親愛なるドクター
彼の症状はずいぶん進行したようです。痛みを堪えるために、彼が消費する薬の量は見るのが恐ろしいほどです。
どうしても我慢できないときのために、モルヒネの錠剤を少しばかり手に入れました。どこで、と言うのは内緒ですが。
僕たちはいいとしても、相手に迷惑がかかるかもしれませんから。
驚くのは、そうした薬を手に入れるのが思っていたよりはるかに簡単だ、と言うことです。僕が言うことでもないですけど。
トムはこの間はテレビを見ている時、突然昏倒しました。
幸いすぐに気がつきましたが、次は目を覚まさないのではないかと恐れています。
本当は、彼を病院に連れていきたい。逮捕されることになっても、適切な治療を受けさせて、可能な限り彼に生きていて欲しいと思っています。
でも、彼は僕から引き離されれば、結局生きてはいられない──そう書いても、あなたなら僕を自惚れ屋だと笑いはしないでしょう──から、考えても無駄なことです。
……正直に言えば、離れていられないのは、僕の方も同じなのかも知れません。その気になれば、彼を騙してでも医者に見せられるのに、もしかするとそのほうが彼のためかも知れないのに、どうしてもそうする気にはなれずにいます。
彼が、僕の裏切りに傷ついたり、僕のいないところで僕を探したりするだろうことを想像すると、とても耐えられません。
僕たちは、心臓がひとつしかない結合双生児みたいだと思うことがあります。相手がいなくては生きていられない。
あなたなら、こんな状態を何か適切な言葉で表現することができるのかもしれませんね。
──トミーが笑いながら僕を揺すって邪魔しています。僕を手紙にとられると思っているんでしょう。
ドクター宛の手紙だよ、と言うと、ちょっとだけ大人しくなりました。
彼もあなたには感謝しているようです。もちろん、僕も。
ドクターの存在にはどれだけ助けられたことか。こうして一方的にであれ、話を聞いてもらえる相手がいる、というのは心の支えになるものですね。
もしかすると、次の手紙が最後になるかもしれません。
たとえそうだとしても、僕たちはどちらも自分を不幸だと感じてはいませんから、心配しないでください。
感謝をこめて。
クレイ
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