苦き追憶

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予知夢


チルマスター(以下CM):今回の舞台はボストンになります。スティーヴは所用により今回の任務には参加できません。
ニコラス「あいつ、すぐに逃げるんだよな……」。
トム(笑)。
CM:代わりにボストンで活動しているエンヴォイ、リチャード・キンブリーが協力してくれます。そうですね、SAVEの訓練コースで一緒だったということにしましょう。
リチャード今後はNPCとしてレギュラー登場する予定です。
ニコラス(笑)。
CM:冒頭で《千里眼/予知夢》を使って「こんな夢を見たんだ!」と電話参加が予定されています。
一同:(笑)。

CM:さて、リチャードは早速《千里眼/予知夢》を振ってみてください。
リチャード(コロコロ)成功。
CM:君が見た暗示的な夢の内容を今から読み上げますが、まだメモを取ってはダメです。リチャードの《千里眼/予知夢》は「師範」レベルなので、読み上げてから3分後からメモを取ることができます。
ニコラスこれはプレイヤーの記憶力が必要なディシプリンだからね。
リチャードえ!? これって実時間で3分後なの?
CM:そう。キャラクターではなく、プレイヤーの能力が問われるのです(笑)。なるべく早口で言うよ?
トム(笑)。
ニコラス集中、集中。
リチャード……よし来い。

 君は船に乗っている。船は海を漂流している。君は何かを失くしている事に気付いた。君は船の中を走り回り、半狂乱になって失くした物を探す。それはどこにもない。それがどこにも見つからないとなると、君はいっそうパニックに陥る。君は廊下を走ってドアを開けて回る。ドアを開けたすべての部屋の中に、誰か他の人の腕に抱かれた昔の恋人がいる。しかし、それは重要な事ではない。君には見つけなくてはならない物がある。振り向くと、君は自分が水中にいて、それに向かって泳いでいる事に気付く。もっと速く泳ごうとするが、進みは遅いままだ。突然、君は間違った方向へ進んでいる事を悟る。それに向かって方向を変えようとするが、君を掴む無数の手によって、向きを変えられてしまう。手から逃げなくてはならないが、それができない。君が悲鳴を上げると、世界は粉々になる。冷や汗をかいて、君は目を覚ます。

ニコラス……楽勝だな。
リチャード話しかけるな(笑)。
CM:(リチャードに向かって)最近どう? 娘さんとか?
トムヤバイ、嫌がらせだよ(笑)。
CM:アンノウンのしわざです(笑)。……それ、3分経ったぜ。トムとニコラスはヒントを出しちゃダメですよ?
リチャードよし!(※リチャード、内容を思い出してメモを取る。他の面子(CM、ニコラス、トム)は『ONE PIECE』の麦わらの海賊団の新しいデザインの違和感について雑談を始める)……うん、こんなもんかな。「ナミの長髪には違和感をぬぐえない」、と。
一同:それかよ(笑)!



ボストン連続怪死事件


CM:皆さんはボストンのSAVEの統括者リチャード・ブラックウェルに呼び出されました。全員が揃うと魅力的な若い秘書がオフィスの中に案内します。オフィスは手入れが行き届いており、硬材のデスクがあって、壁には高価そうな絵画が飾られています。そこには身なりが良く、葉巻を吸った50代後半の男性がいます。皆さんにソファを勧めると、ブラックウェルは葉巻を消して話しかけます。

 「良く来てくれた。会えて嬉しいよ。このような単純な事件に君たちのようなエンヴォイを派遣するのも心苦しいのだが、この事件に挑んでくれると確信している。
 ここ5ヶ月、ボストン警察局はドーチェスター湾の埠頭周辺で起きている奇怪な連続殺人事件の捜査に当たっている。通常SAVEはそうした事件には関わらないものだが、この事件の裏には警察が疑っているよりもいっそう多くの事実が隠されているのかもしれない。殺人は常に夜の同じ時刻に起こっており、殺人犯が完全な人間ではないという証拠がある。個人的に、私はこれが人間どうしの暴力事件であると考えているのだが、君たちにさらに詳しく調べてみて欲しいのだ」。

一同:ふ〜む。
リチャード「殺人の手段はどのようなものなのですか?」。
CM:(ブラックウェル)「殺人の手段かね? いい質問ですね〜(※池上彰)。手段は様々なものだ。具体的には銃、ナイフ、重度の火傷だ」。
リチャード「火傷? 全身に火をつけて焼き殺したということですか?」。
CM:(ブラックウェル)「いや、被害者は顔だけをひどく焼かれて絶命しているそうだ」。
リチャード「ほほう。油の反応は出ているんですか?」。
CM:(ブラックウェル)「いや、油を使った形跡はないそうだ」。
ニコラス「被害者はこれまでに何人ですか?」。
CM:(ブラックウェル)「いい質問ですね〜(※池上彰)。今日までに10人が殺されている」。
トム「結構な人数だな……」。
CM:その10人が、さっき言った銃であったり、ナイフであったり、火傷によって死んでいます。使用された凶器はおそらく同一のものだろうと推測されています。殺人はすべてドーチェスター湾に近い港町周辺で起こっています。
ニコラス「被害者どうしの関係とか、特徴は?」。
CM:(ブラックウェル)「全員成人男性だ」。
ニコラス「殺されている場所は屋外?」。
CM:全員が自宅以外の場所で殺されています。屋内の場合もあるそうです。
ニコラス「死亡推定時刻は?」。
CM:常に午後10:20頃です。
リチャード「火傷の被害者はどのようなシチュエーションで?」。
CM:火傷を負って死んだ被害者たちは、基本的にホテルのベッドで殺されています。ただし、最新の被害者、つまり10人目の被害者はローランド・パークのベンチで殺されています。
ニコラス「この事件がアンノウンのしわざであると疑う根拠は?」。
CM:容疑者がまったく特定できません。目撃情報がほとんどありません。特定区域内で10名もの犠牲者を出しているにもかかわらず、犯人は神出鬼没で犯行を繰り返しています。
リチャード目撃情報がないのか……。他に警察の方で掴めている情報はないのかな?
CM:(ブラックウェル)「ないから未解決なんだろうな。なお、事件を担当しているのはボストン警察のハロルド・クリンショウ刑事だ」。
ニコラス話を聞きに行ってみましょう。
トムうむ。
CM:(ブラックウェル)「クリンショウ刑事はSAVEの存在をまったく知らないので、注意してくれたまえ」。
トム「俺は私立探偵だから警察資料の閲覧許可を得られるよ。被害者の家族から依頼されたとでも言えばいい」。



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