「イチゴ狩り・その後」
「あれっ・・・またイチゴ?」 フランソワーズがギルモア邸に帰ってくると、なぜかリビングにはジョーがいた。 「ジョー?どうしたの?今日、来るって言ってなかったわよね?」 腕に抱えたイチゴのパック。それを落とさないように、動揺を悟られないように。 「・・・言わなくちゃ来てはいけないかい?」 新聞の影からフランソワーズをちらりと見つめ、ジョーはそれを畳んで立ち上がった。 「この前行ったのに、また行ったんだ?――イチゴ狩り」 ジョーが近付いてくると、思わず身体を退いてしまう。 「・・・もしかしてきみ、僕を避けてる?」 そのわりには、二人の距離は縮まらない。一定の間隔を保っている。 「ふうん・・・。もしかして、僕が怖い?」 フランソワーズの声が裏返る。 「そそそそんなことはっ・・・」 頬を真っ赤に染めて一生懸命な顔で言うけれども、身体はやはり退いてしまう。 「――フランソワーズ?」 ジョーの手が伸ばされる。と、その瞬間、ジョーに向かってイチゴが飛んできた。 「知らないっ。ジョーの意地悪っ!!」 床に散らばるイチゴ。それに埋もれ、ただきょとんと目を丸くしているジョーだけが残された。 「・・・いったい、何だ?」 |