フロム・ウラヌス



3
【怪しい噂】
 リンカーンをはじめとしたグループのメンバーは、それぞれ独自に連続後ろ脚強奪事件について調査をしているようです。アビーとプロンは飼い猫(※二匹とも<人間語>技能を持っています)なので、連続動物殺傷事件が町の小さなニュースになっていることを耳にします。変質者のしわざとして気味悪がられていますが、人間たちは後ろ脚が持ち去られていることを認識してはいないようです。
アビー:狙われているのは猫なの?
キーパー:いえ、犬たちも被害に遭っています。
プロン:確かに、シャンたちの狙いとしては猫に限らないもんね。なるほど。
キーパー:では<人間語>を振ってください。
二匹:よっしゃ、成功!
キーパー:では二匹は飼い主の日常会話の中に気になる話があることを理解しました。スティーヴン・テイラーという売れない詩人が、アーカムの南西部の郊外に足繁く通っているというものです。人付き合いのない得体のしれない人物なので、動物殺しを繰り返す変質者なのかもしれない、という噂が流れているようです。
アビー:なるほど。怪しいな。
キーパー<人間語>に成功しているので、さらに二匹とも<夢知識>ロールをしてください。
プロン:まかせてください! 成功!
キーパー:おお~。ではプロンは「夢見る人」、つまりドリームランドに出入りする能力を持つ人間に、スティーヴン・テイラーという人物がいることを知っています。
プロン:ますます怪しいな……。何かを知っていてもおかしくない。
アビー:うん。
プロン:どんな風体の人物ですか?
キーパー:取り立てて特徴のない青年ですね。人間が猫の顔を見分けられないのと同程度に、猫は人間の顔を見分けることができませんので。自分が関心を持つ人間くらいしか、個体識別はしていないのではないかと。
プロン:とりあえず、南西部が怪しいのは分かった。南西部のあの辺りは人が少ないから、そんな輩が潜伏するには良い場所かもしれない。でもまだ絞り切れていないなぁ。……聞き込みか?
アビー:猫が?
キーパー:人間相手に聞き込みするのはヤバイですけど、同族や他の動物たちに聞き込みするのは、実際、一つの手でしょう。聞き込みこそ、クトゥルフの肝です。
プロン:他のエリアの猫たちにも話を聞いてみるか……。
キーパー:アーカム南西部を縄張りにしている猫のグループはあなたたちだけではありませんからね。おそらく他のグループからも犠牲者、いや、犠牲猫は出ているかもしれませんよ。縄張り荒らしではなく情報交換に来たということであれば、いきなり血みどろの抗争にはならないでしょう。
プロン:犠牲者は猫社会だけじゃなく、犬社会にも出ているってことだから、そこも当ってみようかな。
アビー:鳥社会になら顔が聞きますよ(※[ドリトル先生(鳥)]習得済)
 アーカム南西部で聞き込みを開始します。
 プロンは得意の<愛らしさ>で他グループの猫と仲良くなり、スティーヴン・テイラーがロウワー・サウスサイド地区の「どぶ板アパート」に住んでいることを聞き出しました。
 アビーは毎朝窓辺に来る二羽の鳩に([ドリトル先生]で)話しかけて最近のニュースを仕入れます。鳩たちによると、アーカム歴史協会の裏庭に設えられた鳥の餌場で食事をしていた鳥が、小さな三匹の動物に襲われたとのことです。騒ぎを聞きつけた周辺の住人(人間)が集まって来たので事なきを得たのですが、それ以来その餌場に鳥は集まらなくなってしまったとのことです。
キーパー:鳩は「くるっぽー、くるっぽー!」と激怒しています。
アビー:迫力ないな(笑)
プロン:しかし、三匹の小さな動物か。なんだか敵の姿が見えるような――
アビー:――見えないような。う~ん。
キーパー:その三匹の小動物は、少しネズミに似たような姿をしていたそうです。しかし、その体はネズミとは比べ物にならないほど大きかったそうです。具体的にはSIZ 3くらいだそうですよ。
プロン:俺たちよりデカイよ! 天王星のネズミとか、そんな奴かな?
アビー:(笑)
プロン:歴史協会に行ってみて、その三匹の動物について詳しく聞いてみよう。
キーパー:では折よく歴史協会の裏庭にその事件を見ていた鳥がいるかは、[ドリトル先生]持ちのアビーの<幸運>次第ですな。
アビー:(コロコロ)成功です。「知り合いの鳥から聞いたんだけど、これこれこういう動物に襲われたんだって?」
キーパー:(鳥)「そうなんだよー。たまたま俺はその時に現場にいたんだけどさー」ということで話してくれます。当然彼らは空を飛べるので逃げ切れたようです。鳥の話によると、三匹とも同じ種族の動物で、ネズミに似た姿をしているそうですが、人間が肉を切る時に使う道具のようなものを持っていたそうです。
二匹:「え!?」
キーパー:つまり、ナイフを持っていたということです。四つ足ですが、前足を手、マニピュレータとして使えるようですね。口元に短い触手を何本か生やしていて、長い尻尾をもっていたそうです。
二匹:「……」
キーパー:ここで<夢知識>ロールをしてください。
プロン:(コロコロ)成功です!
キーパー:どうやら鳥が言っているのは、ズーグという、ドリームランドのあやかしの森に住む動物のようです。基本的にはドリームランドから出てくるはずのない奴らですね。
プロン:誰かが呼び出したってこと?
キーパー:いわゆる《召喚》とかではなく、あなたたち猫とは違うやり方で、この覚醒の世界に来る方法を持っているのでしょう。基本的にズーグたちは好戦的でもなければ邪悪でもありませんが、猫の宿敵です。
プロン:なぜそんな奴らがこっちの世界に来ているんだろう? しかも、彼らが襲っているのは猫じゃなくて鳥なんだよね?
アビー:歴史協会の現場では鳥が襲われたけど、どこかで猫を襲っている可能性はあるんじゃないの?
キーパー:ズーグたちは猫に匹敵する俊敏性の持ち主ですからね。
プロン:奴らが勝手にこっちの世界に来て、勝手に他の動物を襲っているってことはないと思うので、誰かの命令を聞いているんだと思うのですが。
アビー:うん。周辺にいる猫仲間にも聞いてみましょうか。「こんな奴らを見かけなかった?」と言って。
キーパー:すると猫仲間たちは「なに? ズーグ! 奴らがこっちに来ているっていうのか!?」と色めき立ちます。
プロン:「確かに、奴らがこのアーカムに来ているってことになれば、納得がいく点はある。ノロマな人間が俺たちを簡単に捕まえられるとは思えないし」 あと行っていないのはスティーヴン・テイラーの所だけか。彼とズーグの繋がりみたいなものが分からないものかと調べましょう。
キーパー:ズーグは基本ドリームランドの生物で、スティーヴン・テイラーは「夢見る人」でしたね。
アビー:うん。そこで繋がりがあってもおかしくはありませんな。
キーパー:そしてCathulhuの猫には[月への跳躍]というドリームランドへ行くことのできるトリックがあります。
プロン:……行ってみるか、ドリームランド。
アビー:うん。そうですな。
プロン:よし、今晩行こう! ……で、行ってどうする? あやかしの森には近づきたくないよね。
アビー:(笑)
キーパー:宿敵が巣食っている場所があやかしの森ですからね(笑) ドリームランドで猫と言えば、「ウルタール」という猫がたくさん暮らしている町がありますので、そこへ行けば何らかの情報が手に入るのではないでしょうか?
プロン:そうだね。ウルタールへ行ってみよう。ズーグが絡んでいるとなると、何か情報を持っているかもしれない。



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