ここまで、VCTとかVVFとか、何の説明もなく、周知の語彙のように、使ってきました。2CTと記号されるケーブルを説明するに当たり、これらを含む、いわゆる、電線用語について、少し触れておいた方がよさそうです。
でも、簡明で要領を得た素晴らしい解説を見つけました。[
JUNK AUDIO]さんの[
JAの「電線音頭」]というページです。ここをお借りしましょう。
JAさん曰く、
”今日、HCを除いてみたら、「CT]と言うケーブルをみつけました。ゴム絶縁キャブタイヤケーブルです。とてもぶっとく、頑丈そうです。記号から類推するに、これがキャブタイヤの元祖ではないでしょうか?” (原文のママです)。
そうか、だから、ヴィニル絶縁だとVCTなのか。
では2CTとは何か。
軒下にぶら下がっている[電線見本の板]を、何枚か、くるくる廻して、やっと、スターカッドに使えそうなケーブルを見つけました。
「この2スケの4芯と1.25の4芯を2mずつ」
包んだ袋は、ずしりと重く、手応え十分です。
「この黒い材質は何ですか」
そんなことも知らないで買うのかい、という顔をして
「ゴムだよ」
げっ、ゴムだって。長岡先生は言っていました。
「ゴムはゴム臭い音がした」
切ってしまったものは、しょうがない。いまさら返せない。
これも、何かの縁です。
持ち帰って、一寸、剥いてみると、銀色の線が出てきました。値段からして、スズメッキでしょう。
一晩すると、部屋全体に、ゴムの臭いが充満してしまいました。
なにより、このゴム臭を退治する方法を開発することが先決です。
1.ケーブルの両端を自己融着テープで覆い、完全に、防水する。
2.このケーブルをプラスチックのタライの中にトグロを巻かせる。
3.トグロが隠れる位まで水を浸す。
4.適量の非塩素系アルカリ性液体洗剤(例えば、マジックリン)を加える。
5.2,3日すると緑茶色になる(ならなければ洗剤を追加する)。
6.緑茶から紅茶、さらにコーヒーになったら(約1週間)、ケーブルを取り出す。
これで、鼻を、ケーブルから数センチに近づけて、やっと、感知される程度まで、除臭できています。
さて、本題の2CTの説明に進めましょう。
キャブタイヤケーブルは、移動用ケーブルの総称として用いられています。
CTなる記号はキャブタイヤを示し、その前に、数字やアルファベットを置いて、そのキャブタイヤケーブルの種類を表します。
2CTは天然ゴムを絶縁体およびシースとする2種天然ゴムキャブタイヤケーブルです。
1CTと記号される1種天然ゴムキャブタイヤケーブルが、別に、ありますが、1種は屋外では使用できません。2CTは、1CTと比べ、天然ゴムシースの外傷に対する強度を増しています。
両CTの特徴として、スズメッキ銅線が使用されています。銅線では、天然ゴムの加硫工程で酸化されるためです。
VCT(ビニルを絶縁体とシースとするキャブタイヤケーブル)は、摩耗、衝撃、引き裂き試験がなく、機械的外力がほとんど掛からない用途に、また、ビニルの低耐熱性から、熱的に影響を受けない環境で使用されます。
2CTとVCTの違いは、
1.絶縁体とシースの材質が異なる
2.スズメッキの有無
に加えて
3.絶縁体とシースの厚さが異なる
ことが挙げられます。
例えば、線径が3.5^2mmで2芯の2CTとVCTを対比すると、
絶縁体厚さ(mm) 仕上外径(mm) 質量(g/m)
2CT 1.1 13.4 262
VCT 0.8 11.8 202
であって、JAさんの仰る通り、2CTがぶっとくて、頑丈そうなことが理解できます。
その他の線径や芯数のケーブルの数値については、株式会社三ツ星の[
このページ]に入り、そこで、2CTなりVCTなりをクリックしてください。
VCTや2CTに限らず、まだまだ、美味しそうなケーブル(オッと、耐圧300Vのコードを除外する根拠はありませんね)がありそうです。
アキバに出たとき、宝くじを買う気分で、これは、と感じたケーブルを、2mだけ切ってもらうのも、一興ではないでしょうか。