000Rを衝動買いしたり引っ越したりしたので、しばらく何もしていなかったがいい加減なんとかしようという気になった来た。  

打ち換えは面倒かつ金も掛かるので隙間にワッシャでも入れようと思いホームセンターを探してみるがそんな大きなワッシャなんて売っていない。それならば純正部品の適当な物を使おうとFZR400RRのパーツリストを眺めているとトップブリッジ直下に妙に厚さがあるように書かれているワッシャの絵が書かれている。「このワッシャは付いていなかったけれどあの隙間を埋めるほど厚くはないよなぁ」と思いつつも発注、届いてみるとゴム製で結構厚い。これはいけそうだ!と組み付けるとピッタリ。組む前にパーツリストは眺めとくもんだねと反省しつつ、安く済んだので安心したのであった。
ステムナットの間にある黒いのが問題のワッシャ。素材はゴム。フラットでないトップブリッジの形状も分かる

5. さらにディープな世界へ

問題なしだぜーと走り回っていたが、やっぱりどうにもハンドルが重いしブレーキ時にガタつく。ステムナットは前にチェックしたから、これはベアリングがイカレているようだ。どうしようと思っていると左フォークからオイルもれが発生。もうこうなったらやっちゃる!と半分ヤケになり自分でF周りフルオーバーホール。組み上がり乗ってみると「ファンタスティック!」ハンドル軽いしフォークもいい感じ。もう何でも来いだね。特殊工具も買っちゃったし。

6. さらなる改善

問題なく乗れてはいたが、気になることが無くなった訳ではなかった。それはフォーク長がノーマルより短いことにより、前下がりになっていること。前下がりな見た目は何となくレーシーではあるが、純正の計算し尽くされたはずのディメンジョンを変更するのはどうにもいやだったし、サイドスタンドをかけてもほとんど車体が傾かないので駐車時に 気を使うこともその理由の一つ。

でフォークの延長を考えると、互換性のある長いインナーチューブに交換という方法と、延長Kit装着という2つの方法があった。しかしインナーチューブ交換の方は互換性のある物の情報が無かったし、何よりあっても値段的に高くつくので却下。延長Kitで行こうとなった訳だけれどFZR400RR用なんてものを出している所なんて存在しない。あるものといえば、XJR1200用・・・ん?もしかして、とパーツリストを調べてみると初期型XJR1200のフォークキャップとFZR400RRのフォークキャップは同じパーツだった!さすがヤマハ!早速その延長Kitをウイニングランより購入。アジャスターなしの50mmのもの、値段は12000円也。現物を見てみるとかなり出来が良い。早速組んでみる。隙間などもなくきっちりと付き外観もなかなか。サイドスタンドを掛けてもしっかり傾くようになり気を使うこともなくなって文句なしに満足。
もう一点、話にならないほど少ないハンドル切れ角を改善するべく、ハンドルストッパーをリューターにて加工。これでかなりハンドルが切れるようになり街中で気を使うことも減った。なんせ加工前は車並に小回りがきかなかったのだ。本音を言えばハンドルロックが使用できる所まで切れるようにしたかったが、これ以上切れるようにするとトップブリッジがタンクに当たりそうだったので諦めざるをえなかった。もしかするとギリギリ大丈夫かもしれないけれども。

7. 落とし穴

その後、とりあえず問題無く乗っていたが、どうもハンドルのがたつきがでる。ステムナットが緩んでいるのか、と締め込むと直る。しかしまた発生、おかしい。注意深く確認するとナットとトップブリッジの間が広がっている=ステムシャフトの長さが変わっている!原因が分からずショップに持ち込み診てもらうと、ステムシャフトが固定されていない!シャフトを打ち換えた時に、いい加減な圧入をした為だろうとのこと。当然そんな状態では乗れないので、長さを調整し溶接固定をして貰った。

修理後は今までは嘘のように軽くハンドルは切れるし、ブレーキングしてもビクともしない。こうして取り付けに関する問題は解決された。しかし、セッティングはまだまだ詰める必要が。そうそう、最後になりましたが、ローターが大きくなった(300mm)のでブレーキは以前(267mm+4ポッドキャリパー)とは比べ物にならない程ブレーキが効くようになったのでした。

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