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「馬鹿ッ!君はどうしてそう無茶するんだっ!!」 怒鳴られたのは、セットした起爆装置が爆発したのを背後に見てからしばらくしたあと。 「――ごめんなさい」 「いきなり姿が見えなくなって。僕が行かなかったら今頃どうなって」 睨むように見つめられ、いたたまれず視線を外す。 「――フランソワーズ!いいか、君は――」 始まった。 君は女の子なんだから。 君は子供なんだから。 だからもっと僕に頼れ。仲間に頼れ。 ひとりで無茶をするな。 ・・・ わかってる。 わかりすぎてて――今は聞く気力も何もなかった。 だから、ナインの顔は見ないまま、いつものお説教を聞き流すつもりだった。 けれど。 「――君は、可愛い女の子なんだ。」 ――えっ? いつもと違う言葉に思わずナインの顔を見てしまう。 「なのに、どうして自分から可愛くあることを捨てるんだ?可愛い女の子がそれを放棄するのは罪だ。可愛くしていないということはただの怠慢で義務規定違反以外の何者でもない!」 そう言って、そうっと私の左頬に手をあてる。 「――痛かっただろう?」 そう言うと、急に泣きそうな顔になった。 「馬鹿っ。可愛くしてろ、って言っただろう?――ったく、何を聞いてたんだっ」 怒られた。 「――ごめんなさい」 そう。 ・・・だけど。 そうっと手を伸ばして、そして・・・私の頬に触れているジョーの手に触れた。 「――ええ。痛かったわ。とっても」 私を見つめるジョーの姿が滲んでゆく。 怖かったこと。 すごく すごく 怖かったこと。
私に触れているジョーの手が震えていたことは・・・誰にも言わない。
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