
ギャング団
翌日、エンヴォイたちはクリンショウ刑事に見せてもらったファイルを頼りに事件現場で聞き込みをします。しかし、やはり目撃証言は得られず、聞き込みは実りのないものに終わります。日中いっぱい歩き回ってみましたが、夜が本番のこの界隈では有益な証言は得られずじまいでした。
トム:やっぱり夜になってからガラの悪いゴロツキどもに情報を聞いて回りますか。
リチャード:う〜ん、そうだねぇ。
CM:よろしければ夜まで時間を飛ばしますよ?
トム:良いですよ。とりあえず、ユークリッド通りとかオーシャン通りをうろついているゴロツキに話を聞きに行きましょう。
CM:この時間になると予想通りガラの悪い連中がたむろしているんですが、話を聞こうとしても「知らない」、「あっち行け!」と余所者に対しては警戒感がありありです。
リチャード:う〜む、そうか。
ニコラス:彼らにしてみれば自分たちも狙われているかもしれないわけだからね。
CM:皆さんがしばらく聞き込みをしていると、向こうから若者たちの一団が近づいてきます。
トム:リ○ン登場だ!
ニコラス:リ○ン容疑者だ!
CM:灰皿にテキーラ注いで「飲め、オラァ!」とか言いながらやって来ます(笑)。今巷で一番やってはいけない灰皿テキーラをやりながら近づいてきます。
彼らはおそろいのくすんだ赤色のバンダナを左腕に巻いている。その中の1人、体格の良い青年が君に問いかける:「おい、そろそろ帰らなきゃならない時間じゃないのか?」。
ニコラス:よし! 絡まれたぞ!!(計画通り)
CM:彼らは明らかにニコラスをじろじろと見て値踏みしています。ディレッタントは身なりが良いでしょうからね。
ニコラス:……何人くらい?
CM:6人です。きっと何か得物を持っているでしょう。内ポケットに手を入れている奴もいます。
リチャード:「な、なんだね、君たちは?」。
ニコラス:殺気立っているの?
CM:そうですね。いわゆるカツアゲ、追いはぎです。金目のもん置いて立ち去れやって事でしょう。くららが「まともな日本語は通じなさそうね……」と言います。
ニコラス:英語だけどね(笑)。くららを庇うように立ちますよ。
トム:仕方ないので、俺も前に出ますよ。
リチャード:戦闘技能持っていないんですけど。まあ、一応私も前に出ましょうか。
ニコラス:「こんな事をしていると、お兄さんたちも例の殺人犯に狙われちゃうかもよ?」。
CM:(ギャング)「じゃかぁしぃわぁ、おるぁぁぁ!」という事でイニシアティブです。
ギャングたちは素早い連携を見せて(イニシアティブはギャングたちが取りました)、ナイフを引き抜くとエンヴォイたちに襲い掛かってきます。ナイフのストライクランク(=殺傷力を表す数値。命中の成功度によってボーナスがつきます)は2と拳に毛が生えたようなものですが、ギャング団の<ナイフ>のレベルは「師範」レベルであり、人数も多いので侮れません。
ニコラス、くらら、トムはそれぞれの得物(拳、棍棒、拳)でギャングに攻撃しますが、なかなか効果的なダメージは与えられません。そしてリチャードはと言うと……。
リチャード:拳銃を抜いて空に向けて威嚇射撃をします。
CM:おお! 了解、了解。銃を抜くわけね。
リチャード:「やめろ、お前ら!!」。パーン!
CM:なるほどね。じゃあ、ギャング団もそれを見て銃を抜きますよ。
リチャード:あれ?
ニコラス:そういうことなんですよ……。「余計な事を……」。
トム:いや、まったく。
リチャード:なるほど、そうなるのか……。でも、しょうがなくね?
トム:全然しょうがなくないよ!
CM:(笑)。
いたずらにギャング団を刺激して、彼らにも銃を抜かせる結果となります。仲間が銃を抜く間も他のギャング団のナイフは容赦なくエンヴォイたちを切り裂いていきます。
CM:さて、皆さんPER(知覚力)の一般判定をしてください。(リチャードとニコラスが成功)すると、ギャング団の背後(エンヴォイたちの正面)から風が吹き付けてくる事に気付きます。
リチャード:「……風?」。
ニコラス:……来ちゃったんじゃねぇの?
異常な風が吹き始めましたが、ギャングとの戦闘は続きます。ニコラスが正面にいたギャングを昏倒させますが、まだ5人ものギャングがほとんど無傷で残ったまま。しかもリチャードの状況判断の失敗が祟って、その内の2人は銃を抜いています。くららは棍棒を振るってギャングにかすり傷を負わせますが、トムのノックアウトを狙った<ボクシング>の拳は2発ともハズレ。乱戦中に拳銃を撃っても命中しないと判断したリチャードは吹いてきた風に注意を向けて有事に備えます。
CM:吹き付ける風はだんだん強くなってきて、戦闘を続けるのに支障をきたし始めます。これからDEX(器用度)とAGL(敏捷度)に関わるロールに-15%のペナルティを受けますのでよろしく。
ニコラス:戦闘系技能すべてに関わってくるね。
CM:ただし、ここでイベントがカットインします。
レムナント出現
突然、君たちは近くの路地から奇妙な心騒がす音を聞く。そちらを見遣ると、体格の良い大男が路地から角を曲がってこちらに歩いて来る。男は古風な船乗りの服を着ており、丸い帽子を被っている。ニコラスは彼の頬の涙の跡に気付く。彼は旧式の銃を持っており、腰の鞘にはナイフを挿している。男はこちらへ来るとギャングのメンバーに浜辺で砕ける波を思わせる、低く轟く声で話しかける:「お前たちは罪なき人たちに無法を働いた。よって代償を払うだろう。私はお前たちの血によって解放されるのだ」。誰かが反応する前に、男は一番近くにいたギャングの1人に発砲する。発砲音は恐ろしいもので、その場にいる者全員の耳を一時的に聞こえなくする。そのギャングはもう起き上がることはないだろう。船乗りはほとんど気を払わず、立ち止まって新しい犠牲者を選んでいる。
CM:と言うわけで、皆さん恐怖判定です(ニコラスとくららは現場に留まり、トムとリチャードは逃走しました)。ギャングたちは悲鳴を上げて逃げ出します。風はいよいよ強さを増していきます。ニコラスはどうしますか?
ニコラス:《アストラル・アーマー》を使うか、どうかなんだけど……。
CM:彼はキョロキョロと辺りを見回した後、逃げていくギャングの背中に銃の狙いを定めます。
ニコラス:彼は風の影響を受けているの?
CM:いいえ、そよとも受けていません。
ニコラス:……彼の出方をうかがいます。
CM:分かりました。彼はギャングの背中に向けてピストルを発射します。ドン! ドン! ドン! ギャングたち3人が撃たれて、倒れました。
ニコラス:「師範」レベルか……(※<ピストル>は「師範」レベルで1ラウンドに3回撃てるようになります)。
CM:特に行動はしませんか? では彼はさらにギャングに向かって発砲します。ドン! そしてニコラスの拳を喰らって倒れていたギャングの所へ戻ってくると、彼に向かってドン! これでギャングたちは全員アンティーク・ピストルによる射撃で絶命しました。
一同:……。
CM:彼はアンティーク・ピストルに弾を込めなおすことなく、銃を連射しました。不思議ですな。
ニコラス:次は俺か……? やはり《アストラル・アーマー》を使っておきます。
CM:了解です。このラウンドは精神集中を始めるということですね。くららは物陰に隠れます。ギャングを始末し終えた彼はあなたの方へ歩いてきます。
ニコラス:次のラウンドだよね? (コロコロ)《アストラル・アーマー》!
CM:キラキラっ! 防御の光がニコラスの身体を包みます。毎ラウンド10ポイントずつ意志力を減らしてください。
ニコラス:発動したラウンドに行動できるんだよね? では彼の前に立ちはだかります。「あなたは何者なんだ!?」。
CM:すると彼はあなたの声に耳を傾ける様子を見せます。しかし、しばらくすると興味を失ったかのようにあなたを迂回して、倒れているギャングの一人のそばにしゃがみこんで、彼のポケットの中をゴソゴソと探っています。
ニコラス:? 何やってんだ? 何かを探してる? そういえば、さっき言っていたよね、解放されるためには何かが必要だっていうような事を。……こちらに向かって襲い掛かってくるような気配はないので、《アストラル・アーマー》は解除します。
CM:アンノウンの男は1人目を探り終えるとちょっと落胆した様子を見せて、別のギャングに歩み寄って同じ事をします。それなりに時間は経過しますので、トムとリチャードは恐る恐る帰ってきて良いですよ。それを6人分繰り返すと、アンノウンの男は失望と嫌悪の表情を浮かべて、辺りを見回すために立ち止まります。彼の顔に理解の表情が広がり、天を仰いで「ノーーーーー!!! どこにあるんだ!!」と叫びます。彼の絶叫は路地に響き渡り、声は空に消えていき、彼は存在を薄れさせていきます。
トム:消えちゃった?
CM:消えちゃった。
ニコラス:……連続殺人犯の犯人は分かったけど。
トム:「とりあえず、厄介事に巻き込まれる前にここを離れよう」。
ニコラス:「そうだな」。
CM:では、とりあえず今夜はホテルに帰って休むという事で。
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