

怒れる守護者
CM:夜が明けるとミスフィンがやって来ます。「今日は大学の方へ行くということで良かったですよね?」。
一同:はいはい。
正午少し前に落ち合うと、ミスフィンは大型の欧州車に君たちを乗せる。彼は非常に古い建物が並ぶ不規則に広がったキャンパス、アル=アズハル大学へ車を走らせる。近くの駐車場に車を止めると、長い板石の歩道を歩いて石造りの大きな建物へ案内する。
建物に入ると、制服姿の警備員が座ったデスクを通過する。ミスフィンはアラビア語で警備員と二言三言話す。男は笑って、合図して君たちを進ませる。君たちは文化遺物が入ったガラスケースの並ぶ廊下を歩き続ける。
「警備員は皆顔見知りですよ」とミスフィンは説明する。「常日頃働いている同僚たちに、翼棟に我々が入ると言い含めておいたんですよ。彼らには今朝、共に病欠の電話をさせました。昨晩、ギャンブルの負け分を帳消しにしてやりましてね。おそらく具合でも悪くなったんでしょう、そうは思いませんか?」。
君たちは中世の武器(ランス、ポールアーム、何本もの剣、様々なサイズの3本のメイス)が壁に掛かった廊下を歩いていく。アラビア語の解説文が、武器のそばに固定されている。
廊下は小さな部屋に突き当たる。部屋の中央には四方をロープで仕切られた、硬い花崗岩製の鷹の頭を持つ人間大のスフィンクスが鎮座している:アサートン博士がスライドで見せてくれた像そのものだ。
CM:(ミスフィン)「これが皆さんが見たがっていたスフィンクスの実物ですよ」。
一同:「ふ〜む」。
スティーヴ:例のヒエログリフは台座に書かれているんでしたっけ?
CM:そうだね。“トトメスの永遠の死の秘密を守るもの。彼の死は私から取り出す事で成される”。
スティーヴ:細かく見てみますけど、スフィンクスに継ぎ目とかはありますか?
CM:無いようですなぁ。
スティーヴ:「エックス線で内部を調査したとかは?」。
CM:(ミスフィン)「いえ、まだそこまでは。こちらに運び込んだだけです」。
スティーヴ:「“トトメスの永遠の死の秘密を守るもの。彼の死は私から取り出す事で成される”とヒエログリフで書かれていますので、我々はこのスフィンクスの中にトトメスの秘密が隠されていると考えているのですが」。
CM:(ミスフィン)「なるほど! ……ざっと見たところ、引き出しとか取っ手らしきものはありませんね」。
スティーヴ:「しかし一枚岩の花崗岩から彫り出したとすると、中に何かを埋める手段はないということになりますね」。
CM:(ミスフィン)「う〜ん、そうですなぁ」。
ニコラス:「継ぎ目らしきものはないってことか」。
トム:「うむ」。
スティーヴ:「そうなるとエックス線などで中を確認したい」。
ニコラス:スフィンクス自体にアンノウンの反応はないの?
スティーヴ:《アンノウンの感知》をやってみますか?
CM:(コロコロ……03でくららだけが成功)ビビビッ!! くららが見破ります。「こいつはアンノウンのクリーチャーよ!!」。そう言って彼女は棍棒を引き抜きました。すると、バッと台座からスフィンクスが飛び退ります。
一同:え!? マジ!?
CM:ではまずは恐怖判定です。たったの-20%でよろしくお願いします。
スティーヴ&ニコラス:H成功。
CM:くららはM成功ですね。ミスフィンはH成功。
トム:失敗しちゃいました〜〜〜。5ポイント失って、10ラウンド逃走します。
スティーヴ:おや?(笑)
CM:なお、ミスフィンは戦闘ではまったく役に立たない人間ですので悪しからず。さて、次は不意打ち判定ですね(全員成功)。で、イニシアティブですね(ニコラス→くらら→スフィンクス→ミスフィン→トム→スティーヴの順)。
動き出したエジプト・スフィンクスとの戦闘です。10ラウンド帰ってこないトムと、戦闘がからっきしなミスフィンを除く3人で立ち向かいます。
スフィンクスは3回攻撃で物理攻撃とイビルウェイを織り交ぜて暴れ回りますが、所詮多勢に無勢、ニコラスとくららにダメージを与えはしたものの、2ラウンド後には倒されました。
CM:ガシャーン! スフィンクスは粉々になりました! そして塵となって破片は消え失せました。
トム:じゃあ帰ってきても良いよね? 帰ってきます。
ニコラス:中から何か出てくるの?
CM:スクロールが2巻。コロコロン。
スティーヴ:拾い上げます。
CM:素材はパピルスっぽいですけど……<考古学>ロールをどうぞ。
スティーヴ:(コロコロ)成功。
CM:パピルスではない。
スティーヴ:人間の皮膚とかいうオチでは?
CM:それはクトゥルフ。
ニコラス:地球上の材質ではないとか?
CM:おお、冴えてますね。《アンノウンの感知》をどうぞ。
スティーヴ:(コロコロ)おお! 成功しましたよ!!
CM:これはより丈夫な、アンノウンの物質です。
スティーヴ:「このスクロール自体が、ある種のアンノウンですな」。
CM:スクロールにはなにやらヒエログリフが書かれています。
ニコラス:読んでみるしかないんじゃない?
スティーヴ:では読んでみますか。<古代言語(ヒエログリフ)>は成功。
CM:スクロールに書かれているのはマミーを破壊するのに必要な呪文です。1本はトトメス・ザ・エルダーを破壊するためのものです。もう1本はトトメスに忠実に仕えていた大臣のメリテトというマミーを破壊するためのものです。
ニコラス:このメリテトって奴がアップルビーの正体だな。
スティーヴ:そうでしょうね。
CM:呪文はヒエログリフが読める人が唱える事ができます。ミスフィンはエジプト学者なので、読むには最適な人物でしょう。
ニコラス:明らかにその係でしょう。
CM:ただし、スクロールは1枚読むのに2分かかります。
一同:は?
CM:つまり、1枚読むのに24ラウンドかかるということです。1枚読むのに。
スティーヴ:……つまり、ボコッて黙らせてから読めってこと?
CM:あるいは24ラウンド持ちこたえるか(笑)。
一同:はぁ!?
CM:そういうルールです(笑)。「マミーを倒す巻き物を朗読するには2分間が必要です」というルールが明文化されているんですよ。
一同:(苦笑)。
CM:さらに条件があります。マミーを破壊するためには、マミーが最初に防腐処理を施されたその場所で、誰かが日の出時に巻き物を読まなければならないとされています。
ニコラス:なんだよ、その制限は……。
トム:(笑)。
スティーヴ:いや、逆にボコッて塵にしてしまえばこっちの勝ちですよ。その間にスクロールを読んでしまえば良いんだから。
ニコラス:そうか! 別に奴らの目の前で読む必要はないのか。決められた場所で読めば良いだけか。
トム:そういう意味では、読める人間が二人いれば敵から反撃を食うチャンスも減るんじゃない?
スティーヴ:私とミスフィンで同時に読めば2分で済みますからね。
ニコラス:つまり、マミーが防腐処理された場所っていうのは……ピラミッド?
CM:そういうことになりますね。
銃声を聞きつけて警備員が6人来ますが、警備対象のスフィンクスがその場になく(塵になってしまいました)、また関係者(少なくともミスフィンの知人です)が怪我をしている状況から、「賊が関係者を襲って、どうにかしてスフィンクスを持ち去った!」という事になりました。
CM:(ミスフィン)「これはできるだけ早く発掘現場に行ったほうが良いですよ」。
スティーヴ:「そうですね……急いだ方が良いな」。
CM:発掘現場のピラミッドまでは1日半掛かります。日の出のタイミングにピラミッドに着くには、明日の正午に出発するとちょうど良い。
スティーヴ:それで行くしかないかな。負傷している人は病院に行って、少しでも傷を治しておいてください。
砂漠:メリテトの使者
CM:翌日の昼頃、ミスフィンが皆さんを迎えに来ます。彼はカイロ郊外まで運転して行き、そこでジャケット、日除けヘルメット、食料、水を積んだジープに乗り継ぎます。一台のジープには4人乗れるようですな。
スティーヴ:……5人いるんですが(笑)。
CM:一台はミスフィンが運転してくれるとして、あともう一台は誰か他の人が運転しなきゃだめですな。
スティーヴ:<運転>かぁ。技能なし値で14%しかないんですが。
CM:普通に走らせるだけなら技能判定はいらないよ。片輪走行とかアクロバティックな運転をする場合には判定が必要です。
ニコラス:アクロバティックなら<アクロバット>が使えるのでは!?
CM:<アクロバット>を使うのは車が横転してからです。
トム:(笑)。
結局、技能なし値が一番高い(それでも14%)スティーヴが2台目のジープを運転する事になりました。車割りはミスフィン、トム、ニコラス、くららがジープ1、スティーヴと物資がジープ2です(笑)。
旅はきついものだ。まぶしい太陽が君たちに照り付け、ジープは砂にホイールを取られて、時折スピンする。ミスフィンは定期的にコンパスと太陽の位置を確認している。
休憩の間、ミスフィンは携帯用チェスセットとカパブランカの有名な試合について書かれた本に没頭している。本を読んで盤上の駒を動かす時、時々彼は笑って独り言を言う。
ミスフィンはたくさんの食料と水を持ってきたが、一度に飲み過ぎないようにと注意を促す。「無駄にしないように、分かっていますね? 帰りに同じだけの物資を持って運転しなくてはならないのですから」。
CM:この調子でドライブは何時間も続きます。ミスフィンは大好きなチェスについて、頼みもしないのにペラペラととめどなくしゃべります。
ニコラス:少しは休ませろよ(笑)。
CM:望むなら、自由にチェスについておしゃべりするロールプレイをしてください。ハイ、どうぞ!
一同:「……」。
CM:よろしいですね? では進めます。
午後も遅くなろうという頃、皆さん、知覚力の一般判定をしてください。(全員成功)頭上を6羽のハゲタカが旋回している事に気がつきます。ジープの進行に合わせて移動してきているようですので、追跡しているのは間違いないでしょう。
スティーヴ:《アンノウンの感知》は?
CM:遠すぎる。しかし、すぐにアンノウンかどうかは分かります。
頭上から君たちに呼びかける声が聞こえる:「お前たちはあまりにも愚かな事をしている」。見上げると、6羽のハゲタカの群れの内の2羽が、君たちの頭上20フィートの辺りを旋回してる。このクリーチャーは、他の鳥とはどこか違っているようだ。その内の1羽がこう言う。「お前たちは本気で史上最強の王を倒せるつもりでいるのか?」。もう1羽が言う。「お前たちが想像する事しかできない魔法を、王は知っているのだぞ」。
スティーヴ:アップルビーの手下か? 「王」って呼んでいるって事は。
CM:そうかもしれないね。恐怖判定です。-15%です。成功か失敗かに関わらず、ここで現在意志力が減ってピラミッドに行かなきゃならないのは厳しいな(笑)。
一同:まったくだよ(全員いくばくかの現在意志力を失いますが、その場に留まります)。
CM:2羽のハゲタカ型クリーチャーは掛け合いの様な事を始めます。
「今までお前たちの惨めな命を助けてくれていたトトメス王とメリテト大臣の寛容さを理解していないのは間違いないな」。
「まったく。その通りだ」。
「お前たちは盲目的に屠殺場へと歩いている子羊そのものだ」。
「役立たずの集団に過ぎない」。
「しかしトトメスは慈悲深い、お前たちの馬鹿馬鹿しい組織のすべてのメンバーに、お前たちが敵対する事を誓いさえすれば。そしてすぐに引き返せ、そしてもっと弱い敵と戦うまで、生きているが良い」。
「その通り!」。
CM:引き返しますか!?
一同:いやいや。
トム:【自信過剰】な奴らが多いので(笑)。
ニコラス:(笑)。
CM:ではイニシアティブをしてください。
オモシロ漫才で警告を与えに来たハゲタカ・クリーチャー(コービーという種類のクリーチャーです)でしたが、エンヴォイたちの敵ではありませんでした。通常のハゲタカ4羽を伴って頭上から襲ってきましたが、1ラウンドで撃ち落されて、戦闘は終了です。支配者を失った野生のハゲタカ4羽は飛び去っていきました。
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