地名篇(その一)


地名篇(その一)

(平成11-4-1書き込み。19-2-15最終修正)(テキスト約3頁)


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目 次
 

まえがきー地名の解釈で最も重要なことはなにかー

1 霊峰富士山と幻の「富士山神話」 ー略ー

  

2 富士山の周辺の地名 ー略ー

(1) 駿河(するが)国とその地名 ー略ー

(2) 伊豆(いづ)国とその地名 ー略ー

(3) 相模(さがみ)国とその地名 ー略ー

(4) 甲斐(かい)国とその地名 ー略ー

<修正経緯>

 [おことわり]

   平成11年4月に地名篇の第1回として本篇を掲載した後に、翌12年10月にほぼ同じテーマの地名篇(その九)を掲載いたしましたが、本篇の「まえがき」と富士山周辺の地名のうち「駿河国以外の地名」は省略しましたので、あえてそのままにしてまいりました。

 しかし、地名篇も全県を一応カバーし、本篇所載の地名もそれぞれの県に収め終わりましたので、今回見直しを機会に重複部分をカツトし、「まえがき」のみを残すことといたしましたので、ご了承ください。


 

まえがきー地名の解釈で最も重要なことはなにかー

 

 最近ある地名研究者のご意見を伺う機会があり、あらためて日本の地名研究について考えさせられました。

 私の基本的な考えは、オリエンテーション篇(平成10年10月10日書き込み)で明らかにしたとおりですが、

(1) 地名には、かならず「意味」があります。土地を特定するために地名を附けるのですから、誰でもその発音を聞けば、対象の土地を特定することができるように、その土地の形状や自然条件の特徴を端的に表現して、それを地名とすることが通常の地名の附け方です。

(2) したがって地名の「発音」を聞けば、誰でも(その土地に住んでいなくとも)、ただちにその「意味」を間違いなく理解することができ、従ってただちにその土地の形状または自然条件等を頭に思い浮かべることができるはずのものなのです。

(3) しかし、日本の古い地名は、その発音を聞いただけでは、まったくその意味が判らないものが殆どといってよいと思います。特に、大和、山城をはじめとする昔の国名や、大きな山、川の名に見るように、2音、3音で構成されていることが多い地名は、殆どその意味が理解できないものが殆どです。

(4) そこで、記紀、風土記以来、日本では地名の解釈が大きな問題とされてきました。これまでの解釈に共通するものは、これらの地名は「日本語でつけられている」との前提の下に、発音の似ている日本語の単語と結びつけて(換言すれば「こじつけて」)解釈することでした。

 そのほとんどは、原地名の発音と似た音を持つ日本語の単語を探すか、原地名の発音を分解して、恣意的に分解したその一部の音を、たまたま同一または共通する音を持つ日本語の単語に対応させ、その日本語の単語の約として解釈するものです。例えば「富士(ふじ)(山)」を「ホデ(火出)の転」、「ケフリ(煙)のフ・シゲシのシ」、「フ(吹)・ジ(息)・ナ(穴)の約」とするものや、「利根(とね)(郡。川)」を「ト(鋭き)・ネ(嶺)(地域。この地域から流れ出す川)」とするものなどです。

 このような解釈方法をとる限り、地名は、しばしば、似てはいますが発音(音韻)の明らかに異なる単語の約、すなわち抜き出された一部の音の集合(換言すれば「つまみ食い」)として解釈(説明)されることとなります。

 これは、そもそも「地名の本質」に反するものです。

 地名に「約」があることは否定しませんが、それは約しても意味が誰にでも直ちに充分理解でき、誤解が生ずる恐れがない場合に限られます。「フジ」、「トネ」は、そのままの形、発音で、意味がわかるはずなのです。「ケフリシゲシ」とか、「トキネ」または「トキミネ」というように、言葉を補充しての説明がなければ(約されない前の言葉を補充しなければ)理解できないようなものや、約することによっていくつもの解釈の可能性が生ずる(誤解される可能性がある)ものは、そもそも地名たりえないはずです。それは、「地名は、発音を聞いただけで、誰でもその意味が間違いなく理解できる」という「地名の本質」に反するからです。

(5) このような混乱あるいは誤りは、「外国語でつけられた地名」を「日本語でつけられた地名」と誤解して、あくまでも日本語で解釈しようとするところから生じたものです。もちろん、奈良時代以降に附けられた地名は、我々が話し、理解することができる日本語または漢語で附けられていますから、日本語または漢語で解釈するのは当然です。

 しかし、それよりも古い時代に附けられた地名の殆どは、「現在の日本語が成立する以前の言語、おそらく南方系の縄文語という、いわばわれわれにとっての外国語」で附けられたものと思われ、その地名が「言語の化石」としてほぼそのままの発音で現在まで伝えられていますから、そのままの形では日本語で解釈できないのは当然なのです。「外国語」で附けられた地名は、その「外国語」でしか解釈できないのです。

(6) この「外国語」がポリネシアの地に「マオリ語」として残っていたとの仮説の下に、以上の古い地名や、記紀の言葉で日本語では意味不明のものを、音韻がほぼ完全に一致する「マオリ語」(一部は「ハワイ語」)で明快に解釈するのが、このホームページです。

 したがって、音韻のほぼ完全な一致がないものは、このホームページでの解説に採用しておりません。また、読者の理解を助けるために、周囲の客観的な状況から容易に推定される単語の意味を補完することはありますが、音韻の異なる単語を補充して解釈することは一切しておりません。

 以上の基本的な考え方を認識された上で、以下の解説を熟読され、従来の解釈と比較検討をされますようお願いいたします。また、必要があれば、オリエンテーション篇や入門篇(その一から三まで)をお読み直しください。

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<修正経緯>

1 平成16年11月1日

 「まえがき」のみを残して他の記事は重複を避けてすべて削除しました。

 表題のテーマについては、地名篇(その九)のほか、地名篇(その十一)(神奈川県)、地名篇(その十六)(山梨県)または地名篇(その十七)(静岡県)を参照してください。

2 平成19年2月15日

 インデックスのスタイル変更に伴い、本篇のタイトル、リンクおよび奥書のスタイルの変更、<次回予告>の削除などの修正を行ないました。本文の実質的変更はありません。

 

地名篇(その一) 終わり

 
U R L:  http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/
タイトル:  夢間草廬(むけんのこや)
       ポリネシア語で解く日本の地名・日本の古典・日本語の語源
作  者:  井上政行(夢間)
Eメール:  muken@iris.dti.ne.jp
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(記載例  出典:ポリネシア語で解く日本の地名・日本の古典・日本語の語源
http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/timei05.htm,date of access:05/08/01 など)
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