Averoigne

 アヴェロワーニュはクラーク・アシュトン・スミスの創造した中世フランスの一地方です。邪悪な魔術師や魔女が跋扈し、邪教の影響が色濃く残る地ですが、ラヴクラフトのアーカムやインスマスに比べると多分に幻想寄りです。魔術は畏怖の対象として厳然と存在しており、異端審問官の目が光る時代にあっても、正邪様々な人々がその力を頼りにして策略をめぐらせています。ローマカトリック教が広く信仰されているものの、ご多分に漏れず、神話的存在にはまったく無力です。

 アヴェロワーニュはフランスの南部に位置しています。その地域の北半分は壮麗な大聖堂を持つ城塞都市ヴィヨンヌによって治められています。南半分にはクシムの町があります。アヴェロワーニュの街道「王の道(キングズ・ハイウェイ)」が、地方の大半を覆う鬱蒼とした暗い森の中を抜けてクシムとヴィヨンヌを結んでいます。
 地方の北部にある山岳地帯からはイゾワール河が流れ出し、南部にある沼沢地帯へと流れ込んでいます。
 「王の道」およびイゾワール河沿いには大小さまざまな町や村が点在しています。
 地方の大半を覆う鬱蒼として暗いアヴェロワーニュの森の中には、魔女の住む塔や怪物が徘徊する廃城がその姿を隠して潜んでいます。森の中には吸血鬼や狼人間などの怪物、サドクア(=ツァトゥグァ)などの邪神に生贄を捧げるために暗躍する狂信者たちが跳梁跋扈しており、とても危険です。特に夜は。

 アヴェロワーニュでの物語はアーカムでの物語同様、ゾッとする結末で締めくくられることがほとんどですが、スミスの作品の特徴として、結末に奇妙な笑いが伴います。愉快な笑いというよりは声には出せない苦笑なのですが、その苦笑こそアヴェロワーニュという架空世界を最も良く表すものなのです。

アヴェロワーニュ年代記 CoCにおけるアヴェロワーニュ
アヴェロワーニュの地図 リプレイ「惡心」 付録:同人誌


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