AMANO'S
超・究極のBH
超・究極への最適化
(4) こ れ で G e t ! 超・究 極
究極のBHとは 超・究極のBHの製作
良いBHの鉄則 M E N U
    
最 適 化(準 備) 最 適 化(基礎値) 最 適 化(究 極) 愛 用 盤 M A I L B B S
 
 
 
焦点は180度折り曲げ
180度折り曲げ部分の断面積(Sn)を、その前(Sn-1)後(Sn+1)と比較して、どの位にとるかも、課題の一つです。
長岡先生は、SnはSn+1 に近いほうが良いと思われていました。
音楽之友社 ”長岡鉄男のオリジナル・スピーカー設計術” 34ページ(1996年)
実際、「最適化(基礎値)」の表−2に示される通り、D−58ESでは、後続の断面積より大きくとっています。
これは、先生の代表的なCW型BHであるD−70(1984年)、D−55(1989年)でも同様です。
D−58では、S2/S1 について 1.36 だけでなく 2.25 という大きな値になる短い板も用意されました(もっとも、D−58ESでは、前者だけになりましたが)。
このように、先生は、Sn(180度)>Sn+1 に設定されましたが、この超究極 III 世(無処置)では、ほぼ Sn(180度)=Sn+1 としてあります。
チューニングの実際
BHでのチューニングの主目的は、低域をフラットに伸ばすことです。あちこち、貼ったり、剥がしたりして落ち着いたところは、次の通りです。
 
   
図 音道の調整 (超究極)
黄緑(A): 写真a
黄緑(B): 写真b-1、b−2
空色(C): 写真c(左側)
        [g]  180mm*40mm
空色(D): 写真c(右側)
        [h]  180mm*40mm
 
黄色の部分は「最適化(3)」の
  「図 音道の調整(究極)」
に示した通りです。
音道調整(超究極)
 
 
   
(a)
(1):5mm*88mm*26mm と
(2):9mm*88mm*26mm の
2枚の板を用意し、無処置を含め、3者を比較しました。
結局、(1)が好みに合いました。
A(d2)の調整
 
(b-1)
このように、布テープで仮止めし、試聴により、最適な板を選んでいきます。
B(d7)の調整
 
(b-2)
20mm[i]、15mm[j]、10mm[k] と5mm厚(別に用意)を比較し、[j]を選びました([k]とは僅差)。
[i]での音は締まり過ぎ、5mm厚では開放感に過ぎる印象です。
B(d7)の調整(部材)

(c)
このように、布テープで仮止めして、試聴を繰り返しながら、チュ−ニングを進めます。
たとえボンドで固定しても、カナヅチで外せます(醜い傷は残る)。
仮止(C,D)
 
再生最低域に、最も影響するのはBです(5mmの差が耳で識別されるので、5mm単位以下の微調整が必要)。その次に重要なのはDです。BとDを適切に選ぶと、30Hzまでフラットに再生できます。180度折り曲げ部分をバスレフと見做したとき、Bはその容積を調節し(1cmの変化が1Lの変化に相当か)、Dはダクトを調節しているのでしょう。
Cを付けると、ふっくらした低音から、くっきりした低音に変わります。
Aの部分に関しては、L2が約90mmと短いながらも、チューニング後の断面積と増加率を勘案すると、バスレフとしてではなく、ホーンの一部として機能していると推定されます。
  
空気室とスロートのチューニング
超究極 III 世の空気室容積とスロート断面積はD−58に準じていますから、そのままでも一応のバランスはとれているでしょう。しかし、スロートに続く折曲げが90度に変わって、中段の180度折り曲げまで、連続してホーンと見做せるようになりました。
そこで、最初の直管の前半を調節して、滑らかに断面積を増大したときの音にも、興味がもたれます。スロート断面積を変化させると、これに応じて、空気室容積を加減する必要がありますが、この III 世は、さいわい、余裕があります。
 
ベニヤ板で簡単に作れる断面積は次の通りです(単位 cm^2)。
    9mm厚: 0.9*8.5*2=15.3 −−− 203.2−15.3=187.9
   12mm厚: 1.2*8.5*2=20.4 −−− 203.2−20.4=182.8
 
この新しいスロート断面積(S0)からの広がり率(S1/S0)は
    9mm厚: 203.2/187.9=1.08
   12mm厚: 203.2/182.8=1.11
です。
 
L1が34cmであることを考慮すると、板の厚さはこの範囲が妥当でしょう。
長さについては、8cm〜24cm(2〜3cm間隔)の板を用意しました。
 
(d)
一組4枚ずつ用意します。
スロート調整部材

(e)
スロートの中心を仕切る板を両側から挟んで布テープで固定します。
スロート調整

(f)
空気室容積を微調整するため、一組4枚の板を用意します。
中段の抜き板(12*26*2cm)を二分して、別の板をこのように布テープで固定すると様々なバリエーションが簡単に作れます。
空気室調整部材
 
空気室容積とスロート断面積を様々に変化させて得た結論は、次の通りです。
 
  (1) 空気室容積を大きくすると、ふっくらとした大人しい再生音になる。
  (2) スロート断面積を小さくすると、くっきりとしたキツイ音になる
      (5cm^2の差でも違う)。
  (3) 31.5、40、63、80Hzの再生音が、聴感上、フラットであることは、あまり
      変わらない。
  (4) 100Hzと200Hzの再生音が、聴感上、落ち込んでいることは変わらない。
 
(1)、(2)は予想されたことですが、(3)は意外でした。
 
好みで選んだ組み合わせは次です。
 
  * スロート断面積 So=187.9cm^2 (9mm厚のベニヤ板から作る)
  * スロートの長さ  Lo=18cm
  * 空気室容積    V=約10.5L    (中段の抜き板を利用する)
反省と課題
あちこち、貼ったり剥がしたりして、3〜5mm程度の変化でも、再生音がかなり大きく影響される箇所があることを初めて知りました。そこで、音への影響が大きい箇所から順に最適化を進める方がベターと、反省交じりに、考えています。
空気室や音道などの諸係数はD−58ESのそれが最善である、との先入観から少し離れてみましょう。
上図(音道の調整)を参照して、最適化の順序の一例を示します。
 
  (1) BとDの組合わせを変化させて再生最低域を確保する。
  (2) 空気室容積を暫定的に10.5 Lに調節する。
  (3) Aを最適化する。
  (4) スロート(と空気室容積)を最適化する一段落したら、再び(1)から
      繰り返します。
 
上図の黄色で示した補強部分とCには、最終的に、不要の箇所が生じるかもしれません。
 
最後に、今後の課題です。
 
この新しい積み重ねスタイルが10cmや16cmのユニットに適用できるか、さらに、それらの場合も、従来のスタイルと比較して、明確なアドバンテージを主張できるか、これが課題となります。
すでに、FE108ESIIとFE168ESをキープしています。そろそろ、板取図を引きながら、構想を練りましょうか。
(オイオイ、そんなに部屋を一杯にして、奥さんの方は大丈夫か)
 
 
 
 
先 頭 に 戻 る  最 適 化(準 備) 最 適 化(基礎値) 最 適 化(究 極) 愛 用 盤 M E N U