幻の馬・トキノミノル
東京競馬場のパドックでこの像を目にした方はいるだろうか。待合場所にも大変使いやすい場所にあるのだが・・・。

トキノミノル像 まだ日本製品に
「Made in Occupied JAPAN(占領下日本製)」
と表示されていた1951(昭和26)年、10戦して無敗のまま第18回東京優駿(日本ダービー)を制した馬がいた。

彼の名はトキノミノル。このページの主人公である。

父はセフト、母は第弐タイランツクヰーンという血統であった。

彼はそれまでに皐月賞も制しており、東京優駿制覇により、無敗の二冠馬という栄冠を手にしたのである。

近年の有名な二冠馬・三冠馬と成績を比較してみると、どうであろうか。

皇帝シンボリルドルフと、その後度重なる骨折とも戦い続けたトウカイテイオーの親子や、 度外れた肉体のミホノブルボンですら6戦6勝で (このパターン、意外に多かったのね・・・) 、白いシャドーロールの三冠馬ナリタブライアンも11戦8勝での制覇であることからも、 彼の成績は並外れたものであることが窺い知れる。

もっとも、当時は連闘(2週以上連続でレースに出ること)も珍しくはなかったのだが・・・。
馬霊塔 しかし、栄光の真っ只中にいた彼に突然病魔は襲いかかった。

東京優駿を制した5日後、体調が悪化、調教師以下スタッフによる懸命の看病の甲斐もなく、破傷風から来る 敗血症により、1951年6月20日22時34分、この世を去った。享年、わずか4歳、まさに「幻の馬」であった。

その後、東京競馬場そばの馬頭観音に隣接する墓地に埋葬され、 1984(昭和59)年、顕彰馬制度が成立すると同時に、 その第一期の1頭として、セントライトシンザンとともに称えられることとなった。

そして今、彼のブロンズ像が東京競馬場のパドックを静かに見下ろしている・・・。

トキノミノルが見下ろすパドック
参考文献
競馬の殿堂パンフレット (JRA競馬博物館)
競馬歴史新聞 (日本文芸社・1998年)



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