赤い嘲笑

 挑むような瞳で、見上げる女。
 涙を浮かべつつも、その表情には微塵も弱さを感じさせない。

 無理な格好を強いられる肉体的な痛み、蝋燭の熱さによる感覚的な痛み、自分の惨めな姿を晒すことによる心理的な痛み。全てが彼女を屈服させるために必要以上の責めを加えているはずなのに、なかなかしぶとい。

 いわゆる「あぐら縛り」という拷問の縛り方だが、普通の座禅のポーズから縛るのではなく、両足の平を向かい合わせで縛り、その縄を両肩をとおして、後ろ手に結び付けているので、さらに苦しい姿勢のはずだ。

 俺は、彼女の周りに置かれた蝋燭の一本を手に取ると、赤く照らし出された体に向けて、ゆっくりと蝋燭を傾けた。
 足、太股、背中、乳房。体のあらゆる部分を、蝋の赤で残らず埋め尽くしていく。
 乳首とその周りは既に何度も蝋を浴びせているので、さらに新鮮な刺激を加えるべく、指先で乾いた蝋をペリペリと落とし、むき出しになった乳首に、さらに蝋を塗り重ねていく。

 執拗に加えられる肉体的な痛みに、身体が反応しないわけが無い。さすがの彼女も、心の中とは別に、その熱さに悶え苦しんでいるはずだ。

「気分は?」

 熱さと痛みで意識が朦朧とする中、彼女は首をめぐらせて、俺をにらみ返す。

「・・・」

 脂汗が首筋から滴り落ちている。背中の痛みがかなりこたえているらしい。

「お前、本当はこういう事されるのが好きなんじゃないのか?」

 その途端、彼女の目から悔し涙が溢れた。
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