GM:12日目、ここでついにバーミンガムに到着です。バーミンガムには大規模なクロックワーク工房があって、そこで主に兵器を開発・製作しています。当然、工房へは関係者以外立入禁止です。
エドガー:スパランツァーニに「バーミンガムでの予定はどのようになっていますか?」と聞いてみます。
GM:(スパランツァーニ)「バーミンガムでは2、3泊しようと思っている。これから本格的に係争地域を旅する前に、皆には鋭気を養ってもらいたい。係争地域では補給もままならない可能性があるから、馬車の整備と、物資の補充をして、万全な体制で出発するつもりだ」
エドワード:ほほ~。
GM:この時代のバーミンガムはロンドンやケンブリッジのような大都市ではないので、宿は全員一緒になります。宿名は「センスのある宿名表」で決めて(エドワードがダイス・ロール……コロコロ……)“老人と鎌亭”です。
エドガー:おお、なんか、前日までの系列店と違って、落ち着きの感じられる宿だ。
GM:“老人と鎌亭”の酒場で食事となりますが、テーブル割りはケンブリッジと同じです。今回も同じく、スパランツァーニの卓には空席が1つあります。
エドガー:誰かたずねてきそうですね。
エドワード:またクロックワーク技師ですかね?
GM:「誰か来るかな~」と様子をうかがいながら食事をしていると、1人の男が酒場に入ってきます。それに気づいたスパランツァーニが「ビル! ビル・コックス、こっちだ!」と声をかけます。
エドガー:どんな感じの人物ですか?
GM:ビルと呼ばれたその男は、ケンブリッジのコッポラのように明白な地位の手がかりはなく、ごくありふれた風体をしています。スパランツァーニに近づくと、ビルは懐から小箱を取り出します。その小箱は金属製で歯車などがついており、わかりやすく言うと、それ自体がクロックワーク装置なのでしょう。ビルは「スパランツァーニさん、これが約束の品ですよ」と言って、箱をスパランツァーニに手渡します。ここで〈洞察〉ロールをしてください(エドガーが成功)。エドガーは気づきますが、ビルは何かに怯えているかのように、しきりに辺りを見回したり、突然勢い良く後ろを振り返ったりします。
エドガー:何かに追われているかのようにキョロキョロしている? 小箱の大きさはどれくらいですか?
GM:手のひらに乗る程度の、いわゆるリングケースほどの大きさです。スパランツァーニはコッポラに渡したのと同じくらいの報酬をビルに渡します。スパランツァーニが「席も用意してある。一緒にどうだ?」と食事に誘うと、ビルは席に着くことなく、出されたエールを一気飲みして「いえ。危ない橋を渡っておりますので、これで」と言って袋をつかむと、追われるように立ち去ります。
エドガー:どういう理由かわかりませんが、スパランツァーニはクロックワークに関わる何かを集めているみたいですね。
エドワード:うん。
GM:その後は来客もなく、例によってオリンピアが歌を歌ったり、止めたりして食事会は終わります。
クロックワーク関連の手がかりが見え隠れしますが、ジョン(※スペイン風邪罹患中)が不在なため、そこを掘り下げられない冒険者たちでした。これが後々響いてくる(以下略)
GM:皆さんは“老人と鎌亭”の2階にあるそれぞれの部屋で就寝しています。〈知覚〉ロールをお願いします(全員成功)。真夜中、宿屋の階段を上がってくる足音に気づきます。足音を立てているのは1人のようです。
エドガー:とりあえず武器を手に取ります。
エドワード:私も武器を抜いておきます。
エドガー:足音が扉の前に来たら、開けて部屋から出ます。ガチャ!
GM:すると、そこにいたのはビル・コックスです。しかし皆さんと別れた時と様子が大きく違っています。彼の頸の後ろから顔の下半分を覆うように、金属製のマスクが着けられています。それはおそらくクロックワーク装置です。
エドガー:え! そんなものがあるの!?
GM:ビルは涙と鼻水を流し、「うー、うー」とうめきながらエドガーの方へ手を伸ばします。マスクからはキリキリという歯車が回る音がしていて、おそらく彼の顔を徐々に締め付けている様子です。
エドワード:「大丈夫か!?」
エドガー:! マスクを外すには!?
GM:〈機械装置〉か〈工芸(クロックワーク)〉技能が必要になりますが、スペイン風邪流行により、今、手元にはありません。
エドガー:ジョン! どうしてこんな時に限って(泣)
GM:彼はロンドンの療養所で息も絶え絶えになっているはずです(笑)。騒ぎに気づいてスパランツァーニも部屋から出てきます。「何事かね!?」
エドガー:「クロックワーク装置によって、顔が締め付けられています!」
GM:スパランツァーニは物理学者なので、皆さんと同じく途方に暮れることしかできません。なすすべなく見守るうちに、「ゴキッ」と音がして、ビルはゼンマイ仕掛けのマスクによって顔の下半分を握りつぶされて絶命しました。ようやくここで正気度判定です。-20%でお願いします(※エドワードが失敗して5正気度ポイントを失いましたが、ヴァレリィの〈応急手当〉によって5ポイント回復しました)。
エドワード:ふーっ……。
GM:自分の部屋の扉のすぐ外にぼーっと立っていたオリンピアが、小声で弔歌を歌い始めます。なお、このマスクについてちょっとした情報を得るには〈知識(クトゥルー神話)〉技能が必要です。
エドガー:それもないよ! ジョーーーン!(泣)(※ジョンの派閥:新しき使命は派閥メンバーに〈知識(クトゥルー神話)〉技能を与えてくれますが、いない人のことをクヨクヨ考えても無駄です)
エドワード:続々とジョンが活躍の機会を逸していっていますな(笑)
GM:マスクはある一定の大きさまで縮むと、停止します。おそらく、こういう動作をするように作られた処刑道具なのでしょう。スパランツァーニは真っ青な顔をして、「――出発だ」とつぶやきます。
エドガー:夜なのに?
GM:彼は明らかに怯えていて、夜明けを待ちません。抑えた声ながらも強い調子で「出発の準備をしろ」と命じます。御者たちは慌てて服を着て馬車へと向かいます。ジェーン婦人はオリンピアを急かして準備を始めます。騒ぎに気づいて、宿屋全体が騒がしくなり始めます。スパランツァーニとしては、騒ぎに乗じて面倒事に巻き込まれないようにするつもりのようです。
エドガー:出発の準備をしましょう。こういうことがあったので、周囲には気を配ります。
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