池袋ジュンク堂探検記

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5F

 法律・経済・ビジネス書が集められたフロア。平日ということもあって、エスカレーター近辺にあるビジネス書のコーナーは、そんなに人が多くない。

 経営、ビジネス、不動産、株などの書籍がならぶエスカレーター近辺から、少し奥まった簿記会計、金融関連へと続くエリアで特徴的なのは、圧倒的に面置きになっている書籍が多いこと。「さあ、どうだ!」と言わんばかりの強烈なアピールで、棚の前を歩くだけでなんだか疲れてしまう。

 そんなことじゃ絶対企業人には向いてないなぁ、とちょっとへこたれつつ、ラビッド・H・フリーマン『アメリカ海兵隊式経営』(ダイヤモンド社:1900円)などを見てさらにげんなり。「最強のモチベーション・マネジメント」と大きく惹句が連なっているのはいいけど、ビジネス書ってどうしてこんなに著者の顔や姿がドカンと表紙になってるのが多いんでしょうか。なんというか、たくましさと言うか、強烈すぎる個性というか、とにかく「激しく戦い、そして売れ」みたいなメッセージを当てられてるみたい。

 ちょっと変わったところでは、香山リカ+バンダイキャラクター研究所『87%の日本人がキャラクターを好きな理由』(学研:1400円)は、どうしてこんなにもキャラクター商品が人気になるのか、という表題通りの本。巻頭に載せられたアンケート結果からついてるんだろうけど「87%の」と言い切るあたりがまた強烈。

 他に、最近とみにお世話になってるけど、実は日本のネット本屋としては売り上げが低いamazon.comについての本で、これもそのものズバリ、ロバート・スペクター『アマゾン・ドット・コム』(日経BP:1800円)。アメリカから訪れたアマゾンを初めとするネット書店の登場は、日本の出版界、出版流通業界には衝撃的だったけど、そのアマゾンが如何に拡大していったか、ということが書かれているらしい。

 レジ前には社会問題関連書籍で、当然のごとくビンラディンさんの顔写真がちらほらと見え隠れ。ジェンダー、フェミニズムなどを扱った女性問題の棚、マスコミ問題等の棚のそばには、政府刊行物が並んだ棚がある。注目はずらりと揃った「有価証券報告書」のコーナー。上場企業の年次報告かなにかが揃ってるんだと思うけど、いったい何をどう見ていいのやらさっぱり。試しに知人が勤めている企業の報告書をぱらぱらとめくってみる。
 まさに報告書。なにかスゴイ会社らしいのだが、株主に対してあくまで低姿勢に事業報告をしているらしく、「しっかり働かないといかんからね!」と株主でも無いのに心の中で威張りくさって溜飲を下げる。って別に何に腹を立ててるわけでもないんだけど。

 

 日常生活でほとんどパスして考えずにすましている税金、金融等の棚をまたふーん、と通り過ぎ、奥に行くと、法律、政治・行政関連の書籍が続く。目を引いたのは庵谷恭三『推理小説で学ぶ裁判実務』(民事法研究会:2800円)で、「こんなに面白く裁判実務が学べる!」というのがウリらしく、「裁判実務の本は難しいと思っている貴方もこれを読めば・・・」みたいな事が書いてある。要するに実際の裁判の様子を小説仕立て(ほとんど会話形式だから戯曲みたいだけど)にして、実務を学びましょう、ということらしいけど、そんな面白くしないと専門書が読み説けない裁判官ってちょっとヤダ。

 「捜査」とジャンル分けされた棚に出くわしたときはちょっとビックリ。河上和雄『講座 日本の警察』(立花書房)なんて重厚な箱入り本も気になったけど、近くに置かれた社会批判社編集部編『公安調査庁スパイ工作集 公安調査官樋口憲一郎の工作日記』なんて本はどうだろう。中身は資料のコピーやらが満載で、ちょっとコワイので、そのスジの人にお任せしたい心境で一杯になる。

 

 5Fの一番奥まったエリアは資格・就職の関連本。一番奥まってるせいもあってそう感じるのかも知れないけど、ジュンク堂全館の中で最も人々が密集しているエリアだった。就職活動中の学生が多いんだろうけど、今最も熱い専門書はこういうものかも。一件サラリーマン風のおじさんもいたけど、資格とる前に、今ある仕事はどうした、と思ったりはしない。