ファーネスに囁くものたち


7

 ひと足先にケズィックに戻ることとなったジャック・パーソンズに代わってダニエル・フレミング卿が冒険者一行に加わり、コニストン銅山を目指します。
 また、王党派の派閥に属するエドワードは、この事件の背後に議会派が暗躍していることを知ったことにより、以後の活動は“正義アクション”(※自分の属する派閥の大義を推し進める行動に対して、派閥への忠誠度に従ったボーナスが与えられるルール)となり、議会派の陰謀を挫く行動に関する技能ロールに+5%を得ます。


GM:岩だらけのV字谷の底にある流れの速い小川に沿った荒れ地を30分ほど進んだところで、奇妙なものがあることに気づきます。コニストン・オールド・マンの高くて暗い峰から流れ落ちる小川の中に壊れた機械のようなものがあります。
エドガー:議会派のクロックワーク技師がいるって話がありましたよね。
エドワード:うん。さすがに調査しないわけにはいかんでしょう。
GM:機械は上流から流れてきた、壊れた部品の一部のようです。カブトムシのような金属製の甲羅、議会派のクロックワーク装置に使われているような歯車がたくさんついています。また、掘削機械のような強力そうなドリルビットも見えます。そして水面下には、革のような細い管で壊れた機械とつながった、半分腐った人間の頭部があります。正気度判定です。
エドガー:マジか~! 調べなきゃ良かった! でも調べないっていう手はないよね……。
エドワード正気度判定〈忍耐力〉ロールだよね? それなら正義アクションのおかげで成功です(笑)
一同:おお!
エドガー:頭部はドイツ人っぽいですか?
GM:そうですね。ドイツ人っぽいです。
エドガー:だよね~。そうだよね~。鉱山へ連れて行かれた人たちの末路を何となく察します。
エドワード:部品はクロックワーク技師がいないから、特に回収する必要はないか?
GM〈鑑定〉ロールをしてください(エドガーが成功)。これは闇市に持っていけば、それなりのお金になるものだということが分かります。
エドガー:議会派が関わっているということの証拠になりますので、一応持っていきましょう。

ライン

GM:やがて道は谷から高い丘陵地帯に囲まれた台地へと登っていき、周辺はオールド・マン・オブ・コニストンの不気味な峰に見下ろされています。平らな台地には、周囲の峰々と比べて小さく見えるスレートで造られた工業用ビルが点在し、醜い廃棄物の山に囲まれています――建物の1つにある巨大な粉ひき車だけが、唯一動きのあるものです。
エドガー:おそらく、鉱山で働く鉱夫たちの宿舎とかなんだろう。粉ひき車が動いているということは、誰かがここに住んでいるっていうことだよね。
エドワード:調べてみますか?
GM:ダニエル卿は「時間がないから、すぐに鉱山へと進むべきだと思うがね」と言っています。
エドガー:「我々は鉱夫たちの行方を捜す依頼を受けていますので、確認だけはさせていただきます。そんなに時間はかけませんので……」
GM:了解です。捜索には1D20分かかります。
エドガー:私が振りましょう。(コロコロ……)……19。何が「時間はかけませんので」だよ(笑)
GM:ダニエル卿は3箱くらい煙草を吸ってイライラと待っています(笑)。〈知覚〉ロールをしてください(エドガーが成功)

 見つかったのは、何者かの手による安全委員会宛の書きかけの報告書でした。護国卿(=クロムウェル)が美しき民との取引(=同盟?)を容認していることと、その点について危険性を低く見積りすぎなのではないかという筆者の懸念を記したものですが、今回のシナリオにはあまり関係ありません(笑)


GM:これを読んでエドワードはさらに打倒議会派を新たにし、正義アクションに力がこもるのでした。
エドワード:「……議会派め!」(笑)
エドガー:そこにスコットランド氏族に関する記述はありませんか!?(※エドガーの派閥は“氏族(マクドナルド氏族)”)
GM:ありません(笑)。スコットランドの“S”すら書かれていませんでした(笑)
一同:(笑)

ライン

ヴァレリィ・カプランGM:ダニエル卿を先頭にさらに先へ進むと、すぐに鉱山の入口が見えてきます。高さ2メートル、幅2メートルほどの石で縁どられたアーチが、建物の西側の丘の斜面に口を開けています。中に入るにはランタンが必要ですが、「合点承知!」ということでヴァレリィが手持ちのランタンに火を点しました。
エドガー:それはお任せします。
GM:ダニエル卿はこの周辺の地理に詳しく、ゴーツ・ウォーターへ向かうには、とにかく南西の方角へ向かうように言います。「万一、私が途中で殺されたとしても、南西の方角へ進めば間違いない」
エドガー:誰かコンパスみたいなものは持っていませんか?
エドワード(ルールブックを見ながら)一応アイテムとしてはありますな。40シリングで買えるそうです。
一同:高ぇーな(笑)
GM:高級品ですね。なお、ダニエル卿は勝手知ったる道なので、コンパスを必要としません。
エドワード:とりあえず、鉱山の入口の周辺にはドイツ人も議会派の兵士もいないんだよね?
GM:いません。最近使われているらしき採掘用具が入り口脇の壁に立てかけられたりしているので、誰かが出入りしているのはうかがえます。入口は2×2メートルほどの広さがありましたが、5メートルほど進むと、通路はぐっと狭くなって、コフィン・レベルになります。

 コフィン・レベルとは固い岩盤に掘られたトンネルのことで、断面がやや棺型をしていることからその名がつけられています。人が1人歩ける程度の幅しかなく、高さは一般的に1.5メートルほどで、背の高い人は身を屈めなければなりません。


エドワード:1列縦隊で進まなければならないわけですな。
エドガー:マーチング・オーダーはどうする?

(先頭)エドガー-ダニエル卿-ヴァレリィ-エドワード(最後尾)で進むことになりました。
 いくつかの分かれ道がありますが、寄り道をすることなく南西へ向かう道をひたすらたどり続けます。
 途中、陥没穴に渡された不安定な足場を踏み外して転落しそうになったり、底知れぬ深淵から不気味な無数の羽音が聞こえてきたりして、冒険者たちは何度も肝を冷やします(そのたびに正気度判定をしました)。


GM:深淵を渡ってさらに進んでいくと前方が明るくなって、大きな広間になっています。その広間ではガリガリザクザクというドリルやシャベルによる採掘音がしています。そっと入っていくと、広間の長さは500メートル、天井は尖塔を含めた大聖堂がすっぽり入るほどの高さです。壁には銅鉱石による青緑色の縞模様が見え、それに沿って木製の歩道(キャットウォーク)が設えられています。そこに機械の蟻の身体に人間の頭部を取りつけたような姿のモノが無数に乗って、採掘作業を行なっています。
エドガー:ああ~。途中で見つけた壊れた奴と同じものか?
GM:初めて動いているクロックワーク鉱夫を見たので正気度判定です。
エドガー:成功!
エドワード:失敗!(コロコロ……)ふぅ~、正気度が0になってしまいました……。
GM:そうなると永久的狂気に突入ですね(笑)
エドワード:ここでヒーロー・ポイントを消費して、永久的狂気の効果を一時的狂気に下げておきます。(コロコロ……)効果は“震え”。正気度が全回復するまで、DEXに関連する技能が-20%になります。これでヒーロー・ポイントも0ですよ。
エドガー:キビシー……。
エドワード:恐るべし……。ヴァレリィ、〈応急手当〉してくれぃ(※ヴァレリィの〈応急手当〉により、エドワードの正気度ポイントは1まで回復しました)。錬金術の《癒しの接触をもたらすために》でさらに2ポイント回復させることはできますが……。
エドガー:使うのはここじゃないですかね?
エドワード〈元素発動(地)〉ロールに成功しなければなりませんが……(コロコロ、失敗)……。
一同:……。
GM:シビアだということが分かってきましたね(笑)
エドワード:……気を取り直していきましょうか!
GM:広間には数体の美しき民が飛び回って、その機械鉱夫たちに指示を出しています。さらに赤い軍服、つまりニューモデル軍の軍服を着た兵士たちが警備に当たっています。
エドガー:ああ! なるほど!
GM:なお、地上から10メートルくらいに浮かぶ、青緑色の球体によって広間は薄暗く照らされています。洞窟の中央には、静かにうなる大きくて奇妙な機械がありますが、それが何なのかは分かりません。それ以外にもトロッコや木箱、道具箱などが積み上げられているので、身を隠す場所には不自由しない感じです。
エドガー:隠れながら行く?
エドワード:奥へ行かないと、先へは進めないんだよね? 隠れながら進むか、強行突破するかのどちらかだけど、強行突破はないよね。
GM:隠れて進んでいく、と。そうなると単純に兵士側の〈知覚〉の問題かな……(コロコロ)……とりあえず、見つかることなく少し進めました。たどり着いた木箱の間で、1体のクロックワーク鉱夫と鉢合わせます。それは英語とドイツ語が混じったたどたどしい言葉で「どうか(ビッテ)、どうか(ビッテ)……お願いです。殺してください。私はあなたに危害を加えません。殺してください。私の愛を……最愛の……カトリーナに。そして殺してください。私を殺してください、お願いです」カトリーナはヴィカーズ島の代表者と同じ名前です。
エドワード:……願いを叶えてあげましょう。
エドガー:まあ、俺たちはドイツ人たちに依頼を受けてここまで来たわけだからね……分かりました、首を切りましょう。
GM:ザックリ……すると、ボディは痙攣を起こし、瀕死のハエのように無意識に走り回り、頭部は目を見開いて恐怖におののきながら声もなく叫び続けます。そして正気度判定です!
全員:(爆笑)
エドガー:ちょっと待ってよ~!
エドワード:失敗! -1になりました(泣)
GM:永久的狂気ですね。(エドワードが1D10をロールして)“被害妄想”。えーと、エドワードは美しき民に狙われているという被害妄想に捕らわれます。エドワードの派閥は“王党派”から“被害妄想(美しき民)”に置き換わります(笑)
エドワード:恐るべし……。教訓として、とにかく脇目も振らずに先を急がなければならないことを学びました。

 冒険者たちは発見されることのないまま、採掘中の広間を通り抜けることができました。
 その後も冒険者たちはダニエル卿の指示に従って南西に向かう道をたどり続け――