PC WORKS
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[interface]― n. (異なる物の)境界面, 中間共通面; 共有領域;
       ― v. 連結する ((with)); 調和(整)する[させる];


 ディスプレイが、PC側からの情報を表示するものであるならば、マウスやキーボードは人側からの情報を入力する部分。ヒトとマシンの、コミュニケーション手段である。コミュニケーションは双方向性でなければ意味が無い。したがって、インタフェースは快適でなければいけない。より快適に、より効率良く。

 マウスやキーボードは、我々がマシンと"会話"する、『口(くち)』なのだ。


FILCO FKB108M/NB "Majestouch"

(108 keyboard)

 & Justy JKB-89S(89 keyboard)

 キーボードも、マウスほどではないがこだわってきたパーツの一つだ。というか、どうにもパーツへのこだわりばかりが先行してきて、「PCを使う」と言うよりも「PCで遊ぶ」と言った風が強いわけだが、それはそれ、オレ自身の「PCの極め方」が『心地好い使用感』なのだから仕方あるまい。
 端的に言えば『オレに優しいPC』。イライラしてはならない。処理速度は勿論だが、残り容量に気を遣わなければならないHDD、画面描画が遅かったり色がおかしかったりするビデオカード、ノイズの方が目立って聞こえましてよサウンドボード、DVD見てるのにブンブンブンブン五月蠅いんじゃドライブ、なんてのはPCを構成するパーツとしては論外なのである。CPUはあくまで迅速に、HDDはあくまでも余裕綽々かつ高速で、ビデオカードはクッキリシャッキリスピーディ、ドライブは使ってる事を忘れるほどに静穏に、それが『良いパーツ』と言うものである。速さの為に、あるいは予算の為に使用者の不快感が増大するのでは全く意味が無い。ソレがオレのPC哲学。

 だから、キーボードも使い勝手が一番。『使いやすい』と思う製品が一番良い製品だと思う。例えそれが500円だったとしても。

 さて、オレのキーボード遍歴はマウスほどは「気の多い」状態ではない。最初に使ったのは、Gateway付属の109キーボードだった。コイツはさほど悪いキーボードではなかったと思う。ただ、若干キータッチが軽く、押下感もふんわりしたものだった。そこで、近くの店で買ったのが3,000円のキーボード。名前すら覚えていない。なぜアレを買ったのかすら分からない。フニャフニャのキータッチ、底があるのかどうか分からない押下感、「やっぱ安物は駄目じゃん」と思わせる様な安っぽい作りだった。
 オレの好むキータッチは、「メカニカル」系。「カシュコン、カシュコン」と鳴るくらいのキータッチが好きなのである。メカニカルスイッチの場合、多くは押す瞬間には力がいるけれど、あとはスイッチが吸い込まれる様に入っていき、また戻ってくる時に自然と指を押し上げる様な感じがあって実に心地が良い。「カシュコンカシュコン」言う音も良い。ただ、その頃、オレが知りうる市場にはメカニカルスイッチは殆ど皆無だったのである。

 大学の4年生になった時、あきふゆ氏に大須に連れて行ってもらった。名古屋圏一の電脳街である大須、さすがに色んな製品が揃っていた。そこで最初に見つけたのはJustyのJKB-89Sという、メカニカルスイッチ採用のミニキーボード。今では自己破産してしまったJustyだが、このキーボードはそのスイッチの心地良さ、Ctrlの位置がAキーの横にある配列など、なかなか面白くて使いやすいキーボードだった。ただ、Insert、Delete、Home、End、PageUp/Downの配列がかなり変則的であった事と、Numキーがないと言う事がやはり使いづらく、程なくして次なるキーボードを探す必要があった。ちなみにこのキーボード、今はサブマシンのキーボードとして使っている。小さくて取り回しが聞くので重宝している。もっとも、無線キーボードの方がサブマシンとしては使い勝手が良いのだが。

 大須を捜し回って「これぞ求めていたキーボードだよ」と思えたものが、MaxPoint MX-106。勿論スイッチはメカニカル、それでいてフルサイズのキーボード。106キーなのでWindowsボタン、コンテクストメニューボタンなど不要な(と当時は考えていた)ものが無いのも気に入った。
 このキーボードは永らく使った。とにかくキータッチが気持ち良かったから。一人暮らしだから使えたのかな…と今となっては思うけれども。「カシュコン、カシュコン」というその打鍵音はかなり大きいので、家族と暮らしている場合はそれが五月蠅く感じられる事もあるかも知れない。ましてやオフィスなどでは顰蹙ものだろう。しかし、打ってるだけで悦に入る事の出来るこのキーボードは、控えをもう一、二本買い置きしておこうかと思えるほどのお気に入りだった。

 しかし、悲劇は起きた。このキーボード、キートップがプリントなのである。当時は夜な夜なChatもしていたし、ページ作成も今以上の勢いで(時間あったしね)行っていたので、キータイピングの回数もべらぼうに多く、確かにキーを酷使していたとは思うのだが、いつの間にか「N」と「B」の刻印が薄れて来てしまったのである。まぁ最近では無刻印キーボードなんてのも出てきている御時世、しかもタッチタイピングでは余りキートップを見る事もないワケなのだが、やはり刻印が一部だけ欠けてしまったようなキーボードは使い続けたくない。加えてメカニカルスイッチの弊害か、打鍵しすぎで手首が痛くなるという奇病(単なる腱鞘炎)になってしまい、メンブレンへの移行を余儀なくされる事になった。


 しかしMX-106を超えるほどのキーボードにはなかなか巡り会えなかった。最初はLogicool製品で探そうと思ったが、マウスではあれほど気に入っている同社製品も、キーボードになるとオレの好みからはほど遠い、フニャフニャした感じのものばかりで選択肢には入りようがなかった。メンブレンでもソレなりの打鍵感を…当時は余りキーボードの特集もなく、かつ大学を卒業して滋賀に帰ってきていたオレには色んなキーボードに触れる機会もなく、実際行き詰まっていたのである。
 ただ、臨時収入があったか何かで買っちゃった覚えがある。NaturalKeyboardPro。ずっと気にはなっていたが、一万円ほどする値段の高さから手が出せなかったキーボード。

 実際触れた時の感想は、最初が「ほう、メンブレンにしてはなかなか」次が「ていうか分かれてて打ちにくっっ!!」だった。メンブレンとしては悪くない感触。カシュコンカシュコンは言わないけれど、カチャカチャという音は五月蠅くはなく、しかしフニャフニャではなく、割と好きな感触。「上質な」とは言えないけれど、使い心地の良いスイッチだと思った。少なくとも腱鞘炎を誘発しそうな気配はない(笑)。
 ただ、最初はセパレートタイプのキー配置に随分と戸惑った。セパレートタイプのキーボードだと、当然ながら右手と左手で打つキーというものが指定される。それまでは我流のタッチタイピングを行っていたオレ、「B」のキーは右手の人差し指で打っていた事に気付かされた。今ではもう慣れたが、最初のウチはかなり苦労した事を覚えている。また、かなり分厚いキーボードなのでパームレストがないと打つ時に手が苦しかった。現在では、キーボードの手前にintuos2を置いて、パームレスト代わりにしている。
 今ではこの配列に慣れてしまったので、普通のキーボードで打つ時の方が苦労する事がある。結局、キーボードの前に置いた手の角度次第なのだが。エルゴノミクスキーボードを謳うだけあって、NaturalKeyboardProを使う時は、自然な手の広げ方が出来る。普通のキーボードだと、特に肩幅の広いオレは腕をかなりすぼめなければならない状況になり、すぐに肩が凝ってしまうのだが、このキーボードならどれだけ長時間打っていてもそれが無い。尤も、最近はそんなに長時間打ち込む事もないのだが…。


 ただ最近、「静電容量方式」のキーボードに徐々に興味が湧きつつある。どのくらい軽い押下で入力できるのか。時間は短くなったものの、打ち込む文章量が増えた。…やっぱり、疲れはするのである(笑)。特に東プレのRealforce106には興味津々。配列が通常配列に戻ってしまい、マルチメディアきーなども無くなるが、音量調節が出来なくなってから(*)これらのキーは殆ど使わなくなってるし。後は値段かな。ただ、拘る人によっては「Realforceはダメダメ」という人も居るし…ちゃんと触ってみんと、分からんからなぁ、キーボードってのは。

 (*)…SE-80PCIは、マスターボリュームコントロールが効かないのである。

(2006/06/09追記)

 キーボードを買い替えた。ダイヤテック(FILCO)FKB108M/NB「Majestouch」。日本語108キーボード・かななしタイプのキーボードだ。とりあえず黒いキーボードが欲しかった…というのがある。さらに、やっぱりNaturalKeyboardProは妙にバカでかいし、キータッチがそんなに良くないというのもあった。加えて、全く使いもしない特殊キーなんぞいらんし、カナ表記もいらんのじゃボケェェェ、と言うのもあった。
 NaturalKeyboardのシリーズにも黒いのはある。最新のもまた、黒い色をしていた。だが、ここ最近のNaturalKeyboardのキータッチは従来よりもさらに好ましくなくなってきていたこと、ただでさえ使わない特殊キーがより数を増し、不必要なスクロール機能までを取り込んだ無駄に多機能なキーボードになっていたこと、パームレストの形がさらに気に喰わないものになっていたこと…などなど、購入したい意欲は失せる一方だった。しかし同時に、新しいキーボードへの要求は高まるばかりだった。

 静電容量方式への興味は全く失せなかった。ただ、どういうものだか、滋賀県では触る機会もないので分からない。キーボードだけは、どうしても打ってみて、そのタッチを確かめてみなければ手を出しにくい。静電容量方式のキーボードなんざ置いてる店は、滋賀県には皆無なのである。
 そんな時だった。仕事で必要だったのでFILCOのテンキーを買った。正確に言うと、ソレまで試用していたELECOMのテンキーに嫌気がさしたので、ふと見た記事からフラフラとダイヤテックのページに辿り着き、そのまま購入ボタンを押してしまったのである。そして、感動した。名前だけは聞いていた、元メカニカルキーボーダーとしてチェックはしていた、Cherryの茶軸。非常にオレ好みのキータッチ。メカニカルと言うほど固い&五月蠅い訳じゃないが、明らかに安物メンブレンのそれとは一線を画すキータッチ。東プレのキーボードが15000円を超える金額が付いているのに、7500円程度で買える、ダイヤテックのキーボード。しかもカナ無し。黒。スペースキーがでかい。これはもう買いでしょう…となった次第。


 さて、使用感だが、まだ使い始めたばかりで、それまでのセパレートタイプのNaturalKeyboardProからの乗り替えだからまだタッチタイプが覚束ない部分があるのも事実。キーストロークも全然違うし、少し慣れるまでは苦労しそう。とは言え、ここまで書いてる段階で慣れてきたけど。
 キータッチは素晴らしい。他の色の軸は試してないけど、今まで触ったキーボードの中で一番しっくり来る感じがする。キー表面が何となくシットリしている感じなのは、可もなく不可もなく…と言った感じがする。特にこれから夏だし(笑)。ただ、大きくていいなぁ…と思っていたスペースキーだが、もう少しスイッチがシッカリしていた方が良かったかも…とは思う。エンターキーなどの大きなキーで、少しキートップがぐらつく気がする。これは少し残念なところ。ソレでも値段を考えれば十分かも知れない。

 とりあえず、これで慣れてみよう。茶軸が自分にとってベストチョイス、ッてのが分かっただけでもかなりの収穫だった。