品川のKさんが測定された SUT-100(FE88ES-R)の周波数特性(F特)を拝見する機会がありました。
測定方法などは、次の通りです。
My Speaker という自作スピーカー測定プログラム(シェアエェア)を使用。
パソコンのサウンドカードから出力した信号をアンプ(Panasonic:
SA-XR50)に送ってスピーカー(SUT-100)を鳴らし、その正面に設置(距離100cm、高さ80cm)したマイク(Behringer:
ECM8000)で採音、サウンドカードに戻す。
さて、そのF特です。
次は、見慣れた1/3オクターブ巾の測定結果です。
Kさんは同じ部屋で、D-58ES(フィンランドバーチ)のF特も測定されていました。
ただし、アンプは実売価格3万円のフルデジタルでなく、セパレート
(プリ: SATRI
PRE-7610、パワー: Ayre
V-5x)。
同様に、1/3オクターブ巾。
札幌のKさん、杉並の
Shuksさんのように、D-55を使っていた方がSUT-100を作られていることを考えると、同じ部屋でD-58ESとSUT-100のF特が測られても、まあ、そういうこともあるかと、驚きません。
ところが、品川のKさんは、B&Wの
Signature 800 のF特も測っていました
(アンプはD-58ESのときと同じセパレート)。
以上のスペクトルを見て、何を感じるかは、人により様々でしょうが、Kさんと交わした会話を要約しましょう。
1.SUT-100:
80Hz付近のモチアガリの原因は不明、このモチアガリに関連してか、
低音がややボンつき気味(これはアドバイスで、後日、解消したと)。
3万円のアンプでのドライブにしては、低域をよく頑張っている。
D-58ES、Signature 800と比較しても、全体として、驚異的に素直な特性
(長岡先生が見たら絶句されるのでは、と、Kさん)。
2.D-58ES:
50Hz、100Hz付近のディップはハコの特性か。
500Hz付近のヘコミと1KHz~4KHzのモチアガリはユニットの特性
(FE208ESの取説にあるF特を参照)。
3.Signature 800:
4Kz付近のヘコミはB&Wのオト作り
(発売中のステサン156号P131にある 800Dの特性もそこがヘコンでいる)。
70Hz付近のモチアガリは、多くの市販SPのオト作りにも見られる
(ステサン155号、156号に特集された多数の市販SPの測定データを参照)。
ところで、上のスペクトルが測定された日付を見て、KさんのSPの数奇な変遷
(とその理由)に興味をもたれた方もいらっしゃるでしょう。
Kさんがオーディオに強く関心を持ったのが5年前、そして、最初に製作したのが
「ローエンドは30Hzまでハイレベルで再生、BHとしては初の快挙だ」
との、製作記事にも誘惑されたD-58ES(これは、よくある話)。
意外な低音不足に悩んで、サブウーファーの導入を検討(これも、よく聞く話)。
ところが、
「SWでは、オト的には整うが、原ソフトの音楽性は損なわれる」
との、某ショップの信頼するアドバイザーの言葉もあって、Signature 800を導入
(これは、珍しい)。
D-58ESは弟さんにプレゼント。
ところが、
不幸にも、実家が新潟県中越大震災(2004/10/23)に遭遇。
そこで、
手持ちの動産に加えて、オーディオシステムを売却し(約300万円になったとか)、
実家を支援(これは、さらに稀有で貴重)。
かくして、
次のメールを頂きました(2005/02/21)。
なお、これまで、同様のメールを幾人かの方から頂き、その方々の要望に応えて
「SUT-100の組み立てキット(音道調節板を含む)」を提供してきました。
カット加工などの委託先は[ミューズの方舟]のコンテストで、総合賞を連覇された山越さんの
山越木工房(旧:高原木工所)です。
さて、その約半年後、Kさんからお招き頂きました(2005/09/23)。
サーロジックのカウンセルも受けられ、残響が調整された部屋に収まっているSUT-100。
上段にあるのは、自作されたDACとその独立電源。
中段には、フルデジタルアンプ(Kさんの精悍な顔の半分が映っています)。
その下は、2万円で買った中古のトランスポート(TEAC P-700)。
「H/Pでのハナシと違う、と、お叱りを受けるのかと、首を洗って参りました」
「いえいえ、その逆、大満足です。値段は前のシステムの十分の一もしませんが、中高域は、全然、遜色ありません」
[ミューズの方舟]主催の
サウンドフェスティバル(10月30日)で、
「2ちゃんねるで話題沸騰のパナソニック SA-XRシリーズ」とSUT-100 のコンビで鳴る、緻密で透明感の高いオトをお楽しみ頂ける予定です。
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「ミューズの方舟」の10月定例会は、23日(日)午後2時から
東京都中小企業振興公社 第3会議室B