

恐怖のフライト
飛行機は飛び立ち、カイロに向けてイギリスの領空を出発した時は、日が暮れていた。多くの乗客は既に眠る準備を終え、キャビンのライトが暗くなる。
スティーヴ:あれ? 「着いた」ってならないんだ(笑)。
CM:えーと、そうだな。1D100を振ってください。一番大きな出目は誰ですか? トムですね? 了解。
離陸して1時間ほど経った時、隣の席から声がして、トムに尋ねる。「フライトを楽しんでいますか?」。瞬時に何か不吉なものを感じて、その席は空席だったにもかかわらず、君は衝動的にそちらに顔を向ける。
そこに座って君に笑顔を向けているのはトトメスだ! 朽ちた包帯が彼の頭の天辺から足の先までを多い、刺激性の臭いは吐き気を催させる。君の顔に浮かんだ表情を楽しんで、彼は笑顔を浮かべると、消え去る。
一同:(爆笑)。
ニコラス:最悪だよ!(笑)。
CM:いやー、トトメスってこういう奴ですから。結構お茶目です(笑)。ちゃんと本人がやっていますからね。かなりマメですよ、トトメスは。
トム:(笑)。
ニコラス:いつでもどこでも現れることができるゾ! って言いたいのかもしれんね。
スティーヴ:あるいは得意の幻覚の照射か?
CM:倒したはずのトトメスが現れるなんて、奴は復活したのではないか? と不安になったトムは-35で恐怖判定をしてください。
トム:嫌がらせに来たのか。しかも失敗。7点喪失。
数分経ったがトトメスはもう姿を現さない。1時間後、別の事が起こる。
君(トム)は彼を目撃する! 彼は20フィート離れた窓の外を飛んでいて、飛行機の前部に向かってくる!
CM:こう飛んできます、こう(※拳を握って、両腕を前に突き出すポーズ。ウルトラマンの飛行ポーズをご想像ください)。
一同:(爆笑)。
ニコラス:かっこ良すぎるだろ!!(笑)
トム:スゲー嫌だ! 嫌がらせすぎるだろ!(笑)
彼の姿は本当に恐ろしく、包帯のまかれた彼の手1本で、君たちの内の2人をポッキリ折ってしまえるかのように見える。そして、このやり方で、彼は君を驚かせる事を楽しんでいるのだ!
トム:嫌な奴だよ!(笑)
スティーヴ:どこから突っ込んで良いか分からない(笑)。
CM:どうしますか?
ニコラス:どうするかって言われても……寝るか、《アストラル・アーマー》か、どっちかでしょ。
スティーヴ:そうですよねぇ。
CM:そうこうしているうちに、「うわ! あれは何だ!?」と他の乗客たちが気付き始めました。
スティーヴ:そうですよねぇ(笑)。
CM:ではくららを除いて、皆さん現在意志力で段階判定をしてください(スティーヴとニコラスがH成功、トムはM成功)。トトメスは、と(コロコロ)。うっ……。皆さんは精神にちょっとしたプレッシャーを感じました。イビルウェイが失敗したと思いねぇ。
乗客全員がパニックに陥っている。乗務員は自らの恐怖を押さえつけて、他の人をなだめようと全力を尽くしている。「こいつ、死んでる!」、「目を覚まして、マーガレット!」。誰かが医者を呼んでいる。
しかし君たちが動く前に、飛行機は急に傾き、エンジンがパチパチと音を立てる。乗客の叫び声を切り裂いて、操縦士の声がスピーカーから流れる。「席に戻ってシートベルトを着用してください。落ち着いてください、パニックを起こさないように」。エンジンはパチパチと音を立て続け、飛行機は激しく傾く。そして4つのエンジンすべてが止まる。すぐに飛行機は地面に向けて墜落を始めた。
CM:《誤作動》が使われたっぽいですね。
スティーヴ:トトメスは飛行機内にいるんじゃないですか!?
ニコラス:そいつを探すか!?
CM:幸い、しばらくすると飛行機は体勢を立て直しました。そして通常飛行を再開します。
ニコラス:これは緊急着陸か?
CM:マドリードに緊急着陸します。そこでまだフライトに耐えられそうな乗客は飛行機を乗り替えます。
トム:マドリードのSAVEの支部にでも報告を入れておくべきかねぇ?
CM:なるほど。ではクリスティアーノ・ロナウドというキックで鳴らすエンヴォイがいて、「メッシ、殺す!」と言っています。
一同:(笑)。
エンヴォイたちは再びトトメスが嫌がらせ(?)に来るかとビクビクしていましたが、他に方法はないので乗継便に乗って、エジプトへと向かいました。
《テレポート》ディシプリンを使ってジェット機の貨物室に隠れていたトトメスはエンヴォイを充分怖がらせたと判断して、再び《テレポート》を使って去っていったのでした。
出会い:アリ・ミスフィン登場
カイロ国際空港は様々な国籍の人たちで騒々しく活気に満ちている。君たちはタクシー乗り場に向かう群衆を掻き分けて進む。君たちが小さな優待バスに乗り込む前に、半ダースのタクシー運転手が争って客引きをする。
カイロに入ると、君たちは近代と何世紀も前の文化がごった煮になっている光景を目にする。有名な企業名の入った高層ビルが古いアラブ式の建物のそばに建っている。ビジネススーツを着た人々が、伝統的な中東の服装をした人々と交じり合っている。数十名の歩行者が、自動車と優先権を争っている。
運転手はハサン・ホテルで君たちを降ろし、手荷物を下ろす手伝いをする。チェックイン後、アリ・ミスフィンからのメッセージを渡される。それには電話をして欲しい旨と電話番号が書かれている。そして一行が全員泊まれる小さなスイートに案内される。
CM:アリ・ミスフィンは現地のSAVEのエージェントです。
スティーヴ:連絡して欲しいということでしたね? すぐに連絡しますよ。
CM:(ミスフィン)「お待ちしていました! 少し飛行機が遅れたようですね?」。
スティーヴ:「フライト中に色々ありまして」。
CM:(ミスフィン)「聞いております。とりあえず30分ほどでそちらにお伺いできます」。30分後にスイートのドアがノックされます。
ジーンズを履いて軽いジャケットを着た浅黒い肌の男性がいる。年の頃は30歳くらいだろうか。男は暖かく手を握って、アリ・ミスフィンだと自己紹介する。
CM:ミスフィンは皆さんにSAVE装備一式を手渡します。銀の弾丸は普段の倍(12発)用意されています。当然、銀のヌンチャク(※ニコラス用)と銀の棍棒(※くらら用)も持ってきてくれました。
ニコラス:よし!
CM:(ミスフィン)「どうやらフライトは散々なものだったようですね」。
スティーヴ:飛行機であった事を説明します。
CM:(ミスフィン)「なるほど。ピーンと来ましたよ。先ほど皆さんに気付かれないように《アンノウンの感知》をしてみたのですが……」。
一同:んん?
CM:(ミスフィン)「(ニコラスを指差して)あなたからイビルウェイの反応を感じました」。
ニコラス:何か、マークされているという事か?
CM:おそらくそうでしょう。そういうイビルウェイがあります(※《猟犬》ディシプリンです)。
(ミスフィン)「ところで、皆さんはこれからどのような計画を立てておられますか?」。
スティーヴ:「スフィンクスを調べたいので、アル=アズハル大学へ調査に行こうと思っているのですが」。
CM:(ミスフィン)「なるほど、それなら好都合ですよ。私はアル=アズハル大学の研究員ですので」。
一同:「本当に好都合だな」。
CM:(ミスフィン)「今日中にアポをとっておけば、明日にはご案内できます。手配しておきましょう。発掘にも携わっているので、現場にお連れする事もできます」。
トム:「トトメスの発掘現場に?」。
CM:(ミスフィン)「現場でも顔は利きます。その時になったら声を掛けてください。ただし、発掘現場は砂漠のど真ん中にあってかなり遠いです。行くには水やジープの手配が必要です。それも今の内にしておきますが」。
ミスフィンは諸々の手配をすべくホテルを出て行きました。時差ぼけを治すためにエンヴォイたちはその日は夕方までホテルでゆっくりとして、夕食時に再びミスフィンと合流します。ミスフィンはエンヴォイたちを素晴らしい中東料理レストランへ案内し、その後、娯楽は一流のクラブへと案内しました。
エンヴォイたちが退屈し始めるとミスフィンはタクシーを呼んで、彼らをホテルへ送り届けさせます。朝になったらスフィンクスの調査のために、彼は再び合流すると約束しました。
悪夢
CM:皆さんはホテルに帰ってきて眠っている所です。(ゴソゴソ……何枚かの折りたたまれたメモを取り出す)さて、これからこのメモを皆さんに選んでもらいます。メモには何かが書かれているかもしれませんし、何も書かれていないかもしれません。見ても、内容を声に出さないでください。ではメモを選んで、中身を見てください。
ニコラス:……(白紙)。
トム:……(白紙)。
スティーヴ:……(「私が“助けを求める悲鳴をあげて”と言ったら、2秒後に“おい、大丈夫だ。これは夢だ。分かるか?”と言ってください」と書かれている)。
CM:では全員、現在意志力で段階判定をしてください。
スティーヴ&ニコラス:H成功。
トム:M成功。
CM:了解です。
君は夢を見ている。
君は広くて深い川の堤防の上に立っている。夕暮れ時で、水は赤く染まっている。君は逃げようのない、名もなき恐ろしいものを、恐怖と共に待っている。
すると、ワニが川から岸へ上がり始める。醜い爬虫類は堤防にドサリと乗り上げて、ゆっくりと君に向かってくる。
君は絶望にかられるが、動く事ができない。その場に立ち尽くしてしまって、腹をすかせたモンスターから逃げ出す事ができないのだ。必死に逃げようとするが、まったく無駄だ。今、1匹のワニが目と鼻の先に迫ってきた。鋭い顎を開けると、噛み付く準備をして……。
超人的な力で、君は見えない拘束から抜け出す。振り返ると……下帯だけを身に着けた少なくとも身長7フィートはある男と向かい合う。そして、彼はワニの頭をしている! 彼があなたの上に屈みこんで来た時、あなたは再び立ち尽くして……。
そこであなたは目を覚ます。
CM:……。
一同:……(ゴクリ)。
何かが君のベッドにいる。震えて、君はシーツを引き剥がす。巨大なワニがカバーの下から飛びかかってきて、その顎が君の首筋にかぶりつく!
助けを求める悲鳴をあげて、君は目を覚ます。
スティーヴ:「“おい、大丈夫だ。これは夢だ。分かるか?”」。
突然、君の仲間たちが歯を剥き出す。彼らの頭はワニのそれに変わって、顎を開いてがぶりと行く準備をする。
君は目を覚ます。
CM:悪夢にうなされたトムはスティーヴがあなたを揺すって起こそうとしている事に気付きます。トムは意志力を8ポイント失います。
トム:くぉーーーっ!
CM:<人類学>か<考古学>の技能を持っている人は一般判定をしてみてください。
スティーヴ:<考古学>で成功です。
CM:夢の中に出てきた邪悪な神がセベクである事がわかります。ワニによる死は古代エジプトの呪いです。何かの警告なのかもしれませんな(※トトメスによる《夢送り》ディシプリンによるものでした)。
トム:また嫌がらせだよ!
スティーヴ:なんか、面白いギミックですね(笑)。
ニコラス:面白いねぇ(笑)。
CM:手の込んだギミックですよね(笑)。シナリオにこの通りにしろと書いてあるので、準備してみました。
スティーヴ:(笑)。このシナリオを書いた人は、かなりアイデア型の人ですね。
CM:アイデアマンだよね、それがうまく行っているかどうかに関わらず(笑)。色々と楽しませようとしている意識がうかがえる。
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