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謎のペンダント・ヘッド

昨夜は寝苦しい夜だった。
眠りは不快な夢に満ちていた。
ぐったりと消耗して、目を覚ます。




キーパー:今は土曜日の朝9時です。部屋の掃除をしていると、9:30頃に「ピンポーン」ということで宅急便がきました。届いたのは5×5×7センチくらいの小さな箱ですね。差出人は親友の摩周厚志くんです。
織本親友? 大学の友達? SF研の?
キーパー:いえ、ツーリング仲間です。最近は織本君もSF研の方を掛け持ちして、ツーリング同好会に力を入れ始めています(笑)。その方が良いんじゃないかと、自分に言い聞かせています。
織本なるほど(笑)。確かに。「あのサークルはヤバイからな……」。
キーパー:摩周くんはあなたの住んでいる下宿の、市の反対側くらいな場所に下宿しています。バイクを飛ばせば1時間かそこらで着く距離ですが。
織本なんでわざわざ宅急便なんか使ったんだ? 箱は段ボール?
キーパー:そうです。結構軽いですね。1kgもない感じです。振ってみると、中でカラカラと何かが動く音がします。宅急便の伝票の品目には「小物」と書いてあります。
織本小物……。バリバリと開けてみます。
ペンダント・ヘッドキーパー:中には鎖のついていないペンダント・ヘッドが入っていました。どんな感じかというと、こんな感じです(※イラスト参照)。実物大だと思ってください。
織本ほお……。
キーパー:黒い石っぽいものに金色で何かが象嵌されている感じです。
織本「……何だコレ?」。
キーパー:一緒に何かメモが入っています。
織本見ます。

金曜日
 ここ一週間会えなくて済まない、ウィルスに冒されたみたいで、まったく講義も受けられなかったんだ。しかしその間に、ちょっとした謎が持ち上がったので、助けて欲しい。
 この手紙と一緒に送った箱の中には歴史学科の肥田から受け取った、イメの森という場所で地元の老人が見つけた奇妙な工芸品が入っている。その老人は何らかの歴史的意義があるかもしれないと思い、それを肥田に渡したんだ。肥田はそれが何であるか分からず(彼はそれを戦国時代の遺物ではないかと推測したようだが)、僕も言語学の文献を当たってみたがまったく分からなかった。僕の送った品が君の専門知識の範囲内で分かるかどうか、調べて欲しい。調査が終わったら、月曜日以降に品を持って僕の下宿へ来てくれ。医師はそれまでには日常生活に戻れるだろうと言っている。よろしく!

 摩周厚志

 追伸:たまたま肥田に会うような事があったら、彼にはこのことを話さないでくれ。ペンダントを又貸しすることにはなっていなかったのだが、この謎は僕の手には負えなかったんだ。

キーパー:肥田くんもツーリング仲間です。なお、肥田くんはこの白凰市に自宅がある学生です。
織本う〜ん。とりあえず、摩周に電話してみます。
キーパー:トゥルルルルル……トゥルルルルル……トゥルルルルル……トゥルルルルル……トゥルルルルル……トゥルルルルル……トゥルルルルル……。
織本出ないのか? 10回コールまで待ちます。
キーパー:ではコール9回目で「ガチャ」と出ました。
織本「あ! もしもし!?」。
キーパー:「……ああ、もしもし」。
織本「あのー、荷物届いたんだけど」。
キーパー:「……ああ、うん」。
織本「……お前、大丈夫なの? ウィルスって何? インフルエンザ?」。
キーパー:「……」。声は明らかに沈んだようですね。ではここで<心理学>ロールを。
織本<心理学>……65。意外に持ってんじゃん、俺。(コロコロ……)18。OK。
キーパー:では深い悲しみと怯えをその声から感じ取ります。
織本「……? どうしたんだ? 大丈夫か、お前」。
キーパー:「うん。はじめはインフルエンザだったんだが……」。
織本「ん? 今は?」。
キーパー:「実はここ数日、イタズラ電話に悩まされているんだ」。
織本「イタ電?」。
キーパー:「だから電話を取るのが遅れてしまって……。基本的には無言なんだが、電話を切る前に低く咽喉にかかった声で理解できない何かを繰り返すっていうか……」。
織本「心当たりはあるのか?」。
キーパー:「いや……ちょっと……分からない」。
織本「そうか。ところで、この送ってきたペンダントだけどさ」。
キーパー:「何か心当たりある?」。
織本「いや、まったく心当たりないんだけど。調べてくれって言うんなら動くけど」。
キーパー:「じゃあ、頼むよ」。
織本「できる限りの事はやってみるけど……。肥田には言わない方が良いんだよね?」。
キーパー:「そうだな。又貸ししたって聞いたら、奴は怒るだろうからな。面倒くさい事になる」。
織本なるほど。「肥田がイメの森の老人にコレをもらった時の詳しい状況って、聞いてる?」。
キーパー:「いや、ほとんど聞いていないな」。
織本「そうか。イメの森の老人とやらが何処にいるかって聞いていないのか……」。
キーパー:「うん、良く知らないな。でも、肥田には昔から良くこういう事があったらしい。その老人――名前は分からないが――が何か見つけるたびに“これって何か歴史的に価値がありませんかね?”と言って、肥田のもとに持ってきていたんだそうだ」。
織本「そういう付き合いがある人物なのか」。なるほど、なるほど。
キーパー:「だいたいはガラクタだったらしいんだが、今回はガラクタと片付けるには何か引っかかるものがあって――」。
織本それで調べてみますよって事になったのか。その人物に会って話を聞きたいところだけど……。う〜ん。「そういえば、イタ電って携帯にかかってくるの?」。
キーパー:「うん。携帯にかかってきたんで、電源を切っていたら家電にかかってきた」。
織本「! そうなんだ……。徹底的に狙われているな。それって、このペンダントを受け取る前から?」。
キーパー:「……いや、受け取った後……受け取った日からかな」。
織本「そりゃ気分が悪いな。心当たりもないのか。肥田はそんな事は言っていなかったか?」。
キーパー:「俺もここの所、具合悪かったんで、肥田とは会っていないんだ」。
織本う〜ん、そうか。じゃあ、「電話の事は、気をつけようもないけど、あまり気に病むなよ」と言って電話を切ります。ガチャ。……それで、と。このペンダントか。
キーパー:見た目はオニキスというか、そんな感じの材質ですね。もし<地質学>の技能でもあれば……(01%でロール、もちろん失敗)まぁ、オニキスのように見えます。裏側には錆びた留め金のようなものがついています。ここに紐を通してペンダントにできるように。
織本なるほど。首から下げて使えるっぽいと。
キーパー:そうです。で、表面には模様が描かれています。これは<知識>で。
織本70%……OK、18。
キーパー:いわゆる既知のアルファベットのどれとも違う事は間違いないですね。さらに詳しくは<歴史><考古学><オカルト>のどれかで。
織本う〜ん、<歴史>で。(コロコロ……失敗)ぜんっぜん分からない。じゃあ、それを大事にポケットに入れて、大学図書館に行きます。
キーパー:分かりました。では今は午前10:30くらいなんですが、点けっ放しにしていたテレビを消そうとすると、ニュースが流れます。「國史院大学学生の肥田健司さんが、世田谷にある大学キャンパスに車で向かう途中、白凰市の郊外で交通事故で死亡しました」。
織本ええ〜!? マジかよ!?
キーパー:その後は豚インフルエンザのニュースになります(※プレイ当時、猛威を振るっていました)
織本絶句。とりあえずビックリして、え〜と、ツーリング仲間の何人かに電話して、「ニュース見た見た?」。
キーパー:見た人間もいますし、見ていない人間もいます。「え!? 葬式いつ?」みたいな感じです。
織本そんな会話をして、それでもとりあえずどうしようもないので、事故はいつあったんだっけ? 昨夜? さっき? さっき、か。それなら肥田家に直接……肥田家って、俺知っているよね? バイクに乗って肥田家に行きます。これ(※ペンダント)持って。
キーパー:ブブーン、では肥田家に着きました。
織本今、どんな状態ですか?
キーパー:シーンとしてますね。
織本病院行っているかな? でも、呼び鈴は押してみます。ピンポーン。
キーパー:すると、あなたは肥田君のお母さんとは顔見知りなんですが、そのお母さんとは違う年配の女性が出てきます。「どちら様?」。
織本「肥田君の大学の知り合いの織本と申しますが」と自己紹介をして、「ニュースを見て、何かお手伝いできる事はないかと思ってきてみたんですが」。
キーパー:すると、この女性は隣家の奥さんらしいんですが、この事故の一件で、肥田君のお母さんは倒れてしまったんだそうです。「今、鎮静剤を飲んだ所なんですのよ」みたいな。現在は警察からの続報を待っている状況です。
織本そっか。あまり周辺でウロウロしているのも迷惑だろうし、連絡先を教えて肥田家を辞去します。その後、バイクに乗って図書館に行くか。