ジョーのお誕生日2010

第一話 「もうすぐお誕生日ですが、何が欲しいですか?」
注:すべて2009年のジョー誕のお話を踏まえてます


@旧ゼロの場合 (昨年のお誕生日の出来事はこちら 注:通して読むと全部で12ページあります

 

「フランソワーズ。……と、一緒の時間」
「ま。ジョーったら」

それって去年と同じよとスリーは小さく呟いた。

「それに、……いつも一緒にいるじゃない」
「そういう意味じゃないよ」
「えっ?」

どういう意味?

けれどもナインは答えない。
首を傾げじっと見つめる蒼い瞳をしばし見つめ、そうして大きく息をついた。

「――まぁ、無理な話だけど」
「無理って何が?」
「オコサマにはまだ早いってこと」
「ま!私、オコサマじゃないもん!」
「はいはい」
「オトナだもん」
「そうだったね」
「だってジョーがオトナに」
「はい、そこまで」

スリーの口を手のひらで塞ぎ、ナインはそのまま彼女を抱き締めた。

本当に――そういう意味じゃないけど、でも……

「まあ、いいや」
「何が?」
「何でもない」

いつか、ね。


いつか――

 

next



A新ゼロの場合 (昨年のお誕生日はコチラ 注:子供部屋連載のまとめなので長いです

 

「何が欲しいか、って?そんなの、フランソワーズに決まってるじゃないか」

変な質問だよなあと笑う。

「前はフランソワーズ自身だったし」

あれは楽しかった、と思い出して頬を緩ませた。

「去年は、裸エプロン完全版だし」

さらに頬が緩む。

「いやあ、今年はなんだろうなあ」

ねっ、フランソワーズ?

と振り向いたけれど、そこにいたはずのフランソワーズは忽然と姿を消していた。

「あれっ?フランソワーズ?」

 

****

 

「……まったくもう」

今年はどんなのかなあと瞳を輝かせて言われたものの。

「何をしたらいいのよ」

ハードルが高すぎるわ……とフランソワーズは溜め息をついた。

 

next



B超銀の場合 (昨年のお誕生日はコチラ  注:こちらも長いです

 

「去年のようなすれちがいは勘弁してほしいな」
「あら、すれちがってないわ。会えたじゃない」
「運が良かっただけさ」

本当に、危うく地球的規模のすれちがいになるところだったのだ。
それは、お互いに同じ事を考えていた証明ではあったけれど。

最初から一緒にいればいいんだ。

ジョーは思う。

変に我慢するから、ややこしいことになる。
会いたいと最初から伝えていれば何の問題もないし、そもそも離れなければいいのだ。

「ともかく、もうごめんだ」

電話の向こうのフランソワーズは笑ったようだった。

「そんなこと言っても、あなたはレースがあるでしょう?まさか私に来いって言うんじゃないでしょうね?」
「うん。だめかな」
「えっ、だめかなって。ジョー、本気?」
「ああ」
「ああ、って……」

もう一押し。

一緒にいたいから。

そう言えば、フランソワーズは頷くだろう。

でも。

フランソワーズだって予定があるだろう。

「勝手に決められても困るわ。私にも予定があるのよ?」

ほら、やっぱり。

「うん。そうだよね」

僕と一緒にいるという方を優先してはくれないだろうか。

そう言ってみようかどうしようか迷っているジョーの耳にフランソワーズの声が響いた。

「ほんと、困るわ。ハリケーンジョーに会いに行く予定が入っているのに」

 

next


NEXT