ハンディスペアナPAA3のSETTING(設定)の項目の中にRESPONSE TIME(レスポンスタイム)というのがあります。
取説には
35ms : 非常に早い(爆発音など)
125ms : 早い
250ms : 中間
1秒 : 遅い
との記載だけあって、その使い分けの指示がありません。
そこで、その設定(RT)を変えて、SUT-200のF特(軸上1m)を測定しました
(ピンクノイズは爆発音ではなさそうだから35msは省略)。
1) 1秒
2) 250ms
3) 125ms
この3者を比較すると、RTを短くすると、リアルタイム分析値(棒グラフ)はその凸凹が大きくなり、ピークホールド値(横線)との乖離も増します。
RTが短いと、棒グラフはピコピコと、刻々、激しく変動しますから、これは予想される結果ですが、RTとピークホールド値の関係はどうでしょう。
25 31.5 40 50 63 80 100 125 160 200 1k (Hz)
1秒 53.8 66.0 63.8 66.5 64.4 74.9 66.1 78.0 68.3 67.1 72.1
250ms 55.5 67.0 65.9 69.3 65.9 76.3 67.8 78.8 68.6 67.6 71.8 (dB)
125ms 56.6 67.8 65.5 70.5 66.5 77.3 68.9 79.5 69.3 68.6 72.3
一瞥して、ピークホールド値はRTの影響を受けないように見えますが、250msがよりフラットのような気もします
(取説には、通常PAA3のキャリブレーションは不要だが、異常のときは250msに設定して行う、との記載あり)。
では、これら最新のSUT-200のF特と、FE208ESのそれを対比しましょう。
200Hzから上をみると、両者はソックリ。特に、4kHz付近の持ち上がりには、思わず笑ってしまいます。
200Hzから下では、SUT-200の80Hzと125Hzが注目されますが、これらは測定距離によって変化しますので、ユニットからの直接音と開口部からの音との干渉、あるいは、部屋の影響と思われます。
で、ピークホールド値で見る限り、SUT-200は、200Hzから31.5Hzまでフラットで、FE208ESにおけるその間の20dBを超えるダラサガリを見事に矯正しています
(D-55やD-58などに認められる二つのディップは、勿論、ありません)。
続いて、L+Rの特性を見ましょう。
SUT-200を2mの間隔、等辺が3.4mの三角形上に配置し、マイクを頂点から底辺への垂線上、ユニットと同じ高さ(ユニットとの距離2.4m)に置き、T500A(コンデンサーは1μF、正相接続)併用で測定。
4) 1秒
5) 250ms
6) 125ms
この3者の測定結果は、先の軸上1mでのそれと、概ね一致しています。
ただ、ピークホールド値を見ると、60Hz以下のレベルは、若干下がっていますが、25Hzまで、シッカリ伸びています。
C-290VのCOMPENSATOR(聴感補正)ボタンを押して低域だけを増強(100Hzで+3dB)すると、F特はフラットに近づくものの、聴きなれた音楽ソフトには低音過多、不自然になります。
以上から、SUT-200では、ハコの中のチューニングは、F特的には、ひと段落したようですが、そのセッティングの検討が今後の課題です。
PAA3のレスポンスタイム設定には、リアルタイム分析を重視するときは、1秒、ピークホールド分析を重視では、250msを選択すると良かろうかと思います。