これまでに判明したことを整理すると、以下になります。
- 歯車の寺院は歯車の大祭壇に歌う柱を設置してルンクを召喚しようとしている。
- アルバラ・マナーの楽園回帰主義者と歯車の寺院は敵対している。
冒険者たちはさまざまな情報を集め、それを照合して、歯車の大祭壇の所在地を突き止めなくてはなりません。これは〈裏社会〉技能を使った“技能チャレンジ”的な処理として行なうため、〈裏社会〉技能を持っていない冒険者は、別の得意分野の技能を用いてロールをするための理由を考え出さなくてはなりません。使用する技能が情報収集に役立つか否かで、直接ロールをするか、仲間のロールの“支援”をするかに分かれます(〈取引〉技能で不自然な物流に気づく、等)。試行回数が少ないほど、歯車の寺院に気取られずに、真相に迫ることができます。場所を突き止めるには3回の成功が必要で、失敗するたびに敵に動きを気取られて警戒されます。
仲間同士で工夫し、“支援”しあったり、スカサハやラドリーからの情報提供(“支援”)があったりして、冒険者たちは3回の試行(成功:3、失敗:0)で歯車の大祭壇の所在地を突き止めます。
GM:えーと、まずJWの正体が判明しました。
一同:お!?
GM:スカサハが皆さんのところへ来て「JWの正体がわかったわよ」ということで情報を共有してくれます。ケンブリッジ大学のクイーンズ・カレッジでフェローをしているジョン・ウォリスという数学者で、ティンカーの重鎮でもあります。歯車の大祭壇は、どうやらクイーンズ・カレッジにある礼拝堂に密かに設置されているらしいとのことです。
エドガー:え!? そんなお膝元に!?
GM:ちなみに、ジョン・ウォリスは実在の人物で、後にオックスフォードの教授になって、やがて王立協会の創立にかかわる人物です。
ジョン:“ホンモノ”じゃないですか(笑)
GM:(スカサハ)「今度はこちらの番、カウンターアタックよ!」ということで、ニューモデル軍は歯車の寺院の一斉検挙を計画しています。クイーンズ・カレッジの礼拝堂と、ジョン・ウォリスの邸宅に突入する予定です。(スカサハ)「あなたたちはどちらに行く?」なお、ジョン・ウォリスの屋敷への突入はオスカー・キャンベル大尉が指揮をして、ローゼンクランツが参加するそうです。クイーンズ・カレッジ突入の指揮はギルデンスターンが執ります。
ジョン:では、どう考えても我々はクイーンズ・カレッジに行くってことですね(笑)
エドガー:俺の個人的な感覚としてはクイーンズ・カレッジの方へ行きたいんだけど、パーティとしての意思を優先します(笑)
エドワード:良いですよ。クイーンズ・カレッジの方へ行きましょう。
冒険者たちはクイーンズ・カレッジ突入班に加わることにします。ギルデンスターンが率いるニューモデル軍兵士たちとの共同作戦です。突入はジョン・ウォリス邸突入班とタイミングを合わせ、午前0時に決行されることになります。
クイーンズ・カレッジ突入班はカレッジ内の礼拝堂の正面と裏口の両面から同時に突入します。(ギルデンスターンの申し出により)正面はニューモデル軍に任せ、冒険者たちは裏口の突入を担当することになりました。突入にはオリンピアが同行します(アルバラのダンとビルは外でお留守番です)。
GM:午前0時になったので、突入を開始します。礼拝堂なので、屋内で迷うほど複雑な造りにはなっていません。皆さんは礼拝室にたどり着いて、両開きの大きな扉を開けます。
扉を開けた先にあった光景は異様なものだった。床一面に大小さまざまな歯車が敷き詰められ、嚙み合っており、それぞれが独自の速さで回転している。部屋の中央にあるのは直径10mはあろうかという金属製の円柱で、ゆっくりと回転している。柱には自動人形の上半身が取り付けられており、その表情のない顔についた口は「ルンク……ルンク……」と神の名を繰り返し呼び続けている。

GM:礼拝堂奥の祭壇にはギデオン・コグスリーが立っていて、「涜神者どもめ! クレズニ計画は邪魔させんぞ!」と叫んで歯車の使徒たちに君たちを排除するように命じます。部屋の中央にある金属製の太い柱は、きっと歌う柱の完成品なのでしょう。回転する柱に取りつけられた自動人形は、毎ラウンド時計回りに位置が変わります。わかりやすく、時計回りに北→東→南→西→北……という具合に位置を変えることにします。
エドワード:なるほど。
エドガー:自動人形を壊さなくてはいけないのかな?
GM:礼拝堂の慄然たる様子を見た皆さんは恐怖判定をしてください(※エドワードが4正気度ポイントを喪失)。戦場の解説をしますと、まず、床にはぎっしりと歯車が敷き詰められていて、それぞれてんでばらばらのタイミングで回っているので、足を取られます。ゲーム的にいうと、移動率が5分の1になります(※3メートル)。
一同:はぁ!?
GM:歯車の大祭壇と呼ばれるこの部屋全体がクロックワーク装置になっているのでしょう。装置を止めようとすることはできます。ギデオン・コグスリーとの〈工芸(クロックワーク)〉技能を使った対抗判定になります。
ジョン:はい。
GM:歌う柱は物理的に破壊できます。自動人形を狙って破壊することも可能です。
エドワード:自動人形は柱について回転するから、破壊しようとすれば、それについて行かなくてはならないわけね。
エドガー:それはなんか、オリンピアがしてほしくなさそうだよね。
ジョン:私はクロックワークを止める感じで行きましょうか。
【第1戦闘ラウンド】
礼拝堂の中にはギデオン・コグスリーと歯車の使徒4人がいて、何やら怪しげな儀式(?)を行なっています。歯車の使徒のうち2人は、フリントロック式カービンで武装しています。
ジョン:〈工芸(クロックワーク)〉は……(コロコロ)……77で成功。
GM:ギデオン・コグスリーは89で成功なので、コグスリーの勝ちです(※対抗判定はロールに成功し、かつダイス・ロールの値の高い方が勝利します)。
ジョン:89で成功ですか! さすがですね。
グレート・ソードを構えたエドガーは礼拝堂の中へ入るものの、床の歯車によって満足な移動ができません。ヴァレリィは現状ではできることがないので待機。
GM:歯車の使徒A、B(※カービン装備)は12メートル移動して――
ジョン:そいつらは普通に移動できるんだ!?
GM:彼らは特殊な靴を履いているので普通に移動できます。自分たちの移動が不自由になる戦場を用意するほど、彼らも馬鹿じゃありませんからね。カービンでエドガーを撃ちます。(コロコロ……)1発命中して10ダメージ。
エドガー:ヒーロー・ポイントを使って重傷の悪影響を受けないことにします。
歯車の使徒C、D(※モーチュアリー・ソード装備)もエドガーに攻撃しますが、両方とも外れました。ギデオン・コグスリーは部屋の奥から動かず、儀式を続行中です。エドワードはピストルで歯車の使徒Cに重傷を与えました(※重症の影響でCの行動順が下がります)。
【第2戦闘ラウンド】
ジョン:引き続きクロックワークを止めようとします。〈工芸(クロックワーク)〉は75で成功。
GM:こちらは99で失敗(笑)。
ジョン:止まった?
GM:いいえ、止まっていません。ただし、歯車の回転速度が遅くなるので、移動率の半分(※7.5メートル)まで移動することができます。
エドガーが負傷している歯車の使徒Cにさらに傷を負わせたので、ヴァレリィが止めを刺そうとナイフを投げますが例によって外れ。歯車の使徒A、Bは後退して、カービンに再装填を始めます(※再装填完了には3ラウンドが必要)。歯車の使徒Dの攻撃は外れ。エドワードは重傷の歯車の使徒Cに止めを刺そうとしますが、倒しきれません。満身創痍の歯車の使徒Cでしたが――

GM:敵に退却の選択肢はないので、エドワードに攻撃。(コロコロ)……01! クリティカル!
エドワード:クリティカル受けをすればいいわけですな……(コロコロ)……01! クリティカル!
一同:おお!!
GM:クリティカル・ダメージが通常ダメージになるので、3ダメージです。
エドワード:カンッ! 鎧で防ぎます。
エドガー:初めて見た(笑)。ロールしてみるもんだな。
GM:ここでギルデンスターンとクレメントが戦場にかけつけます。クレメントは戦闘には参加しませんが、〈工芸(クロックワーク)〉ロールに+7%の“支援”を提供します。
【第3戦闘ラウンド】
ジョンはクレメントの“支援”を受けて〈工芸(クロックワーク)〉の対抗判定に勝利し、床の歯車を完全に止めます(※歌う柱は動き続けています)。エドガーは歯車の使徒Dを倒します。神通力を得て“弁慶の仁王立ち”のごとく粘っていた歯車の使徒Cでしたが、ギルデンスターンの剣にかかり、ついに神のもとへ召されます。
エドワード:柱を殴ってみます(※歌う柱は巨大で移動しないので、00(ファンブル)をロールしない限り攻撃は成功します)。6ダメージ。
GM:ガィン! という感じですね。柱そのものの装甲に阻まれています(※冒険者たちは知りませんが、歌う柱には10/5の防御ポイントがあります)。
【第4戦闘ラウンド】
ジョンは、今度は歌う柱を止めようとして、柱に駆け寄ります。
エドガー:ギデオン・コグスリーに“突撃”(※リアクションは失うが、2倍の距離を移動して追加ダメージを与える)します。命中。
GM:ギデオンは……(コロコロ)……正義アクションのおかげで回避に成功。そしてギデオン・コグスリーの手番か。ギデオンの左肩越しに、剣を握った機械腕が延びてきて、エドガーに襲いかかります。
一同:え!?
GM:ギデオンの鎧にはこの機械腕が生えていて、2度の攻撃と受けが可能なのです。この恐ろしい姿を見た皆さんは恐怖判定をしてください(※エドガーが3正気度ポイントを失いました)。攻撃は……(コロコロ)……命中して12ダメージ。
エドガー:重傷です! ヒーロー・ポイントはありません(泣)
GM:重傷の効果は“ショックで心臓が止まる! 次のD10ラウンドの間、君は意識を失い、うつ伏せに倒れ、動けなくなる。耐久力が最大値に戻るまで、君の疲労レベルは“消耗”になる。”
エドガー:(コロコロ)……10ラウンドです(泣)
歯車の使徒C、Dはカービンへの再装填を終了して、次のラウンドに射撃ができる準備が整いました。
 エドワード:柱についた自動人形を攻撃します。命中判定は不要ですか?
GM:ファンブルしなければ命中します。しかし、自動人形を攻撃しようとするとオリンピアが「やめて! 彼/彼女を傷つけないで!」と叫びます。
エドワード:あぁ、じゃあ、やめます。
GM:ここで礼拝堂の入口にウィリアム・ド・マンカスターとプレストン・ラドリーが現れます。
ジョン:ド・マンカスターも!?
GM:彼らは1ラウンドに45メートル移動できますので……再装填を終えた歯車の使徒C、Dに駆け寄って斬りかかります。
エドガー:敵を引きつけてくれるだけでありがたい!
【第5戦闘ラウンド】
ジョンは柱から自動人形を取り外そうとして、対抗ロールに勝利。あと1回対抗ロールに勝利すると取り外せそうです。ド・マンカスターとラドリーは歯車の使徒C、Dにそれぞれ軽傷を負わせます。ギルデンスターンは歯車の使徒Cに“突撃”をしますが失敗。歯車の使徒C、Dのカービン2射目が火を噴きますが、どちらも命中しないという大失態。
GM:……もうこうなるとギデオン・コグスリーも悠長に構えている場合じゃないな。彼は呪文詠唱を中止して、ジョンを攻撃します。2回攻撃。命中と外れ。
ジョン:命中した攻撃への回避は成功しています。
エドガー:よし! 良かった!
エドワードは(ヒーロー・ポイントを2ポイント消費して)コグスリーに“突撃”を命中させますが、硬い鎧に阻まれました。
【第6戦闘ラウンド】
ジョンの対抗判定は成功して、歌う柱から自動人形を取り外します。
GM:自動人形が取り外されると、「ルンク……ルンク……」と繰り返されていた歌は止まります。
ジョン:とりあえず、歌は止めた!
GM:ギデオン・コグスリーは「もはや、ここまでか!?」と言って舌を鳴らすと、逃走します。ジョンとエドワードはリアクションを使って攻撃できます。
エドワード:(コロコロ……)命中。
ジョン:武器を持っていないから〈格闘〉になりますよね……(コロコロ)……失敗です。
GM:ギデオンはエドワードの攻撃を……(コロコロ)……受け流して、裏口へと逃げて行きます。「覚えていろよ!」とわかりやすい捨て台詞を吐いていきます。
ジョン:我々に追う体力はありませんね。特にエドガーが倒れていますから。
GM:歯車の使徒C、Dが残っていますが……まあ、彼らは最後まで戦って死んでいきました。お約束で、大勢が決してからニューモデル軍の増援が礼拝室へ到着します。柱はいまだに回転していますが、自動人形が外された今となっては単なる回転する鉄柱です。ゼンマイが切れれば止まるでしょうし、その辺りの調査はウィリアム・クレメントが手配するでしょう。
エドガー:別動隊はどうしましたか? 肝心のJWは?
GM:伝令が来て、歯車の寺院の抵抗に遭ったものの、制圧は成功したそうです。ジョン・ウォリスには逃げられました。
一同:あぁ~。
エドワード:オックスフォードへでも逃げたのでしょうかね?
GM:ニューモデル軍がクイーンズ・カレッジを制圧している騒ぎの中で、はぐれシュブ=ニグラス教団の2人は姿を消します。ギルデンスターンは「歯車の寺院はケンブリッジでの地歩を失い、その勢力は大きく削がれたに違いない」と言って少し笑顔を見せます。
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