
コールフィールド・プレースの怪現象への挑戦
チルマスター(以下CM):さて、皆さんはある館の前にいます。
スティーヴ:ダンジョンの前にいるモードですね?
CM:ダンジョンの前にいるモードです。現在いるのはコロラド州です。「とある幽霊屋敷を調査しなさい」ということでこの地に送り込まれました。調べるのは「コールフィールド・プレース」という土地です。ではプレイヤーの背景を読み上げます。「読み上げるように」とシナリオに書いてあるので。
一同:(笑)。
最初にコールフィールド・プレースを見た時、君たちは「何を大げさに……」と思った。君たちの前に建つ二階建ての館は19世紀の典型的なもののように見える:古く、崩れかかった、幽霊の出る――あるいはそのように言われている――ものだ。君たちのような熱心なSAVEの候補生には問題ではない、そう思える。
しかし、異常に冷たい秋風が四方八方から君たちに吹き付け、両目から涙が出て、どうしようもなく歯がガチガチ鳴ると、君たちの自信は萎え始める。震えがこの荒々しい風によるものか、それとも他の何か……目には見えず、耳には聞こえないが、感じる事だけはできるものによるものなのかは分からない。
4日前、アメリカ西部で最も著名なSAVEのエンヴォイ、マーチン・ベントレー博士がコールフィールド・プレースの怪現象の調査に君たちの力が必要だというメッセージを送ってきた。生涯に渡ってコロラド南西部に住んでいるベントレー博士は、物心付いてからずっと、コールフィールド・プレースで進行中の事件について聞き及んでいた。
館は1843年にジェイコブ・コールフィールドという男によって建てられた。ジェイクは当時、まだメキシコの一部だったコロラド地域を測量していたジョン・C・フレモントの5つの遠征隊の内の1隊と一緒に旅をしていた。同僚の測量技師たちとは異なり、コールフィールドはただ地域を探険したかっただけではなかった:彼は炭鉱を掘り当てたかったのだ。自分の隊から離れると、コールフィールドは後にコロラド州ドロラスとなる場所の北西部の下方に腰を落ち着けた。ジェイクはなけなしの財産をはたいて彼の最初の炭鉱を掘るために地元のメキシコ人農夫を雇い、炭鉱を見下ろす丘の上にコールフィールド・プレースを築いて、すぐに遠い親戚のマーサ・シンプソンと結婚した。
1846年になると、ジェイク・コールフィールドの成功した炭鉱は、他の鉱夫志望者たちをそのエリアに集めるようになった。腹を空かせた移住者が、その価値があると感じて、米ドルを得るために遥か遠くからやって来た。こうした鉱夫が、しばしば売買人や罠猟師が訪れる「コルトンコーナー」と呼ばれる小さな町を作った。1848年に合衆国に西コロラドが譲渡された時、コルトンコーナーは正式に町となり、コールフィールド・プレースは堂々とそのすべてを見下ろすことになった。
1848年9月13日、この小さな炭鉱の町を悲劇が襲った。コールフィールド炭鉱で落盤が発生し、10人の労働者、2人の現場監督、そしてジェイク・コールフィールドの頭上に何トンもの土が降り注いだのだ。遺体は一つとして回収されることはなかった:死亡者数は、その晩に家に帰らなかった炭鉱労働者の数で確定した。未亡人になったマーサは7ヵ月後に死ぬまで、コールフィールド・プレースで暮らし続けた。その運命の日の出来事を語る事なく、彼女は世捨て人として死んでいった。
コルトンコーナーが「ゴーストタウン」になるには長くはかからなかった。町から去る原因となったものについて口にする者はいなかったが、それ以来ずっと、コールフィールド・プレースに足を踏み入れるほど勇気のある好奇心の強い訪問者も、二度とそこへ足を踏み入れようとはしない。少なくとも、ベントレー博士は君たちにそのように言った。彼はこうも言った。コールフィールド・プレースは「百もの恐ろしい姿で死が住み着いた木造のミステリー」と言われている、と。
この不気味な館を見上げていると、これがすべて本当なのかもしれないと思える。昨夜、煤で汚れた若い鉱山労働者たちの夢を見た。その表情に絶望と飢えが浮かんでいた事は覚えているが、それがゆっくりと、不思議にも、まるで満足を感じているとも言えるような表情になった。そうだ、彼らは何かを見て満足を感じたのだ。彼らが見ていた回転する何かがグルグルと回って速度を上げるが、彼らの目が突然それを追うのをやめ、そこに恐怖が広がる……恐怖は君たちをも捕らえ、そして恐怖の悲鳴とともに君たちは飛び起きたのだった。
夢を思い出して再び震える。この家が君たちを“震えさせる”から、君たちは震えるのだ。あるいはもしかすると、君たち宛の手紙に書かれたベントレー博士の不吉な言葉を思い出すから、君たちは震えるのかもしれない:
「コールフィールド・プレースを調査して、一世紀分の恐怖の物語の原因を探し出し、その原因を破壊しなくてはならない。もし本当にコールフィールド・プレースにゴーストが住み着いているのなら、それは特定のアイテムや場所に結びつくものなのかもしれない。そのアイテムもしくは場所の破壊によってゴーストは追い払われる事がある。
「こうした難しい任務が、君たちがSAVEのメンバーに相応しいかどうかの判断となるだろう。
「幸運を」と手紙は締めくくられている。この不吉の要塞への最初の一歩を踏み出す時、幸運が君たちの側にあるようにと、祈る。
一同:う〜む。
ニコラス:コルトンコーナーの町自体には誰も住んでいないんだよね?
CM:町自体には、もう誰も住んでいません。
スティーヴ:コールフィールド・プレースは鉱山なの? それとも館なの?
CM:コールフィールド鉱山の鉱山町の名前がコルトンコーナー。その町を丘の上から見下ろす豪邸がコールフィールド・プレース(ジェイク・コールフィールドの地所)にあるコールフィールド館です。
スティーヴ:恐怖の場所というのは鉱山ではなくて、この館なんですよね?
CM:そうだね。
スティーヴ:館と鉱山が繋がっているとかもありそうですね。
CM:(……鋭い)
ニコラス:館の現在の所有者は誰なんですか?
CM:所有者はいません。
スティーヴ:じゃあ、州が所有者かな。
CM:コルトンコーナーは既にゴーストタウンと化しているので、住む者のいない館に押し入った所で誰にも見咎められません。
スティーヴ:館をパッと見た感じでは、全然整備はされていないんですね?
CM:うん。館は地上二階建てです。
トム:「鍵はかかっているかな?」。
スティーヴ:「中に入る前に館の周囲を回って扉の位置と数を確認しておこう」。
トム:「扉と窓か」。
スティーヴ:「逃げ道をいくつか確保してから入ろう」(笑)。
館の外側
三日月が君たちの真上にかかり、君たちの影が不気味な建物の正面玄関にまっすぐ伸びている。雲は凄い速さで空を横切り、家と庭に影を落としている。
ニコラス:俺たちわざわざ夜に調査に来ているの!?
CM:(くらら)「いい塩梅ね!」って感じです。
一同:(笑)。
CM:で、雑草が繁って荒れ放題の館の周りを回ってみる、と。当然窓はいくつもありますが、すべて外側から板打ちされてしまっています。幸い、玄関だけは板打ちされていません。
ニコラス:《アンノウンの感知》をやってみるべきなのか?
スティーヴ:お? やりますか? この《アンノウンの感知》ってどうやるものなんですかね? これってアクティブなものなんですか? パッシブなものなんですか?
CM:基本的にアクティブなもんです。前提条件もコストもないけど《アンノウンの感知》もアートの一種だからね。「《アンノウンの感知》をします」と宣言して使います。
スティーヴ:なるほど。精神集中は必要なわけですな。
CM:ゲーム的に言うと、《アンノウンの感知》は館に入ってから行うものです。
スティーヴ:裏口はないですか?
CM:裏口らしきものは東側にあったけど、厳重に板で封鎖されています。
スティーヴ:……釘を抜いて開くようにする事はできませんか?
頑丈な木の板が家のすべての窓と東側の扉を覆っている。正面玄関以外からのコールフィールド・プレースへ入るすべての試みは、多大な時間と労力を費やして、そのいずれをも浪費する事になる。
CM:――とシナリオに書いてある。
トム:(笑)。
スティーヴ:分かりました(笑)。「これは頑丈すぎてダメそうだな」。じゃあ、正面から行きますか。
トム:うむ。
ニコラス:それしかなかろうね。
スティーヴ:「じゃあ、ニコラス、頼む」。
ニコラス:「俺に任せとけよ」。ガチャリ。
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