

アサートンに残された警告
アサートンの家への移動は、ディスカウント店、通貨両替商、こじんまりとしたレストラン、古いアパートを過ぎて、君たちをシカゴの遥か北部へと連れて行く。エヴァンストンを通過していると、周囲の状況が一変する。今はコンドミニアム、刈り込まれた芝生のある小さく上品な家、高価なギフトショップに囲まれている。
大通りに面したアサートンの家に乗り付ける。ブロックの他の家からは1区画離れた場所にある、2階建ての手入れの行き届いた家だ。カーテンはすべて閉まっていて、辺りには誰もいないように見える。
車から降りると、家の玄関の上り段に座っていた黒猫が背を弓なりに曲げてシーッと鳴き、それから逃げる。
ニコラス:なんでこう、不吉な……。
トム:不吉な要素がたくさん詰まっていますな。
スティーヴ:《アンノウンの感知》をしてみましょう。(コロコロ)成功!
CM:家にはアンノウンの気配が漂っています。
スティーヴ:「マズイ気配だから、身構えながら入ろう。アサートン教授は危ないかもしれないな」。
ニコラス:ピンポーン。
CM:呼び鈴は鳴りますけど、誰かが出てくる様子はありません。
スティーヴ:ガチャッと。
CM:玄関の鍵は開いています。靴はあるので、おそらく誰かが在宅しているのでしょう。
ニコラス:ナルティに連絡しておいた方が良いかな? アンノウンの反応がありましたよーって。
スティーヴ:勤務中の電話にかけるのはマズイかもしれないから、メールをしておきましょう。「アンノウンの反応があった。これから家に入る」。
CM:(ナルティ)「分かった、なう」。
ニコラス:Twitterでオープンに!(笑)
スティーヴ:ダイレクトメールにしておきます(笑)。
何の音もしない。右手の廊下はキッチンとダイニングルームに通じている。左手にはクローゼットと高い屏風で閉ざされた部屋がある。まっすぐ行った所には上下に続く階段がある。階段の隣には閉じられたドアがある。
CM:めんどくさいのでコレ、コレです。コレがアサートンの家(アサートンの家の見取り図を取り出す)。
リビングルームで自分たちが腐敗して床に崩れ去るという、お馴染みの幻覚攻撃を受けて恐怖判定をしますが、特にクリーチャーに襲われるということもなく、エンヴォイたちはリビングの奥の書斎ブースにたどり着きます。
ここは書斎だ。左にある机の上にはノートPCと文房具が置いてある。全ての壁に本が並んでいる。右には空の暖炉がある。マントルの上には古い時計が乗っている。
暖炉の前にあるのはこちらに背を向けている大きな肘掛け椅子だ。椅子の背もたれの上から、誰かの頭が見えている。
CM:頭の形からすると、アサートン教授でしょう。
ニコラス:「……教授?」。充分に警戒しながら近づきます。マミーの可能性もありますからね。
CM:当然皆さんがガヤガヤ入ってくれば気付くはずですが、こちらを振り向く様子はありません。ニコラスが呼びかけても、ピクリともしません。
ニコラス:……正面に回ります。
ジェームズ・アサートンが椅子に座って、マントルを見つめている。彼は死んでいるようだ。彼の首には指の跡のように見える恐ろしいアザが残っている。
一同:「……」。
スティーヴ:「遅かったか……」。いつ頃殺されたとかは分かりますか?
CM:死亡推定時刻ってこと? う~ん、誰か<法医学>とか持っていましたっけ? 持っていない? じゃあ、ダメだな。分からない。冷たくなっているので、殺されたばかりって事はないでしょう。
トム:俺たちはミイラに関する手がかりを探しに来たわけだから、とりあえず机の上の書類やらパソコンやらを調べてみよう。
CM:机の上に乗っているのは書きかけの論文とか、発掘現場の写真とかです。学者の視点で書かれていて、当然アンノウンに関する事は出てきません。
スティーヴ:手がかりになりそうなものはないみたいですね。とりあえずナルティを呼ぶしかないかな?
CM:連絡すると、ナルティは「すぐにその家から離れろ」と指示をします。
スティーヴ:後でナルティに情報を回してもらいましょう。死亡推定時刻が分かれば、これがアップルビーの仕業なのかも分かる。死体が消えてから博物館に現れるまで空白の時間があるので、アップルビーの仕業の可能性が高いとは思うんですが。
CM:ナルティの方で「匿名の通報があって……」という事でアサートン殺害の事件を処理します。その間に皆さんはホテルに戻ってSAVEへの報告書などを作っているのでしょう。しばらくするとナルティからアサートンの死亡推定時刻が分かったと連絡があります。死亡推定時刻は、皆さんが博物館に乗り込んでいた時間帯です。
ニコラス:「やっぱり……」。
スティーヴ:「アップルビーの可能性が高い」。
ニコラス:「こうなるとアサートンの線も切れたから、全てひっくるめてマミーを退治するには、エジプトで調査するしかないんじゃないか?」。
トム:「うむ」。
スティーヴ:そこも含めて報告書に書いておきましょう。
骨髄殺人事件は終わり、もちろん「トトメス展」も終了します。
エンヴォイたちはシカゴに滞在してSAVEに送った報告書の返事を待ちます。そして10日後、SAVEから飛行機のチケット共に新しい指令が届きます。
エジプトへ飛べ、と。
CM:ナルティが空港まで見送りに来てくれます。「最後まで見届けられないのは残念だ。シカゴを離れるわけにはいかないのでな」。
スティーヴ:「こちらこそ、色々とお世話になりました」。
ニコラス:「現状ではこれからシカゴで何かが起きるということはないはずだ」。
CM:(ナルティ)「確かに。君たちのおかげでシカゴは救われた。どうか無事にこのミッションを達成してほしい。全てが終わったらまたシカゴに寄ってくれ。マックを奢るよ」。
一同:(笑)。
エンヴォイたちはナルティと握手をして別れると、機上の人となりました。
(第3章へ)
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