フロム・ウラヌス



8
【星より来たりしもの】

キーパー:シャンが飛び去った後に残されているのは、祭壇と、その上に山盛りになった後ろ脚と、気を失っているユラナスとスティーヴン・テイラーです。
プロン:ペロペロ舐めてユラナスを起こします。
キーパー:(ユラナス)「はっ! シャンは、シャンはどうした!? ……くぅ~、逃したか」
アビー:テイラーの方は?
キーパー:倒れ伏していますが、息はしています。死んでいませんよ。今なら頸動脈をガブッと行けば、きっとトドメをさせますよ。
プロン:まぁ、必要ないでしょう。
アビー:そうだね。助けようもないし、放置して帰りますか。
プロン:胸糞悪いので、祭壇の上の脚の山を崩して、オシッコ引っ掛けて帰ります。
アビー:そこまで(笑)
キーパー:分かりました。祭壇は穢れました、文字どおりの意味で。まだちょっとふらついているユラナスとあなたたちは、洞窟を出て行こうとしますが、洞窟の両脇の側溝でこけていたリーギクス人たちが、持っていたナイフで自分たちの脚をすべて切り取っていることに気づきます。
プロン:!!
キーパー:リーギクス人たちは中途半端に残った足を、まるで裏返しになったカブトムシのように緩慢に蠢かせながら、
「にゃる・しゅたん! にゃる・がしゃんな! にゃる・しゅたん! にゃる・がしゃんな! 星より来たりし沈黙の蝙蝠神よ、めでたく我らが生贄をば御照覧あれ!」
 と叫びます。そして彼らの脚の動きは鈍っていき、しばらくすると動かなくなりました。
プロン:装甲19もあれば、自分の脚も切断できないんじゃないの?(笑)
キーパー:彼らは『月姫』の遠野志貴のように、死の線を視ることができる直死の魔眼持ちなのです。
プロン:なるほど(笑)
アビー:それなら仕方ない(笑)
キーパー<アイデア>ロールを振ってみてください。(プロンのみ成功)プロンには漠然と分かったのですが、この死んだリーギクス人たちは、どうやら至福の表情を浮かべているようです。
アビー:不気味な……。

キーパー:コウモリ穴の外へ出ました。当然、外は夜の闇に包まれています。POWの5倍ロールをしてください。(二匹+ユラナスも成功)成功すると気が付いちゃうんですけど、星のない夜空をまったくの無音で飛ぶ、何か巨大なものが頭上にいます。
二匹:……。
キーパー:非常に禍々しい気をまとった、恐ろしい影です。<危険察知>を振ってください。
プロン:(コロコロ)おっしゃ、03! 成功!!
アビー:(コロコロ)81、失敗。
ルログキーパー:ではプロンは空を見上げてその黒い影を見て、「あれ? 何だ?」と目を凝らそうとしましたが、直感的に「ヤベッ!」と感じて目をそらすと、全速力でアーカムの方角へ走り出しました。残念ながらアビーの方は目を凝らしてしまい、星と火花を散らしながら悠然と羽根をはためかせる、双頭の蝙蝠のような巨大な異形のものが、音もなく滑空している姿を見てしまいました。おそらく、それは彼らの言っていたルログだったのでしょう。双頭の蝙蝠神はゆっくりとコウモリ穴の上空を旋回すると、闇夜の彼方へと飛び去っていきました。理性度判定をしてください。
アビー:93、失敗!
キーパー:1D20喪失します。
アビー:(コロコロ)……15!
プロン:ヤバいんじゃないの?(笑)
キーパー:……ギリギリですね。20%喪失まであと1ポイントでした。<アイデア>ロールをしてください。
アビー:成功!
キーパー:では一時的発狂ですね(笑) 猫用の発狂表がありますので、1D10を振ってください。(アビーの出目は4)「逃走――可能であれば、あなたは直ちに脅威となるものから後退します」。
アビー:アーカムに向かって全力疾走です。
キーパー:そうですね。危機一髪ルログから逃れてアーカムへ疾走していたプロンの後からアビーがものすごい勢いでやって来て、プロンを追い抜いて行きました。
プロン:「あれっ? アビー?」 ユラナスは?
キーパー:ユラナスは大丈夫でしょう。(コロコロ)ルログを見て理性度を2ポイント喪失したものの、「スゲェ! 初めて見たよ、ルログ!」と言いながらプロンに追いついて来ます。

キーパー:ユラナスはアーカムへ行くわけにはいかないので、ここでプロンと別れます。
プロン:「シャンはどうなったんだろう? アーカムへ逃げたのか、それとも他の場所へ行ってしまったのか?」
キーパー:(ユラナス)「まぁ、とりあえず奴が率いていたらしい教団らしきものは壊滅したし、俺は気絶していて聞かなかったけど、穴から出た時に絶叫していたということだから、何らかの破滅に導かれたのは間違いないだろう」
プロン:「そうだね」
キーパー:(ユラナス)「それも含めて、俺は一度天王星へ戻って、また奴の情報を追ってみるよ。アビーとパセリは残念なことになってしまったが――」
アビー(発狂中):(いえいえ、まだ生きてますよ!)
プロン:(笑)
キーパー:(ユラナス)「――天王星に来ることがあれば、俺を訪ねてくれ。その時は歓迎するよ」
プロン:「そうだね、じゃあ近いうちに。その時は足を挫かないように気を付けるよ」(笑)
キーパー:(ユラナス)「では、世話になった。次の機会があれば、今度は俺が君たちに命懸けで力を貸すつもりだ」
プロン:「ありがとう」
キーパー:(ユラナス)「アビーによろしく言っておいてくれ」と言うと、ジュワッ! と月に向かって飛んでいきました。
 「連続後ろ脚強奪事件」は終息しました。コリン少年を殺害した猟奇殺人犯は捕まっていません。また、スティーヴン・テイラーはエルム山の斜面で気を失っているところを発見され、病院に収容されたそうです。小動物の引っ掻き傷や噛み傷(アビーやプロン、ユラナスによるものです)を負っていたことから、コリン少年殺害と同一犯に襲われたのかもしれないと報道されます。
 しばらく後、風の噂で聞いたところによると、スティーヴン・テイラーは病的に猫を怖がる人間になってしまったそうです。
二匹:猫恐怖症(笑)
キーパー:こうしてひっそりと、すべての事件の幕は下りたのでした。
(了)



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