クレズネ計画


2

 冒険者たちはコッポラの工房を拠点として今回の騒ぎを独自に調査します。現在わかっているのは以下の通り。

  • 取り逃した馬車は西へ向かって逃走し、それをスカサハが追ったこと。
  • 北でも襲撃があったらしく、そちらにギルデンスターンが向かったこと。

 冒険者たちは夜明けを待ち、新たな情報がないか聞くためにニューモデル軍の屯所へと向かいます。


GM:ニューモデル軍の屯所に行くと、偶然にもギルデンスターンに会います。(ギルデンスターン)「君たちか」
エドガー:「我々は現在、大学のコッポラ親方の工房に滞在させてもらっています。今回の事件の件でいろいろ情報が入りましたので、よろしければ情報交換をさせていただきたい。我々としても、目的としては歯車の寺院の陰謀を挫きたいので、協力はできないだろうか?」
GM:(ギルデンスターン)「なるほど、コッポラ親方か……。それなら信用できるだろう。工房の重鎮が動いてくれているということであれば、軍もやりやすくなる」

 冒険者たちは大学内の倉庫が重点的に襲われていること、奪われた部品が自動人形に関連するものであることを伝えます。ギルデンスターンからはニューモデル軍(ひいては議会派)が歯車の寺院をそれほど重要視(危険視)はしていないこと、本件を王党派のしわざだと考えていることが伝えられます。


エドガー:歯車の寺院は独自の意図で動いているということを説明して、奪っていった自動人形の部品で、何か良からぬことをしようと企てているのではないかと話します。それはきっと、良くないことですよ、と。
GM:王党派も議会派も世界を良くするために戦っているので、共通の敵に対しては協力できる余地があるかもしれません。(ギルデンスターン)「ますます放っておくわけにはいかないな」
エドガー:「奴らの逃走経路から考えると、何か所かアジトを持っているのかもしれない。あなたたちもそれを探しているとは思うが、我々もそれを探し出して潰していきたい。その情報は何かつかんでいますか?」
GM:(ギルデンスターン)「北へ逃げ延びた強盗団がいるので、近々、北へ調査に行こうと考えている。その調査で拠点が発見された場合には、改めて部隊を編成して急襲するつもりだ」
エドワード:「西に向かったスカサハからは何か報告は来ているのかい?」
GM:(ギルデンスターン)「そちらはローゼンクランツが指揮を執って調査に向かうはずだ」ローゼンクランツは、ギルデンスターンとコンビを組んでいたもう一人のキャンベル隊の護衛兵士です。
エドガー:ああ、なるほど。ギルデンスターンが北、ローゼンクランツが西ということか。我々はどっちを行く?
ジョン:ギルデンスターンと共同戦線を張るのはアリだと思いますよ。
エドワード:あるいは、取り逃した馬車を追って西へ行くか。

ライン

GM:皆さん、街中を歩きながら次の方針を話し合っています。ここで〈知覚〉ロールをしてください。
一同:(コロコロ……)成功。
プレストン・ラドリーウィリアム・ド・マンカスターGM:街中ではぐれシュブ=ニグラス教団の2人(※ウィリアム・ド・マンカスタープレストン・ラドリーがいるのに気づきます。皆さんの顔を見ると、彼らは指をさして「あっーーーーー!」と言います(笑)
エドガー:またこいつらが暗躍しているのかよ! いや、俺たちも「あっーーーーー!」って言うよ(笑)
GM:彼らは皆さんから離れるように人混みに紛れようとします。
エドガー:追いかけます! ここまでの因縁を考えると、放っておく理由はない! 直感的に「奴らも歯車の寺院に絡んでいる!?」と思ってしまいます。
エドワード:うん、そうだねぇ。
GM:「やべっ!」という表情を浮かべると、彼らは狭い路地を縫うように走って逃げます。
エドガー:「おい! 止まれ!!」
ジョン:奴らはクトゥルー神話に関する教団なので、派閥的に問答無用で追いかけます(笑)
GM:ルール的に解決すると、遭遇時に20メートル開いていたとして、彼らは1ラウンドに(※《野ウサギの如く疾走するために》の呪術のおかげで)45メートル走って進めるので、追いつける何かがあるなら申告してください(※通常の人間が1ラウンドに移動できる距離は15メートル)
一同:(苦笑)
ジョン:派閥的に精いっぱい走りましたが、追いつけませんでした(笑)
GM:彼らは北の方角へ逃走していきました。
エドガー:じゃあ、我々は西へ行くか! ……コイツら手強いからねぇ(笑)
ジョン:最悪のケースとして、歯車の使徒とシュブ=ニグラスの教団が共闘しているところへ向かうとなると、我々だけでノコノコ行くのはどうなんですかっていう(笑)
エドワード:だったら北へ行くというギルデンスターンと協力して追いかけるのが良いんじゃないですかね?

ライン

 冒険者たちはニューモデル軍屯所に行って、ギルデンスターンの北伐(の事前偵察)に同行を申し出ます。ギルデンスターンとしても歯車の寺院の危険性を認識している冒険者たちとの共闘はやぶさかではなく、ニューモデル軍の兵士3名を加え、総勢8名で北方面の調査へ出発します。
 事件当夜に逃亡する強盗団を追った兵士たちからの報告によると、ケンブリッジから10kmほど行ったところで、強盗団を見失いました。強盗団を見失った場所の近くにはオーガスタス家の荘園マナーであるアルバラという土地があるとのことです。アルバラはケンブリッジとはあまり交流がなく、ギルデンスターンはその地の存在を知りませんでした。


GM:舗装された道を北へと向かっていると、ちらほらと行商人や農夫たちとすれ違い、道沿いの森や畑で働いている人たちの姿もあります。彼らに話を聞くことはできますよ。
ジョン・トーマスジョン:では声をかけて聞いてみます。「怪しい風体の者たちが逃げて行ったのを見ていないか、オーガスタス家ってどんな家なのか知らないか」とか。
GM:まあ、単純に〈影響力〉なんだけど、ジョンは同じ農民だから+20%で。
ジョン:(コロコロ……)成功です。
GM:農民たちによると、アルバラ・マナーはレディ・ジュディス・オーガスタスが治める小集落で、閉鎖的で、余所者に寛容ではない場所です。ここで全員〈洞察〉ロールをしてください。(コロコロ……エドガーとジョンが成功)農民が何かを話すべきか躊躇していることがわかります。
ジョン:「ん? ほかにも何かあるのかい?」と水を向けます。
エドガー:お金を渡すとか?
エドワード:農民だから……1シリングくらいで良いんじゃない?(※安アパートの家賃が年間40~60シリング)
ジョン:お貴族様から資金提供を受けて、1シリングを握らせます。
GM:(農民)「アルバラ・マナーへは行かない方が良いぜ。あそこの近くにはアンシーリーコートの森があるからよ」“アンシーリーコート”というのは、“非友好的な妖精”くらいの意味です。そう呼ばれる、悪名高い不気味な森があるそうです。その森は付近の住民たちから迷信的に恐れられているようで、「人が入っていったきり戻ってこなかった」みたいな「昔あったずもな」で始まって「どんとはれ」で終わる典型的な怪談話が伝えられています。
エドガー:「最近、その森で何かがあったとか?」
GM:(農民)「いや、そんな話は聞かない、というか、アルバラの連中とは交流がほとんどないので、知らんと言ったほうが正しい。たまに村の外へ出てくることがあっても、連中は口が重いからよ」
ジョン:「数日前の夜中、すごい勢いで北へ馬車が走って行ったらしいのだが、それを見たり、音を聞いたりはしていないか?」
GM:農民が連れの別の農民に「お前、何か聞いたか?」とたずねると、その農民は「いや、聞いておらんなぁ」と答えます。そう答えた農民はアルバラ・マナーより北にある場所に住んでいるそうです。
ジョン:「ん? すると――」
GM:アルバラ・マナーより北に馬車が到着した事実はないということです。
一同:なるほど。
エドガー:アルバラ・マナーより北へ行っていないとすると、森へ入ったか、荘園に向かったか、どちらかということだよね。
ジョン:「ジュディス・オーガスタスについて、何か知らないか?」
GM:(農民)「レディ・ジュディスは60歳くらいの老嬢だよ。マナーに暮らす80人ほどの村人を束ねている。アルバラは基本的に自給自足で外部とほとんど接触しないが、オーガスタス家は、俺の知る限り、ずっとアルバラを治めているよ」
エドガー:歯車の使徒の風体を説明しますが、「そのような姿をしたものがこのあたりをうろついているということはないか?」
GM:(農民)「知らんなぁ。少なくともアルバラの連中はそんな恰好はしていないな」
ジョン:……閉鎖的な場所だとすると、今回のような組織的な騒動の拠点としては、なかなか難しいはずですよね。
エドワード:村ごとそれに加担していたとすれば?
ジョン:拠点の一つだとすればそれも可能かもしれないですね。
エドワード:どっちにしろ、来てしまったからにはアルバラ・マナーへ行ってみるしかない。

ライン

GM:農民たちと別れてさらに進んでいくと、聞いていた通り、森が見えてきます。森といっても広大な樹海ではなくて、いわゆる鎮守の森よりも若干大きい程度の、こんもりとした樹林にすぎません。(ギルデンスターン)「あれが、件のアンシーリーコートの森か。森は貴族の私的所有物である可能性があるから、むやみやたらに入るのはマズいかもしれないな」
エドガー:森へ向かう轍はありますか?
GM:それは……〈知覚〉ロールですね(コロコロ……全員成功)。森へ向かう轍はないですね。
エドガー:ない? ということは、馬車自体は森には入っていないんだね。アジトが森の中にあるわけではないのか。
GM:森の奥へと続く踏み分け道はあります。誰かが通っているようですね。踏み分け道はひと1人、あるいは一列縦隊で歩くのがやっとの程の、非常に細いものです。
エドガー:あまり大勢で訪れているわけではないのか。
ジョン:はぐれシュブ=ニグラス教団の2人が使っている可能性はありますよね。
エドガー:馬車で逃げた連中は、少なくともこの森へ入ったのではなく、荘園に向かった可能性が高い。これ以上北で見かけられていないという証言から、荘園内に留まっている可能性がある。
エドワード:とりあえず、荘園へ行ってみるしかないでしょう。

 冒険者たちと、ギルデンスターン率いる兵士たちはアンシーリーコートの森へは入らず、アルバラ・マナーへと向かいます。村にはまばらに農民がいますが、珍客を遠巻きに見るだけで、近づいてきて歓迎をしてくれる様子はありません。聞いていた通り、閉鎖的・排他的な村のようです。


GM:村は質素で、野菜が露地栽培されています。〈文化(自分)〉ロールをしてください。貴族は-60%、市民は-20%です(※ジョンとエドガーは成功、エドワードは失敗)
エドワード:「農村の文化はよくわからんな」
GM:ジョンとエドガーは村の農業が非常に原始的な手法で行なわれていることがわかります。手押し車なども使われていないようです。
エドガー:車輪が再発見されていないってことはないよね?(笑)
GM:強盗団は馬車を使っていましたからね(笑)。クロックワーク農具は試験的に開発されていますが、そういう問題ではなく、一般的な農夫が使っている道具さえも目につかないということです。
エドガー:そういう教義なのか、何か領主の意向があるのか? それを踏まえて、ほかの違和感はありますか?
GM:では〈信念(宗教)〉ロールをしてください。
一同:……技能、ないなぁ。
ヴァレリィ・カプランGM:ヴァレリィが〈信念(ピューリタン)〉を持っているので……(コロコロ、ヒーロー・ポイントを2ポイント使って)成功しました、させました。(ヴァレリィ)「……教会とか、十字架がないね」
一同:ああ~!
GM:ギルデンスターンたちも「そう言われれば……」と不安そうに周囲を見まわしています。
エドガー:「だいぶ、おかしな荘園ですね、ここは」
エドワード:「一方で、クロックワークの部品が運び込まれるような場所には思えないな」
ジョン:「思っていたのとは真逆っぽいですよね」
GM:荘園には当然マナー・ハウスがあるので、そちらへ向かうのが定石でしょう。レディ・ジュディス・オーガスタスに挨拶をしないことには始まりませんからね。揃ってマナー・ハウスへ向かっている途中で〈知覚〉ロールをしてください(コロコロ……全員成功)。すると、畑のあぜ道に打ち壊された馬車の残骸があるのに気づきます。車軸が折れて使い物にならなくなったというよりは、明らかに人為的に壊されています。
エドワード:クロックワークの部品が転がっていたりしませんかね?
GM:馬車の残骸を調べてみるのなら〈知覚〉ロールです(コロコロ……全員成功)。すると、馬車の残骸に混じって、外れたネジとか、ひしゃげたシャフトとか、クロックワーク部品の残骸が見つかります。部品そのものというよりは、明らかにその残骸です。
エドガー:ということは、パーツを奪った奴らが、必要なパーツをアジトに運び込んで、残った馬車と部品が村の人たちに壊されたっていうこと?
エドワード:それか、単に「よそ者が来た!」ということで村人に襲われて、命からがら持てるだけの部品を持って逃走したとか?
ジョン:迂遠かもしれませんが、ブラフかもしれない。その辺にいる村人に聞いてみましょう。「これはどうしたんだい?」
GM:(アルバラ・マナーの村人)「……見ての通りさ。壊れちまったんだ」
エドガー:聞いていた通り友好的ではありませんね。もう、領主のところへ行きましょう。