国語篇(その二)

(平成12-1-1書込み。24-3-1最終修正)(テキスト約23頁)


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目 次 <方言の中に今も息づいている縄文語(その一)ー山形県庄内語・岩手県遠野語からー>

1 山形県庄内地方とその方言

2 庄内語のポリネシア語による解釈

 イガルイキナルウスケネウダルウルガスエシェコグエラシグネオガルオガワオヤゲネガオルガスカダルカヤブルカラガクキカネケゲシゲッパケナリコウデゴシャクコッペコベハエコモジサドケシェゲルシゲネシジゲルショウラグジョナメルズンギリズンデネセナギセヤミゼンガラタゴツクタチポシネツボケトケチャマドッコギトロペジドンガラニメルネクダネッヅイハッコエバンケビショナシボッコスホドワラマグラウマンキタカリメシコグメジョケネモンジャネヤサガネヤシタケルヤバチ

3 岩手県遠野地方とその方言

4 遠野語のポリネシア語による解釈

 アェソ・グラェアガス(アガシ)アケズアゴ(アギ、アギタ)アサナガスアセァ・ガリアッパアブクアベ(イァベ、アェベ)イゲ・グラェウザネ・ハクエセルエヅグオジョルオドギャ(オトガイ)オナメカカッテカタギガバル(ガンバル)カマドクチハビクドクビ(クビタ)ケェッチャ(カイチャ)コウェー(コワイ)・ツラスナコノゲコワイサェナムジョウヤショスセァメセェーボウセンダグ(セダグ、セダゴ)ソウソッコリタグ・ヅグ(タゴ・ツグ)タンブリ・ハズチョスツブツバグラデビテビラコデンデラノ(デンデァノ)ドデントベャッコハガ・ガリハッタギヒェアビッキ(ビキ)ヒテェコベベェ(ベイ)ヘッツイヘドヘルホズナスマガッテ(見る)マナグ(マナコ)ヤグドユウベ・ナユルグネェリンズガ(リンズガモ)ワッ・パガ

<修正経緯>


 

<方言の中に今も息づいている縄文語(その一)
ー山形県庄内語・岩手県遠野語からー>

1 山形県庄内地方とその方言

 山形県の西部に、鶴岡市と酒田市を中心とする庄内平野が広がっています。北東に鳥海山、南東に月山、羽黒山、湯殿山の出羽三山がそびえます。

 庄内平野は、山形県最大の平野で、日本有数の米作単作地帯です。

 平野の中央に位置する鶴岡市は、かつて質実剛健で知られた庄内藩の城下町で、藤沢周平の時代小説の舞台です。最上川河口に位置する酒田市は、近世には最上川舟運と西回り海運の結節地で、港町として栄え、大正期以降は化学工業が立地する港湾商工業都市として発展しています。

 この庄内地方に今も残る方言の中に、縄文語をほとんどそのまま伝えていると思われる語彙を多数見出すことができます。

 私は東京で生まれ育ち、両親は山形県鶴岡市の出身で、家では標準語を話しておりました。しかし、言葉のはしばしに庄内弁が混じることがよくありましたし、鶴岡から親戚が訪ねてきたりすると庄内弁で嬉しそうに話をしておりましたから、庄内弁の語感は小さいときから耳の奥に沁み付いております。

 最近古本屋で、佐藤治助著『心にのこる庄内語』((有)良書発行センター鶴岡書店、1992年)という本を見つけました。本文252ページの中に見出し語60語あまりの庄内弁の語彙が、その用例とその言葉が使われた状況とを、異色の教師であった著者の多彩な人生経験をもとに生き生きと、そしてしみじみとした名文で解説されています。できれば多くの皆様にじっくり読んで頂きたい好著です。
     

 私にとっても非常に懐かしい響きをもつ、これらの語彙のかなりのものが、ポリネシア語(ほとんどはマオリ語)で、ほぼ完全な音韻の一致の下に、ほぼ同じ意味をもつものか、あるいは現在の意味に変化する前の意味として充分納得できるものとして、解釈できるのです。

 恐らく、日本各地の方言の中でも、これほど変わり無く昔の姿を今に止めているものは、あまりないのではないでしょうか。

2 庄内語のポリネシア語による解釈

 佐藤治助著『心にのこる庄内語』に収録された庄内語の語彙の中から選んだ58語について[意味]、[用例等]、[原解釈]にできるだけ原著の趣旨を損なわないように一部を要約して紹介し、ポリネシア語による解釈を[新解釈]として記述します。子音等の変化については、入門篇(その一)(平成10年11月1日書き込み)で解説したところによることはもちろんです。

 なお、東北弁に典型的に残る鼻濁音のガ行音は、ポリネシア語のNG音そのものですので、ポリネシア語のカナによる表示に「(ン)」を付ける必要はないとも考えられるのですが、一般の読者の理解を助けるため、従来通り「(ン)」を付し、音韻変化の解説にもNG音とか、NG音のN音の脱落とか記載しておりますので、ご承知おきください。また、現在の日本語では、鼻濁音のガ行音は単語の途中にしか出現しないとされていますが、ポリネシア語では語頭にも頻繁に出現します。

01イガル

[意 味] 水流が物にせかれて溢れ、逆流すること。

[用例等] (洪水で低地の水田が完全に水没した状態を見て)「困ったのぉ、こげ イガッテは・・・」

[原解釈] 「いかえる(水流が物にせかれて溢れ、逆流する)」から。

[新解釈] イ・(ン)ガルル、I-NGARURU(i=past time;ngaruru=abundant,surfeited(ngaru=wave of the sea))、「(水が)いっぱいになった(たらふく飲み込んだ)」の転(「(ン)ガルル」の語尾の「ル」が脱落した)。

02イキナル

[意 味] 生意気な態度をとったり、得意になつて弱者を貶し蔑む態度。

[用例等] 「人前でイキナルものではねぇぞ」。

[原解釈] 「良気成(いいきなる)」から。

[新解釈] イキ・(ン)ガルル、IKI-NGARURU(iki=consume,devour,devastate;ngaruru=abundant,surfeited(ngaru=wave of the sea))、「貪欲に喰い(使い)尽くす」の転(「(ン)ガルル」のNG音がN音に変化し、反復語尾の「ル」が脱落して「ナル」となった)。

03ウスケネ

[意 味] 能力がない、どこか抜けている、足りないところがある。

[用例等] 「まったく、ウスケネぐでぇ・・・。蓑ひとつ作れねぇ」。

[原解釈] 「ウス(接頭語)・ケネ(甲斐性がない)」から。

[新解釈] ウツ・ケ・ネイ、UTU-KE-NEI(utu=return for anything,make response;ke=different,strange;nei=to indicate continuance of action)、「(予想、期待と)違う反応(結果)が続けて出てくる(人)」の転。

 (注) この「ウツ・ケ」は、「虚気(うつけ)者」(ぼんやりもの、おろかもの、まぬけ)の語源です。

04ウダル

[意 味] 捨てる、不要な、価値のない。

[用例等] 「ガス(ごみ)、ウダッテくる」

[原解釈] 「打ち遣る」の転か。

[新解釈] ウタ・ル、UTA-RU(uta=put persons or goods on board a canoe etc.;ru=shake,scatter)、「人や物を(カヌーや、何かの上に)放り投げる」

05ウルガス

[意 味] 餅を搗く前に糯米を水に浸したり、ゼンマイや棒鱈などの乾物を水に浸しておくこと。

[原解釈] 「潤う」から。

[新解釈] ウル(ン)ガ・ツ、URUNGA-TU(urunga=act or circumstance of entering;tu=stand,settle)、「(料理の前の)処理に入るために(食物を)そのための環境(水の中)に置く」の転。

06エシェコグ

[意 味] ふざける、いいふりをする、いいところを見せようとして格好をつける、威張る、調子に乗って普通ではできないことをする、空元気を出す。

[用例等] (戦地に向かう息子に対し母が)「わねぇ、エシェコエで、弾さ当たらねようしぇよ」。

[原解釈] 「威勢を誇示する」から。

[新解釈] エチア・コクフ、ETIA-KOKUHU(etia=as if,as it were,how great!;kokuhu=bastard)、「あたかも本物であるかのように振る舞う偽者」の転(「エチア」が「エシャ」から「エシェ」に変化し、「コクフ」の語尾の「フ」が脱落し、濁音化して「コグ」となつた)(この「コクフ」は、「53メシコグ」の「コクフ」と同じ語源です。)

07エラシグネ

[意 味] 憎い、憎らしい、癪に障る、腹がたつ。

[用例等] 「(晩飯の魚を盗んだ猫に対して)エラシグネッちゃ、あんちくしょう」

[原解釈] 「エラシ・ナイ」(偉くない)の転。または「愛らしくない」の転。

[新解釈] エラ・チキ・ヌイ、ERA-TIKI-NUI(era=those yonder;tiki=unsuccessful;nui=large,many)、「あのとんでもない不運(の出来事め)、あのとんでもない失敗(の出来事め)」の転。

08オガル

[意 味] 大きくなる、生える、成長する、男性自身が勃起する。

[用例等] (山に植えた苗木が)「オガッタちゃ、こげ、でっかくなって」

[新解釈] オ(ン)ガ・ル、ONGA-RU(onga=agitate,shake about;ru=shake,agitate)、「興奮する、奮起する、震える」の転。

09オガワ

[意 味] おまる、便器。

[原解釈] 「御厠(おかわや)」の転。

[新解釈] アウ(ン)ガ・ワ、AUNGA-WA(aunga=not including;wa=so-and-so)、「その空の容器」の転(「アウ(ン)ガ」のAU音がO音に変化して「オガ」となつた)。

(注) この「アウ(ン)ガ」は、地名篇(その二)の秋田県の地名の男鹿半島の「おが」と同じ語源です。

10オヤゲネ

[意 味] 思いやりがない、情けない、哀れである、粘り強さがない、あっけない。

[用例等] (農業を捨てようとする息子を翻意させられないと知った父のひとり言)「五十過ぎても馬づけかと思うと、オヤゲネ・・・」(馬づけは、畜力を使う労働に従事する通常若者の呼称)。

[原解釈] 「親気がない」から。

[新解釈] オイ・ア(ン)ガ・ネイ、OI-ANGA-NEI(oi=shudder,move continuously,agitate;anga=face or move in a certain direction,driving force;nei=to indicate continuance of action)、「(どうにも止まらない)心の衝動に駆られて(行動すること)」の転(「オイ」の語尾の「イ」と「ア(ン)ガ」の語頭の「ア」が連結して「ヤ」となつた)。

11ガオル

[意 味] 弱る、衰弱する、活気や活力が消滅する。

[用例等] (病気の親族を見舞った後)「あげ丈夫な八郎が、すっかりガオってしまって」

[原解釈] 「我折る」から。

[新解釈] (ン)ガウ、NGAU(hurt,gall,of physical discomfort)、「体調を崩してやつれる」の転(「(ン)ガウ」のNG音のN音が脱落し、AU音がO音に変化して「ガオ」になつた)。

12ガス

[意 味] ごみ。

[用例等] 「ガス、ウダッテ(捨てて)くる」。

[原解釈] 「かす」から。

[新解釈] (ン)ガツ、NGATU(crashed,mashed)、「粉々になつた(ごみ)」の転(NG音がG音に変化して「ガツ」から「ガス」になつた)。

 (注) この「(ン)ガツ」は、月山(がっさん)の地名の語源ともなつています。(地名篇(その二)の山形県の地名の「出羽三山」の項を参照してください。)

13カダル

[意 味] 仲間に入る、加わる、参加する。

[用例等] 「わぁも、カダレちゃ」、「おれどごも、カダラシェレちゃ」

[原解釈] 「語る」の転。

[新解釈] カタ・ル、KATA-RU(kata=laugh,opening of shell-fish;ru=shake,agitate,scatter)、「(一緒に)はしゃいで笑う」の転。

14カヤブル

[意 味] 土台が貧弱なのに上部構造が大きすぎる状態、不相応、平衡感覚を伴わない不釣り合いの状態。

[用例等] 「こげな不況のとき、カヤブって大き学校作ることはねぇ」。

[原解釈] 「傾く」から。

[新解釈] カイ・アプル、KAI-APURU(kai=fulfill its proper function,have full play;apuru=crowd one upon another,suppress,overwhelm)、「本来の機能を果たすには大きすぎる負担を次から次へとかける。または本来の機能を果たすのを(妨げてかえって)覆す」の転(「カイ」の「イ」と「アプル」の「ア」が連結して「ヤ」となり、「プル」が濁音化して「ブル」となつた)。

15カラガク

[意 味] からげる、縛る、束ねる。

[用例等] 「もっときっちりカラガケちゃ」

[原解釈] 「絡(から)ぐ」から。

[新解釈] カラ(ン)ガ・ク、KARANGA-KU(karanga=call,summon;ku,kuku=firm,stiff.thickend)、「呼び集めて堅く一つにする(縛る)」の転。

16キカネ

[意 味] 腕白、乱暴、強情、負けず嫌い。

[用例等] 「○○は、小っちゃいときからキカネぐで」。

[原解釈] 「聞かず」から。

[新解釈] キ・カネヘ、KI-KANEHE(ki=full,very,say;kanehe=desire,affection,yearning)、「願望(熱望)がいっぱい(またはそれを言い立てる)(人)」の転(「カネヘ」の語尾の「ヘ」が脱落した)。

17ケゲシ

[意 味] 利口だ、頭がいい、賢い(賞賛する言葉)。

[用例等] 「あの娘はケゲシから、どげえなええ家の嫁でも勤まるや」。

[原解釈] 「甲斐甲斐しい」から。

[新解釈] カイ・カイ・チ、KAI-KAI-TI(kai=fulfill its proper function,have full play;ti=throw,cast,overcome)、「きちんきちんと為すべきことを成し遂げる」の転(「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった)。

18ゲッパ

[意 味] お尻。転じて、(最後の)ビリ。

[用例等] 「今日の運動会は、ゲツパか?」

[原解釈] 「月迫(げっぱく)」(月末、臨月)の転。

[新解釈] (ン)ゲ・パパ、NGE-PAPA(nge=particle used before personal or possessive pronouns;papa=buttocks)、「お尻」の転(語尾の「パ」が脱落した)

19ケナリ

[意 味] 羨ましい。

[原解釈] 「殊(け)なり」(羨ましい、心憎い)または「異(け)なり」から。

[新解釈] ケ・(ン)ガリ、KE-NGARI(ke=different,strange;ngari=greatness,power)、「非常に異なっている」の転(「(ン)ガリ」のNG音がN音に変化して「ナリ」となつた)。

20コウデ

[意 味] たいへん、すっかり、ひじょうに。

[用例等] 「これが、きんな、コウデ、お世話なって」

[原解釈] 「こんなに」の転。

[新解釈] コウ・テ、KOU-TE(kou=koi=good,suitable,almost;te=emphasis)、「大変良く、まったく」の転。

21ゴシャク(ゴシャガエル、ゴシャゲル)

[意 味] 叱る(叱られる、腹が立つ)。

[用例等] 「ほれ、あまり俺どこ、ゴシャゲラしぇんなっちゃ(怒らせるな)」。

[原解釈] 「後世を焼く」から。

[新解釈] (1) (ン)ガウ・タク、NGAU-TAKU(ngau=bite,hurt,act upon,attck;taku=slow)、「静かにかみつく(叱る)」の転(「(ン)ガウ」のAU音がO音に変化して「ゴ」となり、「タク」が「サク」から「シャク」に変化した)。

 (2) (ン)ガウ・タク・ア(ン)ガ、NGAU-TAKU-ANGA(ngau=bite,hurt,act upon,attck;taku=slow;anga=face or move in certain direction)、「静かにかみつかれる(叱られる)、または静かにかみつく方へ(心が)動く(腹が立つ)」の転(「(ン)ガウ」のAU音がO音に変化して「ゴ」となり、「タク」が「サク」から「シャク」に、「ア(ン)ガ」が「アゲ」に、「シャク・アゲ」が「シャガエ」、または「シャゲ」に変化した)。

22コッペ

[意 味] おしゃれをする。

[用例等] 「男のくせして、コッペで」

[原解釈] 「功経(こうふ)る」の転。

[新解釈] コペ、KOPE(wrap up as food in leaves for cookings)、「(料理の前に食材を植物の葉で)包む、表面を飾る」の転。

23コベハエ

[意 味] 自分が有利になるために他人より早く立ち回る、すばしこい(非難する言葉)。

[用例等] 「人のさき立つ人は、わ(自分)不利なろうど有利にはでぎねぇもんだ。それなのに、あいつは、コベハエぐで」。

[原解釈] 「勾配が早い=水の流れが早い」から。

[新解釈] コペ・ハエ、KOPE-HAE(kope=squeeze;hae=jealousy or ill feeling)、「(横から手を伸ばして)無理に取って反感を持たれる(人)」の転(「ぺ」が濁音化して「ベ」となつた)。

 (注) 言うまでもないことですが、この「コペ」の英語訳の「スクイーズ」は、野球のスクイズと同義です。

24コモジ

[意 味] 稲の枯葉。ごみ、ごもく、藁をしごいた残りくず。

[用例等] 「コモジ蒲団」

[原解釈] 「ごもく」の転。

[新解釈] コ・モチ、KO-MOTI(ko=emphasis;moti=consumed,scarce,surfeited)、「(本体を稲藁として)使い尽くした(残りのくず)」の転。

25サドケ

[意 味] 「サドケのビショナシ」(他人の不潔には敏感なくせに、自分自身は結構汚く、だらしない人)の意。

[新解釈] タ・トケ、TA-TOKE(ta=the;toke=be out of sight,be gone away)、「(自分の不潔は)目に入らない(人)」の転。(「48ビショナシ」を参照してください。)

26シェゲル

[意 味] 慌てる。

[用例等] 「どげ、シェゲでいでも、わの草履とひとのものを間違えるようでは駄目だ」。

[原解釈] 「急(せ)く」から。

[新解釈] テ(ン)ガ、TENGA(Adam's apple,distended,strained)、「張りつめた、緊張した」の転(「テ(ン)ガ」が「セガ」になり、「シェガ」になった)

27シゲネ

[意 味] 淋しい(木や髪など密生していたものが、急にまばらになったり、家族の誰かが急にいなくなったときなどの感じ。)

[用例等] 「家のあたり(家の中)、シゲネぐなったのぉ」

[原解釈] 「素気なし」から。

[新解釈] チ・(ン)ゲア(ン)ゲア、TI-NGEANGEA(ti=throw,cast,overcome;ngeangea=very numerous,abundant)、「無数にあったものが少なくなった(散り散りになった、打倒された)」の転(「(ン)ゲア(ン)ゲア」の初出のNG音がG音に変化し、後出のNG音がN音に変化して「ゲアネア」となり、「ゲネ」となつた)。

28シジゲル

[意 味] 強制する、無理強いする。

[用例等] 「そげ、シジゲルものでねぇ」

[原解釈] 「躾ける、仕付ける」の転。

[新解釈] チ・チ(ン)ゲイ・ル、TI-TINGEI-RU(ti=throw,cast,overcome;tingei=unsettled,ready to move;ru=shake,agitate,scatter)、「(どう行動するか)決めかねて揺れているのを圧倒する(無理強いする)」の転(「チ(ン)ゲイ」の語尾の「イ」が脱落して「シゲ」となつた)。

29ショウラグ

[意 味] 怠ける、なまけもの。

[用例等] 「まったく、ショウラグ者で」

[原解釈] 「性楽」、「常楽」から。

[新解釈] チオ・ラ(ン)ギ、TIO-RANGI(tio=cry;rangi,rangirangi=annoy,vex)、「(子供のように)泣いて(人を)悩ませる(だけの人。または困難に(直面して) 立ち向かおうとせずに、ただ)泣くだけの人。転じて怠け者)の転(「チオ」が「ショウ」に、「ラ(ン)ギ」のI音がU音に変化して「ラグ」になった)。

30ジョナメル

[意 味] なまめかしいこと、派手な振る舞い、媚態をふりまく女。

[原解釈] 「しょなしょなめく」の転。

[新解釈] チオ(ン)ガ・メ、TIONGA-ME(tionga=decoy parrot;me=as if,like)、「(同族を惹きつけて捕らえるための)囮のオウムのような(振る舞い、女性)」の転(「チオ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「チオナ」となり、「ジョナ」となつた)。

31ズンギリ

[意 味] (木製、革製、桜皮製、こより製などの)刻みタバコ入れ、またはタバコ道具一式入れ。(茶を入れる缶ー沖縄)

[原解釈] 「寸切り」、「頭(ずん)切り」から。

[新解釈] ツム・キリキリ、TUMU-KIRIKIRI(tumu=trunk,foundation;kirikiri=basket with the sides raised by network,for food,etc.)、「人の胴(腰)に付ける篭(かご)」の転(「ツム」が「ツン」から「ズン」となり、「キリキリ」の反復語尾の「キリ」が脱落して「キリ」となった)。

32ズンデネ

[意 味] ずいぶん、非常に、大変な。

[用例等] 「(シイナや未熟米などの粉をソバ掻き状にした代用食の「ネリ」は)さめっど、ズンデネ、うまくねぐで」

[原解釈] 「尋常でない」の転。

[新解釈] (1) ツム・テネイ、TUMU-TENEI(tumu=trunk,foundation;tenei=this,each,any,now)、「これは、本当(本体、基礎)のところは」の転(「ツム」が「ツン」から「ズン」となり、「テネイ」の語尾の「イ」が脱落した)。

 (2) ツ(ン)ガ・テネイ、TUNGA-TENEI(tunga=send(tungatunga=beckon,make signs);tenei=this,each,any,now)、「これは、本当の(同意する、納得する)ところは」の転(「ツ(ン)ガ」のGA音が脱落して「スン」から「ズン」となり、「テネイ」の語尾の「イ」が脱落した)。

33セナギ

[意 味] 下水。

[新解釈] テ・ナキ、TE-NAKI(te=crack;naki=glide,move with an even motion)、「一様に流れる(流れに波がない)水路」の転。 

34セヤミ

[意 味] 怠けて身体を動かさない者、冬に炬燵ばかりに入っている寒がりの人など。

[用例等] 「セヤミコギの嫁って、いわれないようにしぇよ」。

[原解釈] 「背が病む」から。

[新解釈] テ・アマイ、TE-AMAI(te=the;amai=giddy,dizzy)、「浮ついた(人)」の転(「テ・アマイ」が「セアマイ」から「セヤミ」となつた)。

35ゼンガラ

[意 味] 自分が播いた種、因果応報、自業自得。

[用例等] 「それは。わぁのゼンガラや」。

[原解釈] 「罪柄(ざいがら)」から。

[新解釈] テ・(ン)ガラフ、TE-NGARAHU(te=the;ngarahu=prudence,take counsel)、「思慮、分別(の為せる業)」の転(「テ」が「ゼ」に変化し、「(ン)ガラフ)」の語尾の「フ」が脱落した)。

36タゴツク

[意 味] 掴まる、取りつく、すがりつく。

[用例等] 「おれの袖にタゴツクな」

[原解釈] 「手越し」(手から手へ渡す)から。

[新解釈] タ(ン)ゴ・ツク、TANGO-TUKU(tango=take up,take in the hands;tuku=let go,leave,allow,send,offer)、「掴む、手中におさめる」の転。

 (注) 遠野語の「94タグ・ヅグ」と同じですが、[原解釈]が異なります。

37タチポシネ

[意 味] 心細い、淋しい。

[用例等] 「家さ一人いっどぎ(居るとき)、停電なっど(停電になると)、つくまでが、タチポシネグで」

[原解釈] 「立ち端(は)」(出発する機会、出立するときの別れ、葬送の門出などの意)の転、「タチハシイ」から。

[新解釈] カチ・ポチ・ネイ、KATI-POTI-NEI(kati=block up,shut of a passage,barrier;poti=angle,corner(popoti=surround);nei=to indicate continuance of action)、「通路や(人の休める)隅の場所が塞がれてしまっている、何処にも行く場所がない」の転。

38ツボケ

[意 味] 稲積み(縦に立てた杭に稲束を積んだもの)、転じて杭を中心として雪が集積した高まり。

[用例等] 「道端のあちこちに杭ツボケがあって、そこの前後には必ず吹雪だまりができ、腰までぬかるときがある」

[新解釈] ツ・ポケ、TU-POKE(tu=stand,settle;poke=beset in numbers,work at in crowds,haunt)、「(稲や雪が)集まつて積み上がっている」の転。

 (注) その真偽について強い疑問が持たれている『東日流(つがる)外三郡誌』は、伝承として、古代の津軽の原住民、阿曽部(あそべ)族が渡来してきた津保化(つぼけ)族に征服されたと述べています。青森県の方言では、「ツボケ」には「馬鹿者」の意がありますが、マオリ語の「ツ・ポケ」、TU-POKE(tu=stand,settle;poke=beset in numbers,work at in crowds,haunt)、「大勢が寄り集まって行動する、または何処からともなく出現した(部族)」の転訛と解することができます。また、「あそべ」は、「ア・トペ」、A-TOPE(a=particle used before names of persons;tope=cut,fell)、「斬り殺された(部族)」の転訛と解されます。

39トケチャマ

[意 味] (裏表、前後、上下が)逆である、あべこべ、裏返しなど。

[用例等] 「わねは、トケチャマで、大人になってからキカネぐして」。

[原解釈] 「反様(かえさま)」から。

[新解釈] ト・ケ・ツア・マイ、TO-KE-TUA-MAI(to=be pregnant,the...of;ke=different,strange;tua=back;mai=clothing)、「着物の裏(側)で奇妙だ」の転(「ツア」が「チャ」に、「マイ」の語尾の「イ」が脱落した)。

(注) 「ケ・ツア・マイ」は、「82ケェッチャ」と同じ語源です。

40ドッコギ

[意 味] 憶病者。

[用例等] 「男のくせして、ドッコギで」

[原解釈] 「ド」(疑問の意)を「コグ」(する、行動する)、疑問を連発して決断しない人。

[新解釈] タウア・コキ、TAUA-KOKI(taua,tautaua=inactivity,coward;koki=move ahead,limp)、「気力のない憶病者」の転(「タウア」のAUA音がO音に変化し、濁音化して「ド」となつた)。

41トロペジ

[意 味] 始終、いつも。(毎日や常時ではなく、ときどき時間を区切って行われる行為で、それが長い期間にわたって継続されるときに使われる。)

[用例等] 「彼はトロペジ釣さでがげるそうだ」

[原解釈] トロッピョウシの転。「鈍い」という意味のトロイと「拍子」の複合語で、「むやみやたら」の意。

[新解釈] トロ・ペチ、TORO-PETI(toro=stretch forth,creep,survey;peti=heap up)、「前方に(将来に)向かって(行為を)積み重ねる」の転。

42ドンガラ

[意 味] ドンガラ汁(寒鱈を丸ごとぶつ切りにして野菜と煮込んだ名物料理)

[新解釈] (1) タウ(ン)ガ・ラ、TAUNGA-RA(taunga=resting place,fishing ground,become familiarised,be at home in a place;ra=wed)、「実に家庭的な(家庭と結びついた料理)、または漁場と結びついた(漁場や漁船の上で作る料理)」の転(「タウ(ン)ガ」のAU音がO音に変化して「ト(ン)ガ」となり、濁音化した)。

 (2) トヌ・(ン)ガ・ラ、TONU-NGA-RA(tonu=still,quite,just,simply;nga=satisfied;ra=wed)、「実に単純で、充分満足する(料理)」の転(「トヌ」のNU音と次の「(ン)ガ」のN音が連結してN音となり、「トガ」から「ドンガ」になった)。

43ニメル

[意 味] 温度が高くなって雪が解けかかること。

[用例等] 「(雪玉は)戸の口さ置けば、ニメッテしまうであぜ」

[原解釈] 「メル(減るー陽光で融けてー)」からか。

[新解釈] ニヒ・メハ、NIHI-MEHA(nihi,ninihi=move stealthily,surprise;meha=separate(memeha=decaying,be dissolved))、「徐々にばらばらになる(解ける、溶融する)」の転。

44ネクダ

[意 味] 丁寧すぎる、くだくだしくものを言う。

[用例等] 「あれは、ネグダで、困った男だ」

[原解釈] 「くだくだし」からか。

[新解釈] ネクネク・タ、NEKUNEKU-TA(nekuneku=decline as the sun(nekue(Hawaii)=to rub back and forth as the elbow);ta=dash,lay)、「(腕をさすっているうちに日が暮れるように)つまらないことに執着して時間をつぶす」の転(「ネクネク」の反復語尾が脱落して「ネク」となつた)。

45ネッヅイ(ネッヅグ)

[意 味] 倹約(忍耐強い、綿密な、注意深く、しつこい)

[用例等] 「彼は、ネッヅグでネッヅグで」、「彼ほど、ネッヅイ人はいない」

[原解釈] 「根強し」から。

[新解釈] ネイ・ツ(ン)ゴウ、NEI-TUNGOU(nei=to indicate continuance of action;tungou=nod,beckon)、「頷(うなず)き続ける(いちいち納得してから行動する)」の転(「ツ(ン)ゴウ」のNG音のN音が脱落して「ツゴウ」から「ツグ」となった)。

46ハッコエ

[意 味] 冷たい。

[原解釈] 「ヒャッコイ」の転。

[新解釈] ハ・コア(ン)ギ、HA-KOANGI(ha=what!;koangi=cool)、「何と冷たいこと」の転(「コア(ン)ギ」のNG音が脱落して「コアイ」となり、AI音がE音に変化して「コエ」となった)。

47バンケ

[意 味] 蕗の薹(とう)。

[原解釈] 半開(はんかい)の転、蛮毛(ばんけ)、変化(へんげ)の転など。

[新解釈] パネケ、PANEKE(move forwards,pass by)、「上へ向かって伸びてくる(もの)」の転(P音がB音に変化し、「ネ」のE音が脱落した)。

48ビショナシ

[意 味] だらしがない、不潔だ、醜い、汚い。

[用例等] 「サドケのビショナシ」(他人の不潔には敏感なくせに、自分自身は結構汚く、だらしない人)

[原解釈] 「美粧なし」から。

[新解釈] ピ・チオ・ナチ、PI-TIO-NATI(pi=slight,take no notice of;tio=rock oyster(tiotio=barnacle);nati=contract,pinch)、「岩牡蛎(やフジツボなど)が付着していても気にしない」の転。(「25サドケ」を参照してください。)

 (注) カヌーの船体にフジツボの類が付着しますと船の速度が落ちますので、海洋民族は常に船体の清掃を心がけていた筈で、この言葉はその伝統の中から生まれたものでしょう。

なお、「ビショ」だけで「不潔な者」(岩手県釜石市。ほかに女の馬鹿者ー富山県。卑しいものー愛媛県)の意味で使われる例がありますが、上記のようにこの「ナシ」は否定の意味ではなく「付着する」の意味で、「ビショ」は「岩牡蛎などを気にしない」という意味ですから、誤りではありません。

49ボッコス

[意 味] 壊す。

[用例等] 「(縁談の)はなし、ボッコレダど」

[原解釈] 「打つ・壊す(ぶっこわす)」の転。

[新解釈] ポコ、POKO(be extinguished,beaten,defeated)、「打撃を受けた、敗北した」の転。

50ホドワラ

[意 味] 雪原。少なくとも膝が没するくらいの雪が積もった原っぱ。

[用例等] 「はっしはっしと 雪原(ほどわら)こいで        くねくねの 一本道をば ふみしめて行く」(土井大助詩「冬景慕情」から)。

[原解釈] 「ホタ」(傍ら、そば、土手、畦道。雪の降り積もったところ、雪原)、「ホーテー」(雪原)、「程(ほど)」(一定の広がりをもつた空間、物事の程度)からか。

[新解釈] ホト・ワラ、HOTO-WHARA(hoto=begin,be apprehensive,cold;whara=be struck,be pressed)、「寒さに打ちのめされる(場所)」の転。

51マグラウ

[意 味] 大食する。

[用例等] 「わねぇは、セヤミの大マグレで」。

[原解釈] 「飯(まま)喰う」から。

[新解釈] マクル・アウ、MAKURU-AU(makuru=abundant;au=firm,intense,certainly)、「ほんとにたくさん(食べる)」の転。

52マンキタカリ

[意 味] 他人の地位や名誉や財産などをうらやましがって妬む。

[原解釈] マンキは慢気で、慢心、おごりたかぶる思い上がった心の意、タカリは猛(たけ)るで、マンキタカリは慢気が猛り、極限に達した状態。

[新解釈] マナアキ・タカリリ、MANAAKI-TAKARIRI(manaaki=show respect or kindness to,entertain;takariri,whakatakariri=rousing indignation,angry)、「他人に対し敬意を表す(べき)ことに憤慨する」の転(「マナアキ」のAA音が脱落し、「タカリリ」の反復語尾の「リ」が脱落して「マンキ・タカリ」となった)。

53メシコグ

[意 味] おべっかをつかうこと。

[用例等] 「このメシコギ野郎どもめ」

[原解釈] 「メシ((貴人などが)召す(寵愛する)の転)・コグ(行動する、へつらう)」から。

[新解釈] メチメチ(またはメト)・コクフ、METIMETI(METO)-KOKUHU(metimeti=fat(meto=putrid,be extinguished);kokuhu=bastard)、「太った(腐った、人の心を打ちひしぐ)偽者」の転(「メチメチ」の反復語尾の「メチ」が脱落して「メシ」に変化(または「メト」が「メチ」→「メシ」に変化)し、「コクフ」の語尾の「フ」が脱落して「コク」が「コグ」と濁音化した)。 

54メジョケネ(ミゾケネ)

[意 味] (大勢の面前で辱められたり、病気で苦しんだり、困難に出会っている人を脇からながめて)可哀想だ、気の毒である、哀れなことだ。

[用例等] (泥鰌が鍋の中で断末魔のあがきをするのを見聞きして)「メジョケネッちゃ、メジョケネッちゃ」

[原解釈] 「罵辱(ばじょく、めじょく)」の転。「むぞい」(残酷だ)の転。

[新解釈] メト・ケ・ネイ、METO-KE-NEI(meto=putrid,be extinguished;ke=different,strange;nei=to indicate continuance of action or events)、「(人の)心を打ちひしぐような実に異常な(出来事が続いている状況)」の転(「メト」が「メソ」となり、「メジョ(ミゾ)」となった)。

 (注) この「メト」は、「53メシコグ」の「メト」と同じです。

55モンジャネ

[意 味] 幼稚である、わきまえがない、なんともしょうがない、泥酔して意識不明になるなど。

[用例等] 「困ったものだ、モンジャネ野郎で」。

[原解釈] 「文字無し」から。「問者でない」から。

[新解釈] モノ・チア・ネイ、MONO-TIA-NEI(mono=plug,disable by means of incantations;tia=persistency;nei=to indicate continuance of action)、「(人智を越えた理由による)いつまでも無能力な」の転。

56ヤザガネ

[意 味] だめだ、いけない、役立たない。

[用例等] (岩海苔摘みに行つたが、摘めなくて)「今日は、ヤザガネっけ、波高ぐで、あぶなぐで」

[原解釈] 「埒が空かない」から。

[新解釈] イア・タカ・ネイ、IA-TAKA-NEI(ia=indeed,very;taka=fall off,fall away,fail of fulfilment;nei=to indicate continuance of action)、「どうしても約束を果たせない(離れる、手を引く)」の転。

57ヤシタケル

[意 味] 卑しい、食べることに夢中になる。

[用例等] 「わねぇ、あまりヤシタケルど、腹ぼっこすぞ」

[原解釈] 「卑しい・猛る」の転。

[新解釈] イア・チ・タケ・ル、IA-TI-TAKE-RU(ia=indeed,very;ti=throw,cast,overcome;take=absent oneself,crooked;ru=shake,agitate,scatter)、「実に自分を見失ったようにはしゃいで」の転。

58ヤバチ

[意 味] (朝露に)濡れる、(首筋に)雨垂れが落ちる、(走る車に泥水を)跳ねかけられるなど(冷たい、濡れる、気持ちが悪いこと)。

[用例等] (朝露にぐっしょり濡れて)「ヤバチッちゃ」。

[原解釈] 「やばちい(むさく汚ないこと)」から。

[新解釈] イア・パチ、IA-PATI(ia=indeed,very;pati=ooze,splash)、「実に水(水滴、露など)がはねかかって濡れる」

 

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3 岩手県遠野地方とその方言

 岩手県中南部、北上山地の中央に遠野市があります。

 遠野三山と称される早池峰(はやちね)山、六角牛(ろっこうし)山、石上(いしがみ)山に囲まれた遠野盆地の中にある遠野市の中心市街地は、遠野南部氏の城下町でした。また、三陸海岸と内陸を結ぶ遠野街道(釜石街道)の宿場町でもありました。

 遠野盆地とその周辺は、古い民俗・伝承や歴史遺産の豊富な地として知られています。佐々木喜善氏の採集した民話を柳田国男氏がまとめて明治43(1910)年に『遠野物語』を著し、日本民俗学の出発点となったことはあまりにも有名です。

 市内には、歴史民俗資料をあつめた遠野市立博物館のほか、「とおの昔話村」の施設があり、平成4(1992)年には世界民話博IN遠野が開催されています。

 この民話のふるさと、遠野地方に今も残る方言の中にも、庄内語と同様、縄文語をほとんどそのままの姿で伝えていると思われる語彙を多数見出すことができます。

 最近、岩手県出身の知人から阿部順吉著『縄文語の謎』(酣燈社、1996年)という本を頂きました。本文209ページの中に90項目にわたり、遠野方言(ここでは仮に「遠野語」と呼びます)を題材として、日本語の源流を探る研究結果がおさめられています。
 
 

 著者は、この序文で「日本語に比べ異質の美しさを帯びる東北なまり」を「かつてこの列島全域に花開かせた古代以前からの(日高見国の)ヒタカミ系言語」である「縄文語」と断定しています。そして、縄文時代の文化の中心であつた東北に残る「縄文語」こそが正統な日本語の源流であり、いわゆる「標準語」は「縄文語」が訛つたものであるとの持論を展開しています。

 そこで、遠野語を解説するというよりも、現在全国各地で方言とされている言葉の多くは、縄文語にその起源があり、標準語もこの縄文語から音韻が変化して成立したものであると説いています。そして、遠野地方や東北地方、あるいは全国に広範囲に残る縄文語が標準語ではどのように清濁・音韻が変化しているかを、多くの文献や種々の辞典を広く渉猟しての解明に力を注いでいます。まれに見る素晴らしい力作です。

 著者の主張には全く同感するところが多いのですが、日本語と一部アイヌ語の中だけで解釈しようとされているため、縄文語の語源の探索や、その本当の意味の解釈の面で、やはり限界があると思われることが残念です。

 いずれにしても、ここに収録された遠野語の語彙のかなりのものが、庄内語と同様(庄内語と共通の語彙が数多くみられます)、ポリネシア語(ほとんどはマオリ語)で、ほぼ完全な音韻の一致の下に、ほぼ同じ意味をもつものか、あるいは現在の意味に変化する前の意味として充分納得できるものとして、解釈できるのです。

 とくに、著者が主張されているように、遠野語として残る縄文語の音韻が正統で、標準語はそれが訛ったものであることを裏付ける語彙がいくつかあります。例えば、「65アッパ」は「ハハ(母)」よりも古い語形であることは明白ですし、通常「蜻蛉(トンボ)」の古語は「アキヅ」とされ、記紀にも「秋津島」として記載されていますが、「アキヅ」の音ではポリネシア語に対応する語(納得できる意味)を見出すことができません。遠野語の「61アケズ」の音ではじめてポリネシア語でその本来の意味を知ることができるのです。

4 遠野語のポリネシア語による解釈

 阿部順吉著『縄文語の謎』に収録された遠野語の中から選んだ62語(庄内語の項でとりあげたものと同じ語は除外しています)について、[意味]、[用例等]、[原解釈]にできるかぎり原著の趣旨を損なわないように一部を要約して紹介し、ポリネシア語による解釈を[新解釈]として記述します。子音等の変化については、入門篇(その一)(平成10年11月1日書き込み)で解説したところによることはもちろんです。そのほかは庄内語の場合と同じです。

59アェソ・グラェ

[意 味] 応対、接待。

[用例等] 「わざわざ尋ねて行ったのに、アェソ・グラェもなかった」

[原解釈] 「アェソ(愛想の転)・グラェ(廚(くりや。台所、饗応)の転)」から。

[新解釈] アエ・タウ・クラエ、AE-TAU-KURAE(ae=assent,agree;tau=come to rest,float,be suitable,be comely,beautiful;kurae=project,be prominant)、「(人の顔色や態度に)顕著に現れた人を気分良くさせる返事(受け答え)」の転(「タウ」のAU音がO音に変化し、T音がもとのS音となって「ソ」となつた)。

60アガス(アガシ)

[意 味] 灯かり、灯明。

[用例等] 「ランプさアガスつけでけろ」

[原解釈] 「明るくするもの」の転。

[新解釈] ア・カ・チ、A-KA-TI(a=the...of;ka=take fire,be lighted,burn;ti=throw,cast)、「光りを放散するもの」の転。

61アケズ

[意 味] とんぼ。

[原解釈] 「あきつ」の転。

[新解釈] アケ・ツ、AKE-TU(ake=indicating immediate continuation in time;tu=stand,settle)、「(草木の先などに)ほんの僅かな時間止まってはすぐ飛び立つ(習性をもつ虫)」の転。

62アゴ(アギ、アギタ)

[意 味] 顎、頤。

[新解釈] (1) ア(ン)ゴ、ANGO(gape,be open)、「大口を開ける(顎を開く)」の転(NG音のN音が脱落して「アゴ」となった)。(入門篇(その二)の「アゴ」地名の「ア(ン)ゴ」と同じ語源です。)

 (2) アキ(ハワイゴ)、AKI((Hawaii)to take a nip and let go,to nibble)、「噛みつく(噛みきるもの=顎)」の転(濁音化して「アギ」となつた)。

 (3) アキ(ハワイゴ)・タ、AKI-TA(aki(Hawaii)=to take a nip and let go,to nibble;ta=dash,lay,allay)、「噛みつく(噛みきる)ものが(上下に)並んでいるもの」の転(濁音化して「アギ」となつた)。

 (注) 『日本書紀』斉明紀4(658)年4月条の「齶田(あぎた)浦」の「あぎ」は、この「アギ」とは別語源と解します。地名篇(その二)の秋田県の地名の「秋田市」の項を参照してください。

63アサナガス

[意 味] 朝食前の軽食。

[原解釈] 「アサ(朝)・ナ(接尾語)・ガス(菓子)」から。

[新解釈] アタ・ナ・(ン)ガ・チ、ATA-NA-NGA-TI(ata=early mornning;na=belonging to;nga=satisfy,breathe;ti=throw,cast)、「早朝に(口腹に)満足を与えるもの(朝食前の軽食)」の転。

64アセァ・ガリ

[意 味] 田畑などの朝仕事を終え、朝食のために家へもどること。

[用例等] 「アセァ・ガリ、してがんせ」。

[原解釈] 「アセア(アサイヒ(朝飯)の転)・ガリ(アガリ(上る)の転)」から。

[新解釈] アタ・イア・(ン)ガリ、ATA-IA-NGARI(ata=early morning;ia=indeed,very;ngari=annoyance,disturbance,greatness)、「朝(の仕事)を妨害(中断)するもの」の転(「アタ」の語尾のA音と「イア」の語尾のI音が連結してE音に変化し、T音がもとのS音となって「アセア」となつた)。

65アッパ

[意 味] 母。

[原解釈] 「吾母(あぼ)」の転。アイヌ語「ハボ、HABO、母」の転。

[新解釈] パパ、PAPA(mother)、「母」の転(語頭のP音が脱落して「アパ」から「アッパ」となった)(日本語ではP音がF音を経てH音に変化して「ハハ」となつた)。

 (注) マオリ神話の始祖男神「ランギ」と女神「パパ」については、入門篇(その二)の「あららぎ」の項を参照してください。

66アブク

[意 味] 泡、泡沫。

[用例等] 「あぶく立った、煮え立った」(童謡)。

[原解釈] 「泡吹く」、「泡浮く」の転。

[新解釈] ハウプケ、HAUPUKE(bubble)、「泡」の転(語頭のH音が脱落して「アウプケ」となり、「アプク」から「アブク」となった)。

67アベ(イアベ、アェベ)

[意 味] 行こう。

[用例等] 「飲みさ、アベ」。

[原解釈] 「歩む」の転。

[新解釈] (1) イア・パイ、IA-PAI(ia=indeed,very;pai=good,excellent,suitable)、「なあ、いいだろう」の転(「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」から「ベ」となつた)。

 (2) アエ・パイ、AE-PAI(ae=assent,agree;pai=good,excellent,suitable)、「なあ、いいだろう」の転(「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」から「ベ」となつた)。

 (注) この「ベ」は、「109ベエ(ベイ)」と同じ語源です。

68イゲ・グラェ

[意 味] 顔色、態度。とくに酷い態度。

[用例等] 「人のイゲ・グラェを見る」。

[原解釈] 「イケ(卑しめの語につく接頭語)・グラェ(廚(くりや。台所、饗応)の転)」から。

[新解釈] イケ(ハワイゴ)・クラエ、IKE-KURAE(ike(Hawaii)=to see,know,feel,greet,recognize;kurae=project,be prominant)、「(人の顔色や態度に)顕著に現れたものを見る(本心を知る)」の転。

69ウザネ・ハク

[意 味] (1) 「ウザネ」は、泥田で履く田下駄または藁で編んだ雪グツ。

 (2) 「ウザネ・ハク」とは、泥の中または雪の中をを難儀して歩くことから、難儀する、骨を折るの意。

[原解釈] 「憂(う)さ音(ね)を吐く」から。

[新解釈] (1) ウタ・ネイ、UTA-NEI(uta=put persons or goods on board a canoe etc.,load or man a canoe;nei=to indicate continuance of action)、「(人間という)重荷を背負うもの(田下駄、雪グツ)」の転。

 (2) ウタ・ネイ・ハク、UTA-NEI-HAKU(uta=put persons or goods on board a canoe etc.,load or man a canoe;nei=to indicate continuance of action;haku=complain of,find fault with)、「重荷を背負う(難儀をする)ことに不平をこぼす」の転。

70エセル

[意 味] 拗ねる、むずかる、素直でない。

[原解釈] 「鶏が巣に就いて離れずに頑張つていること」からか。

[新解釈] イ・テレ、I-TERE(i=past time;tere=drift,float,swim)、「(行方が定まらずに)ふらふらしている、漂流している(ような行動をとっている)」の転(「イ」が「エ」に変化し、「テレ」のT音がもとのS音となって「セレ」から「セル」となつた)。

71エヅグ

[意 味] ヘドを吐く、嘔吐する。

[原解釈] 「エ(声)・ツク(衝き上げる)」から。

[新解釈] エ・ツク、E-TUKU(e=to denote future action or condition,by;tuku=let go,put off,send,blow from any quarter as wind)、「(口から)吐き出そうとする」の転。

72オジョル

[意 味] 座席などを寄せて整理する、詰める、寄る。

[用例等] 「そごぁー通り道だがら少しオジョってがんしぇ」。

[原解釈] 「押し寄る」から。

[新解釈] オチ・オリ、OTI-ORI(oti=then,but;ori=sway,move)、「そこで動いてください」の転(「オチ」の語尾と「オリ」の語頭が連結して「オショ」から「オジョ」になつた)。

73オドギャ(オトガイ)

[意 味] おとがい、顎、下顎。

[新解釈] オ・ト・(ン)ガヒ、O-TO-NGAHI(o=the...of;to=drag,open or shut a door or window;ngahi=ngawhi=be punished(whakangawhi=cut to pieces))、「開閉して噛み切るもの(顎)」の転(「(ン)ガヒ」のNG音のN音とH音が脱落して「ガイ」となり、また「ギャ」となった)。

74オナメ

[意 味] 妾(めかけ)。

[原解釈] 「ヲムナメ」の転。

[新解釈] オナ・メア、ONA-MEA(ona=of him,of her;mea=thing,reason,fact,one,so-and-so)、「彼の(持ち物である)或る(女性)」の転(「メア」の語尾が脱落して「オナ・メ」となつた)。

75カカッテ

[意 味] ・・の故に、・・のせいで、・・としたことが。

[用例等] 「遊んでだにカガッテ、貧乏になつた」。

[原解釈] 「係(かかわり)て」の転。

[新解釈] カカチ、KAKATI(tie in bundles,be clenched)、「掴まつて、しがみ付かれて」の転。

76カタギ

[意 味] 気質、姿、容姿、性質。

[原解釈] 「形儀」からか。

[新解釈] カ・タ(ン)ギ、KA-TANGI(ka=to denote the commencement of a new action or condition,or of a state of things new to the speaker;tangi=sound,cry)、「声の様子・状況」の転(「タ(ン)ギ」のNG音のN音が脱落した)。(もともとは声の様子・状況、話し方・話の内容に現れる人の性質が「気質(かたぎ)」の本質であったのが、後に容姿、身なりなどの意も含まれるように転じたものでしょう。)

77ガバル(ガンバル)

[意 味] 頑張る。

[原解釈] 「我張る」または「眼張る」から。「ガオル(我折る)」の対語(庄内語の「11ガオル」を参照してください)。

[新解釈] (ン)ガナ・パリ、NGANA-PARI(ngana=be eagerly intent,persist,strong,brave;pari=abundance)、「非常に熱心に意欲をもつて行動する(固執する)」の転(「(ン)ガナ」のNG音のN音と語尾のA音が脱落して「ガン」となり、「パリ」が濁音化して「バリ」から「バル」となつた)。

78カマド

[意 味] 竈(かまど)、分家、世帯。

[原解釈] 「カマ(釜)・ド(処)」から。

[新解釈] カ・マトウ、KA-MATOU(ka=take fire,be lighted,burn;matou=we,us)、「我々(家族)が火を焚くところ」の転。

79クチハビ

[意 味] まむし。

[原解釈] 「くちばみ」の転。

[新解釈] クチ・ハム、KUTI-HAMU(kuti=pinch,contract;hamu=gather things that are thinly scattered,glean)、「一カ所に重なるように集結(して越冬)する(習性をもつ蛇)」の転(「ハム」が「ハミ」となり、「バミ」となつた)。

80クド

[意 味] 竈(かまど)。

[新解釈] クフ・ト、KUHU-TO(kuhu=cooking shed;to=be pregnant,be conceived in the womb)、「台所の中に(据えて)あるもの」の転(「クフ」の語尾が脱落して「ク・ト」から「クド」となつた)。

81クビ(クビタ)

[意 味] 首。

[新解釈] (1) クフ・ピ、KUHU-PI(kuhu=insert,conceal;pi=eye)、「眼を包み込んでいるもの(首、頭)」の転(「クフ」の語尾が脱落した)。

 (2) クフ・ピト、KUHU-PITO(kuhu=insert,conceal;pito=end,extremity)、「(身体の)末端に差し込んであるもの(首、頭)」の転(「クフ」の語尾が脱落し、「ピト」が「ビタ」となつた)。

82ケェッチャ(カイチャ)

[意 味] 逆さま。

[用例等] 「うな(汝)のせんだぐ(着物)、ケェッチャマ(裏返し)だぞ」。

[原解釈] 「反様(かえさま)」の転。

[新解釈] ケ・ツア(・マイ)、KE-TUA(-MAI)(to=be pregnant,the...of;ke=different,strange;tua=back;(mai=clothing))、「(着物の)裏(側)で奇妙だ」の転(「ツア」が「チャ」に、「マイ」の語尾の「イ」が脱落した)。

(注) 「ケ・ツア・マイ」は、「39トケチャマ」と同じ語源です。

83コウェー(コワイ)・ツラスナ

[意 味] 疲れるばかりで、馬鹿らしい。

[用例等] 「コウェー・ツラスナ、おらぁ嫌(やん)た」

[原解釈] ツラスナは「辛(つら)い」から。

[新解釈] ツラ・ツ・ナ、TURA-TU-NA(tura,turatura=molest,spiteful;tu=stand,settle;na=to indicate position near or connection with the person addressed)、「人を悩ませる(意地が悪い)ことがあるなぁ」の転。

84コノゲ

[意 味] 眉毛。

[新解釈] コノ、KONO(bend,curve,loop)、「曲がっている、カーブしている」(「ゲ」は、日本語の毛(ケ))。

85コワイ

[意 味] 疲れる、疲れた。

[原解釈] 「強(こわ)い」の転。

[新解釈] (1) コハ、KOHA(pain,endeavour,effort)、「苦痛、努力」の転。(「苦痛を伴う努力」の結果が、「疲れる、疲れた」の意に転じたものでしょう。)

 (2) コハ、KOHA(respect,regard,present)、「尊敬、貢ぎ物」の転。((1)と同じ発音の言葉ですが、意味が違い、「尊敬する、畏怖する、その相手へ貢ぎ物を献上する」から、「怖い」の意に転じたものでしょう。)

86サェナム(サイナム)

[意 味] 苛む、いじめる、苦しめる、いじる、もて遊ぶ。

[用例等] 「大事な物だがらサェナムな」。

[原解釈] 「サ(接頭語)・イナム(否む)」から。

[新解釈] (1) タエ・ナナム、TAE-NANAMU(tae=arrive,reach,extend to,touch of feelings,proceed to;nanamu=smart,tingle,sting,irritate)、「(人の心などを)苦しめる、悩ませる」の転(「ナナム」の反復語頭の「ナ」が脱落した)。

(2) タイ・ナナム、TAI-NANAMU(tai,tatai=dash,strike,knock;nanamu=smart,tingle,sting,irritate)、「(ひどく)苦しめる、悩ませる」の転(「ナナム」の反復語頭の「ナ」が脱落した)。

87ジョウヤ

[意 味] 多分、おそらく。

[原解釈] 「定や」からか。

[新解釈] チホ・イア、TIHO-IA(tiho=flaccid,soft;ia=indeed,very)、「実に不確かな、本当にふわふわした」の転。

88ショス

[意 味] 恥ずかしい、恥ずかしがる。

[原解釈] 「笑止(しょうし)」の転。「勝事(しょうじ。普通でないこと)」からとも。

[新解釈] チオ・ツ、TIO-TU(tio=cry,call;tu=manner,sort,stand,settle)、「(恥ずかしさに)泣き出す振舞い」の転(「チオ・ツ」のT音がもとのS音となって「シオ・ス」から「ショス」となつた)。

89セァメ

[意 味] 「(食物の)お代わりをどうぞ」。

[用例等] 「セァメ入れで上がってがんせ」

[原解釈] 「再目(さいめ)」または「再麺(さいめん)」から。

[新解釈] タイア・メ、TAIA-ME(taia=by and by;me=similarly to form a mild imperative)、「そろそろ(次の食物をお食べ)なさい」の転(「タイア」のAI音がE音に変化して「テア」から「セア」となつた)。

90セェーボウ

[意 味] 仲裁、(子供達の)世話。

[用例等] 「今、喧嘩のセェーボウすて来た」。

[原解釈] 「采棒(さいぼう。采配の棒)」から。

[新解釈] (1) タイ・ポウ、TAI-POU(tai,taitai=dash,knock,perform certain ceremonies to remove TAPU etc.;pou=post,pole,fix,fix knowledge etc.)、「(争いの)結着の手打ち式」の転(「タイ」のAI音がE音に変化して「セ」から「セイ」となり、「ポウ」が濁音化して「ボウ」となつた)。(この「ポウ」は、日本語の「棒」の語源でしょう。)

(2) タイ・パウ、TAI-PAU(tai,taitai=dash,knock,perform certain ceremonies to remove TAPU etc.;pau=consumed,finished,denoting the complete or exhaustive character of any action)、「(争いの)結着(終了)の手打ち式」の転(「タイ」のAI音がE音に変化して「セ」から「セイ」となり、「パウ」のAU音がO音に変化した「ポ」が濁音化して「ボウ」となつた)。

 (注) 上記の「タイ」を「手打ち式」と解しましたが、この儀式は、本来は仲裁者が争いの終結を宣言するとともに、その決着した仲裁の内容に関係者が違背した場合には、神の罰が下される旨のまじないが唱えられたもので、このような風俗習慣を前提とした言葉であつたと考えられます。

91センダグ(セダグ、セダゴ)

[意 味] (いったんほどいて洗濯して縫い直した)着物、衣服。

[原解釈] 「洗濯(せんだく)」から。

[新解釈] (1) テ(ン)ガ・タ(ン)ゴ、TENGA-TANGO(tenga=Adam's apple,extinguished;tango=take up,take in hand,remove)、「修復した(洗濯して縫い直した)目立つきれいな(着物)」の転(「テ(ン)ガ」のGA音が脱落して「テン」となり、「タ(ン)ゴ」のNG音がG音となって「タゴ」となり、「センダグ」となった)。

(2) テ・タ(ン)ゴ、TE-TANGO(te=the;tango=take up,take in hand,remove)、「修復した(洗濯して縫い直した)もの(着物)」の転(「タ(ン)ゴ」のNG音がG音となって「タゴ」となり、「セ・タゴ」から「セダゴ」となつた)。

92ソウ

[意 味] 左右、(あれこれ)言う、告げる。 [用例等] 「人柄も左右(そう)に及ばぬ(言うまでもない)」(『保元物語』)。

[原解釈] 「左右(そう)」から。

[新解釈] タウ、TAU(sing,bark)、「歌う、吠える(ように話す)」の転(AU音がO音に変化して「ト」から「ソウ」になった)。

93ソッコリ

[意 味] 密かに、そっと、こつそり。

[原解釈] 「こつそり」の転。

[新解釈] タウ・コリ、TAU-KORI(tau=alight,come to rest,float,settle down;kori=move,wriggle)、「ゆっくりと(休み休み)動く」の転(「タウ」のAU音がO音に変化して「ソ」となり、促音化した)。

94タグ・ヅグ(タゴ・ツグ)

[意 味] 取り付く、すがりつく、掴まる。

[用例等] 「すっかりタゴヅデ、離れんな」。

[原解釈] 「手繰(たぐ)り付く」の転。「たぐひ(手加う(たくはう)の転)つく」の転。

[新解釈] タ(ン)ゴ・ツク、TANGO-TUKU(tango=take hold of,take in the hand,remove;tuku=let go,allow,send,offer)、「掴む、手中におさめる」の転。

 (注) 庄内語の「36タゴツク」と同じですが、[原解釈]が異なります。

95タンブリ・ハズ

[意 味] 外見だけを整える、またはその人、澄まし屋、めかし屋、おしゃれ。

[原解釈] (1) 「タブリ(鷹が羽根を震わせる)」・「ハズ(蜂)」で、鷹の真似をして羽根を震わせる蜂のこと。

 (2) 「ダンブリ・ドンブリ(とんぼ)」・「ハズ(蜂)」で、とんぼのような羽根を広げる蜂のこと。

[新解釈] タネ・プリ・パツツ、TANE-PURI-PATUTU(tane=male,husband;puri=hold in the hand,retain possession of;patutu=a fine flax cloak with strips of dogskin sewn upon it)、「素晴らしい高級な(犬の皮を帯状に縫いつけてある)上着を持っている(着ている)男」の転(「タネ」の語尾のE音が脱落して「タン」となり、「プリ」が濁音化して「ブリ」となり、「パツツ」のP音がF音を経てH音に変化し、反復語尾が脱落して「ハツ」から濁音化して「ハズ」となつた)。

96チョス

[意 味] いじる、弄(もてあそ)ぶ。

[原解釈] 「寵(ちょう)す」からか。

[新解釈] チ・ウツ、TI-UTU(ti=throw,cast;utu=return for anything,satisfaction,reply(whakautu=fondle,caress))、「満足を与える(可愛がる)」の転(「チ」と「ウツ」が連結して「チュス」となり、「チョス」に変化した)。

97ツブ

[意 味] たにし。

[原解釈] 「粒」から。

[新解釈] ツプ、TUPU(grow,increase)、「(どんどん)増える(貝)」の転。

98ツバグラ

[意 味] つばめ。

[原解釈] 「つばくら」の転。

[新解釈] ツパ・クラ、TUPA-KURA(tupa=spring of a trap,start,turn sharply aside;kura=precious,treasure,darling)、「敏捷に身を翻して飛ぶ可愛い(小鳥)」の転。

99デビ

[意 味] 額。

[新解釈] テペ、TEPE(boundary,limit,clot,congeal)、「(顔の上部の)境界のところ」または「(煮凝(にこご)りのような)滑らかなところ」の転。

100テビラコ

[意 味] 蝶。

[原解釈] 「かわひらこ(蝶の古名)」の転。

[新解釈] (1) 「テ・ヒラ・カウ」、TE-HIRA-KAU(te=the;hira,hihira=shy,suspicious,go over carefully;kau=swim,wade)、「(例の)あの・頼りなさそうにひらひらと・(泳ぐように)飛ぶ(習性をもつた虫。蝶)」(「ヒラ」が「ビラ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)

(2) 「カハ・ヒラ・カウ」、KAHA-HIRA-KAU(kaha=strong,strength,persistency;hira,hihira=shy,suspicious,go over carefully;kau=swim,wade)、「長い時間・頼りなさそうにひらひらと・(泳ぐように)飛ぶ(習性をもつた虫。蝶)」(「カハ」が「カワ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)。

101デンデラノ(デンデァノ)

[意 味] 墓地、昔老人を捨てたという伝説のある地、姥捨山。

[原解釈] 「蓮台野(れんだいの)」の転。

[新解釈] テナ・テラ・ナウェ、TENA-TERA-NAWE(tena=encourage,urge forward;tera=that,yonder,that other;nawe=scar)、「(老人が)追いやられたはるか向こうの荒れ地」の転(「テナ」が「テン」から「デン」に、「ナウェ」が「ノ」になった)。

 (注) 「104ハガ・ガリ」の項を参照してください。

102ドデン

[意 味] あべこべにひっくり返るさま、びっくりして気もひっくり返るさま。

[原解釈] 「動顛(どうてん)する、仰天(ぎようてん)する」から。

[新解釈] タウテ・ネイ、TAUTE-NEI(taute=consider,mourn,burdened,embarrassed;nei=to indicate continuance of action)、「考え込む、悲しむ、当惑する」の転(「タウテ」のAU音がO音に変化して「トテ」となり、「ネイ」の語尾のEI音が脱落して「トテン」から「ドデン」になつた)。

103トベャッコ

[意 味] 僅かな(時間、量)、少し。

[原解釈] 「トバカリ」の転。

[新解釈] トペ・イア・カウ、TOPE-IA-KAU(tope=cut,cut off;ia=indeed,very;kau=alone,bare,only,empty)、「実に小さく切り刻んだ(もの、時間など)」の転(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となつた)。

104ハガ・ガリ

[意 味] 仕事を終えて帰宅する。

[原解釈] 「墓上(はかあが)り」から。

 俵田藤次郎・高橋幸吉『遠野ことば』(遠野民俗資料)によれば、「昔食物が充分で無かったので老人が60才以上になればデンデラ野(蓮台野)即ち墓地へ生きながらにして捨てられたという。だが、農事その他の諸式を老人が知っているので夜になれば墓から連れ戻して食事を与へ、いろいろ教えて貰う。夜明けと共に再び墓場へ連れ戻したという。即ち墓地から家へ向かう時はハカダチ(墓立)=仕事始めであり、家から墓地へ帰るのはハカアガリである。(反対に昼に農事を手伝い、夜に帰ったとも云)そして之等の行動は他人の目を逃れてコッソリやつた、と云はれる。」

[新解釈] ハ(ン)ガ・(ン)ガリ、HANGA-NGARI(hanga=make,build,work,business;ngari=annoyance,disturbance,greatness)、「仕事の妨害(中断)」の転。

 (注) (1) 「ガリ」は、遠野語の「64アセァ・ガリ」と同じ語源です。

 (2) 日本語の墓(はか)は、マオリ語の「ポカ」、POKA(hole,grave)、「穴、墓」の転(P音がF音を経てH音に変化した「ホカ」が「ハカ」に転じた)と考えられます。

105ハッタギ

[意 味] 蝗(いなご)。

[原解釈] 「バッタ」の転。

[新解釈] (1) パパタ、PAPATA(numerous,scattered,covered with spots or pimples)、「無数にいる(虫)」の転(反復語頭の「パ」が脱落して促音化、濁音化して「バッタ」となった)。

 (2) パパタ・キ、PAPATA-KI(papata=numerous,scattered,covered with spots or pimples;ki=full,very)、「無数にいっぱいいる(虫)」の転(「パパタ」の反復語頭の「パ」が脱落して促音化し、「キ」が濁音化して「ハッタ・ギ」となった)。

106ヒエァ

[意 味] 家と家(または人と人)の仲。

[用例等] 「ヒエァ悪い」。

[原解釈] 「ひあわい(庇間(ひあい)の転)」から。

[新解釈] ヒアヒア、HIAHIA(desire,wish,be in love with)、「希望、恋仲である」の転(「ヒアヒア」の後出のH音が脱落した「ヒアイア」のAI音がE音に変化して「ヒエア」となつた)。

107ビッキ(ビキ)

[意 味] 蛙。

[用例等] 「ビッキの面に水」。

[原解釈] (1) 蛙。(2) (生まれたばかりの)赤ん坊、嬰児。

[新解釈] (1) ピ・キ、PI-KI(pi=eye;ki=full,very)、「目玉が大きい(突出している)もの」の転。

 (2) ピキ、PIKI(come to the rescue of(pikipiki=be constantly in attendance))、「世話を焼かすもの」の転。

108ヒテェコベ

[意 味] 額。

[新解釈] ヒ・テイ・コペ、HI-TEI-KOPE(hi=raise,rise;tei,teitei=high,lofty;kope=wrap up as food in leaves for cookings)、「(顔の上部の)高くなつた滑らかなところ」の転。

 (注)(1) この「コペ」は、庄内語の「22コッペ」と同じ語源です。

 (2) 「額(ひたい)」は、上記の「コペ」が脱落した「ヒ・テイ」からと解します。

109ベエ(ベイ)

[意 味] 主として直接法未来形の助詞。

[用例等] 「読むベエ」、「喰うベエ」。

[原解釈] 「べし」の連体形「べき」の音便。推量、話手の意志などを表す。

[新解釈] パイ、PAI(good,excellent,suitable,agreeable)、「それがいい」の転(AI音がE音に変化して「ペ」から「ベ」となつた)。

 (注) 「67アベ」の「ベ」と同じ語源です。

110ヘッツイ

[意 味] 竈(かまど)、竈神。

[原解釈] 「竈(へつ)火」から。

[新解釈] ヘ・ツヒ、HE-TUHI(he=the;tuhi=redden,glow,gleam)、「赤く輝く(燃える)もの」の転。

111ヘド

[意 味] 飲食したものを吐きもどすこと、またその吐いた汚物。

[原解釈] 「反吐」から。

[新解釈] ヘ・タウ、HE-TAU(he=the;tau=turn away,look in another direction)、「(胃から口の外へ)戻ったもの」の転(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となり、濁音化した)。

112ヘル

[意 味] 言う。

[用例等] 「ヘレば(言えば)ヘルて(言うと)ヘルす(言うし)、ヘネェば(言わねば)ヘネェて(言わぬと)ヘル(言う)。

 ヘッて(言って)ヘネェで(言わないで)ヘワレんだば(言われるのならば)、ヘネェで(言わないで)ヘネェて(言わないと)ヘワレルより(言われるより)、ヘッて(言って)ヘタて(言ったと)ヘワレだ(言われた)ほ(方が)えぇ(良い)。」

[原解釈] 「息経(いきへ)る」の転。

[新解釈] ヘル、HERU(begin to flow(of the tide),glide as anything floating in the water)、「水が流れる(ように話す)」。

113ホズナス

[意 味] 意識がない、正気を無くしている、限度がない、転じて見境のない者、馬鹿者。

[用例等] 「何もホズナグなるまで飲まなくてぇ良ぇべ」。

[原解釈] 「本地(ほんじ)・無し」の転。

[新解釈] ホウ・ツ・ナツ、HOU-TU-NATU(hou=dedicate or initiate a person,establish by rite;tu=stand,settle;natu=scratch,show ill feeling,angry)、「(正気を取り戻すための)まじないを施すような正気がない(悪い状況にある人間)」の転。

114マガッテ(見る)

[意 味] 覗いて(見る)。

[用例等] 「隣のおん婆さん、塩梅(あんべえ)悪くて寝でらずがら、マガッテ見で来る」。

[原解釈] 「曲がる、向きを変える」から転じて「立ち寄る、覗く」。または「罷(まか)り見る」から。

[新解釈] マ(ン)ガ、MANGA(branch of a tree or a river etc.,watercourse)、「枝道へ入る、進路から脇にそれる」の転(NG音のN音が脱落して「マガ」となり、日本語の中で動詞化して「マガル」となつた)。

115マナグ(マナコ)

[意 味] 眼。

[新解釈] (1) マ・ナク、MA-NAKU(ma=white,clean;naku=dig,bewitch)、「魔法にかける(相手を魅する)清らかなもの(眼)」の転。

 (2) マナコ、MANAKO(like,set one's heart on,longing,anxiety)、「願いを込める(望みを相手に伝える)もの(眼)」。  (注) 古代において相手を凝視することは、「魅する」ことであり、「相手を自分の意志に従わせる」ことを目的としたものでした。

116ヤグド

[意 味] 故意に、わざと、嘘、悪戯に。

[原解釈] 「役として」から。

[新解釈] イア・(ン)グツ・アウ、IA-NGUTU-AU(ia=indeed;ngutu=lip(ngutu tere=false,untrustworthy of persons)(tere=drift);au=certainly)、「実に口先だけの(嘘)」の転(「イア」が「ヤ」に変化し、「(ン)グツ」のNG音のN音が脱落し、その語尾の「ツ」とそれに続く「アウ」が連結して「グト」から「グド」となった)。

117ユゥベ・ナ

[意 味] 昨夜、昨晩。

[原解釈] 「ユウベ(夕方)・ナ(接尾語)」から。

[新解釈] イ・ウパ・イナ、I-UPA-INA(i=past time;upa=at rest,settled,satisfied;ina=emphasis)、「休息していた時」の転(「イ」と「ウパ」の語頭のU音が連結して「ユウ」となり、「ウパ」の語尾のA音と「イナ」の語頭のI音が連結してE音となって「ペ」となり、「ベ」となつた)。

118ユルグネェ

[意 味] 生活が苦しい、くたびれた、死にそうだ。

[用例等] 「あのやめえへと(病人)、ユルグネェ(危篤の)ようだ」

[原解釈] 「緩くない(容易でない)」から。

[新解釈] イ・ウル・(ン)ギア・ネイ、I-URU-NGIA-NEI(i=past time;uru=be anxious;ngia=seem,appear to be;nei=to indicate continuance of action)、「非常に心配(すべき状態)のように見える」の転(「(ン)ギア」のNG音のN音が脱落し、「ネイ」の語尾の「イ」が脱落して、「ユルギアネ」から「ユルガネ」、「ユルグネ」となつた)。

119リンズガ(リンズガモ)

[意 味] 益々、かえつて、なおさらに、より一層。

[用例等] 「そんな事すればリンズガモ悪ぐなる」。

[原解釈] 「リンジ(臨時)・カ(助詞)」の転。

[新解釈] (1) リ(ン)ギ・ツ(ン)ガ、RINGI-TUNGA(ringi=pour out,throw in great numbers,shower;tunga=circumstance of standing,circumstance of being wounded)、「なにかの事柄または負傷や痛みの状況に、大量のもの(その状況の原因となっているもの)が注ぎ込まれる(益々増加する)」の転(「リ(ン)ギ」の語尾のGI音が脱落して「リン」となり、「ツ(ン)ガ」のNG音のN音が脱落して「ツガ」から「ズガ」となった)。

 (2) リ(ン)ギ・ツ(ン)ガ・マウ、RINGI-TUNGA-MAU(ringi=pour out,throw in great numbers,shower;tunga=circumstance of standing,circumstance of being wounded;mau=fixed,continuing,caught)、「なにかの事柄または負傷や痛みの状況に、大量のもの(その状況の原因となっているもの)が注ぎ込まれ(益々増加して)溜まる(膨れる)」の転((1)の後に「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となって付加した)。

120ワッ・パガ

[意 味] 「ハガ」は、仕事などの進み具合。「ワッ・パガ」は、作業の完了。

[用例等] 「仕事のハガがいかなくて、ワッ・パガが見えない」。

[原解釈] 「ワッ・ハガ(割捗(わりはか)の転)」から。転じて「人の死」の意。

[新解釈] (1) ウア・ハ(ン)ガ、UA-HANGA(ua=backbone,neck,back of the neck(uaua=sinew,resolution,vigorous);hanga=make,build,work,business)、「仕事の背中(が見える=仕事が完了する)」の転(「ウア」が「ワ」になり、促音化した)。

 (2) ウアウア・ハ(ン)ガ、UAUA-HANGA(uaua=sinew,resolution,vigorous;hanga=make,build,work,business)、「仕事の解決(結論、完了。転じて人生の終末)」の転(「ウアウア」の反復語尾の「ウア」が脱落した「ウア」が「ワ」になり、促音化した)。

 

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<修正経緯>

1 平成19年2月15日

 インデックスのスタイル変更に伴い、本篇のタイトル、リンクおよび奥書のスタイルの変更、<修正経緯>の新設、<次回予告>の削除などの修正を行ないました。本文の実質的変更はありません。

2 平成24年3月1日

 100テビラコの項のテビラコおよびカワヒラコの解釈を修正しました。

国語篇(その二)終わり



U R L:  http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/
タイトル:  夢間草廬(むけんのこや)
       ポリネシア語で解く日本の地名・日本の古典・日本語の語源
作  者:  井上政行(夢間)
Eメール:  muken@iris.dti.ne.jp
ご 注 意:  本ホームページの内容を論文等に引用される場合は、出典を明記してください。
(記載例  出典:ポリネシア語で解く日本の地名・日本の古典・日本語の語源
http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/timei05.htm,date of access:05/08/01 など)
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