trouble 1●パリのメトロで財布とカード

 初めての個人旅行でパリに行ったとき、個人旅行は初めてだったので注意はしていたんですが、買い物疲れでまったりしていたとき、メトロの中で背中のリュックから財布を盗まれました。

 その時両手には荷物があり、背中にリュックを背負って疲れてぼーっと立ってたんですね。すると後ろの男の人が、とある駅で急に猛ダッシュで下りようとしたんです。ところがドアが閉まってしまい、彼は降りることが出来ず、次の駅でまたぴゅーっと下りていきました。その時点では盗まれたという意識はなく、降り損なった彼を疲れた頭の片隅で“ダサー…”とか思ってました。

 でも本当にダサかったのは私。自分が降りる駅で下車してから、なんとなーくリュックに目をやると、ファスナーが開いていて、しっかりお財布が盗られていました。一瞬にしていつ誰が盗ったのか気がつきましたが、当然後のまつり。
 悔やんでも悔やみきれない魔の瞬間は、買い物疲れで集中力をなくしたときにやってきたのでした。

 “溺れるものは藁にもすがる”のことわざどおり、自分の部屋からカード会社に連絡することがどうしてもできず、借りたアパルトマンのすぐ近くにニッコー・ド・パリという日本系のホテルがあったので、そこのレセプションに駆け込み、さもそこの宿泊客であるように装って、サブ・マネージャーの女性にカード会社へ連絡を付けてもらいました(混乱してても悪知恵は働く…)。そしてカードの使用をすぐ差し止め、返ってくるはずもないけど警察に届け出をし、調書を取られ、海外旅行の犯罪白書の統計に数字を上乗せする事態となったのです。

 ええい、こんな話、書いていて本当に恥ずかしいわい。

 初めての個人旅行で盗難に遭い、怖い思いをし、憂鬱になり、当時の日記を読み返すと、悔しくて食欲もなかったと記してあります。怖かったんだろうなー(もはや他人事)。