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【召喚】
GM:では夜になります。城壁の遥か向こう側に焚き火がいくつも見えます。夕焼けは眩しかったのですが、月は雲が隠してしまっています。
クランデール:でも、夜がヤバイんでしょ?
ティスマン:そんなようなことを言っていましたね。
ジンジャー:う〜む。
GM:まぁ交代で食事を済ませたりして、見張りに立つわけですが、ソーン側の陣営に夜半すぎに物凄くデカイ焚き火がたかれます。
クランデール:ん? 何かの儀式?
GM:そんな感じくさいです。明かりを灯すため、暖を取るための焚き火ではないようです。半端じゃないデカさの火が焚かれています。
クランデール:……カカタルか?
GM:それとはちょっと違うようです。では<観察>ロールを。……(クランデール&ジンジャーが成功)成功した人には火の前で両手を上げて立っているのがソーンだということが分かります。ソーンの両側には杭が一本ずつ打ち込まれていて、それぞれにもがく人影が縛り付けられているのが分かります。
ティスマン:……あ! 暗殺者か!?
GM:昨日の晩に出発した暗殺者の兄妹ですね。そしてソーンはあなたたちにも聞こえてくるような朗々とした声で何かを詠唱し始めます。持っている人は<召喚>ロールをどうぞ。
クランデール:このために俺はいるわけですね? おりゃ!(コロコロ)成功!
GM:ソーンは非常に強力な何かを召喚している模様です。
クランデール:デーモン?
GM:かもしれませんねぇ。空を緑色の稲妻が駆けると、雲がサーッと晴れます。雲間から満月が顔をのぞかせると、業火に雷が落ちます。すると、まるでCGのように空気がブヮンと歪みます。空間が歪んでいるようです。
ティスマン:はいはいはい?
GM:その歪みから、ずるり、と2本の巨大な触手が伸びてきます。SANチェックものですね、クトゥルフで言えば。
クランデール:「な、何だ、あれは!?」
GM:その触手がスッと生贄(※暗殺者たち)を撫でるように動きます。すると杭だけが残って、縛り付けられていた二人の生贄の姿が消えます。「ん? 何だ?」と思っていると、ドーン! という音がすぐそばから聞こえてきます。
クランデール:すぐそば!? 城壁の中で?
GM:そうです。守衛詰め所の屋根に何かが落下したみたいです。
ティスマン:はいはいはい?
GM:それはグニャグニャに身体が曲がった、2人の暗殺者です。
ティスマン:死体か!
GM:上から降ってきたわけですね。ドベ、ベシャって感じで、さらにSANチェックといった所です。
クランデール:何なんだ? で、その触手は?
GM:空間からずるっと、さらに何かが出てきます。触手は、恐らく両腕だったんでしょう。ずるりずるりと出てくるのは、巨大なザリガニのような怪物です。ただし、腕がハサミじゃなくてイカの触手になっています。ちょっち旧支配者みたいな感じですね。
クランデール:SIZは結構デカイ?
GM:110くらいかな。
一同:(苦笑)。
GM:いわゆる上級デーモンですね。皆さんが戦ったことがあるといえば、『時の砂漠』のヌールガーシュ以来ということになるでしょうか。使役できる下級デーモンとは一線を画す存在です。あれがソーンが崇拝するデーモンの内の1体なんでしょう、きっと。腐った海草の放つ悪臭が風に乗って届きます。ルルイエから来たような臭いです。全身を現すと、まるで隔てていた距離がなかったのように「あれ?」と思う間に目の前に迫っています。
クランデール:城壁の!?
GM:そうです。で、触手がドカーン! と打ち下ろされると、城壁がガラガラと音を立てて崩れていきます。
ティスマン:あーあーあー。
GM:中央広場にいたパン・タン人たちもさすがに浮き足立っています。皆さん、持ち場にいたままだと……。
クランデール:危ないねぇ。降りましょう。城壁の上にいてもどうしようもない。
ジンジャー:とうっ! と奴の上に飛び乗って戦うという剛の者はいないわけですな(笑)。恐竜って感じですかね。
GM:兵器ですね。ドカーン! ドカーン! と城壁をいとも簡単に崩していきます。
ティスマン:「さぁ、よろしくお願いします、パン・タン人の皆さん!」
GM:「尊大なパン・タン人たちでさえ、巨大なクリーチャーの前に恐怖を感じているようです」とシナリオに書かれています。
ジンジャー:(笑)。
ティスマン:「……行きますか!」
クランデール:「勇気とはこういうものだっ!」
GM:いやいやいや、それは無謀といいます(笑)。
一同:(笑)。
ティスマン:「俺たちの蛮勇を称えてくれ!」
クランデール:自ら蛮勇と言い残す(笑)。さて……。
GM:絶望的な状況で「無謀な戦いを挑むしかないか!?」という所で、城壁から逃げてくる弓兵や戦士たちの波に、1人だけ逆らって上って行く姿があります。
クランデール:誰?
GM:ドンブラスの司祭であったトロカーです。トロカー・ヴァルロンが力天使アックスを振り回しながら城壁の上に「ぬぅん!」と仁王立ちになります。「おおおおおっ!」と今まで聞いた事のないような力強い雄叫びを上げると、崩れる城壁をルパン走りのように巧みに駆け抜けて、ザリガニイカの前まで来ると、とうっ! と虚空に身を躍らせます。そしてザリガニイカの背中に力天使アックスの渾身の一撃を打ち込みます。
一同:おお!
GM:ズブズブとまるで沈んでいくかのようにトロカーの姿は見えなくなります。するとそこからブシューッ! と黒くて酷い臭いの体液を吹き上げて、ザリガニイカが苦しみ始めます。
ティスマン:おおお!
GM:再びブヮンと空間が歪むと、ザリガニイカは出現時のVTRを巻き戻すかのように尾の方から空間の中へと後退していきます。触手の先までが空間に消えると、そこにはズタズタになったトロカーだけが残されています。「トロカーを回収してやってくれ!」というガルジャーンの声が響きます。
ティスマン:行きましょう!
ジンジャー:「俺たちに力天使アックスを!」(笑)
GM:力天使アックスはなくなっています(笑)。
クランデール:もう死んでんの?
GM:いや、虫の息ですけどまだ生きています。「<混沌>に侵されてはならぬ。<法>こそ、ドンブラスこそが正しいのだ……!」と、<法>と<混沌>の哲学について遺言を残して事切れます。
アラックがトロカーに「祝福を!」と言って握手していたことを思い出しますね。彼の言うとおり、トロカーは死んだようです。
一同:う〜ん。
GM:でかいデーモンはいなくなったものの、城壁が崩れたので、当然部族民たちが鬨の声を上げて突撃してきます。まぁ、綺麗さっぱり更地になったわけではないので、パン・タン人たちが前に出張って迎え撃ちます。ほとんど乱戦状態です。
ティスマン:ですよねぇ。
クランデール:「楔形を保つと良いですよ」と一応アドバイスを与えます(笑)。
GM:蛮族に比べるとパン・タン人たちの方が圧倒的に強いんですけど、敵は数が半端じゃないので、圧倒されるのは時間の問題でしょう。
ティスマン:俺たちはソーンを何とかしなきゃいけないし、どうしても神託の裏切り者ってのが気になるし……。
GM:そうこうしていると、ストーンがあなたたちの方向へ走ってきます。ストーン「ソーンを探せ! シャーマンを殺すんだ!!」
ティスマン:まぁ、そうなるよな。「行きますか」
GM:ではここで<観察>ロールを。
ティスマン:成功。
GM:しばらく蛮族とちょろちょろ戦ったりしていたんですが、ソーンの姿が見当たらないことにティスマンは気づきます。ソーンは今まで結構目立つ場所で指示を与えたりしていたはずなんですが、取り巻き連中と一緒にその姿が見えなくなっています。
ティスマン:ソーンが侵入してきて、じゃあどこを目指すかってことですよね。……神殿?
ジンジャー:神殿か、司令部のどっちかでしょう。
ティスマン:司令部は「自分らで何とかせい」って感じですよね。でも今、神殿は空ってことでしょう? ……行ってみますか?
クランデール:まぁ、そうなんだけど、神殿には例の……。
GM:火の玉がいますねぇ。
ジンジャー:でも取れる行動っていえば、やっぱり神殿の前で待っていることくらいじゃないの?
ティスマン:他にできそうなことっていうと……。
GM:乱戦に参加することくらいですかねぇ。
クランデール:神託の内容から考えて「死者の脳の中」ってのは頭蓋骨のことを言っているとするのが単純なので、騒動にまぎれてソーンは頭蓋骨に侵入したと考えられるのが妥当でしょう。
GM:じゃあ行ってみるということで。では<観察>ロールをしてみましょう。(ティスマンとポンパドゥールが成功)えーと、まず司令部の塔の明かりが消えちゃっています。
ティスマン:お? そっちか? 声はするんですか?
GM:しません。少なくとも誰の姿も見えません。で、頭部へ続く石段を駆け上がっている一団にも気づきます。ポンパドゥールが「あそこを見て!」と指差します。
クランデール:誰ですか?
GM:恐らくソーンでしょう。そしてガルジャーンとアッシュらしき人物が人質のような感じで引きずられています。
クランデール:なに捕まってんだよ(笑)。
GM:ちなみに、ソーン一味は20人です。
ティスマン:多勢に無勢ですか。
ジンジャー:ブルー・レディを呼ぶか?
GM:でも乱戦の中ではブルー・レディの部隊が1/4位を受け持って奮闘しているので。
ジンジャー:ブルー・レディを呼んじゃうと均衡が崩れるか。
クランデール:いや、ソーンさえ倒しちまえばどうにでもなるんで、シルフで声を送ってブルー・レディを呼ぶ!
ティスマン:いや、もう、良いんじゃないですか、俺らだけで行っちゃって?
クランデール:そう?
ティスマン:現状、乱戦の中で1/4をブルー・レディが引き受けてくれているわけでしょ? 有象無象の敵とはいえ、1/4を引き受けてくれるんだったら、任せた方が確実でしょう。後はパン・タン人たちがやってくれますから、乱戦は全部任せちゃう。俺らはメインの所へ行けば良いでしょ。(※相変わらず素晴らしい読みです)
クランデール:ん〜、まぁ、そうだね。
GM:では行くってことですね。ちなみに、どうしますか、装備は?
ジンジャー:俺らデーモン・アーマー脱ぐの?
クランデール:奴らはどうするんだろう?
GM:デーモン・アーマー、着ていないんじゃないですか?
ティスマン:ソーンはどうなんですかね? イラストで見る限りは明らかにデーモン・アーマー着てましたけど。
ジンジャー:呪歌が唱えられればそれまでだし。
ティスマン:ソーンの鎧には顔がついていたから、それが呪歌を歌うんじゃないですかね?(笑)
クランデール:我らは置いていきましょう。
ティスマン:そうなると、通常の武器で行くしかないか。
ジンジャー:とりあえず武器職人のラザラスの所へ行きましょうや。
GM:ではミザムが現れて、人のいない通りを案内して鍛冶屋まで導いてくれます。ミザム「≧▽≦こっち、こっち!」。鍛冶屋に着くと、まるで分かっていたかのようにラザラスが武器と鎧を用意してくれていました。
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