シャードリー・ホールの謎


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GM:オックスフォードからシャードリー・ホールのある場所(ランカシャーの南端)までは半月くらいかかるそうですが、なんだかんだで6月17日の日曜日の昼頃に到着しました。
エドガー:どのような場所ですか?
GM:ド田舎で、少人数の集落が点在している地域の一角です。幹線道路沿いにあるわけではなく、意図的にここに来ようとする人がたどる道の先にあります。大きな樹々に囲まれた集落で、道の脇にはシダやワラビが伸び放題になっています。突き詰めれば“自然”という場所で、周辺には山というには小さすぎる丘、池の親分ほどの小湖があったりします。シャードリー・ホールというのは、実際にはこの集落を治める領主が住む館のことです。
エドワード:館へ行ってみましょう。
ウィリアム・カートライトGM:十軒ほどの建物が身を寄せ合う小さな村を横目に、ホールへ向かいます。館の扉をノックすると、使用人に続いて右足を引きずりながらウィリアム・カートライトが姿を見せ、皆さんを出迎えます。「よく来てくれた!」
エドガー:ウィリアムの具合はどうですか?
GM:笑みを浮かべて、元気そうに見えます。
エドガー:使用人たちの様子はどうですか? 友好的なのか、陰気な感じなのか?
GM:ジョンとメイのブリンドル夫妻が皆さんを友好的に歓迎してくれます。(ブリンドル夫人)「まあまあ、遠いところよくおいでくださいました。ウィリアム様のご友人の方々だそうで。歴戦の勇者様方とお聞きしていますよ」
エドガー:「ええ……まぁ」(笑)
GM:あとは敷地管理人のジョシュア・ポーアという男が挨拶に来ます。ジョシュアの方は、ブリンドル夫妻に比べると、あまり愛想が良い人物ではありません。(ジョシュア)「遠路はるばる、よくお越しくださいました。食事の用意ができております」
エドワード:「それはありがたい」

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ロジャー・アイルランドGM:食堂で軽く食事をしながら談笑していると、20代前半のハンサムな男性が館を訪ねてきます。彼はロジャー・アイルランドといって、シャードリー村から1マイルほど離れたリディエートという集落の領主の次男坊です。歳も近いので、ウィリアムとは親しく付き合っています。(ロジャー)「この方々が、君が話していた歴戦のご友人かな?」
一同:(笑)
GM:ロジャーも加わって、軽食を続けながら談笑します。談笑中には何人か使用人たちが出入りしながら給仕をします。話題はもっぱら昨今の戦争についてですね。ロジャーの父と兄は出征していて、彼が留守を預かっているそうです。この地は王党派が優勢なので、機械伝道師のジョンは居心地が悪いね(笑)
ジョン:「……むう」
GM:話の中でブリンドル夫妻はロジャーの紹介でシャードリー・ホールにやって来た新参の使用人であることがわかります。ブリンドル夫妻はシャードリー・ホールの2階に部屋をもらって住んでいます。ブリンドル夫妻以外の使用人たち7人は先代にも仕えていて、ジョシュアを含む古参の使用人たちはシャードリー村からの通いです。
ジョン:ブリンドル夫妻だけが、色のついていない、ウィリアム直下の使用人なわけですね。
エドガー:そうか、なるほど。そうなると何かギクシャクしたものがあるかもしれないな。
GM:ロジャーとも打ち解けて人心地ついた後、皆さんは2階の書斎の扉の前に案内されます。鉄の鋲が打たれた頑丈そうな扉です。(ウィリアム)「この書斎なのだが、鍵がなくて扉が開かないんだ」
エドガー:壊して良いのなら話は早いけど……。誰か鍵を開けるような技能は持っていなかったっけ?
ジョン:私が開錠道具を持っていますよ。〈機械装置〉は34%(※開錠道具を所持している上で〈機械装置〉判定に成功すると開錠できるルールです)
一同:う~ん、微妙だな(笑)
GM:ウィリアムが使用人たちに鍵の在り処についてたずねたところ、先代当主のエドガー・シャードリーがそれを持っていたとのことです。彼の死後、鍵がどこにあるのかを知る者はいなくなっています。(ウィリアム)「今日のところはここまでにしよう。扉をどうするか決める時間は、あとでいくらでもある」

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エドガー:差し支えなければ、館の周りを散策してみたいのですが。
GM:時刻は昼過ぎ、夕方前くらいなので、問題ないでしょう。ただし、ジョシュアから「東にある“日陰森”“ムシムシ山”のエリアには近づかないように」と警告されます。
エドガー:「それは何か曰くがあるのか?」
ジョシュア・ポーアGM:(ジョシュア)「余所から家畜を狙って侵入してくる家畜泥棒や密猟者、そしてニワトリを狙うキツネがいるのです。自衛のために、森と山には罠を仕掛けてあります」
エドガー:なるほど! 知らずに行くと罠にかかっちゃうってことか。
GM:西には小湖があって、南にはカトリックの礼拝堂があります。ただし、礼拝堂は火事で焼け落ちてしまっています。
エドガー:ではカトリック教徒なので、礼拝堂を見に行ってみましょう。途中村を抜けるようなので、ウィリアムが村人にどう思われているのかを探りながら行きます。
GM:村は11棟の小屋の集合体です。そのうちの6棟だけが使われていて、7棟目は馬を飼う厩舎を兼ねています。残りの家屋のうちの2棟は納屋として使われていて、あと2棟は屋根が崩れて廃墟になっています。それとは別に、敷地管理人ジョシュアの小屋があります。
エドガー:見かけた村人に挨拶をしますけど、応えてくれますか?
GM:ぺこりと頭を下げますけど、さらに話しかけようとすると忙しそうなふりをして立ち去っていきます。彼らからは「余所者とはあまり関わりたくない」という雰囲気が感じられます。
エドガー:歓迎してくれているのはウィリアムと、ブリンドル夫妻と、ロジャーくらいか。
GM:礼拝堂に到着すると、やはり廃墟になって久しいのでしょう、屋根は完全に落ちてしまっているし、床石の間からは草が高く伸びてしまっています。火事があったということでしたが、確かに内壁に焦げ跡があります。祭壇にドライフラワーが置かれていますので、いまだに誰かが通ってはいるのでしょう。あと、地下聖堂に続く階段があります。
エドガー:……墓へは準備を整えてから入ることにしましょう。
エドワード:前回(※「ファーネスに囁くものたち」)の教訓もありますからな(笑)

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リゼット・カーターGM:館に戻ると、夕食の準備ができています。夕食にはロジャーが同席します。給仕をしてくれるのはリゼットという名前の若い女性です。
エドガー:村の人? 愛想が悪い?
GM:いいえ、彼女は皆さんに明るく微笑みかけます。田舎の村にいるにしては、かなり垢抜けた美人です。
エドガー:時代劇で言うところの「ひなには稀な美形よのう」というやつですね。
GM:エドガーの「ネイズビーでは大活躍した」というホラ話に、リゼットは「まあ! 本当ですの!?」と良い反応を返してくれます(笑)
一同:(笑)
GM:ではここで〈忍耐力〉ロールをしてください。リゼットの色香に迷うか迷わないかです。
エドガー:成功! 前回成長させておいた甲斐がありました!
エドワード:失敗!
ジョン:成功です。
GM:(コロコロ……)リゼットの〈誘惑〉ロールはクリティカル成功なので、皆さん対抗ロールに敗北です(笑)。「可愛い娘だなぁ」と思いました。そんなリゼットの給仕を受けながら夕食は進んでいきますが、ある時点でウィリアムが「げほっ! ごほっ!」と咽喉を詰まらせます。ロジャーが心配そうに「大丈夫か?」と声をかけます。
エドガー:何か咽喉に詰まらせるようなものを食べていましたか?
GM:(ウィリアム)「何か変な味のするものがあったんだ。ブリンドル夫人を呼んでくれ!」リゼットに呼ばれたブリンドル夫人がやって来ると、「何か腐ったものが入っているんじゃないのか? 大切な客が来ているのに、このようなことでは困る!」と叱責します。
エドガー:我々も同じメニューを食べているんだよね? 大丈夫?
GM:皆さんの食べていたものには、そのようなものは感じられませんでした。そもそも胃が強いので、気づかなかった可能性もあります(笑)
ジョン:私の場合、食事ができれば御の字っていう現実もありますからね(笑)
GM:ブリンドル夫人は「すべての食材をもう一度点検いたします」と言って、恐縮して食堂を出ていきます。ウィリアムは「君たちの皿に異常はなかったか?」と顔を見回します。
ジョン:「大丈夫です」
エドガー:「私たちの方には異常はありません」
GM:ちょっと盛り下がった雰囲気で夕食は終わります。

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GM:夕食を終えて食堂を出て行こうとしていると、ロジャーが「少し話がある」と言ってウィリアムを呼び止めます。10分ほど2人で立ち話をした後、ロジャーは少し硬い表情をして「良い夜を」と言い、馬に乗ってリディエートへと帰っていきます。ロジャーと話した後、ウィリアムの様子は明らかに動揺したものになっています。
エドワード:「ロジャーが何か言っていたのかい?」
GM:(ウィリアム)「先代の幽霊を目撃した者が何名か、リディエートにいるらしい」
一同:「え!?」
GM:(ウィリアム)「シャードリーとリディエートをつなぐ道沿いを歩いているのを見たらしい。もちろん、単なる見間違いだとは思うが、何か不吉なことが起こらねば良いのだが……」
ジョン:帰っていったロジャーのことが心配ですね……まあ、慣れた道ではあるんでしょうが。

 この後、冒険者たちはホール2階にある客室を部屋割りし、就寝します。


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GM:夜寝静まったころ、エドワードの寝室にスルリとリゼットが入ってきます。
エドワード:「? こんな夜更けに何か用か?」
GM:(リゼット)「お客様には最高のおもてなしをするのがこのホールの習わしですわ」
エドワード:「ああ、そういう……」
エドガー:「ゆうべはおたのしみでしたね」っていう展開ですか。
ジョン:夕食時に〈誘惑〉にクリティカル成功されていますので、ふらっと行っちゃっても納得はできますね(笑)
GM:まぁ、よくある話です。
エドワード:相手にクリティカルで誘惑されているし、特に怪しむべき点は今のところはないので、おもてなしを受けます。
GM:「承諾すれば、とても楽しい時間を過ごすことになる」とシナリオに書いてありますので、とても楽しい時間を過ごしました。なお、翌朝目覚めると、既にリゼットの姿はありませんでした。