
08:レイヴ会場、前日
キーパー:さて、どうしましょう?
英司:(川口の自宅からは)撤収した。えー、「二日後に教会で」。
流石:教会に油をまいておいて、入ってきたところに火をつける。一番確実な手段だと思うけどね。
和堂:つか、誰が入ってくるか分からないんだよね?
英司:今でもあっちこっちで(ビデオを)見せてるんだよね?
次郎:多分二日前の晩に、何人かの人間が見せられたんじゃないですか? どれくらいの規模かは分からないですけど。
流石:それにつき合わされたんだね。それで記憶が飛んだわけだ。
英司:そゆこと。
次郎:「中沢君は、ここに行くの?」
キーパー:「くそぅ、川口の奴、許せねぇ。後のことはお任せします」と言って彼も退場しました(笑)。メンドクサイので。
一同:(笑)
和堂:で、どーすんの? 俺たちは。何をするのが目的なのか?
キーパー:英司の記憶を取り戻すのが目的ですよ(笑)
流石:俺らも(ビデオを)見ちゃったから、行くとヤバイんじゃないかという気もするんだけど。
次郎:全てを見たって訳じゃないんだけど。
英司:俺は全部見たっぽいから。
次郎:束ちゃんだけは立派なアイツになって、俺らはさっきの子供みたいな感じになるんじゃないかな。
流石:あれ? でもおかしいな? ビデオは1本しかないんだから上映会は開けないんじゃ?
次郎:だからオリジナルのフィルムでやるってことだろ。
英司:うん。
流石:ちゃうちゃう。今は広められていないっていう話。
次郎:分かんないよ。だから、束ちゃんが見たと思われる時にどれだけの規模でどれだけの人間が見たか分かんないじゃん。
英司:日本武道館で16万人集めて見たかもしれない(笑)
次郎:スマップのコンサートの後ろで、オーロラビジョンで実はこの映像が流れていたかも知れないじゃん。
一同:(爆笑)
流石:その教会は全然使われてないの?
キーパー:廃教会。
次郎:今のところ廃墟と化しているっていう事ですね。
英司:レイヴやるんだったら準備するよねぇ?
次郎:当然表に情報がオープンにされているってことはないんでしょ?
キーパー:そうですね。では夜がチュンチュンと明けて。
次郎:さてどーするよっていう話になるんだけど、オリジナルのフィルムを破棄出来れば……。
和堂:もう一度確認するけど、上映会を阻止することが目的じゃないよね? 目的なの?
次郎:目的ですよね?
英司:うん。だって、そうしないと俺がこんな(※ビデオの中の怪物)になっちゃって大変だよ。
和堂:見なければ良いんでしょ? 行かなきゃ良いじゃん。
加治:行かなきゃ良いっていうのが、本当に行かなきゃ良いで済むっていうのも分からない。
流石:そうだね。行かなきゃ良いっていう確証はないよね。
次郎:確証がないっていうか、普通に考えた場合に、これ(無頭の怪物)がいっぱい出てくるわけでしょ? やばくね?
和堂:行かなけりゃいいと思うんだけど、行かなくて済むかどうか分かんないってこと?
次郎:ビデオを全編通して見てなきゃ良いのか、部分的にでも見てたらマズイのかってことがまず分からない。その危険性も俺らが行かなきゃ回避できるんですけど……。
英司:俺はとりあえず、行くわ。
和堂:あとは、上映会を阻止するっていう事を考えるんだったら、川口がフィルムを教会に持っていく前に押さえちゃうっていう手はあるよね。
加治:とりあえず、行く行かないの判断の前に1日あるんだし、教会下見してこない? 教会の下見はやっておいてしくはないと思う。
和堂:ちなみに、朝になって川口家の銃声は事件になってるの?
キーパー:なってません。面倒だから。あの町内でたまたま花火大会あったことにしましょう。だから近所の人が銃声に気付かなかった。大線香花火大会があったということで。
英司:パーンパーンという線香花火で……危険なんだよ(笑)
キーパー:凄い死傷者が出たらしいですね。
英司:ゴォォォーとかいう線香花火で(笑)
キーパー:三尺玉とかなんですよ。
一同:(爆笑)
次郎:みんな頭が吹き飛んでこんな(※無頭の怪物のモノマネ)感じで(笑)
和堂:じゃ、教会行ってみる?
キーパー:基本的には教会にはもう電気は通ってないんですけど、ツーっと電線から引かれています。中に入ってみると、結構な人数の人が働いています。設営してます。でっけぇスピーカーとか。
和堂:真ん中で川口が指示してます。「ハイ、そこー!」みたいな。いた、いた。あれ、あれ。あれ川口じゃね? みたいな(笑)。準備している人たちはどんな奴ら? 「赤薔薇の従業員」みたいな?
キーパー:いや、そうじゃなくて、業者さん。
流石:「おい、誰に話し通してここでこんな事してんだ!?」
次郎:いやいやいや、お前ヤクザか?(笑)
和堂:「このイベントの主催者って誰なの?」
キーパー:「いや、俺らは下請けなんで知らないっスけど。(依頼料は)前金で支払われてるし」
英司:「お疲れさん。現場監督いる?」
キーパー:「どうも、現場監督です」
英司:「ここの発注主さんて、今何処にいるか分かる?」
キーパー:「いや、向こうからしか連絡してこないんで……」
英司:「ああ、そうなんだ」
和堂:勝手にやられちゃ困るんだよオラー、みたいなそういう話で。
流石:そうそう。「何やってんじゃ、コラ!」
英司:「まあまあまあ。こっちも穏やかに話がしたいからさ。連絡取るだけでいいんだわ。向こうからしか連絡してこないって言っても、こっちから一切連絡手段ないわけ?」
キーパー:「そうなんスよ。つーか、会った事もないッス」
英司:「え? あ、そう。じゃ、これ(レイヴ)、何時やるの?」
キーパー:「設営は明日までにやっとけっていう話っス」
英司:「こっち(会場)に来たりしないの?」
キーパー:「どうかなぁ、そこまでは聞いてないっス。でも出演者さんたちには、みんな根回しが利いているらしいので」
英司:「ふ~ん。リハとかないよね?」
キーパー:「ないんじゃないかなぁ」
流石:「何やるんだい?」
キーパー:「いや、レイヴ」
加治:「何かフィルムの上映をやるっていう話を聞いてきたんだけど」
キーパー:「それはどうかな、スクリーンがないからなぁ」
和堂:「映写機の用意とかはあんの?」
キーパー:「いや、それも聞いてないっスけど」
加治:ざっと見渡すんですけど、教会の壁って白くて映写機のスクリーンになりそうな場所とかってありますか?
キーパー:いや、ないね。
加治:……ない?
キーパー:ない。いや、映せる場所はあるでしょうけど、教会の規模から言って遠くの人からは見えないかなって感じ。天井も平らな天井じゃないからね。
次郎:何人くらい入れそうなんだっけ?
キーパー:100人は軽く入れそうです。
加治:スクリーンの準備は指示されていない……。
英司:でもスクリーンの準備くらいは後からでもできるからね。
加治:でも、明らかにレイアウト上、何かを置ける場所っていうのは決まってくるんで。スクリーンサイズの物になってくると。
英司:「選ばれし者にオリジナルのフィルムを見せ」るのかな。
加治:レイアウト(会場設置図面)見せてもらえますか?
キーパー:不自然なところはないね。
和堂:「ビデオの上映が出来るような施設もない?」
キーパー:「そういうことは聞いてないスけどねぇ、我々は」
次郎:ただ電気通してるだけですよねぇ。
英司:音が鳴らせるように。
和堂:スピーカーっていうのはどれくらいあるの?
キーパー:凄くでっかいです。
英司:レイヴやるくらいだから人の背丈よりもデカイよね。
和堂:音響とかを集中制御するアンプとかは何処においてあるの?
キーパー:舞台裏です。教会ですから、教会の建物の中です。
加治:電力って全部一箇所から引っぱってる?
キーパー:何箇所からも。
次郎:発電機とかも使ってんじゃないの?
キーパー:使いますね、当然。最終的には食べ物とかも出すので、そういうもののガスとかはプロパンとか運び込むと思うんだけど。
加治:結構金かかってる。
キーパー:金かかっているんじゃないかねぇ。基本的レイヴに使うところではないので、教会っていうのは。
英司:「でも、告知も何もしてねぇよな、ここ」
キーパー:そこは口コミとかで。まぁ、そんな感じで夕方です。
和堂:本番が明日ですよね。
キーパー:まぁ24時間後という事で。
加治:見取り図とか見せてもらったものは覚えるようにしておきます。
英司:う~ん、何が行われるかは正確には分からんけど。
流石:全員に見せるわけじゃないかもしれませんよ?
英司:うん。「選ばれし者に」って書いてあるから。
流石:「十分な生贄の中で、選ばれし者にオリジナルのフィルムを見せよ」って書いてあるから、小さな場所に持ち込んでとか。
和堂:生贄は十分にいなくちゃならないんだよね?
英司:そう。
流石:周りにいっぱいいる中で、何人かに見せればいいんだ。
加治:その上映する場所? 大きいスクリーンじゃないのかもしれないけど……別室とかないよね、教会だから。
キーパー:教会にはね。まぁ、部屋はあるけど。
流石:フィルムを見た時に、降臨して、周りを食べる……。いやでも、そんな重要なコピービデオを、どうやって英司は持って帰ってきたの?
英司:そう。そこが実はいまだに良く分からないところなんだよ。その経緯が。何がどうなって、そして俺が何のつもりであのテープを引き千切ったのかも分からないままなんだよ。
加治:それはレイヴの本番の時に明らかになるでしょう。
流石:何故、奴(稲本)は変身しちゃったんだろう? あいつは選ばれたのかな?
次郎:いや、それは……何とも言えないね。
英司:何をきっかけに変身したっけ?
次郎:連れ込んだ女の子が救出されちゃって、ガックリしてるなーと思ってたら、急に。
和堂:……教会のイベントに参加するの? しないの?
英司:俺は参加していいのか判断できてないんですよ。
和堂:というより、「参加者でーす」っていうような感じで入っていって良いのかな、と。入っていけるのかも分からないけど。それとも、とりあえず教会の外で何が起こるか待機して待っているのか。
次郎:外で待機していても(何が起こっているか)分からない可能性はありますな。
加治:完全に口コミっていうことは招待状とかないんで、来た人間は自由に入れると思った方が。
英司:生贄は何でも良いんじゃないの?
流石:種が植えられた者は操られるっぽいね。
和堂:ちなみに、このイベントの話っていうのはどれだけこの街に広がってるかっていうのを聞いておいたほうが良いんじゃないだろうか?
次郎:オープンにはなっていない。
英司:ネットの書き込みとかローカルの掲示板とかの書き込みをちょこちょこっと見て探します。
キーパー:ない。
加治:みかじめ料とっているようなクラブを回ってみますけど、そんな噂はある?
英司:集金ついでに。
キーパー:う~んう~ん、<幸運>かな。
英司&加治:(コロコロ)OK。
キーパー:「近々廃教会で何かイベントがあるらしい。詳しいことが知りたければ誰々に聞きな」みたいな。その誰々の居場所が分からない。
加治:誰っていうのに(赤薔薇の)加地の名前は出てこない?
キーパー:出てこない。……やることなければ、レイヴの時間になりますけど?
次郎:……これといって、実は。
キーパー:確かにこれ以上手の打ちようがないというのもありますね。
次郎:後は変な話ですけど、出たとこ勝負っていうか。基本的にはどういう規模でどういう形で上映するかっていうのは、もう一つハッキリしていないんですよね。
英司:ハッキリしていないままなんだよね。
次郎:要は上映を阻止するっていうことは、イコール オリジナルのフィルムを……
流石:燃やしちゃえば。
英司:うん、何とかしちゃえばいいわけだから。
次郎:でも、俺たちとしても、前半が気になるっていうのもある(笑)。「この辺まで見たっけ? この辺までだっけ?」とか見ているうちに、最後まで見ちゃって(笑)
和堂:じゃ、どうしますか? もう何の準備もせずに?
加治:予備の銃弾くらいは。
英司:私も。
和堂:いや、化け物がどうこうっていうよりも、加地ってチンピラなわけじゃん? 拳銃とか持っている。そんなのがワラワラってやって来るんだったら、それはそれでヤバイよなっていう気がする訳で。
次郎:やぁ、でもまぁ、出入りはヤクザに付きものっていうことで。
和堂:だから、その準備をしておけってことなんですよ。
キーパー:観客全員がそういう奴らかも知れないですからね(笑)
英司:速攻手を上げます(笑)
流石:あのさぁ、護封十三家の話っていうのは末端の警察官では知らないんだよね?
キーパー:んにゃ、知らなくはないよ。
流石:知らなくはない?
キーパー:うん。
英司:いないけど。
流石:うーん。こういうオカルトじみた話っていうのは、向こうに何か動きがあるとかないの?
キーパー:あー、それは全然ない。サービス機関じゃないので、彼らは(笑)。ちなみに、「鵠井」って護符十三家の最後の一つだからね。
流石:……え?
キーパー:君たちの属している鵠数会の会長・鵠井数彦って「鵠井」だから、ある意味関わってるよ、護封十三家。
流石:ある意味関わっている(笑)
キーパー:良かったね(笑)。じゃ、一応会長が来て「お前ら、後は頼んだぞ」みたいな(笑)。「白凰市の平和のために、お前ら、死んでも止めて来い!」と言われましたので、これでもうレイヴを止めるっていう大義名分ができましたよ。今まで欲しかったものが、手に入りました(笑)
次郎:「義を見てせざるは勇なきなり」でござるよ。
和堂:ま、まあ(笑)。じゃ、そういうことで。
キーパー:もう不退転の決意で(笑)
和堂:じゃ、せっかくの機会なんで、真っ白な着流しとかで。イベントにぴったりってことで(笑)
キーパー:ステージとか上っちゃうんですよ(笑)
和堂:一緒に(笑)
流石:マツケンサンバとか踊って(笑)
次郎:チャッチャッチャ、チャッチャラッチャ、チャーラーラ(笑:※マツケンサンバのリズムで) ワ・ド・ケ・ン・サ~ン~バ~♪
和堂:ちなみにヤル気マンマンです。
キーパー:そりゃヤル気マンマンにもなるでしょ、そこまでやれば(笑)。そこまでやってテンション下がってたら。「いや……どうもなぁ」とか。
一同:(笑)
次郎:よっしゃ。じゃあ行きますか。
英司:行きますか。
流石:うい。
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