シャードリー・ホールの謎


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GM:今日は6月18日です。食堂に集まって朝食をとることになりますが、給仕係がレベッカという娘に代わります。リゼットの方が魅力的ですが、何となく彼女と似ている気がします。
エドガー:親戚か何か?
GM:(レベッカ)「リゼットは妹です。妹は忙しい夜を過ごしましたので、休んでいますのよ」と言ってウインクします。
エドワード:(笑)
エドガー:今日は2階の書斎の鍵の捜索をする予定ですので、その旨をウィリアムに伝えておきます。
GM:(ウィリアム)「よろしく頼むよ」

ライン

GM:食事を終えて、「さて、どこから探し始めるかな」などとホールに集まって話していると、ジョシュアが息を切らして外から飛び込んできます。
エドガー:ロジャーに何かあったかな?
ジョシュア・ポーアGM:! ビンゴです。(ジョシュア)「お話し中、申し訳ございません! アイルランド様と、その馬が死んでいるのが見つかりました!」
一同:えーっ!?
GM:シャードリー・ホールからリディエートへ向かう道の途中で、ジョシュアと、もう1人の別の使用人が発見したそうです。「馬が凸凹の道で転んだ拍子にアイルランド様を放り出してしまい、打ち所が悪くて死んでしまったのではないか」とジョシュアは推測しています。ロジャーの死を知らせるために、ジョシュアは同行していた使用人のトムを既にリディエート・ホールへ送ったとのことです。
ジョン:「現場に行ってみましょう」
GM:ウィリアムは「案内してくれ」とジョシュアに命じます。
エドワード:我々も行きましょう。
GM:現場へ向かう間、ウィリアムは終始落ち着かない様子です。リディエート・ホールへ向かう小道は乾燥した泥道で、両側に雑木が茂っている中を抜けています。この道がリディエートとシャードリーをつなぐ普段使いの道なので、ロジャーも使い慣れた道のはずです。
エドガー:別に変な道に入って事故に遭ったわけではないということか。
GM:現場に着くと、馬が不自然な角度に首をひねり、両眼を見開いて倒れています。ロジャーは数フィート離れた場所で明らかに死んでおり、腕はねじれ、頭部に大きな外傷を負っています。彼の周りの地面には血やほかの体液が飛び散っています。大きくまるまると太ったハエが、ブンブンと飛び回っています。ということで、-10%で正気度判定をしてください(※エドワードは4ポイント、エドガーが3ポイント失いました)。なお、ウィリアムはロジャーの死体を見て気を失ってしまいました。倒れるところをジョシュアが抱きかかえて介抱します。
エドガー:何か不自然な点はないですか?
GM:周辺を調べてみるということですね? 〈知覚〉ロールをしてください(エドワードとエドガーが成功)。小道の近くにある木の幹のそばに樹皮の一部が見つかり、地面から2フィートほどの高さで幹に溝が切ってあるのに気づきます。
エドガー:ああ!! ロープを張って馬の足を引っかけたのか!? 近くにロープのようなものは落ちていませんか?
GM:ロープは見つかりませんが、確かにそういう目で見ると溝はロープの太さに合いそうで、真新しく切られたもののように見えます。
エドガー:「これは――」
ジョン:「殺人の臭いがしますね」
エドガー:落馬は故意に起こされたのかもしれないけど、ロジャーの死体に不自然な怪我はありませんか?
GM:遺体を良く調べてみるということですね? では〈知覚〉ロールをお願いします(全員成功)。すると、もぞもぞと脳腔から大きな甲虫が這い出してきて下草の中に逃げ込んでいくのに気づいてゾッとしたので、-10%を受けた正気度判定をする必要があります(笑)
一同:嘘だろ!?(全員成功)
GM:おぞましい光景に肝を冷やしかけた後、〈応急手当〉〈治癒〉ロールをお願いします(エドガーが成功)。ロジャーの頭蓋骨の損傷が、落下による1回の打撃ではなく、3回あるいは4回の別々の打撃によるものであると、エドガーは確信します。
エドガー:つまり、落馬がトラップによって起こされ、落馬したロジャーに誰かが止めを刺したということ? 完全に彼を殺しに来たってことだよね。
ジョン:そうですね。
GM:ロジャーの死体の周りでそれを話し合っている皆さんは、〈知覚〉の1/2ロールをお願いします(全員成功)。では、皆さんは周辺には大きな岩がないことに気づきます。つまり、ロジャーに振るわれた凶器は持参され、持ち去られたのでしょう。そして、ロジャーと馬が倒れているのは道を外れた草むらなのですが、周辺には真新しいブーツの跡が、少なくとも2人分あります。
エドガー:足跡は追えますか?
GM:ブーツの足跡は小道へ上がったようで、そこから先は追えません。先ほども言ったとおり、小道は乾燥していて、足跡がついていないからです。道の端にウィリアムを寝かせたジョシュアが近づいてきて、「どうかされましたか?」とたずねてきます。
エドガー:今のところ誰が敵で、誰が味方か分からないからどこまで明かして良いものか……。
GM:(ジョシュア)「私は敷地管理人なので、もし密猟者たちがアイルランド様と争ったというのならば、シャードリー村の者たちに警戒を厳にさせる手配を取らねばなりません」
エドガー:「ロジャーが落馬の衝撃だけで亡くなったとは考えられない」
GM:ジョシュアは鼻の横を指で軽く叩きながら、周りを見回して声をひそめます。(ジョシュア)「……やはり、密猟者ですよ。普通じゃないんです、奴らは。何でもやるのです。アイルランド様の二の舞になりたくなければ、夜の外出は控えるのが賢明でしょう。使用人たちにも徹底します」
エドガー:密猟者のしわざだって言っているけど、目的は何だろう? 別に物取りってわけでもなさそうだし、なんでロジャーを狙って殺害したんだろう?
エドワード:ふ~む。
GM:(ジョシュア)「私が目となり耳となって、何かあったら皆さんにお知らせしましょう」そのようなことを話していると、馬に乗った一団が近づいてきます。ジョシュアが報せに行かせたトムが、リディエート側の住人を現場につれてきたのでしょう。リディエートの住人はショックを受けた後、皆さんに礼を言って、「以後の処理はリディエート側で行ないます」と丁寧に説明します。

 ジョシュアとトムが両側から肩を貸してウィリアムを担ぎ、一行はリディエートの住人たちと別れてシャードリー・ホールへと戻ります。
 冒険者たちはロジャーの死に様に疑問を覚え、罠を仕掛ける用意周到さや、事故に見せかけた殺し方から、密猟者のしわざというジョシュアの意見は間違いではないかと話し合います。シャードリー・ホールに内通者がいて、ロジャーを殺害させたのではないかと考えているのです。
 メタ的には分かりますが、この段階でシャードリー・ホールに敵(内通者?)がいると考えるのは、かなり偏執的です(笑)


GM:ホールに戻って「旦那様!」と言いながらブリンドル夫妻が駆け寄ってくると、ウィリアムは意識を取り戻します。ただでさえ悪い顔色が、今は紙のように白くなって弱々しく受け答えをするだけです。
エドガー:館の人たちにはどこまで話す?
ジョン:殺人であるという認識については共有して良いと思います。ジョシュアは密猟者のしわざだと言っていますが、我々としては密猟者のしわざではないと考えているというのも共有して良いと思いますよ。
GM:ロジャーの訃報を聞くと、使用人たちは驚いた表情を浮かべます。ジョシュアや皆さんの見立てについては特に意見を述べません。ウィリアムはジョシュアにロジャーの葬儀で手伝えることがあれば何でもするように指示した後、ブリンドル夫妻の肩を借りて自室へ下がります。
エドガー:ロジャーについてはこれ以上何もできないので、我々は告げていた通りに書斎の鍵の捜索をしましょう。
エドワード:そうだね。

ライン

 あまり箸の進まない昼食を終えてから、冒険者たちは書斎の鍵を求めて館を捜索し始めます。まず、冒険者たちは怪しげ(?)な地下室を最初に調べることにします。


GM:地下室はとても涼しい場所です。ワインや蒸留酒のボトルが積まれています。同じく目を引くのは鉄格子で仕切られた地下牢です。もちろん、今は使われていなくて、物置になっています。また、部屋の片隅には石積みがあって、それは井戸です。
エドガー:ははあ。なるほど。中を覗いてみます。
GM:ランタンを差し入れてみると、その光を7メートルくらい下にある水面が反射しているのが見えます。中を覗き込んでいる人は〈知覚〉ロールをしてください(エドガーとジョンが成功)。成功した2人は、井戸から風が吹き上がってくることに気づきます。
ジョン:……横穴がある? 中に降りて調べましょう。ロープを出してきて……誰が下りますか?
エドガー・マクドナルドエドガー:私が下ります。一応、ハチェットだけは腰に下げていきます。
GM:4.5メートルほど下りていくと、高さ1メートルくらいの横穴があるのが分かります。風はここから吹き出しています。
エドガー:ということは、ここは外につながっているんだな。横穴に入って奥へ進んでみます。
GM:3メートルほど進むと土が崩れて行き止まりになっています。風は土の隙間を抜けてきます。
エドガー:井戸の上に大声で現状を伝えましょう。「行き止まりになっているけど、少し突けば崩れそう!」
エドワード:「じゃあ、お願い!」
エドガー:「“じゃあ、お願い”って……」(苦笑)。ぶつぶつ言いつつハチェットで軽く掘ってみます。
GM:ザラザラと土が崩れてきて、エドガーの膝が軽く埋もれます。崩れてきた土とともに年代不明の骸骨が転がり出てきます。それは両足や頭蓋骨の一部に奇形があって、足先は蹄になっています。エドガーは正気度判定をお願いします(幸い成功)。これはおそらく取り替え子(チェンジリング)の骨ですね。
エドガー:ああ! 今回もまさか!?
GM:状態からして、骨は最近のものではないでしょう。さらに掘り進めることも可能ですが、そうするには機材をそろえた本格的な掘削作業が必要になります。
エドガー:……戻りましょう。引き上げてもらいます。
エドワード:「何か見つかったかい?」
エドガー:「見つかったよ。骨なんだけど、形状としては人間のものではなくて……」と詳しく説明して、全員に正気度判定を要求します(笑)
一同:道連れ(笑)

 冒険者たちはその後も館を調べ回りますが、膨大な数の歴代当主の肖像画があったり、館の古さに起因する謎めいた雰囲気が散見されたりはするものの、特に目ぼしいものは見つかりませんでした(塔の2階にこの時代には珍しい“望遠鏡”(ハンス・リッペルハイの刻印入り!)が設置されているのを発見したくらいでした)。
 結局、鍵は見つからず、冒険者たちは2階の書斎の扉の前に集まります。


GM:扉は鉄の鋲が打たれた頑丈なものではありますが、おそらくグレート・ソードを振るえば壊すことは可能です。あとは最初にも話に出ていたピッキングですね。
ジョン:やってみましょうか、鍵開け。
GM:開錠をする? それなら〈機械装置〉ロールをどうぞ。
ジョン:(コロコロ……)う~ん、微妙に失敗です。
GM:とりあえず、これで鍵を開けるという手段は尽きた感じです。ジョンは〈知覚〉ロールをしてみて。
ジョン:(コロコロ……)〈知覚〉は成功。
GM:鍵を開けようとして気づいたけど、錠には油が注してある。
ジョン:油が注してある? 誰かが最近も使っていることになりますね。「やっぱり誰かが鍵を持っているんじゃないのか?」
GM:先代当主のエドガー・シャードリーが持っているという話だったよね。今は幽霊として歩き回っているらしいけど。
ジョン:いやいや、今、館にいる使用人の誰かが隠し持っているんじゃないかってことです。

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レベッカ・カーターGM:館を一回りすると時刻は夕方です。ウィリアムはようやく起き出してきますが、夕食は食べられそうにないとのことです。それだけ言うと、彼は弱々しく自室に下がります。そうは言われたものの、軽くつまめるものを作って、レベッカがウィリアムの部屋に持っていきます。
エドガー:それを我々が持っていってはダメ?
GM:怪訝な顔をされますが、別に強く否定されることはなく、トレーを渡されます。
エドガー:扉越しに「何かを食べたほうが良いんじゃないか?」と声をかけてみます。
GM:部屋の中から返答はなく、シーンとしています。
エドワード:今日の調査の結果を扉越しに報告しましょう。芳しい結果は得られていませんが。
GM:反応がないので、そっと横からレベッカが扉を開けますが、ウィリアムはベッドに入ってぐっすりと寝入っています。
エドガー:聞いていない相手に扉越しに話しかけていたっていうのは恥ずかしいんですが(笑)
GM:(レベッカ)「この通りぐっすり眠っていらっしゃいますので、扉の外から難しい話を聞かせても無駄なのではないでしょうか……プッ」レベッカは懸命に笑いをこらえています(笑)。トレーを受け取ると、彼女がウィリアムの枕元にそれをそっと置きます。
エドガー:「具合の悪いところを起こすのも可哀想だし、報告は明日にするか」
エドワード:「今日は色々あったから、我々も休もう」

 その夜のリゼットの訪いの相手はジョンでした。初日にクリティカルで〈誘惑〉を受けたジョンはリゼットの奉仕を受け、画面は暗転し、翌日ホールの住人が「ゆうべはおたのしみでしたね」というセリフを表示させます。