<慣用語概観(その四)>「ハ」から「ワ」まで (平成26-12-1書き込み。28-12-15最終修正)(テキスト約209頁) |
トップページ | 国語篇一覧 | この篇のトップ | 語 句 索 引 |
[おことわり]
この篇は、現代もなお一般的に使われる慣用語(慣用句を含む)の主要なものの中に残る語源不詳または意味不詳の縄文語の意味を解明しようとするシリーズの一です。
この部類に属する書籍または辞典は、枚挙にいとまがありませんが、ここでは『語源大辞典』堀井令以知編、東京堂出版、1988年に拠り、アート、アーメンなどの外来語、阿吽、阿闍梨などの仏教用語、漢語由来であることが明らかな語、他の篇で対象となっている動植物名、枕詞およびいわゆる女房言葉は除外し、『日本語「語源」辞典』学研編集部編、学研、2004年に所収の語で重要なものを追加して解釈することとしました。
この慣用語概観では、「ア」から「オ」までを「その一」、「カ」から「ソ」までを「その二」、「タ」から「ノ」までを「その三」、「ハ」から「ワ」までを「その四」に分割して掲載します。また、すでに他の国語篇や地名篇、古典篇、雑楽篇の各篇において取り上げたものは、その旨注記しました。
縄文語のポリネシア語による解釈は、他の諸篇と同様、原則として、その起源となったと推定される原ポリネシア語から変化したマオリ語(すでに失われた語彙でハワイ語に残るものについてはハワイ語とし、その旨を注記しました)とその意味を英語および日本語によって表記しました。主として使用したマオリ語・ハワイ語の辞典は次の通りです。
(1)H.W.Williams M.A,Dictionary of the Maori Language,seventh edition,1997,GP Publications.
(2)P.M.Ryan,The Reed Dictionary of Modern Maori,1995,TVNZ.
(3)Mary Kawena Pukui and Samuel H.Elbert,Hawaiian Dictionary, revised and enlarged edition,1986,University of Hawaii Press.
目 次
「ハ」
2134は(歯)/2135は(刃)/2136は(葉)/2137はい(灰)/2138はい/2139ばいた(細薪)/2140はえ(南風)・はえ(碆。暗礁)/
2141はおり(羽織)/2142はか(墓)/2143はかがゆく(はかが行く)/2144ばか(馬鹿)/2145はがいじめ(羽交い締め)/2146はがき(端書。羽書。葉書)/2147はがす(剥がす)/>2148はがため(歯固め)/2149はかない(果ない)/2150はかま(袴)/
2151はがゆい(歯痒い)/2152はかる(計る。測る。量る)/2153はかる(図る。諮る。謀る)/>2154はかどる(捗る)/2155はぐくむ(育む)/2156はくじょう(白状)/2157ばくち(博奕)/2158ばくろう(博労。馬喰)/2159はけ(刷毛)/>2160はけ(崖)/
2161はごいた(羽子板)/2162はさ(稲架)/2163はざかいき(端境期)/2164はざま(狭間)/2165はさみ(鋏)/2166ばさら(婆娑羅)/2167はし(箸)/2168はし(橋)/2169はし(端)/2170はじ(土師)/
2171はじ(恥)/2172はしか(麻疹)/2173はしきやし(愛しい)/2174はしけ(艀)/2175はしご(梯子)/2176はしたて(梯立)/2177はしたない/2178はじめ(始め)/2179はしりもと(走元)/2180はしる(走る)/
2181はず(筈)/2182はた(旗。凧。機)/2183はた(畑)・はたけ(畑)/2184はだ(肌)/2185はだか(裸)/2186はたがめ(雷)/2187はたご(旅籠)/2188はだし(裸足)/2189はたち(二十歳)/2190はだれ(斑)/
2191ばたんきゅー(バタンキュー)/2192はち(鉢)/2193ばち(罰)/2194ばつ(罰。跋。末。閥)/2195ばつがわるい(ばつが悪い)/2196はっけよい(発気良い)/2197はっさい(発才)/2198ばった/2199はったい/2200はったり/
2201ばったり/2202ぱっち(股引)/2203はっちゃ/2204ばっちょうがさ(番匠笠)/2205ばってん(罰点)/2206〜ばってん/2207はっと(法度)/2208はっぱをかける(発破を掛ける)/2209はっぴ(法被)/2210はで(派手)/
2211はで(稲架)/2212ばてる/2213はとのかい(鳩の飼)/2214はなし(話)/2215はなはだ(甚だ)/2216はなひる(嚔る)/2217はなみち(花道)・はしがかり(橋懸・橋掛)/2218はなむけ(餞)/2219はなわ(塙)/2220はね(釣り銭)/
2221はにかむ/2222はにゅう(埴生)/2223はにゅうのやど(埴生の宿)/2224はにわ(埴輪)/2225ばね(発条)/2226はは(母)・はは(大蛇)/2227ばば(祖母。婆)・ばば(婆、苦情)、ばば(ジョーカー)・ばば(糞)/2228ははき(箒)/2229はばき(脛巾)/2230はぶく(省く)/
2231はぶたえ(羽二重)/2232はふり(祝)・はうり(祝)・ほうり(祝)/2233はぶり(羽振り)・はぶり(葬)/2234はふる(放る)/2235はべる(侍る)/2236はま(浜)/2237はむ(食む)/2238はめをはずす(羽目を外す)/2239はやし(林)/2240はやす(生やす)/
2241はやて(疾風)/2242はやと(隼人)/2243はやぶさ(隼)/2244はゆま(駅。駅馬)/2245はら(腹)/2246はら(原)/2247はらいせ(腹癒)/2248はらから(同胞)/2249はらむ(妊む)/2250はらわた(腸)/
2251はる(春)/2252はる(張る)/2253はるか(遙か)/2254ばんざい(番菜)/2255ばんざい(万歳)/2256ばんじょう(番匠)/2257ばんちゃ(番茶)/2258はんてん(半纏)/2259ばんとう(番頭)/2259-2ばんのう(万能)/2260はんぺん(半片)・はんぺい(半平)/
「ヒ」
2261ひ(日・陽)・ひ(火)/2262ひいき(贔屓)・えこひいき(依怙贔屓)・ほうがんびいき(判官贔屓)/2263ひいては(延いては)/2264ひえる(冷える)/2265ひかえる(控える)/2266ひかがみ/2267ひがし(東)/2268ひがめ(僻目)/2269ひきいる(率いる)/2270ひきでもの(引き出物)/
2271ひきょう(卑怯)/2272ひけをとる(引けを取る)/2273ひこ(孫)/2274ひこばえ(蘖)/2275ひさご(瓢)/2276ひざこぞう(膝小僧)/2277ひさし(庇)/2278ひざぼん(膝坊)/2279ひさめ(氷雨)・ひさめ(大雨、甚雨)・ひちさめ(大雨、甚雨)/2280ひしお(醤)/
2281ひじかさあめ(肘笠雨)/2282ひじてつ(肘鉄)・ひじでっぽう(肘鉄砲)/2283ひしゃく(柄杓)/2284ひじり(聖)/2285ひず(氷頭)/2286ひすまし(樋洗)/2287ひそかに(密かに)/2288ひそみ(顰み)/2289ひたい(額)/2290ひたすら(只管。一向)/
2291びたせん(鐚銭)/2292ひたはしる(直走る)/2293ひたぶる(一向)/2294ひつぎ(棺)/2295ひっきりなし(引切り無し)/2296ひづめ(蹄)/2297ひどい(酷い)/2298ひとえに(偏に)/2299ひとかど(一角)/2300ひとくさり(一くさり)/
2301ひとしい(等しい)/2302ひとしお(一入)/2303ひととなり(為人)/2304ひとみ(瞳)/2305ひとりよがり(独り善がり)/2306ひどる(火取る)/2307ひな(雛)/2308ひな(鄙)/2309ひなたぼっこ(日向ぼっこ)/2310ひね(陳)/
2311ひび(皹)・ひび(罅)/2312ひび/2313ひま(暇)/2314ひまち(日待ち)/2315ひむろ(氷室)/2316ひめ(姫)/2317ひもじい/2318ひもろき(神籬)/2319ひやかし(冷やかし)/2320ひょうし(拍子)/
2321びょうぶ(屏風)/2322ひよこ(雛)/2323ひょっとこ(火男)/2324ひよめき/2325ひより(日和)/2326びら(片。枚)/2327ひらの(枚野。平野)/2328ひらび/2329ひらめく(閃く)/2330びり(最後尾)/
2331ひれ(領布)/2332びろう(尾籠)/2333ぴんきり/2334びんた/
「フ」
2335ふ(麩)/2336ふ(斑)・ぶち(斑)/2337ふいご(鞴)/2338ふいちょう(吹聴)/2339ふえ(笛)/2340ふがいない(不甲斐ない)/
2341ぶがわるい(分が悪い)/2342ふきん(布巾)/2343ふくさ(袱紗)/2344ふくびき(福引き)/2345ふくらはぎ(脹ら脛)/2346ふぐり(陰嚢)/2347ふくろ(袋)/2348ふけ(雲脂)/2349ふける(老ける)/2350ふける(更ける)・ふける(耽る)/
2351ふご(畚。魚籠)・びく(魚籃)/2352ふさぐ(塞ぐ)/2353ふざける(巫山戯る)/2354ふさわしい(相応しい)/2355ふしぎ(不思議)/2356ふしだら/2357ぶしょう(無精)/2358ふすま(衾)/2359ふすま(襖)/2360ふすま(?。麦へんに皮)/
2361ふせ(布施)/2362ふせぐ(防ぐ)/2363ふだ(札)/2364ふたぐ(塞ぐ)/2365ふたの(二布)/2366ふち(淵)/2367ふち(縁)/2368ぶっきらぼう(打切棒)/2369ぶつぎ(物議)/2370ぶっちょうづら(仏頂面)/
2371ふつつか(不束)/2372ふで(筆)/2373ふてくされる(不貞くされる)/2374ふと(不図)/2375ふところ(懐)/2376ふとまに(太占)/2377ふともの(太物)/2378ふぬけ(腑抜け)/2380ふのり(布海苔)/
2381ふびと(史)/2382ふびん(不便。不憫)/2383ふみ(文)/2384ふみて(筆)/2385ふもと(麓)/2386ふゆ(冬)/2387ふらち(不埒)/2388ふり(振)/2389ふりうり(振売り)/2390ぶりき(ブリキ)/
2391ふるい(古い)/2392ふるい(篩い)/2393ふるさと(古里。故郷)/2394ふるまい(振舞い)/2395ぶれいこう(無礼講)・いんぎんこう(慇懃講)/2396ふろ(風呂)/2397ふろしき(風呂敷)/2398ふんぎり(踏切り)/2399ふんぞりかえる(踏反り反る)/2400ふんだん/
2401ふんどし(褌)・とうさぎ(たふさぎ。褌)/2402ふんべつ(分別)/
「ヘ」
2403へ(戸)/2404へ(屁)/2405べ(部)/2406べい(可い)/2407へいちゃら(平ちゃら)/2408へぐ(剥ぐ)/2409ぺけ/2410べこ(牛。子牛)/
2411へこおび(兵児帯)・へこ(兵児)/2412へそ(臍)・へそのお(臍緒)/2413へそ(綜麻)/2414べそ/2415へそくり(臍繰り)/2416へた(下手)/2417へつい(竈)/2418べっかこう/2419へっぴりごし(屁っ放り腰)/2420ぺてん(詐欺)/
2421へなちょこ・へちゃむくれ/2422へぼ(下手)/2423へや(部屋)/2424べらぼう(便乱坊)・べらぼうめ/2425べらんめえ/2426へる(経る)/2427へる(減る)/2428べんがら(弁柄)/2429へんてこ(変梃)/2430べんとう(弁当)/
「ホ」
2432ほいと(陪堂・乞食)/2433ほいろ(焙炉)/2434ぼう(棒)/2435ほうかん(幇間)/2436ほうがん(判官)・をぐりほうがんとてるてひめ(小栗判官と照手姫)/2437ほうき(箒)/2438ぼうし(帽子)/2439ぼうず(坊主)/2440ほうちょう(包丁)/
2441ぼうにふる(棒に振る)/2442ぼうばな(棒端)/2443ぼうびき(棒引き)/2444ほうべん(方便)/2445ほうほうのてい(這々の体)/2446ほうむる(葬る)/2447ほうろく(焙烙)/2448ほおげた(頬桁)/2449ほか(他)/2450ほかい(行器)/
2451ほがい(寿。祝)/2452ほかす(放す)/2453ほぐ(祝ぐ)/2454ほぐ(反故。反古)/2455ぼくねんじん(朴念仁)/2456ほくろ(黒子)/2457ぼけ(惚け。呆け)/2458ほこ(矛。鉾)/2459ほご(反故。反古)/2460ほこら(祠)/
2461ほこり(埃)/2462ほこり(誇り)/2463ほしいまま(恣しいまま)/2464ほぞをかむ(臍を噛む)/2465ほだ(榾)/2466ボタ(屑石炭)・ズリ(選炭屑)/2467ほだれ(穂垂)/2468ぼたん(釦)/2469ほと(陰部)/2470ほとけ(仏)/
2471ほとばしる(迸る)/2472ほとぼり(余熱)/2473ほとんど(殆ど)/2474ほのお(炎)/2475ほほえむ(微笑む)/2476ほむら(焔)/2477ほめる(褒める)/2478ほや(火屋)/2479ぼや(小火)/2480ほら(洞)/
2481ほら(法螺)/2482ほれる(惚れる)/2483ぼろ(襤褸)/2484ぼろい/2485ぼろくそ(襤褸糞)/
2486ほろびる(滅びる)/2487ほろみそ(法論味噌)/2488ほん(本)/2489ぼん(盆)・うらぼん(盂蘭盆)/2490ぼんくら(盆暗)/
2491ぽんこつ/2491-2ぼんさい(盆栽)・ぼんけい(盆景)/2492ぼんのくぼ(盆の窪)/2493ぽんびき(ポン引き)/2494ぼんぼり(雪洞)/2495ほんめい(本命)/
「マ」
2496まいる(参る)/2497まえ(前)/2498まおとこ(間男)/2499まか(摩可)/2500まが(禍)/
2501まがい(紛い)/2502まがき(籬)/2503まかせる(任せる)/2504まがたま(勾玉)/2505まかなう(賄う)/2506まがる(曲がる)/2507まき(薪)/2508まき(巻)/2509まきえ(蒔絵)/ 2510まきば(牧場)/
2511まく(婚く)/2512まぐさ(秣)/2513まくなぎ/2514まくら(枕)/2515まぐれ(紛れ)/2516まくれる(捲れる)/2517まぐわい(目合い)/2518まご(孫)/2519まこと(真。誠)/2520まさか(目先。真逆)/
2521まさご(真砂)・まなご(砂子)/2522まして(況して)/2523まじない(呪い)/2524まします(坐す)/2525ます(枡)/2526ますらお(益荒男)/2527まぜ(真風)/2528ませがき(籬垣)/2529また(又)/2530またぎ/
2531またたく(瞬く)/2532まだら(斑)/2533まち(町)/2534まちまち(区々)/2535まつげ(睫)/2536まっこう(真っ向)/2537まっしぐら(驀地)/2538まったく(全く)/2539まつる(祭る)/2540まて(真手)/
2541まで(迄)/2542まと(的)/2543まど(窓)/2544まどい(円居)/2545まどう(惑う)/2546まとも(正面)/2547まとめる(纏める)/2548まどろむ(微睡む)/2549まな(愛・真。真名。真菜。真魚)/2550まないた(俎板)/
2551まなかい(眼間。目交)/2552まなぐい(真魚食)/2553まなこ(眼)/2554まなじり(眦)・まなじりを決す/2555まなぶ(学ぶ)/2556まのあたり(目前)/2557まばたき(瞬き)/2558まばゆい(目映い)/2559まばら(疎ら)/2560まぶ(間夫)/
2561まぶ(間歩。坑道)/2562まぶしい(眩しい)/2563まぶた(瞼)/2564まぼろし(幻)/2565まほろば/2566まま(乳母)・うば(乳母)・めのと(乳母)/2567まま(継)/2568ままごと(飯事)/2569まめ(忠実。実)/2570まめまき(豆撒き)/
2571まゆげ(眉毛)/2572まよう(迷う)/2573まら(魔羅。摩羅)/2574まり(毬)・まり(椀)/2575まる(丸。円)・まる(丸。麻呂)・まる(虎子)/2576まるで/2577まれ(稀)/2578まろうど(客)/2579まん(間)/2580まんが(漫画)/
2581まんざら(満更)/2582まんじ(卍)/2583まんじゅう(饅頭)/2583-2まんのう(万能)/2584まんびき(万引き)/2585まんべんなく(万便なく)/2586まんぼ(トンネル)/2587まんまん(万々。満々。漫々)/
「ミ」
2588みあれ(御生)/2589みーはー(ミーハー)/2590みいり(実入り)/
2591みえ(見栄)/2592みおつくし(澪標)/2593みかた(味方)/2594みかど(御門。帝)/2595みかわり(身変わり)/2596みがわり(身代わり)/2597みき(幹)/2598みき(神酒)/2599みぎ(右)/2600みぎり(砌)/
2601みぎわ(汀)/2602みぐし(御髪)/2603みぐるしい(見苦しい)/2604みけ(御食。御饌)/2605みこ(巫女)/2606みこうし(御格子)/2607みこし(御輿)/2608みさお(操)/2609みさき(岬)/2610みしほ(御修法)/
2611みじめ(惨め)/2612みじろぐ(身動ぐ)/2613みず(水)/2614みずあげ(水揚げ)/2615みずうみ(湖)/2616みずから(自ら)/2617みずくき(水茎。筆跡)/2618みずし(水仕)/2619みずしょうばい(水商売)/2620みずち/
2621みずてん(不見転)/2622みずひき(水引)/2623みすぼらしい(見窄らしい)/2624みせ(店)/2625みせる(見せる。魅せる)/2626みそ(味噌)/2627みそ(御衣)/2628みぞ(溝)/2629みぞおち(鳩尾)/2630みそか(晦日)/
2631みそぎ(禊ぎ)/2632みぞれ(霙)/2633みそっかす(味噌滓)/2634みたらし(御手洗)/2635みだりに(濫りに)/2636みち(道)/2637みちくさをくう(道草を食う)/2638みちのく(陸奥)/2639みちびく(導く)/2640みつぐ(貢ぐ)/
2641みっともない/2642みつみつし/2643みてぐら(幣)/2644みてくれ/2645みとしろ(御戸代)/2646みどりご(嬰児)/2647みなぎる(漲る)/2648みなしご(孤児)/2649みなと(港)/2650みなも(水面)/
2651みなもと(源)/2652みにくい(醜い)/2653みね(峰)/2654みの(簑)/2655みのる(実る)/2656みまかる(身罷る)/2657みまし(汝)/2658みみっちい/2659みみより(耳寄り)/2660みめ(見目)/
2661みや(宮)/2662みやけ(屯倉)/2663みやげ(土産)/2664みやこ(都)/2665みやすどころ(御息所)/2666みやび(雅)/2667みょう(妙)/2668みょうじ(名字)/2669みょうと(夫婦)/2670みょうり(冥利)に尽きる/
「ム」
2671むかえる(迎える)/2672むかし(昔)/2673むかわり(身代わり。質)/2674むく(無垢)/2675むくろ(骸)/2676むげ(無下)/2677むこ(婿)/2678むごい(惨い)/2679むざん(無慙)/2680むしず(虫唾)/
2681むしやしない(虫養い)/2683むじょう(無情)/2684むしろ(筵)/2685むずかしい(難しい)/2686むすこ(息子)/2687むすび(産霊)/2688むすび(結。掬)/2689むすめ(娘)/2690むぞう(無慙)/
2691むだ(無駄)/2692むち(鞭)/2693むちゃ(無茶)/2693-2むっくり/2694むてっぽう(無鉄砲)/2695むね(胸)/2696むね(棟)/2697むやみ(無闇)/2698むら(村)/2699むらさき(紫)/2700むらさめ(村雨)/
2701むらじ(連)/2702むらはちぶ(村八分)/2703むりやり(無理矢理)/2704むれ(群れ)/2705むろ(室)/2706むんむん/
「メ」
2707め(眼)/2708〜め/2709めあかし(目明かし)/2710めい(姪)/
2711めいっぱい(目一杯)/2712めいぼ(目疣)/2713めいる(滅入る)/2714めいわく(迷惑)/2715めおと(夫婦)/2716めかけ(妾)/2717めかす(粧す)/2718めぐ(壊す)/2719めくじら(目くじら)/2720めくばせ(目配せ)/
2721めぐむ(恵む)・めぐむ(芽ぐむ)/2722めくる(捲る)/2723めざし(目刺し)/2724めし(飯)/2725めす(召す)/2726めずらしい(珍しい)/2727めちゃくちゃ(滅茶苦茶)/2728めっき(鍍金)/2729めっそう(滅相)・〜もない/2730めったに(滅多に)/
2731めっぽう(滅法)/2732めて(馬手。右手)/2733めでたい(目出度い)/2734めど(目処)/2735めどぎ(筮竹)/2736めとる(娶る)/2737めのこざん(目の子算)/2738めのと(乳母)/2739めぼしい/2740めまい(目眩)/
2741めまぐるしい(目紛るしい)/2742めやす(目安)/2743めりはり(減り張り)/2744めりやす(莫大小)/2745めんこ(面子)/2746めんこい(可愛い)/2747めんどう(面倒)/2748めんめ/2749めんよう(面妖)/
「モ」
2751もうちきみ(公卿)/2752もうでる(詣でる)/2753もうろく(耄碌)/2754もえぎ(萌黄)/2755もがり(殯)/2756もぐさ(艾)/2757もさ(猛者)/2758もしくは(若しくは)/2759もしもし/2760もち(餅)/
2761もち(黐)/2762もちいる(用いる)/2763もつ(内臓)/2764もっけのさいわい(勿怪の幸い)/2765もっこ(畚)/2766もったい(勿体)/2767もったいない(勿体ない)/2768もっとも(尤も)/2769もっとも(最も)/2770もてなす(持て成す)/
2771もてる/2772もと(元)/2773もどかしい/2774もどき(擬き)/2775もとどり(髻)/2776もとめる(求める)/2777もなか(最中)/2778もぬけのから(蛻の殻)/2779もの(物)/2780ものぐさ(物臭)/
2781ものさし(物差し)/2782もののけ(物の怪)/2783もののふ(武士)/2784ものもらい(麦粒腫)/2785もみ(籾)/2786もみじ(紅葉)/2787もみじがり(紅葉狩)/2788もみない(不味い)/2789ももひき(股引)/2790ももわれ(桃割)/
2791ももんが/2792もや(母屋)/2793もやい(催合)/2794もやい(舫い)/2795もよう(模様)/2796もより(最寄り)/2797もらう(貰う)/2798もり(森)/2799もり(守)/2800もり(銛)/
2801もろこし(唐土。諸越)/2802もろて(両手。双手。諸手)/2803もろはく(諸白)/2804もんじゃやき(もんじゃ焼き)/2805もんど(主水)・もひとり(主水)/2806もんどり/2807もんび(紋日)/2808もんぺ(山袴)/
「ヤ」
2811やえば(八重歯)/2812やおちょう(八百長)/2813やおや(八百屋)/2814やおら/2815やかた(屋形。家形。仮屋。館)/2816やがて/2817やかましい(喧しい)/2818やから(族。輩)/2819やかん(薬罐)/2820やき(焼き)/
2821やきもち(焼き餅)/2822やくざ/2823やくたいもない(益体も無い)/2824やぐら(矢倉。櫓)/2725やけ(自棄)/2826やけど(火傷)/2827やさかにのまがたま(八尺瓊の勾玉)/2828やさかのかがみ(八尺の鏡)/2829やさしい(優しい)/2830やし(香具師)/
2831やじうま(野次馬)/2832やしゃ(夜叉)/2833やしろ(社)/2834やしゃご(玄孫)/2835やすい(安い。易い)/2836やすこ/2837やすみ(休み)・やすむ(休む)/2838やすり(鑢)/2839やせぎす(痩せぎす)/2840やそかげ(八十陰)/
2841やたのかがみ(八咫鏡)/2842やたら(矢鱈)/2843やち(谷地)・やと(谷戸)・やつ(谷。谷津)/2844やつ(奴)/2845やっかい(厄介)/2846やつがれ(僕)/2847やっこ(奴)/2848やっさもっさ/2849やっちゃば(青物市場)/2850やっと(漸)/
2851やつれる(窶れる)/2852やど(宿)/2853やどろく(宿六)/2854やな(簗)/2855やにわに(矢庭に)/2856やね(屋根)/2857やばい(危い)/2858やはり(矢張)/2859やぶいしゃ(藪医者)/2860やぶいり(藪入り)/
2861やぶさか(吝か)/2862やぶさめ(流鏑馬)/2863やぶにらみ(藪睨み)/2864やぶへび(藪蛇)/2865やぼ(野暮)/2866やま(山)/2867やまかん(山勘)/2868やましい(疚しい)/2869やませ(山背)/2870やまつみ(山祇)/
2871やまのかみ(山の神)/2872やまぶし(山伏)/2873やむ(病む)/2874やむ(止む)/2875やもめ(寡婦。寡夫)/2876やや(稍)/2877ややこ(嬰児)/2878やらい(矢来)/2879やりだま(槍玉)/2880やりて(遣り手)/
2881やるせない(遣瀬無い)/2882やれ(破)/2883やろう(野郎)/2884やんごとない/2885やんちゃ/2886やんぬるかな/
「ユ」
2887ゆい(結い)/2888ゆいのう(結納)/2889ゆう(夕)/2890ゆうげ(夕餉)/
2891ゆうさり(夕去り)/2892ゆうし(猶子)/2893ゆうそく(有職)/2894ゆうだち(夕立)/2895ゆうべ(夕べ)/2896ゆえん(所以。由縁)/2897ゆおう(硫黄)/2898ゆか(床)/2899ゆかしい(床しい)/2900ゆかた(浴衣)/
2901ゆき(悠基。由基)/2902ゆき(雪)/2903ゆきひら(行平)/2904ゆきやこんこん(雪やこんこん)/2905ゆくりなし/2906ゆげい(靫負)/2907ゆさぶる(揺さ振る)/2908ゆすぐ(濯ぐ)/2909ゆずる(譲る)/2910ゆた(巫女)/
2911ゆたか(豊か)/2912ゆだん(油断)/2913ゆたんぽ(湯湯婆)/2914ゆつ(斎つ)・いほつ(五百箇)/2915ゆっくり/2916ゆて(湯手)/2917ゆな(湯女)/2918ゆのし(湯熨斗)/2919ゆば(湯葉)/2920ゆはた(纈)/
2921ゆばり(尿)/2922ゆび(指)/2923ゆびきりげんまん(指切り拳万)/2924ゆべし(柚餅子)/2925ゆめ(夢)/2926ゆめ(努)/2927ゆゆしい(由々しい)/2928ゆらめく(揺らめく)/2929ゆるす(許す)/2930ゆわえる(結わえる)/
「ヨ」
2932よ(世)/2933よい(宵)・こよい(今宵)/2934ようかん(羊羹)/2935ようじ(楊枝)/2936ようやく(漸く)/2937よき(斧)/2938よけい(余計)/2939よける(除ける)/2940よこがみやぶり(横紙やぶり)/
2941よこぐるま(横車)/2942よこざ(横座)/2943よこしま(邪)/2944よごと(寿詞)/2945よさこいぶし(よさこい節)/2946よさり(夜さり)/2947よし(由)/2948よし(縦)/2949よすが(縁。因。便)/2950よせ(寄。寄席)/
2951よそ(余所)/2952よそう(装。粧)/2953よそおい(装)/2954よそよそしい(余所余所しい)/2955よたか(夜鷹)/2956よたもの(与太者)/2957よっぴて(夜っぴて)/2958よっぽど(余程)/2959よとう(与党)/2960よどむ(淀む)/
2961よなべ(夜鍋)/2962よにも(世にも)/2963よばい(夜這い)/2964よふね(夜船)/2965よほろ(丁)/2966よまいごと(世迷い言)/2967よみ(黄泉)/2968よみがえる(蘇る)/2969よみする(嘉する)/2970よみや(夜宮)/
2971よむ(読む)/2972よめ(嫁)/2973よめがきみ(嫁が君)/2974よもすがら(夜もすがら)/2975よもの(夜物)/2976よもや/2977よもやま(四方山)/2978よりまし(寄坐)/2979よりより(度度)/2980よろい(鎧)/
2981よろこぶ(喜ぶ)/2982よろしい(宜しい)/2983よろず(万)/2984よろめく(蹌踉めく)/2985よわい(齢)/2986よわい(弱い)/2987よんどころない(拠ん所ない)/2988よんま(夜間)/
「ラ」
2991らくがん(落雁)/2992らくご(落語)/2993らしゃめん(羅紗綿)/2994らち(埒)/2995らっし(搦氈j/
「リ」
2996りきむ(力む)/2997りちぎ(律儀)/2998りっぱ(立派)/2999りゅうこう(流行)/3000りょうり(料理)/
「ル」
「レ」
「ロ」
3005ろうじょう(籠城)/3006ろうず/3007ろうそく(蝋燭)/3008ろうたし(揩スし)/3009ろくすっぽ/3010ろくでなし(碌でなし)/
3011ろくろ(轆轤)/3012ろじ(露地。路地)/3013ろれつ(呂律)/
「ワ」
3014わ(私)/3015わか(巫女)/3016わがまま(我が儘)/3017わかれる(分かれる)/3018わき(脇)/3019わきまえる(弁える)/3020わくらば(病葉)/
3021わけ(分。訳)/3022わけ(別)/3023わこうど(若人)/3024わごりょ(我御寮。我御料)/3025わざ(技。業)/3026わざおぎ(俳優)/3027わざわい(禍。災)/3028わずかに(僅かに)/3029わすれる(忘れる)/3030わせ(早稲。早生)/
3031わた(海)/3032わだかまる(蟠る)/3033わたくし(私)・わたし(私)/3034わだち(轍)/3035わたつみ(海神。海)/3036わっぱ(童)/3037わな(罠)/3038わび(侘び)/3039わびる(詫びる)/3040わめく(喚く)/
3041わや/3042わら(藁)/3043わらう(笑う)/3044わらじ(草鞋)/3045わらべ(童)/3046わらわやみ(瘧)/3047わりかん(割り勘)/3048わりご(破子)/3049わりした(割下)/3050わりない(理無い)/
3051わるい(悪い)/3052われ(我。吾)/3053わんぱく(腕白)/
「ハ」
鳥類を除く脊椎動物の口腔内にあって、食物の摂取・咀嚼、攻撃・防御にあずかる器官。哺乳類で特に発達し、人間では言語の発声にも関与する。
この「は」は、
「パ」、PA(block up,stockade,fortified place,screen)、「(砦の柱列のように)並列しているもの(歯)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」となった)
の転訛と解します。
物を切る道具で、切るために薄く鋭くなっている部分。
この「は」は、
「パハハ」、PAHAHA(split open,ripped up)、「(物を)切り裂くもの(刃)」(「パハハ」のP音がF音を経てH音に変化し、反覆語尾のH音が脱落して「ハ」となった)
の転訛と解します。
茎に側生する扁平な構造で、光合成・水分の蒸散・呼吸作用を営む主要な器官。
この「は」は、
「ワ」、WHA(leaf,flake,feather)、「葉」(「ワ」のWH音がH音に変化して「ハ」となった)
の転訛と解します。
物の燃え尽きた後に残る粉状の物質。もえがら。転じて、価値のないもの。
この「はい」は、
「パヒ」、PAHI(ended,brought to a conclusion)、「(物が燃え尽きて)後に残るもの(灰)」(「パヒ」」のP音がF音を経てH音に変化し、語尾のH音が脱落して「ハイ」となった)
の転訛と解します。
改まって応答するとき、または相手の言葉に承諾した意を表すときに用いる言葉。何か行動に移ろうとするときなどに、注意を促したり、挨拶の言葉の上に軽く添えたりして用いる言葉。自分の話の末尾に添えて、ややへりくだって確かにその通りと念を押す気持ちを添えるのにいう言葉。
この「はい」は、
「パイ」、PAI(good,excellent,suitable,like,approve,be willing,be agreeable,assent)、「(結構だ)承知した(はい)」(「パイ」」のP音がF音を経てH音に変化して「ハイ」となった)
の転訛と解します。
木や枝の切れ端。細かい薪。棒きれ。
この「ばいた」は、
「パハハ・イタ」、PAHAHA-ITA(pahaha=split open,ripped up;ita=tight,fast)、「(割れた)切れ端の・固いもの(細薪)」(「パハハ」のP音がB音に変化し、反覆語尾のH音が脱落して「バ」となった)
の転訛と解します。
「はえ」は@山陰、西九州地方でよく用いられる南風の呼称。夏の季節風であるが、地域により内容は異なり、暖かい穏やかな風として好ましい風を指す場合と、反対に好ましくない風として呼ばれる場合がある。この「はえ(南風)については、雑楽篇(その一)の222はえ(南風)の項を参照してください。
また、A海中の暗礁を碆(はえ)と呼んでいる。この「はえ(碆)については、地名篇(その十九)のc岩石海岸地名の(b)碆(はえ)の項を参照してください。
この「はえ」は、
@「ハ・アエ」、HA-AE(ha=breath,breathe,what!;ae=calm)、「静かな(穏やかな)・息のような(風)」(「ハ」のA音と「アエ」のA音が連結して「ハエ」となった)または「ハエ」、HAE(tear,cut,cause pain,fear,dislike)、「恐るべき(被害をもたらす。風)」
A「パエ」、PAE(horizon,region,horizontal ridges of hills,lie on one side,be cast ashore)、「水面すれすれに顔を出している(岩)」(P音がF音を経てH音に変化して「ハエ」となった)
の転訛と解します。
帯や袴をつけた衣類の上にまとう防寒用または装飾用の服。
この「はおり」は、
「ハオ・リ」、HAO-RI(hao=draw a net etc round anything,enclose,make a clean sweep of anything;ri=screen,protect,bind,bond)、「身にまとう・(幕のような)布(羽織)」
の転訛と解します。
遺体や遺骨を葬ってある所。つか。おくつき。墳墓。また、その墓標。墓石。この「はか(墓)については、国語篇(その十六)の193ぼち(墓地)の項のはか(墓)を参照してください。
この「はか」は、
「ハカ」、HAKA(deformed)、「(遺体が土に)変化する場所(墓地)」
の転訛と解します。
仕事などが順調に進む。効果があがる。はかどる。この「はかがゆくについては、国語篇(その十六)の165はかどる(捗る)の項の「はかがいく」を参照してください。
この「はかがゆく」は、
「ハ・アカ・(ン)ガ・イ・ウク」、HA-AKA-NGA-I-UKU(ha=breath,taste;aka=anga=face or move in a certain direction,turn to,doing anything;nga=breathe,take breath,satisfied;i=past tense;uku=wash,using clay for soap)、「(ハァハァと荒い)息をして・仕事の進捗に・満足し・(仕事を)きれいに片付け・た(はかがゆく)」(「ハ」のA音と「アカ」の語頭のA音が連結して「ハカ」と、「(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ガ」と、「イ・ウク」が「ユク」となった)
の転訛と解します。
(「馬鹿」は宛字。梵語の moha(痴) または mahallaka(無智)の転で、僧侶が隠語として用いたことによるとする説がある。)知能が劣り愚かなこと。また、そのさまやその人。あほう。取るに足りないつまらないこと。また、常軌を逸したことやそのさま。たわけ。本来の働きを果たさない状態。程度の甚だしいこと。この「ばか(馬鹿)」については、国語篇(その十六)の164ばか(馬鹿)の項を参照してください。
この「ばか」は、
「パ(ン)ガ」、PANGA(touch,reach,accost,operate on)、「不躾なまたは傍若無人な(見ず知らずの人に唐突に話しかけるなどの)行動をする者(馬鹿)」(「パ(ン)ガ」のP音がB音に、NG音がG音に変化して「パガ」となり、さらに清音化して「バカ」となった)
の転訛と解します。
人を後ろから抱きしめて動けないようにすること。後ろ手に腕を交差させ、鳥の翼を閉じたように縛りあげること。
この「はがいじめ」は、
「ハ(ン)ガイ・チ・マイ」、HANGAI-TI-MAI(hangai=opposite,confronting,across,astride;ti=throw,cast,overcome;mai=become quiet)、「手を交差させて(締め付け)・(相手を)静かに・させる(羽交い締め)」(「ハ(ン)ガイ」のNG音がG音に変化して「ハガイ」と、「チ」が「ジ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
紙切れを用いて書いた文書。江戸時代検見直後に代官などによって発せられた仮の徴税令書。転じて、催促状。署名のある書類。江戸時代、伊勢国で通用した紙幣。江戸時代、銭湯などの代金前納を証する紙片。湯札など。明治の郵便制度に伴って作られた郵便葉書。
この「はがき」は、
「ハ(ン)ガ・キ」、HANGA-KI(hanga=make,bulld,fashion,work,business,practice,habit,property;ki=full,very)、「(業務上)頻繁に・定型的に発行される文書(はがき)」(「ハ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「ハガ」となった)
の転訛と解します。
付着している物をはいで離す。はぎ取る。めくり取る。
この「はがす」は、
「パ・ア(ン)ガ・ツ」、PA-ANGA-TU(pa=touch,reach,strike,operate on;anga=face or move in a certain direction,turn to or set about doing anything;tu=fight with,energetic)、「懸命に・(付着している物を)離す方向へ・動かす(剥がす)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」となり、そのA音が「ア(ン)ガ」の語頭のA音と連結し、NG音がG音に変化して「ハガ」と、「ツ」が「ス」となった)
の転訛と解します。
正月の三が日(地方によって差異がある)鏡餅・大根・瓜・猪肉・鹿肉・押鮎などを食べ、長寿を願った行事。江戸時代、大坂地方で、陰暦六月一日にかき餅を食べて長寿を祝ったこと。歯茎を固めるために、歯が生える前の幼児にしゃぶらせる玩具。
この「はがため」は、
「パ(ン)ガ・タメ」、PANGA-TAME(panga=throw,lay,place,aim a blow at;tame=food,eat)、「食べ物を・供する行事(歯固め)」(「パ(ン)ガ」のP音がF音を経てH音に、NG音がG音に変化して「ハガ」となった)
の転訛と解します。
思い通りにいかない。順調でない。期待外れだ。しっかりした所がなくて、頼りにならない。頼りない。心細い。束の間である。あっけない。あっけなく空しい。無常である。目立たない。しのびやかだ。さして重要ではない。表向きでない。粗略である。みすぼらしい。賤しい。思慮分別が十分でない。
この「はかない」は、
「ハカ・ナイ」、HAKA-NAI(haka=heke=descend,ebb,drip,migrate,miss a mark,expressing surprise or complain or admiration etc.;nai=nei=to denote proximity to or connection with the speaker,to indicate continuance of action)、「気持ちが落ち込んで・極点に達する(はかない)」
または「ハカ・ヌイ」、HAKA-NUI(haka=heke=descend,ebb,drip,migrate,miss a mark,expressing surprise or complain or admiration etc.;nui=large,great,many,abundant)、「たいへん・気持ちが落ち込む(はかない)」(「ヌイ」が「ナイ」となった)
の転訛と解します。
下半身につける衣類の総称。多岐にわたる種類がある。いんぎんぶくろ。植物の茎をまとい覆うカワ。酒の徳利を据えて置くための方形または円形の器。
この「はかま」は、
「パカハ・マ」、PAKAHA-MA(pakaha=violent,firm,bold;ma=white,clean)、「(堅い)畏まった・清らかな(服装。袴)」(「パカハ」のP音がF音を経てH音に変化し、語尾のH音が脱落して「ハカ」となった)
の転訛と解します。
思うままにならなくて、心が苛立つさまである。もどかしい。じれったい。はがいい。
この「はがゆい」は、
「パ(ン)ガ・イウイ」、PANGA-IWI(panga=riddle,game of guessing;iwi=bone,strength)、「解くのが極めて難しい・難問のような(思うように解けなくてじれったい。歯痒い)」(「パ(ン)ガ」のP音がF音を経てH音に、NG音がG音に変化して「ハガ」と、「イウイ」が「ユイ」となった)
の転訛と解します。
物の数量、または時間の度合を一定の単位と比較して確かめる。秤、枡、物差し、時計などの計器で測定する。
この「はかる」は、
「パカル」、PAKARU(break in pieces,brerakthrough,break forth)、「(或る単位で)分割して計測する(計る)」(「パカル」のP音がF音を経てH音に変化して「ハカル」となった)
の転訛と解します。
相談する。協議する。思いめぐらす。考慮する。推察する。予想する。配慮する。物事の状況を考えて処置する。画策する。企てる。欺く。惑わす。
この「はかる」は、
「ハハ・カル」、HAHA-KARU(haha=seek,look for,search,enquire about,procure;karu=eye,head,look at)、「良く観察して・(どう対処したらよいか)考慮して行動する(はかる)」(「ハハ」の反覆語尾が脱落して「ハ」となった)
の転訛と解します。
物事がうまく進む。仕事などが順調に早く仕上っていく。進捗する。はかがゆく。
この「はかどる」は、
「ハ・アカ・トル」、HA-AKA-TORU(ha=breath,taste;aka=anga=face or move in a certain direction,turn to,doing anything;toru=toro=stretch forth,extend,survey,explore)、「(ハァハァと荒い)息をして・仕事をするのが・進捗する(捗る)」(「ハ」のA音と「アカ」の語頭のA音が連結して「ハカ」と、「トル」が「ドル」となった)
の転訛と解します。
親鳥がひな鳥を羽で覆い包む。養い育てる。また、世話をする。いつくしみ、大切に扱う。かわいがる。いたわり守る。かばう。また、精神や感情を大切にしてそれを伸長させる。治療する。
この「はぐくむ」は、
「ハ(ン)グ・クム」、HANGU-KUMU(hangu=scrape strips of flax with a shell,to make it softer,more pliable;kumu=clench,carry in the closed hand)、「手で抱きかかえ・(繊維を梳るように)大切に養育する(育む)」(「ハ(ン)グ」のNG音がG音に変化して「ハグ」となった)
の転訛と解します。
隠さないですべてを申し述べること。自分の犯した罪を申し述べること。自白。自供。犯人の自白書。口書き。
この「はくじょう」は、
「ハク・チオ」、HAKU-TIO(haku=complain of,find fault with,cold;tio=cry,call)、「(不正)犯した罪を認めて・申し述べる(薄情)」(「チオ」が「チョウ」から「ジョウ」となった)
の転訛と解します。
金銭、財物を賭け、賽、花札、またはトランプなどを用いて勝負を争うこと。賭博。てなぐさみ。博奕を職業とする人。博徒。ばくちうち。結果を運に任せて敢えてする行為。
この「ばくち」は、
「パク・チ」、PAKU-TI(paku=make a sudden sound or report,resound,extend;ti=throw,cast,overcome)、「突如やってくる勝負の結果に・圧倒される行為(博奕)」(「パク」が「バク」となった)
の転訛と解します。
馬や牛のことに詳しく、またその売買や売買の仲介などを業とする者。また、馬や牛の病気をなおしたり、調教をしたりする者。
この「ばくろう」は、
「パクロア」、PAKUROA(slow,dilatory at work)、「慎重に時間をかけて(家畜の)価値を判断する者(馬喰)」(「セクロア」のP音がB音に変化し、語尾のA音が脱落して「バクロウ」となった)
の転訛と解します。
獣毛などを束ね、木製などの柄につけ、家の先端を揃えて切ったもの。糊や塗料などを塗るのに用いる。
この「はけ」は、
「パケケ」、PAKEKE(creak,crackle,grate,scrape)、「(こする)塗りつけるもの(刷毛)」(「パケケ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハケケ」となり、反覆語尾が脱落して「ハケ」となった)
の転訛と解します。
北海道、東北、関東から西の方にかけて、丘陵山地の片岸をいう地形名。地名になったものも多い。(「土地の人はなぜそこが『はけ』と呼ばれるかを知らない。」という書き出しで始まる大岡昇平の小説『武蔵野夫人』で有名となった。堀井令以知編『語源大辞典』東京堂は、「アイヌ語 pake からか」とするが、「パケ pake 頭(かしら)」とするアイヌ語辞典はあるが、「崖」または「崖を容易に連想させる意味」をもつものは見当たらず、極めて疑問である。)
この「はけ」は、
「パケ」、PAKE(crack,creak,rustle,etc.)、「(土地の割れ目)崖地(崖)」(「パケ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハケ」となった)
の転訛と解します。
注ェをつくのに用いる長方形で柄のついた板。杉や桐などで作り、表には絵を描いたり押し絵を貼ったりする。
この「はごいた」は、
「ハ(ン)ゴ・イ・タ」、HANGO-ITA(hango=shovel;i=past tense;ta=dash,beat,lay)、「シャベルのような形の・(木材を)切り割って・つくった板(羽子板)」(「ハ(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ハゴ」となった)
の転訛と解します。
農家で、木や竹を組み、刈り取った稲をかけて乾燥させる設備。いなかけ。おだがけ。
この「はさ」は、
「ハ・アタ」、HA-ATA(ha=breath,taste,breathe;ata=gently,slowly,openly,deliveratelycautiously)、「(稻束を)静かに・(呼吸させる)乾燥させるもの(稲架)」(「ハ」のA音と「アタ」の語頭のA音が連結して「ハタ」から「ハサ」となった)
の転訛と解します。
新穀収穫の頃。すなわちね新米が古米に代わって市場に出回り始める九月から十月の頃。転じて一般的に農産物、生鮮食料品等の鍼灸収穫物の交代期の意にも用いる。
この「はざかいき」は、
「ハハ・タカ・イキ」、HAHA-TAKA-IKI(haha=seek,look for,search;taka=fall off,fail of fulfilment as a promise etc.;iki=consume,devour,sweep away)、「(食料を計画的に)食い延ばすのに失敗して・(食料が)底を尽き・探し回る時期(端境期)」(「ハハ」の反覆語尾が脱落して「ハ」と、「タカ」が「ザカ」となった)
の転訛と解します。
物と物との間の狭いところ。すきま。あいだ。山と山の間の狭く低いところ。谷間。谷あい。ある事柄と次の事柄との間の時間。また、ある事柄や状態が継続しているあいだ。弓、鉄炮などを打つために城壁などに明けられた穴。銃眼。さま。
この「はざま」は、
「ハ・タ・マ」、HA-TAHA-MA(ha=breathe,tenor of a speech,lean;ta=dash,beat,lay;ma=white,clean)、「(傾斜して)上から下へ打ち下ろす・(壁に)壁に設けられた・小さな穴(狭間)」(「タ」が「ザ」となった)
の転訛と解します。
二枚の刃で夾むようにして物を切る道具。この「はさみ(鋏)」については、雑楽篇(その二)の1044剃刀(かみそり)の項の「はさみ(鋏)」を参照してください。
この「はさみ」は、
「ハハ・タミ」、HAHA-TAMI(haha=seek,look for;tami=press down,suppress,smother)、「(切るべき場所を)探して・(握るようにして押し)切るもの(道具。鋏。和鋏)」(「ハハ」の反復語尾が脱落して「ハ」となった)
の転訛と解します。
見栄をはって派手に振る舞うこと。おごりたかぶって贅沢であること。形式、常識から逸脱して、奔放で人目を惹くような振る舞いをすること。また、そのさまやそのような行い。音楽・舞楽で、本式の拍子からはずれて、技が目立つようにする自由な形式。また、そのようなさま。この「ばさら」については、国語篇(その十五)の121ぞんざいの項の「ばさらか」および雑楽篇(その十七)の342さとやのとーかの項の「ばさらっか」を参照してください。
この「ばさら」は、
「パ・タラ」、PA-TARA(pa=touch,reach,strike,prevent,assault;tara=point,peak of the mountain,disturb,rough,loosen,separate,brisk)、「常識の枠を逸脱して・奔放に行動する(婆娑羅)」(「パ」が「バ」と、「タラ」が「サラ」となった)
の転訛と解します。
物をはさみ取るのに用いる二本の棒。普通、食物をはさむものをいい、木、竹、象牙などで作る。この「はし(箸)」については、雑楽篇(その二)の1041壺(つぼ)の項の末尾の「はし(箸)」を参照してください。
この「はし」は、
「ハ・チチ」、HA-TITI(ha=breath,taste(haha=savoury,luscious);titi=peg,pin,stick)、「(使うと食物の)味が良い・棒(箸)」(「チチ」の反復語尾が脱落して「チ」から「シ」となった)
の転訛と解します。
主として水流や谷に、また他の交通路の上に架設して、通路とするもの。殿舎や舞台と楽屋を繋ぐ通路など。この「はし(橋)」については、雑楽篇(その二)の1041壺(つぼ)の項の末尾の「はし(橋)」を参照してください。
この「はし」は、
「パハ・アチ」、PAHA-ATI(paha=arrive suddenly;ati=descendant,clan)、「アッという間に(向こう岸に)着く・種類のもの(橋)」(「パハ」のP音がF音を経てH音に変化し、その次のH音が脱落し、語尾のA音と「アチ」の語頭のA音が連結して「ハチ」から「ハシ」となった)
の転訛と解します。
物事の末の部分。ある場所を中心としてその周辺の部分。物の初めの部分。この「はし(端)」については、雑楽篇(その二)の1041壺(つぼ)の項の末尾の「はし(端)」を参照してください。
この「はし」は、
「パ・アチ」、PA-ATI(pa=touch,reach;ati=beginning)、「始まりの・地点に達した場所(端)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」となり、そのA音と「アチ」の語頭のA音が連結して「ハチ」から「ハシ」となった)
の転訛と解します。
(「はにし(土師)」の変化した語とする説がある)埴輪などの土器をつくることを司った人。土師部を統括して土器を貢納した伴部。令制では諸陵司の伴部となり、陵戸を管して凶礼をつかさどつた。
この「はじ」は、
「ハ(ン)ギ・アチ」、HANGI-ATI(hangi=earth oven;ati=offspring,descendant,clan)、「(地表の窯で)土器を焼く・(部族の)人々(土師)」(「ハ(ン)ギ」の名詞形語尾のNGI音が脱落した「ハ」のA音と「アチ」の語頭のA音が連結して「ハチ」から「ハジ」となった)
の転訛と解します。
面目を失うこと。名誉を傷つけられること。侮りを受けること。不名誉。物笑い。名誉をおもんずること。恥ずかしいと思う気持ち。廉恥心。羞恥心。
この「はじ」は、
「ハハ・チヒ」、HAHA-TIHI(haha=savoury,desolate,leaning;tihi=summit,top,lie in a heap)、「(最高の)栄誉を・失った(恥)」(「ハハ」の反覆語尾が脱落して「ハ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「ジ」となった)
の転訛と解します。
ウイルスによる全身性伝染病。五歳の幼児に多く、春秋に流行し、罹患すると終生免疫を得る。
この「はしか」は、
「パ・チカ」、PA-TIKA(pa=touch,reach,strike,affect the senses;tika,tikaka=hot,burning,burnt by the sun)、「感染すると・発熱して全身に紅斑を生ずる病気(麻疹)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」と、「チカ」が「シカ」となった)
の転訛と解します。
いとしい。愛すべきである。愛惜の場合の嘆息「ああ」にあたる場合もある。はしけやし。はしきよし。
この「はしきやし」は、
「パチ・キ・イア・チ」、PATI-KI-IA-TI(pati=try to obtain by coaxing,flattery,etc.;ki=full,very;ia=indeed;ti=throw,cast,overcome)、「愛嬌が・実に・たっぷりと・ある(愛しい)」(「パチ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハチ」から「ハシ」と、「イア」が「ヤ」と、゜チ」が「シ」となった)
または「パチキ・イア・チ」、PATIKI-IA-TI(patiki=flat,indescribing a nose;ia=indeed;ti=throw,cast,overcome)、「(子供の)平べったい鼻が・(実に)そこに・ある(愛しい)」(「パチキ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハチキ」から「ハシキ」と、「イア」が「ヤ」と、゜チ」が「シ」となった)
の転訛と解します。
艀船の略。陸と碇泊中の本船との間を往復して貨物または旅客などを運ぶのにもちいる小舟。
この「はしけ」は、
「パチ・カイ」、PATI-KAI(pati=try to obtain by coaxing,flattery,etc.;kai=fulfil its proper function,have full play)、「愛嬌をふりまくように・懸命に動き回る船(艀)」(「パチ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハチ」から「ハシ」と、「カイ」のAI音がE音 に変化して「ケ」となった )
の転訛と解します。
高い所に登るために、寄せかけるなどして用いる道具。二本の長い材に幾条もの横木をつけて足掛かりとしたもの。階段。段はしご。きざはし。ある目標に到達する過程。
この「はしご」は、
「パ・チチ・(ン)ガウ」、PA-TITI-NGAU(pa=touch,reach,operate on,be connected with;titi=peg,pin;ngau=bite,hurt,act upon,attack)、「(足を掛ける)横棒を・(縦材に)食い込ませて・組み立てたもの(梯子)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」と、「チ(ン)ゴチ(ン)ゴ」のNG音がG音に変化し、反覆語尾が脱落して「チゴ」から「シゴとなった)
の転訛と解します。
(後世は、はしだてとも)はしごを立てること。立っているはしご。また、その形に似たもの。この「はしたて(梯立)」については、古典篇(その七)の211F2五十瓊敷入彦の項の「はしたて(樹梯)」を参照してください。
この「はしたて」は、
「パ・チチ・タタイ」、PA-TITI-TATAI(pa=touch,reach,operate on,be connected with;titi=peg,pin;tatai=arrange,set in order)、「(足を掛ける)横棒が・(縦材に)組み込まれたもの(梯子)が・登りやすく設置されているもの(梯立)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」と、「チチ」の反復語尾が脱落して「チ」から「シ」と、「タタイ」のAI音がE音に変化して「タテ」となった)
の転訛と解します。
どっちつかずで、中途半端なさま。しっくりしない。きまりが悪くていたたまれないようなさま。間(ま)が悪く、引っ込みがつかないさま。思いがけないことで、不都合なさま。困惑するさま。慎みがなく見苦しいさま。不作法だ。浅はかだ。みっともない。そっけなく、つれないさま。無情だ。むごい。物事の程度が甚だしい。はげしい。したたかだ。大したものだ。
この「はしたない」は、
「パ・チタハ・ナイ」、PA-TITAHA-NAI(pa=block up,obstruct,prevent,assault;titaha=lean to one side,decline as the sun,pass on one side,go in oblique direction,vary from,have a different tendency;nai=neinei=stretched forward,reaching out)、「ある方向に向かって行動しているのを・徹底的に・妨害されたような状態にある(はしたない)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」と、「チタハ」のH音が脱落して「チタ」から「シタ」となった)
の転訛と解します。
物事の起こり。原初。時間的推移における最も早い時期。物事の起こるみなもと。おおもと。根源。物事の序列の第一。一続きのものの最初の部分。
この「はじめ」は、
「パ・アチ・マイ」、PA-ATI-MAI(pa=touch,reach;ati=beginning;mai=to indicate direction or motion towards,indicating a relation or aspect towards the speaker)、「始まりの・地点に達した・その場所(端)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」となり、そのA音と「アチ」の語頭のA音が連結して「ハチ」から「ハシ」となった)
の転訛と解します。
流し元。台所。勝手元。遊戯の名。二人のうち一人が「はしりもと」と言うと、別の一人が即座に鍋、窯など台所道具の名で応じ、これを繰り返して行う。
この「はしりもと」は、
「パチ・リ・マウ・ト」、PATI-RI-MAU-TO(pati=shallow,ooze,spurt,splash;ri=screen,protect,bind;mau=fixed,continuing,caught,taken,entangled;to=drag,open or shut a a door or a window)、「水が流れるのを・遮り・戸を開閉するように・(水の流れを)押さえ込む場所(台所。走元)」(「パチ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハチ」から「ハシ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)
の転訛と解します。
人や動物が素早く移動する。乗り物が動いて速く進む。水などが勢い良く流れる。激しく動く。犯した罪や難を避けるために逃げる。多くのものが飛び散る。細長いものが延びる。など。
この「はしる」は、
「パチ・ル」、PATI-RU(pati=shallow,ooze,spurt,splash;ru=shake,agitate,scatter)、「(水が)奔流するように・奮って動く(走る)」(「パチ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハチ」から「ハシ」となった)
の転訛と解します。
@弓の両端。弓の弦を受けるところ。
A矢の上端。弓の弦をかける部分。矢筈。
B(Aと弦とはよく合うところから)物事が当然そうなること。道理。理屈。筋道。転じて、予定。てはず。約束などの意にもいう。
この「はず」は、
「パ・アツ」、PA-ATU(pa=touch,reach,operate on,be connected with;atu=to indicate a direction or motion onwards,to indicate reciprocated action)、「(ある物とある物が)当然のように・(触れ合ったり、作用し合ったりするなど)関係して一定の方向に動いて行くもの(筈)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」となり、そのA音と「アツ」の語頭のA音が連結して「ハツ」から「ハズ」となった)
の転訛と解します。
@(旗)布や紙などでも作り、高く掲げ、目標、装飾とするもの。
A(凧)凧をいう。
B(機)手足で操作して布を織る機械。また、その機械で織った布。あるいは織り物の総称。
この「はた」は、
@、A「パ・アタ」、PA-ATA(pa=touch,reach,strike,blow as the wind;ata=gently,slowly,clearly,openly)、「ゆるやかに・風に吹かれて空中に浮かぶもの(旗。凧)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」となり、そのA音と「アタ」の語頭のA音が連結して「ハタ」となった)
B「パ・アタ」、PA-ATA(pa=touch,reach,strike,blow as the wind;ata=form,shape,semblance,shadow)、「(種々の)外観・模様があるもの(織物)を・(機械を)動かして作るもの(機)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」となり、そのA音と「アタ」の語頭のA音が連結して「ハタ」となった)
の転訛と解します。
野菜や穀類を栽培する耕地。水田に対して水を引き入れない耕地をいう。この「はた(畑)」・「はたけ(畑)」については、国語篇(その三)の第4章 こう習えば面白い韓国語の項の「はたけ(畑)」を参照してください。
この「はた」、「はたけ」は、
「パタ」、PATA(prepare food)、「食物を生産する場所(畑)」(「パタ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハタ」となった)
「パタ・カイ」、PATA-KAI(pata=prepare food;kai=eat,food,fulfil its proper function(kainga=field of operation))、「食物を・生産する場所(畑)」(「パタ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハタ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった)
の転訛と解します。
人などの皮膚。はだえ。また、からだ。物を覆い包んでいる、外側の皮。うわかわ。表皮。また、物の表面。その人が持っている気質や気性。この「はだ(肌)」については、国語篇(その九)の075 skin の項の「(3)はだ(膚)」を参照してください。
この「はだ」は、
「パタ」、PATA(drop of water etc.,cause,occasion)、「汗をかくもの(肌」(「パタ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハタ」から「ハダ」となった)
または「ハ・アタ」、HA-ATA(ha=breathe,odour;ata=gently,clearly)、「良い香りがする・清らかな(部分。肌)」(「ハ」のA音と「アタ」の語頭のA音が連結して「ハタ」から「ハダ」となった)
の転訛と解します。
全身が剥きだしになっていること。身に衣類などを纏っていないさま。あかはだか。すはだか。裸体。転じて、表面に覆いや飾りなどがないこと。剥きだしのままであること。また、そのさま。無一物なこと。財産や所持品などが全くないこと。また、そのさま。
この「はだか」は、
「パタ・カ(ン)ガ」、PATA-KANGA(pata=drop of water etc.,cause,occasion;kanga=verbal noun of ka(take fire,be lighted,burn))、「(裸で日光を浴びると)肌が日焼けして・汗をかくもの(裸)」(「パタ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハタ」から「ハダ」と、「カ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「カ」となった)
の転訛と解します。
(ハタタ神(霹靂神)からとし、秋田で冬雷が鳴るころとれる魚を「ハタハタ」というが、これと同系かとする説がある)かみなり。
この「はたがめ」は、
「ハタタ・カメ」、HATATA-KAME(hatata=blustering;kame=eat,food,property,goods)、「大きな音を立てて・(食べる。人や物に)甚大な被害を与えるもの(雷)」(「ハタタ」の反覆語尾が脱落して「ハタ」と、「カメ」が「ガメ」となった)
の転訛と解します。
馬の飼料を入れて持ち運ぶ旅行用の籠。旅行中に食物・手回り品などを入れて持ち歩く籠。また、それに入れた食物。旅館の食事。旅籠屋。旅籠銭の略。
この「はたご」は、
「パタ・(ン)ガウ」、PATA-NGAU(pata=prepare food;ngau=wander,go about)、「旅行用に・準備した食料(旅籠)」または「旅行者に・提供する食事(旅籠)」または「旅行者に・食事を提供する場所(宿。旅籠)」(「パタ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハタ」と、「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となった)
の転訛と解します。
地面の上などで履き物をはかない状態。また、その足。
この「はだし」は、
「パタ・アチ」、PATA-ATI(pata=drop of water etc.,suckers on the tentaculae of the cuttle-fish,cause,advantage;ati=offspring,descendant,clan)、「地面に(吸い付く)接する・(身体の子孫)末端の部分(裸足)」(「パタ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハタ」から「ハダ」となり、その語尾のA音と「アチ」の語頭のA音が連結して「ハダチ」から「ハダシ」となった)
の転訛と解します。
十の二倍の数。二十歳。
この「はたち」は、
「パタ(ン)ガ・チ」、PATANGA-TI(patanga=boundary;ti=throw,cast,overcome)、「(十分な大人として扱われる)境界(の年齢)に・達した(年齢。二十歳)」(「パタ(ン)ガ」のP音がFを経てH音に変化し、名詞形語尾のNGA音が脱落して「ハタ」となった)
の転訛と解します。
まだら。まばら。はだら。「はだれゆき(はだれ雪)」の略。
この「はだれ」は、
「パタ・ライ」、PATA-RAI(pata=drop of water etc.,seed;rai=ribbed,furrowed(rainga=undulation))、「斑に降った・雪(の粒)(はだれ(雪))」(「パタ」のP音がFを経てH音に変化して「ハタ」から「ハダ」と、「ライ」のAI音がE音に変化して「レ」となった)
の転訛と解します。
極度に疲労した人が寝床に倒れ込むとすぐさま眠りこむこと。また、そのさま。なお、この「ばたん」は、身体が倒れる際の擬音語とも考えられる。
この「ばたんきゅー」は、
「パタ(ン)ガ・キ・ウ」、PATANGA-KI-U(patanga=cause,occasion,advantage(pata=drop of water etc.,cause,occasion,advantage);ki=full,very,to,into,on to,at,in consequence of;u=be firm,be fixed,reach its limit)、「身体がバタンと倒れ(るのを原因として)た後・続いてすぐに・(身体が動かなくなる)眠り込む(ばたんきゅー)」(「パタ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パタナ」から「バタン」と、「キ・ウ」が「キュー」となった)
または「パタ(ン)ガ・キ・ウイ」、PATANGA-KI-UI(patanga=cause,occasion,advantage(pata=drop of water etc.,cause,occasion,advantage);ki=full,very,to,into,on to,at,in consequence of;ui=disentangle,disengage,relax or loosen a noose,ask)、「身体がバタンと倒れ(るのを原因として)た後・続いてすぐに・(身体から力が抜ける)眠り込む(ばたんきゅー)」(「パタ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パタナ」から「バタン」と、「キ・ウイ」が「キューイ」となり、語尾のI音が脱落して「キュー」となった)
の転訛と解します。
(梵語 patra 鉢多羅の略。応器・応量器と訳す。体・色・量三つとも法に適っている意とする説がある)仏道修行者の食器。また、僧尼が托鉢のとき所持する器。皿よりは深く、椀よりは浅く、上部の広く開いた食器。暖をとるための火を入れる容器。火鉢。草木を植えるための容器。植木鉢。など。
この「はち」は、
「パチ」、PATI(shallow,shallow water)、「(椀よりも)浅い(容器。鉢)」(「パチ」のP音がFを経てH音に変化して「ハチ」となった)
または「パ・アチ」、PA-ATI((Hawaii)pa=dish,plate,pan;ati=descendant,clan)、「皿の・一種(容器。鉢)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化し、そのA音と「アチ」の語頭のA音が連結して「ハチ」となった)
の転訛と解します。
(「ばち」は「罰」の呉音とする説がある)神仏が、人間の悪い行いを罰して、そのこらしめ・償いとして苦しみを与えること。また、その苦しみ。天罰。祟り。(悪行や罪の償いとして主として人や社会によって科されるものを「ばつ」、神仏によって与えられるものを「ばち」と区別する。これをいずれも「罰」の漢音または呉音とする説があるが、神仏によるものは、いつ、どのような形でふりかかるか分からない特質を有し、漢字渡来以前からの日本民俗古来の民間信仰に基づく言葉で、呉音でなく「訓」と考えるべきである。)
この「ばち」は、
「パハ・チ」、PAHA-TI(paha=arrive suddenly,attack;ti=throw,cast,overcome)、「(神仏が人間に対して)突然下す・(人間の悪行に対する)罰(罰)」(「パハ」のH音が脱落して「パ」から「バ」となった)
の転訛と解します。
@(罰)罪や過ちに対するこらしめ。仕置き。咎め。
A(跋)著書や書画の末尾に書き記す文章。あとがき。跋文。(末)(国)物事の結末。結び。
B(閥)功績。てがら。いさお。家柄。家格。門地。(国)出身や利害関係を同じくする者で結成する排他的な集まり。財閥・学閥・軍閥・藩閥など。
この「ばつ」は、
@「パツ」、PATU(strike,beat,ill treat in any way,kill,deny(patunga=victim)) 、「(罪や過ちを犯した人に対する打撃)こらしめ(罰)」(「パツ」が「バツ」となった)
A「パツ」、PATU(screen,wall,edge,boundary)、「(境界)物事の末尾(跋)」(「パツ」が「バツ」となった)
B「パ・アツ」、PA-ATU(pa=clump,group,flock,etc.;atu=to indicate a direction or motion onwards,to indicate reciprocated action,to form a comparative or superlative)、「最高の・(人々)家柄」または「思想や行動などを同じくする・人々(閥)」(「パ」のA音と「アツ」の語頭のA音が連結して「パツ」から「バツ」となった)
の転訛と解します。
その場の調子が悪い。具合が悪い。きまりが悪い。
この「ばつがわるい」は、
「パツ(ン)ガ・ワル・ウイ」、PATUNGA-WARU-UI(patunga=victim;waru=scrape,pare,shave,cut the hair;ui=disentangle,relax or loosen a noose,ask,enquire)、「(過ちを犯したり、失敗をしたりして)小さくなっている人に・髪の毛を切らないのかと・(尋ねる)冷やかす(ような状況。雰囲気)(ばつが悪い)」(「パツ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「パツカ」から「バツガ」と、「ワル」の語尾のU音と「ウイ」の語頭のU音が連結して「ワルイ」となった)
の転訛と解します。
(「八卦良い」と解する説、「発気揚々」と解する説、「早競(はやきほ)へ」の転訛とする説などがある)相撲の行司が土俵の上で力士にかけるかけ声。はっきょい。
この「はっけよい」は、
「パケ・イ・オイ」、PAKE-I-OI(pake=obstinate;i=past tense,be stirred of the feeling;oi=shudder,move continuously,agitate)、「(勝負にかける)執着心を・奮い・立たせよ(はっけよい)」(「パケ」のP音がFを経てH音に変化して「ハケ」から「ハッケ」と、「イ・オイ」が「ヨイ」となった)
の転訛と解します。
女がおしゃべりであること。また、そのさまやその女。主に女が、小才のきくこと。機転のきくこと。また、そのさまやその女。男と拮抗してひけを取らぬ気の強い女。江戸時代の京阪で、問屋で客の接待に雇った女をいった。女が慎みがなく軽はずみなこと。こましゃくれていること。また、その女。おちゃっぴい。はすっぱ。
この「はっさい」は、
「パツ・タイ」、PATU-TAI(patu=strike,beat,thrash,ill treat in any way;tai=tide,wave,anger,rage,violence)、「感情が激しく・(他を)攻撃するような(女。発才)」(「パツ」」のP音がFを経てH音に変化して「ハツ」と、「タイ」が「サイ」となった)
の転訛と解します。
@バッタ目バッタ上科に属する昆虫の総称。一般に体は細長く、後肢は発達して跳躍に適する。脚と翅とを摩って音を発するものもある。草原に住むものも多く、一部の種は農業上有害で、特に飛蝗(ひこう)による被害は著しい。
A商品を不正ルートで極端に安く仕入れて売ること。投げ売り。古道具屋仲間の隠語からという。「ばったり」とも。
この「ばった」は、
@「パツ・タハ」、PATU-TAHA(patu=strike,beat,ill treat in any way;taha=side,edge,spasmodic twitching of the muscles,pass on one side,go by)、「突然飛び跳ねて・ぶつかってくる(昆虫。バッタ)」または「(大群で)襲って・(農作物を食べ尽くすと)去ってゆく(昆虫。飛蝗)」(「パツ」が「バッ」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」となった)
A「パツ・タハ」、PATU-TAHA(patu=strike,beat,ill treat in any way;taha=side,edge,spasmodic twitching of the muscles,pass on one side,go by(tataha=swerve))、「(商売の)正しい道を外れた・悪い行動(のもの。またその商品)」(「パツ」が「バッ」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」となった)
の転訛と解します。
新米や麦の新穀を炒り、粉に挽いたもの。こがし。はったいこ。はつたえ。
この「はったい」は、
「パツ・タイ」、PATU-TAI(patu=strike,beat,pound fern root etc.;tai,taitai=dash,knock,firstfruits)、「(米や麦の)新穀を・挽いたもの(はったい)」(「パツ」のP音がFを経てH音に変化して「ハツ」となった)
の転訛と解します。
殴ること。他人を脅すこと。喧嘩などをしかけて、金品などを強奪すること。ゆすり。恐喝。また、強盗。追いはぎをいう。相手を脅すように大げさに言ったり行動したりすること。実際以上に見せようとして、大げさに振る舞うこと。また、その振る舞い。
この「はったり」は、
「パツ・タリ」、PATU-TARI(patu=strike,beat,subdue,ill treat in any way;tari=carry,bring,urge,incite)、「(相手を)打ちのめすように・事を運んだり強要したりする(はったり)」(「パツ」のP音がFを経てH音に変化して「ハツ」となった)
の転訛と解します。
@物が急に落ちたり倒れたりするさまを表す語。戸や障子などを閉め切る音や、そのさま。
A思いがけないところで、人と人とが偶然に出会うさまを表す語。
B物事が急に途絶えるさまを表す語。日が急激に暮れるさまを表す語。
この「ばったり」は、
@「パツ・タリ」、PATU-TARI(patu=strike,beat,pound fern root etc.(papatu=strike together,clash,beat one another);tari=carry,bring)、「(物が他の物に)ぶつかるように・動いて行く(ばったり)」(「パツ」が「バッ」となった)
A「パパツ・タハ・ハリ」、PAPATU-TAHA-HARI(papatu=strike together,clash,beat one another;taha=side,edge,pass on one side,go by;hari=dance,sing,feel or show gladness)、「(人と人が)喜ばしいことに・通り過ぎるところを・(偶然に)・ぶつかる(ばったり)」(「パパツ」の反覆語頭が脱落した「パツ」が「バッ」と、「タハ」および「ハリ」のH音が脱落して「タ」、「リ」となった)
B「パハ・ツタ・アリ」、PAHA-TUTA-ARI(paha=arrive suddenly,attack;tuta=back of the neck;ari=clear,visible,appearance,guise)、「突然に・背後で・(物の気配が消える)物事が途絶えるまたは日が暮れる(ばったり)」(「パハ」のH音が脱落して「バ」と、「ツタ」の語尾のA音と「アリ」の語頭のA音が連結して「ッタリ」となった)
の転訛と解します。
(朝鮮語 ba-ji 「袴」からとする説がある)股引のこと。
この「ぱっち」は、
「パチ」、PATI(ooze,splash,break wind)、「(風を防ぐ)防寒用の衣類(股引)」(「パチ」が「バッチ」となった)
の転訛と解します。
(「ほか」の変化した語かとする説がある)一事に限定しそれ以外を否定する意を表す。しか。ほか。
この「はっちや」は、
「ハエ・エチア」、HAE-ETIA(hae=slit,tear,cut,split;etia=as it were,as if,perhaps,how great!)、「(ある物だけを引き裂く)残す・ような(しか。ほか)」(「ハエ」の語尾のE音と「エチア」の語頭のE音が連結して「ハエチア」から「ハッチャ」となった)
の転訛と解します。
(「番匠笠(ばんしょうがさ)」の変化した語かとする説がある)真竹の皮でつくった粗末な笠。浅くて大きな笠。
この「ばっちょうがさ」は、
「パチオチオ・カハ・タ」、PATIOTIO-KAHA-TA(patiotio=a rock-boring bivalve mollusc,a rock covered with mussels;kaha=lashings of the attached sides of a canoe,rope,boundary line of the land etc.;ta=dash,beat,lay)、「(上に石を載せたような)表面に暗褐色の大きな斑紋がある・(雨や日の光を)遮るために・(頭に)載せるもの(番匠笠)」(「パチオチオ」の反覆語尾が脱落して「パチオ」から「バッチョウ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」から「ガ」と、「タ」が「サ」となった)
の転訛と解します。
不良・誤り・消去などの意味を表す「×」の印。試合などで、反則や失敗などの回数を表す点数。
この「ばってん」は、
「パツ・テノ」、PATU-TENO(patu=strike,beat,kill,deny;teno=notched)、「否定する(意を表す)・切れ込み(罰点)」(「パツ」が「バッ」と、「テノ」が「テン」となった)
の転訛と解します。
活用語の終止形および体言をうけて逆接の条件を表す。「〜けれども」の意。
この「〜ばってん」は、
「パツ・テ(ン)ガ」、PATU-TENGA(patu=strike,beat,kill,deny;tenga=Adam's apple,distended,strained,gorged)、「(〜を)否定する・気持がいっぱいだ(〜けれども。〜ばってん)」(「パツ」が「バッ」と、「テ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「テナ」から「テン」となった)
の転訛と解します。
@おきて。定め。法。A禁令。禁制。B法にてらして処罰すること。刑。仕置。
この「はっと」は、
「パツ・トフ」、PATU-TOHU(patu=strike,beat,kill,deny;tohu=mark,sign,proof,point out,show)、@、A「(法を犯せば)処罰されることを・明示したもの(法。禁令)」またはB「(法を犯した)証明による・処罰(刑罰)」(「パツ」のP音がFを経てH音に変化して「ハツ」と、「トフ」のH音が脱落して「ト」となった)
の転訛と解します。
発破を用いて爆破する。荒々しい言葉で督励する。気合を掛ける。
この「はっぱをかける」は、
「ハ・ツパオエ・カケ・ル」、HA-TUPAOE-KAKE-RU(ha=what,breath,tone of voice,tenor of speech;tupaoe=voices heared singing at night,either supernatural or of persons travelling when they are supposed to be under the influence of a wairua(=spirit,unsubstantial image,shadow),in either case regarded as an aitua(=misfortune,trouble,accident,evil omen);kake=ascend,climb upon or over,be superior to;ru=shake agitate,scatter)、「(大きな力強い)声を出して・(夜中にどこからともなく聞こえてくる)気味の悪い歌声を・元気を奮い起こして・吹き飛ばしてしまう(発破を掛ける)」(「ツパオエ」の語尾のE音が脱落して「ッパヲ」となった)
の転訛と解します。
禅宗で椅子を覆い包む布。江戸時代、武家の中間などが着用した袖細、腰切りの羽織の一種。その家の紋やしるしが染め出してある。印ばんてん。(江戸時代には、日雇いの使用人でもその家の法被を着用すれば、外部に対しては子飼いの使用人と同じく扱われた。)
この「はっぴ」は、
「パピパピ」、PAPIPAPI(bewildered,confused(papi=blind))、「(着た人または周囲の人が当惑する)外部に誤解を招くもの(法被)」(「パピパピ」の反覆語尾が脱落し、語頭のP音がF音を経てH音に変化して「ハピ」から「ハッピ」となった)
の転訛と解します。
(三味線の弾き方の「破手(はで)」の転とも、また「映え手」の変化ともという説がある。)姿、かたち、つくり、色合い、図柄などが、見た目にきわめて華美に映ること。目立って華やかであること。また、そのさま。態度、行動などが、人目を惹くほど大げさであること。仰々しいこと。にぎやかなこと。また、そのさま。
この「はで」は、
「ハ・アタエ」、HA-ATAE(ha=what!;atae=how great!)、「何と・まあけばけばしいこと(派手)」(「ハ」のA音と「アタエ」の語頭のA音が連結し、AE音がE音に変化して「ハテ」から「ハデ」となった)
の転訛と解します。
刈り取った稲、麦などを架けて乾かす木。衣装を張って乾かすために立てる木。
この「はで」は、
「パ・テ」、PA-TE(pa=touch,reach,strike;te,whakate=squeeze fluid out of anythiong)、「(稲束などを)掛けて・(水分を除く)乾燥するもの(稲架)」(「バ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」と、「テ」が「デ」となった)
の転訛と解します。
疲れ切る。疲れ果てて動けなくなる。へたばる。
この「ばてる」は、
「パテヘ・ル」、PATEHE-RU(patehe=consumed;ru=shake,agitate,scatter)、「消耗して・(元気を)出し尽くした(ばてる)」(「パテヘ」のH音が脱落して「バテ」となった)
の転訛と解します。
口先で人をたぶらかして世渡りをする人。詐欺師やいかさま師などにいう。もと、山伏や占者のような格好をして家々を回り、熊野の新宮・本宮の事を語っては、鳩の飼料と称して金をだまし取ったところからという。
この「はとのかい」は、
「ハ・アト・ノ・カイ」、HA-ATO-NO-KAI(ha=breathe,what!;ato=thatch,enclose in a fence;no=of;kai=consume,eat,food)、「何と・(屋根を葺くように、小枝や樹皮、雑草を)積み重ねるだけの(巣を作る)鳥・の・餌(餌代を詐取する者)(詐欺師)」(「ハ」のA音と「アト」の語頭のA音が連結して「ハト」となった)
の転訛と解します。
話すこと。語ること。談話すること。解決したり、まとめたりするために話し会うこと。棚号。相談。交渉。一続きの内容をもって人に聞かせること。語られる内容。物語の筋。演劇で上演脚本を決定すること。また、演劇の関係者を集めて脚本を読み聞かせること。こと。ことがら。
この「はなし」は、
「ハ・ナチ」、HA-NATI(ha=breath,sound,tone of voice,tenor of speech;nati=pinch or contract,fasten raupo thatch on the roof of the house,weave a net)、「言葉を声に出して・積み重ねるもの(話)」(「ナチ」が「ナシ」となった)
の転訛と解します。
普通の程度を越えていることを表す。大変。非常に。肯定表現にも否定表現にも用いる。
この「はなはだ」は、
「ハ(ン)ガハ(ン)ガ・アタ」、HANGAHANGA-ATA(hangahanga=frivorous of no account,abundant,sufficient,short,low;ata=clearly,openly,quite,(int.)expressive of disgust)、「(明らかに)実に・大変な(甚だ)」(「「ハ(ン)ガハ(ン)ガ」の最初のNG音がN音に変化し、次の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ハナハ」となり、その語尾のA音と「アタ」の語頭のA音が結合して「ハナハタ」から「ハナハダ」となった)
の転訛と解します。
くしゃみをする。「くしゃみ」については、国語篇(その二十一)の860くしゃみを参照してください。
この「はなひる」は、
「ハ・アナ・ヒ・ル」、HA-ANA-HI-RU(ha=breathe;ana=cave;hi=make a hissing noise,be affected with diarrhoea;ru=shake,agitate,scatter)、「呼吸する・穴(鼻)が・激しく・(音をだす)息をする(嚔る)」(「ハ」のA音と「アナ」の語頭のA音が連結して「ハナ」となった)
の転訛と解します。
@歌舞伎舞台の設備で、観客席を縦に貫いて左側(下手)にある、俳優の出入りする道を花道という。また、相撲の土俵場の四方の角に通っている四本の通路を花道という。特に、力士や行司などが支度部屋から土俵に向かう裏正面寄りの東西の二本の通路。平安時代、相撲節会に出場した力士が左方は葵、右方は夕顔(現在のひょうたん)の造花をつけて入場したという故事による名称とする説がある。
Aはなばなしく歩く道。また、人に惜しまれて引退することを花道、花道を飾るなどという。
B能舞台の一部で、鏡の間と舞台とをつなぐ通路。舞台にむかって左手後方に斜めに欄干のある橋のように架けられた通路を橋懸、橋掛という。
この「はなみち」、「はしがかり」は、
「ハ(ン)ガ・ミ・チ」、HANGA-MI-TI(hanga=make,bulld,fashion,work,business;;mi=river,stream;ti=throw,cast,overcome)、「(俳優や力士の登場のために)造られた・水が(川のように流れて)・平らにした(跡のような。道)(花道)」(「ハ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ハナ」となった)
または「ハナ・ミ・チ」、HANA-MI-TI(hana=shine,glow,give forth heat,flame,gleam,glow;mi=river,stream;ti=throw,cast,overcome)、「(注目を浴びる人の登場や退場をより印象的にするために)美しく光り輝く・水が(川のように流れて)・平らにした(跡のような。道)(花道)」
「パ・アチ・カカリ」、PA-ATI-KAKARI(pa=touch,reach;ati=descendant,clan;kakari=notch,valley,dip in a ridge)、「(現世と能楽の世界(能舞台)との間の)谷に架けられた・(向こう岸に)達する・種類のもの(橋)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化し、その語尾のA音と「アチ」の語頭のA音が連結して「ハチ」から「ハシ」と、「カカリ」が「ガカリ」となった)
の転訛と解します。
(うまのはなむけの略とする説がある。)旅立ちや門出を祝って金品や詩歌などを送ったり、送別の宴を開いて見送ったりすること。また、その金品・詩歌や宴など。
この「はなむけ」は、
「パナ・ムフカイ」、PANA-MUHUKAI(pana=thrust or drive away,expel,cause to come or go forth in any way;muhukai=absent,inattentive)、「(家を)留守にする(人を)・送り出すことまたはそのためのもの(餞)」(「パナ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハナ」と、「ムフカイ」のH音が脱落し、AI音がE音に変化して「ムケ」となった)
の転訛と解します。
山の差し出た所。また、土の高く盛り上がった小高い所。
この「はなわ」は、
「ハ(ン)ガ・ワ」、HANGA-WA(hanga=head of tree;wa=definite space,area)、「(樹木の)樹冠のような高い(場所を主体とする地域)」(「ハ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ハナ」となった)
の転訛と解します。
釣り銭。
この「はね」は、
「ハ(ン)ゲハ(ン)ゲ」、HANGEHANGE(intensive,very,quite)、「(厳密に代金を計算した結果支払うべき)釣り銭(釣り銭)」(「ハ(ン)ゲハ(ン)ゲ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に変化して「ハネ」となった)
の転訛と解します。
@歯が重なって生える。不揃いに生える。A歯をむき出す。
Bはずかしそうな表情や身振りをする。はずかしがる。
この「はにかむ」は、
@「パ・ヌイ・カ・ムフ」、PA-NUI-KA-MUHU(pa=stocade,fortified place;nui=large,many;ka=to denote the commencement of a new action or condition;muhu=overgrown with vegetation)、「(柵を巡らした)砦の柵のように並ぶもの(歯)が・たくさん・重なり合って(または不揃いに)・生える(はにかむ)」(「パ」」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」と、「ヌイ」が「ニ」と、「ムフ」のH音が脱落して「ム」となった)
A「パ・ニヒ・カ・アム」、PA-NIHI-KA-AMU(pa=stocade,fortified place;nihi=steep,neap of the tide;ka=to denote the commencement of a new action or condition;amu=grumble,complain)、「(柵を巡らした)砦の柵のように並ぶもの(歯)を・険しく・不満そうに・出して見せる(はにかむ)」(「パ」」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」と、「カ」のA音と「アム」の語頭のA音が連結して「カム」となった)
B「ハ・ニヒ・カム」、HA-NIHI-KAMU(ha=breath,hesitate in speaking,what!;nihi,ninihi=move stealthly,timidity;kamu=munch,close the mouth)、「何と・恥ずかしそうに・口ほ噛みしめる(はにかむ)」(「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった)
の転訛と解します。
埴(はに)のある土地。また埴。埴生の小屋の略。
この「はにゅう」は、
「ハニ・ウ」、HANI-U(hani=speak ill of,disparage;u=be firm,be fixed,reach its limit)、「(極限の)たいへん・(失望する)見すぼらしい(環境。埴生)」(「ハニ・ウ」が「ハニュウ」となった)
の転訛と解します。
埴生のこや。
この「はにゅうのやど」は、
「ハニ・ウ・ノ・イア・タウ」、HANI-U-NO-IA-TAU(hani=speak ill of,disparage;u=be firm,be fixed,reach its limit;no=of;ia=indeed;tau=alight,come to rest,settle down)、「(極限の)たいへん・(失望する)見すぼらしい(環境)・の・実に・休息をとる場所(埴生の宿)」(「ハニ・ウ」が「ハニュウ」と、「イア」が「ヤ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」となった)
の転訛と解します。
古墳の墳丘上に立て並べた素焼の土製品。円筒埴輪・形象埴輪に二大別され、形象埴輪は家形・器具器材・動物・人物など多様である。古墳に供えた器台、壺などが儀器化し、発生したという説が有力とされる。
この「はにわ」は、
「パ・ニワ」、PA-NIWA(pa=stockade,fortified place,inhabitants of a fortified place;niwa,niwaniwa=dark,persistent,permanen)、「永遠の・陵墓の住人(埴輪)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」となった)
の転訛と解します。
鋼などを巻いり曲げたりして強い弾力性を持たせたもの。衝撃の緩和、力の蓄積、はかりなどに用いる機械部品。はずむ力。はねる力。弾力性。また、反発する力。
この「ばね」は、
「パハ・ネイ」、PAHA-NEI(paha=arrive suddenly,attack;nei,neinei=stretched forward,reaching out,wagging,vacillating)、「急に・(収縮していたものが)伸長して振動するもの(発条)」(「パハ」の語尾のH音が脱落して「バ」と、「ネイ」が「ネ」となった)
の転訛と解します。
@親のうちの女の方。女親。実母・養母・継母の総称。物事を生み出す元となるもの。(この項は、国語篇(その九)の149motherの項を再掲しました。)
A大蛇。(八岐の大蛇を斬った「天羽斬(あめのははきり)剣」からという。)
この「はは」は、
@「パパ」、PAPA(flat,foundation,name of Rangi's wife)、「(創造神ランギの妻の名である)母」(P音がF音を経てH音に変化して「ハハ」となった)
または「ハハ」、HAHA(savoury,lucious)、「美味しい(食事を作る人。母)」
A「ハハ」、HAHA(warn off by shouting)、「大声で叫んで(人の)注意を喚起するもの(非常に危険なもの。大蛇)」
の転訛と解します。
2227ばば(祖母。婆)・ばば(婆、苦情)、ばば(ジョーカー)・ばば(糞)
@父母の母。祖母。年老いた女。老女。乳母。A苦情・文句・愚痴。Bトランプのばば抜きで、ジョーカーをいう。
C大便をいう幼児語。また、汚いもの。
この「ばば」は、
@「パパ」、PAPA(elders)、「年長者(一般には男性も含むが、ここでは女性。婆)」(「パパ」が「ババ」となった)
A「パパ」、PAPA(quarrel,ground of dispute)、「口論(ばば)」(「パパ」が「ババ」となった)または「パパ(ン)ガ」、PAPANGA(cause of discord)、「口論をもたらすこと(ばば)」(「パパ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ババ」となった)
B「パパ」、PAPA(be overcome)、「(誰でも)負かされるもの(ジョーカー)」(「パパ」が「ババ」となった)
C「パパ」、PAPA(buttock)、「(お尻のような)汚いもの(糞)」(「パパ」が「ババ」となった)
の転訛と解します。
(「羽掃き」の意で、古く鳥の羽毛を用いたところからという説がある。)ほうき。ほうき木。
この「ははき」は、
「ハ・ハキ」、HA-HAKI(ha=what!;haki=meek,of no account,cast away)、「何と・(ゴミ、塵を)掃き散らすもの(箒)」
の転訛と解します。
(「脛穿(はぎはき)」、また、「脛巾裳(はばきも)」の略とする説がある。)古く旅行、外出の時などに、すねに巻き付け、紐で結んで、脚を保護し動きやすくするためのもの。後世の脚絆にあたる。
この「はばき」は、
「パパキ」、PAPAKI(=paki=slap,pat,clap)、「(脛に密着して)り付けるもの(脛巾)」(最初のP音がF音を経てH音に変化して「ハパキ」から「ハバキ」となった)
の転訛と解します。
不要のもの、あるべからざるものとして取り除く。いらないものとして排除する。簡単・簡素にするために、全体から一部を減らす。簡略にする。省略する。仲間から除く。
この「はぶく」は、
「ハ・プク」、HA-PUKU(ha=breathe,hesitate in speaking;puku=secretly,without speaking,without taking food)、「話をしないで(または食事をしないで)・(呼吸する)済ます(省く)」(「プク」が「ブク」となった)
の転訛と解します。
絹布の一種。優良な絹糸で緻密に織り、精錬した純白のもの。薄手でなめらかで艶がある。多く礼服地、羽織裏、胴裏などに用いる。
この「はぶたえ」は、
「ハププ・タエ」、HAPUPU-TAE(hapupu=blunt;tae=touch of feelings)、「(鈍い)独特の滑らかな・手触りのもの(羽二重)」(「ハププ」の反復語尾が脱落して「ハプ」から「ハブ」となった)
の転訛と解します。
神社に属して神に仕える職。また、その人。神主の下にあって神事を直接行うとされる。後世、「はうり」、「ほうり」ともいった。
この「はふり」、「はうり」、「ほうり」は、
「ハハ・プリ」、HAHA-PURI(haha=warn off by shouting;puri=sacred,pertaining to ancient lore,one instructed in esoteric lore)、「人を遠ざけて行う・秘密の伝承の神事に熟達した者(祝)」(「ハハ」の反復語が脱落して「ハ」と、「プリ」のP音がF音を経てH音に変化して「フリ」となった)(また、上記の「ハ・フリ、 HA-HURI」の「フリ」のH音が脱落して「ハウリ」となり、さらにその「ハウリ、HAURI」のAU音がOU音に変化して「ホウリ」となった)
の転訛と解します。
@鳥などが羽を振ること。世間で認められ通用する、人の地位・勢力・人望などの程度。はばがきくことの程度。威勢。
A死者の遺体を葬ること。葬送。はふりごと。はぶりわざ。
この「はぶり」は、
@「ハハ・プリ」、HAHA-PURI(haha=seek,search,procure;puri=hold in the hand,retain possession of,keep)、「求めれば・(何でも)手に入る(状況。羽振り)」(「ハハ」の反復語が脱落して「ハ」と、「プリ」が「ブリ」となった)
A「ハハ・プリ」、HAHA-PURI(haha=desolate,deserted;puri=sacred,pertaining to ancient lore,one instructed in esoteric lore)、「物悲しい・古くからの伝承に関連する行事(葬)」(「ハハ」の反復語が脱落して「ハ」と、「プリ」が「ブリ」となった)
の転訛と解します。
遠くへ放ちやる。うち捨てる。家を離れて流浪する。
この「はふる」は、
「ハフ・ル」、HAHU-RU(hahu=scatter,disinter the bones of the dead before removing them to their final resting place;ru=shake,agitate,scatter)、「放り・投げる(放る)」
の転訛と解します。
(目上の人のそばや宴席などに)世話をしたり、指示を受けて動いたりするために、つき従っている。かしこまってある席などにいる。
この「はべる」は、
「ハペ・ル」、HAPE-RU(hape=beside the point;ru=shake,agitate,scatter)、「(目上の人の)傍らに・(うち捨てられて)居る(侍る)」(「ハペ」が「ハベ」となった)
の転訛と解します。
海や湖の水際に沿った平地。浜辺。海辺。大阪で、河岸、川端をいう。浜辺や川岸に設けられた市。など。(この「はま(浜)」については、地名篇(その十九)の海岸地名の項から再掲しました。)
この「はま」は、
「ハマ」、HAMA(faded)、「(徐々に)陸地が消えて行く(場所。浜)」
の転訛と解します。
食物などを口に入れて噛む。噛んで飲み込む。食べる。物を口にくわえる。など。
この「ハム」は、
「ハムハム」、HAMUHAMU(eat scraps of food(hamu=gather things that are thinly scattered,glean))、「(食物の残滓を)食べる(食む)」(「ハムハム」の反復語尾が脱落して「ハム」となった)
の転訛と解します。
興に乗って度を過ごす。調子付いて節度を失う。
この「はめをはずす」、「」は、
「ハハ・メホ・ハハ・ツツア」、HAHA-MEHO-HAHA-TUTUA(haha=seek,search,procure;meho=false(he meho!=fudge!,a contemptuous contradiction);tutua=mean,person of low degree)、「(一時凌ぎの)嘘を・つくと・ついた人の・(品位を下げる)信用をなくす(羽目を外す)」(「ハハ」の反復語が脱落して「ハ」と、「メホ」のH六音が脱落して「メヲ」と、「ハハ」の反復語が脱落して「ハ」と、「ツツ」が「スス」から「ズス」となった)
の転訛と解します。
樹木の群がりが生えている所。物事の多く集まっているところ。(この「はやし(林)」については、国語篇(その九)の198woodsの項から再掲しました。)
この「はやし」は、
「パ・イア・チヒ」、PA-IA-TIHI(pa=clump;ia=indeed;tihi=summit,top)、「小木立が・実に・大きくなったような(林)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」と、「イア」が「ヤ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」となった)
の転訛と解します。
生えるようにする。生い立たせる。成長させる。伸ばす。
この「はやす」は、
「パ・イア・ツ」、PA-IA-TU(pa=clump,group,flock,etc.;ia=indeed;tu=stand,be erect)、「小さな木や草が・実に・(成長する)大きくなってゆく(生やす)」(「パ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハ」と、「イア」が「ヤ」と、「ツ」が「ス」となったなった)
の転訛と解します。
急に激しく吹き起こる風。(この「はやて」は、雑楽篇(その一)の223はやて(早手、疾風)の項から再掲しました。)
この「はやて」は、
「ハ・イア・タイ」、HA-IA-TAI(ha=breath,breathe,what!;ia=indeed,current;tai=the sea,the tide,wave,violence)、「実に・荒々しく・息をする(風。疾風)」(「イア」が「ヤ」と、「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」となった)
の転訛と解します。
(「はやひと(隼人)」の変化した語とする説がある。)九州南部、薩摩・大隅国の男子。
この「はやと」は、
「ハ・イア・タウ」、HA-IA-TAU(ha=what!;ia=indeed;tau=strange)、「なんと・まあ・変わっている(人々。隼人)」(「イア」が「ヤ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)
または「ハ・イア・ト」、HA-IA-TO(ha=what!;ia=indeed,current;to=drag,carry the taiaha(large wooden weapon) at the trail)、「何と・実に・(大きな)木の棍棒を携えて闊歩する(勇壮な)戦士達(隼人)」(「イア」が「ヤ」となった)
の転訛と解します。
ハヤブサ科の中型の鳥。主として平原に住み、飛行は極めて早く、空中で鳥を補食し、獲物を見つけると高空から急降下し、鋭い足で蹴って殺す。挙動がすばしこくて勇ましいこと。(この「はやぶさ」は、雑楽篇(その二)の645はやぶさ(隼)の項から再掲しました。)
この「はやぶさ」は、
「パイア・プタ」、PAIA-PUTA(pa,paia=block up,prevent,assault;puta=hole,move from one place to another,come forth,escape)、「(目標の場所へ素早く)動いて・(獲物を)襲う(鳥。隼)」(「パイア」のP音がF音を経てH音に変化して「ハヤ」と、「プタ」が「ブサ」となった)
の転訛と解します。
(「はやうま(早馬)」の約とする説がある。)奈良時代の駅制で、役人や公用の旅行者のために、諸道の各駅に置かれた馬。
この「はゆま」は、
「ハイ・ウマ(ン)ガ」、HAI-UMANGA(hai=hei=go towards,turn towards;umanga=pursuit,occupation,accustomed,habituated)、「旅行を続けるために・定めとして行われるもの(駅制。駅馬)」(「ウマ(ン)ガ」の名詞形語尾が脱落して「ウマ」となり、「ハイ」の語尾のI音と「ウマ」の語頭のU音が連結して「ユ」となって、「ハユマ」となった)
の転訛と解します。
動物の体のうち、胴の下半部。母体の子が宿るところ。祖先を同じくする血族。こころばせ。心中。本心。胆力。度胸。立腹。物の膨らんだところ。など。(この「はら」は、国語篇(その九)の004bellyの項から再掲しました。)
この「はら」は、
「パラ」、PARA(bravery,spirit)、「勇気(胆力、度量などが宿る場所。腹)」(P音がF音を経てH音に変化して「ハラ」となつた)
の転訛と解します。
平らで広いところ。特に耕作していない平地。平原。林。(古代において「原」は単独で用いられず、複合語として用いられた。この点で「野」とは全く異なる。)
この「はら」は、
「パラ」、PARA(a flake of stone,sediment,refuse,dust,cut down bush etc.,clear)、「灌木を切り開いた(開墾した。場所。原)」または「砂礫の(場所。荒れ地。原)」(P音がF音を経てH音に変化して「ハラ」となった)
または「ハラ」、HARA(excess above a round number,a stick bent at the top used as a sign that a chief had died at the place)、「(先を折った杖を挿した)祖先の首長が死んだ場所(葬った場所。原)」
の転訛と解します。
怒りや、恨みをはらすこと。
この「はらいせ」は、
「パライ・タイ」、PARAI-TAI(parai=fend off,push back;tai=anger,rage,violence)、「怒りや恨みなど(の激情)を・(それをもたらした相手に対して)ぶつけ返す(腹いせ)」(「パライ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハライ」と、「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」となった)
の転訛と解します。
母が同じである兄弟姉妹。転じて一般に、兄弟姉妹。同じ国民。民族。
この「はらから」は、
「パラ・カラ(ン)ガ」、PARA-KARANGA(para=blood relative;karanga=call,summon,welcome,relative)、「歓迎される・血族(同胞)」(「パラ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハラ」と、「カラ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「カラ」となった)
の転訛と解します。
体内に子が宿る。妊娠する。穂が出ようとして膨らむ。(この「はらむ」は、国語篇(その十六)の159にんしんする(妊娠する)の項から再掲しました。)
この「はらむ」は、
「ハラ・ムア」、HARA-MUA(hara=excess above a round number(harahara=abundance);mua=the front,in advance of)、「(豊かな)腹が・前にせり出す(妊娠する)」(「ムア」の語尾のA音が脱落して「ム」となった)
または「パハ・アラ・ム」、PAHA-ARA-MU(paha=arrive suddenly,;ara=rise,rise up;mu=silent)、「突然・(静かに)音もなく・膨らむ(孕む。妊む)」(「パハ」のP音がF音を経てH音に変化し、同音反復のH音が脱落して「ハ」となり、その語尾のA音と「アラ」の語頭のA音が連結して「ハラ」となった)
の転訛と解します。
大腸の古称。また、大腸、小腸などの総称。臓腑のことにもいう。こころ。性根。また、胸中。本心。あるいは、物事の神髄。精髄。(この「はらわた」は、国語篇(その十六)の169はらわた(腸)の項から再掲しました。)
この「はらわた」は、
「ハラ・ワタ」、HARA-WHATA(hara=excess above a round number;whata=elevate,support,hang,be raid,rest)、「たくさん(の種類と量を)・収容しているもの(腸)」(また「ワタ」が「ワダ」となった)
の転訛と解します。
四季の一つ。現在では、三、四、五月。旧暦では、一、二、三月。天文学的には、春分から夏至の前日までをいい、二十四節気では、立春から立夏の前日までをいう。(この「はる」は、国語篇(その三)の第6章 思想と詩の器・・・・・・春・夏・秋・冬の項から再掲しました。)
この「はる」は、
「ハ・ル」、HA-RU(ha=breath,breathe,taste;ru=shake,agitate,scatter)、「(万物が)息を・吹き返す(季節。春)」
の転訛と解します。
たるみのないように引き延ばし、広げる。(この「はる」は、国語篇(その九)の179to swellの項から再掲しました。)
この「はる」は、
「ハ・ル」、HA-RU(ha=breath;ru=shake,agitate,scatter)、「呼吸を・振るって満たす(張る)」
の転訛と解します。
空間的に遠く隔たっているさま。時間的に遠く隔たっているさま。心理的にいちじるしく隔たっているさま。程度が甚だしいさま。
この「はるか」は、
「パ(ン)ガ・アル・カハ」、PANGA-ARU-KAHA(panga=throw,lay,place;aru=follow,pursue;kaha=strong,able,strength,persistency)、「近づくには・(大変な努力が必要な)極めて遠い・(場所に)居る(はるか)」(「パ(ン)ガ」のP音がF音を経てH音に変化し、名詞形語尾のNGA音が脱落して「ハ」となり、その語尾のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「ハル」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)
の転訛と解します。
ふだんのお菜。ありあわせの物で作ったお菜。多く、東京地方で惣菜というのに対して京阪でいう語。
この「ばんざい」は、
「パ(ン)グ・タヒ」、PANGU-TAHI(pangu=surfeited,wearied of,tired of,abated;tahi=one,repeated,one...and the other,together)、「飽きるほど・しょっちゅう(食卓に)出てくるもの(番菜)」(「パ(ン)グ」のNG音がN音に変化して「パヌ」から「バン」と、「タヒ」のH音が脱落して「タイ」から「ザイ」となった)
の転訛と解します。
非常に長い年月。万年。(〜する)いつまでも生きること。栄えること。また、それをことほぎ願うこと。人が死ぬこと。天子・国家の長久を祝して唱える語。一般に、寿命や運命を祝して唱える。めでたいことを祝って叫ぶ声。(万歳三唱をする際に両手を上に挙げるところから)両手を上に挙げること。事業に失敗すること。破産すること。進退に窮すること。(「万歳」は漢音で「バンゼイ」、呉音で「マンザイ」であった。今日普通にいわれる「バンザイ」は、近代にはいってからとされる。)
この「ばんざい」は、
「パ(ン)グ・タイ」、PANGU-TAI(pangu=surfeited,wearied of,tired of,abated;tai=taitai=dash,perform certain ceremonies to remove tapu, etc.)、「(禁忌を除く儀式を行う)健康に不安なく・(飽きるほど長寿、繁栄が)永続しますように(万歳)」(「パ(ン)グ」のNG音がN音に変化して「パヌ」から「バン」と、「タイ」が「ザイ」となった)
の転訛と解します。
(番上の工匠の意とされる)古代、諸国から交替で京に上り、木工寮に属して営繕に従事した大工。転じて、一般の大工。
この「ばんじょう」は、
「パ(ン)ガ・チオホ」、PANGA-TIOHO(panga=pa=inhabitant of a fortified place;tioho=apprehensive)、「(いつも故郷の家族を)心配している・(京の)定住者(番匠)」(「パ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「パナ」から「バン」と、「チオホ」のH音が脱落して「チオオ」から「ショウ」、「ジョウ」となった)
の転訛と解します。
煎茶用の葉を摘んだあと、鋏で刈り込んだ荒葉、茎、枝などで作った茶。玉露や煎茶に比して品質は劣るが、廉価。
この「ばんちゃ」は、
「パ(ン)グ・チア」、PANGU-TIA(pangu=surfeited,wearied of,tired of,abated;tia=stick in,drive in pegs,etc.,peg,stake)、「(茶の香りが)弱くなった・(棒(茶筅)でかきまわすもの)茶(番茶)」(「パ(ン)グ」のNG音がN音に変化して「パヌ」から「バン」と、「チア」が「チャ」となった)
の転訛と解します。
一種の上着。羽織に似るが、実生活向きに簡略化され、脇に襠がなく、丈もやや短めで胸紐をつけず、襟も折り返さないで着るもの。主として江戸時代から用いられた。特に、印(しるし)半纏をいう。
この「はんてん」は、
「パニ・テ(ン)ガ」、PANI-TENGA(pani=paint,smear,spread anything upon somethingelse;tenga=distended,strained,gorged)、「(上半身を膨らませる)上からふわりと・掛けて着るもの(半纏)」(「パニ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハニ」から「ハン」と、「テ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「テナ」から「テン」となった)
の転訛と解します。
荘園内での番を代表した有力名主。殿中、宮中などの見張り・警護の役。また、その長。寺の事務を司る長。商家の雇い人のかしらで、店の万事を預かる者。など。
この「ばんとう」は、
「パネ・トフ」、PANE-TOHU(pane=head;tohu=point out,show,point at,look towards(tohunga=skilled person,priest))、「(業務を)指揮する人の・頭となる人(番頭)」(「パネ」が「バン」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」となった)
の転訛と解します。
あらゆる能力・技能。また、それらに優れていることやそのさま。古くは「2583-2まんのう(万能)」と読まれたとされる。
さらに、すべてに効力があること。何事にも有効なこと。その効力やそのさま。
この「ばんのう」は、
「パ(ン)グ・(ン)ガウ」、PANGU-NGAU(pangu=surfeited,wearied of;ngau=act upon,affect,attack)、「(何事にも)十分すぎるほど・効力(能力)を発揮する(万能)」(「パ(ン)グ」のP音がB音に、NG音がN音に変化して「バヌ」から「バン」と、「(ン)ガウ」のNG音がN音に、AU音がOU音に変化して「ノウ」となった)
の転訛と解します。
磨り潰した白身魚に、山の芋のすり下ろしなどを加えて、下を平らに形つくり、ゆでるか蒸すかしたもの。関西では、はんぺいともいった。
この「はんぺん」、「はんぺい」は、
「パ(ン)ガ・ペヌ」、PANGA-PENU(panga=throw,aim a blow at:penu=quite,completely)、「十分に・叩き潰してつくったもの(はんぺん)」(パ(ン)ガ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハナ」から「ハン」と、「ペヌ」が「ペン」となった
「パ(ン)ガ・パイ」、PANGA-PAI(panga=throw,aim a blow at;pai=good,excellence,suitable)、「叩き潰してつくった・美味なもの(はんぺい)」(パ(ン)ガ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハナ」から「ハン」と、「パイ」のAI音がEI音に変化して「ペイ」となった)
の転訛と解します。
「ヒ」
@太陽。日輪。太陽の光や熱。日光。太陽が東に出てから西に沈むまでの間。昼間。昼。日中。時間の単位としての一日。
A物が燃えて光りと熱を発する状態や現象。炎。おき。炭火。火事。灯火。狼煙。蛍火。鬼火。
この「ひ」」は、
@「ヒ」、HI(rise)、「(天に)登るもの(日。陽)」
A「ヒ」、HI(rise)、「(炎、熱気が上に)登るもの(火)」
または「アヒ」、AHI(fire)、「燃えるもの(火)」(「アヒ」の語頭のA音が脱落して「ヒ」となった)
の転訛と解します。
2262ひいき(贔屓)・えこひいき(依怙贔屓)・ほうがんびいき(判官贔屓)
@(「ひいき」は「ひき(贔屓)」の変化した語とする説がある。)大いに力を入れること。自分の気に入った者を引き立て、特に力添えすること。後援すること。ある商店などを好意をもって特に利用すること。
A自分の気に入りの者や関係のある者だけの肩をもつこと。
B(薄幸の九郎判官義経に同情し、愛惜する意から)不遇な者、弱い者に同情して肩を持つこと。また、その感情。(この「ほうがん(判官)」については、000ほうがん(判官)の項を参照してください。)
この「ひいき」、「えこひいき」、「ほうがんびいき」は、
@「ヒ・ヒキ」、HI-HIKI(hi=raise,draw up,rise;hiki=lift up,carry in the arms,nurse,recite the charm hiki(a charm for raising anything from the water,or to cause people to migrate ,or to free the hands from tapu))、「(人を)引き立て・大事にする(贔屓)」(「ヒキ」のH音が脱落して「イキ」となった)
A「ハエ・カウ・ヒ・ヒキ」、HAE-KAU-HI-HIKI(hae=cherish envy,jealousy,or ill feeling,cause pain;kau=alone,bare,only;hi=raise,draw up,rise;hiki=lift up,carry in the arms,nurse,recite the charm hiki(a charm for raising anything from the water,or to cause people to migrate ,or to free the hands from tapu))、「ただただ・可愛がってそねまれるような・(人を)引き立て・大事にする(依怙贔屓)」(「ハエ」のH音が脱落し、AE音がE音に変化して「エ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ヒキ」のH音が脱落して「イキ」となった)
B「ホウ・(ン)ガナ・ヒ・ヒキ」、HOU-NGANA-HI-HIKI(hou=enter,force downwards or under;ngana=obstinate,persistent,strong,brave,rage;hi=raise,draw up,rise;hiki=lift up,carry in the arms,nurse,recite the charm hiki(a charm for raising anything from the water,or to cause people to migrate ,or to free the hands from tapu))、「(しつこく)長期にわたって・(抑圧されている)不遇な・(人を)引き立て・大事にする(判官贔屓)」(「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」から「ガン」と、「ヒ」が「ビ」と、「ヒキ」のH音が脱落して「イキ」となった)
の転訛と解します。
「ひいて(延いて)」を強調した言い方。それから引き続いて。その後。そのまま。それが原因となって。その結果。
この「ひいては」は、
「ヒヒ・テ・ワ」、HIHI-TE-WHA(hihi=pull up,draw up;te=particle used with verbs to make an emphatic statement;wha=whaka-causative prifix.)、「(それによって)もたらされる・実に・その結果(ひいては)」(「ヒヒ」の二番目のH音が脱落して「ヒイ」となった)
の転訛と解します。
温度が下がって冷たくなる。冷え冷えとする。熱中する気持ち、情熱がさめる。また、興奮がさめる。互いの結び付きなどが弱くなる。
この「ひえる」は、
「ヒ・ハエ・ル」、HI-HAE-RU(hi=raise,draw up,rise;hae=ill feeling,cause pain,fear,dislike;ru=shake,agitate,quiver)、「高い場所(山など)に登ったように・(寒さで)気分が悪くなって・震える(冷える)」(「ハエ」のH音が脱落し、AE音がE音に変化して「エ」となった)
の転訛と解します。
進まないで待つ。待機する。側にじっとしている。押さえて引きとどめる。遠慮する。留めておく。見合わせる。など。
この「ひかえる」は、
「ヒカ・ヘル」、HIKA-HERU(hika=perform certain rites with incantations,kindling a fire being generally part of the ceremony;heru=wheru=inactive,slow,ill at ease,mope)、「(厳粛な儀式で)呪文が唱えられた(ときの)ように・堅くなって動かずに居る(控える)」(「ヘル」のH音が脱落して「エル」となった)
の転訛と解します。
膝の後ろのくぼんでいる所で、座るときに引っ込む部分。(この裏の「ひかがみ」に対する表の「ひざこぞう(膝小僧)」については、2276ひざこぞう(膝小僧)の項を参照してください。)
この「ひかがみ」は、
「ヒ・カ・(ン)ガミ」、HI-KA-NGAMI(hi=raise,draw up,rise;ka=to denote the commencement of a new action or condition;ngami=swallow up)、「(人が)立ち上がる・につれて・膨れるところ(ひかがみ)」(「(ン)ガミ」のNG音がG音に変化して「ガミ」となった)
の転訛と解します。
(「ひむかし」「ひんがし」の変化した語とする説がある。)方角の名。日の出る方向。西の対。東方から吹いてくる風。こち。インドや中国から見て東方にある国。日本。京都・大阪に対して、鎌倉や江戸を指す。など。(この「ひがし」は、古典篇(その十六)の250B勅旨(ちょくし)宮の項の東(ひむがし)宮から再掲しました。)
この「ひがし」は、
「ヒ・(ン)ガチ」、HI-NGATI(hi=rise,raise;ngai,ngati=tribe,clan)、「昇る(太陽の)・一族(が住む場所。東方)」(「(ン)ガチ」のNG音がG音に変化して「ガチ」から「ガシ」となった)
の転訛と解します。
両眼の瞳の方向が一致しない目。また、その人。意識的に瞳を片寄せて見る目。脇目。間違ってみること。見誤り。見間違い。物事を偏った考えで判断すること。思い違い。
この「ひがめ」は、
「ヒ(ン)ガ・メイ」、HINGA-MEI(hinga=fall from an erect position,lean,be overcome with astonishment or fear;mei=according to,judging by)、「(見ることによって)判断することにおいて・失敗(または間違い)をしたもの(僻目)」(「メイ」の語尾のI音が脱落して「メ」となった)
の転訛と解します。
引き連れてゆく。従えてゆく。伴う。行動・進退を指図する。統率する。指揮する。
この「ひきいる」は、
「ヒキ・イヒ・ル」、HIKI-IHI-RU(hiki=lift up,carry in the arm,remove,convey,a charm for rising anything from the water,or tocause people to migrate,or to free the hands from tapu;ihi=power,charm(whakaihi=effect by means of a spell);ru=shake,agitate,scatter)、「(魔法をかけたように)人々の心を操り・熱狂させて・(或る方向へ、場合によつては移住へと)引き連れて行く(率いる)」(「イヒ」のH音が脱落して「イ」となった)
の転訛と解します。
招待した来客に、主人から贈る物品。平安のころ、馬を庭に引き出して贈ったところからの名。後代は、引き出物の名のもとに馬代(うましろ)として金品を送るのが普通となり、現在では、酒宴の膳に添える物品を指し、さらに広く招待客への土産物を指すようになった。
この「ひきでもの」は、
「ヒキ・タエ・マウヌ」、HIKI-TAE-MAUNU(hiki=lift up,carry in the arm,remove,convey;tae=arrive,come,touch of feelings,be effected;maunu=be drawn from belt,come out,be loosened,be taken off)、「(来客に)持たせる・(主人の)気持ちを伝える・(主人の手から離れた)贈り物(引き出物)」(「タエ」のAE音がE音に変化して「テ」から「デ」と、「マウヌ」のAU音がO音に変化して「モヌ」から「モノ」となった)
の転訛と解します。
勇気のないこと。また、そのさま。臆病。心の卑しいこと。物事をするにあたって、正々堂々としないこと。また、そのさま。卑劣。
この「ひきょう」は、
「ヒキ・イホ」、HIKI-IHO(hiki=lift up,carry in the arms,remove,convey;iho=lock of hair(whakaiho=cut the hair,charm or rite to weaken an enemy))、「(相撲などで相手の)髷を(掴んで)・引き回す(卑怯)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」となり、「ヒキ・イオ」が「ヒキヨオ」から「ヒキョウ」となった)
の転訛と解します。
負ける。劣る。おくれを取る。肩身が狭い思いをする。
この「ひけをとる」は、
「ヒカイカイ・イホ・トフ・ル」、HIKAIKAI-IHO-TOHU-RU(hikaikai=writhe,be impatient;iho=heart,inside,kernel;tohu=mark,show,think(totohu=sink);ru=shake,agitate,scatter)、「(負けてまたは劣ることを悟って)口惜しい・気持ちに・落ち込んで・(それを)さらけ出す(引けを取る)」(「ヒカイカイ」の反復語尾が脱落した「ヒカイ」の語尾のI音と、「イホ」のH音が脱落した「イオ」の語頭のI音が連結して「ヒカイオ」となり、そのAI音がE音に変化した「ヒケオ」から「ヒケヲ」と、「トフ」のH音が脱落して「ト」となった)
の転訛と解します。
子の子。まご。
この「ひこ」は、
「ヒヒ・コ」、HIHI-KO(hihi=a method of dressing the hair in horns on each side of the head;ko=in addressing girl and males)、「(髪を両側に結んで)角を垂らした(小さな可愛らしい)・子(孫)」(「ヒヒ」の反復語尾が脱落して「ヒ」となった)
または「ヒヒコ」、HIHIKO(brisk,quick,joyous,cheerful)、「活発で可愛らしい子(孫)」(「ヒヒコ」の反復語頭が脱落して「ヒコ」となった)
の転訛と解します。
切った草木の根や株から生え出た芽。
この「ひこぱえ」は、
「ヒコ・パエ(ン)ガ」、HIKO-PAENGA(hiko=move at random or irregularly;paenga=place where anything is laid on one side or across,place where things are heaped up)、「不規則に・出てくる芽(蘖)」(「パエ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「パエ」から「バエ」となった)
の転訛と解します。
夕顔・瓢箪などの総称。また、特にそれらの果実。その実をくりぬいて作った容器。水・酒・穀物などを入れる。水などを汲む用具。(この「ひさご」は、雑楽篇(その二)の1042漏斗(じょうご)の項の瓢(ひさご)から再掲しました。また、「瓢(へう)」については同上「瓢(ひさご)」の項を、「瓢箪(ひょうたん)」については雑楽篇(その二)の534ひょうたん(瓢箪)の項を参照してください。)
この「ひさご」は、
「ヒタコ」、HITAKO(yawn)、「口を開けている(容器。または水を汲む道具)」(「ヒタコ」が「ヒサコ」から「ヒサゴ」となった)
または「ヒ・タ(ン)ゴ」、HI-TANGO(hi=raise,rise;tango=take,take in hand,remove)、「(液体を入れて)持ち上げて・運ぶ(容器または汲む道具。ひさご)」(「タ(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「タゴ」から「サゴ」となった)
の転訛と解します。
膝がしら。衣服などから現れれ出た膝がしらを擬人化していったもの。膝坊主。(この表の「ひざこぞう(膝小僧)」に対する裏の「ひかがみ」については、2266ひかがみの項を参照)してください。)
この「ひざこぞう」は、
「ヒ・タタ・コトコト」、HI-TATA-KOTOKOTO(hi=raise,draw up;tata=stalk,stem;kotokoto=small,of no account,pull up,sob,squeak)、「(幹のような)脚を・持ち上げるもの(膝)の・すこし持ち上がっている(膨らんでいる)ところ(膝小僧)」または「(幹のような)脚を・持ち上げるもの(膝)の・(疲れると)泣き出すところ(膝小僧)」(「タタ」の反復語尾が脱落して「タ」から「ザ」と、「コトコト」の反復語尾が脱落して「コト」から「コソ」、「コゾウ」となった)
の転訛と解します。
建物の内部で、母屋の外側の部分。母屋だけの建物が外方に発展して出来たもの。庇の間。牛車の窓や家の出入り口・縁側・窓などの上につきだした、日や雨を防ぐ小屋根。前髪の部分。軍帽・学帽・鳥打帽などの額の上に突き出ている部分。など。
この「ひさし」は、
「ヒ・タハ・アチ」、HI-TAHA-ATI(hi=rise,draw up,raise;taha=side,edge,part;ati=offspring,descendant,clan)、「(家の)側面の・高い場所にある・(屋根の子孫のような)小さな出っ張り(庇)」(「タハ」のH音が脱落して「タ」となったその語尾のA音と「アチ」の語頭のA音が連結して「タチ」から「サシ」となった)
の転訛と解します。
膝がしら。膝坊主の略。
この「ひざぼん」は、
「ヒ・タタ・ポナ」、HI-TATA-PONA(hi=raise,draw up;tata=stalk,stem;pona=knot,joint in the arm or leg)、「(幹のような)脚を・持ち上げるもの(膝)の・関節(膝坊)」(「タタ」の反復語尾が脱落して「タ」から「ザ」と、「ポナ」が「ポン」から「ボン」となった)
の転訛と解します。
2279ひさめ(氷雨)・ひさめ(大雨、甚雨)・ひちさめ(大雨、甚雨)
@ひさめ(氷雨)は、雹。霰。みぞれ。晩秋・初冬などのみぞれに近い冷たい雨。
Aひさめ(大雨、甚雨)は、「ひちさめ」の略とされる。びっしょり濡れる雨。また、冷たい雨。
この「ひさめ」、「ひちさめ」は、
@「ヒタ・マエ」、HITA-MAE(hita=move convulsively or spasmodically;mae=languid,listless,withered)、「(冷たさに)痙攣を起こす・弱い(雨)」(「ヒタ」が「ヒサ」と、「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」となった)
A「ヒタ・メ」、HITA-ME(hita=move convulsively or spasmodically;me=if,as if like)、「痙攣を起こした・ような(激しい。雨)」(「ヒタ」が「ヒサ」となった)
B「ピチ・タ・メ」、PITI-TA-ME(piti=put side by side,add;ta=dash,aim a blow at;me=if,as if like)、「次から次へと・叩き付ける・ように降る雨(大雨、甚雨)」(「ピチ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒチ」と、「タ」が「サ」となった)
の転訛と解します。
なめ味噌の一種。大豆に小麦で作った麹と食塩水を加えて醸造したもの。茄子、胡瓜などを漬けこんだりして食べる。また、その漬け物。
この「ひしお」は、
「ピチ・ホ」、PITI-HO(piti=put side by side,add;ho=put out the lips,shout)、「(嘗めると口をしかめるもの)塩の効いた一種の味噌を・(漬ける野菜などと)次から次に重ねて漬け込むもの(醤)」(「ピチ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒチ」から「ヒシ」と、「ホ」のH音が脱落した「オ」となった)
の転訛と解します。
(肘を頭の上にかざして笠の代わりとする以外にしのぎようがない雨の意とされる。)にわか雨。
この「ひじかさあめ」は、
「ヒヒ・チヒ・カハ・タ・ア・マエ」、HIHI-TIHI-KAHA-TA-A-MAE(hihi=pull up,draw up;tihi=top,lie in a heap;kaha=crested grebe;ta=dash,beat,lay;a=the...of;mae=languid,listless,withered)、「(持ち上げる動作をする)手の・上の部分(肘)を・(かいつぶりの)冠毛を・載せたような(笠)にする・例の・(穏やかな)弱い雨(肘笠雨)」(「ヒヒ」の反復語尾が脱落して「ヒ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「ジ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「タ」が「サ」と、「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
(「ひじてつ(肘鉄)」は「ひじでっぽう(肘鉄砲)」の略とされる。)肘で突きのけること。転じて、誘い、申し出を断ること。
この「ひじてつ」、「ひじでっぽう」は、
「ヒヒ・チヒ・タイツ」、HIHI-TIHI-TAITU(hihi=pull up,draw up;tihi=top,lie in a heap;taitu=be hindered,be intermitted)、「(持ち上げる動作をする)手の・上の部分(肘)で・(妨害する)押し止める(肘鉄)」(「ヒヒ」の反復語尾が脱落して「ヒ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「ジ」と、「タイツ」のAI音がE音に変化して「テツ」となった)
「ヒヒ・チヒ・タイツ・ポウ」、HIHI-TIHI-TAITU-POU(hihi=pull up,draw up;tihi=top,lie in a heap;taitu=be hindered,be intermitted;pou=post,pole,stake)、「(持ち上げる動作をする)手の・上の部分(肘)を・(妨害する)押し止める・棒とする(肘鉄砲)」(「ヒヒ」の反復語尾が脱落して「ヒ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「ジ」と、「タイツ」のAI音がE音に変化して「テツ」から「デッ」となった)
の転訛と解します。
(「ひさこ」の変化した語とする説がある。)湯、水などを汲むための具。(この「ひしゃく」は、雑楽篇(その二)の1042漏斗(じょうご)の項の柄杓(ひしゃく)から再掲しました。)
この「ひしゃく」は、
「ヒ・チ・アク」、HI-TI-AKU(hi=raise,rise;ti=stick,rod;aku=scrape out,cleanse)、「掬い取って(掻き取つて)・持ち上げる・棒(柄杓)」 (「チ・アク」が「シャク」となった)
の転訛と解します。
徳が高く神のような人。聖人。天皇の尊称。仙人。その分野でぬきんでて優れている人。高徳の僧。一般に、僧。など。
この「ひじり」は、
「ヒ・チリ」、HI-TIRI(hi=raise,rise;tiri=throw or place one by one,plant root crops,scatter)、「高い・地位(または境地)にある人(聖)」 (「チリ」が「ジリ」となった)
の転訛と解します。
鮭などの頭部の軟骨。刻んで食用とする。氷のように透明であるところからいう。
この「ひず」は、
「ピヒ・ツ」、PIHI-TU(pihi=cut,split;tu=fight with,energetic)、「懸命に・刻む(で食用とするもの。氷頭)」(「ピヒ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒヒ」から「ヒ」と、「ツ」が「ズ」となった)
の転訛と解します。
樋(厠の中にある大小便を承ける器)を洗い清める者。平安以降、禁中の便所の清掃などをする下級の女中。御厠人(みかわやうど)。
この「ひすまし」は、
「ピ・ツ・マチ」、PI-TU-MATI(pi=flow of the tide,soaked;tu=fight with,energetic;mati=surfeited)、「大量の・水を・せっせと流す人(樋洗)」(「ピ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒ」と、「ツ」が「ス」と、「マチ」が「マシ」となった)
の転訛と解します。
人に知られないようにするさま。人に見聞きされないようにするさま。自分の心の中の中で、人知れず、思ったり、考えたりするさま。内々。仲間だけで、外へ漏れないように、小声で話したりするさま。公的な物事を個人のものとするさま。自分のものにするさま。人の耳目にあまり触れないさま。人目につかないさま。
この「ひそかに」は、
「ピト(ン)ガト(ン)ガ・カ・ニヒ」、PITONGATONGA-KA-NIHI(pitongatonga=thick,impervious;ka=to denote the commencement of a new action or condition,when,as soon as,should,if;nihi=move stealthly,come stealthly)、「人に知られることなく・そっと・行動する(密かに)」(「ピト(ン)ガト(ン)ガ」の反復語尾が脱落して「ピト(ン)ガ」となり、さらにその名詞形語尾のNGA音が脱落して「ピト」となり、そのP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」から「ヒソ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった)
の転訛と解します。
眉をしかめること。
この「ひそみ」は、
「ピ・タウ・ミヒ」、PI-TAU-MIHI(pi=corner of the eye,eye;tau=turn away,look in another direction;mihi=sigh for,greet,express discomfort)、「(目の端)眉を・(歪める)しかめて・不快なさまを表す(顰み)」(「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)
の転訛と解します。
顔面の上部の、毛髪の生えぎわから眉のあたりまでのところ。(この「ひたい」は、国語篇(その十六)の175ひたい(額)の項から再掲しました。)
この「ひたい」は、
「ヒ・タヒ」、HI-TAHI(hi=raise,rise;tahi=one,together,sweep,smooth)、「高く・平らになっているもの(額)」(「タヒ」のH音が脱落して「タイ」となった)
の転訛と解します。
そのことだけに意を用いるさま。一途であるさま。専らそのことに集中するさま。その状態に終始するさま。完全にその状態であるさま。
この「ひたすら」は、
「ピ・タ・ツラハ」、PI-TA-TURAHA(pi=flow of the tide;ta=dash,strike;turaha=keep away,keep clear,be separated)、「(潮の)流れが・休み無く・(激しく)流れるように(ひたすら)」(「ピ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒ」と、「ツラハ」のH音が脱落して「ツラ」から「スラ」となった)
の転訛と解します。
室町中期以後、我が国で私鋳した粗悪な銭貨。また、永楽銭以外の中国渡来の銭の称。京銭。江戸末期〜明治初期には寛永通宝一文銭の鉄銭のことをいう。
この「びたせん」は、
「ピヒ・タハ・テナ」、PIHI-TAHA-TENA(pihi=cut,split;taha=side,edge;tena=that,this)、「縁が・欠けたり割れたりしている・あの(粗悪な)奴(鐚銭)」(「ピヒ」のH音が脱落して「ピ」から「ビ」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」と、「テナ」が「セン」となった)
の転訛と解します。
休まずにひたすら走る。
この「ひたはしる」は、
「ピ・タ・パチ・ル」、PI-TA-PATI-RU(pi=flow of the tide;ta=dash,strike;pati=shallow,ooze,spurt,splash;ru=shake,agitate,scatter)、「(潮の)流れが・(激しく)流れるように・(水が)奔流して・奮って動く(直走る)」(「ピ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒ」と、「パチ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハチ」から「ハシ」となった)
の転訛と解します。
ただ一つの方向に強く偏るさま。専らそのことに集中するさま。いちず。ひたすら。完全にその状態であるさま。すっかり。まったく。向こう見ずで、ひたむきなさま。無理を犯して強引なさま。など。
この「ひたぶる」は、
「ピ・タ・プル」、PI-TA-PURU(pi=flow of the tide;ta=dash,strike;puru=plug up,stuff up,confine by means of a plug)、「(潮の)流れが・ただただ(一方的に)・(激しく)流れるように(ひたぶる)」(「ピ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒ」と、「プル」が「ブル」となった)
の転訛と解します。
死体を入れて葬る箱。棺桶。
この「ひつぎ」は、
「ヒ・ツ(ン)ギ」、HI-TUNGI(hi=raise,rise;tungi=set a light to,kindle,burn)、「高く(祭壇に)据えられ・灯りを灯されるもの(そののち焼かれるもの)(棺)」(「ツ(ン)ギ」のNG音がG音に変化して「ツギ」となった)
の転訛と解します。
絶え間なく続くさま。とぎれがないさま。切れ目がないさま。
この「ひっきりなし」は、
「ピヒ・ツキ・リ・ナチ」、PIHI-TUKI-RI-NATI(pihi=cut,split;tuki=pound,attack,give the time to paddlers in a canoe;ri=screen,protect,bind;nati=pinch or contract,restrain)、「(カヌーの漕ぎ手に)漕ぐ拍子を送るのを・途中で中断するのを・(屏風を立てる)止めて・(圧縮する)切れ目がないようにする(ひっきりなし)」(「ピヒ」」のP音がF音を経てH音に変化し、もとのH音が脱落して「ヒ」と、「ツキ」が「ッキ」と、「ナチ」が「ナシ」となった)
の転訛と解します。
ほ乳類の爪の一種。有蹄類・長鼻類に特有で、趾末端部の表皮性の角質壁、角質の箱状を呈する部分。
この「ひづめ」は、
「ピヒ・ツ・フメ」、PIHI-TU-HUME(pihi=shoot,sprout;tu=stand,settle,fight with,energetic;hume=bring to a point,gather up,tuck up clothes,gird on)、「(四肢の)先端にある・懸命に・物を抓むもの(蹄)」(「ピヒ」」のP音がF音を経てH音に変化し、もとのH音が脱落して「ヒ」と、「ツ」のU音と「フメ」のH音が脱落して「ウメ」となったその語頭のU音が連結して「ツメ」から「ヅメ」となった)
の転訛と解します。
むごい。過酷である。残酷である。一般に、程度が甚だしい。極端である。
この「ひどい」は、
「ピヒ・トイ」、PIHI-TOI(pihi=cut,split;toi=tip,finger,foe)、「(刑罰として)手足の先を・切断する(酷い)」(「ピヒ」」のP音がF音を経てH音に変化し、もとのH音が脱落して「ヒ」と、「トイ」が「ドイ」となった)
の転訛と解します。
専らその行為に徹するさまを表す語。いちずに。ひたすら。専らその状態であるさまを表す語。また、理由・原因などがそれに尽きることを表す。まったく。
この「ひとえに」は、
「ピト・エ・ニヒ」、PITO-E-NIHI(pito=end,extremity,navel,at first;e=to denote action in progress,or temporary condition,to give emphasis;nihi=move stealthly,come stealthly)、「最後まで・ずっと・(その行為または状態を)続けてきた(偏に)」(「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった)
の転訛と解します。
一つの事柄。一つの分野。ひときわ優れていること。ひときわ目立つこと。(多く「ひとかどの」の形で用いる)並以上に量の多いこと。並すぐれていること。また、一人前であること。
この「ひとかど」は、
「ピト・カタウ」、PITO-KATAU(pito=at first;katau=right hand,the right hand or side)、「(第一の)ひときわ優れた・(信頼される利き腕)能力を持っている(一角)」(「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」と、「カタウ」のAU音がO音に変化して「カト」から「カド」となった)
または「ピト・カハ・タウ」、PITO-KAHA-TAU(pito=at first;kaha=strong,able,strength;tau=come to rest,float,be suitable,be possible,be able)、「(第一の)ひときわ優れた・強い・能力を持っている(一角)」(「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」となった)
の転訛と解します。
謡いもの、語りものなどの、まとまった一部分。転じて、ある話題についてひとしきり話すこと。一段落。一席。
この「ひとくさり」は、
「ピト・クタ(ン)ガ・リ」、PITO-KUTANGA-RI(pito=at first;kutanga=handful;ri=screen,protect,bind)、「(数の第一の)ひとつの・(手に)掴んだ・まとまつた(話など)(ひとくさり)」(「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」と、「クタ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「くた」から「クサ」となった)
の転訛と解します。
二つ以上の物事の間に、ある点で同一性のあるさま。多くの事が全体にそろっていて同じであるさま。形状、性質、状態、程度、数値などを対比して、同じであるさま。非常によく似ているさま。など。
この「ひとしい」は、
「ヒ・タウチカ」、HI-TAUTIKA(hi=raise,rise;tautika=even,level,straight,direct)、「(高さ)程度が・同等である(等しい)」(「タウチカ」のAU音がO音に変化して「トチカ」から「トシカ」となり、「ヒトシカ」の語尾が変化して「ひとしく」、「ひとしき」の語が生じ、さらに「ひとしく」から「ひとしくす」、「ひとしい」の語が生じたと考えられる)
の転訛と解します。
ひときわ。いっそう。
この「ひとしお」は、
「ピト・チオホ」、PITO-TIOHO(pito=at first;tioho=apprehensive)、「(第一の)たいへんな(状況にあると)・(心配する)懸念する(一入)」(「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」と、「チオホ」のH音が脱落して「チオオ」から「シオ」となった)
の転訛と解します。
生まれつき。生来のたち。性質。さが。もちまえ。からだつき。背格好。背丈。
この「ひととなり」は、
「ピト・トフ・(ン)ガリ」、PITO-TOHU-NGARI(pito=at first;tohu=mark,point out,show;ngari=greatness,power,annoyance)、「(第一の)生まれつきの・(能力)性質を・示しているもの(為人)」(「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」と、「トフ」のH音が脱落して「ト」と、「(ン)ガリ」のNG音がN音に変化して「ナリ」となった)
の転訛と解します。
瞳孔のこと。また、目。
この「ひとみ」は、
「ピ・トフ・ウミ」、PI-TOHU-UMI(pi=eye;tohu=mark,point out,show,look towards;(Hawaii)umi=to strangle,choke,throttle)、「目(の部分)で・(遠くを)見るのに・(孔を絞る)細めるもの(瞳)」(「ピ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒ」と、「トフ」の語尾のU音と「ウミ」の語頭のU音が連結して「トフミ」となり、そのH音が脱落して「トミ」となった)
の転訛と解します。
自分一人だけで良いと思い込んで、他人の言うことを聞こうとしないこと。また、そのさま。独善。
この「ひとりよがり」は、
「ピト・オリ・イオ・(ン)ガリ」、PITO-ORI-IO-NGARI(pito=at first;ori=sway,agitate,bad weather,prey of disease;io=muscle,tough,hard,obstinate;ngari=greatness,power,annoyance)、「(第一の)一人(の人)の・頑固で・(他人の言うことを聞かないで)他人を悩ませる・(その人の)病気である性格(独り善がり)」(「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」と、その語尾のO音と「オリ」の語頭のO音が連結して「ヒトリ」と、「イオ」が「ヨ」と、「(ン)ガリ」のNG音がG音に変化して「ガリ」となった)
の転訛と解します。
火であぶる。火にあてる。焼く。
この「ひどる」は、
「ヒ・トル」、HI-TORU(hi=raise,rise;toru=toro=burn,blaze)、「(揚がる)炎で・焼く(火取る)」(「トル」が「ドル」となった)
の転訛と解します。
@孵化して間もない鳥の子。ひよこ。ひなどり。A女の子などの玩具にする小さい人形。「ひいな」とも言った。
この「ひな」は、
@「ヒナ」、HINA(grey hair)、「(灰色の)汚れた色をしたもの(雛)」
A「ヒヒ(ン)ガ」、HIHINGA(fall in numbers)、「(一定の)数が整列するもの(雛(人形))」(「ヒヒ(ン)ガ」の後のH音が脱落し、NG音がN音に変化して「ヒイナ」となり、また後の「ヒ」音が脱落し、NG音がN音に変化して「ヒナ」となった)
の転訛と解します。
都から遠く離れたところ。いなか。未開の土地の住民。支配が及んでいない土地の住民。
この「ひな」は、
「ヒ(ン)ガ」、HINGA(fall from an errect position,lean)、「(都から落ちていった場所)地方(鄙)」(「ヒ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ヒナ」となった)
の転訛と解します。
日向で暖まること。ひなたぼこり。ひなたぼこ。ひなたぼっこう。(この「ひなたぼっこう」は「ひなた北向」で、転じて「ひなたぼっこ」となったとする説がある。)(この「ひなたぼっこ」は、国語篇(その十六)の177ひなたぼっこの項から再掲しました。)
この「ひなたぼっこ」は、
「ヒヒ・(ン)ガタ・ポコ」、HIHI-NGATA-POKO(hihi=ray of the sun;ngata=appeased,satisfied;poko=be extinguished,beaten(popoko=withered,shrivelled))、「太陽の光を浴びて・(身体の力を抜いて)ゆったりとして・満足している(日向ぼっこ)」(「ヒヒ」の反復語尾が脱落して「ヒ」と、「(ン)ガタ」のNG音がN音に変化して「ナタ」と、「ポコ」が「ボッコ」となった)
の転訛と解します。
古くなること。売れ残ること。また、そのもの。古くなった穀物や野菜。特に、前年以前に収穫された穀物。大人びていること。労政していること。ませていること。また、その人。(この「ひね」は、雑楽篇(その二)の555しょうが(生姜。生薑)の項の「ひねしょうが」の「ひね」の解釈から再掲しました。)
この「ひね」は、
「ヒ(ン)ガイア」、HINGAIA(be fallen upon)、「放置された(古いもの)」(NG音がN音に、AI音がE音に変化し、語尾のA音が脱落して「ヒネ」となった)
の転訛と解します。
@冬、皮膚が荒れてできる細かい裂け目。皹。
A陶器、ガラス器などの表面にできる細かい割れ目。また、日照り続きなどのため、大地の表面にできる割れ目。罅。心身が病みきずつくこと。また、罪を犯すこと。対人関係で生じた差し障り。不和。
この「ひび」は、
「ピピ」、PIPI(ooze,soak in)、@「(肌の裂け目から)血や体液が滲み出るもの(皹)」またはA「((血や体液が滲み出る)肌の裂け目に似た物や大地の割れ目(罅)」(「ピピ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒヒ」となり、さらに「ヒビ」となった)
の転訛と解します。
@浅海に柴や竹簀などを立て並べ、一方に口を開け、満潮時に入った魚を干潮時に捕らえる漁業施設。
A海苔や牡蛎を付着させるため海中に立てておく粗朶。
この「ひび」は、
@「ピピ」、PIPI(bathe with water,smear with oil etc.)、「(満潮時に入った魚を干潮時に捕らえるために)海中に浸っている施設(ひび)」(「ピピ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒヒ」から「ヒビ」となった)
A「ピピ」、PIPI(half-grown,not matured)、「(海苔や牡蛎の)胞子や種子を付着させて養殖する施設(ひび)」(「ピピ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒヒ」から「ヒビ」となった)
の転訛と解します。
空間的なすきま。間隙。継続する動作、状態の絶え間。事の途切れた時間、または状態。やるべき事がなくて余裕のあるさま。特別の行為や仕事がなくて漫然としているさま。(縄文語で抽象的な観念を表す語は、具体的な例示として表現される場合が多いが、これもその一例です。背美鯨は、他の鯨に比して、長時間にわたって背部を海面上に出して遊弋し続ける性質があったため、例示に選ばれたものでしょう。また、「無精(ぶしょう)」などの語とともに、縄文人が海洋民族の末裔であったことの反映とみることができます。)
この「ひま」は、
「ヒヒ・ママ(ン)ガ」、HIHI-MAMANGA(hihi=any long slender appendages(hihi tohora=whalebone from mouth of the right whale);mamanga=stretch out,extend,scatter)、「(鯨髭を持つ)背美鯨が・(ゆったりと)遊弋し潮を吹くさま(暇)」(「ヒヒ」の反復語尾が脱落して「ヒ」と、「ママ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ママ」となり、さらにその反復語尾が脱落して「マ」となった)
の転訛と解します。
人々が集まり前夜から潔斎して一夜を眠らず、日の出を待って拝む行事。
この「ひまち」は、
「ヒ・マチア」、HI-MATIA(hi=raise,rise;matia=rest,cease)、「日が昇るのを・(休息する)待つ行事(日待ち)」(「マチア」の語尾のA音が脱落して「マチ」となった)
の転訛と解します。
真冬に採った氷を夏まで貯えておく室(むろ)。
この「ひむろ」は、
「ヒ・ムフ・ロ」、HI-MUHU-RO(hi=raise,rise;muhu=grope;ro=roto=inside)、「(軽くて水に浮く)氷を(入れておく)・手探りで・内部に入る場所(氷室)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」となった)
の転訛と解します。
女性の美称。古代では「彦」に対して女性一般を表した。平安時代以降、貴人の娘を指して言う。
この「ひめ」は、
「ヒ・マイ」、HI-MAI(hi=raise,rise;mai,maimai=a dance to welcome guest at a tangi)、「高貴な身分の・(特別な行事に参加した)客人をもてなす踊りを踊る女性(姫)」(「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
空腹である。飢えている。ひだるい。
この「ひもじい」は、
「ヒ・モチ・イ」、HI-MOTI-I(hi=make a hissing noise;moti=consumed,scarce;i=past tense)、「(食べ物が)なくて動けなく・なったと・悲鳴を上げる(ひもじい)」(「モチ」が「モジ」となった)
の転訛と解します。
古代、神祭のとき、清浄の地を選んで、周囲に常磐木を植えて神座としたもの。(この「ひもろき」は、雑楽篇(その一)の167ひもろき(神籬)の項から再掲しました。)
この「ひもろぎ」は、
「ヒ・マウ・ロキ」、HI-MAU-ROKI(hi=raise,rise;mau=fixed,continuing,caught;roki=calm,make calm)、「(神がその)上に出現して・静かに・(降臨する)鎮座する場所(神籬)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)
の転訛と解します。
張り見世の遊女を見て歩くだけで登楼しないこと。また、その人。素見。実際には買う意志がないのに値踏みをしたり、値段を尋ねたりすること。買うつもり茂無く商品をみてまわること。また、その人。からかうこと。
この「ひやかし」は、
「ヒア・カチ」、HIA-KATI(hia=interrogative numeral.how many?,desire,wish;kati=leave off,cease,be left in statu quo)、「値段を尋ねながら・(買うのを)止める(冷やかし)」(「ヒア」が「ヒヤ」と、「カチ」が「カシ」となった)
の転訛と解します。
西洋音楽で、一定の数の拍がひとかたまりになって周期的に反復され、リズムの基礎をなすもの。日本音楽で、雅楽の延べ拍子・早拍子、能の八拍子など、種目独自の名があり、多くの場合、拍子とリズムを意味するもの。手拍子・足拍子の略。具合。調子。(助詞ニを伴って)ちょうどその時。はずみ。とたん。
この「ひょうし」は、
「ピオイ・オチ」、PIOI-OTI(pioi=shake,brandish,wave,sway;oti=finished,gone or come for good)、「手を(振り回し)打ち足を踏むなどするのが・(リズムに合って)丁度いい具合であること(拍子)」(「ピオイ」のP音がF音を経てH音に変化し、語尾のI音が脱落して「ヒオ」から「ヒョ」と、「オチ」が「オシ」となり、「ヒョ・オシ」が「ヒョウシ」となった)
の転訛と解します。
(「びょう」は「屏」の呉音、風を防ぐの意、「ぶ」は「屏」の韻尾がng音であるために連濁したものかとする説がある)折りたたんで移動する室内の障屏具。装飾を兼ねて風を防ぎ、室内の間仕切りとする。(この「びょうぶ」は、雑楽篇(その二)の1030障子(しょうじ)の項の「屏風(びょうぶ)」から再掲しました。)
この「びょうぶ」は、
「ピハオ・オプ」、PIHAO-OPU(pihao=surround;opu=set)、「(人の居所、寝所を)囲むように・置くもの(屏風)」(「ピハオ」のH音が脱落し、AO音がOU音に変化して「ピョウ」から「ビョウ」となった)
の転訛と解します。
鳥の子。ひなどり。ひよっこ。特に、鶏のひな。まだ一人前でない者。乳臭い者。ひよっこ。
この「ひよこ」は、
「ピ・イオ・カウ」、PI-IO-KAU(pi=young of birds,chick,particularly of land birds;io=tough,hard,obstinate;kau=alone,to no purpose)、「(陸上の鳥の)ひなどりで・元気よく・(所構わず)走り回るもの(ひよこ)」(「ピ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒ」と、「イオ」が「ヨ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)
の転訛と解します。
(「ひおとこ(火男)」の変化した語て、火を吹くときの顔つきから出た語とする説がある)口が尖り、一方の目が小さい、滑稽な顔の男の仮面。また、その仮面をつけてする踊り。その仮面に似た顔の男。また、一般に、男をののしっていう語。
この「ひょっとこ」は、
「ヒ・イオ・ツトコ」、HI-IO-TUTOKO(hi=raise,rise;io=tough,hard,obstinate;tutoko=long for,desire)、「(炎を揚げる)火を熾すのに・躍起に・なっている者(火男)」(「イオ」が「ヨ」から「ョ」と、「ツトコ」が「ットコ」となった)
の転訛と解します。
(ひよひよと動く意から)新生児の頭蓋の前頭骨と頭頂骨の間がまだ接合していないため、動脈の拍動のたびにひくひく動く頭頂の部分。
この「ひよめき」は、
「ピオイ・マイ・キ」、PIOI-MAI-KI(pioi=shake,brandish,wave,sway;mai=to indicate direction or motion towards;ki=full,very)、「(ひくひくと)拍動・し・つづけるもの(ひよめき)」(「ピオイ」のP音がF音を経てH音に変化し、語尾のI音が脱落して「ヒオ」から「ヒヨ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
海上の空模様。海面の天候。航行または船出によい空模様。空模様。天候。晴天。上天気。事の成り行き。状況。情勢。
この「ひより」は、
「ピオ・オリ」、PIO-ORI(pio=extinguished,go out;oro=bad weather)、「悪天候が・解消した(日和)」(「ピオ」の語尾のO音と「オリ」の語頭のO音が連結して「ピオリ」となり、そのP音がF音を経てH音に変化して「ヒオリ」から「ヒヨリ」となった)
の転訛と解します。
宣伝のための文章や絵などを描いて掲示したり、配布したりする紙片。江戸時代、演劇関係の名びろめなどの引き出物や進物の目録を客へ送るために書いた紙片。江戸の劇場で、観客席の配置図の呼称。(大正時代、社会運動の中で英語の「bill」と混淆し、外来語意識を持って用いられた。以来今日でも和語・外来語の別の判然としない場合が多いとされる。)
この「びら」は、
「ピララ」、PIRARA(separated,scattered,divided)、「ばらばらの紙片(片。枚)」(反復語尾が脱落して「ピラ」から「ビラ」となった)
の転訛と解します。
平坦な野原。へいや。
この「ひらの」は、
「ピララ・ノホ」、PIRARA-NOHO(pirara=wide apart,gaping;noho=sit,stay,settle,lie)、「広く開けた(場所に)・位置していること(平野)」(「ピララ」のP音がF音を経てH音に変化し、反復語尾が脱落して「ヒラ」と、「ノホ」のH音が脱落して「ノ」となった)
の転訛と解します。
(「ひらおび」の変化した語とされる)ひらおび。
この「ひらび」は、
「ヒラ・ピヒ」、HIRA-PIHI(hira=numerous,great,important,widespread;pihi=some ornament for the person,watertight(pihipihi=a garment for the waist))、「巾の広い・(腰に巻く)締めるもの(平帯)」(「ピヒ」のH音が脱落して「ビ」となった)
の転訛と解します。
光が瞬間的に光って消える。ピカッと一瞬光る。きらめく。顔色が赤くなる。ひらひらと揺れ動く。ちらちらする。不意に思い浮かぶ。
この「ひらめく」は、
「ヒ・イラ・マエ・キ」、HI-IRA-MAE-KI(hi=raise,rise;ira=shine,glitter,variegated;mae=withered,struck with astonishment,paralysed with fear,etc.;ki=full,very)、「(陽がさす)光が・実に・人を驚かすように・輝く(閃く)」(「ヒ」のI音と「イラ」の語頭のI音が連結して「ヒラ」と、「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
順序・順番のもっとも終わりの位置。最後尾。くだらないこと。また、そのさま。
この「びり」は、
「ピリ(ン)ガ」、PIRINGA(place of retirement)、「(人生の)最後(の場所)(最後尾)」(名詞形語尾のNGA音が脱落して「ピリ」から「ビリ」となった)
の転訛と解します。
細長く薄い布。波・風を起こし、または静め、害虫・毒蛇などを追い払うなど、呪力を持つと信じられた布。
この「ひれ」は、
「ヒ・レヘア」、HI-REHEA(hi=raise,rise;rehea=be balked,be baffled)、「高く掲げることによって・(恋人との別離や毒虫の害を)妨害する(呪力をもつ)もの(領布)」(「レヘア」のH音および語尾のA音が脱落して「レ」となった)
の転訛と解します。
礼儀をわきまえないこと。思慮が浅く、不作法であること。また、そのさま。無礼。恥ずべきこと。見苦しいこと。また、そのさま。貧しいこと。貧乏。話題として不適当な、汚いこと。不潔であること。わいせつなこと。ふしだらなこと。
この「びろう」は、
「ピロ」、PIRO(putrid,foul smell)、「(腐敗した)悪臭がするもの(尾籠)」(「ピロ」が「ビロウ」となった)
の転訛と解します。
ピンからキリまでの略。(キリは、ポルトガル語cruzからかとする説がある。)はじめから終わりまで。最上のものから最低のものまで。上等のものから下等のものまで。
この「ぴん」、「きり」は、
「ピヒ(ン)ガ」、PIHINGA(=pihi=spring up,begin to grow)、「(成長の)始め(ピン)」(H音が脱落し、NG音がN音に変化して「ピナ」から「ピン」となった)
「キ・イリ」、KI-IRI(ki=full,very;iri=be elevated on something,hang)、「十分に・(成長の終わり)極に達したもの(キリ)」(「キ」のI音と「イリ」の語頭のI音が連結して「キリ」となった)
の転訛と解します。
鬢(びん)のあたり。また、首、頭。頬を平手で打つこと。横面を平手で殴ること。
この「びんた」は、
「ピ・(ン)ガタタ」、PI-NGATATA(pi=eye,corner of the eye or mouth;ngatata=split,chapped)、「頬を・ひっぱたく(びんた)」(「ピ」が「ビ」と、「(ン)ガタタ」のNG音がN音に変化し、反復語尾が脱落して「ナタ」から「ンタ」となった)
の転訛と解します。
「フ」
小麦粉を挽いて粉にするときに出る茶色の表皮のくず。麩(ふすま)。小麦粉の中の澱粉を除いたあとの麩質または麩素といわれる蛋白質で製した食品。
この「ふ」は、
「フ」、HU(bubble up,noise)、「(泡立って)膨れるもの(麩)」
の転訛と解します。
地色の中にまだらに混じっている他の色の斑点。また、斑点のあるもの。ぶち。まだら。
この「ふ」、「ぶち」は、
「フ」、HU(resound,noise)、「(雑音のように)地に混じっている斑点(斑)」
「フ・チ」、HU-TI(hu=resound,noise;ti=throw,cast)、「(雑音のように)地に混じって・散らされているもの(斑)」(「フ」が「ブ」となった)
の転訛と解します。
火を起こすのに用いる送風器。古代から金属の精錬や加工に使用した。(この「ふいご」は、雑楽篇(その二)の1017タタラの項の「鞴(ふいご)」から再掲しました。)
この「ふいご」は、
「フイ・(ン)ゴ」、HUI-NGO(hui=put or add together,come togetjher,meet,double up;ngo=cry,make any articulate sound)、「叫び声を・集中させた(ような音を出す。送風器。鞴)」(「(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「ゴ」となった)
の転訛と解します。
人に言い広めること。言いふらすこと。宣伝。披露。
この「ふいちょう」は、 「フイ・チオ」、HUI-TIO(hui=put or add together,come together,meet;tio=cry,call)、「(人が)集まったところで・叫ぶ(吹聴)」(「チオ」が「チョウ」となった)
の転訛と解します。
吹いて鳴らす楽器の一種。中空の竹、木、角、骨、石、金属などに孔をうがって製したもの。
この「ふえ」は、
「フ・ウエ」、HU-UE(hu=resound,make any inarticulate sound,hiss;ue=push,shove,shake)、「音を出し・響かせるもの(笛)」(「フ」のU音と「ウエ」の語頭のU音が連結して「フエ」となった)
の転訛と解します。
黙って見ていられないほどに意気地がない。期待どおりの行動ができず、役に立たない。まったくだらしがない。
この「ふがいない」は、
「フ(ン)ガ・アイ・ナイ」、HUNGA-AI-NAI(hunga=down,decade,putrid;ai=expressing the reason for which anything is done,or the object in view in doing it;nai=nei,neinei=stretched forward,reaching out,wagging,vacillating)、「(見ている人が)地団駄を・踏むほど・元気がない(不甲斐ない)」(「フ(ン)ガ」のNG音がG音に変化し、語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「フガイ」となった)
の転訛と解します。
わりが悪い。損である。不利である。いまいましい。しゃくにさわる。
この「ぶがわるい」は、
「プ(ン)ガ・ワル・ウヰ」、PUNGA-WHARU-UWHI(punga=reason,cause,origin;wharu=mud,quagmire;whi=cover,spread out)、「(主張の)理由が・泥沼に・入り込んでいる(動きがつかない、有利に進められない)(分が悪い)」(「プ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「プガ」から「ブガ」と、「ワル」の語尾のU音と「ウヰ」の語頭のU音が連結して「ワルヰ」から「ワルイ」となった)
の転訛と解します。
食器などを拭く布きれ。
この「ふきん」は、
「フクイ(ン)ガ」、HKUINGA(=hukui=rub,scrub)、「(物を)拭くもの(布巾)」(「フクイ(ン)ガ」のUI音がI音に、NG音がN音に変化して「フキナ」から「フキン」となった)
の転訛と解します。
糊を引いてない絹。柔らかい絹。絹や縮緬などで作り、紋様を染めたり縫い付けたりし、裏地に無地の絹布を用いた正方形の絹の布。贈り物を覆い、またはその上に掛けて用いる。
この「ふくさ」は、
「プク・タ」、PUKU-TA(puku=swelling,swell;ta=dash,beat,lay)、「(膨らます)上に掛けて・置くもの(袱紗)」(「プク」のP音がF音を経てH音に変化して「フク」と、「タ」が「サ」となった)
の転訛と解します。
くじ引きをしてさまざまの品物を取り合うこと。多くの綱・紐などに種々のものをつけ、引き手にはそれを隠して引かせる遊戯。年の初めに、二人で一つの用いる。引っ張り合い、取り分の多少によりその年の禍福を占うこと。商店の売り出しで商品を買った人、または宴会の余興などで出席者にくじを引かせ、当たった人に景品をだすこと。
この「ふくびき」は、
「プク・ヒキ」、PUKU-HIKI(puku=swelling,desire,swell;hiki=lift up,raise,take away,get up)、「(高まる)期待を・獲得するもの(福引き)」(「プク」のP音がF音を経てH音に変化して「フク」と、「ヒキ」が「ビキ」となった)
の転訛と解します。
脚の脛のうしろの筋肉の膨らんだ部分。こむら。(上代以来「こむら」と称されてきたが、江戸時代後期になってこの語が登場したという。(この「こむら」については、国語篇(その二十一)の1087こむらがえり(腓返り)の項を参照してください。)
この「ふくらはぎ」は、
「プク・ウラ(ン)ガ・パ(ン)ギア」、PUKU-URANGA-PANGIA(puku=swelling,swell;uranga=act,circumstance,etc,,of becoming firm;pangia=pa=touch,strike,operate on)、「(脚を使用する)歩くと・だんだん堅くなる・膨らんだ部分(脹ら脛)」(「プク」のP音がF音を経てH音に変化して「フク」となり、その語尾のU音と、「ウラ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ウラ」となったその語頭のU音が連結して「フクラ」と、「パ(ン)ギア」のP音がF音を経てH音に、NG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ハギ」となった)
の転訛と解します。
多くの哺乳類の雄の陰茎基部に下垂する袋。(この「ふくろ」については、国語篇(その三)の第2章 身体語、頭からおでこ・おっぱい・手・足までの項の「ふぐり」を再掲しました。)
この「ふぐり」は、
「フ・(ン)グ・リ」、HU-NGU-RI(hu=silent,quiet,secretly;ngu=squid,egg case of paper nautilus;ri=bind,protect,screen)、「秘すべき・(鮹の)卵が入つた(軟らかい)袋が・(二つ)合わさったもの(陰嚢)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)
の転訛と解します。
布・皮・紙などで、中に物を入れて、口を閉じるように作ったもの。(この「ふくろ」については、国語篇(その三)の第2章 身体語、頭からおでこ・おっぱい・手・足までの項の「ふくろ」を再掲しました。)
この「ふくろ」は、
「プク・ロ」、PUKU-RO(puku=swelling,abdomen,entrails;ro=roto=inside)、「中が・膨れているもの(袋)」(「プク」のP音がF音を経てH音に変化して「フク」となった)
の転訛と解します。
頭の皮膚の新陳代謝により、角化した表皮が薄くはがれて片状にとれるもの。
この「ふけ」は、
「プ・ケ」、PU-KE(pu=heap,bunch,anything growing in a bunch,tuft;ke=different,strange,otherwise)、「頭髪の中に生ずる・変なもの(雲脂)」(「プ」のP音がF音を経てH音に変化して「フ」となった)
の転訛と解します。
人が年を経て、老齢となる。老いる。
この「ふける」は、
「フフ・カイ・ル」、HUHU-KAI-RU(huhu=wasted away,emaciated;kai=fulfil its proper funvtion,have full play;ru=shake,agitate,scatter)、「精一杯・がんばることに・衰えがでてくる(老ける)」(「フフ」の反復語尾が脱落して「フ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった)
の転訛と解します。
@(更ける)その季節になってから、かなり時間が経過する。季節が深まる。夜が深くなる。深夜に及ぶ。
A(耽る)一つの事柄に度を越して深く心を奪われる。溺れる。没頭する。
この「ふける」は、
@「フア・ケ・ル」、HUA-KE-RU(hua=product,abundance,number;ke=different,at a different time,beforehand or afterward;ru=shake,agitate,scatter)、「多くの・変化が時の経過とともに・生じる(更ける)」(「フア」の語尾のA音が脱落して「フ」となった)
A「フ・ケ・ル」、HU-KE-RU(hu=desire;ke=different,strange,extraordinary;ru=shake,agitate,scatter)、「奮って・異常に・(物事に)執着する(耽る)」
の転訛と解します。
@農夫などが物を入れて運ぶのに用いる縄の紐のついた籠の一種。魚を入れる籠(魚籠)。Aびく(魚籃)。魚を入れる籠。
この「ふご」、「びく」は、
@「プ・ココ」、PU-KOKO(pu=bunch,bundle,make into a bundle or ball;koko=shovel,scoop up,pull up)、「(荷物を)ひとまとめにして・持ち上げるもの(畚)」(「プ」のP音がF音を経てH音に変化して「フ」と、「ココ」の反復語尾が脱落して「コ」から「ゴ」となった)
または「プ・(ン)ゴ(ン)ゴ」、PU-NGONGO(pu=bunch,bundle,make into a bundle or ball;ngongo=a pool of water in the hollow of a rock,log,or tree)、「(ひとまとめの)荷物(の形)になった・(魚を収容する)貯水池(魚籠)」(「プ」のP音がF音を経てH音に変化して「フ」と、「(ン)ゴ(ン)ゴ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「ゴ」となった)
A「ピヒ・クフ」、PIHI-KUHU(pihi=watertight;kuhu=thrust in,insert,conceal)、「耐水性のある・(魚を)入れるもの(魚籃)」(「ピヒ」のH音が脱落して「ピ」から「ビ」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」となった)
の転訛と解します。
道や川などを遮って閉ざす。押さえ止める。防ぐ。穴などに、隙間なく物をいっぱい詰める。ふたをする。心をある感情でいっぱいにする。耳・目・口などを手で押さえて覆う。目を口を閉じる。門や戸などを閉める。閉じる。場所を占める。など。
この「ふさぐ」は、
「プタ・(ン)グ(ン)グ」、PUTA-NGUNGU(puta=opening,hole,move from one place to another,pass through;ngungu=glance off,turn aside(whakangungu=fend,ward off,defend,protect))、「開いている場所を・閉じる(塞ぐ)」(「プタ」のP音がF音を経てH音に変化して「フタ」から「フサ」と、「(ン)グ(ン)グ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「グ」となった)
の転訛と解します。
たわむれる。冗談を言ったりおどけたりする。人をばかにする。(この「ふざける」については、国語篇(その十六)の181ふざけるを再掲しました。)
この「ふざける」は、
「フ・タカイ・ル」、HU-TAKAI-RU(hu=mud,swamp;takai=wrap up,wrap round,covering;ru=shake,agitate,scatter)、「泥を・(人の顔などに)塗りたく・る(巫山戯る)」(「タカイ」のAI音がE音に変化して「タケ」から「ザケ」となった)
の転訛と解します。
似つかわしい。似合っている。つりあっている。心に適っている。
この「ふさわしい」は、
「 フ・タウア・チヒ」、HU-TAUA-TIHI(hu=desire;taua=succeed,be next in succession to;tihi=summit,top,lie in a heap)、「望みが・(望んだとおり)最高に・うまくいった(心に適っている)(相応しい)」(「タウア」が「タワ」から「サワ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シイ」となった)
の転訛と解します。
(仏語)思いはかることも言葉で言い表すこともできないこと。また、そのさま。人間の思考力、判断力のおよばないこと。また、そのさま。思いもかけないこと。また、そのさま。常識的、理性的な思慮の及ばないこと。また、そのさま。
この「ふしぎ」は、
「フ・チ(ン)ギア」、HU-TINGIA(hu=desire;tingia=ti=throw,cast,overcome,particularly of the emotions)、「人智が・(圧倒される)及ばないこと(不思議)」(「チ(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「チギ」から「シギ」となった)
の転訛と解します。
しまりのないこと。だらしのないこと。また、そのさま。品行の悪いこと。素行のおさまらないこと。また、その品行。
この「ふしだら」は、
「フ・チタハ・アラ」、HU-TITAHA-ARA(hu=resound,be rumoured,noise;titaha=lean to one side,crooked,slanting;ara=way,path)、「(人の)道に・外れた(行いをしているとの)・噂がある(ふしだら)」(「チタハ」のH音が脱落して「チタ」から「シダ」となり、その語尾のA音と「アラ」の語頭のA音が連結して「シダラ」となった)
の転訛と解します。
怠けること。精を出さないこと。体を動かして物事をするのを面倒臭がること。また、身だしなみをしないこと。また、そのさま。(この「ぶしょう」については、国語篇(その十六)の182ぶしょうを再掲しました。)
この「ぶしょう」は、
「プ・チオチオ」、PU-TIOTIO(pu=tribe,bunch,heap,stack;tiotio=having sharp projections,barnacle)、「(いつも乗る舟に)フジツボの類を・うず高く付着したままにしている(無精)」(「プ」が「ブ」と、「チオチオ」の反復語尾が脱落して「チオ」から「ショ」、「ショウ」、「ショー」となった)
の転訛と解します。
寐るときにからだの上にかける長方形の夜具。(この「ふすま」については、雑楽篇(その二)の1029襖(ふすま)の項の「衾(ふすま)を再掲しました。)
この「ふすま」は、
「プツ・ウマ(ン)ガ」、PUTU-UMANGA(putu=lie in a heap,lie one upon another,swell,increase(putuputu=close together,closely woven etc.);umanga=pursuit,custom,habituated)、「(身体の)上に掛ける・ことを通常の用法とするもの(寝具。衾)」(「プツ」のP音がF音を経てH音に変化して「フツ」から「フス」となり、その語尾のU音と「ウマ(ン)ガ」の語頭のU音が連結し、語尾のNGA音が脱落して「フスマ」となつた)
の転訛と解します。
襖障子の略。障子の一種。細い木の骨を組み、両面から紙または布地を張り包んで作った障子。部屋の仕切り、押し入れの戸などに用いる。(この「ふすま」については、雑楽篇(その二)の1029襖(ふすま)の項を再掲しました。)
この「ふすま」は、
「プツ・ウマ(ン)ガ」、PUTU-UMANGA(putu=lie in a heap,lie one upon another,swell,increase(putuputu=close together,closely woven etc.);umanga=pursuit,custom,habituated)、「(両側から)合わせて閉める・ことを通常の用法とするもの(建具。襖)」(「プツ」のP音がF音を経てH音に変化して「フツ」から「フス」となり、その語尾のU音と「ウマ(ン)ガ」の語頭のU音が連結し、語尾のNGA音が脱落して「フスマ」となつた)
の転訛と解します。
小麦を挽いて粉にした後に残る小麦の皮。家畜の飼料に用い、また、洗い粉としても用いた。(この「ふすま」については、雑楽篇(その二)の543むぎ(麦)の項の「?(ふすま)を再掲しました。)
この「ふすま」は、
「プツ・ウマ(ン)ガ」、PUTU-UMANGA(putu=lie in a heap,lie one upon another,swell,increase(putuputu=close together,closely woven etc.);umanga=pursuit,custom,habituated)、「(製粉に伴って見掛けの容量が)膨れ上がる・ことが通常であるもの(?。麩。正しくは麦扁に皮)」(「プツ」のP音がF音を経てH音に変化して「フツ」から「フス」となり、その語尾のU音と「ウマ(ン)ガ」の語頭のU音が連結し、語尾のNGA音が脱落して「フスマ」となつた)
の転訛と解します。
施しをすること。仏や僧、貧者などに、衣服・食物などの品物や金銭などを施し、与えること。教法を説くこと。
この「ふせ」は、
「フ・タイ」、HU-TAI(hu=desire;tai,taitai=perform certain ceremonies to remove tapu,etc.)、「(禁忌から逃れる)善根を積むことを・願ってすること(布施)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」となった)
の転訛と解します。
攻撃をおさえる。敵が侵入してこないように守る。遮って及ばないようにする。災いや好ましくないことが起こらないように、前もって注意したり、準備したりする。
この「ふせぐ」は、
「プ・タエ・(ン)グ(ン)グ」、PU-TAE-NGUNGU(pu=loathing,hating;tae=arrive,come,be overcome;ngungu=glance off,turn aside(whakangungu=fend,ward off,defend,protect))、「(敵に)征服されるのを・嫌って・防御する(防ぐ)」(「プ」のP音がF音を経てH音に変化して「フ」と、「タエ」のAE音がE音に変化して「テ」から「セ」と、「(ン)グ(ン)グ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「グ」となった)
の転訛と解します。
(「文板(ふみいた)」の変化した語とする説がある。)ある目的のために必要な事項を書き記した小さい木片・紙片・金属片など。
この「ふだ」は、
「プタ(ン)ガ」、PUTANGA(circumstance,place,etc. of appearance,gate)、「板などへ・(記事を)表示したもの(札)」(P音がF音を経てH音に変化し、名詞形語尾のNGA音が脱落して「フタ」から「フダ」となった)
の転訛と解します。
蓋をする。覆う。また、通れないようにする。塞ぐ。(この「ふたぐ」は、2352ふさぐと同語源です。)
この「ふたぐ」は、
「プタ・(ン)グ(ン)グ」、PUTA-NGUNGU(puta=opening,hole,move from one place to another,pass through;ngungu=glance off,turn aside(whakangungu=fend,ward off,defend,protect))、「開いている場所を・閉じる(塞ぐ)」(「プタ」のP音がF音を経てH音に変化して「フタ」と、「(ン)グ(ン)グ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「グ」となった)
の転訛と解します。
着物などの巾。並幅の二倍をいう。また、その巾の布。女性が腰から下にまとう下着。丈が二巾の長さであるところからいう。腰巻。
この「ふたの」は、
「プタ(ン)ガ・ノア」、PUTANGA-NOA(putanga=circumstance,place,etc. of appearance,gate;noa=of no moment,ordinary,indefinite)、「(着物の巾の)外観が・通常のもの(二布)」(「プタ(ン)ガ」のP音がF音を経てH音に変化し、名詞形語尾のNGA音が脱落してて「フタ」と、「ノア」の語尾のA音が脱落して「ノ」となった)
の転訛と解します。
水が淀んで深くなったところ。川の流れが滞って、深く水を湛えたところ。たやすく抜け出ることのできない深み。
この「ふち」は、
「プチ」、PUTI(cross-grained,tough,of timber)、「(川の流れが)木の節のように渦を巻いているところ(淵)」(P音がF音を経てH音に変化して「フチ」となった)
の転訛と解します。
物のまわりの部分。へり。めぐり。
この「ふち」は、
「プフ(ン)ガ・チ」、PUHUNGA-TI(puhunga=place on one side,lay up;ti=throw,cast)、「(物の)一方の辺に・(置かれて)ある部分(縁)」(「プフ(ン)ガ」のP音がF音を経てH音に変化し、次のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落してて「フ」となった)
の転訛と解します。
言動にあいそがないこと。そっけないこと。また、そのさま。無愛想。
この「ぶっきらぼう」は、
「プツツ・キラ・ポフ」、PUTUTU-KIRA-POHU(pututu=barren,withered,stunted;kira=rough,with sharp points;pohu=resound)、「無味乾燥で・粗野な(ことを)・声高に言う(打切棒)」(「プツツ」が「ブッ」と、「ポフ」のH音が脱落して「ポウ」から「ボウ」となった)
の転訛と解します。
世間の議論。世間の取り沙汰。世人の批評。うわさ。転じて、異論。紛争。もめごと。
この「ぶつぎ」は、
「プツ・(ン)ギア」、PUTU-NGIA(putu=resound;ngia=seem,appear to be)、「(声高の)議論の・ようなもの(物議)」(「プツ」が「ブツ」と、「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」となった)
の転訛と解します。
無愛想な顔つき。不機嫌にふくれた顔つき。また、その顔。仏頂顔。
この「ぶっちょうづら」は、
「プツツ・チオ・ツラツラ」、PUTUTU-TIO-TURATURA(pututu=barren,withered,stunted;tio=cry,call;turatura=molest,spiteful)、「(無味乾燥な)無愛想で・意地悪そうに・叫び声を上げる(仏頂面)」(「プツツ」が「ブッ」と、「チオ」が「チョウ」と、「ツラツラ」の反復語尾が脱落して「ツラ」から「ヅラ」となった)
の転訛と解します。
太く丈夫なさま。太く卑しげなさま。下品で不格好なさま。風情がないさま。無風流、無骨なさま。心が至らないさま。行き届かないさま。不調法なさま。
この「ふつつか」は、
「フフ・ツ・ツカハ」、HUHU-TU-TUKAHA(huhu=free from tapu;tu=fight with,energetic;tukaha=strenuous,vigorous,passionate)、「禁忌から逃れようと・懸命に・努力すること(人格を高めようと懸命に修行中であること)(不束)」(「フフ」の反復語尾が脱落して「フ」と、「ツカハ」のH音が脱落して「ツカ」となった)
の転訛と解します。
(「ふみて(筆)」から転じた「ふんで」の変化したものとする説がある。)竹や木の柄の先に、羊、狸、兎、鹿、馬などの毛を穂状に束ねて取り付けたもの。毛筆筆を用いて書くこと。また、その書いたものや筆の使い方。文章をつづること。また、その文章。(この「ふで」については、雑楽篇(その二)の1051ふでの項を再掲しました。)
この「ふで」は、
「プ・タイタイ」、PU-TAITAI(pu=pipe,tube;taitai=dash,knock,brush)、「ブラシがついた・(竹などの)管(筆)」(「プ」のP音がF音を経てH音に変化して「フ」と、「タイタイ」の反復語尾が脱落し、AI音がE音に変化して「テ」から「デ」となった)
または「フテテ」、HUTETE(be tied up in a corner of a bag etc.)、「(毛の束を)端にくくりつけたもの(筆)」(反復語尾が脱落して「フテ」から「フデ」となった)
の転訛と解します。
不満で、反抗的な態度をとったり、やけをおこしたりする。
この「ふてくされる」は、
「プテテ・クタレ・ル」、PUTETE-KUTARE-RU(putete=stunted;kutare=sob,sigh;ru=shake,agitate,scatter)、「萎縮して・嘆き悲しみを・表す(ふてくされる)」(「プテテ」のP音がF音を経てH音に変化し、反復語尾が脱落して「フテ」と、「クタレ」が「クサレ」となった)
の転訛と解します。
行為・状態の変化などが急で突然であるさま。急に。即座に。にわかに。偶然になされるさま。ちょっとしたきっかけや思いつきで行うさま。ひょいと。はからずも。とっさに。
この「ふと」は、
「プトト」、PUTOTO(a horn for sounding,made from a sea shell)、「(急に)法螺貝の音が鳴り響くような(ふと)」(P音がF音を経てH音に変化し、反復語尾が脱落して「フト」となった)
の転訛と解します。
着物と胸の間。懐中。比喩的に、暖かく迎え入れてくれるところ。情をかけ庇護してくれるところ。物などに囲まれて奥深くなったところ。内部。心のなか。考え。所持金。財産。など。
この「ふところ」は、
「プトト・コロ」、PUTOTO-KORO(putoto=a horn for sounding,made from a sea shell;koro=desire,intend)、「(法螺貝の音が鳴り響くように)急に(心の中に)湧きでる・(願いや)考え(懐)」(「プトト」のP音がF音を経てH音に変化し、反復語尾が脱落して「フト」となった)
の転訛と解します。
上代の占いの一種。ハハカの木に火を付け、その火で鹿の肩の骨を焼き、骨のひび割れの形を見て吉凶を占う。
この「ふとまに」は、
「プトト・マ(ン)ギ」、PUTOTO-MANGI(putoto=stunted;mangi=floating,drifting,unnerved,unsettled,distressed)、「徐々に成長する(ひび割れの)・(漂流する)動きの様子による判断(太占)」(「プトト」のP音がF音を経てH音に変化し、反復語尾が脱落して「フト」と、「マ(ン)ギ」のNG音がN音に変化して「マニ」となった)
の転訛と解します。
(絹織物を呉服というのに対して)綿織物・麻織物など太い糸の織物の総称。衣服にする布地の総称。一反に仕上げてある織物。反物。
この「ふともの」は、
「プトイ・マウ・ノア」、PUTOI-MAU-NOA(putoi=tie in a bunch,adorn with a bunch of anything,draw up the clothes,as for wading;mau=fixed,continuing,caught,taken;noa=free from tapu or any other restriction,of no moment,ordinary,indefinite,at random,quite)、「(一かたまりの)反物で・通常の(取引される)・形状に作られたもの(太物)」(「プトイ」のP音がF音を経てH音に変化し、語尾のI音が脱落して「フト」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ノア」の語尾のA音が脱落して「ノ」となった)
の転訛と解します。
(はらわたが抜き取られた状態の意から)気持ちがしっかりしていないこと。意気地のないこと。また、そのさま。腰抜け。まぬけ。
この「ふぬけ」は、
「フフヌ・ケ」、HUHUNU-KE(huhunu=be charred,be scorched,singe;ke=different,strange,extraordinary)、「(日射病)熱中症にかかったように・おかしくなった(腑抜け)」(「フフヌ」の反復語頭が脱落して「フヌ」となった)
の転訛)ガ・ネイ」、PUNGA-NEI(punga=swelling,joint,anchor,fix with an anchor;nei=to denote proximity to,to indicate continuance of action)、「(岸に縄で係留する小型の丸木舟などでなく石の)碇を下ろして・(船を)固定する(大型の準構造船)(舟。船)」(「プ(ン)ガ」のP音がF音を経てH音に変化し、名詞形語尾のNGA音が脱落して「フ」と、「ネイ」が「ネ」となった)
の転訛と解します。
紅藻類フノリ科の海藻の総称。煮汁を布地ののりづけに用いる。
この「ふのり」は、
「プ(ン)ゴヘ・リ」、PUNGOHE-RI(pungohe=slack,etc.(ngohe=soft,obedient);ri=bind)、「緩く・接着するもの(布海苔」(「プ(ン)ゴヘ」のP音がF音を経てH音に、NG音がN音に変化し、語尾のH音が脱落して「フノ」となった)
または「プ(ン)ゴヘ・ホリ」、PUNGOHE-HORI(pungohe=slack,etc.(ngohe=soft,obedient);hori=false,untrue)、「緩く・仮に(接着するもの)(布海苔」(「プ(ン)ゴヘ」のP音がF音を経てH音に、NG音がN音に変化し、語尾のH音が脱落して「フノ」となったその語尾のO音と、「ホリ」のH音が脱落して「オリ」となったその語頭のO音が連結して「フノリ」となった)
の転訛と解します。
(「ふみひと(史)」の略とする説がある。)@古代の姓(かばね)の一つ。記録を司った職掌の姓。殆どすべてが渡来系氏族で、陽胡史(日本書紀敏達元年5月条参照)に代表される。
A令制前、諸国に置かれたという書記官(国史)。大化改新に際して設置された評司の書記官(主帳)。のち、令制の郡司の四等官(主帳)。また、天皇に近侍して記録を司る書記官。
この「ふびと」は、
@「プヒ・ピト」、PUHI-PITO(puhi=bunch of feathers,etc.,deck with feathers;pito=end,extremity,navel)、「(烏の)毛を机の上に置いて(解読し)・難問を解いた(人およびその子孫)(史)」(「プヒ」のP音がF音を経てH音に変化し、H音が脱落して「フ」と、「ピト」が「ビト」となった)
または「フ・ピト」、HU-PITO(hu=resound,hiss,be rumoured;pito=end,extremity,navel)、「難問を解いたと・叫び声を上げた(人およびその子孫)(史)」(「ピト」が「ビト」となった)
A「フ・ピト」、HU-PITO(hu=resound,noise,tenor or drift of a speech;pito=end,extremity,navel,at first)、「(律令の詳細、朝廷・地方政庁の決定等または部族の歴史や物語等を)語って聞かせる(ことでは)・第一の(人間。史)」(「ピト」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒト」となった)
の転訛と解します。
(不便)都合の悪いこと。また、そのさま。
(不憫)かわいそうなこと、気の毒なこと。また、そのさま。かわいいと思うこと。また、そのさま。
この「ふびん」は、
「フ・ピ(ン)ゴピ(ン)ゴ」、HU-PINGONGO(hu=resound,hiss,be rumoured;pingongo=shrunk,cause to shrink)、「非難の嵐に晒されて・小さくなっている(不憫)」(「ピ(ン)ゴピ(ン)ゴ」のNG音がN音に変化し、反復語尾が脱落して「ピノ」から「ビン」となった)
の転訛と解します。
文書・書物など、文字で書き記したもの。学問。特に中国の文学・漢学をいう。絵図。また、文字。手紙。書簡。書状。
この「ふみ」は、
「フミ」、HUMI(abundant,copious,abundance)、「(思想・言葉など)内容の豊富なもの(文)」
の転訛と解します。
(「文手(ふみて)」で文を書く物の意。)「筆(ふで)」の古語。
この「ふみて」は、
「フミ・タイタイ」、HUMI-TAITAI(humi=abundant,copious,abundance;taitai=dash,knock,brush)、「(思想・言葉など)内容の豊富なものを・(書く)ブラシがついたもの(筆)」(「タイタイ」の反復語尾が脱落し、AI音がE音に変化して「テ」から「デ」となった)
の転訛と解します。
山の裾。山麓。
この「ふもと」は、
「フ・モフ(ン)ガ・ト」、HU-MOHUNGA-TO(hu=promontry,hill;mohunga=crushed,pulpy;to=stem,finger,wet,annoint(toto=ooze,trickle))、「岡で・砕かれた岩石が積み重なり・(地下)水が湧き出る場所(麓)」(「モフ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「モ」となった)
「フ・モト」、HU-MOTO(hu=promontry,hill;moto=striken with the fist)、「岡で・(拳骨で殴ったように)砕かれた岩石が積み重なる場所(麓)」
の転訛と解します。
四季の一つ。現在では、12月から翌年2月まで、旧暦では、10月から12月までをいう。天文学的には、当時から春分の前日まで。二十四節気では、立冬から立春の前日まで。(この「ふすま」については、雑楽篇(その二)の543むぎ(麦)の項の「?(ふすま)を再掲しました。)
この「ふゆ」は、
「フイ・ウ」、HUI-U(hui=put or add together,meet,assembly,be affected with cramp,twitch in a way regarded as ominous;u=be firm,be fixed,reach its limit)、「(家族が)肩を寄せ合って・過ごす(または寒さに震える季節。冬)」 (「フイ」の語尾のI音と「ウ」のU音が連結して「フユ」となった)
の転訛と解します。
(「埒」は馬場などの囲いの意)@埒のあかないこと。事が解決しないこと。決着のつかないこと。また、そのさま。
A法に外れていること。けしからぬこと。また、そのさま。不都合。不届き。不法。
この「ふらち」は、
@「フラ(ン)ギ・アチ」、HURANGI-ATI(hurangi=fly,unsettled(hura=remove a covering,begin to flow);ati=offspring,descendant,clan)、「決着がつかない事柄の・同類のもの(不埒)」(「フラ(ン)ギ」の名詞形語尾のNGI音が脱落して「フラ」となり、その語尾のA音と「アチ」の語頭のA音が連結して「フラチ」となった)
A「プラ・アチ」、PURA-ATI(pura=any small foreign substance in the eye;ati=offspring,descendant,clan)、「(目の中にゴミが入ったように)そんな事があってはいけない事柄の・同類のもの(不埒)」(「プラ」のP音がF音を経てH音に変化して「フラ」となり、その語尾のA音と「アチ」の語頭のA音が連結して「フラチ」となった)
の転訛と解します。
@人の振る舞い。挙動。身振り。また、様子。姿。なりふり。
A風習。習慣。しきたり。
B本当はそうではないのに、ざとそれらしく装った様子。まことしやかに見せかけるさま。
C料理屋、旅館などに予約なしで訪れること。
D行商人などが売り歩くこと。
E一時的であること。臨時。
F褌、腰巻、さるまたなどを着けず、陰部を表していること。ふりちん。など。
この「ふり」は、
@「フリ」、HURI(turn round,overflow,grind,turn,seed,sprout)、「(身体の)動かしよう(ふり)」
A「プリ」、PURI(hold in the hand,retain possession of,keep)、「風習、習慣などを保持し続けること(ふり)」(「プリ」のP音がF音を経てH音に変化して「フリ」となった)
B、C「プ・ウリ」、PU-URI(pu=originate,origin,source,foot;uri=offspring,descendant,relative,race)、B「もともとそうである・と同類のこと(ふり」またはC「初めてのこと(訪問)・と同類のこと(ふり)」(「プ」のP音がF音を経てH音に変化して「フ」となり、そのU音と「ウリ」の語頭のU音が連結して「フリ」となった)
D「フ・ウリ」、HU-URI(hu=resound,hiss;uri=offspring,descendant,relative,race)、「(大きな)声を出して叫ぶこと・と同類の行為(ふり)」(「フ」のU音と「ウリ」の語頭のU音が連結して「フリ」となった)
E「プ・ウリウリ」PU-URIURI(pu=tribe,bunch,heap;uriuri=short,in time or distance)、「短時間・と同類のもの(ふり)」(「プ」のP音がF音を経てH音に変化して「フ」となり、そのU音と「ウリウリ」の反復語尾が脱落した「ウリ」の語頭のU音が連結して「フリ」となった)
F「フフ・ウリ」、HUHU-URI(huhu=strip off an outer covering,make bare,free from tapu;uri=offspring,descendant,relative,race)、「(禁忌を無視して下着を脱ぎ捨て)裸・同然でいること(ふり)」(「フフ」の反復語尾が脱落して「フ」となり、そのU音と「ウリ」の語頭のU音が連結して「フリ」となった)
の転訛と解します。
物を手に提げたり、担ったりして、その物の名をふれながら売り歩くこと。また、その人。
この「ふりうり」は、
「フ・ウリウリ」、HU-URIURI(hu=resound,hiss;uriuri=a messenger passing between two parties to convey inteligence,or a neutral visiting indifferently two hostile camps)、「触れて歩く・(敵対関係にある陣営に中立の立場で訪れる商人のような)行商人(振り売り)」(「フ」のU音と「ウリウリ」の語頭のU音が連結して「フリウリ」となった)
の転訛と解します。
(オランダ語 blik 薄い鉄板の意からとされる)ブリキとは、錫メッキした鉄板をいう。缶詰などに広く用いられる。また、時に、亜鉛メッキした鉄板(トタン。屋根材に用いられることが多い。)をさすこともある。
この「ぶりき」は、
「プリ・イキ」、PURI-IKI(puri,pupuri=hold in the hand,retain possession of,keep;iki=consume,sweep away,clear off)、「(鉄板の上に)一面に流して・くっつけたもの(ブリキ)」(「プリ」が「ブリ」となり、その語尾のI音と「イキ」の語頭のI音が連結して「ブリキ」となった)
の転訛と解します。
遠い昔のことに属するさま。現代まで時間を経ているさま。年老いているさま。時代が立っているさま。特に、長い年月を経ているため、年月の重みが加わっている。古拙な趣がある。年功を積んでいる。さびれている。古くさくなっている。古びている。時代遅れしている。
この「ふるい」は、
「フフ・ルヒ」、HUHU-RUHI(huhu=wasted away,emaciated;ruhi=weak,exhausted,spent)、「(時間が)ただ無駄に・過ぎてしまった(古い)」(「フフ」の反復語尾が脱落して「フ」と、「ルヒ」のH音が脱落して「ルイ」となった)
の転訛と解します。
浅い枠の底に絹布や金網を張った道具で、粒状や粉末状のものをいりて揺り動かし、網の目を通る細かいものを下に振り落として選り分けるためのもの。
この「ふるい」は、
「フフ・ルイ」、HUHU-RUI(huhu=handle used for spinning a top;rui=shake,shake down as fruit from a tree,cause to fall in drops,scatter)、「(独楽を回すように)揺り動かして・(粒や粉末を)下へ選り落とすもの(篩)」(「フフ」の反復語尾が脱落して「フ」となった)
の転訛と解します。
以前、都などが合って栄えたが今はさびれている土地。旧都。旧跡。昔から一族の住んできた土地。また、生まれ育った土地。郷里。故郷。かつて通ったり住んだりした土地や家。昔なじみの場所。精神的なよりどこる。
この「ふるさと」は、
「フフ・ルヒ・タタウ」、HUHU-RUHI-TATAU(huhu=wasted away,emaciated;ruhi=weak,exhausted,spent;tatau=settled down upon)、「(時間が)ただ無駄に・過ぎてしまった(古い昔に)・定住していた土地(古里。故郷)」(「フフ」の反復語尾が脱落して「フ」と、「ルヒ」のH音が脱落して「ル」と、「タタウ」のAU音がO音に変化して「タト」から「サト」となった)
の転訛と解します。
事をおこなう様子、態度。行動や動作の仕方。挙動。もてなし。馳走。饗応。鳥が羽を動かすこと。
この「ふるまい」は、
「プル・マイ」、PURU-MAI(puru=puri=hold in the hand,retain possession of,keep;mai=to indicate direction or motion towards,or character in relation to the speaker)、「(風習、習慣として)継続して行い・続けること(振舞い)」(「プル」のP音がF音を経てH音に変化して「フル」となった)
の転訛と解します。
身分の上下の別なく、礼儀を捨てて行う宴。慇懃講(いんぎんこう)ともいった。
この「ぶれいこう」、「いんぎんこう」は、
「プレ・ヒコ・ウ」、PURE-HIKO-U(pure=a ceremony for removing tapu,and for other purposes;hiko=move at random or irregularly,flash as lightning:u=be firm,reach its limit)、「(禁忌)礼儀を捨てて・(身分に拘わらずに)交流するのが・極に達した催し(無礼講)」(「プレ」が「ブレ」と、「ヒコ」のH音が脱落して「イコ」となった)
「ヒ(ン)ガ・(ン)ギ(ン)ギア・カウ」、HINGA-NGINGIA-KAU(hinga=fall from an erect position,leanbe outdone in a contest;ngingia=ngia=seem,appear to be;kau=alone,bare,only,without hindrance)、「(身分の高い人が)身分を捨てて・自由に・(他の人々と交流)しているように見える催し(慇懃講)」(「ヒ(ン)ガ」のH音が脱落し、NG音がN音に変化して「イナ」から「イン」と、「(ン)ギ(ン)ギア」の最初のNG音がG音に、次のNG音がN音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギニ」から「ギン」と、「カウ」のAU音がOU音に変化して「コウ」となった)
の転訛と解します。
入浴のための場所。湯殿。浴室。古く江戸初期までは蒸風呂であった。(この「ふろ」については、雑楽篇(その二)の1043風呂(ふろ)の項を再掲しました。)
この「ふろ」は、
「フラ・アウ」、HURA-AU(hura=remove a covering,bare;au=smoke,fog,sea)、「裸になつて・(霧のような)水蒸気を浴びる(蒸し風呂)」(「フラ」の語尾のA音と「アウ」の語頭のA音が連結したAU音がO音に変化して「フロ」となった)
の転訛と解します。
入浴の際、衣類を脱いで包んだ布。物を包む四角形の布。
この「ふろしき」は、
「フラ・アウ・チキ」、HURA-AU-TIKI(hura=remove a covering,bare;au=smoke,fog,sea;tiki,whakatiki=tie up,keep in confinement)、「裸になつて・(霧のような)水蒸気を浴びる(蒸し風呂に入る)・(ときに脱いだ衣類を)包んでおくもの(風呂敷)」(「フラ」の語尾のA音と「アウ」の語頭のA音が連結したAU音がO音に変化して「フロ」と、「チキ」が「シキ」となった)
の転訛と解します。
きっぱりと決心すること。決断。
この「ふんぎり」は、
「フ(ン)ゴ(ン)ゴイ・リ」、HUNGONGOI-RI(hungongoi=trembling,slow,weak,cowardly;ri=screen,protect)、「ためらいを・(遮る)断ち切る(踏切り)」(「フ(ン)ゴ(ン)ゴイ」の最初のNG音がN音に、次のNG音がG音に、語尾のOI音がI音に変化して「フノギ」から「フンギ」となった)
の転訛と解します。
脚を前に出して上体を後ろへそらす。多く、「ふんぞる」を強めて、威張った態度をとるさまをいう。
この「ふんぞりかえる」は、
「フナ・タウリ・カヘル」、HUNA-TAURI-KAHERU(huna=conceal,unnoticed;tauri=band,particularly the plaited flax cord for securing the feathers or dog's hair ornamenting the head of a taiaha(tauri komore=wristlet or anklet);kaheru=chaplet of leaves worn in mourning)、「(戦士が常用する)装飾(付きの棍棒)を・隠して・(より身分高い者がつける)葉の頭飾りを着ける(威張った態度をとる)(踏反り返る)」(「フナ」が「フン」と、「タウリ」のAU音がO音に変化して「トリ」から「ゾリ」と、「カヘル」のH音が脱落して「カエル」となった)
の転訛と解します。
(「ふだん(不断)」の変化した語とする説がある。)絶え間ないこと。とめどのないこと。(「絶え間なくつづく」意から)豊かなさま。ありあまるさま。たくさん。
この「ふんだん」は、
「フムフム・タ(ン)ガ」、HUMUHUMU-TANGA(humuhumu=stripped of prominent parts;tanga=be assembled)、「(光り輝く断片)興味をそそる対象が・(多数)集合しているさま(ふんだん)」(「フムフム」の反復語尾が脱落して「フム」から「フン」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「ダン」となった)
の転訛と解します。
男子の陰部をおおい隠す布。とうさぎ(たふさぎ)。女子の腰巻き。相撲の化粧まわし。など。
この「ふんどし」、「とうさぎ(たふさぎ)」は、
「プニ・ト・オチ」、PUNI-TO-OTI(puni=covered,filled up;to=be conceived,calm,tranquil;oti=finished,gone or come for good)、「(陰部を)覆い・キチンと・包み隠したもの(褌)」(「プニ」のP音がF音を経てH音に変化して「フニ」から「フン」と、「ト」のO音と「オチ」の語頭のO音が連結して「トチ」から「ドシ」となった)
「タフ・タ(ン)ギ」、TAHU-TANGI(tahu=attract,tempt;tangi=sound,cry,weep,resound)、「(人を驚かして)注目を集め・叫び声をあげさせるもの(褌)」(「タフ」(「たふさぎ」の場合はそのまま)のH音が脱落して「タウ」となったそのAU音がOU音に変化して「トウ」と、「タ(ン)ギ」のNG音がG音に変化して「タギ」から「サギ」となった)
の転訛と解します。
(仏語)心の働きが対象を思惟し計量すること。知識による理解。物事をわきまえること。物事の道理、善悪、損得などを考えること。
この「ふんべつ」は、
「プニ・ペヘ・ツ」、PUNI-PEHE-TU(puni=stopped up,blocked;pehe=call leaf;tu=fight with,energetic)、「(人の心が悪に走るのを)止めるために・(注意を促す草の葉の)笛を・力強く吹く(分別)」(「プニ」のP音がF音を経てH音に変化して「フニ」から「フン」と、「ペヘ」のH音が脱落して「ぺ」から「ベ」となった)
の転訛と解します。
「ヘ」
人戸。民家。また、戸籍。
この「へ」は、
「ヘ」、HE(a,an,some)、「(一人、または何人かの)家(戸)」
または「ハエ」、HAE(slit,tear,cut)、「(別々の)家(戸)」(「ハエ」のAE音がE音に変化して「ヘ」となった)
の転訛と解します。
腸内の消化・発酵作用によって発生し、吸収されないで肛門から排出されるガス。おなら。価値の無いもののたとえ。
この「へ」は、
「ヘ」、HE(wrong,erring)、「(人前で放ってはならない)悪臭がするもの(屁)」
の転訛と解します。
令制前、さまざまな職能をもって大和政権に奉仕した集団。多くは伴造(とものみやつこ)に統率されていた。特定の物品を貢納するもの(山部・土師部など)、宮に出仕して労役奉仕するもの(馬飼部・鍛冶部など)、服属した地方の首長らが差し出すもの(舎人部・靫負部など)がある。これらは七世紀後半に解体したが、その遺制は令制の中に組み込まれた。
令制前、王族管理の屯倉(みやけ)、豪族管理の田荘(たどころ)に居住し、耕作に従事した農民。田部。
令制前、王族の管理民である子代・名代の民(白髪部・小泊瀬部など)、また、豪族の管理民である部曲(かきべ)(蘇我部・大伴部など)。
この「べ」は、
「パエ」、PAE(region,direction,number or multitude of an indefinite number,be laid to the charge of anyone)、「(他の部族に)従属している部族(部)」(「パエ」のAE音がE音に変化して「ペ」から「ベ」となった)
の転訛と解します。
推量の意を表す。話し手の意志を表す。相手に命令する意志を表す。相手を誘ってする意志を表す。
この「べい」は、
「ペア・アイ」、PEA-AI(pea=perhaps,indeed,of course;ai=not generally to be translated by any equivalent English word)、「実に(何かを)しよう・ではないか(べい)」(「ペア」のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「ヘアイ」となり、そのAI音がEI音に変化して「ベイ」となった)
の転訛と解します。
(「平」は平気、「ちゃら」は冗談、でたらめなどの意)少しも気にかけないさま。また、たやすいさま。
この「へいちゃら」は、
「ヘイ・チアロア」、HEI-TIAROA(hei=go towards;tiaroa=the long straight side of the paliside of a pa)、「長い真っ直ぐな砦の外柵の縁(一歩踏み外せば深い外濠に落ちる危険がある場所)を・歩いて行く(へいちゃら)」(「チアロア」が「チャラ」となった)
の転訛と解します。
板のように薄く削る。また、貼り合わせたものなどをはがす。物の量などを少し減らす。少なくする。着物などを脱ぐ。他人の持ち物などを素早く盗み取る。横取りする。
この「へぐ」は、
「ハエ・(ン)グ」、HAE-NGU(hae=slit,tear,cut,split;ngu=silent,greedy)、「静かに(またはどん欲に)・切り取る(剥ぐ)」(「ハエ」のAE音がE音に変化して「ヘ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)
の転訛と解します。
拒否、拒絶するさまにいう語。だめ。いけない。気に入らぬ。(だめの意で)ばつ印。ばつ点。
この「ぺけ」は、
「パエ・ケ」、PAE-KE(pae=be over,leave a balance,of numbers,be cast ashore.wrecked,stranded,be thrown down,demolished;ke=different,strange,extraordinary)、「なんとも期待に反して・(難破したように)まったくうまく行っていない(ぺけ)」(「パエ」のAE音がE音に変化して「ペ」となった)
の転訛と解します。
牛。また、牛の子。(この「べこ」については、国語篇(その十一)の023南部牛追唄の項の「べご」から掲載しました。)
この「べこ」は、
「パエコ」、PAEKO(idle)、「(どちらかといえば動きが)鈍重な(動物。牛)」(AE音がE音に変化して「ペコ」から「ベコ」となった)
の転訛と解します。
(もと薩摩の兵児(へこ。十五歳以上二十五歳以下の青年男子)が用いたところからとする説がある)男子や子供のしごき帯。また、その帯を締めた人。
この「へこおび」、「へこ」は、
「ハエ・カウ・オ・ピヒ」、HAE-KAU-O-PIHI(hae=slit,tear,cut;kau=alone,bare,only;o=the...of;pihi=some ornament for the person,watertight(pihipihi=a garment for the waist))、「(一巾の)布地を・(しごいて二巻し後ろで結んで垂らすだけの長さに)切っただけのもので・例の・(腰に巻く)締めるもの(兵児帯)」(「ハエ」のAE音がE音に変化して「ヘ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「ピヒ」のH音が脱落して「ピ」から「ビ」となった)
「ヘイ・カウ」、HEI-KAU(hei=go towards(whakahei=fulfil,satisfy an obligation);kau=alone,bare,only)、「ひたすら・(質実剛健で、与えられた任務の遂行に)一路邁進する青年男子(兵児)」(「ヘイ」が「ヘ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)
の転訛と解します。
胎児のとき臍帯(へそのお)が付着し、これを通じて胎盤から胎児に血液、ガスや栄養物が循環していたところの残遺。腹部の全面中央にある。物の表面の小さな出っ張り。器物・道具類などの小突起。また、小さく凹んだ部分。へそくり金。など。(この「へそ」については、国語篇(その三)の第2章 身体語、頭からおでこ・おっぱい・手・足までのへそ・へそくりの項から再掲しました。)
この「へそ」、「へそのお」は、
「ハエ・ト」、HAE-TO(hae=slit,tear,cut,cause pain;to=drag,open or shut a door or a window)、「(戸を開けて胎児が外へ出る)出産すると・(胎盤に繋がる臍の緒を)切断するもの(臍)」、「(臍の胡麻を)取ると・(腹が)痛くなるもの(臍)」または「取られると・痛いもの(秘密の貯金。へそくり)」(「ハエ」のAE音がE音に変化して「ヘ」と、「ト」が「ソ」となった)
「ハエ・ト・ノ・アウ」、HAE-TO-NO-AU(hae=slit,tear,cut,cause pain;to=drag,open or shut a door or a window;no=of;au=firm,sound of sleep,intense)、「(戸を開けて胎児が外へ出る)出産すると・(胎盤に繋がる臍の緒を)切断したもの・の・(切断後)堅くなったもの(臍緒)」(「ハエ」のAE音がE音に変化して「ヘ」と、「ト」が「ソ」と、「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」となった)
の転訛と解します。
織機にかけられるように撚り合わせた麻糸。また、紡いだ麻糸を巻き付けた糸巻きの一種。
この「へそ」は、
「ヘイ・タウ」、HEI-TAU(hei=go towards,turn towards;tau=string of a garment,etc.,bundle)、「撚りがかけられた(織機にかけられるように調整された)・(衣服に織るための巻かれた麻の)糸(綜麻)」(「ヘイ」が「ヘ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」となった)
の転訛と解します。
子供などが口を歪めて泣き顔をすること。また、その顔。
この「べそ」は、
「パエ・タウ」、PAE-TAU(pae=horizen,transverse beam;tau=fall of blows,float,come over,supervene,of feelings)、「(口唇を)横一文字に結んで(泣き顔をして)・(今にも)感情があふれ出そうになる(べそ)」(「パエ」のAE音がE音に変化して「ペ」から「ベ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」となった)
の転訛と解します。
(綜麻(へそ)を繰って貯めた金銭の意とする説がある)他人に知られないように、少しずつ貯えた金銭。
この「へそくり」は、
「ハエ・ト・クフ・ウリ」、HAE-TO-KUHU-URI(hae=slit,tear,cause pain;to=drag,open or shut a door or a window;kuhu=thrust in,insert;uri=dark,deep in colour)、「(表に出て)取られると・痛い・暗いところに・入れて(隠して)おくもの(へそくり)」(「ハエ」のAE音がE音に変化して「ヘ」と、「ト」が「ソ」と、「クフ」のH音が脱落し、その語尾のU音と「ウリ」の語頭のU音が連結して「クリ」となった)
の転訛と解します。
(「はた(端)」あるいは「へた(端)」の変化したもので、奥深くないの意からかとする説がある。)物事に巧みでないこと。拙劣であること。また、そのさまや人。なまじっかなことをして結果が悪くなること。また、そのさま。身分が卑しいこと。また、性質や行状のよくないこと。また、そのさまや人。
この「へた」は、
「ヘ・タ」、HE-TA(he=wrong,mistaken,in trouble or difficulty;ta=dash,beat,lay)、「(いつも)失敗・してしまう(下手)」
の転訛と解します。
(「へ」は竈、「つ」は「の」の意の古い格助詞、「ひ(い)」は霊威の意とする説がある。)竈を守る神。かまどの神。かまど。へっつい。
この「へつい」は、
「ハエ・ツ・ツヒ」、HAE-TU-TUHI(hae=slit,shine,gleam;tu=fight with,energetic;tuhi=redden,glow,conjure)、「まるで魔法をかけたように・勢いよく・(燃えて)赤々と輝く(竈)」(「ハエ」のAE音がE音に変化して「ヘ」と、「ツ」は「へっつい」の場合にはそのまま、「へつい」の場合には後の「ツヒ」の「ツ」と連結して「ツヒ」となり、「ツヒ」のH音が脱落して「ツイ」となった)
の転訛と解します。
(「めかこう」の変化した語と解する説がある。)指で下瞼を引き下げて裏の赤い
部分を見せること。からかいや拒否の気持ちをあらわす時などにする仕草。また、その仕草をする時にいう言葉。一緒に舌を出すこともある。あかんべ。べかこ。べっかっこう。べっかんこう。
この「べっかこう」は、
「パエ・カ・コフ」、PAE-KA-KOHU(pae=lie across,laid to the charge of anyone,be cast ashore;ka=to denote the commencement of a new action or condition;kohu=curse)、「悪態をつく・動作を・して見せる(べっかこう)」(「パエ」のAE音がE音に変化して「ペ」から「ベッ」と、「コフ」のH音が脱落して「コウ」となった。)
の転訛と解します。
体をかがめて、尻を後方へ突き出した不安定な腰つき。また、そのさま。及び腰。
自信がなく不安な様子。おっかなびっくりにするさま。及び腰。
この「へっぴりごし」は、
「ヘ・ヒリ・ココチ」、HE-HIRI-KOKOTI(he=wrong,mistaken,in trouble or difficulty;hiri,hihiri=laborious,energetic,spring up,risr up;kokoti=ambuscade)、「(待ち伏せの)中腰の姿勢から・(勢いよく)立ち上がるのに・不安がある中途半端なさま(屁っ放り腰)」(「ヘ」が「ヘッ」と、「ヒリ」が「ピリ」と、「ココチ」の反復語頭が脱落して「コチ」から「ゴシ」となった)
の転訛と解します。
(中国語からかとする説がある。)偽りだますこと。また、その手段。
この「ぺてん」は、
「パエ・テネ」、PAE-TENE(pae=lie across(whakapae=lay across,accuse,make an accusation,besiege);tene=invented,impromptu)、「嘘をでっち上げた(だまされた)と・(非難)告発するもの(詐欺)」(「パエ」のAE音がE音に変化して「ペ」と、「テネ」が「テン」となった)
の転訛と解します。
(へなちょこ)未熟な奴。取るに足りない者。また、そのような人を罵っていう語。(へちゃむくれ。ヘチマの皮がむくれることの意からとする説がある)人を罵って言う語。へちむくれ。
この「へなちょこ」、「へちゃむくれ」は、
「ヘ(ン)ガ・チオホ・コ」、HENGA-TIOHO-KO(henga=he=wrong,erring,mistaken,in trouble or difficulty;tioho=apprehensive;ko=in adressing girls and males)、「(いつも)失敗するのではと・心配な・奴(へなちょこ)」(「ヘ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ヘナ」と、「チオホ」のH音が脱落して「チョ」となった)
「ヘ・エチア・ムフ・クレ」、HE-ETIA-MUHU-KURE(he=wrong,erring,mistaken,in trouble or difficulty;etia=as if,as if like;muhu=stupid,untaught,incorrect;kure=cry like a seagull)、「変な奴で・まるで・素っ頓狂な・(カモメのように)ギャーギャーとわめき立てる奴(へちゃむくれ)」(「ヘ」のE音と「エチア」の語頭のE音が連結して「ヘチア」から「ヘチャ」と、「ムフ」のH音が脱落して「ム」となった)
の転訛と解します。
@技量の拙いこと。腕前の拙劣なさま。また、その人。へた。優れたところのない、平凡なこと。また、その人やそのさま。A野菜・果物のできの悪いこと。また、その物やそのさま。水疱瘡。地蜂の一種。
この「へぼ」は、
@「ヘ・ポウ」、HE-POU(he=wrong,erring,mistaken,in trouble or difficulty;pou=teacher,expert)、「(失敗ばかりする)技量の拙い・(専門家)奴(下手)」(「ポウ」が「ボ」となった)
A「ヘ・パウ」、HE-PAU(he=wrong,erring,mistaken,in trouble or difficulty;pau=consumed,exhausted,denoting the complete or exhaustive character of any action)、「失敗した(または異様な)・製作物(へぼ)」(「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボ」となった)
の転訛と解します。
家の中で、一定の人の用にあてる室。曹司。座敷。間。殿中で、宮仕えの女の居間。局。長局。など。
この「へや」は、
「ヘイ・イア」、HEI-IA(hei=go towards,turn towards,be requited(whakahei=go to meet,welcome,a person arriving,fulfil,satisfy an obligation,grant a request);ia=indeed,he,she,him,her,it)、「実に(誰かの)・用にあてるもの(部屋)」(「ヘイ」の語尾のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「ヘイア」から「ヘヤ」となった)
の転訛と解します。
江戸時代、寛文末年から延宝初年にかけてね見世物で評判をとった奇人。容貌極めて醜く愚鈍なしぐさで観客の笑いを誘ったという。ばかな人。たわけ。ばか。あほう。多く、人を罵っていう語。ばかなさま。ばかげているさま。また、そのようなこと。あまりに甚だしいさま。むやみやたら。法外。「べらぼうめ」は「べらぼう」に軽蔑の意の接尾語「め」がついたもの。
この「べらぼう」、「べらぼうめ」は、
「ペラ・パウ」、PERA-PAU(pera=like that,treat or do in that way,act or behave in that way,so;pau=consumed,exhausted,denoting the complete or exhaustive character of any action)、「(疲れ切った)抜け殻のような・思慮のない行動をするやつ(べらぼう)」(「ペラ」が「ベラ」と、「パウ」のAU音がOU音に変化して「ポウ」から「ボウ」となった)
「ペラ・パウ・メア」、PERA-PAU-MEA(pera=like that,treat or do in that way,act or behave in that way,so;pau=consumed,exhausted,denoting the complete or exhaustive character of any action;mea=one,used of persons whom it is unnecessary or impossible to name)、「(疲れ切った)抜け殻のような・思慮のない行動をする・つまらない奴(べらぼうめ)」(「ペラ」が「ベラ」と、「パウ」のAU音がOU音に変化して「ポウ」から「ボウ」と、「メア」が「メ」となった)
の転訛と解します。
(「2424べらぼうめ」の変化した語とする説がある。)主として江戸っ子が人を罵っていう語。ばか。江戸っ子(自称)。
この「べらんめえ」は、
「パエラ(ン)ギ・マイ」、PAERANGI-MAI(paerangi=coming from a distance,stick feathers into the hair;mai=hither,to indicate direction or motion towards,or character in relation to,the speaker)、「昔からこういうやり方(江戸っ子気性)で・ずっとやってきた(それを誇りにしている)者(べらんめえ)」(「パエラ(ン)ギ」のAE音がE音に、NG音がN音に変化して「ベラニ」から「ベラン」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」から「メエ」となった)
の転訛と解します。
時が来てまた、去っていく。時間が過ぎていく。経過する。日月を送る。歳月を送る。時を過ごす。ある段階を通る。ある地位や段階を経験する。そこを通って他の所へ行く。通り過ぎる。所定の手続きをふむ。
この「へる」は、
「ヘル」、HERU(begin to flow(of the tide only),glide,as anything floating in the water)、「(水が流れるように)時(や段階、場所など)が過ぎていく(経る)」
の転訛と解します。
量・数・程度などが減少する。大きさが小さくなる。乏しくなる。空腹になる。ひもじくなる。
この「へる」は、
「ハエ・ル」、HAE-RU(hae=slit,tear,cut,split;ru=shake,agitate,scatter)、「(切り落とす)減らされて・(散らされる)消えていく(減る)」(「ハエ」のAE音がE音に変化して「ヘ」となった)
の転訛と解します。
(ポルトガル語 Bengala インドのベンガルで算出したところからとする説がある。)黄味を帯びた赤色顔料。酸化第二鉄を主成分とする。この「べんがら」については、雑楽篇(その二)の909紅殻(べんがら)の項を参照してください。
この「べんがら」は、
「ペナ・(ン)ガラフ」、PENA-NGARAHU(pena=like that,treat in that way;ngarahu=charcoal or any black pigment,cinders)、「(顔料の)木炭(の粉)に・類似した顔料」(「ペナ」が「ペン」から「ベン」に、「(ン)ガラフ」のNG音がG音に変化し、語尾の「フ」が脱落して「ガラ」となった)
の転訛と解します。
変なさま。奇妙なさま。ばかげているさま。また、そのようなものや人。へんちきりん。へんちくりん。へんてこりん。
この「へんてこ」は、
「ヘ(ン)ガ・テコ」、HENGA-TEKO(henga=he=wrong,erring,mistaken,in trouble or difficulty;teko=isolated,standing out)、「変な(さま)が・突出しているもの(へんてこ)」(「ヘ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ヘナ」から「ヘン」となった)
の転訛と解します。
便利なこと。重宝なこと。都合がよいこと。またねそのさま。外出先で食事するため、器物に入れて持ち運ぶ食物。また、それを入れる器物。外出先で仕出し屋などから取り寄せて食べる食事。仕出し弁当。
この「べんとう」は、
「ペヌ・タウ」、PENU-TAU(penu=quite,completely;tau=alight,come to rest,be suitable,be comely)、「全く・便利なもの(弁当)」(「ペヌ」が「ベン」と、「タウ」のAU音がOU音に変化して「トウ」となった)
の転訛と解します。
(果実の形が柄の付いた平たい倒三角形で三味線の撥(ばち)に似ているところから音を連想していうとする説がある。)植物「なずな」の異名。
この「ぺんぺんぐさ」、「なずな」は、
「ペヌ・ペヌ・クタ」、PENU-PENU-KUTA(penu=smear,a digging instrument,pestle;kuta=a rush,Scirpus lacustris)、「掘って・掘る道具(鍬の先に似た果実を付ける)・草(ペンペン草)」(「ペヌ」が「ペン」と、「クタ」が「グサ」となった)
「ナツ・ナ」、NATU-NA(natu=scratch,mix,tear out;na=satisfied,content)、「(引っ掻くように)土を掘るのに・十分なもの(鍬の先に似た果実を付ける草)(なずな)」(「ナツ」が「ナズ」ととなった) <
の転訛と解します。
「ホ」
他人に飯米などを施すこと。また、その飯米。転じて「ものもらい」。乞食。麦粒腫(ばくりゅうしゅ。ものもらい)。(この「麦粒腫」については、国語篇(その十六)の209ものもらいの項から再掲しました。)居候。食客。
この「ほいと」は、
「ハウ・イト」、HAU-ITO(hau=food used in the ceremonies of pure,or removal of tapu from a newly built house ,canoe,etc.;ito=object of revenge,trophy of an enemy,enemy)、「他人(が施す、から得る)の・食料(またはそれで生活する人)(ほいと)」(「ハウ」のAU音がO音に変化して「ホ」となった)
(麦粒腫)「ハウ・イト」、HAU-ITO(hau=project,overhang,exceed;ito=object of revenge,trophy of an enemy,enemy)、「(誰かの復讐の)思いがかけられた・(瞼を腫らせて)垂れ下がるもの(麦粒腫)」(「ハウ」のAU音がO音に変化して「ホ」となった)
の転訛と解します。
木の枠や籠の底に厚手の和紙を貼り、炭火を用いて遠火で茶の葉や薬草、海苔などを乾燥させる道具。ほいろう。
この「ほいろ」は、
「ホイ・ロウ」、HOI-ROU(hoi=fae off,distant;rou=reach or procure by means of a pole,intoxicated,staggering,tottering)、「(火の)遠くで・揺らすもの(焙炉)」(「ロウ」が「ロ」となった)
の転訛と解します。
細長くて、手に持って振り回すことができるくらいの木・竹・金属製などのもの。樫の木などの堅い木を六尺ぐらいの長さに細長く削って武具としたもの。近世、辻番・自身番に詰める者や明治初期の巡査が持った三尺くらいの棒。折れたり曲がったりせずに真っ直ぐであること。単調で変化のないこと。など。
この「ぼう」は、
「ポウ」、POU(post,pole,stake,support)、「細長い棒(棒)」(「ポウ」が「ボウ」となった)
の転訛と解します。
(「酒間」を幇(たす)ける意とする説がある。)遊客の機嫌をとり、酒興を盛り上げることを業とする男。たいこもち。また、人の機嫌をとる者。
この「ほうかん」は、
「ハウ・カネヘ」、HAU-KANEHE(hau=famous,illustrious,be heared;kanehe=regretful,yearning,fond)、「(人を甘やかす)機嫌を取ることに・(有名な)長けている者(幇間)」(「ハウ」のAU音がOU音に変化して「ホウ」と、「カネヘ」のH音が脱落して「カネ」から「カン」となった)
の転訛と解します。
2436ほうがん(判官)・をぐりほうがんとてるてひめ(小栗判官と照手姫)
令制の四等官制で、第三等官の総称。特に衛門の尉であって検非違使を兼ねるもの。(検非違使の尉であったところから)源義経。など。(この「ほうがん(判官)」は、前出2262ひいき(贔屓)の項の「ほうがんびいき(判官贔屓)」から再掲しました。)なお、「くろうほうがん(九郎判官)」の「くろう」は「苦労」のもじりかも知れません。
この「ほうがん」、「をぐりほうがんとてるてひめ」は、
「ホウ・(ン)ガナ」、HOU-NGANA(hou=enter,force downwards or under;ngana=obstinate,persistent,strong,brave,rage)、「(しつこく)長期にわたって・(抑圧されている)不遇な(人。判官)」(「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」から「ガン」となった)
「オ・(ン)グ・ウリ・ホウ・(ン)ガナ・タウ・タイルア・ウテ」、O-NGU-URI-HOU-NGANA-TAU-TAIRUA-UTE-HI-MAI(hou=enter,force downwards or under;ngana=obstinate,persistent,strong,brave,rage;hi=raise,draw up,rise;hiki=lift up,carry in the arms,nurse,recite the charm hiki(a charm for raising anything from the water,or to cause people to migrate ,or to free the hands from tapu))、「(しつこく)長期にわたって・(抑圧されている)不遇な・(人を)引き立て・大事にする(判官贔屓)」(「(ン)ガナ」のNG音がG音に変化して「ガナ」から「ガン」となった)
の転訛と解します。
(「ははき(箒)」の変化した語とする説がある。)ごみ、ほこりなどをはきよせ掃除する道具。
この「ほうき」は、
「ハウ・ウキウキ」、HAU-UKIUKI(hau=eager,seek;ukiuki=old,lasting,continuous)、「せっせと(ごみを)集めて(捨て)・続けるもの(箒)」(「ハウ」のAU音がO音に変化して「ホ」と、「ウキウキ」の反復語尾が脱落して「ウキ」となった)
の転訛と解します。
頭にかぶるもの。昔、布で作ったかぶり物の総称。頭巾。烏帽子。綿帽子。近代以降の帽子。など。
この「ぼうし」は、
「ポウ・チヒ」、POU-TIHI(pou=post,pole,elevate upon poles,establish,place;tihi=summit,top,lie in a heap)、「頭のてっぺんに・載せるもの(帽子)」(「ポウ」が「ボウ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」から「シ」となった)
の転訛と解します。
(仏語)大寺院の中の、一坊の主僧をいう。僧房のあるじ。寺房の住職。僧侶の俗称。髪を剃ったり短く刈ったりした頭。また、その人。江戸幕府の職名。場内の雑役にしたがった。丸くて毛の無いもののたとえ。男の幼児。など。(この「ぼうず(坊主)」は、国語篇(その十五)の119そうりょ(僧侶)の項の「ボーズ」から再掲しました。)
この「ぼうず」は、
「ポウ・ツ」、POU-TU(pou=pole,support,teacher,expert;tu=stand,settle,fight with,energetic)、「懸命に修行をする・(有り難い教えを教える)先生(僧侶)」(「ポウ」が「ボウ」と、「ツ」が「ズ」となった)
の転訛と解します。
(庖(くりや)の丁(よほろ)の意)食事を調理する人。料理人。包丁師。(ーする)料理すること。料理。割烹。料理の腕前。包丁を使う技。(包丁刀の略)料理に使用する刃物の総称。
この「ほうちょう」は、
「ハウ・チホウ」、HAU-TIHOU(hau=food used in the ceremonies of pure,or removal of tapu from a newly built house ,canoe,etc.;tihou=an implement used for cultivating)、「食物を・(耕作する道具)調理する道具(包丁)」(「ハウ」のAU音がOU音に変化して「ホウ」と、「チホウ」のH音が脱落して「チオウ」が「チョウ」となった)
の転訛と解します。
それまでの努力や苦心の結果をすっかり無にしてしまう。無駄にする。だめにする。ふいにする。
この「ほうにふる」は、
「ポウ・ニヒ・フル」、POU-NIHI-HURU(pou=post,pole,stake;nihi=move stealthly,steal away;huru=an incantation recited over weapon before fighting)、「(せっかく戦闘の前に)呪文を唱えて魔法の力を籠めた・(棒)武器を・(静かに行動した)使うことが無かった(棒に振る)」(「ポウ」が「ボウ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった)
の転訛と解します。
棒の先端。駕籠をかつぐ棒の先。また、それをかつぐ者。転じて、いちばん先。先頭。最初。(宿場の境に境界を示す棒杭が立っていたところから)宿駅・宿場のはずれ。
この「ぼうばな」は、
「ポウ・ハ(ン)ガ」、POU-HANGA(pou=post,pole,stake;hanga=make,work,thing,head of a tree)、「棒の・(樹木の先端)先(棒端)」(「ポウ」が「ボウ」と、「ハ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ハナ」から「バナ」となった)
の転訛と解します。
線を引くこと。特に、帳簿などの記載を線を引いて消すこと。(線を引いて文字や数字を消すところから)金銭の貸し借りや支払いの義務などを無しにすること。帳消し。
この「ぼうびき」は、
「ポウ・ピキ」、POU-PIKI(pou=pau=consumed,exhausted,denoting the complete or exhaustive character of any action;piki=assistant,come to the rescue of,support)、「援助して・(債務等を完全に)無いものとする(棒引き)」(「ポウ」が「ボウ」と、「ピキ」が「ビキ」となった)
の転訛と解します。
(梵語 upaya の意訳)仏語。仏教で下根の衆生を真の教えに導くために用いる便宜的な手段。また、その手段を用いること。法便。特に、密教では自利と利他、向上と向下の両義にとり、自利と利他の実践を完成することとする。目的のために利用される一時の手段。また、その手段を用いること。てだて。計略。「嘘も方便」。都合のよいさま。
この「ほうべん」は、
「ハウ・ペナ」、HAU-PENA(hau=strike,chop,act energetically;pena=take care of,tend)、「(相手の機嫌をとる)相手の気に入るような(手段を用いて)・精力的に(説得など)行動する(方便)」(「ハウ」のAU音がOU音に変化して「ホウ」と、「ペナ」が「ベン」となった)
の転訛と解します。
今にも這い出さんばかりの様子。ひどく恐縮し、またさんざんな目にあい、あわてて逃げ出すさまをいう。
この「ほうほうのてい」は、
「ハウハウ・ナウ・テイ」、HAUHAU-NAU-TAI(hau,hauhau=strike,chop,act energetically;nau=go,come;tei,teitei=high,summit,top)、「精力的な打撃を受けて・出て行くのが・(最高の)極めてひどい状況であるさま(這々の体)」(「ハウハウ」のAU音がOU音に変化して「ホウホウ」と、「ナウ」のAU音がO音に変化して「ノ」となった)
の転訛と解します。
死体や遺骨などを土の中に埋める。埋葬する。ある物事を表面に出さないで隠してしまう。取り上げて問題にすることなく、そのままにしておく。人の失敗や悪行などを暴露・攻撃して、その社会的な立場を失墜させる。捨てる。
この「ほうむる」は、
「ホフホフ・ム・ウル」、HOHUHOHU-MU-URU(hohuhohu=sob violently;mu=show discontent with,silent;uru=enter,reach a place(whakauru=join,insert))、「悲嘆に暮れて・泣きじゃくりながら・(死体や遺骨などを地下に)埋める(葬る)」(「ホフホフ」のH音および反復語尾が脱落して「ホウ」と、「ム」のU音と「ウル」の語頭のU音が連結して「ムル」となった)
の転訛と解します。
素焼きの平たい土鍋。米・豆・塩などを炒るのに用いる。火あぶりにすること。火あぶりの刑。
この「ほうろく」は、
「ハウロクロク」、HAUROKUROKU(unsettled,uncertain)、「(火の上に固定せず)常に動かしている(調理器具)(焙烙)」(AU音がOU音に変化し、反復語尾が脱落して「ホウロク」となった)
の転訛と解します。
ほおぼね。また、ほおぼねあたりの頬。相手の口さき。また、ものを言うことや、その言葉を罵っていう語。
この「ほおげた」は、
「ホ・アウ・(ン)ゲタ(ン)ゲタ」、HO-AU-NGETANGETA(ho=put out the lips,pout,droop,shout;au=firm,intense;ngetangeta=worn-out garment,rag)、「唇を突き出して・しまる(収縮する)もの(頬)が・(すり切れた布のよう)やせ細って(骨ばかりになって)いる(頬桁)」(「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「(ン)ゲタ(ン)ゲタ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「ゲタ」となった)
の転訛と解します。
空間的・平面的にある範囲や区画・限界などの外側の部分。外側の場所。そと。ある場所以外の所。よそ。別の場所や方角。ある社会・仲間・機関など、限られた世界以外の世界。よそ。それ以外の物や事柄や時間。別。外側から見た様子。また、表面に現れた様子。外見。うわべ。表面。程度や事柄が、ある基準の外にあること。また、そのさま。
この「ほか」は、
「ホカ」、HOKA(soar,fly,run out,be paid out,as a net from a moving canoe)、「ある限られた場所または世界から離れた場所または世界(他)」
の転訛と解します。
遠行の際に食料を納めて持参させる曲物の類。弁当箱の一種。また、食物を納める移動用の調度。塗り物で円筒形、蓋と外へ反った三つの脚がある。
この「ほかい」は、
「ホカイ」、HOKAI(extended,far apart)、「(食物を)遠く外へ持ち運ぶ(容器)(行器。外居)」
の転訛と解します。
神を祝福し幸いを招くこと。ことほぐこと。転じて、神仏に食物などを供えて祭ること。「ほかいひと」の略。
この「ほがい」は、
「ホ(ン)ガイ」、HONGAI(=hokai=stay,brace(diagonal,brace,stay,as crossed sticks to keep a hinaki in place))、「(神聖な巨木とされるホルトノキの前に交差した木柱を立てるように)神を祀る(寿)」(NG音がG音に変化して「ホガイ」となった)
の転訛と解します。
(「ほうか(放下)す」の変化とする説がある。)放り捨てる。投げ捨てる。うち捨てる。(この「ほかす」は、国語篇(その十五)の110すてる(捨てる)の項から再掲しました。)
この「ほかす」は、
「ホカ・ツ」、HOKA-TU(hoka=soar,fly,run out;tu=fight with,enwegetic)、「懸命に・飛ばす(捨てる)」(「ツ」が「ス」となった)
の転訛と解します。
(古代は「ほく」)良い結果が得られるように、祝福の言葉を唱える。また、そのようにして神に祈る。ことほぐ。相手に悪い結果が来るように神に祈る。のろう。
この「ほぐ」は、
「ホ(ン)ゴイ」、HONGOI(=hongai=hokai=stay,brace(diagonal,brace,stay,as crossed sticks to keep a hinaki in place)、「(神聖な巨木とされるホルトノキの前に交差した木柱を立てるように)神を祀る(寿)」(NG音がG音に、OI音がU音に変化して「ホグ」となった)
の転訛と解します。
書画などを書き損じて不要となった紙。2459ほご。役に立たなくなったもの。むだ。不要。取り消し。無効。
この「ほぐ」、「ほご」は、
「ホ・(ン)グ(ン)グ」、HO-NGUNGU(ho=pout,a mark of derision,droop;ngungu=glance off,turn aside,lead astray)、「価値がないと(軽蔑されて)・見捨てられたもの(反故)」(「(ン)グ(ン)グ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「グ」となった)
の転訛と解します。
無口で愛想のない人。道理のわからない者、気の利かない者を罵っていう語。わからずや。
この「ぼくねんじん」は、
「パウク・ネネ・チナ」、PAUKU-NENE-TINA(pauku=a thick closely woven cloak of flax which when dipped in water served as a protection from spear thrust;nene=fat,be saucy;tina=fixed,firm,satisfied,exhausted)、「(槍から身を守る)厚い布の上着を着た・太って・(満足した)悠然としている者(人の気持がわからず、また、理解しようともしていないようにみえる者)(朴念仁)」(「パウク」のAU音がO音に変化して「ポク」から「ボク」と、「ネネ」が「ネン」と、「チナ」が「チン」から「ジン」となった)
の転訛と解します。
皮膚の表面に見られる濃褐色の色素斑。メラニン色素を含む母斑細胞の集合したもの。
この「ほくろ」は、
「ホ・ク・ラウ」、HO-KU-RAU(ho=pout,a mark of derision,droop;ku,kuku=firm,stiff,thickened;rau=leaf)、「(異様なものとして)蔑視される・(皮膚の上に)固着した・(葉のような)小片(黒子)」(「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」となった)
の転訛と解します。
(「ほけ」とも)ぼけること。また、ぼけた人。阿呆。ばか。軽口や漫才で滑稽な役を演ずる者。取引相場で、立会前の人気に比べて以外に安いことを言う。
この「ぼけ」は、
「ホ・ケ」、HO-KE(ho=pout,a mark of derision,droop;ke=different,strange,extraordinary)、「異常に・(人の)精神活動が弱くなること(ぼけ)」(「ホ」が「ボ」となった)
の転訛と解します。
敵を突き刺すのに用いる長柄の武器。それをかたどり、刃をつけず、装飾を施すなどしたもの。神事や祭礼、特に御霊会に、それを立てた山車を巡行させる。
この「はこ」は、
「ハウ・ココ」、HAU-KOKO(hau=eager,brisk,seek,strike,smite,chop;koko=thrust,dig up)、「突き刺す・ことに用いられる(ことを(熱望)当然とする)武器(矛。鉾)」(「ハウ」のAU音がO音に変化して「ホ」と、「ココ」の反復語尾が脱落して「コ」となった)
の転訛と解します。
書画などを書き損じて不要となった紙。2454ほぐ。役に立たなくなったもの。むだ。不要。取り消し。無効。
この「ほご」は、
「ホ・(ン)ゴ(ン)ゴ」、HO-NGONGO(ho=pout,a mark of derision,droop;ngongo=waste away,become thin)、「価値がないと(軽蔑されて)・捨てられたもの(反故)」(「(ン)ゴ(ン)ゴ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「ゴ」となった)
の転訛と解します。
(「ほくら(神庫)」の変化した語とする説がある。この「ほくら」については、地名篇(その五)の奈良県の(53) 石上神宮の項の「ほくら(天神庫)」を参照してください。)神を祀る社殿。神社。おおくは、小さなやしろをいう。
この「ほこら」は、
「ホ・コラ」、HO-KORA(ho=pout,a mark of derision,droop;kora=small fragment,person of no account(korakora=particle,anything,small))、「小さくて・(軽)蔑視されるもの(祠)」
または「ホウ・コラ」、HOU-KORA(hou=dedicate or initiate a person ,etc.establish by rites;kora=small fragment,person of no account(korakora=particle,anything,small))、「(神に)奉納された・小さなやしろ(祠)」(「ホウ」が「ホ」となった)
の転訛と解します。
飛び散る粉のようなごみ。細かいちり。数量や金銭などのあまり。残余。はした。極めて僅かなもののたとえ。
この「ほこり」は、
「ハウコリ」、HAUKORI(moving briskly)、「活発に動き回るもの(ほこり)」(AU音がO音に変化して「ホコリ」となった)
または「ホ・コリ」、HO-KORI(ho=pout,a mark of derision,droop;kori=move,wriggle,bestir oneself)、「価値のない・舞い上がるもの(ほこり)」
の転訛と解します。
名誉に思うこと。自慢すること。また、その心。
この「ほこり」は、
「ハウ・コリ」、HAU-KORI(hau=famous,illustrious,resound,be heard,report;kori=move,wriggle,bestir oneself)、「(自分の)内心から湧き起こる・(自分の他に優越する)華々しさの(報告)自慢(誇り)」(「ハウ」のAU音がO音に変化して「ホ」となった)
の転訛と解します。
心のままにするさま。勝手気ままであるさま。散漫で、だらしがないさま。放恣。
この「ほしいまま」は、
「ハウ・チヒ・ママ」、HAU-TIHI-MAMA(hau=eager,brisk,seek;tihi=summit,top,lie in a heap;mama=free from tapu)、「(自分の)欲することを・(最高に)全く・(すべてのこの世の禁制を無視して)勝手に行うこと(ほしいまま)」(「ハウ」のAU音がO音に変化して「ホ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」から「シイ」となった)
の転訛と解します。
後悔する。すでに及ばないことを悔やむ。
この「ほぞをかむ」は、
「ハウトア・ワウ・カム」、HAUTOA-WAU-KAMU(hautoa=courage,bravery;wau=foolish,silly;kamu=eat,munch,move the mouth as if eating)、「勇気や度胸が宿るという臍が・(後に)馬鹿なことをしたと・唇を噛みしめる(後悔する)(臍を噛む)」(「ハウトア」のAU音がO音に変化し、語尾のA音が脱落して「ホト」から「ホゾ」と、「ワウ」のAU音がO音に変化して「ヲ」となった)
の転訛と解します。
(ほだ)焚火などにする木の切れ端。大きな材木。また、地面に倒れている朽ち木。
この「ほだ」は、
「ポタ」、POTA(broken,small,fragment,small portion)、「(薪にしかならない木の)切れ端(榾)」(P音がF音を経てH音に変化して「ホタ」から「ホダ」となった)
または「ホ・タ」、HO-TA(ho=pout,a mark of derision,droop;ta=stem of a plant)、「(利用価値が無く)見捨てられた・材木(ほだ)」(「タ」が「ダ」となった)
の転訛と解します。
(ボタ)炭鉱で、石炭採掘に際し、いっしょに掘り出された岩石や、選炭後の屑石炭をいう。特に九州地方を中心に用いられ、北海道地方では「ズリ」という。
この「ボタ」、「ズリ」は、
「ポタ」、POTA(broken,small,fragment,small portion)、「(小さな)屑石炭(ボタ)」(「ポタ」が「ボタ」となった)
「ツリツリ」、TURITURI(noise,threat)、「(堆積したものが崩れると)危険なもの(ズリ)」(反復語尾が脱落して「ツリ」から「ズリ」となった)
の転訛と解します。
柳、檜などの木の枝を、細かく削りかけて造った細工物。けずりかけ。稲などの穂が豊かに実って垂れ下がること。たれほ。
この「ほだれ」は、
「ハウ・タレ」、HAU-TARE(hau=project,overhang,exceed,excess;tare=hang,be drawn towards,be intent upon)、「(突き出たもの)稲などの穂や削り掛けたものが・垂れ下がったもの(穂垂れ)」(「ハウ」のAU音がO音に変化して「ホ」と、「タレ」が「ダレ」となった)
の転訛と解します。
@(ポルトガル語 botao )衣類などの合わせ目を留めるのに用いるもの。装飾とするものもある。
A(英語 button )指で押して呼び鈴やベルを鳴らしたり、機械類を作動させたりする小さな突起。
この「ぼたん」は、
@「ポ・タ(ン)ガ」、PO-TANGA(po=pat wuth the hand;tanga=be assembled)、「手で触って・(衣類を)つなぎ合わせるもの(ぼたん)」(「ポ」が「ボ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」となった)
A「ポ・タ(ン)ガ」、PO-TANGA(po=pat wuth the hand;tanga,tatanga=prompt,ready to hand)、「手で触ると・すぐに反応するもの(ぼたん)」(「ポ」が「ボ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」となった)
の転訛と解します。
女性の陰部。女陰。山間のくぼんだ所。
この「ほと」は、
「ホト」、HOTO(start,make a convulsive movement,be apprehensive,suspicious,dislike)、「(痙攣を起こす)隠すべき場所(陰部)」
の転訛と解します。
(「ほと」は梵語 Buddha の漢訳「仏」の音の変化したもの、「け」は「気」で霊妙なものの意とするなどの説がある。)仏語。仏陀のこと。釈迦仏、阿弥陀仏、薬師仏などすべてにいう。仏像。また、仏の画像など。仏法。また、仏教徒。死者の霊。死人。僧侶。慈悲心の深い人。転じて、気の良い人。など。
この「ほとけ」は、
「ハウト・ケ」、HAUTO-KE(hauto=draw,drag;ke=diffrent,strange,extraordinary)、「(悟りの境地に)人を導く・尋常でない人(仏)」(「ハウト」のAU音がO音に変化して「ホト」となった)
の転訛と解します。
飛び上がる。飛び跳ねる。躍り上がる。勢いよく飛び散る。噴出する。
この「ほとばしる」は、
「ホト・パチ・ル」、HOTO-PATI-RU(hoto=start,make a convulsive movement,be apprehensive,suspicious,dislike;pati=ooze,spart,splash;ru=shake,agitate,scatter)、「勢いよく・飛び・散る(ほとばしる)」(「パチ」が「バシ」となった)
の転訛と解します。
冷め切らないで残っている熱。余熱。ほとおり。熱した感情の余勢。興奮の余波。ほとおり。事件などに関して、事後に引き続いて持つ世間の注目や関心。
この「ほとぼり」は、
「ホト・パウ・オリ」、HOTO-PAU-OTRI(hoto=start,make aconvulsive movement,be apprehensive,suspicious,dislike;pau=consumed,exhausted;ori=cause to move to and fro,sway,move,quiver)、「(痙攣するように)激した(または熱した)ものが・冷めて・(おとなしく)静かになっているさま(ほとぼり)」(「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」となり、そのO音と「オリ」の語頭のO音が連結して「ポリ」から「ボリ」となった)
の転訛と解します。
すっかりそうなるわけではないが、事態が進んでそれに非常に近い状況になるさまを表す。もうすこしのところで。すんでのことに。あやうく。全くというわけではないが、比率的にみてだいたいそういう状態であるさまを表す。おおかた。あらかた。事態の継続によってはその状態が切実になるさまを表す。全く。非常に。多くの中の大部分。十中八九。(この「ほとんど」は、国語篇(その十四)の024おおよその項の「ホトンド」から再掲しました。)
この「ほとんど」は、
「ホト・(ン)ゴト」、HOTO-NGOTO(hoto=join;ngoto=be deep,penetrate)、「(本質を)深くまで掘り下げて・一括した(殆ど)」(「(ン)ゴト」のNG音がN音に変化して「ノト」から「ント」、「ンド」となった)
の転訛と解します。
赤く燃え立つ火。ろうそくなどの小さな火から火事などの大きな火までをいう。恨みや怒りまたは嫉妬の感情で心が激するのを燃え立つ火にたとえていう語。
この「ほのお」は、
「ホノ・ホホ」、HONO-HOHO(hono=splice,join,add,be on the point of,go on;hoho=standing out,prominent)、「輝きが・そこに凝集しているもの(炎)」(「ホホ」のH音および反復語尾が脱落して「オ」となった)
または「ホノ・ハウ」、HONO-HAU(hono=splice,join,add,be on the point of,go on;hau=eager,seek,famous,vitality of man,project,excess)、「勢いよく(燃えさかるもの)が・そこに凝集しているもの(炎)」(「ハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化して「オ」となった)
の転訛と解します。
声を立てないでかすかに笑う。また、にこにこする。花が少し開く。つぼみが開く。えむ。(比喩的に)希望や明るい兆しなどが感じられる。
この「ほほえむ」は、
「ホホ・ワイ・ム」、HOHO-WHAI-MU(hoho=standing out,prominent;whai=follow,look for,court,woo,aim at;mu=silent)、「黙って・(相手の)機嫌を取るように・(光り輝く)笑顔をつくる(微笑む)」(「ワイ」のWH音が脱落し、AI音がE音に変化して「エ」となった)
の転訛と解します。
ほのお。火炎。転じて、心中に燃え立つ恨み、怒り、嫉妬または欲望、情熱などのたとえ。
この「ほむら」は、
「ハウ・ムラ」、HAU-MURA(hau=eager,brisk,seek;mura=blaze,flame)、「勢いよく・燃え立つ炎(炎)」(「ハウ」のAU音がO音に変化して「ホ」となった)
の転訛と解します。
祝う。祝福する。ことほぐ。高い評価を与え、はえあるようにいう。たたえる。賞賛する。感心する。感嘆する。
この「ほめる」は、
「ホホ・マイ・ル」、HOHO-MAI-RU(hoho=standing out,prominent;mai=to indicate direction or motion towards;ru=shake,agitate,scatter)、「卓越していることを・懸命に・言いふらす(賞賛する)(褒める)」(「ホホ」の反復語尾が脱落して「ホ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
香炉・手あぶりなどの上に覆う蓋。また、香炉。ランプやガス灯などの火を覆うガラス製の筒。火葬場の別称。
この「ほや」、「」は、
「ポ・イア」、PO-IA(po,popo=smoulder;ia=indeed)、「実に・かすかに燻る(または燃える)もの(火屋)」(「ポ」のP音がF音を経てH音に変化して「ホ」と、「イア」が「ヤ」となった)
の転訛と解します。
大火事にならないうちに消し止めた火事。ちいさな火事。
この「ぼや」は、
「ポ・イア」、PO-IA(po,popo=smoulder;ia=indeed)、「実に・弱々しく燻る(または燃える)もの(小火)」(「ポ」が「ボ」と、「イア」が「ヤ」となった)
の転訛と解します。
崖や巖、また老大木の根元や大木の朽ち木などにある、中のうつろな穴。洞穴。谷。渓谷。木が多く生えた山あいのトチ。など。
この「ほら」は、
「ホラホラ」、HORAHORA(expanded,open)、「(中が)開けている(空いている)もの(洞)」(反復語尾が脱落して「ホラ」となった)
の転訛と解します。
法螺貝。法螺貝の大きな貝殻に細工して吹き鳴らすようにしたもの。うそをいうこと。大言を吐くこと。まぶしの異称。
この「ほら」は、
「ホラホラ」、HORAHORA(expanded,open)、「(中が)開けている(空いている)貝(法螺)」(反復語尾が脱落して「ホラ」となった)
の転訛と解します。
茫然となる。ぼんやりする。放心する。人、とくに異性に心を奪われて霧中になる。恋い慕う。人物や物などに感心して心惹かれる。心酔する。
この「ほれる」は、
「ポレ・ル」、PORE-RU(pore=desire,show favour to,treat kindly;ru=shake,agitate,scatter)、「懸命に・(人に)愛情を示す(惚れる)」(「ポレ」のP音がF音を経てH音に変化して「ホレ」となった)
の転訛と解します。
着古して破れている衣服。使い古して役だたない布。つづれ。ぼろぎれ。やぶれているもの。こわれているもの。また、役に立たないもの。隠されている欠点。また、失敗。破綻。
この「ぼろ」は、
「ポロ」、PORO(piece of anything cut or broken off,cut short)、「やぶれたり、すり切れた小さいもの(ぼろ)()」(「ポロ」が「ボロ」となった)
の転訛と解します。
資本、労力に比して利益が多い。楽で、儲けが覆い。
この「ぼろい」は、
「ポロ・オイ」、PORO-OI(poro=stupid,dazed,half stunned;oi=grow,be abundant)、「とんでもない・(利益が)大きくなる(ぼろい)」(「ポロ」の語尾のO音と「オリ」の語頭のO音が連結して「ポロイ」から「ボロイ」となった)
の転訛と解します。
価値のないもの。劣悪なもの。転じて、ひどく劣っているものとして罵っていうさま。ひどく悪く言うさま。ぼかす。くそみそ。
この「ほろくそ」は、
「パウ・ロク・トフ」、PAU-ROKU-TOHU(pau=consumed,exhausted;roku=bend,be weighed down,decline;tohu=mark,proof,point out,show)、「消耗して・価値が無くなったと・言われているもの(ぼろくそ)」(「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボ」と、「トフ」のH音が脱落して「ト」から「ソ」となった)
の転訛と解します。
なくなる。消え去る。死滅する。成り立たなくなる。立ちゆかなくなる。国、家系、一家などが耐える。滅亡する。勢力、影響力などが弱くなる。衰亡する。
この「ほろびる」は、
「ホロ・ピヒ・ル」、HORO-PIHI-RU(horo=fall in fragment,drop off or out,waste away;pihi=cut,split;ru=shake,agitate,scatter)、「衰弱し・細片となって・散らばる(滅びる)」(「ピヒ」のH音が脱落して「ピ」から「ビ」となった)
の転訛と解します。
焼き味噌を日に干し、胡麻、麻の実、胡桃、山椒などの香辛料を細かくしてまぜたもの。奈良興福寺の法師が維摩会(ゆいまえ)の法論の時に食したという。
この「ほろみそ」は、
「ホロ・ミイ・タウ」、HORO-MII-TAU(horo=fall in fragment,drop off or out,waste away;(Hawaii)mii=attractive,good-looking;tau=come to rest,settle down,be suitable)、「(乾燥して)粉々になった・味の・良いもの(味噌)(ほろみそ)」(「ミイ」の語尾のI音が脱落して「ミ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」となった)
の転訛と解します。
@(漢語では、もともと、草木の根、または根に近い部分をいうが、日本では、物事のもとになるもの、根本、基本の意から、規範となるもの、主たるもの、本来的なものなどをさしていう。)もとになるもの。書写されるもとの書物など。ある状況から転じて現在の姿に変わったものに対して、そのもとのものをいう。ならうべき規範、模範となるもの。手本。さまざまある中で、すべて、その根本となるようなもの。基本。など。
A書籍。書物。
この「ほん」は、
@「ホノ」、HONO(deep)、「深奥の(根本の)(本)」(「ホノ」が「ホン」となった)
または「ホノ」、HONO(retinue,following)、「(追跡する)規範となるもの(本)」(「ホノ」が「ホン」となった)
または「ホノ」、HONO(be on the point of,proceed to do,go on)、「(変わろうとする前の)元であるもの(本)」(「ホノ」が「ホン」となった)
A「ホノ」、HONO(assembly,company,crowd)、「(紙葉を集めて)綴じられたもの(本)」(「ホノ」が「ホン」となった)
の転訛と解します。
@ひらたい瓦器。ひらか。鉢。浅い縁のある、物を載せて運ぶための板状の具。博打で、さいころを振り出すところ。
A盂蘭盆(うらぼん)。七月十五日に行われる仏事。その際の供物。布施。また、その季節、時期。
この「ぼん」は、
@「ポナエ」、PONAE(a small basket for cooked food(honae=small basket or wallet))、「(食物を載せる)小さな(籠に似た)容器(盆)」(AE音がE音に変化して「ポネ」から「ボン」となった)
A「ウラ(ン)ガ・ポノ」、URANGA-PONO(uranga=glow,particularly of sunrise or sunset;pono=hospitable,bountiful)、「(盆の)夕方に・(祖霊を迎えてする)もてなしの行事(盂蘭盆)」(「ウラ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ウラ」と、「ポノ」が「ボン」となった)
の転訛と解します。
ぼんやりしていて物事の見通しがきかないこと。また、そのさまやそのような人。おろか者。うつけ者。
この「ぼんくら」は、
「ポネ・クラ」、PONE-KURA(pone=in difficulties,troubled;kura=red,ornamented with feathers,precious,knowledge of charm and other valuable lore)、「俊敏というには・問題がある人(ぼんくら)」(「ポネ」が「ボン」となった)
の転訛と解します。
使い物にならなくなった自動車の解体。また、それをする商売。転じて、中古のこわれかかった自動車。一般に、老朽化した廃品同様になったものをいう。
この「ぽんこつ」は、
「ポノ・コツア」、PONO-KOTUA(pono=true(pone=in difficulties,troubled);kotua=token of respect,regard)、「(真正の)紛うかたなき・(全く実用にならない廃品である)記念品(ポンコツ)」(「ポノ」が「ポン」と、「コツア」の語尾のA音が脱落して「コツ」となった)
の転訛と解します。
鉢などに植え、幹や枝を趣きあるように整えて鑑賞する草木。盆景。
この「ぼんさい」、「ぼんけい」は、
「ポノチノチ・アイ」、PONOTINOTI-AI(ponotinoti=stunted;ai=expressing the reason for which anything is done or the object in view in doing it,procreate,beget)、「(草木を)矮小化して・育てたもの(盆栽)」(「ポノチノチ」の反復語尾が脱落し、T音がS音に変化して「ポノシ」から「ボンシ」となり、「アイ」と連結して「ボンシアイ」から「ボンサイ」となった)
「ポノ(ン)ガ・ケイ」、PONONGA-KEI(pononga=true,genuine;kei=at,on,in,like,as)、「本物に・似せて作ったもの(盆景)」(「ポノ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ポノ」から「ボン」となった)
の転訛と解します。
項(うなじ)の中央のくぼんだところ。ぼんのくそ。江戸時代、生まれて六日目または七日目の男女児の産毛を、うなじの所だけに少し残して剃り落とした髪形。
この「ぼんのくぼ」は、
「ポ(ン)ゲ(ン)ゲ・ノ・クフ・パウ」、PONGENGE-NO-KUPO(pongenge=enervated,listless;no=of;kuhu=insert,conceal,introduce oneself into;pau=consumed,exhausted)、「(頸の後ろの)柔らかい場所・の・(消耗した)へこんで・ところを見せている部分(盆の窪)」(「ポ(ン)ゲ(ン)ゲ」のNG音がN音に変化し、反復語尾が脱落して「ポネ」から「ボン」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」から「ボ」となった)
の転訛と解します。
相手の土地不案内などにつけ込み、甘言をもってだまし、所持金を奪ったり、婦女子をかどわかしたりすること。また、その者。売春宿に客を誘い連れ込む客引き。株屋街で素人の客をだましていいかげんな株を売りつける者。
この「ぽんびき」は、
「ポネ・ヒキ」、PONE-HIKI(pone=in difficulties,troubled;hiki=carry in the arms,remove,take away)、「トラブルを起こす・客を(よからざる場所へ)連れて行く者(ポン引き)」(「ポネ」が「ポン」と、「ヒキ」が「ビキ」となった)
の転訛と解します。
木や竹の枠に白い紙を貼り、その一部に窓をあけ、茶炉などの上を覆うもの。紙または絹張りの覆いのある手燭。また、柄をつけ、その下端に台座をつけた小さな行灯。薄く透けてぼんやり見えるさま。など。
この「ぼんぼり」は、
「ポノ・ポリ」、PONO-PORI(pono=light upon,come upon;pori=people,tribe)、「人々を・照らすもの(雪洞)」(「ポノ」が「ボン」と、「ポリ」が「ボリ」となった)
の転訛と解します。
競馬や競輪などで、一着になると予想される馬や選手。また、一般に一番有力であると思われている人。
この「ほんめい」は、
「ポノ・メイ」、PONO-MEI(pono=true(pononga=true,genuine,unfeigned);mei=according to,judging by)、「真正の(一番であると)・判断されているもの(本命)」(「ポノ」のP音がF音を経てH音に変化して「ホノ」から「ホン」となった)
の転訛と解します。
「マ」
@(「行く」の謙譲語)貴人のもとや貴所に参上する、伺う。特に、朝廷に参内する。宮に参入する。宮仕えなどに上がる。出仕する。入内する。貴人のもとへ輿入れする。神仏に詣でる。参拝する。物などが貴人の手もとに至る、来る。(「行く」の丁重語)行く、来る。
A(敬語性が失せ、相手の優位を認める。また、屈する意を表す)降参する。負ける。閉口する。弱る。死ぬ。心が奪われる。(上位者に対し物などを)差し上げる。(上位者のためにある事を)して差し上げる。奉仕する。(手紙などを)差し上げる。
この「まいる」は、
@「マイ・ル」、MAI-RU(mai=to indicate direction or motion towards,or character in relation to;ru=shake,agitate,scatter)、「奮って・(貴人のところまたは貴所へ)行く・来る(参る)」
A「マヒ・ル」、MAHI-RU(mahi=work,make,be occupied with,do,perform,do,procure;ru=shake,agitate,scatter)、「(占領される)心が奪われてまたは降参して・(放置される)そのままになる(参る)」または「奮って・(行う)物事をして差し上げるまたは物などを差し上げる(参る)」(「マヒ」のH音が脱落して「マイ」となった)
または「マイ・ル」、MAI-RU(mai=become quiet;ru=shake,agitate,scatter)、「(静かに)無口になって・(放置される)そのままになる(参る)」
の転訛と解します。
普通の状態で顔の向いている方向。また、その方向にある部分、場所。物の正面にあたる部分、場所。全面。
この「まえ」は、
「マ・ヘア」、MA-HEA(ma=go,come;hea=what place?,any place,every place)、「(自分が)進む・場所(前)」(「ヘア」のH音および語尾のA音が脱落して「エ」となった)
の転訛と解します。
夫をもつ女が、他の男と密かに肉体関係を結ぶこと。また、その密通した相手。「2560まぶ(間夫)」とも。
この「まおとこ」は、
「マハ(ン)ガ・オ・トコ」、MAHANGA-O-TOKO(mahanga=twins;o=the...of;toko=pole,rod(tokotoko=quater-staff))、「(夫と)対をなす・六尺棒(武器)を使う・者(男)(間男)」(「「マハ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「マ」となった)
の転訛と解します。
(梵語 MAHA の音訳。大・多・勝の意。仏語)大きいこと。偉大なこと。優れていること。他の語や人名の上について美称としてもちいることが多い。
この「まか」は、
「マハ・カ」、MAHA-KA(maha=many,abundance,majority,gratified,satisfied;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「大きいまたは(満足すべき)優れて・いること(摩可)」(「マハ」のH音が脱落して「マ」となった)
の転訛と解します。
(「曲がる」と同根とする説がある)よくないこと。悪いこと。また、そのさま。災い。
この「まが」は、
「マ(ン)ガマ(ン)ガ」、MANGAMANGA(unsteady,tottering)、「不安定きわまりないこと(禍)」(NG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「マガ」となった)
の転訛と解します。
入り乱れること。混ざって区別がつかないこと。あやまち。過失。間違い。つまづき。見違えるほどよく似せてあるもの。偽物。まがいもの。
この「まがい」は、
「マ(ン)ガマ(ン)ガ・アイ」、MANGAMANGA-AI(mangamanga=unsteady,tottering;ai=procreate,beget)、「不安定きわまりない(事態を)・生ずることまたはそのもの(紛い)」(「マ(ン)ガマ(ン)ガ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「マガ」となり、その語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「マガイ」となった)
の転訛と解します。
竹や柴などで目をあらく編んだ垣。ませ。ませがき。まがきね。
この「まがき」は、
「マ(ン)ガ・キ」、MANGA-KI(manga=branch of a tree;ki=full,very)、「たくさんの・木の枝(を集めて結った。垣根)」(「マ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「マガ」となった)
の転訛と解します。
事の処置などを他のものにゆだねて、自由にさせる。相手の思うままにさせる。そのものの本来の成り行きのままにする。自然の勢いのままにする。
この「まかせる」は、
「マカ・タイ・ル」、MAKA-TAI-RU(maka=throw,cast,put,place;tai=tide,wave;ru=shake,agitate,scatter)、「(川の)流れに・奮って・身を投ずる(任せる)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「セ」となった)
の転訛と解します。
玉製品の一つ。猪などの歯牙を身体に装着したところから、やがてそれを模して作ったものといわれる。縄文時代から古墳時代にわたって、硬玉、瑪瑙、水晶、琥珀、滑石などから作られ、日本独自に発達し、祭祀用具、装身具として多用された。
この「まがたま」は、
「マ・ア(ン)ガ・タマ」、MA-ANGA-TAMA(ma=white,clear,freed from tapu;anga=aspect,shell,skeleton;tama=emotion,desire,craving,strong feeling,etc.)、「清らかな・姿形をした・強い霊力をもつもの(勾玉)」(「マ」のA音と 「ア(ン)ガ」の語頭のA音が連結し、NG音がG音に変化して「マガ」となった)
の転訛と解します。
用意を調える。準備する。食事などを整えて与える。饗応する。取りはからって必要な用を果たす。ある範囲の物事を取り仕切る。
この「まかなう」は、
「マカ・ナフ」、MAKA-NAHU(maka=throw,cast,put,place;nahu=well executed)、「(与えられた)任された仕事を・きちんと実行する(賄う)」(「ナフ」のH音が脱落して「ナウ」となった)
の転訛と解します。
真っ直ぐなものが湾曲する。たわむ。折れる。屈曲する。屈折する。向きを変える。うずを巻く。とぐろを巻く。道理から外れる。心がねじける。位置がねじれる。ひねくれる。傾斜する。など。
この「まがる」は、
「マ(ン)ガマ(ン)ガ・アル」、MANGAMANGA-ARU(mangamanga=unteady,tottering;aru=follow,pursue)、「不安定なものに・ついて行く(曲がる)」(「マ(ン)ガマ(ン)ガ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「マガ」となり、その語尾のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「マガル」となった)
の転訛と解します。
かまど、炉などに燃料としてたく細い枝や割木。
この「まき」は、
「マ・ハキ」、MA-HAKI(ma=for,by means of,by way of;haki=meek of no account,cast away)、「(燃料にする)他に・使い道がないもの(薪)」(「マ」のA音と、「ハキ」のH音が脱落した語頭のA音が連結して「マキ」となった)
の転訛と解します。(この項は、雑楽篇(その二)の1052すみ(炭・木炭)の項の「まき(薪)」を再掲しました。)
同族集団をいう。本家・分家関係にある一族の称。
この「まき」は、
「マ(ン)ガ・キ」、MANGA-KI(manga=branch of a river or a tree;ki=full,very)、「分家を・たくさん抱えている(血族集団)」(「マ(ン)ガ」のNGA音が脱落して「マ」となった)
または「マ・アキ」、MA-AKI(ma=go,come;aki=dash,beat,abut on)、「近くに居て・行き来する(血族。親類)」(「マ」のA音と「アキ」の語頭のA音が連結して「マキ」となった )
の転訛と解します。
漆工芸の技法の一つ。漆で文様を描き、乾かないうちに金銀粉や色粉などを蒔きつけて付着させ、文様を表すもの。
この「まきえ」は、
「マハキ・ヱヒ」、MAHAKI-WEHI(mahaki=mild,meek,calm;(Hawaii)wehi=decoration,adornment,ornament)、「穏やかな・装飾を施したもの(蒔絵)」(「マハキ」のH音が脱落して「マキ」と、「ヱヒ」のH音が脱落して「ヱ」となった)
の転訛と解します。
牛・馬・羊などを放し飼いにしておく場所。牧(まき)。
この「まきば」は、
「マ・アキ・パ」、MA-AKI-PA(ma=go,come;(Hawaii)aki=to take a nip and let go;pa=block up,stockade,fortified place)、「(飼養される牛馬から産まれる子の中の発育良好なものが)選ばれて・他所へ送られる・柵で囲んだ施設(牛馬の育成牧場。牧場)」(「マ」のA音と「アキ」の語頭のA音が連結して「マキ」と、「パ」が「バ」となった) もしくは「マ(ン)ガ・アキ」、MANGA-AKI(manga=branch of a river or a tree;(Hawaii)aki=to take a nip and let go)、「(全国に数ある)施設の一つで・(生産される牛馬の中の発育良好なものが)選ばれて他所へ送られる・柵で囲んだ施設(牛馬の育成牧場。牧場)」(「マ(ン)ガ」のNGA音が脱落し、その語尾のA音と「アキ」の語頭のA音が連結して「マキ」と、「パ」が「バ」となった)
の転訛と解します。
枕にする。枕にして寝る。共寝して女性を抱く。めとる。妻にする。
この「まく」は、
「マ・アクアク」、MA-AKUAKU(ma=go,come;akuaku=firm,strong)、「行き来して・密接な関係になる(婚く)」(「マ」のA音と「アクアク」の反復語尾が脱落した語頭のA音が連結して「マク」となった)
の転訛と解します。
牛馬の飼料にする草。飼葉。田畑の肥料にする草。肥草。
この「まぐさ」は、
「マ(ン)グ(ン)グ・ウタ(ン)ガ」、MANGUNGU-UTANGA(mangungu=broken,crushed,uncooked,underdone;utanga=burden,freight)、「(草が)刈り取られただけの・荷物(秣)」(「マ(ン)グ(ン)グ」の反復語尾が脱落し、NG音がG音に変化して「マグ」となり、その語尾のU音と「ウタ(ン)ガ」のT音がS音に変化し、名詞形語尾のNGA音が脱落して「ウサ」となったその語頭のU音が連結して「マグサ」となった)
の転訛と解します。
@(古くは「まぐなき」かとされる)昆虫(糠蚊)の異名。
Aまばたきすること。目くばせすること。
この「まくなぎ」は、
@「マ(ン)グ・ナキ」、MANGU-NAKI(mangu=black;naki=glide,move with an even motion)、「滑る(ように動き回る)・黒い(虫。糠蚊)」 (「マ(ン)グ」のNG音がG音に変化して「マグ」となった)
A「マ・アク・ナキ」、MA-AKU-NAKI(ma,mama=light,not heavy,unencumbered,so quick;aku=scrape out,cleanse;naki=glide,move with an even motion)、「軽く・目の汚れを取るように・(瞼を)ゆっくりと動かす(目ばたきする)」 (「マ」のA音と「アク」の語頭のA音が連結して「マク」と、「ナキ」か「ナギ」となった)
の転訛と解します。
寝る時に頭を載せて、頭を支える道具。寝ること。宿ること。また、特に同衾すること。物事のよりどころ。典拠。本題に入る前の前置き。など。
この「まくら」は、
「マクク・ウラ(ン)ガ」、MAKUKU-URANGA(makuku=indolent,inactive;uranga=act or circumstance of becoming firm)、「(怠惰に)何もせずに・(頭を)固定するもの(枕。枕として利用する)」(「マクク」の反覆語尾が脱落して「マク」となり、その語尾のU音と「ウラ(ン)ガ」の語頭のU音が連結し、名詞形語尾のNGA音が脱落して「マクラ」となった)(この「まくら」については、国語篇(その十九)の689マクライシの項を参照してください。)
の転訛と解します。
(動詞「まぐれる」の連用形の名詞化とされる)偶然そうなること。思いがけず、ある結果になること。まぐれあたり。
この「まぐれ」は、
「マ・クレクレ」、MA-KUREKURE(ma=come,go;kurekure=pleased,glad)、「(思いがけない)嬉しいことが・あった(紛れ)」(「クレクレ」の反復語尾が脱落し、濁音化して「グレ」となった)
の転訛と解します。
まくったように上にあがる。めくれる。三味線や歌が部分的に速くなりすぎて演奏が乱れる。
この「まくれる」は、
「マ・クレヘ・ル」、MA-KUREHE-RU(ma,mama=light,not heavy,so quick;kurehe=fold,wrinkle;ru=shake,agitate,scatter)、「奮って・軽々と・(皺が寄るように)上にあがる(捲れる)」または「奮って・(曲のテンポが)速くなって・(曲の長さが)短くなる(捲れる)」(「クレヘ」のH音が脱落して「クレ」となった)(この「まくれる」については、国語篇(その十七)の305もんぞ(寝言」)の項の「まぐれる」を参照してください。)
の転訛と解します。
目を見合わせて愛情を通わせること。男女が契りをむすぶこと。
この「まぐわい」は、
「マ・(ン)グ・ワイ」、MA-NGU-WHAI(ma,mama=light,not heavy,unencumbered,so quick;ngu=greedy;whai=follow,pursue,look for)、「(邪魔物なしに)純粋に・ただただ相手を求め・追いかけて行くこと(まぐわい)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)
の転訛と解します。
子の子。また、子孫。間を一つ隔てること。また、そのような関係。(孫弟子。孫引き。など)
この「まご」は、
「マハ(ン)ガ・コ」、MAHANGA-KO(mahanga=snare,ensnare;ko=in addressing girls and males)、「(あまりの可愛さに)擒(とりこ)になる・子(孫)」(「マハ(ン)ガ」のH音および名詞形語尾のNGA音が脱落して「マ」と、「コ」が「ゴ」となった)
の転訛と解します。
嘘や偽りでないこと。本当であること。本物であること。人に対して誠実で欺かないこと。偽りのない心。真情。誠意。
この「まこと」は、
「マハ・コト」、MAHA-KOTO(maha,mahamaha=liver,seat of the emotion;koto=sob,make a loe sound)、「心の底から(出てくる)・(うめき声のような)感情(真。誠)」(「マハ」のH音が脱落して「マ」となった)
の転訛と解します。
@目前の時。さしあたって今。現在。今まさにある事態に直面すること。予期しない危急の事態に直面することをいう場合が多い。
A(打ち消しや反語の表現を伴って)そういう事態はなかなかあり得ないこと、また実現が難しいことを強調する語。よもや。いくらなんでも。まさにある状態であることを肯定して、強調する。まさしく。本当に。強く否定する応答語。語尾を強めて単独で用いる。いやいやとんでもない。
この「まさか」は、
@「マタ・カ」、MATA-KA(mata=face,surface,eye,edge,point;ka=verbal particle used to denote the commencement of a new action or condition)、「今まさに・直面していること(まさか)」(「マタ」のT音がS音に変化して「マサ」となった)
A「マ・タカ」、MA-TAKA(ma=depressed,resigned;taka=fall off,fall away,fail of fulfilment)、「事業の遂行に・失敗した(ことを甘受する)(真逆)」(「タカ」のT音がS音に変化して「サカ」となった)
の転訛と解します。
細かい砂。まなご(砂子)。いさご。(この「いさご」については、国語篇(その九)の070sandのいさごの項および国語篇(その二十)の207いさごの項)を参照してください。)
この「まさご」、「まなご」は、
「マ・タ(ン)ゴ(ン)ゴ」、MA-TANGONGO(ma=;tangongo=thoroughly ripe or cooked,soft)、「(石が)完全に小さく(軟らかく)・なったもの(真砂)」(「タ(ン)ゴ(ン)ゴ」の反覆語尾が脱落し、NG音がG音に変化して「タゴ」から「サゴ」となった)
「マ(ン)ガ・(ン)ゴ(ン)ゴ」、MANGA-NGONGO(manga=remains of food after a meal;ngongo=waste away,become thin)、「(完全に)細かくなった・滓のような(砂。砂子)」(「マ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「マナ」と、「(ン)ゴ(ン)ゴ」の反覆語尾が脱落し、NG音がG音に変化して「ゴ」となった)
の転訛と解します。
先行する状態よりも程度の甚だしいさまを表す語。それ以上に。いっそう。先行する事態からすれば、それより度の進んだ場合、次のような状態が存するのは当然だと判断する気持ちを表す語。いわんや。なおさら。云うまでもなく。
この「まして」は、
「マチチ・テ」、MATITI-TE(matiti-stretched out as of limbs;te=to make anemphatic statement)、「(先行する状態より)程度が・ますます甚だしいこと(況して)」(「マチチ」の反復語尾が脱落し、T音がS音に変化して「マシ」となった)
の転訛と解します。
神仏や神秘的なものの威力を借りて、災いや病気を取り除いたり、他人に災いを与えたりすること。また、その術。禁厭。符呪。まじないごと。
この「まじない」は、
「マヒ・イヒ・(ン)ガヰ」、MAHI-IHI-NGAWHI(mahi=work,make,perform;ihi=spell,charm,incantation;ngawhi=suffer penalty,be punished(whakangawhi=cut to pieces,destroy))、「呪文を・唱えて・(他人に)病の苦しみや災いを与えること(呪い)」(「マヒ」のH音がS音に変化して「マシ」から「マジ」と、「イヒ」のH音が脱落して「イイ」となり、「マジ」の語尾のI音と連結して「マジイイ」となった後に短縮して「マジ」と、「(ン)ガヰ」のNG音がN音に変化し、WH音が脱落して「ナイ」となった)
の転訛と解します。
(動詞「ます」を重ねたものとする説がある)「ます(在)」よりも敬意が強く、中古では神仏や皇族について用いられることが多い。また、和文体が「おわします」「おわす」を多用するのに対し、漢文訓読体に用いられる傾向がある。「ある」「いる」の尊敬語。
この「まします」は、
「マヒ・マ・ツ」、MAHI-MA-TU(mahi=work,make,perform;ma=used to emphasise,by means of,in consequence of;tu=stand,be placid,take place)、「(そこに)おいでに・なら・れる(坐す)」(「マヒ」のH音がS音に変化して「マシ」と、「ツ」が「ス」となった)
の転訛と解します。
度量衡器の一つ。穀物や酒・油などの量を量る木製、または金属製の器。
この「ます」は、
「マ・アツ」、MA-ATU(ma=used to emphasise,by means of,in consequence of;atu=to form a comparative or superlative)、「(その道具に計るものを入れる)ことによって・(その縁を越えるかどうかを判断する)計る道具(枡)」(「マ」のA音と「アツ」の語頭のA音が連結し、T音がS音に変化して「マス」となった)
の転訛と解します。
立派な男子。強く勇ましい男子。狩人。猟師。
この「ますらお」は、
「マツ・ラワホ」、MATU-RAWAHO(matu=gist,kernel,of a matter;rawaho=wind from seaward,from outside,outlandish)、「異様なほど・芯の硬い男子(益荒男)」(「マツ」のT音がS音に変化して「マス」と、「ラワホ」のH音が脱落して「ラワオ」から「ラヲ」となった)
の転訛と解します。
地方によって@南風または西南風、A西風、B東南風と異なる。最も多いのは、四国地方から伊豆地方にかけての太平洋岸の各地で春から夏にかけて吹く弱い南からの季節風である。「マ」は「好い間」の意か、または「重要な」の意か(柳田国男「風位考」)とする説、「マ」は「良」、「セ」は「風」の意とする説などがある。(この「南風」については、雑楽篇(その一)の225まぜ(真風)を参照してください。)
この「まぜ」は、
「マテ」、MATE(dead,extinguished,injured,damaged)、「死んだような(弱い。風)」(「マテ」のT音がS音に変化し、「マセ」から「マゼ」となった)
または「マタヘヘ」、MATAHEHE(blowing gently)、「穏やかに吹く(風。真風)」(「マタヘヘ」の反復語尾およぴH音が脱落して「マタエ」となり、さらにT音がS音に、AE音がE音に変化して「マセ」から「マゼ」となった)
の転訛と解します。
竹や木などで作った低く眼の粗い垣。ませ。まがき。黒もじ、柴などを杭の両側からあてて並べ、杭の見えないように作った垣。
この「ませがき」は、
「マタイ・カ・アキ」、MATAI-KA-AKI(matai=Podocarpus spicatus,a tree(black pine,yellow wood etc.in New Zealand);ka=to denote the commencement of a new action or condition;aki=abute on)、「(黒もじなどの)柴で・(土地の)境に・(境界をなすものとして)作ったもの(籬垣)」(「マタイ」のT音がS音に、AI音がE音に変化して「マセ」と、「カ」のA音と「アキ」の語頭のA音が連結して「カキ」から「ガキ」となった)
の転訛と解します。
同じ行為、状態がもう一度出現するさまを表す語。再び。もう一度。一つの状態が他の状態と類似、或いは一致すると認める気持ちを表す語。同様に。同じく。ほかに。さらに。他方。並列的な、または選択的な関係にある事柄を列挙することを示す。ならびに。または。さらに。その上。
この「また」は、
「マ・タ」、MA-TA(ma=and;ta=dash,lay)、「その後に(再び)・出現する(又)」
または「マハ(ン)ガ・タ」、MAHANGA-TA(mahanga=twins;ta=dash,lay)、「(双子の片方のような)同じ物事が・出現する(又)」(「マハ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音およびH音が脱落して「マ」となった)
の転訛と解します。
東北地方の山間に住む猟師の称。
この「またぎ」は、
「マタ(ン)ギ」、MATANGI(wind,breeze)、「風(を熟知する狩人。マタギ)」(NG音がG音に変化して「マタギ」となった)(地名篇(その八)の山間民俗語彙の130またぎの項を参照してください。)
の転訛と解します。
上下の瞼をしばしば開いたり、閉じたりする。まばたきをする。灯火や星などが消えそうに明滅する。光がちらちらする。
この「またたく」は、
「マタ・タク」、MATA-TAKU(mata=face,eye;taku=slow(takunga=anything of no great moment,trifle))、「眼の(動きの)・ほんにちょっとした動き(瞬く)」
の転訛と解します。
種々の色が入りまじっていたり、色の濃いものと淡いものが混じっていること。また、そのものや、そのさま。
この「まだら」は、
「マハ・タラ」、MAHA-TARA(maha=many,abundance;tara=loosen,separate)、「たくさんの(色が)・ばらばらにある(斑)」(「マハ」のH音が脱落して「マ」と、「タラ」が「ダラ」となった)
の転訛と解します。
建物が集まっている場所。物を商う店の集まった地域。人口が密集し、家屋の建ち並ぶ地域。
この「まち」は、
「マハ・アチチ」、MAHA-ATITI(maha=many,abundance;atiti=turn aside,wander)、「たくさんの(人が)・歩き回る場所(町)」(「マハ」のH音が脱落して「マ」となり、その語尾のA音と「アチチ」の反復語尾が脱落して「アチ」となったその語頭のA音が連結して「マチ」となった)
の転訛と解します。
それぞれ別々に区切ってあること。それぞれに異なること。また、そのさま。さまざま。くく。
この「まちまち」は、
「マチマチ」、MATIMATI(toe and probably finger,a game involving quick movements of the fingers and hands)、「(指や手を素早く入れ替えて行う遊びのように)それぞれに異なる様相を示すこと(まちまち)」
の転訛と解します。
(「目(ま)つ毛」の意で、「つ」は「の」の意の奮い格助詞とする説がある)上下の瞼の縁に二〜三列に並んで生えている毛。
この「まつげ」は、
「マ・ツ(ン)ゲヘ」、MA-TUNGEHE(ma=go,come;tungehe=quail,be alarmed)、「びっくりすると(目をパチパチさせて)・合わせるもの(睫)」(「ツ(ン)ゲヘ」のNG音がG音に変化し、語尾のH音が脱落して「ツゲ」となった)
の転訛と解します。
(「まっこう(抹額)」と同源で、「真っ向」「真甲」は宛字かとする説がある)額の真ん中。兜の鉢の前面部。真っ正面。正面。真向き。表。
この「まっこう」は、
「マ・アツ・コウ」、MA-ATU-KOU(ma=go,come;atu=to indicate direction or motion onwards,or away from the speaker in reference to either time or space;kou=knob,end,stump,protuberance)、「(頭の出っ張り)額・に向かって・いる場所(真っ向)」(「マ」のA音と「アツ」の語頭のA音が連結して「マツ」から「マッ」となった)
の転訛と解します。
(古くは「ましくら」かとする説がある)激しい勢いで突き進むさま。いっさんに。勢い込んで。ましぐら。
この「まっしぐら」は、
「マ・アツ・チ・(ン)グ・ウラ(ン)ガ」、MA-ATU-TI-NGU-URANGA(ma=go,come;atu=to indicate direction or motion onwards,or away from the speaker in reference to either time or space;ti=throw,cast;ngu=silent,greedy;uranga=place etc. of arrival)、「(終着点)目標に・向かって・(貪欲に)ひたすらに・(投げられたように)突き・進むこと(驀地)」(「マ」のA音と「アツ」の語頭のA音が連結して「マツ」から「マッ」となった)
の転訛と解します。
完全にその状態であるさまを表す。すべて。完全に。落ち度なく。特に、否定表現を伴って、完全な否定の気持ちを表す。全然。決して。自分がこれから示す判断、いま相手から聞いた判断が、嘘や誇張を含まない真実であることを、強める気持ちを表す。ほんとうに。実際に。すべて。全部。
この「まったく」は、
「マ・ツタ(ン)ガ・アクアク」、MA-TUTANGA-AKUAKU(ma=white,clean,freed from tapu,to emphasis the subject of a verb in the future;tutanga=portion,division;akuaku=firm,strong)、「実に・すベて(の部分)について・しっかりとしている(全く)」(「マ」と「ツタ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落した「ツタ」が連結して「マッタ」となり、その語尾のA音と「アクアク」の反復語尾が脱落した「アク」の語頭のA音が連結して「マッタク」となった)
の転訛と解します。
(「まつる(奉る)」と同源とする説がある)神仏・祖霊などに供物を捧げたり、楽を奏したりして敬い、慰撫・鎮魂し、祈願感謝する。お祭りをする。祈祷する。あつくもてなす。優遇する。あがめ尊ぶ。祭り上げる。
この「まつる」は、
「マツ・ウル」、MATU-URU(matu=fat,richness of food;uru=head,chief,top)、「最高の(神仏・祖霊などに)・豊富な(供物を捧げる)(祭る)」(「マツ」の語尾のU音と「ウル」の語頭のU音が連結して「マツル」となった)
の転訛と解します。
左右そろった手。両手。もろ手。
この「まて」は、
「マテ」、MATE(in want of,lacking)、「(何かを欲しがって出す)両手(真手)」
の転訛と解します。
事態の至り及ぶ時間的・空間的・数量的限界を示す。事態の及ぶ程度を表す。ほど。極端な例を挙げて、極端なものがそうであるのだから、普通の水準のものはいうまでもなくそうであるという類推の意味を表す。それ以上には及ばず、それにんぎられる意を表す。
この「まで」は、
「マテ」、MATE(dead,extinguished,completed,finished,accomplished)、「(何かが終わる)限度に達するまで(迄)」(「マテ」が「マデ」となった)
の転訛と解します。
鉄砲などの発射練習をする時、目標とするもの。世間の関心の対象となるもの。物事のめあて。目標となるもの。
この「まと」は、
「マタウ」、MATAU(know,be acquainted with(whakamatau=make to know,make trial of))、「試しに用いるもの(的)」または「知りたいと思うもの(その対象物)(的)」(「マタウ」のAU音がO音に変化して「マト」となった)
の転訛と解します。
室内への採光、通風のため、また外の様子を覗くためなどに、壁あるいは屋根に作り設けた穴。
この「まど」は、
「マトフ」、MATOHU(mark(tohu=mark,point out,show,look towards))、「(外を眺めるために)明けた穴(跡)(窓)」(「マトフ」のH音が脱落して「マト」から「マド」となった)
の転訛と解します。
集まって丸く居並ぶこと。車座。団欒。ひと所に集まり会すること。会合。特に親しい者同士の楽しい集まり。団欒。
この「まどい」は、
「マトマト・オイ」、MATOMATO-OI(matomato=of pleasing appearance;oi=shudder,move continuously,agitate)、「たいへん楽しそうに見える・興奮した(人々の集まり)(円居)」(「マトマト」の反復語尾が脱落して「マト」となり、その語尾のO音と「オイ」の語頭のO音が連結して「マトイ」から「マドイ」となった)
の転訛と解します。
(古事記上、イザナキとイザナミの神々の生成の項の大戸惑子神の訓注に「訓惑云麻刀比」とあるところから、古くは「まとふ」であったとされる)どの道を進んだらよいのかわからなくなる。道に迷う。あちこちする。考えが定まらずに、思案する。分別に苦しむ。途方に暮れる。どうするという考えもないうちに、まごつきながら行動する。あわてる。狼狽する。あれこれ難儀する。苦労する。悩む。髪などが乱れる。ほつれる。他の動詞について、その動作の程度が激しいことを表す。ひどく・・・する。
この「まどう」は、
「マハ・トフ」、MAHA-TOHU(maha=depressed;tohu=think)、「考え(あぐねて)・意気消沈する(惑う)」(「マハ」のH音が脱落して「マ」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「ドウ」となった)
の転訛と解します。
正しく向かっていること。正面。真っ直ぐなこと。正道にあること。まじめなこと。ちゃんとしていること。また、そのさま。
この「まとも」は、
「マ・トマウ」、MA-TOMAU(ma=to emphasise the subject of a verb in the future;tomau=steadfast)、「実に・(不動である)きちんとしている(正面)」(「トマウ」のAU音がO音に変化して「トモ」となった)
の転訛と解します。
個々のものを一つにくくる。集めて一つにする。一つのものとして完成させる。また、意見、考えなどを一つに整理する。懸案や紛争などを解決させる。丸く収める。また、特に縁談、商談などをうまく成立させる。
この「まとめる」は、
「マトマト・メア・ル」、MATOMATO-MEA-RU(matomato=of pleasing appearance;mea=thing,fact,case,one,do,deal with,cause,make;ru=shake,agitate,scatter)、「たいへん楽しそうに・(物事を)揺り動かして・まとめ上げる(纏める)」(「マトマト」の反復語尾が脱落して「マト」と、「メア」の語尾のA音が脱落して「メ」となった)
の転訛と解します。
眠気を催してちょっとの間浅く眠る。うとうとする。眠る。また、熟睡する。寝入る。
この「まどろむ」は、
「マトマト・ロ・ム」、MATOMATO-RO-MU(matomato=of pleasing appearance;ro=go;mu=silent)、「気持ち良さそうに・無言に・なる(微睡む)」(「マトマト」の反復語尾が脱落して「マト」から「マド」となった)
の転訛と解します。
@愛・真。名詞の上に付いて、褒め称える気持ちを添える。人を表す名詞の上に付いて、非常にかわいがっている、めでいつくしんでいるの意を表す。独立して、非常にかわいい子。愛すべきもの。
A真名。(仮名に対して、正式の文字の意)漢字。漢字の楷書。真の名。実名。
B真菜。食膳に用いる野菜類。また、油菜(菜種)の異名。
C真魚。食膳に用いる魚。さかな。
この「まな」は、
@「マナ」、MANA(effectual(whakamanamana=rejoice,exult,gratify))、「非常に人を喜ばせる(かわいい、愛すべき)(愛・真)」
A「マナ」、MANA(authority,influence,prestige,power,psychic power)、「(権威のある)正式の(文字。真名)」または「(心霊力が働く)実の名(真名)」
B「マナ」、MANA(authority,prestige,having influence or power)、「(権威のある)正式の(食膳に上せる野菜類。真菜)」または「(菜種油を採る原料として)重要な地位を占める(野菜。油菜。真菜)」
C「マナ」、MANA(authority,prestige)、「(権威のある)正式の(食膳に上せる魚類。真魚)」
の転訛と解します。
魚を料理するのに用いる板。また、広く食物などを包丁で料理するのに用いる厚い板。
この「まないた」は、
「マナ・イタ」、MANA-ITA(mana=authority,prestige;ita=tight,fast)、「(権威のある)正式の(食膳に上せる食物を料理する)・堅い(板。俎板)」
の転訛と解します。
目と目の間。転じて、目の前。まのあたり。
この「まなかい」は、
「マナ・カヒ」、MANA-KAHI(mana=influence,power,psychic power;kahi=wedge)、「(心霊力が働く)目の・(くさびを打ち込んだように分ける)間(眼間。目交)」(「カヒ」のH音が脱落して「カイ」となった)
の転訛と解します。
魚類を料理して立派な食物とすること。
この「まなぐい」は、
「マナ・(ン)グ・ウヰ」、MANA-NGU-UWHI(mana=authority,prestige;ngu=greedy;uwhi=cover(whakauwhi=entertain,show hospitality to))、「(権威のある)正式の(食膳に上せる魚類。真魚を調理した)・食欲をそそる・心のこもった料理()(真魚食)」(「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となり、その語尾のU音と「ウヰ」の語頭のU音が連結して「グイ」となった)
の転訛と解します。
(「ま(目)のこ(子)」の意とする説がある)@ひとみ。黒目。白目と黒目の総称。目。目玉。眼球。見える範囲。視界。また、物を見る力。視力。本質や価値などを見通す力。眼力。物事の中心。核心をなすところ。要所。眼目。
A中心となる土地。中心地。
この「まなこ」は、
@「マナ・カウ」、MANA-KAU(mana=authority,influence,prestige,power,psychic power,effectual,having influence or power:kau=pupil of the eye)、「(物理的または心霊的に)力を持っている・ひとみ(眼)」または「(本質的に)影響力をもっている・(瞳のような)中心をなす部分(眼)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)
A「マナ・コ」、MANA-KO(mana=authority,influence,prestige,power,psychic power,effectual,having influence or power:ko=yonder place,distant point of time)、「(社会的・経済的に)力を持っている・土地(中心地)」
の転訛と解します。
@(「ま(目)のしり(後)」の意とする説がある)目の、耳に近い方のはし。目尻。まなさき。見る事。見る向き。視線。また、目。ひとみ。
A(「決す」は「裂く」意とする説がある)「まなじりを決す」とは、大きく目を見開く。怒りなどで目をいっぱいに見張る。まなじりを裂く。
この「まなじり」、「けっす」は、
「マナ・チリ」、MANA-TIRI(mana=authority,influence,prestige,power,psychic power,effectual,having influence or power:tiri=scatter,stack,share,portion)、「(見る力をもつもの)目の・(後に流れる)端の部分(眦)」(「チリ」が「ジリ」となった)
「ケツ・ツ」、KETU-TU(ketu=remove earth,etc.,by pushing or digging with a blunt instrument;tu=fight with,be ignited,energetic)、「躍起になって・(土を除くように)目を大きく見開く(決す)」(「ケツ・ツ」が「ケッス」となった)
の転訛と解します。
ならって行う。まねてする。教えを受ける。習う。学問をする。物事の理を修め極める。
この「まなぶ」は、
「マナ・プ」、MANA-PU(mana=authority,influence,prestige,power,psychic power,effectual,having influence or power:pu=bunch,heap,make into a bundle or ball,lie in a heap)、「(権威ある)確立した(学問を)・(自分のものとして)纏める(学ぶ)」(「プ」が「ブ」となった)
の転訛と解します。
丁度目の前であること。また、そのさま。目前。親しく、じかに接すること。はっきりと、見たり聞いたりすること。実際に出現すること。また、そのさま。事態がそのようになることがきわめて、はっきりしているさま。自明のこととして受け取られるさま。
この「まのあたり」は、
「マノ・アタ・アリ」、MANO-ATA-ARI(mano=interior part,heart;ata=form,shape,semblance,shadow;ari=clear,visible,appearance)、「心の中に・(ある形)光景が・(実際に)見た(ように記憶される)(まのあたり)」(「アタ」の語尾のA音と「アリ」の語頭のA音が連結して「アタリ」となった)
の転訛と解します。
上下のまぶたをぱちぱちと開閉させること。めばたき。またたき。(比喩的に)星や灯火などの光が明滅すること。
この「まばたき」は、
「マ・アパ・タキ」、MA-APA-TAKI(ma=used to emphasis the subject of a verb in the future;apa=fold,layer;taki=track,lead,begin or continue a speech,challenge)、「実に・何回も・(瞼の)開閉を繰り返す(瞬き)」(「マ」のA音と「アパ」の語頭のA音が連結して「マパ」から「マバ」となった)
の転訛と解します。
(「ま(目)はゆ(映)し」の意とする説がある)強い光がはげしく目を射して、まともに見られない。まぶしいあまりにきらびやかで、まぶしく感じられるほどである。光輝くほど美しい。人目に、いたらぬ点などがあらわになってひどく気後れがする。まともに顔をあげていられないほど恥ずかしい。あまりに度が過ぎていて、思わず顔をそむけたくなる。
この「まばゆい」は、
「マハ・パイ・ウイ」、MAHA-PAI-UI(maha=many,abundance,majority;pai=good,excellent,good-looking,excellence;ui=disentangle,disengage,unravel,enquire)、「たいへん・止めどなく(限界というものが感じられないほど)・美しく素晴らしい(目映い)」(「マハ」のH音が脱落して「マ」と、「パイ」の語尾のI音と「ウイ」の語頭のU音が連結して「パユイ」から「バユイ」となった)
の転訛と解します。
間が透いて粗いこと。特に、屋根・板・垣根などに隙間が多いさまなど。あちこちに少しずつ見られること。また、数が少なくてぱらぱらとあるさま。
この「まばら」は、
「マ・パラ」、MA-PARA(ma=used to emphasis the subject of a verb in the future;para=cut down bush,etc.,clear)、「(灌木の茂みが)切り払われて・(所々に)空間ができている(疎ら)」(「パラ」が「バラ」となった)
の転訛と解します。
遊女の情人。遊女が情夫を持つこと。一般の男女についてもいう。
この「まぶ」は、
「マハ・アプ」、MAHA-APU(maha=gratified,satisfied,contented;apu=move or be in a flock or crowd)、「(喜んで)心を許して・共に行動する仲間(間夫)」(「マハ」のH音が脱落して「マ」となったそのA音と「アプ」の語頭のA音が連結して「マプ」から「マブ」となった)
の転訛と解します。
鉱山の穴。鉱石を採るために掘った坑道。
この「まぶ」は、
「マプ」、MAPU(flow freely)、「(鉱脈に従って)不規則に掘られた穴(間歩)」(「マプ」が「マブ」となった)
の転訛と解します。
明るすぎて、目をあけていられない。明るく輝いていてまともに見られない。まばゆい。(比喩的に)見ていてまばゆく感じるほどに美しい。目がくらむほどすばらしい。
この「まぶしい」は、
「マプ・チヒ」、MAPU-TIHI(mapu=shout;tihi-summit,top,lie in a heap)、「最高に(すばらしい、目を開けていられないなどと)・大声で叫ぶ(眩しい)」(「マプ」が「マブ」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シイ」となった)
の転訛と解します。
(「ま(目)のふた(蓋)」の意とする説がある)眼球の前を覆う皮膚。眼瞼。
この「まぶた」は、
「マ・プタ(ン)ガ」、MA-PUTANGA(ma=for,by means of,by way of;putanga=circumstance,place,etc.,of appearance,gate)、「(目の)門扉の・役割を担うもの(瞼)」(「プタ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「プタ」から「ブタ」となった)
の転訛と解します。
実在しないものの姿が実在するように見えるもの。また、たちまち消えるはかないもののたとえにいう。幻影。幻術者。魔法使い。
この「まぼろし」は、
「マ・ポロ・チ」、MA-PORO-TI(ma=used to emphasis the subject of a verb in the future;poro=stupid,dazed,half stunned;ti=throw,cast)、「実に・突拍子もない(実在しないものの姿を)・(投げ出して)見せるもの(幻)」(「ポロ」が「ボロ」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」となった)
の転訛と解します。
(「まほ(真秀)ら(接尾語)」の意とする説がある)優れた良い所。秀でた国土。まほら。まほらま。(地名篇(その五)の奈良県の(1)大和国のbまほろばの項を参照してください。)
この「まほろば」は、
「マホ・ロパ」、MAHO-ROPA(maho=quiet,undisturbed;ropa=servant,single man,lodger in a family,make amorous advances by pinching or squeezing the land(whare ropa=public meeting house))、「静かな・愛着のある土地」または「静かな・(国中の)人々が集まる場所」(「ロパ」が「ロバ」となった)
または「マ・ホロ・パ」、MA-HORO-PA(ma=white,clean;horo=fall,be taken,as a fortress,etc.;pa=stockade,fortified place)、「清らかな・(先住民を破って)手に入れた・柵を巡らした堅固な要塞の土地(まほろば)」(「ロパ」が「ロバ」となった)
の転訛と解します。
乳母。めのと。
この「まま」、「うば」、「めのと」は、
「ママ」、MAMA(free from tapu)、「(乳児はそれを産んだ母の母乳で育てなければならないという)禁忌に反する者(乳母)」
「ウパ」、UPA(fixed,satisfied)、「(乳児を)満足させる者(乳母)」(「ウパ」が「ウバ」となった)
「メ・(ン)ゴト」、ME-NGOTO(me=if,as if,like ,as it were;ngoto=be intense of emotions,firmly)、「強い感情で結ばれている・ようにみえる者(乳母)」(「(ン)ゴト」のNG音がN音に変化して「ノト」となった)
の転訛と解します。
親子・兄弟などの親族関係を表す名詞と結合して、その関係が血のつながりがないか(親子の場合)、両親のうちの片方だけを通しての血のつながりしかないか(兄弟の場合)の意を表す。また、継母。
この「まま」は、
「ママ」、MAMA(free from tapu)、「(血のつながりから生ずる)禁忌が及ばない者(継)」
の転訛と解します。
子供が玩具などを用いて、炊事や家庭のまねごとをする遊び。ままごとあそび。
この「ままごと」は、
「ママ・コトコト」、MAMA-KOTOKOTO(mama=light,not heavy;kotokoto=trikle,small,of no account)、「(子供の)のんきな・ちょっとした遊び(ままごと)」(「コトコト」の反復語尾が脱落して「コト」から「ゴト」となった)
の転訛と解します。
まじめであるさま。誠実で浮わついたところのないさま。実際の役に立つさま。生活に直接かかわって実用向きであるさま。勤勉でよく働くさま。身体が丈夫なさま。すこやかであるさま。
この「まめ」は、
「ママ・アイ」、MAMA-AI(mama=ltght,not heavy,unencumbered,so quick;ai=denoting present habitual condition or action)、「機敏に行動することが・習慣になっている者(忠実。実)」(「ママ」の語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「ママイ」となり、そのAI音がE音に変化して「マメ」となった)
の転訛と解します。
豆の種子をはたけに蒔くこと。節分の夜、「福は内。鬼は外」と唱えながら、炒った豆をまく行事。(この「まめ(豆)」については、雑楽篇(その二)の571まめ(豆)の項を参照してください。)
この「まめまき」は、
「マハ・メハ・マハキ」、MAHA-MEHA-MAHAKI(maha=many,abundant;meha=apart,separate;mahaki=loose(haki=cast away))、「多数の・(莢から)分離した(穀物。豆を)・まき散らす(豆撒き)」(「マハ」・「メハ」・「マハキ」のH音が脱落して「マ・メ・マキ」となつた)
の転訛と解します。
眉の毛。目の上、額の下に横に並んで生えている毛。(この「まゆ(眉)」については、国語篇(その九)の035hairの項を参照してください。)
この「まゆげ」は、
「マ・アイ・フ・ケイ」、MA-AI-HU-KEI(ma=white,clear;ai=beget;hu=promontry,hill;kei=stern of a canoe,etc.)、「清らかに・・高まりとなって・生成したもの(眉)に・(船の艫のように高まりとなっている)毛(眉毛)」(「マ」のA音が「アイ」のA音と連結して「マイ」となり、その語尾のI音が「フ」のH音が脱落した「ウ」のU音と連結して「マユ」と、「ケイ」のI音が脱落して「ケ」から「ゲ」となった)
の転訛と解します。
@布の織り糸が弱って織り目が片寄る。布糸が緩んで地が薄くなる。隙間ができる。
A髪や糸筋などがもつれ乱れる。きちんとしていたものが、乱れる。物が複雑に入り混じる。錯雑する。まぎれて区別が付かないようになる。まがう。目標が不確かなためにまごまごする。さまよう。判断を下しかねる。どうしてよいかと心が乱れる。あれこれと思い悩む。途方に暮れる。
この「まよう」は、
@「マイ・アウ」、MAI-AU(mai=clothing,garment;au=smoke,fog,current,whirlpool)、「布が・(混乱の渦に巻かれる)ぐしゃぐしゃになる(まよう)」(「マイ」のI音と「アウ」のAU音が変化したOU音が連結して「マヨウ」となった)
A「マイ・アウ」、MAI-AU(mai=to indicate direction or motion towards,or character in relation to,the speaker;au=smoke,fog,current,whirlpool)、「(物事の)方向や筋が・(混乱の渦に巻かれる)手の施しようがないほど錯雑する(迷う)」(「マイ」のI音と「アウ」のAU音が変化したOU音が連結して「マヨウ」となった)
の転訛と解します。
(梵語maraの音訳で、「魔」の意とする説、また、それから転じたとも、排泄する意の「まる」の交替形とする説がある)陰茎をいう。もと、僧侶が用いた語とされる。
この「まら」は、
「マラ」、MARA(a term of address to a man)、「男子(または男子の象徴)(魔羅)」
の転訛と解します。
@遊戯に用いる球。古くは、綿を芯とし、糸でかがった。現代では、革や、ゴムでつくり、中に空気わ入れて球状にしたものなど種々ある。蹴鞠のこと。また、まりつきのこと。
A古く、水・酒などを盛った器。もい。
この「まり」は、
@「マ・アリ」、MA-ARI(ma=used to emphasise the subject of a verb in the future;ari=the moon on the eleventh day)、「全く・(満月に近い)丸い形のもの(毬)」(「マ」のA音と「アリ」の語頭のA音が連結して「マリ」となった)
A「マ・ハリ」、MA-HARI(ma=for,by way of;hari=carry)、「(水、酒などを)運ぶ・ための器(椀)」(「マ」のA音と、「ハリ」のH音が脱落して「アリ」となったその語頭のA音が連結して「マリ」となった)
の転訛と解します。
@(「まろ」の変化した語とする説がある)丸い形。また、丸い形をしたもの。金銭を指す。丸い記号。
A中世、近世の城郭で、本丸・二の丸・三の丸など、城を構成する部分。人名。特に幼名。身分の卑しい者の呼称。刀・楽器・船の名に用いる。
B病人や子供の大小便を受ける円形の器。また、小便を受ける円筒形の器。おかわ。おまる。
この「まる」は、
@「マ・ルル」、MA-RURU(ma=used to emphasise the subject of a verb in the future;ruru=enclose,tie together,take shelter,close together)、「完全に・(囲んだ形の)丸い形のもの(丸。円)」(「ルル」の反復語尾が脱落して「ル」となった)
A「マル」、MARU(power,authority,shelter,shield,retinue)、「(人を)保護する施設(城。船など)」、「(独特の)力を有するもの(刀。楽器など。勇者、大悪人についても言う)」または「(主人、大人ないし保護者に)付き従う者(従者。子供など)」
B「マルル」、MARURU(weakness,sickness)、「病人や弱者のためのもの(虎子)」(「マルル」の反復語尾が脱落して「マル」となった)
の転訛と解します。
まさしくその状態に相当したり、類似したりするさまを表す語。ちょうど。さながら。あたかも。完全にその状態であることを強めていう語。まったく。
この「まるで」は、
「マ・ルル・タエ」、、MA-RURU-TAE(ma=used to emphasise the subject of a verb in the future;ruru=enclose,tie together,take shelter,close together;tae=arrive,come,equal)、「完全に・きちんと・(同じ)状態に・(到達する)なる(まるで)」(「ルル」の反復語尾が脱落して「ル」と、「タエ」のAE音がE音に変化して「テ」から「デ」となった)
の転訛と解します。
全くないというわけではなく、ごく少し存在するさま。数少なく珍しいさま。希少。機会や場合が、ごく少ないさま。たまさか。
この「まれ」は、
「マラヘア」、MARAHEA(of low degree,fry of the herring)、「(鰊の二年子のように一年子から数が激減する)ごく少ないさま(稀)」(「マラヘア」のH音および語尾のA音が脱落して「マラエ」となり、そのAE音がE音に変化して「マレ」となった)
の転訛と解します。
(「まらひと(客)」の変化した語。古くは「まろうと」とする説がある。)他から来た人。珍客。客人。
この「まろうど」は、
「マラウ・ト」、MARAU-TO(marau=meteor or comet,regarded as the visible presentment of a god,raiding party;to=the...of,the one of,that of)、「(神の出現に比される流星や彗星の出現のような)他から来た珍客(客)」(「マラウ」のAU音がOU音に変化して「マロウ」と、「ト」が「ド」となった)
の転訛と解します。
(「ま(間)」の変化した語。一説に「間(ま)」と「運(うん)」とが結びついたものという。)はずみ。まわり合わせ。めぐり合わせ。しあわせ。運。
この「まん」は、
「マヌ」、MANU(float,be launched,overflow,be flooded)、「(たまたま漂流した結果の)めぐり合わせに類すること(間)」(「マヌ」が「マン」となった)
の転訛と解します。
自由奔放な筆致で絵を描くこと。また、その絵。風俗画、戯画、滑稽画などの類。(英caricatureの訳語)特に社会批評、風刺などを主眼とした単純軽妙な絵。ポンチ絵。
この「まんが」は、
「ママ(ン)ガ」、MAMANGA(handle roughly,stretch out)、「自由奔放な絵(漫画)」(反復語頭が脱落し、NG音がN・G音に変化して「マンガ」となった)
の転訛と解します。
ある状況、判断を確かなものとして全面的に認める気持ちを表す語。全く。ひたすら。(下に否定の語を伴って)その状況、判断などが絶対ではないさまを表し、その逆の状況、判断を消極的に肯定する。必ずしも。(否定的な評価の語を省略した形)まつたく、だめであるさま。困難なさま。困惑するさま。
この「まんざら」は、
「マ(ン)ギ・タラ」、MANGI-TARA(mangi=floating,drifting,unnerved,unsettled,distressed,fleet,quick;tara=gossip,scandal)、「噂話に・敏速に対応する(確かなものとして全面的に認める)(満更)」または「噂話を・不確かなものとして対応する(満更)」(「マ(ン)ギ」のNG音がN音に変化して「マニ」から「マン」と、「タラ」のT音がS音に変化して「サラ」から「ザラ」となった)
の転訛と解します。
もとインドでビシュヌ神の胸毛より起こった吉祥のしるし。仏菩薩の旨・手・足などに現れる喫しよう・万徳の相を示すもの。日本では寺院の標識、記号などにもちいる。卍のような形。
この「まんじ」は、
「マナ・チ」、MANA-TI(mana=aythority,influence,prestige,power;ti=throw,cast)、「(仏の比類ない)力を・示すもの(卍)」(「マナ」が「マン」と、「チ」が「ジ」となった)
の転訛と解します。
(「ぢゅう」は「頭」の唐宋音)小麦粉、米粉、蕎麦粉などに、ふくらし粉や甘酒の搾り汁と水を加えて発酵させた皮にあんを包み、下側を平らに、上部を丸く形づけて蒸したもの。
この「まんじゅう」は、
「マナナ・チ・フ」、MANANA-TI-HU(manana=wag,rise,come up;ti=throw,cast;hu=bubble up)、「(蒸すことによって)泡を・出して・膨れ上るもの(まんじゅう)」(「マナナ」の反復語尾が脱落して「マナ」から「マン」と、「チ」と「フ」のH音が脱落した「ウ」が連結して「チウ」から「ジュウ」となった)
の転訛と解します。
何事にも優れていること。何事にも役立つこと。すべてに効力のあること。また、そのさまやその能力。現在は「2259-2ばんのう(万能)」と読まれるとされる。
この「まんのう」は、
「マノ・(ン)ガウ」、MANO-NGAU(mano=thousand,indefinitely large number;ngau=act upon,affect,attack)、「(数え切れないほど)膨大な・効力(能力)を発揮する(万能)」(「マノ」が「マン」と、「(ン)ガウ」のNG音がN音に、AU音がOU音に変化して「ノウ」となった)
の転訛と解します。
買い物客を装って、店頭で商品をかすめとること。また、その人。万買い。
この「まんびき」は、
「マナ・ピキ」、MANA-PIKI(mana=authority,power,vested with effective authority;piki=disregard,belittle)、「確立された取引慣行(金銭を払って商品を買う)を・無視すること(万引き)」(「マナ」が「マン」と、「ピキ」が「ビキ」となった)
の転訛と解します。
行き届かないところがない。あまねく等しくゆきわたっている。
この「まんべんなく」は、
「マノ・ペナ・ナ・アク」、MANO-PENA-NA-AKU(mano=thousand,indefinitely large number;pena=take care of,tend;na=by,by way of;aku=scrape out,cleanse)、「大多数への・気配りが・きれいに・行き渡っている(万遍なく)」(「マノ」が「マン」と、「ペナ」が「ペン」から「ベン」と、「ナ」のA音と「アク」の語頭のA音が連結して「ナク」となった)
の転訛と解します。
(古い鉱山用語「まぶ(間歩)」の変化した語とする説がある)トンネル、横井戸など、主として人間が掘った横穴をいう。農業用水として利用されているものも多い。(この「まぶ(間歩)」については、2561まぶ(間歩。坑道)の項を参照してください。)
この「まんぼ」は、
「マナナ・ポ」、MANANA-PO(manana=bent,wag,wave about;po=night(whakapo=darken))、「腰をかがめ(て動き回)る・(夜のように)暗い場所(トンネル)」(「マナナ」の反復語尾が脱落して「マナ」から「マン」と、「ポ」が「ボ」となった)
の転訛と解します。
@種々さまざまであること。また、そのさま。すべての事。いっさいの事。
A満ち満ちているさま。満ち溢れているさま。
B遠く広々としたさま。広くて果てしないさま。長くて遠いさま。夜の長いさま。
この「まんまん」は、
@,A,B「マノマノ」、MANOMANO(innumerable,horde,swarm)、「(数え切れないほど)多くの(ものや状況である)(万々。満々。漫々)」(「マノマノ」が「マンマン」となった)
またはA「マヌ・マヌ」、MANU-MANU(manu=float,overflow)、「満ち溢れている(満々)」(「マヌ」が「マン」となった)
の転訛と解します。
「ミ」
(「み」は接頭語、「あれ」は生まれるの意とする説がある)神が誕生すること。神や貴人がこの世に生まれ出ること。京都賀茂神社の御阿礼祭。この祭りは、祭神が降臨する神籬の周囲を松・檜・榊などの常緑樹で囲んで中が見えないようにして神事を行い、降臨した祭神を神社に移して行われる。
この「みあれ」は、
「ミヒ・アレイ」、MIHI-AREI(mihi=greet,show itself,be expressed,of affevtion,etc.;arei=prevent,obstruct,ward off)、「(神の)降臨が・周囲を厳重に囲った場所で行われるもの(御生)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「アレイ」の語尾のI音が脱落して「アレ」となった)
の転訛と解します。
みいちゃんはあちゃんの略。多く「ミーハー」と書く。
この「みーはー」は、
「ミヒ・ハハ」、MIHI-HAHA(mihi=greet(whakamihi=commend,compliment,praise);haha=savoury,luscious)、「(日常の挨拶)お世辞を言い・(耳触りのよい)話をする(普通の人々)(ミーハー)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミイ」から「ミー」と、「ハハ」の後のH音が脱落して「ハア」から「ハー」となった)
の転訛と解します。
穀物などの実のいりかた。また、実が成熟すること。収入。所得。
この「みいり」は、
「ミハ・イリ」、MIHA-IRI(miha=mass;iri=be elevated on something)、「(大きさ、重みなどがある)実に・(大きさ、重みが)さらに加わる(実入り)」(「ミハ」のH音が脱落して「ミ」となった)
の転訛と解します。
見えること。見えるさま。見た目。みば。(他人によく見られるように)うわべを飾ること。他人の目を気にして不相応な体裁をつくろうこと。
この「みえ」は、
「ミヒ・エ」、MIHI-E(mihi=acknowledge an obligation,show itself,be expressed,of affection,etc.;e=to give emphasis)、「(他人に)挨拶したり気持ちを伝えたりするのに・(よく見られるように)特に気を遣うこと(見栄)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)
の転訛と解します。
通行する船に水脈や水深を知らせるために目印として立てる杭。水深の浅い河口港に設けるもの。古来、難波のみおつくしが有名。また、和歌では「身を尽くし」にかけてもちいることが多い。(万葉集の枕詞の「みをつくし」については、国語篇(その六)の367みをつくしの項を参照してください。)
この「みおつくし」は、
「ミヒ・アウ・ツ・クチ」、MIHI-AU-TU-KUTI(mihi=show itself,be expressed,of affection,etc.;au=current,rapid,whirlpool;tu=stand,be erect,be established;kuti=contract,pinch)、「(激しい)水流や渦を巻く場所を・示すために・河口に・立てるもの(澪標)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」と、「クチ」のT音がS音に変化して「クシ」となった)
の転訛と解します。
(「かた」の敬称「御方」の意で、「味方」は宛字とする説がある)天皇の軍勢。朝廷側に属する軍隊る官軍。自分が属しているほう。志を同じくしたり、同一の敵にたちむかったりする仲間。助勢をしてくれる側。加勢すること。助勢すること。身内の者。親類。
この「みかた」は、
「ミヒ・カハ・タ」、MIHI-KAHA-TA(mihi=acknowledge an obligation,show itself,be expressed,of affection,etc.;kaha=a general term for several charms used when fishing,snaring birds,etc.;ta=dash,beat,overcome)、「敵に対抗する呪文を・(互いに)唱えて・(敵に)打ってかかるもの(味方)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)
の転訛と解します。
「かど(門)」の尊敬語。もん。家、屋敷をいう尊敬語。御殿。御所。特に、天子・天皇の居所。朝廷。政府。政庁。天子、天皇の位。帝位。皇位。天子、天皇の尊称。
この「みかど」は、
「ミヒ・カハ・タウ」、MIHI-KAHA-TAU(mihi=greet,admire,respect;kaha=boundary line of land,etc.,edge,ridge of a hill,line of ancestry;tau=come to rest,settle down,be suitable,befit)、「尊崇すべき・(人が)住む・場所の区画(家・屋敷・御殿・御所など)」または、転じて「(そこに住む)尊崇すべき方(帝)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」となった)
の転訛と解します。
祭前の物忌みのこと。また、物忌みのため、常人の状態と異なってくること。
この「みかわり」は、
「ミヒ・カワ・アリ」、MIHI-KAWA-ARI(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;kawa=charmed:protected by the ceremonies of kawa,perform the kawa ceremony,effect,etc.,with accompanying kawa ceremonies;ari=clear,visible,appearance,guise,excuse,fence)、「特別な呪術(物忌み)を・行うことに伴う常人と異なる様相を・呈すること(身変わり)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「カワ」の語尾のA音と「アリ」の語頭のA音が連結して「カワリ」となった)
の転訛と解します。
他人の身に代わること。身の代わりに他のものをあてること。他のものでその体の代用とすること。また、その人やそのもの。
この「みがわり」は、
「ミヒ・(ン)ガワリ」、MIHI-NGAWARI(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;ngawari=supple,moving easily,quick,accomodating)、「(親切に)他人の代わりに自分がなり代わって・行動する(身代わり)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「(ン)ガワリ」のNG音がG音に変化して「ガワリ」となった)
の転訛と解します。
植物の茎の一型。木質となって肥大した茎。高木の主軸をなす茎。または、これに類するもの。物事の中心となる部分。幹部。
この「みき」は、
「ミキキ」、MIKIKI(extended)、「(植物の幹の)伸長したもの(幹)」(「ミキキ」の反復語尾が脱落して「ミキ」となった)
の転訛と解します。
酒の美称、または敬称。おみき。
この「みき」は、
「ミミ・ヒキ」、MIMI-HIKI(mimi=make water,urune,stream;hiki=raise,remove,convey)、「尊重される・(水)酒(神酒)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「ヒキ」のH音が脱落して「キ」となった)
の転訛と解します。
正面を南に向けたときの西側にある側。人体の心臓のある方と反対の側。古く、官職を左右対称に区分したときの右方。通常左を上位とした。(この「右」については、国語篇(その九)の159rightの項を参照してください。)
この「みぎ」は、
「ミ(ン)ギ」、mingi(curled,twisted,Cyathodes juniperina,a shrub)、「(右廻りに花弁が重なった花冠のような)右廻りの(右)」(NG音がG音に変化して「ミギ」となった)
の転訛と解します。
(「水限(みぎり)」の意で、雨滴の落ちるきわ、また、そこを限るところからとする説がある)軒下などの雨滴を受けるために石や敷瓦を敷いたところ。転じて、庭。または、境界。あることの行われ、または、あるものの存在する場所。その所。あることの行われる、または存在する時。そのころ。水辺。水際。
この「みぎり」は、
「ミキ・イリ」、MIKI-IRI(miki=ridge of hills,buttocks;iri=be elevated on something,rest upon,hang)、「(雨滴が)落ちる・(尻にあたる)最終端(みぎり)」、「(水が)滲み込んで行く・(尻にあたる)庭または境界(みぎり)」、「(あることまたはあるものが)そこにある・(丘の隆起部のような)高まりの場所または時(みぎり)」または「(水が)そこに止まっている・(隆起部または尻にあたる低水部である)水辺または水際(みぎり)」(「ミキ」の語尾のI音と「イリ」の語頭のI音が連結して「ミキリ」から「ミギリ」となった)
の転訛と解します。
(「水際(みずぎわ)」の意とする説がある)陸地の水に接する所。水のほとり。みずぎわ。
この「みぎわ」は、
「ミキ・ワ」、MIKI-WA(miki=ridge of hills,buttocks;wa=definite space,area,region)、「「(水の隆起部または尻にあたる低水部である)水辺の・場所(汀)」(「ミキ」が「ミギ」となった)
の転訛と解します。
(「み」は接頭語、「くし」は「櫛」で、道具によって間接的に「髪」の尊敬語となったものとする説がある)頭髪の敬称。おぐし。首または頭の敬称。おぐし。
この「みぐし」は、
「ミヒ・クチ」、MIHI-KUTI(mihi=greet,admire,respect,congraturate;kuti=draw tightly together,contract,pinch)、「尊崇すべき・(密な歯がある)櫛を入れる対象であるもの(髪。頭)(御髪)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「クチ」のT音がS音に変化して「クシ」から「グシ」となった)
の転訛と解します。
外から見るのがつらい気持ちである。見るに堪えない。みっともない。みにくい。見づらい。見るのに困難する。
この「みぐるしい」は、
「ミヒ・(ン)グル・チヒ」、MIHI-NGURU-TIHI(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;nguru=utter a suppressed groan,sigh,or grunt;tihi=summit,top,lie in a heap)、「たいへんはなはだしく・声を抑えて不満の意を・表すことだ(見苦しい)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「(ン)グル」のNG音がG音に変化して「グル」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シイ」となった)
の転訛と解します。
神への供物。また、天皇の食事の料。
この「みけ」は、
「ミヒ・カイ」、MIHI-KAI(mihi=greet,admire,respect,congraturate;kai=eat,drink any liquid other than water,food)、「尊崇すべき(神、人へ差し上げる)・食物(御食)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった)
の転訛と解します。
神に奉仕して、神楽などをする者。また、祈祷を行い、神託を告げたり、口寄せなどをしたりする者。かんなぎ。ふじょ。(この「みこ」については、雑楽篇(その一)の106みこ(巫女)の項を参照してください)
この「みこ」は、
「ミコ」、MIKO(=mimiko=gooseflesh,creeping sensation of flesh or skin from fear or sickness)、「神がかりになつて異常な興奮状態になる者(巫女)」
の転訛と解します。
格子、格子戸を尊んでいう語。(下ろして寝るところから)天皇がお休みになること。御寝。
この「みこうし」は、
「ミヒ・コフ・チ」、MIHI-KOHU-TI(mihi=greet,admire,respect,congraturate;kohu=hollow,concave,sheltered from wind,etc.;ti=throw,cast)、「尊崇すべき(天皇に対して)・(格子戸を)下ろして・(風を避けて快適な)就寝場所とするもの(御格子)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「コフ」のH音が脱落して「コウ」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」となった)
の転訛と解します。
輿を敬っていう語。古くは天皇の乗物を総称していう。祭礼の時など、神体または御霊代が乗るとされる輿。形は四角形、六角形八角形などで、屋根の中央に鳳凰などを飾り、台に二本の棒を貫いてこれを大勢で担ぐ。おみこし。(この「みこし」については、オリエンテーション篇)の(2)隠岐(おき)の項の「神輿」を参照してください。)
この「みこし」は、
「ミヒ・コチ」、MIHI-KOTI(mihi=greet,admire,respect,congraturate;koti=separate)、(尊崇すべき・神が通常居る所を)離れて巡行するための乗り物(神輿)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「コチ」のT音がS音に変化して「コシ」となった)
の転訛と解します。
世俗を超越して、人柄、行いなどが、上品でみやびやかなこと。また、そのさま。常に代わらないこと。平常のさまであること。また、特に志操が代わらないこと。また、そのさま。節操。特に、女性の貞操。
この「みさお」は、
「ミヒ・タオ(ン)ガ」、MIHI-TAONGA(mihi=greet,admire,respect,congraturate;taonga=property,anything highly prized)、「尊敬すべき・価値の高い宝物のようなもの(操)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「タオ(ン)ガ」のT音がS音に変化し、名詞形語尾のNGA音が脱落して「サオ」となった)
の転訛と解します。
山や陸が海や湖の中に突き出た部分。水中に突き出た陸地の突端。
この「みさき」は、
「ミヒ・タキ」、MIHI-TAKI(mihi=greet,admire,show itself;taki=stick in(takitaki=fence,screen))、「明らかに(自らを誇示するように)・(海に向かって突き刺すように)突き出ている(垣根となっている場所。岬)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「タキ」のT音がS音に変化して「サキ」となった)
の転訛と解します。
(「御修法(みしゅほう)」の変化した語とする説がある)家または個人のために僧を呼んで密教の修法を行う。その法会。平安時代、宮中で毎年正月八日から七日間行われた真言祈祷の法。
この「みしほ」は、
「ミヒ・チハウ」、MIHI-TIHAU(mihi=greet,admire,respect,congraturate;tihau=tiwitter,make any inarticulate sound with the voice)、「賛嘆すべき(ありがたい)・はっきりしない音と声による祈祷の行事(御修法)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「チハウ」のT音がS音に、AU音がO音に変化して「シホ」となった)
の転訛と解します。
哀れで見るに忍びないこと。まともに見ていられないほど、いたいたしいこと。また、自分がひどく卑小で情けなく、屈辱的に感じられること。また、そのさま。
この「みじめ」は、
「ミヒ・チ・マイ」、MIHI-TI-MAI(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;ti=throw,cast;mai=become quiet)、「たいへん・(意気消沈して)黙りこくる・ようなさまを呈する(惨め)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」から「ジ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
身体を少し動かす。身動きする。
この「みじろぐ」は、
「ミヒ・チ・ロク」、MIHI-TI-ROKU(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;ti=throw,cast;roku=bend,be weighed down,grow weak,decline)、「(身体を)少し傾ける・ような仕草を・見せつける(身動ぐ)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」から「ジ」と、「ロク」が「ログ」となった)
の転訛と解します。
酸素と水素との化合物。動植物体の70〜90パーセントを占め、生存上欠くことができない。(この「水」については、国語篇(その九)の094waterの項を参照してください。)
この「みず」は、
「ミミ・ツ」、MIMI-TU(mimi=make water,urine,stream;tu=stand,take place)、「(静止して)そこにある・水(水)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「ツ」が「ズ」となった)
の転訛と解します。
船に積んだ荷物や魚介類などを陸にあげること。魚業で、水産物をとること。また、その量。漁獲高。転じて、商売の売上高。水を上にあげること。水をくみあげること。生け花で、切り花を水切りしたり、根を焼いたりして、草木が水を良く吸収して長く保つようにすること。また、その切り花が水を吸い上げること。遊女、娼妓が初めて客に接すること。
この「みずあげ」は、
「ミミ・ツ・アケ」、MIMI-TU-AKE(mimi=make water,urine,stream;tu=stand,be erect,take place,engage,energetic;ake=go,indicating continuation in time,from below,upwards)、「水(を、または水から)・せっせと・(上へ)揚げること(水揚げ)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「ツ」が「ズ」と、「アケ」が「アゲ」となった)
の転訛と解します。
四面を陸地で囲まれて中に水を湛えたもの。池・沼などより大きく中央部は沿岸植物の侵入を許さない深度をもつもの。(この「湖」については、国語篇(その九)の143lakeの項を参照してください。)
この「みずうみ」は、
「ミミ・ツ・フミ」、MIMI-TU-HUMI(mimi=make water,urine,stream;tu=stand,be erect,take place;humi=abundant,copious)、「膨大な(量の)・水が・ある(場所)(湖)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「ツ」が「ズ」と、「フミ」のH音が脱落して「ウミ」となった)
の転訛と解します。
(「身つから」の変化したもので、「つ」は助詞、「から」はそれ自体の意とする説がある)その人自身。当人。自分。(代名詞)わたくし。自分。自分自身で。親しく。
この「みずから」は、
「ミヒ・ツカツカ・アラ」、MIHI-TUKATUKA-ARA(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;tukatuka=start up,proceed forward;ara=rise,rise up,raise)、「(自分で)立ち上がって・行動することを・示すこと(自ら)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「ツカツカ」の反復語尾が脱落して「ツカ」から「ヅカ」となり、その語尾のA音と「アラ」の語頭のA音が連結して「ヅカラ」となった)
の転訛と解します。
手跡。筆跡。消息の文。手紙。筆。(万葉集の枕詞の「みずくきの」については、国語篇(その四)の113みずくきの(水茎の)の項を参照してください。)
この「みずくき」は、
「ミミ・ツク・キヒ」、MIMI-TUKU-KIHI(mimi=make water,urine,stream;tuku=let go,allow,send,present;kihi=strip of branches,etc.)、「水が流れるように・筆を・走らせたもの(水茎。筆跡)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「ツク」が「ヅク」と、「キヒ」のH音が脱落して「キ」となった)
の転訛と解します。
台所で、煮炊き、水くみ、食器洗いなどをすること。水仕事をすること。また、それをする下女。水仕女。
この「みずし」は、
「ミミ・ツ・チア」、MIMI-TU-TIA(mimi=make water,urine,stream;tu=stand,be erect,take place,engage,energetic;tia=slave,servant)、「水(仕事を)・せっせとする・下女(水仕)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「ツ」が「ズ」と、「チア」のT音がS音に変化し、語尾のA音が脱落して「シ」となった)
の転訛と解します。
水を扱う商い。水あきない。客の贔屓によって成り立つ盛衰の激しい商売。水稼業。
この「みずしょうばい」は、
「ミミ・ツ・チホホ・パイ」、MIMI-TU-TIHOHO-PAI(mimi=make water,urine,stream;tu=stand,be erect,take place;tihoho=tiho=flacid,soft;pai=good,excellent,suitable,pleasant)、「水の・(変化する)流れのように・うまく行くか・どうかが定まらない稼業(水商売)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「ツ」」が「ズ」と、「チホホ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シオオ」から「シオウ」と、「パイ」が「バイ」となった)
の転訛と解します。
(古くは「みつち」。「ミ」は水、「つ」は「の」、「ち」は霊物の意とする説がある)水中に住み、蛇に似て、角や四足をそなえ、毒気を吐いて人を害するという想像上の動物。
この「みずち」は、
「ミミ・ツ・チ」、MIMI-TU-TI(mimi=make water,urine,stream;tu=fight with,energetic;ti=overcome)、「水中に住み・(人を)害しようと・躍起になっている動物(みずち)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「ツ」が「ズ」となった)
の転訛と解します。
@花カルタで自分の持ち札や状況を考えることなく、手当たり次第に札を出すこと。転じて、後先かまわず事を行うこと。
A芸妓が客を選ぶことなく、たやすく売春すること。また、その芸妓。
この「みずてん」は、
「ミヒ・ツ・テネ」、MIHI-TU-TENE(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;tu=serve,send;tene=invented,impromptu)、「(事前に検討することなく)即興で・相手にサービスする・性格を示している(不見転)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「ツ」のT音がS音に変化して「ス」から「ズ」と、「テネ」が「テン」となった)
の転訛と解します。
@麻などを水に浸してその皮を剥ぐこと。
A竜頭げき首の船の舷側に張った布帛、神輿や舞台の上部に張った幕。水引幕。
B細い紙縒りに糊を引いて干し固めたもの。進物要の包み紙などを結ぶのに用いる。
この「みずひき」は、
@「ミミ・ツ・ヒキ」、MIMI-TU-HIKI(mimi=make water,urine,stream;tu=stand,be erect,be turned up;hiki=raise,remove,convey)、「水に・漬けて・(皮を)剥ぐこと(水引)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「ツ」のT音がS音に変化して「ス」から「ズ」となった)
A、B「ミヒ・ツ・ピキ」、MIHI-TU-PIKI(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;tu=serve,send;tu=serve,send;piki=pressed close together,plume for the head)、「敬意を・表して・(上部に)張られた飾り幕または(表面に)結ばれた飾り紐(水引)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「ツ」のT音がS音に変化して「ス」から「ズ」と、「ピキ」のP音がF音を経てH音に変化して「ヒキ」となった)
の転訛と解します。
姿がやつれている。外見が貧弱である。貧しげである。
この「みすぼらしい」は、
「ミヒ・ツ・ポラ・チヒ」、MIHI-TU-PORA-TIHI(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;tu=be hit,be wounded;pora=stranger,wonderful person,foreign;tihi=sough,moan,of the wind)、「悲しげな・うちひしがれた・見知らぬ人のような・外見を呈している(見窄らしい)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「ツ」のT音がS音に変化して「ス」と、「ポラ」が「ボラ」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シイ」となった)
の転訛と解します。
商品を並べておき、客の目につくようにした所。商品を並べて売る所。また、商売、サービスのため客に対応する所。焦点。たな。江戸時代、遊郭で遊女が遊客を誘う、道路に面した格子構えの座敷。
この「みせ」は、
「ミヒ・タイ」、MIHI-TAI(mihi=greet,acknowledge an obligation,show itself,be expressed,of affection,etc.;tai,taitai=knock,perform certain ceremonies to remove tapu etc.)、「(客が)品定めをするのに・応対する所(店)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「タイ」のT音がS音に、AI音がE音に変化して「セ」となった)
の転訛と解します。
@見るようにさせる。人に分かるように示す。相手の前に姿を現すようにする。様子を見届けさせる。経験させる。診察させる。嫁がせる。
A相手の心を魅了する。
この「みせる」は、
@「ミヒ・テ・ル」、MIHI-TE-RU(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;te=to make an emphatic statement;ru=shake,agitate,scatter)、「きちんと・見るように・(相手が)する(見せる)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「テ」のT音がS音に変化して「セ」となった)
A「ミイ・テ・ル」、MII-TE-RU((Hawaii)mii=attractive,fine-appearing;te=to make an emphatic statement;ru=shake,agitate,scatter)、「しっかりと・(相手を)魅了して・しまう(魅せる)」(「ミイ」の反復語尾のI音が脱落して「ミ」と、「テ」のT音がS音に変化して「セ」となった)
の転訛と解します。
蒸した大豆に、米、麦、大豆などの麹と塩を混合して熟成させた食品。
この「みそ」は、
「ミイ・タウ」、MII-TAU((Hawaii)mii=attractive,good-looking;tau=come to rest,settle down,be suitable)、「(魅力的な)美味な・(寝かして)発酵させて作ったもの(味噌)」(「ミイ」が「ミ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ソ」となった)
の転訛と解します。
(後世「みぞ」とも)衣服を敬っていう語。おめしもの。みけし。おんぞ。おおんぞ。斎服。
この「みそ」は、
「ミヒ・タウ」、MIHI-TAU(mihi=greet,admire,respect,congraturate;tau=tau=alight,come to rest,be suitable)、「尊崇すべき(方が召される)・(休息される場合に)適した衣服(御衣)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「タウ」のT音がS音に、AU音がO音に変化して「ソ」となった)
の転訛と解します。
地を細長く掘って水を通す所。戸・障子を通すために、敷居・鴨居に掘った凹んだ筋。
この「みぞ」は、
「ミミ・ト」、MIMI-TO(mimi=stream,river;to=drag)、「川の・流れを導くもの(溝)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「ト」のT音がS音に変化して「ソ」から「ゾ」となった)
の転訛と解します。
胸の中央部で、胸骨に接するへこんだ部分。みずおち。
この「みぞおち」は、
「ミヒ・トト・オチ」、MIHI-TOTO-OTI(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;toto=drag a number of objects,chip or knock off,chop;oti=finished)、「(ここに)打撃を加えると・(死んだように)意識を失ったように・見える(場所。鳩尾)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「トト」のT音がS音に変化し、反復語尾が脱落して「ソ」から「ゾ」となった)
の転訛と解します。
日の数三十日。また、三十日間。暦の月のはじめから三十番目の日。また、月の末日。
この「みそか」は、
「ミヒ・タウ・カハ」、MIHI-TAU-KAHA(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;tau=alight,come to rest,be suitable;kaha=rope,boundary line,etc.,edge)、「(月の満ち欠けが終わる境界にあたる)月の末日で・(月が)休息に入る・ように見える日(晦日)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「タウ」のT音がS音に、AU音がO音に変化して「ソ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)
の転訛と解します。
身に罪または穢れがあるとき、また、重要な神事などの前に、川原などで、水で身を洗い清め穢れを落とすこと。
この「みそぎ」は、
「ミミ・タウ・(ン)ギア」、MIMI-TAU-NGIA(mimi=make water,urine,stream;tau=tau=come to rest,fall of blows,float,lie steeping in water,be suitable;ngia=seem,appear to be)、「川の流れに・浸かって(身を清めて)いる・ように見える行事(禊ぎ)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「タウ」のT音がS音に、AU音がO音に変化して「ソ」と、{(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」となった)
の転訛と解します。
溶けかけた雪と雨が混ざって降るもの。氷雨。(この「霙」については、雑楽篇(その一)の240みぞれ(霙)の項を参照してください。)
この「みぞれ」は、
「ミミ・タウ・レイ」、MIMI-TAU-REI(mimi=make water,urine,stream;tau=string of a garment etc.,bundle;rei=leap,rush,run)、「(水)雨が・(荷物のように)固まって・降ってくるもの(霙)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「タウ」のT音がS音に、AU音がO音に変化して「ソ」から「ゾ」と、「レイ」が「レ」となった)
の転訛と解します。
味噌滓。物の数でない者。一人前の仲間に入れてもらえない子供。
この「みそっかす」は、
「ミヒ・タウ・ツ・カツア」、MIHI-TAU-TU-KATUA(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;tau=come to rest,float,settle down,be suitable;tu=fight with,energetic;katua=full grown,adult,of animals)、「一人前の大人に・なりたいとやきもきしているが・なかなかなれずに足踏みしている・ように見える者(味噌滓)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「タウ」のT音がS音に、AU音がO音に変化して「ソ」と、「ツ」が「ッ」と、「カツア」のT音がS音に変化し、語尾のA音が脱落して「カス」となった)
の転訛と解します。
神仏を拝む前に、参拝者が手を清め、口をすすぐための場所。みたらい。みたらしがわ(御手洗川)の略。みたらしだんご(御手洗団子)の略。
この「みたらし」は、
「ミミ・タラチ」、MIMI-TARATI(mimi=make water,urine,stream;tarati=spurt,splash)、「(川の)水を・かけて(身を)清める(場所またはその川)(御手洗)」または「(水)醤油のたれを・かけたもの(御手洗団子)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「タラチ」の語尾のT音がS音に変化して「タラシ」となった)
または「ミミ・タライ」、MIMI-TARAI(mimi=make water,urine,stream;tarai=dress,shape,fashion)、「(川の)水で・身づくろいをする(場所またはその川)(御手洗)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」となった)
の転訛と解します。
秩序を無視するさま。道理がたたないさま。思慮、分別を欠いているさま。いいかげんであるさま。節度を失しているさま。度を過ごしているさま。勝手きままであるさま。礼儀作法にもとるさま。特に男女関係、性について慎みのないさま。
この「みだりに」は、
「ミヒ・タリ・ヌイ」、MIHI-TARI-NUI(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;tari,tatari=wait,expect;nui=large,great,many,abundant)、「慎重を欠く(行動が)・極めて多い・ように見える(妄りに)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「タリ」が「ダリ」と、「ヌイ」のUI音がI音に変化して「ニ」となった)
の転訛と解します。
人の行き来するところ。また、その往来にかかわる事柄をいう。道路。通路。航路。
この「みち」は、
「ミミ・チ」、MIMI-TI(mimi=make water,urine,stream;ti=throw,cast,overcome)、「水が(川のように流れて)・平らにした(跡のような。道)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」となった)
の転訛と解します。
馬が道端の草を食って進行が遅くなる。転じて、目的地へ行く途中で、他のことに時間を費やす。
この「みちくさをくう」は、
「ミミ・チ・クタ・ワウ・クフ」、MIMI-TI-KUTA-WAU-KUHU(mimi=make water,urine,stream;ti=throw,cast,overcome;kuta=Scirpus lacustris,a rush;wau=foolish,silly;kuhu=thrust in,cnceal)、「水が(川のように流れて)・平らにした(跡のような。道の)・(カヤツリグサ科の)草を・愚かなことに・(口に)入れた(道草を食う)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「クタ」のT音がS音に変化して「クサ」と、「ワウ」のAU音がO音に変化して「ヲ」と、「クフ」のH音が脱落して「クウ」となった)
の転訛と解します。
(「みちのおく」の変化した語とする説がある)陸前・陸中・陸奥・磐城・岩代の奥州五国の古称。出羽を含めた奥羽地方を指すこともある。
この「みちのく」は、
「ミミ・チ・ノ・オ・クフ」、MIMI-TI-NO-O-KUHU(mimi=make water,urine,stream;ti=throw,cast,overcome;no=of;o=the...of,of place;kuhu=thrust in,cnceal)、「水が(川のように流れて)・平らにした(跡のような。道。街道の)・その・(遠く入り込んだ)奥の・地域(陸奥)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「ノ」のO音と「オ」のO音が連結して「ノ」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」となった)
の転訛と解します。
道案内をする。人して進むべき道を教える。手引きをする。誘って連れてくる。
この「みちびく」は、
「ミミ・チピ・クフ」、MIMI-TIPI-KUHU(mimi=make water,urine,stream;tipi=glide,go quickly or smoothly;kuhu=thrust in,cnceal)、「水(が流れるように)・滑らかに・入り込む(導く)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「チピ」が「チビ」と、「クフ」のH音が脱落して「ク」となった)
の転訛と解します。
貢ぎ物をする。献上する。
この「みつぐ」は、
「ミヒ・ツ・(ン)グ(ン)グ」、MIHI-TU-NGUNGU(mihi=greet,admire,respect,congratulate;tu=serve,send;ngungu=eat greedily,gnaw)、「敬意を表して・(貪欲な相手に)物を・贈る(貢ぐ)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「(ン)グ(ン)グ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「グ」となった)
の転訛と解します。
(中世の「見たくもなし」が「見たうもない」「見とむない」などを経て近世後期に「見っとむない」「みっともない」となったものとする説がある)見た目に悪い。見苦しい。体裁がよくない。外聞が悪く、他に対して恥ずかしい。
この「みっともない」は、
「ミヒ・トモ・ナイ」、MIHI-TOMO-NAI(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;tomo=pass in,enter,assault,storming party;nai=nei,neinei=Dracophyllum latifolium,a shrub)、「(ツツジ科の)灌木の樹叢が・侵入してきた・ように見える(みっともない)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」から「ミッ」となった)
の転訛と解します。
久米氏族にかかる形容語。御稜威(みいつ)を重ねた語。威勢がよい。勇猛である。武をつかさどる久米氏族を褒め称えたもの。
この「みつみつし」は、
「ミヒ・ツ・ミヒ・ツ・チ」、MIHI-TU-MIHI-TU-TI(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;tu=engage,fight with,energetic;ti=throw,cast,overcome)、「勇猛さを・見せつけ・勇猛さを・見せつけ・(周囲を)圧倒する(みつみつし)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」となった)
の転訛と解します。
神に奉納する物の総称。布帛・紙・玉・兵器・貨幣・器物・獣類など。また、後には、御幣。幣帛。ぬさ。
この「みてぐら」は、
「ミヒ・テ・クラ」、MIHI-TE-KURA(mihi=greet,admire,respect,congratulate;te=the;kura=red,precious,treasure)、「尊崇すべき(神に捧げる)・例の・宝物(みてぐら)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「クラ」が「グラ」となった)
の転訛と解します。
他人の目に立つような言動や服装。見かけ。体裁。外観。
この「みてくれ」は、
「ミヒ・テ・クラエ」、、MIHI-TE-KURAE(mihi=greet,admire,respect,congratulate;te=to make an emphatic statement;kurae=project,be prominent)、「実に・目立って・見えるもの(みてくれ)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「クラエ」のAE音がE音に変化して「クレ」となった)
の転訛と解します。
(「みと」は「御処」で神有地の意かとする説がある)神に捧げる稲を作るための田。神領の田。神田。みたしろ。
この「みとしろ」は、
「ミヒ・ト・チラウ」、MIHI-TO-TIRAU(mihi=greet,admire,respect,congratulate;to=the...of;tirau=peg,pick root crops,etc.,out of the ground with a stick)、「尊崇すべき(神に捧げる)・例の・((古くは)芋を掘り出す)作物を収穫する土地(御戸代)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「チラウ」のT音がS音に、AU音がO音に変化して「シロ」となった)
の転訛と解します。
三歳ぐらいまでの子供。赤子。幼児。大宝令では三歳以下の男・女児を緑と称すると規定し、奈良時代の戸籍には男児を緑児と記している。
この「みどりご」は、
「ミヒ・トリトリ・コ」、MIHI-TORITORI-KO(mihi=greet,admire,show itself,be expressed,of affection,etc.;toritori=strenuous,energetic,busy,bustling;ko=in adressing girls and males)、「尊崇すべき(神性をつ持つ)・元気あふれる・子供(嬰児)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「トリトリ」の反復語尾が脱落して「トリ」から「ドリ」となった)
の転訛と解します。
流れが激しくて、水しぶきが立つ。水が満ち溢れる。溢れるばかりいっぱいになる。力、感情などが溢れるほどに満ち広がる。
この「みなぎる」は、
「ミミ・(ン)ガ(ン)ギ・ル」、MIMI-NGANGI-RU(mimi=make water,urine,stream;ngangi=cry of distress,noise;ru=shake,agitate,scatter)、「川の(流れが)・ごうごうと音を・立てる(漲る)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「(ン)ガ(ン)ギ)」の最初のNG音がN音に、次のNG音がG音に変化して「ナギ」となった)
の転訛と解します。
親のない子・孤児。
この「みなしご」は、
「ミヒ・ナチ・カウ」、MIHI-NATI-KAU(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;nati=pinch or contract,restrain;kau=alone)、「一人っきりで・(親族がおらず)苦境に立っている・ようにみえる子(孤児)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「ナチ」のT音がS音に変化して「ナシ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」から「ゴ」となった)
の転訛と解します。
(「な」は「の」の意で、「水の門」の意とする説がある)河海の水の出入りする口。みと。瀬戸。河口。海が陸に奥深く入り込んだ所を利用したり、または人工の防波堤を築いたりして、船が安全に停泊し、旅客の乗降や貨物の積卸しなどができるように整えた所。物事が行き着いて、止まる所のたとえ。
この「みなと」は、
「ミミ・ナ・タウ」、MIMI-NA-TAU(mimi=make water,urine,stream;na=possessed by,belonging to;tau=alight,come to rest,come to anchor,float,lie steeping in water)、「(船が)停泊するのに・適した・水域(港)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)
の転訛と解します。
水のおもて。水面。みのも。
この「みなも」は、
「ミミ・ナ・マウ」、MIMI-NA-MAU(mimi=make water,urine,stream;na=possessed by,belonging to;mau=fixed,continuing,retained,remaining in position)、「水が・本来の・位置を保っているもの(水面)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)
の転訛と解します。
(「な」は「の」の意で、「水の本(もと)」の意とする説がある)川の水の流れ出るもと。水源。事物の起こったりするもと。根源。起源。
この「みなもと」は、
「ミミ・ナ・マウ・ト」、MIMI-NA-MAU-TO(mimi=make water,urine,stream;na=possessed by,belonging to;mau=carry,bring;to=drag,haul)、「(川の)水が・そこから・流れ・出てくる場所(源)」(「ミミ」の反復語尾が脱落して「ミ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)
の転訛と解します。
見て厭な気持ちがする。見苦しい様子である。容貌が醜い。みめがよくない。顔かたちが醜悪である。
この「みにくい」は、
「ミヒ・ニヒ・クイ」、MIHI-NIHI-KUI(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;nihi=move stealthly,dizziness,timidity;kui=cowardly,stunted,woman)、「おどおどし、臆病の・ように見える(醜い)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった)
の転訛と解します。
山の頂。山の頂上の尖ったところ。物の高くなっている部分。高く盛り上がっている部分。また、波形の高くなっている部分。片刃の刃物の背。など。
この「ミネ」は、
「ミネ」、MINE(be assembled)、「(山などの)高まりが連続しているところ(峰)」
の転訛と解します。
茅(かや)・菅(すげ)などの茎や葉、または藁や棕櫚などを編んで作った雨具。肩から羽織って前で結ぶ。その末は、乱髪のようにたれている。
この「みの」は、
「ミ(ン)ゴ」、MINGO(curled,curly,ewrinkled)、「皺が寄っているもの(簑)」(NG音がN音に変化して「ミノ」となった)
の転訛と解します。
草木や穀物などが実を結ぶ。実がなる。結実する。努力などが報いられる。成果があがる。実を結ぶ。
この「みのる」は、
「ミヒ・ナウ・ウル」、MIHI-NAU-URU(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;nau=come,go;uru=enter,possess,associate oneself with,participate in,arrive)、「(実。内容が)入って・充実した・ように見える(実る)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「ナウ」の語尾のU音と「ウル」の語頭のU音が連結して「ナウル」となり、そのAU音がO音に変化して「ナル」となった)
の転訛と解します。
身が現世から罷り去る。この世から去る。
この「みまかる」は、
「ミヒ・マカ・ル」、MIHI-MAKA-RU(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;maka=throw,cast,put;ru=shake,agitate,scatter)、「(人がこの世から)投げ・出される・ように見える(身罷る)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)
の転訛と解します。
(「み」は接頭語。「しまし」「まし」よりも敬意が高いとみられる。確実な例は、宣命の中にだけ見られるという)汝。あなた。
この「みまし」は、
「ミヒ・マチチ」、MIHI-MATITI(mihi=greet,admire,respect,congratulate;matiti=peg,wedge for tightening or securing anything)、「尊崇すべき・(朝廷の)要の釘である者(汝)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「マチチ」のT音がS音に変化し、反復語尾が脱落して「マシ」となった)
の転訛と解します。
けちくさい。しみったれている。また、気が細かい。細心である。
この「みみっちい」は、
「ミヒミヒ・ツ・チヒチヒ」、MIHIMIHI-TU-TIHITIHI(mihimihi=frequentative mihi(greet,show itself,be expressed,of affection,etc.);tu=stand,settle;tihitihi=trifling,idling)、「しょっちゅう・ほんの少しづつを・繰り返してみせる(みみっちい)」(「ミヒミヒ」のH音が脱落して「ミミ」と、「チヒチヒ」のH音および反復語尾が脱落して「チイ」となった)
の転訛と解します。
聞いて知るに値すること。聞いて好ましく思われること。また、そのようなさま。多く、自分に有益な情報や事柄についていう。
この「みみより」は、
「ミミ(ン)ゴ・イ・オリ」、MIMINGO-I-ORI(mimingo=shrivelled up;i=from,beside,with,by,at;ori=cause to wave to and fro,agitate,sway,move about)、「(縮んで皺になっているもの)耳に・いろいろな(事柄が)・(やってくる)聞こえてくる(耳より)」(「ミミ(ン)ゴ」の語尾のNGO音が脱落して「ミミ」と、「イ・オリ」が「ヨリ」となった)
の転訛と解します。
目に見えるありさま。見た目。外見。顔かたち。顔だち。容貌。容姿。ほまれ。名誉。面目。また、見栄。
この「みめ」は、
「ミヒ・マイ」、MIHI-MAI(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;mai=indicating a relation or aspect towards the speaker)、「人に見える・容姿や外見など(見目)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
(「み」は接頭語、「や」は「屋」の意とする説がある)神のいる御殿。神社。大王・天皇の住む御殿。皇居。御所。禁裏。皇后・中宮・皇子・皇女および皇族の御殿。また、それらの人を敬っていう語。一家を立てた親王家の称号。仏道。寺。(この「宮」については、国語篇(その十五)の104じんじゃ(神社)の工を参照してください。)
この「みや」は、
「ミヒ・イア」、MIHI-IA(mihi=greet,admire,respect;ia=indeed)、「実に・尊崇すべきもの(神社。御殿)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「イア」が「ヤ」となった)
の転訛と解します。
(「み」は接頭語。「やけ」は「やか(家宅)」の変化した語とする説がある)令制以前、天皇の直轄地である御田に置かれ、収穫した穀物を納める倉および官舎。また、朝廷直轄領をもいう。大和朝廷が南朝鮮に保有した朝廷直轄領。大化以後、正税として稲などを収納する公の相互、およびこれを管理する役所。
この「みやけ」は、
「ミヒ・アケ」、MIHI-AKE((Hawaii)mihi=repentance,apologize,be sorry,to regret;ake=go)、「謝罪のために・献納した領地(屯倉)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミイ」となり、「アケ」と連結して「ミヤケ」となった)
の転訛と解します。
遠隔地の産物などを送られた、あるいは入手した時に、近隣の者に裾分けすること。また、その品物。旅先・外出先で求めて家に持ち帰る品。いえづと。つと。他人の言えを訪問する時に持参する贈り物。
この「みやげ」は、
「ミヒ・イア・ケ」、MIHI-IA-KE(mihi=greet,admire,respect,congratulate;ia=indeed;ke=different,strange)、「敬意または祝意をこめた・実に・珍しい品物(土産)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「イア」が「ヤ」と、「ケ」が「ゲ」となった)
の転訛と解します。
(「みや」は宮、「こ」は場所の意かとする説がある)皇居のある土地。天皇が仮住まいした行宮などもいう。政治・経済・文化などの中心として、多くの人口を有する繁華な都会。首都。首府。
この「みやこ」は、
「ミヒ・イア・カウ」、MIHI-IA-KAU(mihi=greet,show itself,be expressed,of affection,etc.;ia=indeed;kau=stalk)、「実に・(国の)根幹(をなす都会の)・ように見える(都。京)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「イア」が「ヤ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)
の転訛と解します。
(天皇の語休息所「みやすみどころ」の変化した「みやすんどころ」からとする説がある)天皇に侍する救助の敬称。皇子・皇女を産んだ女御・更衣をいう場合が多いが、皇子・皇女のない場合にも、また、広く天皇に寵せられた救助にもいう。皇太子及び親王の妃の敬称。
この「みやすどころ」は、
「ミヒ・アツ・トコラウ」、MIHI-ATU-TOKORAU(mihi=greet,admire,respect,congratulate;atu=to form a comparative or superative;tokorau=absent,at a distance,separate,divorce)、「(天皇の)寵愛が失われた(宮女に)・奉った・高い位の名称(御息所)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミイ」となり、その語尾のI音と「アツ」の語頭のA音が連結し、T音がS音に変化して「ミヤス」と、「トコラウ」のAU音がO音に変化して「トコロ」から「ドコロ」となった)
の転訛と解します。
宮廷風で上品なこと。都会風であること。また、そのさま。洗練された風雅。優美。恋の情趣を解し、洗練された恋のふるまいをするさま。優れた風采。立派な姿。
この「みやび」は、
「ミヒ・イア・ヒ」、MIHI-IA-HI(mihi=greet,admire,respect,show itself,be expressed,of affection,etc.;ia=indeed;hi=raise,rise)、「実に・上品で(高い境地にある)・尊ぶべきもの(雅)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と、「イア」が「ヤ」と、「ヒ」が「ビ」となった)
の転訛と解します。
極めて優れていること。人智では計り知ることができないほど優れていること。言語で言い表せないほど素晴らしいこと。また、そのさま。不思議なこと。奇妙なこと。奇跡。また、そのさま。物事を喜んだり、褒めたり、はやしたてたりするときにいう近世の流行語。すてき。すばらしいこと。いいこと。また、そのさま。
この「みょう」は、
「ミヒ・オウオウ」、MIHI-OUOU(mihi=greet,admire,respect,show itself,be expressed,of affection,etc.;ouou=few)、「(稀にしかない)たいへんすばらしい・尊ぶべきもの(妙)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミイ」と、「オウオウ」の反復語尾が脱落して「オウ」となり、「ミイ」と連結して「ミョウ」となった)
の転訛と解します。
古代、氏(うじ)の名。また、氏と姓(かばね)を総合した称。個人の実名までふくめることもある。同一の氏から分かれ出た家の名。祖先を同じくするとされている血縁集団の称。(「苗字」とも書く)代々その一家に継承される家の名。職業、身分などによって分けられた集団の名称。個人の実名。通称に対していう。人の姓と名。姓名。事物の名称。名跡。
この「みょうじ」は、
「ミヒ・ホウ・チ」、MIHI-HOU-TI(mihi=greet,admire,respect,show itself,be expressed,of affection,etc.;hou=bind,lash together;ti=throw,cast)、「尊敬すべき・(血縁などの)集団の・(外部へ向かって)発される名(名字)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミイ」となったその語尾のI音と、「ホウ」のH音が脱落したその語頭のOU音が結して「ミョウ」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」から「ジ」となった)
の転訛と解します。
(「めおと」の変化した語とする説がある)妻と夫。夫婦。
この「みょうと」は、
「ミヒ・ホウ・タウ」、MIHI-HOU-TAU(mihi=greet,admire,respect,show itself,be expressed,of affection,etc.;hou=bind,lash together;tau=lover,spouse,darling)、「恋人同士が・結ばれた(仲のよい夫婦)・のように見える(夫婦)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミイ」となったその語尾のI音と、「ホウ」のH音が脱落したその語頭のOU音が結して「ミョウ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)
の転訛と解します。
「冥利」(仏語)は、仏菩薩が知らず知らずの間に与える利益。転じて、人が知らず知らずの間に、神仏や他人などから与えられる福利、恩恵で、「冥利に尽きる」とは、自分の身分や商売などによって受ける恩恵が、あまりにも多くてありがたいの意。
この「みょうりにつきる」は、
「ミヒ・オウオウ・リ・ニヒ・ツキ・ル」、MIHI-OUOU-RI-NIHI-TUKI-RU(mihi=greet,admire,respect,show itself,be expressed,of affection,etc.;ouou=few;ri=bond,bind;nihi=move stealthly,come stealthly upon,surprise;tuki=pound,attack(tutuki=reach the farthest limit,extend;ru=shake,agitate,scatter)、「感謝すべき・(神仏から身に)与えられる・(稀な)恩恵が・知らず知らずの間に・せっせと・とんでもなく多いものになっていた(冥利に尽きる)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミイ」となり、その語尾のI音と「オウオウ」の反復語尾が脱落した「オウ」が連結して「ミョウ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった)
の転訛と解します。
「ム」
こちらへ向かって来るものに対して、途中まで出かけていつて待ち受ける。また、用意して待つ。その場に居て、自然やってくるのを待つ。時や季節が推移してある状態が訪れることをいう。呼んで、来るように仕向ける。呼び寄せる。また、準備をして、人を待ち受ける。家族の一員として呼ぶ。招いて身内とする。敵を待ち受けて防ぐ。他人の意向を受け入れる。迎合する。
この「むかえる」は、
「ムカ・ヘル」、MUKA-HERU(muka=prepared fiber of flax,used also of the way,by which a god communicates with the medium;heru=comb for the hair,glide as anything floating in the water)、「あらかじめ準備をして道の途中で・待つ(迎える)」(「ヘル」のH音が脱落して「エル」となった)
の転訛と解します。
時間的に、現在から遡っての過去の一時期、一時点。時間の隔たりの多少に関わらず用いる。以前。かつて。(「ひとむかし」「ふたむかし」などの形で)十年、または十二年を単位として数えた過去をいう。特に、ある人が生きていた時点。生前。在世中。転じて、かつて生きていた人。故人。古人。特に、この世に生まれてくる前の世。前世。
この「むかし」は、
「ムア・カチ」、MUA-KATI(mua=the front,the former time,the past,before;kati=leave off,be left in statu quo,so be it)、「過ぎ去った・過去(昔)」(「ムア」の語尾のA音が脱落して「ム」と、「カチ」のT音がS音に変化して「カシ」となった)
の転訛と解します。
(「む」は身の意とする説がある)人質。
この「むかわり」は、
「ムカ・ハリ」、MUKA-HARI(muka=prepared fiber of flax,used also of the way,by which a god communicates with the medium;hari=carry)、「あらかじめ準備をして道の途中で・(引き渡して)連れて行く(身代わり)」(「ハリ」のH音がWH音に変化して「ワリ」となった)
の転訛と解します。
(心を汚す垢のない意)(仏語)煩悩のないこと。また、そのさま。清らかで、汚れのないこと。うぶで世間しらずであること。また、そのさま。
この「むく」は、
「ムフ・ウク」、MUHU-UKU(muhu=stupid,untaught;uku=wash,using clay for soap(ukuuku=swept away))、「うぶで・汚れが(洗い去って)ないこと(無垢)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」となり、そのU音と「ウク」の語頭のU音が連結して「ムク」となった)
の転訛と解します。
(「む」は「身」、「くろ」は「から(幹)」の変化したものかとする説がある)身体。また、首や手足を除いた胴体の部分をいう。(「骸」とも書く)死骸。なきがら。また、首を切られて胴体だけの死体。朽ちた木の幹。
この「むくろ」は、
「ム・クイ・ロウ」、MU-KUI-ROU(mu=silent;kui=cold;rou=a long stick or pole)、「静かな(無言の)・冷たい・棒(骸)」(「クイ」の語尾のI音が脱落して「ク」と、「ロウ」が「ロ」となった)
の転訛と解します。
それ以外のなにものでもないこと。疑う余地なくそれであること。取り上げて問題にしようもないこと。話にもならないこと。また、味気なくつまらないこと。論外。事態の程度がひどくて、呆れたり、非難したりしなければならないこと。全くひどいこと。あんまりなこと。甚だしく身分が低いこと。卑しいこと。甚だしく冷酷、残酷であること。悲惨であること。みじめであること。あわれであること。役にも立たないこと。無意味であること。むなしいこと。無駄。
この「むげ」は、
「ム・(ン)ガイ」、MU-NGAI(mu=murmur at,discontent with,silent;ngai=tribe or clan)、「ぶつぶつ(不満を)言う・類のもの(無下)」あるいは「話にならない・類のもの(無下)」(「(ン)ガイ」のNG音がG音に、AI音がE音に変化して「ゲ」となった)
または「ムイ・(ン)ガイ」、MUI-NGAI(mui=swarm round,molest;ngai=tribe or clan)、「とんでもない(ひどい)・類のもの(無下)」(「ムイ」のI音が脱落して「ム」と、「(ン)ガイ」のNG音がG音に、AI音がE音に変化して「ゲ」となった)
または「ムフ・(ン)ガイ」、MUHU-NGAI(muhu=grope,feel after,push one's way through bushes,etc.;ngai=tribe or clan)、「(見当もつかないまま手探りで進む)無駄な・類のもの(無下)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」と、「(ン)ガイ」のNG音がG音に、AI音がE音に変化して「ゲ」となった)
または「ムイムイ・(ン)ガイ」、MUIMUI-NGAI(muimui=anything small or diminutive;ngai=tribe or clan)、「実に卑小な・類のもの(無下)」(「ムイムイ」の反復語尾および語尾のI音が脱落して「ム」と、「(ン)ガイ」のNG音がG音に、AI音がE音に変化して「ゲ」となった)
の転訛と解します。
娘の夫としていえに迎える男。また、娘の夫。女性から見て、結婚相手の男。夫。
この「むこ」は、
「ムフ・コ」、MUHU-KO(muhu=grope,feel after,push one's way through bushes,etc.;ko=in addressing girl and males)、「手探りで評価する・(娘の夫である)男(婿)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」となった)
の転訛と解します。
物事の状態や程度がはなはだしい。すごい。見るに堪えないほど痛ましい。悲惨である。思いやりがない。薄情である。無慈悲である。残酷である。ひどい。
この「むごい」は、
「ムイ・(ン)ゴヒ」、MUI-NGOHI(mui=swarm round,molest;ngohi=victim,person slain in battle,troop)、「(戦場で)敵を・虐殺する(惨い)」(「ムイ」のI音が脱落して「ム」と、「(ン)ゴヒ」のNG音がG音に変化し、H音が脱落して「ゴイ」となった)
の転訛と解します。
(仏語)罪を犯しながら、みずからを省みて恥じないこと。残酷であること。乱暴なこと。また、そのさま。残酷な状態にあって痛ましいこと。また、そのさま。深く同情すべきさま。不憫。気の毒。
この「むざん」は、
「ムイ・タ(ン)ガ」、MUI-TANGA(mui=swarm round,molest;tanga=be assembled,row,division)、「(人への)危害を・度重ねること(無慙)」(「ムイ」のI音が脱落して「ム」と、「タ(ン)ガ」のT音がS音に、NG音がG音に変化して「サナ」から「ザン」となった)
の転訛と解します。
(「ず」は「つ(唾)」の濁音化したものか、「ず」を「す(酸)」と考えて歴史的かなづかいを「むしず」とする説がある)胃病などで胸がむかむかしたとき、胃から口中に逆流してくる酸敗液。また、その時のような深いな感じ。むなず。
この「むしず」は、
「ムイ・チ・イツ」、MUI-TI-ITU(mui=swarm round,molest;ti=throw,cast;itu=side)、「(人を)悩ませる・(胸の)傍らに・起こる不快感(虫唾)」(「ムイ」のI音が脱落して「ム」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」となり、その語尾のI音と「イツ」の語頭のI音が連結して「シツ」から「シズ」となった)
の転訛と解します。
(腹中の虫に食物を与える意とされる)空腹を一時的に凌ぐこと。また、その軽食。虫押さえ。転じて、性欲その他の欲望を一時的に満たすこともいう。
この「むしやしない」は、
「ム・チア・チネイ」、MU-TIA-TINEI(mu=murmur at,discontent with;tia=abdomen;tinei=put out,quench,extinguish,destroy)、「空腹を訴える・胃の・不満を解消する(軽食を与える)(虫養い)」(「チア」のT音がS音に変化して「シア」から「シヤ」と、「チネイ」のT音がS音に変化して「シネイ」から「シナイ」となった)
の転訛と解します。
(梵 anitya の訳)一切万物が生滅変転して、常住でないこと。現世におけるすべてのものが速やかに移り変わって、しばしも同じ状態に止まらないこと。特に、生命のはかないこと。いつ死ぬかわからないこと。また、そのさま。特に人の死をいう。
この「むじょう」は、
「ム・チホイ」、MU-TIHOI(mu=silent;tihoi=vagrant,unsettled,divergent)、「(すべては)静寂で・変転してやまない(無常)」(「チホイ」のT音がS音に変化し、H音および語尾のI音が脱落して「シオ」から「ジョウ」となった)
の転訛と解します。
なさけ心のないこと。情愛の乏しいこと。人情や思いやりがないこと。また、そのさま。不人情。無慈悲。薄情。非情。
この「むじょう」は、
「ム・チホホ」、MU-TIHOHO(mu=silent;tiho,tihoho=flacid,soft)、「言葉もなく・(無気力で)人情に欠ける(無情)」(「チホホ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シオオ」から「ジョウ」となった)
の転訛と解します。
藺草、竹、藁、蒲などで編んで作った敷物の総称。寝るための場所。寝床。
この「むしろ」は、
「ムフ・チラウ」、MUHU-TIRAU(muhu=grope,push one's way through bushes etc.;tirau=peg,stick,draw a canoe sideways with the paddle)、「奥へ奥へと・(カヌーを並べるように)藁を横に並べた(編んだ。敷物)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」と、「チラウ」のT音がS音に、AU音がO音に変化して「シロ」となった)
の転訛と解します。
機嫌が悪い。不快な表情や態度をあらわに見せている。気に入らず、不愉快である。気持ちが晴れない。うっとうしい。むしゃくしゃする。正体の知れないもの、なじみのないものに対して君が悪い。不安で恐ろしい。風情がなくてむさくるしい。汚れてきたない。ごたごたとして煩わしい。うるさい。面倒だ。回復しにくいほど病気が重い。理屈や論理が複雑で、理解しにくい。など。
この「むずかしい」は、
「ムイ・ツカハ・チヒ」、MUI-TUKAHA-TIHI(mui=swarm round,molest;tukaha=strenuous,vigorous,hasty,passionate)、「最高に・強力に・(人を)悩ませる(難しい)」(「ムイ」の語尾のI音が脱落して「ム」と、「ツカハ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「スカ」から「ズカ」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シイ」となった)
の転訛と解します。
(「生(む)す子」の意とする説がある)親にとって自分の子である男。せがれ。子息。陰茎の異称。せがれ。
この「むすこ」は、
「ムツ・コ」、MUTU-KO(mutu=brought to an end,left off(mutunga=youngest of a family);ko=in addressing girl and males)、「(一人前になった)成人となった・男子(息子)」(「ムツ」のT音がS音に変化して「ムス」となった)
の転訛と解します。
(「むす」は生じる、「ひ」は霊威の意とする説がある。後世「むすび」とも)天地、万物を生み、または成長させる霊妙な力。神の名に用いられることが多い。
この「むすひ」は、
「ムツ・ヒ」、MUTU-HI(mutu=brought to an end,left off,come or gone without exception,cmpleted;hi=raise,rise)、「(万物を)生み、育て、完成させる・高貴な(霊力。またそれを持つ神)(産霊)」(「ムツ」のT音がS音に変化して「ムス」となった)
の転訛と解します。
紐状のものをからみ合わせ、巻き込んでつなぐこと。また、そのような状態にしたもの。(掬)両手で水をすくうこと。飯を両手で握り固めたもの。にぎりめし。人と人とを関係づけて、親しくさせること。縁をむすぶこと。口の閉じた様子。文章、物語などの終わり。結末。
この「むすび」は、
「ムツ・ピヒ」、MUTU-PIHI(mutu=brought to an end,left off,come or gone without exception,cmpleted;pihi=spring up,begin to grow,shoot,sprout,watertight)、「(動き始めた)紐の連結、人と人との関係、文章・物語の進行などを・完成させる(結び)」または「(水の漏れない状態の)両手を合わせて・(目的の行動を完結させる)みずをすくう、飯を握るなどをする(掬び。結び)」(「ムツ」のT音がS音に変化して「ムス」と、「ピヒ」のH音が脱落して「ピ」から「ビ」となった)
の転訛と解します。
(「生(む)す女(め)」の意とする説がある)親にとって自分の子である女。めのこ。息女。未婚の女性。若い女。おとめ。
この「むすめ」は、
「ムツ・マイ」、MUTU-MAI(mutu=brought to an end,left off;mai,maimai=a dance or haka,to welcome guest at a tangi(mourn))、「(一人前になった)成人となった・(踊りを踊る)女子(娘)」(「ムツ」のT音がS音に変化して「ムス」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
(「2679むざん(無慙)」の変化した語とする説がある)残酷であること。乱暴なこと。また、そのさま。残酷な状態にあって痛ましいこと。また、そのさま。深く同情すべきさま。不憫。気の毒。可愛らしいこと。
この「むぞう」は、
「ムイ・タウ」、MUI-TAU(mui=swarm round,molest;tau=come to rest,float,be suitable,be comely,be fit,be able)、「(人を)悩ますほど・(気の毒で)可愛らしい(無慙)」(「ムイ」のI音が脱落して「ム」と、「タウ」のT音がS音に、AU音がOU音に変化して「ソウ」から「ゾウ」となった)
の転訛と解します。
(「むな(空)」の変化とも、擬態語からともいうが未詳。「無駄」は宛字)行っただけの効果がないこと。役にたたないこと。また、そのさま。無益。無用の言辞。無益なおしゃべり。無駄口。
この「むだ」は、
「ム・タ」、MU-TA(mu=murmur at,show discontent with,silent;ta=dash,strike,lay)、「(無益だと)不満をいう(対象の)・行為(無駄)」(「タ」が「ダ」となった)
の転訛と解します。
馬などを打って進ませるための、竹または革製の細長い杖。人や動物を打ったり、人に物を指し示したりするのに用いる細長い棒。人を叱咤激励したりするための言葉や行為。(この「鞭」については、国語篇(その三)の「(1)法則その一(語末音はa伸びるか b消滅する)」の項を参照してください。)
この「むち」は、
「ム・チ」、MU-TI(mu=silent;ti=throw,cast,overcome)、「音もなく(飛んできて)・打ちのめすもの(鞭)」
の転訛と解します。
筋道がたたないこと。道理にあわないこと。また、そのさま。めちゃくちゃ。乱暴に扱ったり、乱雑にしたりすること。また、そのさま。だめにしたり、虫したりれすること。かえりみないこと。また、そのさま。程度が普通でないこと。度をはずれていること。また、そのさま。知らないこと。知識がないこと。また、そのさま。
この「むちゃ」は、
「ムイ・チア」、MUI-TIA(mui=swarm round,molest;tia=slave,servant)、「召使いを・(理不尽に)痛めつけるような(無茶)」(「ムイ」の語尾のI音が脱落して「ム」と、「チア」が「チャ」となった)
の転訛と解します。
丸々と程よく太っているさま。また、丸く盛り上がっているさまを表す語。洗練されて物柔らかなさま。起き上がったり、物が生えてきたりするさまを表す語。「むっく」よりも緩慢な感じを表す。押し黙っているさま。
この「むっくり」は、
「ムツ・クリ」、MUTU-KURI(mutu=cut short,bring to an end;kuri=dog,any quadruped)、「四つ足(の動物)の・端を切り落としたような(むっくり)」(「ムツ」が「ムッ」となった)
の転訛と解します。
(「むてんぽう(無点法)」の変化した語とも、「むてほう(無手法)」の変化した語ともする説がある。「無鉄砲」は宛字)理非や前後をよく考えないで事を行うこと。むこうみずに行うこと。また、そのさまやその人。むてっぱち。
この「むてっぽう」は、
「ムム・タイ・ツポウ」、MUMU-TAI-TUPOU(mumu=baffling,boisterous wind;tai=the sea,tide,wave;tupou=bow the head,fall or throw oneself headlong,dive)、「暴風が吹き荒れる・海に・飛び込む行為(無鉄砲)」(「ムム」の反復語尾が脱落して「ム」と、「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」と、「ツポウ」が「ッポウ」となった)
の転訛と解します。
一般に頭部と腹部の間の部分。胸部。肋骨に保護されている部分にある内臓。心臓。また、肺臓。時に胃を指して言うこともある。胸部に宿ると考えられている人の心。(この「むね(胸)」については、国語篇(その九)の011breastの項および雑楽篇(その二)の1024棟(むね)の項を参照してください。)
この「むね」は、
「ムア・ネイ」、mua-nei(mua=the front,the forepart;nei,neinei=stretched forward,bobbing up and down)、「(身体の)前にあって・伸びているもの(胸)」または「(身体の)前にあって・揺れるもの(乳房。胸)」(「ムア」の語尾のA音が脱落して「ム」と、「ネイ」の語尾のI音が脱落して「ネ」となつた)
または「ム・ウネネ」、MU-UNENE(mu=silent,murmur at;unene=beg importunately)、「断ち切れない思いを・(自分自身に)問いかけるもの(胸)」(「ム」のU音と「ウネネ」の語頭のU音が連結し、反復語尾が脱落して「ムネ」となった)
の転訛と解します。
屋根の最も高い所。屋根の背にあたる部分。また、そこに渡す材である棟木のことをもいう。転じて、屋根の棟にあたるような部分の名称。(この「むね(胸)」については、雑楽篇(その二)の1024棟(むね)の項を参照してください。)
この「むね」は、
「ムフ・ネイ」、MUHU-NEI(muhu=grope,overgrown with vegetation;nei=to denote proximity to or connection with,to indicate continuance of action)、「草が繁茂・している場所(棟)」(「ムフ」のH音が脱落して「ム」と、「ネイ」が「ネ」となつた)
の転訛と解します。
前後を考えないこと。理非を分別しないこと。また、そのさま。度を超すこと。また、そのさま。むやく。
この「むやみ」は、
「ムイ・イア・ミヒ」、MUI-IA-MIHI(mui=swarm round,molest;ia=indeed;mihi=greet,admire,respect)、「実に・(人を)褒めそやして・悩ませる(無闇)」(「ムイ」の語尾のI音と「イア」の語頭のI音が連結して「ムヤ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)
の転訛と解します。
人家の群がっている区域。地形・水系などによって居住に適し、生活圏を形成している区域。一箇所に同類のものが群がり集まった所。市・町とともに都道府県を構成する最も基礎的な地方公共団体。村。
この「むら」は、
「ムラ」、MURA(blaze,flame)、「(多くの)炎が燃え立つところ(村)」
の転訛と解します。
ムラサキ科の多年草。根は太く紫色で、紫色の染料とされる。紫草の根で染めた色。(女房詞)鰯をいう。醤油をいう。など。
この「むらさき」は、
「ムラ・タキ」、MURA-TAKI(mura=blaze,flame;taki=track,lead,bring along)、「(燃える)炎の色から・(別の色に)移行した色(紫色。紫)」(「タキ」のT音がS音に変化して「サキ」となった)
の転訛と解します。
にわかに群がって降る雨。激しくなったり弱くなったりして降る雨。にわか雨の類。(この「むらさめ」については、雑楽篇(その一)の233むらさめ(村雨)の項を参照してください。)
この「むらさめ」は、
「ム・フラ・タ・マエ」、MU-HURA-TA-MAE(mu=silent;hura=remove a covering,begin to flow of the tide,bare,bald;ta=the...of,dash,beat,lay,breathe,wind;mae=languid,listless,withered)、「静かに(突然)・降り始める・弱い・雨」(「ム」のU音と「フラ」のH音が脱落して「ウラ」となったその語頭のU音が連結して「ムラ」と、「タ」のT音がS音に変化して「サ」と、「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
(「むらぬし(村主)」の意かとする説がある)姓(かばね)の名。令制前、首長の称号として神別の者に賜った。臣(おみ)と並ぶ有力豪族が多く、大伴氏、物部氏からは大連(おおむらじ)が任ぜられて朝政を担当した。天武天皇の時に制定された八色(やくさ)の姓(かばね)の七番目の姓。
この「むらじ」は、
「ムラ・チ」、MURA-TI(mura=blaze,flame;ti=throw,cast,overcome)、「光を・放っている(輝かしい、名誉ある。部族)(連)」または「(火を燃やしている集落)部族を・治めている(支配者の。部族)(連)」(「チ」のT音がS音に変化して「シ」から「ジ」となった)
の転訛と解します。
江戸時代以降行われた私刑的な慣習で、村の掟に違反した者に対して、一切の取引・交際を断つこと。「八分」については、葬事・火事の二つの場合だけは例外とするところからという説や、仲間から外す、はねのけるなどの語からきたとする説などがある。むらはずし。むらはじき。むらはね。
この「むらはちぶ」は、
「ムラ・ハ・チプ」、MURA-HA-TIPU(mura=blaze,flame;ha=breath,hesitate in speaking;tipu=tupu=grow,begin,social position)、「(多くの)炎が燃え立つところ(村)が・社会的交際を・遠慮すること(村八分)」(「チプ」が「チブ」となった)
の転訛と解します。
筋道が通らないことを知りながら、また、困難あるいはだめだと知りながら、行うさまを表す語。しいて。むりむり。むりから。
この「むりやり」は、
「ムリ・アリ」、MURI-ARI(muri=rear,behind,afterwards;ari=clear,visible,appearance)、「後になって・明らかになる(前の時点では筋道が通らず、または困難もしくは不可能と知りながら行うさま)(無理矢理)」(「ムリ」の語尾のI音が長音化して「アリ」と連結し「ヤリ」となった)
の転訛と解します。
群がっている状態。群がった集団。あつまり。仲間。友達。
この「むれ」は、
「ムイ・レア」、MUI-REA(mui=swarm;rea=grow,multiply,numerous,innumerable)、「多数集まった・集団(群れ)」(「ムイ」の語尾のI音が脱落して「ム」と、「レア」の語尾のA音が脱落して「ケ」となった)
の転訛と解します。
土を掘り下げて柱を立て屋根をかぶせる方式の古代の家。転じて、古式の家。室屋。古代、家の奥にあって、土を盛ったり塗り込めたりして寝所などに用いた所。山腹などに掘ってつくった岩屋。住み籠もる家。特に僧の住まいをいう。物を入れて、外気を防いだり暖めたりして、育成または保存するために特別の構造を施したところ。蒸し風呂のこと。ムロアジの略。
この「むろ」は、
「ム・ロ」、MU-RO(mu=insects;ro=roto=inside)、「内側に・(虫が喰つたような)空間がある(家または施設)(室)」
の転訛と解します。
不快感で吐き気を催すさまを表す語。熱気や人いきれなどが強く立ちこめるさまを表す語。
この「むんむん」は、
「ムナムナ」、MUNAMUNA(munamuna auahi=minamina auahi=smoke)、「煙(やなどが)強く立ちこめる(むんむん)」(「ムナムナ」が「ムンムン」となった)
の転訛と解します。
「メ」
人や動物に備わる感覚器官の一つで、光の刺激を受けて、外界の状況を知るための器官。まなこ。眼球・眼瞼などを含む視器全体をいう。眼球をいう。目の働きをいう。(この「め」については、国語篇(その九)の024eyeの項を参照してください。)
この「め」は、
「メイ・メ」、MEI-ME(mei=according to,judging by;me=thing)、「(見ることによって)判断する・もの(目)」(「メイ」の語尾のI音が脱落して「メ」となり、「メ・メ」の反復語尾が脱落して「メ」となった)
の転訛と解します。
(接尾語)人名または人を表す名詞、あるいは対象とする物事を表す語に付けて、これを罵り、卑しめていうのに用いる。自分の名、または自分ないし自分に関連する物事を表す語に付けて、卑下していうのに用いる。
この「め」は、
「メア」、MEA(used persons whom it is unnecessary or impossible to name,so-and-so)、「取るに足りない者(め)」(「メア」の語尾のA音が脱落して「メ」となった)
の転訛と解します。
(目で明らかにする意とする説がある)見てよし悪しを決めること。鑑定すること。めきき。戦国時代、戦場で将兵の功、不功を観察したもの。戦国時代、忍び込んだ敵をあばき、また敵将の首実検などを行ったもの。江戸時代、江戸の町奉行所の同心や代官などが犯罪の捜査または犯罪者の逮捕の手伝いをさせるために雇った私的な使用人。岡っ引。手先。小者。御用聞き。見て事実を明らかにすること。身あかすこと。あばくこと。
この「めあかし」は、
「メア・カチ」、MEA-KATI(mea=thing,reason,fact;kati=bite,nip(kakati=grip,tie in bundles,sting,eat,be clenched))、「(軍功や犯罪などの)事実やその詳細を・把握すること(目明かし)」(「カチ」のT音がS音に変化して「カシ」となった)
の転訛と解します。
自分の兄弟・姉妹の生んだ女の子。
この「めい」は、
「マイ・イヒ」、MAI-IHI(mai=a dance or haka,to welcome at a tangi(mourn);ihi=split,dtvtde,separate)、「(分かれた)兄弟・姉妹の・(踊りを踊る)女の子(姪)」(「マイ」のI音と「イヒ」の語頭のI音が連結して「マイヒ」となり、そのAI音がE音に変化し、H音が脱落して「メイ」となった)
の転訛と解します。
(はかりの目盛がいっぱいになる意からとする説がある)最高限度に至っていること。精一杯であること。また、そのさま。
この「めいっぱい」は、
「メイ・ツ・パイ」、MEI-TU-PAI(mei=according to,judging by;tu=stand,settle,fight with,energetic;pai=good,excellent,suitable,agreeable)、「すばらしい・奮闘の・結果である(目一杯)」(「ツ」が「ッ」となった)
の転訛と解します。
目のふちの腫れ物。物もらい。(この「めいぼ」については、国語篇(その十六)の209ものもらいの項の「メイボ」「メーボ」などを参照してください。)
この「めいぼ」は、
「メイ・ポ」、MEI-PO(mei=according to,judging by;po,popo=crowd round,throng,smoulder)、「目の中に火種がある(熱を持つ)・特徴がある腫れ物(麦粒腫)」(「ポ」が「ボ」となった)
の転訛と解します。
(「滅(め)り入る」の変化したものと、または「滅(め)る」の長音化したものとする説がある)気勢がなくなり、ふさぎ込む。元気なく陰気になる。ゆううつになる。沈む。衰微する。よくなくなる。落ち目になる。など。
この「めいる」は、
「マイヒ・ル」、MAIHI-RU(maihi=uneasy in mind,anxiety;ru=shake,agitate,scatter)、「意気消沈して・ふさぎ込む(滅入る)」(「マイヒ」のAI音がE音に変化し、H音が脱落して「メイ」となった)
の転訛と解します。
どうしてよいか分からないで途方に暮れること。困窮すること。戸惑うこと。また、そのさま。ある行為によって、負担を感じ、不快になること。また、そのさま。ある行為の結果生ずる、符の液、負担など。
この「めいわく」は、
「メイ・ワク」、MEI-WAKU(mei=according to,judging by;waku=rub,scrape,abrade)、「ある行為によって・神経をすり減らすこと(迷惑)」
の転訛と解します。
妻と夫。ふうふ。めお。みょうと。めおと。
この「めおと」は、
「マイ・アウト」、MAI-AUTO(mai,maimai=a dance or haka,to welcome guests at a tangi(mourn);auto=trailing behind,slow)、「(踊りを踊る女性)妻が・(夫の)後について歩くもの(夫婦)」(「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」となった)
の転訛と解します。
正妻のほかに、自分のものとして養い、アイしている女。そばめ。てかけ。めか。
この「めかけ」は、
「マイ・カケ」、MAI-KAKE(mai,maimai=a dance or haka,to welcome guests at a tangi(mourn);kake=ascend,climb upon or over,be superior to,overcome)、「(踊りを踊る)女性で・(正妻よりも愛されて)優越した状況にある者(妾)」(「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
(接尾語「めく」からとする説がある)名詞などに付いて動詞をつくり、そのように見せかける。・・・らしくふるまう。(粧す)外見を装う。とりつくろう。身なりを飾り立てる。化粧や衣服などを必要以上に飾り立てる。おしゃれをする。浮き立たせるようにはやし立てる。
この「めかす」は、
「メカ・ツ」、MEKA-TU(meka=true,only in the expression;tu=fight with,energetic)、「懸命に・本当のように見せかける(粧す)」(「ツ」のT音がS音に変化して「ス」となった)
の転訛と解します。
物を壊す。砕くる破壊する。
この「めぐ」は、
「マエ・(ン)グ」、MAE-NGU(mae=languid,listless,withered;ngu=greedy)、「(どん欲に)徹底的に・打ち倒す(壊す)」(「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となった)
の転訛と解します。
(「くじら」の語源は未詳)目の端。目尻。目角。
この「めくじら」は、
「マイクク・チラ(ン)ゴ」、MAIKUKU-TIRANGO(maikuku=nail of a finger or toe;tirango=scattered,in disorder)、「手足の爪が・不揃いである(目くじら)」(「マイクク」のAI音がE音に変化し、反復語尾が脱落して「メク」と、「チラ(ン)ゴ」のT音がS音に変化し、語尾のNGO音が脱落して「シラ」から「ジラ」となった)
の転訛と解します。
まばたきをして意志を伝えること。目を動かして合図すること。めくわせ。めぐばえ。めぐわえ。めくばし。
この「めくばせ」は、
「メ・ク・パタイ」、ME-KU-PATAI(me=mei(according to,judging by)-me(thing)=eye,if,as if,like,as it were;ku=silent;patai=question,inquire,provoke,challenge,induce)、「眼を動かして・無言で・何かを誘導する合図をする(目配せ)」または「あたかも・無言で・何かを誘導するかのようなしぐさをする(目配せ)」(「パタイ」のT音がS音に、AI音がE音に変化して「パセ」から「バセ」となった)
の転訛と解します。
@神仏や自然、上に立つ者などが人々に情けをかける。思いやりいつくしむ。あわれむ。貧しい人などを哀れんで金品を与えたり、施し物をする。
A芽を出す。芽を出し始める。芽ざす。感情・思想などが新しく生まれる。のNG音がG音に変化し
この「めぐむ」は、
「メ・(ン)グ・ムア」、ME-NGU-MUA(me=if,as if,like,as it were;ngu=greedy;mua=the front,before)、「あたかも・貪欲な(人々の)・前に(恩恵が供されるかのような)(恵む)」(「(ン)グ」」のNG音がG音に変化して「グ」と、「ムア」の語尾のA音が脱落して「ム」となった)
「マエ・(ン)グ(ン)グ・ム」、MAE-NGUNGU-MU(mae=languid,listless,withered;ngungu=glance off,turn aside,lead astray;mu=silent)、「(柔らかな)芽が・静かに・(地上を一瞥する)出始める(芽ぐむ)」(「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」と、「(ン)グ(ン)グ)」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「グ」となった)
の転訛と解します。
巻くようにしてあげる。あげてひっくりかえす。はがす。はぐ。
この「めくる」は、
「マイ・クル」、MAI-KURU(mai=to indicate direction or motion towards;kuru=-ound,pelt,throw)、「前方へ・押し出す(捲る)」(「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
子供の額髪を垂らして、目に触れるほどの長さに切りそろえたもの。転じて、その年配の男女の童児。イワシなどに塩を振り、数尾ずつ竹や藁でその目のところを刺し連ねて干した食品。
この「めざし」は、
「メ・タハ。チ」、ME-TAHA-TI(me=mei(according to,judging by)-me(thing)=eye;taha=side,margin,edge,part,pass on one side;ti=throw,cast,overcome)、「目の・際で・(頭髪を)切っている子供(目刺し)」または「目の・部分に・(竹や藁を)刺して干したもの(目刺し)」(「タハ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「サ」から「ザ」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」となった)
の転訛と解します。
(「召(め)す」の名詞化したもので、召し上がる物の意とする説がある)米、麦などの穀物を炊いて主食とするもの。ごはん。いい。毎日、時を定めてとる食事。け。 (この「めし」については、雑楽篇(その二)の542いね(稲)の項の「めし(飯)」を参照してください。)
この「めし」は、
「マエ・エチ」、MAE-ETI(mae=languid,listless,withered;eti=shrink,recoil)、「水が(後退して)すっかり無くなって・軟らかくなった(炊きあがった。飯)」(「マエ」のAE音がE音に変化し、そのE音が「エチ」の語頭のE音と連結して「メチ」から「メシ」となった)
の転訛と解します。
(動詞「みる(見)」に上代の尊敬の助動詞「す」が付いて音の変化したものとする説がある)(「見る」の尊敬語)ご覧になる。(「統治する」の尊敬語)お治めになる。(「人を呼び寄せる」の尊敬語)お呼び寄せになる。(「呼び出して官職につかせる」の尊敬語)ご任命になる。(「呼び出して可愛がる」の尊敬語)寵愛なさる。目をおかけになる。命によってとらえる。(「名づける」の尊敬語)お呼びになる。お取り寄せになる。お買い上げになる。など。
この「めす」は、
「メ・ツ」、ME-TU(me=to form an optative,to form a mild imperative;tu=stand,settle)、(希望形の)「(あることを)望んで・おられる(召す)」または(弱い命令形の)「(あることを)命じたく考えて・おられる(召す)」(「ツ」のT音がS音に変化して「ス」となった)
の転訛と解します。
賞美する価値がある。珍重に値する。好ましい。結構である。見ることが稀である。めったにない。
この「めずらしい」は、
「メ・ツラハ・チヒ」、ME-TURAHA-TIHI(me=if,as if,like,as it were;turaha=startled,frighttened;tihi=summit,top,lie in a heap)、「あたかも・最高に・びっくりするような(珍しい)」(「ツラハ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「スラ」から「ズラ」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シイ」となった)
の転訛と解します。
(「くちゃ」は語調を整えるために添えたもの。「滅茶苦茶」「目茶苦茶」は宛字とする説がある)まったく筋道の立たないこと。前後を考えずに事を行うこと。また、そのさま。どうにもならないほど壊れること。全く悪い状態になること。また、そのさま。めちゃくちゃ。むちゃくちゃ。
この「めちゃくちゃ」は、
「マエ・チア・ク・チア」、MAE-TIA-KU-TIA(mae=languid,withered,struck with astonishment,paralysed with fear,etc.;tia=slave,servant;ku=silent,wearied,exhausted)、「(驚愕か恐怖のために)抵抗できない・召使いのように(一方的に痛めつけ)・(また)疲労困憊した・召使いのように(一方的に痛めつける)(滅茶苦茶)」(「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」と、「チア」が「チャ」となった)
の転訛と解します。
(古代、仏像に金メッキをするのに用いた金のアマルガムを滅金(めっきん)と呼んだところからとする説がある)主に金属からなる個体の表面を、他の金属の薄い膜で覆うこと。また、その薄膜。実質の悪いのを取り繕い、外面を飾り立てて良く見せかけること。また、そのもの。てんぷら。
この「めっき」は、
「メ・ツキ」、ME-TUKI(me=thing,reason,if,as if,like;tuki=beat,butt,attack)、「(何かの上に何かを)叩いてくっつけた・ようなもの(メッキ)」(「メツキ」が「メッキ」となった)
の転訛と解します。
@「めっそう」(仏語)四相の一。因縁によって生じたすべての存在を過去の存在として滅しさるもの。なみはずれていること。法外なこと。また、そのさま。むやみやたら。滅法。在るはずのないこと。とんでもないこと。また、そのさま。
A「〜もない」とんでもない。思いがけないことである。あるべきことではない。(慣用語「〜もない」「〜もありません」は、否定形のようであるが、意味の上では、「めっそう」と殆ど差異はないとされる。「たいそうもない」「とひょうもない」も同じである。)
この「めっそう」、「〜もない」は、
「マエ・ツトフ」、MAE-TUTOHU(mae=languid,withered,struck with astonishment,paralysed with fear,etc.;tutohu=receive a proposal favourably,give consent to,point out,indicate,sign)、「驚愕すべきとんでもないことを・認めなければならないこと(滅相)」(「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」と、「ツトフ」の二番目のT音がS音に変化し、H音が脱落して「ツソウ」から「ッソウ」となった)
「モナ・アイ」、MONA-AI(mona=scar,rich,fat,fertile;ai=procreate,beget)、「(〜が)実に・生じている(〜もない)」(「モナ」の語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「モナイ」となった)
の転訛と解します。
(「めた」の変化した語。「滅多」は宛字とする説がある)思慮分別のないさま。不用意なさま。理由、根拠もないさま。確実でないさま。むやみやたらであるさま。また、程度が甚だしいさま。よくあるさま。あたりまえであるさまを表す。
この「めったに」は、
「マエ・ツタ・ニヒ」、MAE-TUTA-NIHI(mae=languid,withered,struck with astonishment,paralysed with fear,etc.;tuta=back of the neck;nihi=move atealthly come stealthly upon)、「驚くようなこと(またはもの)が・(首の後ろ)すぐ近くに・忍び寄って来ている(滅多に)」(「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」と、「ツタタ」の反復語尾が脱落して「ツタ」から「ッタ」と、「ニヒ」のH音が脱落して「ニ」となった)
の転訛と解します。
(仏語)因縁の造作によるのではないもの。涅槃のこと。理に外れること。不条理なほど、程度が甚だしいこと。また、そのさま。とんでもない。とほうもない。滅法界。(「めっぽうよい」などの略された形で)きわだって素晴らしいさま。状態や程度が並みの水準を逸脱しているさまを表す語。はなはだしく。滅法界。
この「めっぽう」は、
「マエ・ツポウ」、MAE-TUPOU(mae=languid,withered,struck with astonishment,paralysed with fear,etc.;tupou=bow the head,stoop down,dive,rush of current)、「(驚愕や恐怖で)動きがつかなくなるような状況が・次から次に押し寄せて来る(滅法)」(「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」と、「ツポウ」が「ッポウ」となった)
の転訛と解します。
(「馬上で手綱を取る方の手」の意からとする説がある)右の手。弓を取る左の方の「弓手(ゆんで)」に対していう。右の方。右の方面。みぎ。みぎて。
この「めて」は、
「メア・テ」、MEA-TE(mea=thing,reason,cause,make,fact,case,one,do,deal with,intend,wish;te=crack)、「(何かの)動作を行う・(指が分かれる)手(右手)」(「メア」の語尾のA音が脱落して「メ」となった)
の転訛と解します。
(動詞「めでる」の連用形「めで」に「いたし」がついた「めでいたし」の変化したものとする説がある)見た目に魅力的な状態で、ほめたたえるに値する。立派である。見事である。結構である。すばらしい。食べ物の味がすぐれている。うまい。おいしい。声や音などが趣きがあって優れている。よい。優れていて、崇め尊ぶに値する。非常に尊い。ありがたい評判・権勢・待遇などの度合いがすぐれている。など。
この「めでたい」は、
「マイ・タイタイ」、MAI-TAITAI(mai=to indicate direction or motion towards,or character in relation to,the speaker:tai,taitai=dash,strike,knock,perform certain ceremonies to remove tapu)、「(禁忌を除去するまじない)万事をうまく運ぶようにまじないを・行った(めでたい)」(「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「タイタイ」の最初のAI音がE音に変化して「テタイ」から「デタイ」となった)
または「マイタイ・タイ」、MAITAI-TAI(maitai=good,beautiful,agreeable;tai,taitai=dash,strike,knock,perform certain ceremonies to remove tapu)、「禁忌を除去するまじないのおかげで・万事がうまくいっている(めでたい)」(「マイタイ」のAI音がE音に変化して「メテ」から「メデ」となった)
の転訛と解します。
目ざすところ。だいたいの見当。めあて。目標。近い将来に決着、解決がつく見込み。予定。また、その期限。
この「めど」は、
「メア・タウ」、MEA-TAU(mea=thing,reason,cause,make,fact,case,one,do,deal with,intend,wish;tau=season,year,period of time,interval)、「決着をつけたい・時期または期限(目処)」(「メア」の語尾のA音が脱落して「メ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」となった)
の転訛と解します。
易で占筮のために用いる五十本の細い棒のこと。最初は、めどはぎの茎を用い、後に多く竹で作るようになった。
この「めどぎ」は、
「マイ・ト(ン)ギ」、MAI-TONGI(mai=to indicate direction or motion towards,or character in relation to,the speaker;tongi=point,peck,as a bird,nibble at bait)、「少しずつ(食い切る)小分けにして・(占いを)行うもの(筮竹)」(「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「ト(ン)ギ」のNG音がG音に変化して「トギ」から「ドギ」となった)
の転訛と解します。
(「め(妻)とる(取る)」の意とする説がある)妻を迎える。
この「めとる」は、
「マイ・タウ・ル」、MAI-TAU-RU(mai,maimai=a dance,or haka,to welcome guest at a tangi(mourn);tau=come to rest,settle down,be suitable,befit;ru=shake,agitate,scatter)、「(踊りを踊る)女性が・安住の場所に・落ち着く(娶る)」(「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)
の転訛と解します。
そろばんや筆算などによらないで、一つ一つの数量を目で確かめながら、声に出したりなどして数えること。また、そのような計算。目子勘定。目子算用。
この「めのこざん」は、
「メノ・カウ・タ(ン)ガ」、MENO-KAU-TANGA(meno=show off,make a display;kau=multitude;tanga=be assembled,row,tier)、「目で見ながら・集計した・数値の結果(目の子算)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「タ(ン)ガ」のT音がS音に、NG音がN音に変化して「サナ」から「ザン」となった)
の転訛と解します。
(「め(妻)のおと(妹)」の変化した語かとする説がある)雇われて母親に代わって自分の乳を飲ませ、幼児を養い育てる女。また、幼時から貴人の子どもを養い育て、現在でもその世話をしている女。うば。ちおも。ちのひと。
この「めのと」は、
「マイ・(ン)ゴト」、MAI-NGOTO(mai,maimai=a dance,or haka,to welcome guest at a tangi(mourn);ngoto=be deep,be intense,of emotions,firmly)、「(乳を飲ませて育てた子と)深く結ばれた・(踊りを踊る)女性(乳母)」(「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「(ン)ゴト」のNG音がN音に変化して「ノト」となった)
の転訛と解します。
(「めぼし(目星)」の形容詞化かとする説がある)特に目立っている。値打ちがありそうである。著しい。
この「めぼしい」は、
「メ・ポウ・チヒ」、ME-POU-TIHI(me=if,as if,like,as it were;pou=pole,elevate upon poles;tihi=summit,top,lie in a heap)、「まるで・高い・棒の先にあるようだ(たいへん目立っている)(めぼしい)」(「ポウ」が「ボ」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シイ」となった)
の転訛と解します。
(「めまい(目舞い)」からとする説がある)外界が動揺あるいは回転しているような感覚を総称する語。
この「めまい」は、
「メ・マイ」、ME-MAI(me=mei(according to,judging by)-me(thing)=eye;mai,maimai=a dance,or haka,to welcome guest at a tangi(mourn))、「眼が・踊るような感覚に襲われる(目眩)」
の転訛と解します。
(「めまぎらわしい(眼紛)」の変化した語かとする説がある)眼の前にあるものが次々に移り変わって、眼がちらちらする。動きが慌ただしい。めまぐろしい。めまぐらしい。
この「めまぐるしい」は、
「メ・マクル・チヒ」、ME-MAKLURU-TIHI(me=mei(according to,judging by)-me(thing)=eye;makuru=to feel a peculiar sensation in the nose ,an omen;tihi=summit,top,lie in a heap)、「眼が・最高に・特別な奇妙な感覚に襲われる(目紛ぐるしい)」(「マクル」が「マグル」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シイ」となった)
の転訛と解します。
見た目に感じがよいこと。また、そのさま。文書を読みやすくするために箇条書にすること。また、その文書。目安書。目安状。鎌倉・室町・戦国時代、箇条を立てて書いた訴状と陣状。武士がその立てた軍功を箇条書きにして対象に報告した文書。目当て。目標。目印。基準。標準。物を数えるとき、心覚えにつけるしるし。など。
この「めやす」は、
「メイ・アツ」、MEI-ATU(mei=according to,judging by;atu=to indicate a direction or motion onwards,to indicate reciprocated action,to form a comparative or superlative(whakaatu=point out,show,call attention to))、「繰り返し行為に・従って記録した(箇条書にしたもの)(目安)」、「他と比較してあるいは最高として・記録した(軍功状)(目安)」または「何らかの行動に・(目標または基準に)従って記録したもの(目安)」(「メイ」の語尾のI音と「アツ」の語頭のA音が連結して「メヤツ」となり、T音がS音に変化して「メヤス」となった)
の転訛と解します。
(「めり」「はり」はそれぞれ動詞「める(減る)」「はる(張る)」の連用形の名詞化とする説がある)ゆるむこととはること。特に、音声の高低・抑揚や歌舞伎の演技での強弱・伸縮をいう。めりかり。
この「めりはり」は、
「メリ・ハリ」、MERI-HARI(meri=enclose;hari=dance,song,feel or show gladness)、「囲む(一定の限度以上変化させない)ことと歌いあげること(感情を込めて歌い、踊る)(減り張り)」
の転訛と解します。
(スペイン medias ポルトガル meias 靴下の意。莫大小は伸縮自在であるところからの宛字)一本または数本の糸で輪奈をつくり、その輪奈に次の輪奈を入れ、それを繰り返して布状に編んだもの。伸縮性と柔軟性に富む。
この「めりやす」は、
「マエ・リ・アツ」、MAE-RI-ATU(mae=languid,listless,withered;ri=screen,bond,bind;atu=to indicate reciprocated action)、「柔軟な(わなを)・繰り返し・結んで編んだもの(莫大小)」(「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」と、「リ」のI音と「アツ」の語頭のA音が連結して「リヤツ」となり、T音がS音に変化して「リヤス」となった)
の転訛と解します。
子供の玩具。鉛、土、ガラスなどで作った銭形のもの。片面に仮面があり、おはじきなどに用いた。ボール紙でつくった円形または四角形の玩具。表面にいろいろな絵が描いてある。
この「めんこ」は、
「メノ・コア」、MENO-KOA(meno=show off,make a display;koa=glad,joyful)、「絵が描いてある・(子供にとって)楽しい宝物(メンコ)」(「メノ」が「メン」と、「コア」の語尾のA音が脱落して「コ」となった)
の転訛と解します。
かわいい。愛らしい。(この「めんこい」については、国語篇(その十四)の058めんこい(可愛い)の項を参照してください。)
この「めんこい」は、
「メネ・コイ」、MENE-KOI(mene=be assembled;koi=good,suitable)、「好ましい・(容貌・性格などを)備えている(可愛い)」(「メネ」が「メン」となつた)
の転訛と解します。
(「目だうな」(目に、「だうな」(無益に物を消費することの意)が付いたもの)が変化したとする説がある)体裁が悪いこと。見苦しいこと。また、そのさま。するのが煩わしいこと。煩わしく感じられること。くどくてうるさいこと。また、そのさま。世話。厄介。 (この「めんどう」については、国語篇(その十四)の058めんどう(面倒)の項を参照してください。)
この「めんどう」は、
「メネ・トフ」、MENE-TOHU(mene=show wrinkles,comtort the face;tohu=mark,point out,show)、「顔を顰めて・みせるもの(面倒)」(「メネ」が「メン」と、「トフ」のH音が脱落して「トウ」から「ドウ」となった)
の転訛と解します。
(幼児語)@目
A髪。頭髪。
B叱ること。また、つねったり、ひねったりすること。
この「めんめ」は、
@「メイ・ナ・メア」、MEI-NA-MEA(mei=according to,judging by;na=by,belonging to,by reason of;mea=thing,cause,fact,do)、「物事を・(見ることに)よって・(認識)判断することができるもの(目)」(「メイ」の語尾のI音が脱落して「メ」と、「ナ」が「ン」と、「メア」の語尾のA音が脱落して「メ」となった)
A「メイ・ナ・マエ」、MAI-NA-MAE(mei=according to,judging by;na=by,belonging to,by reason of;mae=languid,listless,withered)、「(それが)柔らかな・ことによって・(髪と)判断することができるもの(髪)」(「メイ」の語尾のI音が脱落して「メ」と、「ナ」が「ン」と、「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」となった)
B「メネ・メ」、MENE-ME(mene=show wrinkles,comtort the face;me=to form a mild imperative)、「怖い顔をしますよ・(私の)言うことを聞きなさい(めんめ)」(「メネ」が「メン」となった)
の転訛と解します。
(「めいよ(名誉)」の変化した「めいよう」がさらに変化したとする説がある)稀なこと。奇怪なこと。不思議なこと。また、そのさま。めいよ。めいよう。めんよ。
この「めんよう」は、
「メネ・イホ」、MENE=iho(mene=show wrinkles,comtort the face;iho=heart,inside,kernel,object of reliance)、「心の中で・(しかめっ面をする)不審に思う(面妖)」(「メネ」が「メン」と、「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨウ」となった)
の転訛と解します。
「モ」
(「もい」は水の意とする説がある)飲料水のことなどを司ること。また、その人。もんどり。もんどん。もんど。(この「もいとり」については、雑楽篇(その一)の355内匠(たくみ)寮の項の主水(もいとり)司を参照してください。)
この「もいとり」は、
「モヒト・リ」、MOHITO-RI(mohito=cautious;ri=screen,shut out with a screen)、「(飲料水を)注意深く・濾す(役所。役人)」(「モヒト」のH音が脱落して「モイト」となつた)
の転訛と解します。
(「もうちぎみ」とも。「まえつきみ」の変化した語とする説がある)天皇の御前に伺候する高位の臣の総称。上は大臣から下は五位まで。
この「もうちきみ」は、
「モウ・チキ・ミヒ」、MOU-TIKI-MIHI(mou=mau=fixed,continuing,established;tiki=a post to mark a place which was tapu;mihi=greet,admire,respectck)、「その地位を侵してはならないものとして・確立されている・尊崇すべき高官(公卿)」(「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)
の転訛と解します。
(「まいず(参出)」の変化したものとする説がある)貴所・貴人のもとへ出向く。参上する。神仏にお参りする。参詣する。
この「もうでる」は、
「モウ・タイ・ル」、MOU-TAI-RU(mou=mau=fixed,continuing,established;tai,taitai=dash,knock,reform certain ceremonies to remove tapu,etc.;ru=shake,agitate,scatter)、「畏まって・身を清めて・出て行く(詣でる)」(「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」から「デ」となった)
の転訛と解します。
(「碌」は本来、石の多いさまの意で宛字かとされる)老いぼれること。また、その人。老耄。
この「もうろく」は、
「モウ・ロク」、MOU-ROKU(mou=mau=fixed,continuing,established;roku=bend,be weighed down,grow weak,decline,of a person dying)、「(身体の)老化が・進んでいる(耄碌)」
の転訛と解します。
(葱の萌え出ずる色の意とする説がある)黄と青との中間色。やや黄色がかった緑。襲(かさね)の色目の名。
この「もえぎ」は、
「モエ・キヒヒ」、MOE-KIHIHI(moe=sleep,close the eye,die,marry;kihihi=Pittosporum crassifolium,a tree)、「寝ぼけた(くすんだ)ような・(トベラノキの花の)黄色(萌黄)」(「キヒヒ」のH音が脱落し、濁音化して「ギ」となった)
の転訛と解します。
(「喪(も)上(あが)り」の変化した語とする説がある)貴人の葬儀の準備などが整うまで、遺体を棺におさめてしばらく仮に置いておくこと。また、その所。あらき。そのお。(この「もがり」については、雑楽篇(その一)の330もがりの項を参照してください。)
この「もがり」は、
「モ・(ン)ガリ」、MO-NGARI(mo=for,for the use of,in consideration of the fact that;ngari=annoyance,greatness,power)、「(故人の)偉大さを・偲ぶための行事(殯)」(「(ン)ガリ」のNG音がG音に変化して「ガリ」となった)
の転訛と解します。
植物よもぎの異名。よもぎの葉を乾燥させて製した、灸に用いるもの。(この「もぐさ」については、雑楽篇(その二)の548よもぎ(蓬)の項のもぐさ(艾)を参照してください。)
この「もぐさ」は、
「モ・クタ」、MO-KUTA(mo=for,for the benefit of,against;kuta=a rush,encumbrance)、「(灸に用いる)役に立つ・(雑)草(艾)」(「クタ」のT音がS音に変化して「クサ」から「グサ」となった)
の転訛と解します。
勇敢で気力に優れている人。また、能力が優れ、精力的に活動する人。もうざ。
この「もさ」は、
「モウ・タ」、MOU-TA(mou=mau=fixed,continuing,established(momou=strugle,wrestle);ta=dash,strike,overcome)、「奮闘を・続ける人(猛者)」(「モウ」ガ「モ」と、「タ」のT音がS音に変化して「サ」となった)
の転訛と解します。
(副詞「もし」に副詞語尾「く」助詞「は」の付いてできたもの、漢文の訓読から生じたとする説がある)事柄が現実に生じたり存在したりする可能性があることを示す。もしかしたら。ひょっとして。前後の事柄のうちどちらか一方が選択される関係、または複数の事項が並立する関係にあることを示す。あるいは。または。
この「もしくは」は、
「モウ・ウチウチ・クワハ」、MOU-UTIUTI-KUWAHA(mou=mau=fixed,continuing,established;utiuti=annoy,worry;kuwaha=mouth,entrance,gateway)、「(前出の事柄のどちらを選択するかの)入り口を・定めるのに・悩むもの(もしくは)」(「モウ」のU音と「ウチウチ」の反復語尾が脱落した「ウチ」の語頭のU音が連結して「モウチ」から「モチ」となり、そのT音がS音に変化して「モシ」と、「クワハ」のH音が脱落して「クワ(クハ)」となった)
の転訛と解します。
(感動詞)「もうしもうし」と呼びかける時にいう語。電話を通して最初に相手に呼びかける語。また、電話が通じていることを確認する時にもいう。(この「もしもし」については、国語篇(その一)の195モシモシの項を参照してください。)
この「もしもし」は、
「モウ・ウチウチ・モウ・ウチウチ」、MOU-UTIUTI-MOU-UTIOUTI(mou=for thee,for you;utiuti=annoy,worry)、「あなたにとって・お邪魔でしょうが・あなたにとって・ご迷惑でしょうが(と呼びかける)(もしもし)」(「モウ」の語尾のU音と「ウチウチ」の反覆語尾が脱落した「ウチ」の語頭のU音が連結して「モウチ」から「モチ」となり、そのT音がS音に変化して「モシ」となった)
の転訛と解します。
糯米(もちごめ)を産して十分粘りけの出まで臼で搗き、丸めたり、平たくのしたりしたもの。もちいい。もちい。搗きたての餅のように、柔らかくふっくらとしたもの。(この「もち」については、雑楽篇(その二)の542いね(稲)の項のもち(糯。餅)を参照してください。)
この「もち」は、
「マウ・チ」、MAU-TI(mau=food product,fixed,continuing,confined,constrained;ti=throw,cast,overcome)、「(十分に)搗いて・(原形から食感まで全く別なものに)定着したもの(餅)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)
の転訛と解します。
もちの木の皮を水に潰し、煮て作った粘りの強いもの。鳥、虫などを捕らえるのに用いる。とりもち。
この「もち」は、
「マウ・チ」、MAU-TI(mau=fixed,continuing,caught,captured,confined,constrained;ti=throw,cast,overcome)、「(鳥や虫などを)捕らえて・無力にするもの(黐)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)
の転訛と解します。
(「持ち率(い)る」の意とする説がある)主君など目上の者が、ある目下の者の能力や働きを認めて使う。特に、ある職務、地位に就かせる。登用する。(意見、要求などを)よしとしてとりあげる。採用する。また、尊重する。転じて、一般に、ある事に物を役立てる。・役に立つものとして使う。心を、あれこれ働かせる。心を労する。使う。ある手段、態度をとる。必要とする。
この「もちいる」は、
「マウ・チヒ・ル」、MAU-TIHI-RU(mau=carry,bring,take up,lay hold up(mamau=grasp,wrestle with);tihi=summit,top,lie in a heap;ru=shake,agitate,scatter)、「(人や意見を)取り上げて・高く評価して・処遇する(用いる)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チイ」となった)
の転訛と解します。
(「臓物(臓物)」の略とする説がある)料理の材料としての鳥獣の内臓。
この「もつ」は、
「モツ」、MOTU(piece of flesh,or fat,titbit)、「(動物の)肉、脂肪、筋肉などの一片(内臓)」
の転訛と解します。
(「もっけ」は「もののけ(物怪)」の変化した語とする説がある)想像もしなかったことが身に幸福をもたらすこと。思いがけなく得た幸い。(この「さいわい」については、国語篇(その二十一)の1119さいわいの項を参照してください。)
この「もっけのさいわい」は、
「モツ・ケ・ノ・タイワ・アイ」、MOTU-KE-NO-TAIWA-AI(motu=severed,separated,escaped,anything isolated;ke=different,strange,extraordinary;no=of;taiwa=taewa=foreigner;ai=procreate,beget)、「(人の想像から隔絶した)思いもよらない・変わったこと・(の)である・(突然海の彼方から現れた)異国人が・(生んだ)与えてくれたもの(幸い)(勿怪の幸い)」(「モツ」が「モッ」と、「タイワ」のT音がS音に変化した「サイワ」の語尾のA音と、「アイ」の語頭のA音が連結して「サイワイ」となった)(古代の日本列島に住む人々の間には、海からやってきた「まれびと」が幸いをもたらすという信仰が広く存在したと民族学者は説いている。)
の転訛と解します。
(「もちこ(持籠)」の変化した語とする説がある)藁むしろや、藁縄を網に編んだものの四隅に綱をつけ、土・石などを盛り、棒で担って運ぶ具。もっこう。もこ。
この「もっこ」は、
「マウ・ツ・カウ」、MAU-TU-KAU(mau=carry,bring;tu=fight with,energetic;kau=alone,bare,empty,only)、「(土や石などを)ただ・懸命に・運ぶもの(畚)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ツ」が「ッ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)
の転訛と解します。
有様、態度がいかにもものものしいこと。また、そのような有様、態度。もってい。人の態度や品格。また、物の品位。風采。風格。
この「もったい」は、
「モツ・タイ」、MOTU-TAI(motu,whakamotu=remain silent and still;tai,taitai=dash,perform certain ceremonies to remove tapu,etc.)、「(人の態度が)口数少なく物静かで・邪念がなく高潔であること(勿体)」(「モツ」が「モッ」となった)
の転訛と解します。
あるべきさまを外れていて不都合である。もってのほかである。もたいなし。恐れ多い。身に過ぎてかたじけない。仕えるものが捨てられたり、働けるものがその能力を発揮しないでいたりして、惜しい感じである。
この「もったいない」は、
「モツ・タイナ・アイ」、MOTU-TAINA-AI(motu=piece of flesh,or fat,titbit;taina=singe;ai=procreate,beget)、「肉片を・焦がして・生じたもの(肉片を捨てざるを得なくなって生じた惜しいという感じ)(勿体ない)」(「モツ」が「モッ」と、「タイナ」の語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「タイナイ」となった)
の転訛と解します。
(「もとも」の変化した語とする説がある)その事柄について疑問がなく、同感・肯定できるさま。本当に。いかにも。なるほど。その事柄が何ら疑問の余地のないこと。当然そうあるべきであること。あたりまえ。前の事柄を受けながらも、それに対立的・反対的な条件や補足をつけくわえることを示す。そうはいうものの。いっぽうで。ただし。
この「もっとも」は、
「モツ・トマウ」、MOTU-TOMAU(motu,whakamotu=remain silent and still;tomau=steadfast)、「(人が)不動の信念を・保持し続けている(尤も)」(「モツ」が「モッ」と、「トマウ」のAU音がO音に変化して「トモ」となった)
の転訛と解します。
(「もとも」の変化した語とする説がある)程度の甚だしいさま。非常に。とりわけ。たいそう。他を超えて。他のすべてに勝って。(否定文の場合)少しも。全然。決して。
この「もっとも」は、
「マウ・ツ(ン)ガ・トモ」、MAU-TUNGA-TOMO(mau=fixed,continuing;tunga=circumstance,time,etc.,of standing;tomo=be filled)、「すべて満たされた・最大ないし最高の程度の(状態)に・定まっている(最も)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ツ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツ」から「ッ」となった)
の転訛と解します。
@意図的に、ある態度を取ってみせる。わが身を処する。見せかけの態度をとる。なんとか処置をする。対応して取りさばく。相手を取り扱う。待遇する。あしらう。
A大切に扱う。大事にする。手厚く歓待する。饗応する。ごちそうする。取り上げて問題にする。あれこれと取り沙汰する。もてはやす。
この「もてなす」は、
@「マウ・タエ・ナツ」、MAU-TAE-NATU(mau=fixed,continuing,lasting,established;tae=arrive,come,reach,extend to,proceed to;natu=scratch,stir up,tear out,show ill feeling)、「(ひっかく)本気でなく仮にまたは(不快感を表す)嫌々で・現在進んでいる事柄を・継続(維持)する(もてなす)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「タエ」のAE音がE音に変化して「テ」と、「ナツ」のT音がS音に変化して「ナス」となった)
A「マウ・テナ・アツ」、MAU-TENA-ATU(mau=fixed,continuing,lasting,established;tena=encourage,urge forward;atu=to indicate a direction or motion onwards,to form comparative or supetrative)、「たいへん(またはたいそう)手厚く・処遇することを・推進する(もてなす)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「テナ」の語尾のA音と「アツ」の語頭のA音が連結し、T音がS音に変化して「テナス」となった)
の転訛と解します。
@保たれる。維持できる。
Aもてはやされる。厚遇される。ちやほやされる。人気がある。特に、異性に好かれる。
この「もてる」は、
@「マウ・タエ・ル」、MAU-TAE-RU(mau=fixed,continuing,lasting,established;tae=arrive,come,reach,extend to,proceed to;ru=shke,agitate,scatter)、「現在進んでいる事柄を・継続(維持)・する(もてる)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「タエ」のAE音がE音に変化して「テ」となった)
A「マウ・テイ・ル」、MAU-TEI-RU(mau=fixed,continuing,lasting,established;tei,teitei=high,lofty,summit,top;ru=shke,agitate,scatter)、「(相手を)高い地位に置いて・処遇・する(もてる)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「テイ」の語尾のI音が脱落して「テ」となった)
の転訛と解します。
(「もと(本)」と同語源とする説がある)昔。以前。はじめ。さき。本来。元来。
この「もと」は、
「マウ・タウ」、MAU-TAU(mau=carry,bring,fixed;tau=come to rest,settle down)、「(定着する)現在に・(運んでくる)至るまでの間(元)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)
の転訛と解します。
(動詞「もど(擬)く」の形容詞化したものとする説がある)非難すべきである。気にくわない。思うようにならないで心がいらだっている。はがゆい。じれったい。
この「もどかしい」は、
「モ・トカ・チヒ」、MO-TOKA-TIHI(mo=for,of time,fixing a future date;toka=stone,firm,satisfied;tihi=summit ,top,lie in heap)、「石が(堅い)岩になるのに・おびただしい・時間がかかる(もどかしい)」(「トカ」が「ドカ」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シイ」となった)
の転訛と解します。
(動詞「もど(擬)く」の名詞化したものとする説がある)張り合って似せて作ること。また、似せて作ったもの。まがいもの。非難。批評。日本の諸芸能で主役のまねをしたり、主役にからんだりする道化役。また、その曲目。能の「翁」における三番叟や、里神楽でひょっとこメンをつけた道化役など。名詞に付いて、それと対抗して張り合うぐらいのもの。それに匹敵するものであるという意を表す。また、そのものに似て非なるものであるという意を表す。
この「もどき」は、
「マウ・トキ」、MAU-TOKI(mau=fixed,continuing,lasting,established;toki=fetch,altogether)、「全く(同様の)・(似せたものを)固定したもの(もどき)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「トキ」が「ドキ」となった)
の転訛と解します。
(「本取」の意とする説がある)髪を頭の上に集めて束ねたところ。髪のねもと。たぶさ。
この「もとどり」は、
「マウ・トト・リ」、MAU-TOTO-RI(mau=fixed;toto=drag a number of objects;ri=bond,bind)、「(頭髪を頭の上に)引き集めて・束ねて・固めたところ(髻)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「トト」が「トド」となった)
の転訛と解します。
本(もと)になるものを得ようとして尋ね探す。尋ねさぐる。欲しいと願う。請う。のぞむ。願って手に入れる。探して自分のものにする。それらしくなることを露骨に願う。わざとらしく趣向を構える。災いなどを自分から招く。また、誘い出す。金を出して買う。購入する。
この「もとめる」は、
「マウ・トメネ・ル」、MAU-TOMENE-RU(mau=fixed,continuing,caught,taken of fish or birds etc.;tomene=thoroughly explored;ru=shake,agitate,scatter)、「奮って・徹底的に探して・取得する(求める)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「トメネ」の語尾のNE音が脱落して「トメ」となった)
の転訛と解します。
事物または事柄の中心。まんなか。ちゅうおう。物事の最も盛んなことるまた、そのとき。まっさかり。さいちゅう。陰暦十五夜。また、その夜の月。和菓子の一つ。陰暦十五夜の月に似ているからという。
この「もなか」は、
「モナ・カ(ン)ガ」、MONA-KANGA(mona,momona=fat,rich,fertile;kanga=place where fire has burnt(kainga=place of abode,country,home))、「人の生活・活動する範囲の・盛んな(範囲)(最中)」(「カ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「カ」となった)
または「モナ・カハ」、MONA-KAHA(mona,momonana=fat,rich,fertile;kaha=strong,strength,persistency)、「人の(精神的・物的)活動力の(大きさ)範囲、自然の力の範囲、自然の時の流れの範囲の・盛んな(範囲)(最中)」(「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)
の転訛と解します。
セミや蛇の抜け殻。もぬけ。人の抜け出した後の寝床や住居などのたとえ。魂が抜け去った身体。死骸。
この「もぬけのから」は、
「マウ・ニウ・ケ・ノ・カハ・アラ」、MAU-NIU-KE-NO-KAHA-ARA(mau=fixed,firm;niu=move along,glide;ke=different,strange,extraordinary;no=of;kaha=rope,lashings of the attached side of canoe,boundary line of land,etc.,edge;ara=rise,awake,raise)、「(セミや蛇などが殻から)抜け出して・別のものに・変身した・その・(動物が冬眠から)目を覚まして起き出した・(身体の)外郭をなしていたもの(蛻の殻)」(「マウ」」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ニウ」が「ヌ」と、「カハ」のH音が脱落した語尾のA音と、「アラ」の語頭のA音が連結して「カラ」となった)
の転訛と解します。
なんらかの形のある物体・物品をさしていう。特定の物体・物品を一般化していう。対象をあからさまにいうことを憚って抽象化していう。(この「もの」は、国語篇(その三)の(11)法則その十一(n音とm音は変音しない)の部を参照してください。)
この「もの」は、
「マウ・ノア」、MAU-NOA(mau=carry,take up,fixed,continuing,waste,to no purpose;noa=free from tapu or any other restriction,ordinary,indifinite)、「(何も禁忌や限定がない)ただ・そこにある(物)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ノア」の語尾のA音が脱落して「ノ」となった)
の転訛と解します。
(古くは「ものくさ」であったとされる)物事をするのに面倒がること。無精なこと。また、その性質やその人。あるいは、そのさま。
この「ものぐさ」は、
「モノ・クタイタイ」、MONO-KUTAITAI(mono=plug,caulk,disable by means of incantations(monomono=odorous);kutaitai=of a disagrrable taste)、「鼻をつまむほど・(身体が不潔で)臭いにおいがする(物臭)」(「クタイタイ」の反復語尾が脱落し、さらに語尾のI音が脱落して「クタ」となり、T音がS音に変化して「クサ」から「グサ」となった)
の転訛と解します。
物の長さを測る道具。さし。尺度。尺。転じて、物事の価値などを判断する基準。評価の基準。尺度。
この「ものさし」は、
「マウ・ノア・タハ・チチ」、MAU-NOA-TAHA-TITI(mau=carry,take up,fixed,continuing,waste,to no purpose;noa=free from tapu or any other restriction,ordinary,indifinite;taha=side,edge;titi=peg,pin,stick in as a peg etc.,)、「(何も禁忌や限定がない)ただ・そこにある(物)の・端に・(一定の間隔でピンを打つように)棒を当てる(長さを測る)(物差し)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ノア」の語尾のA音が脱落して「ノ」と、「タハ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「サ」と、「チチ」T音がS音に変化し、反復語尾が脱落して「シ」となった)
の転訛と解します。
人にとりついて悩まし、病気にしたり死にいたらせたりするとされる死霊・生霊・妖怪の類。また、それらがとりついて祟ること。邪気。(この「もののけ」については、雑楽篇(その一)の320もののけ(物怪)の項を参照してください。)
この「もののけ」は、
「モノ・ノケ」、MONO-NONOKE(mono=disable by means of incantations,an incantation to disable an army,plug,caulk;nonoke=struggle togather,wrestle)、「(敵・鬼・魔・霊・不浄などを無力化する)祈祷に・抵抗するもの(相手の敵・鬼・魔・霊・不浄など)(物怪)」
の転訛と解します。
(物部)令制前、大王に仕えた諸集団。大王に奉仕したさまざまな人々。武勇を以て主君に仕え戦場で戦う人。武人。武者。戦士。つわもの。もののべ。(この「もののふ」については、雑楽篇(その一)の321もののふ(武士)の項を参照してください。)
「モノ・ノフ」、MONO-NOHU(mono=disable by means of incantations,an incantation to disable an army,plug,caulk;nohu=sinking pain(nohunohu=unpalatable,nauseous))、「(敵を無力化するまじないに・嫌気を起こさせる)戦いの相手にかけるまじないの・効果が全くない(強い人間)(武士)」
の転訛と解します。
目のふちにできる腫れ物(ばくりゅうしゅ。麦粒腫)の俗称。(この「ものもらい」については、国語篇(その十六)の209ものもらいの項を参照してください。)
この「ものもらい」は、
「モノ・マウ・ラヒ」、MONO-MAU-RAHI(mono=disable by means of incantations;mau=carry,bring;rahi=great,numerous)、「呪文を掛けられたように・(腫れ物が)多数・できるもの(麦粒腫)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ラヒ」のH音が脱落して「ライ」となった)
の転訛と解します。
まだ脱穀しない外皮につつまれたままの米。もみごめ。(この「もみ」については、雑楽篇(その二)の542いね(稲)の項のもみ(籾)を参照してください。)
この「もみ」は、
「モミ」、MOMI(suck,swallow up)、「(膨れあがる)嵩がはる(米。籾)」(籾は長期保管が可能ですが、玄米の2倍以上の容積がある。)
の転訛と解します。
(動詞「もみず(紅葉)」の連用形の名詞化したものとする説がある)(〜する)秋に草木の葉が赤や黄に変わること。紅葉すること。またねその葉。楓。または楓の葉をいう。紋所の名。紅葉襲の略。など。
この「もみじ」は、
「マウ・ミチ」、MAU-MITI(mau=bring,carry,lay hold of,fixed,continuing,entangled;miti=lick,lick up(mimiti=dried up,disappeared,exterminated,swallowed up))、「枯れて・(色が変わって)しまった(紅葉)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ミチ」が「ミジ」となった)
の転訛と解します。
山野に紅葉を尋ねて鑑賞すること。紅葉見。
この「もみじがり」は、
「マウ・ミチ・(ン)ガリ」、MAU-MITI-NGARI(mau=bring,carry,lay hold of,fixed,continuing,entangled;miti=lick,lick up(mimiti=dried up,disappeared,exterminated,swallowed up);ngari=ngeri=rhythmic chant with action)、「枯れて・(色が変わって)しまった(紅葉を)・鑑賞するために大勢で歌を歌いながら歩いて行くこと(紅葉狩)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ミチ」が「ミジ」と、「(ン)ガリ」のNG音がG音に変化して「ガリ」となった)
の転訛と解します。
(「もむない」の変化した語とする説がある)物の味がしない。不味い。
この「もみない」は、
「モミ・ナイ」、MOMI-NAI(momi=suck,suck up,swallow up;nai=nei,neinei=stretched forward,reaching out)、「(物を味わうことなく)飲み込んで・しまう(不味い)」
の転訛と解します。
(「ももはばき(股脛巾)」の変化した語とする説がある)腰部から脚部、主として股の部分を覆うだんせいようの下ばき。パッチ。
この「ももひき」は、
「モモ・ヒキ」、MOMO-HIKI(momo=in good condition,well proportioned;hiki=lift up,raise)、「引き上げて穿く・具合のいい(下着)(股引)」
の転訛と解します。
女の結髪の一つ。後頭部にまとめた髪で、左右二つの輪に結う。
この「ももわれ」は、
「モモ・ワラヒ」、MOMO-WHARAHI(momo=in good condition,well proportioned;wharahi=broad,wide)、「きれいに・(左右に)広がっている髪(桃割)」(「ワラヒ」のH音が脱落して「ワライ」となり、そのAI音がE音に変化して「ワレ」となった)
の転訛と解します。
リス科モモンガ属の哺乳類。ムササビに似るが小型。古くはムササビと区別されていなかったが、中古にはムササビを指し、近世にはムササビと区別するようになったとされる。
この「ももんが」は、
「モ(ン)ガモ(ン)ガ」、MONGAMONGA(crushed,bruised,marrow,penis)、「滋養 のある食べ物(動物)(ももんが)」(NG音がG音に変化して「モガモガ」となり、「モモンガ」となった)
の転訛と解します。
家屋の中心となる部分。庇に対していう。庇との間に間仕切りはないが、使用上の格差があつた。おもや。住居として用いる家。物置小屋、離れなどに対していう。
この「もや」は、
「マウ・イア」、MAU-IA(mau=fixed,established;ia=indeed)、「実に・(確固な中心の建物として)建築されたもの(母屋)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「イア」が「ヤ」となった)
または「モウ(ン)ガ・イア」、MOUNGA-IA(mounga=anything excellent,treasure;ia=indeed)、「実に・素晴らしい(この上ない建物)(母屋)」(「モウ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「モウ」から「モ」と、「イア」が「ヤ」となった)
の転訛と解します。
(動詞「もやう(崔合)」の連用形の名詞化とする説がある)他の人と共同して、物事を行うこと。二人以上の人が一緒に事を行うこと。また、その組織。あいあい。おもやい。(この「もやい」については、国語篇(その十一)の101はんちくたいの項の「もやいで(共同で)」を参照してください。)
この「もやい」は、
「マウ・イア・アイ」、MAU-IA-AI(mau=carry,bring,take up,lay hold of;ia=indeed;ai=expressing the reason for which anything is done)、「(二人以上の人が)実に・(一緒に)持って・仕事をする(共同で行う)(催合)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「イア」の語尾のA音が「アイ」の語頭のA音と連結して「アイ」から「ヤイ」となった)
の転訛と解します。
(動詞「もやう(舫う)」の連用形の名詞化とする説がある)船をつなぎ止めること。船と船をつなぎ合わせること。また、そのための綱。まやい。もや。
この「もやい」は、
「マウ・イアイア」、MAU-IAIA(mau=fixed,continuing,caught;iaia=sinews,veins)、「(腱のような)綱で・(船を)固定する(舫い)」または「(船を)固定する・(腱のような)綱(舫(もやい)綱)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「イアイア」の語尾のA音が脱落して「イアイ」から「ヤイ」となつた)
の転訛と解します。
模範。手本。外に現れる形やありさま。また、推移する様子。風情。仕草。身振り。所作。(〜する)仕組むこと。趣向。計画。織物、染め物、工芸品などに施した絵や図案。また、ものの表面に現れた図柄。文様。色や図柄をつけること。天気。空模様。など。
この「もよう」は、
「モヒ・アウ」、MOHI-AU(mohi,mohimohi=smooth,sleek,tend,nurse;au=firm,intense)、「(形やありさまが)優雅・流麗で・きちんとしていること(模様)」(「モヒ」のH音が脱落して「モイ」と、「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」となり、「モイ・オ」から「モヨ」、「モヨウ」となった)
の転訛と解します。
近くのあたり。近くて便利なところ。近辺。附近。てじか。
この「もより」は、
「モイヒ・オリ」、MOIHI-ORI(moihi=stand on end,as hair,etc.;ori=cause to wave to and fro,sway,move)、「(ある場所とある場所の)間の端に・(向かって動く)近づいた場所(最寄り)」(「モイヒ」のH音が脱落して「モイ」となり、「モイ・オリ」から「モヨリ」となった)
の転訛と解します。
他から何かを自分の身に受ける。贈られたり請うたりして自分のものにする。他人から食事などの世話を受ける。人を迎え入れる。他家から嫁、婿、養子などを迎える。病気などをうつされる。争いごとの間に立ってあずかる。勝負事に勝つ。など。
この「もらう」は、
「モ・ラウ」、MO-RAU(mo=for,on account of,for the benefit of,for the use of,for to hold,etc.;rau=catch as in a net,engage,entangled,receptacle)、「(自分の利益のために)喜んで・受け取る(貰う)」、「(病気など)受け取って・当惑する(貰う)」または「(仲裁など)受け取って・関わり合う(貰う)」
の転訛と解します。
神社などのある神域で、神霊の寄りつく樹木が高く群がり立つ所。樹木が多くこんもりと茂った所。(この「もり」については、国語篇(その九)の198woodsの項を参照してください。)
この「もり」は、
「マウリ」、mauri(a variety of totara timber valued for making canoes)、「(カヌーを造るのに適した)大木(その大木の集まり)(森)」(AU音がO音に変化して「モリ」となった)
の転訛と解します。
(動詞「もる(守)」の連用形の名詞化とする説がある)監視すること。監視し守ること。また、その人。番人。子供の面倒をみること。子供を守り養育すること。また、その人。子守。守り役。和船の帆柱の受け座。
この「もり」は、
「モリ」、MORI(fondle,caress)、「世話をすること(または、その人)(守)」
の転訛と解します。
鯨や魚介類を突いたり刺したりしてとる漁具。
この「もり」は、
「モ・オリ」、MO-ORI(mo=for,on account of,for the benefit of,for the use of,for to hold,etc.;ori=cause to wave to and fro,sway,move)、「(鯨などを)捕るために・突き刺す(動かす)漁具(銛)」(「モ」のO音と「オリ」の語頭のO音が連結して「モリ」となった)
の転訛と解します。
(「諸越(しょえつ)」の訓読みからできた語かとする説がある。「諸越」は「百越」などと同意)昔、日本から中国を指して呼んだ名称。また、中国から伝来した事物に冠しても用いた。
この「もろこし」は、
「マウ・ロコ・チ」、MAU-ROKO-TI(mau=fixed,continuing,lasting,established;roko=be overtaken or come upon,be found,be reached,be posible;ti=throw,cast,overcome)、「たいへん進んだ(文明を)・すでに確立し・(周辺諸国に)及ぼしている国または地域(唐土)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」となった)
の転訛と解します。
@左右の手。二つの手。両手。
A(諸手)多くのいろいろな部隊。また、隊伍。
この「もろて」は、
@「マウ・ラウ・テ」、MAU-RAU-TE(mau=fixed,continuing,lasting,established;rau=catch,engage,entangled;te=crack)、「(指が分かれている)手が・しっかりと・合わさっているさま(両手。双手)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」となった)
A「マウ・ラウ・タイ」、MAU-RAU-TAI(mau=fixed,continuing,lasting,established;rau=catch,engage,gather into a basket,entangled;tai=the sea,anger,rage,violence)、「(荒々しい)戦闘部隊が・多数集結し・(編成)整列しているさま(諸手)」(「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」と、「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」となった)
の転訛と解します。
よく精白した白米を用いた麹と蒸米で醸した酒。白米と黒麹で醸した片白に対していう。
この「もろはく」は、
「モ・ラウ・ハクハク」、MO-RAU-HAKUHAKU(mo=for,for the use of;rau=catch,engage,entangled;hakuhaku=mouldy,rotten)、「(カビ臭い)麹を・(蒸米に混ぜて)作用させて・作ったもの(酒。諸白)」(「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」と、「ハクハク」の反復語尾か゜゛脱落して「ハク」となった)
の転訛と解します。
(「もんじやき(文字焼き)」の変化した語かとする説がある)熱した鉄板の上に緩く溶いた小麦粉の液に野菜や魚介、肉などの具を入れたものを少量流し、やや焼けてきたきたところで環状に土手を作り、その中に残った液を流し込み、混ぜながら焼いて食べるもの。
この「もんじゃ」は、
「マウヌ・チア」、MAUNU-TIA(maunu=be drawn from belt,come out,be loosened,go forth;tia=stick in,peg,abdomen,navel)、「(土手の中)へそに・(具を入れた液を)流し込むもの(もんじゃ)」(「マウヌ」のAU音がO音に変化して「モヌ」から「モン」と、「チア」のT音がS音に変化して「シア」から「ジャ」となった)
の転訛と解します。
(「もひとり(水取)」の変化した語とする説がある)令制の宮中で飲料水を主管する主水司(もひとりのつかさ)の「もひとり(もいとり)」が中世に「もんどり」から「もんど」に変化したとする説が有力です。しかし、この発音の変化はあまりにも大きすぎます。中世になって「もひとり」がやや意味の異なる、当時の業務の実態に適合した「もんど」という名称に代わったと考えるべきでしょう。(この「もひとり」については、雑楽篇(その一)の355内匠(たくみ)寮の主水(もひとり。もいとり)司を参照してください。)
この「もんど」、「もひとり」は、
「モ(ン)ギ・タウ」、MONGI-TAU(mongi=water;tau=alight,float,settle down,be suitable,be comely,befit)、「良質な・飲料水(を主管する役所。また、その役人)(主水)」(「モ(ン)ギ」のNG音がN音に変化して「モニ」から「モン」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」となった)
「モヒト・リ」、MOHITO-RI(mohito=cautious;ri=screen,shut out with a screen)、「(飲料水を)注意深く・濾す(役所)」(「モヒト」のH音が脱落して「モイト」となつた)
の転訛と解します。
(「もどり(翻筋斗)」の変化した語とする説がある)身体を空中で一回転させて立つこと。宙返りをすること。とんぼがえり。
この「もんどり」は、
「モ・(ン)ゴト・オリ」、MO-NGOTO-ORI(mo=for,for the use of,against;ngoto=head;ori=cause to wave to and fro,sway,move about)、「頭を・(通常の向きと)反対に(下にして)・(動き回る)回転する(もんどり)」(「(ン)ゴト」のNG音がN音に変化して「ノト」となり、その語尾のO音と「オリ」の語頭のO音が連結して「ノトリ」から「ンドリ」となった)
の転訛と解します。
(「ものび(物日)」の変化した語とする説がある)江戸時代、主として官許の遊里で五節句やその他特別の日と定められた日。この日遊女は必ず客をとらねばならず、揚げ代もこの日は特に高く、その他祝儀など客も特別の出費を要したという。
この「もんび」は、
「モ(ン)ガモ(ン)ガ・ピヒ」、MONGAMONGA-PIHI(mongamonga=marrow,penis;pihi=spring up,begin to grow)、「精気が・動き始める(日)(紋日)」(「モ(ン)ガモ(ン)ガ」のNG音がN音に変化し、反復語尾が脱落して「モナ」から「モン」と、「ピヒ」のP音がF音を経てH音に変化し、語尾のH音が脱落して「ヒ」から「ビ」となった)
の転訛と解します。
主に農村や漁村で用いられる下衣の汎称で、山袴のこと。袴の形をして足首がくくれている、ももひきに似た衣服。
この「もんぺ」は、
「モネ・パイ」、MONE-PAI(mone,monemone=smooth,bare,without appendages;pai=good,excellent,suitable)、「(滑らかに)自由に(動けて)・具合の良いもの(もんぺ)」(「モネ」が「モン」と、「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」となった)
の転訛と解します。
「ヤ」
(「やきと(焼処)」の変化した語とする説がある)きゅう。灸点。灸治。焼火(やいひ)。やいとう。
この「やいと」は、
「イ・アヒ・タウ」、I-AHI-TAU(i=beside,with,by,at,upon;ahi=fire;tau=alight,fall of blows,come over,supervene,of feeling,be suitable,be comely)、「(人の皮膚の)ある場所を・良い加減に・火で熱すること(灸)」(「アヒ」のH音が脱落して「アイ」となり、「イ・アイ」が「ヤイ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)
の転訛と解します。
(「やきば(焼刃)」の変化した語とする説がある)刀剣類の焼き入れをした刃。また、刃の上にある波紋状の模様。刀剣、刃物の総称。
この「やいば」は、
「イ・アヒ・パパ」、I-AHI-PAPA(i=beside,with,by,at,upon;ahi=fire;papa=anything broad,flat,and hard)、「(長く、平らで、堅い)刀剣の・側面を・(火で熱した)焼き入れをしたもの(刃)」(「アヒ」のH音が脱落して「アイ」となり、「イ・アイ」が「ヤイ」と、「パパ」の反復語尾が脱落して「「パ」から「バ」となった)
の転訛と解します。
普通に並んでいる歯の脇に、別の重なるように生える歯。そいば。鬼歯。
この「やえば」は、
「イ・アヘイヘイ・パ」、I-AHEIHEI-PA(i=beside,with,by,at,upon;aheihei=disturbance;pa=stockade,fortified place)、「(歯列の)脇で・邪魔をしている・(砦を囲む木柱列のような)歯(八重歯)」(「アヘイヘイ」のH音および反復語尾が脱落して「アエイ」となり、「イ・アエイ」から「ヤエ」と、「パ」が「バ」となった)
の転訛と解します。
(八百屋の長兵衛、通称八百長という人がある相撲の年寄りとよく碁を打ち、勝てる腕前がありながら、巧みに一勝一敗の成績になるように手加減していたところからとする説がある)相撲やその他の競技で、あらかじめ勝敗を打ち合わせしておき、真剣に争うよう見せかけること。転じて、一般に前もって示し合わせておきながら、さりげなくよそおうこと。なれあい。
この「やおちょう」は、
「イア・オチ・アウ」、IA-OTI-AU(ia=indeed;oti=finished,gone or come for good;au=firm,sound(of sleep),intense)、「実に・真剣に振る舞って・(そのため)うまい結果となった(八百長)」(「イア」が「ヤ」と、「アウ」のAU音がOU音に変化して「オウ」となり、「オチ・オウ」が「オチョウ」となった)
の転訛と解します。
野菜を売る商家。また、それを業とする人。青物屋。やおものや。学問・技芸・趣味などの雑駁なこと。なんにでも興味を示し手を出すこと。転じて、事業や研究などを手広くやる人。なんでも屋。
この「やおや」は、
「イア・ホイ・アハ」、IA-HOI-AHA(ia=indeed;hoi=heoi=denoting completeness or sufficiency of a statement or enumeration;aha=open space,aperture)、「実に・(屋根のない場所)露地で作られる(野菜、果物など青物)ものが・なんでも揃っている(店)(八百屋)」(「イア」が「ヤ」と、「ホイ」のH音が脱落して「オイ」と、「アハ」のH音が脱落して「ア」となり、「オイ・ア」が「オヤ」となった)
の転訛と解します。
静かに身を動かすさま、また、徐々に事を行うさまを表す語。そろそろと。おもむろに。時間の経過とともに変化、進展し、ようやくその状態になるさま、事態が変わるさまを表す語。
この「やおら」は、
「イア・ホラ」、IA-HORA(ia=indeed;hora=go,flee,escape,scatter over a surface,spread out,display,distrivute lavishly)、「実に・動きまわる(やおら)」(「イア」が「ヤ」と、「ホラ」のH音が脱落して「オラ」となった)
の転訛と解します。
@船の上に設けた屋根のある家の形をしたもの。ふなやかた。
A牛車や輿車などの上に作った家の形の覆い。
Bかりそめに設けた家。仮の宿所。かりや。寓居。
C貴人や大名・豪族、有力武士などの邸宅。また、宿所。たち。との。
この「やかた」は、
@「イア・カハ・タ」、IA-KAHA-TA(ia=indeed;kaha=lashing of the rauawa(attached sides) of a canoe;ta=lay)、「実に・(船に)設置した・波除けの施設(屋形)」(「イア」が「ヤ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)
A「イア・カハ・タ」、IA-KAHA-TA(ia=indeed;kaha=crested grebe;ta=lay)、「実に・(カイツブリの頭冠のような)屋根に飾りを・付けてある施設(家形)」(「イア」が「ヤ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)
B「イア・カ(ン)ガ・タ」、IA-KANGA-TA(ia=indeed;kanga=ka=take fire,be lighted,burn(kainga=place of abode,lodging,encampment);ta=lay)、「実に・(そこで火を使う)小屋が・ある(仮屋)」(「イア」が「ヤ」と、「カ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「カ」となった)
C「イア・カハ・タ」、IA-KAHA-TA(ia=indeed;kaha=strong,strength,persistency;ta=lay)、「実に・永久的な(家が)・建てられている(館)」(「イア」が「ヤ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)
の転訛と解します。
本来は、間に介在するもののないさま。とりもなおさず。すなわち。時を移さず。すぐさま。ただちに。そのまま。おっつけ。まもなく。ほどなく。そのうち。
この「やがて」は、
「イア・(ン)ガテ」、IA-NGATE(ia=indeed,rushing stream;ngate=move,shake)、「(奔流する川の)流れのように・(事態が)動いて行く(やがて)」(「イア」が「ヤ」と、「(ン)ガテ」のNG音がG音に変化して「ガテ」となった)
の転訛と解します。
音や声などが大きかったり、多く入り混じったりして、神経をいらだたせる。騒がしい。こまごまとした感じで、煩わしい。面倒だ。形式にとらわれている。理屈っぽい。きびしい。評判が高い。
この「やかましい」は、
「イア・カマ・チヒ」、IA-KAMA-TIHI(ia=indeed;kama=eager(kakama=guick;kamakama=joyous,talkative,full of spirits);tihi=summit,top,lie in a heap)、「実に・たいへん・熱狂的である(喧しい)」(「イア」が「ヤ」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シイ」となった)
の転訛と解します。
(「や」は「家」、「から」は「うから」「はらから」などの「から」と同じく血縁関係にあることを表すとする説がある)一家の親族。一族。同族。うから。(「輩」とも書く)ともがら。仲間。てあい。連中。
この「やから」は、
「イア・カラ」、IA-KARA(ia=that,the said,each,every;kara=collar,form of address to man,flag,invitation to unite forces)、「いわゆる・特定の集団に属するもの(族。輩)」(「イア」が「ヤ」となった)
の転訛と解します。
(もと薬を煮るのに用いたところからいう)銅、真鍮、アルマイトなどで作った、鉄瓶に似た容器。湯沸かし。やっかん。薬罐頭の略。
この「やかん」は、
「イア・カ(ン)ガ」、IA-KANGA(ia=that,the said,each,every;kanga=ka=take fire,be lighted,burn)、「いわゆる・(湯を沸かすなど)火にかける容器(薬罐)」(「イア」が「ヤ」と、「カ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「カナ」から「カン」となった)
の転訛と解します。
(動詞「やく(焼)」の連用形の名詞化とする説がある)焼くこと。また、その焼いた様子。刀などに粘土を塗り、火で焼いてからぬるま湯で冷却して堅くすること。焼物、焼魚、焼鳥などの略。嫉妬すること。ねたむこと。やきもち。
この「やき」は、
「イア・パキ」、IA-PAKI(ia=indeed;paki=fair,without rain,dry of weather(whakapaki=dry by fire,toast))、「実に・(物を)火にかけて焼くこと(焼き)」(「イア」のA音と、「パキ」のP音がF音を経てH音に変化した後脱落して「アキ」となったその語頭のA音が連結して「イアキ」から「ヤキ」となった)
の転訛と解します。
火で焙って焼いた餅。古くは、中に餡を入れた餅を焼いたものをいう。やきもち。(嫉妬することを「焼く」というところから)嫉妬。ねたみ。
この「やきもち」は、
「イア・パキ・マウ・チ」、IA-PAKI-MAU-TI(ia=indeed;paki=fair,without rain,dry of weather(whakapaki=dry by fire,toast);mau=food products,fixed;ti=throw,cast,overcome)、「実に・火にかけて焼いた・(穀物から食物の)餅に・なったもの(焼き餅)」(「イア」のA音と、「パキ」のP音がF音を経てH音に変化した後脱落して「アキ」となったその語頭のA音が連結して「イアキ」から「ヤキ」となった)
の転訛と解します。
(カブ賭博の一種の三枚ガルタで、八(や)九(く)三(ざ)の札がくるとブタのうちでも最悪の手になるところからいうとする説がある)一般に物事が悪いこと。焼くに立たないこと。粗末なこと。生活の態度がまともでないこと。また、そのものやそのさま。博打打ちや無職渡世の遊び人。また、暴力団員など。生業につかず、方に背くなどして正活の資を得ている者の総称。無頼漢。ならずもの。
この「やくざ」は、
「イア・クタ」、IA-KUTA(ia=indeed;kuta=encumbrance,clog,as old and infirm people on a march)、「実に・(社会の)邪魔者(やくざ)」(「イア」が「ヤ」と、「クタ」のT音がS音に変化して「クサ」から「クザ」となった)
の転訛と解します。
役に立たない。無益である。たわいない。また、とんでもない。でたらめだ。
この「やくたいもない」は、
「イア・クタ・アイ・モナ・アイ」、IA-KUTA-AI-MONA-AI(ia=indeed;kuta=encumbrance,clog,as old and infirm people on a march;ai=denoting present habitual condition or action;mona=fat,rich,fertile)、「実に・(邪魔だ)無益なこと・で・一杯・だ(益体も無い)」(「イアむが「ヤ」と、「クタ」の語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「クタイ」と、「モナ」の語尾のA音と「アイ」の語頭のA音が連結して「モナイ」となった)
の転訛と解します。
(「矢を納める倉」の意からとする説がある)@武器を納めておく倉。兵庫。
A城壁などの上に造った建物で、諸方を展望して偵察したり、矢や弾丸を発射して防戦の用としたりしたもの。軍船の上に設けられた高い構築物。
B木材や鉄材などを組み合わせて高く造った構築物。祭礼・盆踊りで、太鼓や笛を演奏したり、歌を歌ったりする構造物など。江戸時代、劇場の正面入り口の上に造った構築物の一つ。相撲場で高く造った太鼓を打つ場所。
Cこたつのやぐら。など。
この「やぐら」は、
@「イア・クラ」、IA-KURA(ia=indeed,rushing stream;kura=treasure)、「実に・宝物や貴重品を納める場所(矢倉」または「(奔流のように飛ぶ)矢や・(武具などの)貴重品を納める場所(矢倉)」(「イア」が「ヤ」となった)
A「イア・(ン)グ(ン)グ・ラハ」、IA-NGUNGU-RAHA(ia=indeed;ngungu=glance off,turn aside(whakangungu=fend,ward off,defend,protect,shield,protection);raha=open,extended)、「実に・遠方を見渡し自らの守りを・拡張する施設(櫓)」(「イア」が「ヤ」と、「(ン)グ(ン)グ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「グ」と、「ラハ」のH音が脱落して「ラ」となった)
B「イア・(ン)グ(ン)グ・ラ」、IA-NGUNGU-RA(ia=indeed;ngungu=glance off,turn aside(whakangungu=fend,ward off,defend,protect,shield,protection);ra,rara=make a continual dull sound,roar,continued sound)、「実に・遠方を見渡し・(合図の)太鼓の音などを発する施設(櫓)」(「イア」が「ヤ」と、「(ン)グ(ン)グ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「グ」となった)
C「イア・(ン)グ・ウラ」、IA-NGU-URA(ia=indeed;ngu=silent;ura=red,glowing)、「実に・(その中に)静かに・(炭火が赤く)燃えているもの(炬燵櫓)」(「イア」が「ヤ」と、「(ン)グ」のNG音がG音に変化して「グ」となり、そのU音と「ウラ」の語頭のU音が連結して「グラ」となった)
の転訛と解します。
物事が思い通りにならないため、自分で自分の身を粗末に扱い、どうなっても構わないという気持ちになること。なげやりな行動をとること。また、そのさまや、その言動。自暴自棄。やけくそ。
この「やけ」は、
「イア・ケ」、IA-KE(ia=indeed;ke=different,strange,extraordinary,contrariwise,otherwose than one expected,ina different character or appearance)、「実に・(通常の状態ではない)変わっている(人の気持ちや言動)(自棄)」(「イア」が「ヤ」となった)
の転訛と解します。
(「やけど(焼処)」の意とする説がある)皮膚や粘膜が高温に接した際に見られる表面変化。熱傷。やれつり。(比喩的に)何かに失敗したり、痛い目をみることをたとえていう。
この「やけど」は、
「イア・ケ・ト」、IA-KE-TO(ia=indeed;ke=different,strange,extraordinary,contrariwise,otherwose than one expected,ina different character or appearance;to=tingle,wet(toto=causing a tingling sensation,ooze,rise up,etc.))、「実に・(通常の状態ではない)変わった・(皮膚や粘膜の)隆起、糜爛や痛みなど(やけど)」(「イア」が「ヤ」と、「ト」が「ド」となった)
の転訛と解します。
大きな勾玉。一説に、多くの勾玉を一つの長い緒で貫き通したもの。三種の神器の一つ。
この「やさかにのまがたま」は、
「イア・タカ・ヌイ・ノ・マ(ン)が・タマ」、IA-TAKA-NUI-NO-MANGA-TAMA(ia=indeed,that,the said,each,every;taka=fasten fishing hook;nui=large,great,many;no=of;manga=branch of a tree,branch of a river;tama=son,in a mystic sense )、「世に名高い・(通常は木の枝それぞれに)吊される・巨大な・(もの)の・木の枝(に吊される)・不思議な霊力を持つ球(勾玉)」 (「イア」が「ヤ」と、「タカ」のT音がS音に変化して「サカ」と、「ヌイ」が「ニ」と、「マ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「マガ」となった)
の転訛と解します。
(「さか」は長さの単位で「長い」または「大きい」の意とする説がある)大きな鏡。
この「やさかのかがみ」は、
「イア・タカ・ノ・カ(ン)ガ・ミヒ」、IA-TAKA-NO-KANGA(ia=indeed,that,the said,each,every;taka=fasten fishing hook;no=of;kanga=curse,abuse,execrate;mihi=sigh for,greet,admire)、「(通常は)それぞれ・(木の枝に)吊される・(もの)の・人に呪(のろい)を掛ける・恐るべきもの(八尺の鏡)」(「イア」が「ヤ」と、「タカ」のT音がS音に変化して「サカ」と、「カ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「カガ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)
の転訛と解します。
(動詞「やせる(痩)」の形容詞化とする説がある)(恥)人の見る目に対して身も細る思いである。自分の行為や状態などに引け目を感じる。人や世間の思惑に対して気恥ずかしい。きまりが悪い。肩身が狭い。みっともなく恥ずかしい。周囲や相手に心づかいして、控えめに振る舞うさま。つつましやかである。(優)姿矢言語、振る舞いなどに、こまやかな心づかいや、たしなみの深さなどが感じられるさま。また、それを優れたものとして評価すること。優美である。優雅である。風情がある。本能、衝動などに心をまかせず、、己を抑えて、自分の立場にふさわしく振る舞う思慮あるさまに対して、他人が心に感じて用いる褒め言葉。りっぱである。感心である。殊勝である。けなげである。他人に対して心づかいが細やかなさま。思いやりがある。情け深い。人の態度・性格などが、従順である。おとなしい。温和である。など。
この「やさしい」は、
「イア・アタ・チヒ」、IA-ATA-TIHI(ia=indeed;ata=form,shape,shadow,reflected image,early morning;tihi=summit,top,lie in a heap)、「実に・(人が見る)自分の姿や振る舞いが・最高のものであろうとする(行為)(優しい)」(「イア」のA音と「アタ」の語頭のA音が連結し、T音がS音に変化して「イアサ」から「ヤサ」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シイ」となった)
の転訛と解します。
祭礼または縁日などの人出の多いところで、路上で見世物などを興行し、また、品物を路上で独特の口上で言葉巧みに売るのを業とする者。山師、的屋。
この「やし」は、
「イア・アハ・チ」、IA-AHA-TI(ia=indeed,that,the said,each,every;aha=what?who?of what sort?of what use?anything whatever;ti=throw,cast)、「いわゆる・何でも・扱う人間(何でも屋)(香具師)」(「イア」のA音と「アハ」の語頭のA音が連結し、H音が脱落して「イアア」から「ヤ」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」となった)
の転訛と解します。
(「やじ」は「おやじ」の変化した語とも、また「やんちゃ」の変化した語ともする説がある)物見高いこと。また、自分とは無関係なことにむやみに口出ししたり、他人の尻馬に乗って無責任に騒ぎ立てたり、見物にでたりすること。また、その人。
この「やじうま」は、
「イア・チウ・ウマ(ン)ガ」、IA-TIU-UMANGA(ia=indeed,that,the said,each,every;tiu=soar,wander,swing,swift;umanga=pursuit,occupation,accustomed,habituated)、「いわゆる・(事件の場所を)うろつく・習慣がある者(野次馬)」(「イア」が「ヤ」と、「チウ」の語尾のU音と「ウマ(ン)ガ」の語頭のU音が連結し、T音がS音に変化し、名詞形語尾のNGA音が脱落して「シウマ」から「ジウマ」となった)
の転訛と解します。
(梵 yaksa の音訳。薬叉とも。能敢。勇健。などと訳す)仏語。容貌が醜怪で猛悪な鬼神。後に仏教に取り入れられて八部衆の一とされ、毘沙門天の眷属で、諸天の守護神として北方を守ることとなった。(語源としては翻語て、縄文語ではないが、縄文語の発音と類似する疑似縄文語の例として仮に記載する。)
この「やしゃ」は、
「イア・チア」、IA-TIA(ia=indeed,that,the said;tia=etia=how great!)、「世に聞こえた・偉大なる鬼神(夜叉)」(「イア」が「ヤ」と、「チア」のT音がS音に変化して「シャ」となった)
の転訛と解します。
(「屋(や)代(しろ)」の意とする説がある)神の降臨する所。古くは地を清めて壇を設けて神を祀る一定の場所をいった。神を祀る殿舎。神社。
この「やしろ」は、
「イア・チ・ロ」、IA-TI-RO(ia=indeed,that,the said,each,every;ti=throw,cast,overcome;ro=roto=inside)、「実に・(神が)その中に・降臨する場所(社)」(「イア」が「ヤ」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」となった)
の転訛と解します。
「やしわご(玄孫)」の変化した語。
この「やしゃご」は、
「イア・アチ・ア(ン)ゴ」、IA-ATI-ANGO(ia=indeed,that,the said,each,every;ati=offspring,descendabt,clan;ango=gape,be consumed)、「実に(それぞれ)・(子孫として数えられる)孫の・(それが消耗(代が経過)した、そのまた)孫の孫(玄孫)」(「イア」のA音と「アチ」の語頭のA音が連結し、T音がS音に変化して「イアシ」から「ヤシ」と、「ア(ン)ゴ」のNG音がG音に変化して「アゴ」と、「ヤシ・アゴ」が「ヤシャゴ」となった)
の転訛と解します。
物事の成り行きに生涯や不安がない。平穏である。安心していられる。らくらくと物事を行うことができる。容易である。たやすい。責任が軽く自由である。気楽である。値段が高くなく、金がかからない。他と比べて、質や量のわりに値段が低い。低廉である。安価である。格が低い。身分が低い。粗末に扱う。など。
この「やすい」は、
「イア・ツイ」、IA-TUI(ia=indeed;tui=pierce,thread on a stringlace,sew)、「実に・(スイスイと針が通るように)物事が容易に進展する(安い。易い)」(「イア」が「ヤ」と、「ツイ」のT音がS音に変化して「スイ」となった)
の転訛と解します。
日が暮れてから外出する子供の額に墨をつけて出す風習がある(岩手県盛岡地方)。また、嬰児の初めての宮参りの時、その額に鍋墨で印をつけるまじないがある(秋田県鹿角郡ほか)。
この「やすこ」は、
「イア・アツ・カウ」、IA-ATU-KAU(ia=indeed;atu=to indicate a direction or motion onwards,to indicate reciprocated action;kau-alone,only)、「実に・(子供が)ただただ・平穏に(事故など支障なく)過ごす、または順調に成長する(ことを願うまじない)(やすこ)」(「イア」が「ヤ」と、「ツイ」のT音がS音に変化し、語尾のI音が脱落して「ス」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)
の転訛と解します。
(動詞「やすむ(休)」の連用形の名詞化とする説がある)休むこと。休憩。休息。休む期間。時。休暇。休業。寝ること。蚕が脱皮する前、しばらくの間動作を停止すること。斎宮の忌詞で、病気をいう。
この「やすみ」、「やすむ」は、
「イア・ツ(ン)ガ・フミ」、IA-TUNGA-HUMI(ia=indeed;tunga=circumstance,time,etc.,of standing;humi=abundant,copious,abundance)、「実に・長い間・立ったまま動かないでいること(休み)」(「イア」が「ヤ」と、「ツ(ン)ガ」のT音がS音に変化し、名詞形語尾のNGA音が脱落して「ス」となり、そのU音と「フミ」のH音が脱落した語頭のU音が連結して「スミ」となった)
「イア・ツム」、IA-TUMU(ia=indeed;tumu=halt suddenly,twitch,grunt)、「実に・突然動きを止める(休む)」(「イア」ガ「ヤ」と、「ツム」のT音がS音に変化して「スム」となった)
の転訛と解します。
棒状または板状の鋼の表面に鋭く突起する多数の細かい凹凸をつけて焼き入れした工具。 工作物の表面を削って平らにしたり、所要の形にしたりする仕上げ作業に用いる。
この「やすり」は、
「イア・ツ・ウリ」、IA-TU-URI(ia=indeed;tu=fight with,energetic;uri=a dark coloured hard stone used for making implement or an adze)、「いわゆる・斧や鋤、鍬などの道具を懸命に研磨して造る・のに用いる暗褐色の堅い石(やすり)」(「イア」が「ヤ」と、「ツ」のT音がS音に変化して「ス」となり、そのU音と「ウリ」の語頭のU音と連結して「スリ」となった)
の転訛と解します。
(「ぎす」は「ぎすぎす」からか、または魚の「きす(鱚)」からかとする説がある)身体が痩せて骨ばっていること。また、その人やそのさま。やせがます。
この「やせぎす」は、
「イア・テキ・ツ」、IA-TEKI-TU(ia=indeed;teki=scrape lightly,graze;tu=fight with,energetic,persistent)、「実に・懸命に・(身体を)そぎ落としたような(痩せぎす)」(「イア」が「ヤ」と、「テキ」のT音がS音に変化して「セキ」から「セギ」と、「ツ」のT音がS音に変化して「ス」となった)
の転訛と解します。
(「やそ」は広いの意、「かげ」は日陰になる所の意とする説がある)広大な宮殿。
この「やそかげ」は、
「イア・タウ・カケ」、IA-TAU-KAKE(ia=indeed;tau=alight,settle down,be suitable,be comely;kake=ascend,climb upon or over,be superior to)、「実に・美しく飾られ・高くそびえている(宮殿)(八十陰)」(「イア」が「ヤ」と、「タウ」のT音がS音に、AU音がO音に変化して「ソ」と、「カケ」が「カゲ」となった)
の転訛と解します。
大きな鏡。また、鏡の美称。やあたかがみ。三種の神器の一つ。天照大神が岩戸に隠れた時、、石凝姥命(いしこりどめのみこと)が作ったと伝える鏡。
この「やたのかがみ」は、
「イア・アタ・ノ・カ(ン)ガ・ミヒ」、IA-ATA(ia=indeed,every,each,just;ata=clearly,openly;no=of;kanga=curse,abuse,execrate;mihi=sigh for,greet,admire)、「世に有名な・明らかに(物を)映す・(ところ)の・人に呪(のろい)を掛ける・恐るべきもの(八咫鏡)」(「イア」のA音と「アタ」の語頭のA音が連結して「イアタ」から「ヤタ」と、「カ(ン)ガ」のNG音がG音に変化して「カガ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)
の転訛と解します。
(「矢鱈」は宛字)順序・秩序・節度などがないさま。また、程度が並み外れて甚だしいさまを表す語。むやみ。むちゃくちゃ。
この「やたら」は、
「イア・タラ」、IA-TARA(ia=indeed;tara=loosen,separate,brisk)、「実に・ばらばらで元気がよい(やたら)」(「イア」が「ヤ」となった)
の転訛と解します。
湿地帯。低湿地。やと。やつ。荒れた土地。
この「やち」、「やと」、「やつ」は、
「イア・チ」、IA-TI(ia=current,rushing stream;ti=throw,cast,overcome)、「(水の)流れが・(附近一帯に)広がる(湿地帯)(谷地)」(「イア」が「ヤ」となった)
「イア・ト」、IA-TO(ia=current,rushing stream;to=moisten,wet,anoint(toto=ooze,trikle,gush forth,spring up,rise up,hold without breaking))、「水(の流れ)が・(附近一帯に)滲み出す(湿地帯)(谷戸)」(「イア」が「ヤ」となった)
「イア・ツ」、IA-TU(ia=current,rushing stream;tu=stand,remain,take place)、「水(の流れ)が・(附近一帯を)覆う(湿地帯)(谷。谷津)」(「イア」が「ヤ」となった)
の転訛と解します。
(「やっこ(奴)」の変化したものとする説がある)人を卑しめたいう。また、目下の者、被保護者などに対して、親しみをもって呼びかける場合にも用いる。鳥獣などを人より劣るものとして卑しめて言う。物または事をさしてそれを強調する俗語的ないい方。あいつ。あやつ。こやつ。かやつ。きゃつ。そやつ。
この「やつ」は、
「イア・アツ」、IA-ATU(ia=that,the said,each,every;atu=to indicate a direction or motion onwards,other)、「あの・ほかの人(または物)(奴)」(「イア」のA音と「アツ」の語頭のA音が連結して「イアツ」から「ヤツ」となった)
の転訛と解します。
(「やっかい(厄会)」の変化したものか、また一説では「やかい(家居)」の意かとする説がある)面倒をみること。世話をすること。また、他の面倒や世話を受けること。また、その人やねそのための費用。他家に寄食すること。また、その人。食客。居候。やどかり。江戸時代、一家の当主の傍系親でその扶助を受ける者。生家に寄食して僧ぞせくしゃに養われる次男、三男など。面倒なこと。手数のかかること。
この「やっかい」は、
「イア・ツ・カイ」、IA-TU-KAI(ia=that,the said,each,every;tu=stand,remain,take place;kai=consume,eat,,drink,food)、「いわゆる・寄宿して・食べさせて貰うこと(厄介)」(「イア」が「ヤ」と、「ツ」が「ッ」となった)
の転訛と解します。
(ふるくは「やつかれ」「やっこ(奴)あれ(吾)」の変化したものとする説がある)自称。自分をへりくだっていう。下働きの男。下男。しもべ。
この「やつがれ」は、
「イア・ツ(ン)ガ・レイ」、IA-TUNGA-REI(ia=that,the said,each,every;tunga=send;rei=reap,rush,run)、「例の・走り回る(仕事をする)ように・(主人から)遣わされた者(やつがれ)」(「イア」が「ヤ」と、「ツ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ツ」と、「レイ」が「レ」となった)
の転訛と解します。
(「家つ子」の意とする説がある)人に使われる身分の低い者。奴婢。召使い。従者。臣下。郎党。
この「やっこ」は、
「イア・ツ・カウ」、IA-TU-KAU(ia=that,the said,each,every;tu=fight with,energetic;kau=alone,only)、「例の・ただ・懸命に働く者(奴)」(「イア」が「ヤ」と、「ツ」が「ッ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」となった)
の転訛と解します。
大勢で騒ぎ立てること。大騒ぎ。もめ事。やっちゃもっちゃ。やっさ。
この「やっさもっさ」は、
「イア・ツ・タ・マウ・ツ・タ」、IA-TU-TA-MAU-TU-TA(ia=that,the said,each,every;tu=fight with,energetic;ta=dash,beat with a stick,etc.;mau=fixed,continuing,caught,entangled)、「てんでに・懸命に・暴れよう・縺れて・懸命に・暴れよう(やっさもっさ)」(「イア」が「ヤ」と、「タ」のT音がS音に変化して「サ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)
の転訛と解します。
(「やっちゃやっちゃ」とかけ声をかけるところから)東京で青物市場をいう。火葬場をいう。
この「やっちゃば」は、
「イア・ツ・チア・パ」、IA-TU-TIA-PA(ia=that,the said,each,every;tu=fight with,energetic;tia=stick in.drive in pegs,etc.,take a vigorous stroke in paddling;pa=stockade,fortified place,blockade)、「例の・せわしなく・棒を使う・塀で囲まれた場所(青物市場。または火葬場)(やっちゃば)」(「イア」が「ヤ」と、「ツ」が「ッ」と、「チア」が「チャ」と、「パ」が「バ」となった)
の転訛と解します。
(「ようよう」と同語源かとする説がある)何らかの制約や困難があったために成立しがたかった行為・状態が、どうにか成り立つさまを表す語。
この「やっと」は、
「イア・ツ・タウ」、IA-TU-TAU(ia=indeed;tu=fight with,energetic;tau=alight,settle down,be possible,be able)、「実に・懸命に努力して・可能になった(やっと)」(「イア」が「ヤ」と、「ツ」が「ッ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」となった)
の転訛と解します。
服装など、見たところが見窄らしくなる。粗末な様子になる。地味で人目につかない様子でいる。見栄えのしない服装でいる。喪服姿になる。病気や心労、積もる年齢などのために、肉体が衰え、見苦しくなる。やせ細る。憔悴する。落ちぶれる。
この「やつれる」は、
「イア・ツ・レヘ・ル」、IA-TU-REHE-RU(ia=indeed;tu=stand,remain,take place;rehe=wrinkle in the skin,wizened,stunted,puny;ru=shake,agitate,scatter)、「実に・身体に・皺が増えしなびて・衰えている(やつれる)」(「イア」が「ヤ」と、「レヘ」のH音が脱落して「レ」となった)
の転訛と解します。
(「屋の処(と)」の意かと、また一説には「屋の戸(と)」「屋の外(と)」の意とする説がある)家の戸。家の入り口。戸口。家の戸口のあたり。家の回りの庭。庭先。家。すみか。家屋。(「やどり」との混同か)一時的に泊まる家。旅先で泊まるところ。旅宿。転じて、宿屋。旅館。また、宿泊すること。特に、自分の家。家の主人。奉公人の家元。実家。など。
この「やど」は、
「イア・ト」、IA-TO(ia=that,the said,each,every;to=drag,haul,open or shut a door or window)、「あの・(家の開閉する)戸(または窓。転じて、その家。家の主人などなど)(やど)」(「イア」が「ヤ」と、「ト」が「ド」となった)
または「イア・タウ」、IA-TAU(ia=that,the said,each,every;tau=come to rest,settle down)、「あの・休息をする(場所。家。転じて、家の主人などなど)(宿)」(「イア」が「ヤ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」となった)
の転訛と解します。
(「宿のろくでなし」の意とする説がある)一家の主人を卑しめたり、または親愛の情をこめたりしていう語。
この「やどろく」は、
「イア・タウ・ロク」、IA-TAU-ROKU(ia=that,the said,each,every;tau=come to rest,settle down;roku=bend,be weighed down)、「あの・休息をする(場所。家。転じて、家の主人)で・(重さが軽い)軽く見られているもの(宿六)」(「イア」が「ヤ」と、「タウ」のAU音がO音に変化して「ト」から「ド」となった)
の転訛と解します。
川の瀬に杭を打ち並べて水を堰き止め、一箇所だけを空けて簀を張り、川を上り下りする魚をそこに受けて捕る仕掛け。また、そこでとれた魚。(この「やな」については、雑楽篇(その二)の1020やな(梁)の項を参照してください。)
この「やな」は、
「イア・アナ」、IA-ANA(ia=current,rushing stream;ana=cave,denoting continuance of action or state)、「川の・(中に設けられた)魚を捕る穴のような仕掛け(梁)」または「川の流れが・続いているよう(に見せかけた魚を捕る仕掛け)」(「イア」の語尾のA音と「アナ」の語頭のA音が連結して「ヤナ」となった)
の転訛と解します。
(「矢を射ているその場」から転じて)その場で、時間をかけないで一気に事を行うさまを表す語。直ちに。たちどころに。いきなり。突然。だしぬけに。前後の見境もなく直ちに。または、しゃにむに事を行うさまを表す語。
この「やにわに」は、
「イア・ニワ・ニヒ」、IA-NIWHA-NIHI(ia=indeed:niwha=resolute,fierce,bravery,rage;nihi=move stealthly,come stealthly upon,surprise,suprise party in war)、「実に・荒々しく・突然に襲う(矢庭に)」(「イア」が「ヤ」と、「ニヒ」のH音が脱落して゜ニ」となった)
の転訛と解します。
(「や(家)ね(接尾語)」の意とする説がある)雨露、暑さ、寒さなどを防ぐため建物の最上部に設けられた覆い。物の上部を覆うもの。また、最上部にあるもの。(この「やね」については、雑楽篇(その二)の1022屋根(やね)の項を参照してください。)
この「やね」は、
「イ・アネアネ」、I-ANEANE(i=past tense,beside;aneane=sharp)、「(鋭く)尖って・いるもの(屋根)」(「アネアネ」の反復語尾が脱落して「アネ」となり、「イ」のI音と「アネ」の語頭のA音が連結して「ヤネ」となつた)(縄文時代の最初の住居は円形の竪穴式で、その竪穴の周囲に埋め込んだ柱の先端を結束してその上に茅等の草を葺いた円錐形の屋根が始まりであったと考えられます。)
の転訛と解します。
(「やば」の形容詞化したねりとする説がある)危険や不都合が予測されるさま。危ない。もと、テキヤ・盗人などが官憲の追求がきびしくて身辺が危うい意に用いたのが一般化したものという。
この「やばい」は、
「イア・パイ」、IA-PAI(ia=indeed;pai=good,excellent,satisfactory)、「実に・安心だ(逆の意味に転じて、危険だ)(危い)」(「イア」が「ヤ」と、「パイ」が「バイ」となった)
の転訛と解します。
(「やわら」「やおら」などと同源の語かとする説がある。「矢張」は宛字)動かさないで、そのままにしておくさま。静かにじっとしているさまを表す語。事態・状況が変化していないさま。同じであるさまを表す語以前として。やっぱり。予測した通りの事態であるさま。順当な事態であるさまを表す語。やっぱり。さまざまに考えられても、または、さまざまな経過を経ても、結局は同じ結果、同じ事態に終結することを認める気持ちを表す語。
この「やはり」は、
「イア・パリ」、IA-PARI(ia=that,the said,each,every;pari=cliff,precipice)、「いわゆる・(断崖絶壁の)崖っぷちに立っているようなもの(矢張)」(「イア」が「ヤ」と、「パリ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハリ」となった)
の転訛と解します。
(「やぶ」は「野巫(やぶ)」て、本来は「呪術を医薬とともに用いる者」の意であったという。それに「藪」「野夫」などの漢字をあてて、田舎医者の意となり、あざけっていったものかとする説がある)技術の下手な医者。庸医。竹庵。やぶくすし。やぶいし。やぶい。
この「やぶ」(「医者(いしゃ)」は漢語)は、
「イア・アプ」、IA-APU(ia=indeed,that,the said,each,every;apu=force one's way into the ground,burrow)、「実に・(失敗すると)地面の下に(穴を掘って中に)隠れるような者(藪)」(「イア」のA音と「アプ」の語頭のA音が連結して「ヤプ」から「ヤブ」となった)
の転訛と解します。
(「草深い田舎に帰る」意からとする説がある)正月と盆の十六日、あるいはその前後に、奉公人が主人から暇をもらって実家に帰ること。また、その日やその頃。七月のものは後の藪入りとも。宿入り。宿さがり。季節を問わず、奉公人や嫁などが主人に暇をもらって実家に休息に行くこと。また、一般に、休日。
この「やぶいり」は、
「イア・プ・イリ」、IA-PU-IRI(ia=that,the said,each,every;pu=origin,root,base,foundation;iri=be elevated on something,rest upon)、「いわゆる・(それぞれの)実家で・休息する(藪入り)」(「イア」が「ヤ」と、「プ」が「ブ」となった)
の転訛と解します。
(「か」は接尾語。古くは「やふさか」かとする説がある)物惜しみするさま。けちなさま。しみったれ。躊躇するさま。未練があるさま。(「〜にやぶさかでない」「〜にやぶさかならず」の形で)〜する努力を惜しまない。喜んで〜する。
この「やぶさか」は、
「イア・プタ・カ」、IA-PUTA-KA(ia=that,the said,each,every;puta=move from one place to another,pass through,escape;ka=to denote the commencement of a new action or condition)、「いわゆる・何かを行うことから・逃げ出すこと(吝か)」(「イア」が「ヤ」と、「プタ」のT音がS音に変化して「プサ」から「ブサ」となった)
の転訛と解します。
騎射の一種。馬上で直線の馬場を馳せながら鏑矢で的を射るもの。
この「やぶさめ」は、
「イア・プタ・マイ」、IA-PUTA-MAI(ia=that,the said,each,every;puta=move from one place to another,pass through,escape;mai=to indicate direction or motion towards)、「例の・(馬場を)駆け抜けながら・(的を射る武術を)行う行事(流鏑馬)」(「イア」が「ヤ」と、「プタ」のT音がS音に変化して「プサ」から「ブサ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
物を見るとき、両眼の視線が並行しないで、一眼が他方を向く状態の俗称。斜視。ひがらめ。やぶ。言動・思考などが見当違いなこと。
この「やぶにらみ」は、
「イア・プニ・ラミ」、IA-PUNI-RAMI(ia=that,the said,each,every;puni=blocked,place of encampment,an incantation;rami=squeeze)、「いわゆる・(自分の利益のために)圧力をかける・まじないの一種(藪睨み)」(「イア」が「ヤ」と、「ニプ」が「ニブ」となった)
の転訛と解します。
(「藪をつついて蛇を出す」から)余計なことをして、かえって災いを受けること。
この「やぶへび」は、
「イア・アプ・ヘヘ・ピヒ」、IA-APU-HEHE-PIHI(ia=indeed,that,the said,each,every;apu=move or be in a flock or crowd;hehe=gone astray,wrong,not fulfilling requirement;pihi=cut,split,begin to grow)、「いわゆる・(草木が)密集している場所(藪。その藪をつついて)・あちこちさまよう・(定期的に)脱皮する(動物。蛇。その蛇を出すということ)(藪蛇)」(「イア」のA音と「アプ」の語頭のA音が連結して「イアプ」から「ヤブ」と、「ヘヘ」の反復語尾が脱落して「ヘ」と、「ピヒ」の語尾のH音が脱落して「ピ」となつた)
の転訛と解します。
(語源未詳。「野暮」は宛字とされる)遊里の事情に暗いこと。性行、言動が洗練されないでいて田舎くさいこと。世態、人情の機微に通じないこと。気がきかないこと。不粋。また、その人やさま。
この「やぼ」は、
「イア・ポ」、IA-PO(ia=indeed,that,the said,each,every;po=night(whakapo=darke,brieve))、「いわゆる・(夜の闇の中にいるような)暗い(性質・言動の人。または、そのさま)(野暮)」(「イア」が「ヤ」と、「ポ」が「ボ」となった)
の転訛と解します。
火山作用、浸食作用、造山作用によって地表にいちじるしく突起した部分。高くそびえ立った地形。また、それの多く集まっている地帯。山岳。特に植林地、伐採地としての山林。種々の産物を得たり、狩猟したりするための山林。鉱石、石炭などを採掘刷る場所や諸施設。鉱山。墓場。墓地。築山。など。
この「やま」は、
「イア・マハ」、IA-MAHA(ia=indeed,that,the said,each,every;maha=many,abundance,mojority)、「いわゆる・大きく地表に突出したもの(山)」(「イア」が「ヤ」と、「マハ」のH音が脱落して「マ」となった)
の転訛と解します。
@相手を計略にかけて欺くこと。山師のように、相手をペテンにかけること。また、その人。
A勘に頼って、万一の成功を狙うこと。勘で、やまをかけること。また、そのさま。
この「やまかん」は、
@「イア・マ・カ(ン)ガ」、IA-MA-KANGA(ia=indeed,that,the said,each,every;ma=for,to be acted on by,by means of,by way of;kanga=curse,abuse,execrate)、「いわゆる・信頼を裏切って・(相手を)欺くこと(山勘)」(「イア」が「ヤ」と、「カ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「カナ」から「カン」となった)
A「イア・マ・カノカノア」、IA-MA-KANOKANOA(ia=indeed,that,the said,each,every;ma,mama=light,not heavy,unencumbered,so quick;kanokanoa=feel affection for an absent relative or friend)、「いわゆる・(直ちに)直感的に・(離れた親族や友人のことを察知する感情に似た)物事を判断する心の動きによって物事を行うこと(山勘)」(「イア」が「ヤ」と、「カノカノア」の反復語尾及び語尾のA音が脱落して「カノ」から「カン」となった)
の転訛と解します。
(動詞「やむ(病)」の形容詞化したものとする説がある)病気にかかっている感じである。気分が優れない。思い通りにならなくて、不平・もどかしさ・あせりなどが感じられる。気にやんでいるさまである。良心に恥じるところがある。うしろぐらい気がする。うしろめたい。
この「やましい」は、
「イア・マハ・チヒ」、IA-MAHA-TIHI(ia=indeed;maha=depressed,resigned;tihi=summit,top,lie in a heap)、「実に・最高に・(気分が)落ち込んでいる(疚しい)」(「イア」が「ヤ」と、「マハ」のH音が脱落して「マ」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シイ」となった)
の転訛と解します。
山を越えて吹いてくる風。また、夏、東北地方の太平洋岸に吹く冷涼な北東風。(この「やませ」は、雑楽篇(その一)の229やませ(風)の項を参照してください。)
この「やませ」は、
「イア・マテ」、IA-MATE(ia=indeed,current,rushing stream;mate=dead,extinguished,injured,damaged)、「実に・弱い(風)」または「強く吹く・(作物に)被害を与える(風)」(「イア」が「ヤ」と、「マテ」」のT音がS音に変化して「マセ」となった)
の転訛と解します。
(後世は「やまづみ」とも。「つ」は「の」の意の古い格助詞。「山の霊(み)」の意とする説がある)山の霊。山の神。山をつかさどる神霊。山つかみ。
この「やまつみ」は、
「イア・マツア・ミヒ」、IA-MATUA-MIHI(ia=indeed,that,the said,each,every;matua=first,important,large,abundant,parent,father,main,chief;mihi=greet,admire,respect)、「いわゆる・尊崇すべき・(氏族の)首長である者(山祇)」(「イア」が「ヤ」と、「マツア」の語尾のA音が脱落して「マツ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)
の転訛と解します。
山を守り、つかさどる神。山神。やまのかみまつり(山神祭)の略。山の精。やまこ。魑魅(ちみ)。妻。特に、結婚後年を経て口やかましくなつた自分の妻のことをいう。遊里の遣手婆。
この「やまのかみ」は、
「イア・マハ・ノ・カミ」、IA-MAHA-NO-KAMI(ia=indeed,that,the said,each,every;maha=many,abundance,mojority;no=of;kami=eat)、「いわゆる・大きく地表に突出したもの(山)・の・(すべてを)支配するもの(山の神)」(「イア」が「ヤ」と、「マハ」のH音が脱落して「マ」となった)
または「イア・マノ・カミ」、IA-MANO-KAMI(ia=indeed,that,the said,each,every;mano=indefinitely large number,host,heart;kami=eat)、「いわゆる・数限りない・(すべてを)支配するもの(山の神)」または「あの・主人として・(一切を)取り仕切る人(猛妻。遣手婆)(山の神)」(「イア」が「ヤ」となった)
の転訛と解します。
山に伏すこと。野山に野宿すること。世を逃れて山中に住むこと。また、その人。仏道修行のため山野に起き伏しする僧。山籠もりの僧。修験者をいう。
この「やまぶし」は、
「イア・マプ・チ」、IA-MAPU-TI(ia=indeed,that,the said,each,every;mapu=sob,sigh,shout,flow freely;ti=throw,cast,overcome)、「いわゆる・(野山に)放たれたように・あてどなく彷徨う人(山伏)」(「イア」が「ヤ」と、「マプ」が「マブ」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」となった)
の転訛と解します。
病気にかかる。気分が悪くなる。わずらう。精神的に苦しむ。心に悩む。傷などが痛む。
この「やむ」は、
「イア・アム」、IA-AMU(ia=indeed,that,the said,each,every;amu=grumble,begrudge,cpmplain)、「およそ・(身体や心の状態について)いろいろの不満がある(病む)」(「イア」のA音と「アム」の語頭のA音が連結して「イアム」から「ヤム」となった)
の転訛と解します。
続いていた自然現象の動きが消えてなくなる。風波、雨、雪などがおさまる。物事が途中で行われなくなる。続いてきたある状態が途絶える。物事をしないでおく。物事にきまりがつく。事が終わりになる。高まった気持ちや、病気などがおさまる。
この「やむ」は、
「イア・ム」、IA-MU(ia=indeed,that,the said,each,every;mu=mutu=brought to an end,left off,come or gone without exception,completed)、「およそ・(物事が)終わる(止む)」(「イア」が「ヤ」となった)
の転訛と解します。
夫のいない女。独身の女。また、夫を失った女。後家。未亡人。かふ。やまめ。やむめ。(寡夫)妻のいない男。独身の男。
この「やもめ」は、
「イア・マウ・メア」、IA-MAU-MEA(ia=indeed,that,the said,each,every;mau=fixed,continuing;mea=one)、「いわゆる・一人身の・ままでいる人(寡婦。寡夫)」(「イア」が「ヤ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「メア」の語尾のA音が脱落して「メ」となった)
の転訛と解します。
ある物事が少しづつ進むさまを表す語。徐々に。次第に。だんだん。他と比べて、物事の程度を表す語。ある物事の状態が、大小・長短・上下・明暗・善悪などの対比的な比較において、少しどちらかの傾向を帯びているさまを表す。いくぶんか。いくらか。ちょっと。すこし。特に、いくらか時間的な経過のあるさまを表す。しばらくの間。ちょっとの間。時のたつうちに。ややもすると。実現が難しかったことが、しばらくして、どうにか成り立つさま。やっと。
この「やや」は、
「イアイア」、IAIA(veins)、「(静脈が)ゆっくりと脈動するように(やや)」(「イアイア」が「ヤヤ」となった)
の転訛と解します。
あかご。あかんぼう。みどりご。やや。
この「ややこ」は、
「イアイア・コ」、IAIA-KO(iaia=uaua=sinew,vein,strenuous,vigorous,pertinacious;ko=in addressing girl and males)、「元気一杯な(泣きわめく)・子(嬰児)」(「イアイア」が「ヤヤ」となった)
の転訛と解します。
(「やらい(遣)」からとする説がある。「矢来」は宛字)竹や丸太を縦横に粗く組んだ、仮の囲い。竹矢来、角矢来などがある。やらいがき。
この「やらい」は、
「イア・ラヒラヒ」、IA-RAHIRAHI(ia=indeed;rahirahi=thin,not thick)、「実に・粗い(粗く組んだ)垣根(矢来)」(「イア」が「ヤ」と、「ラヒラヒ」の反復語尾およびH音が脱落して「ライ」となった)
の転訛と解します。
槍を手玉のように自由自在に扱うこと。また、人を槍で突き刺すこと。非難攻撃の対象となるもの。
この「やりだま」は、
「イア・アリ・タマタマ」、IA-ARI-TAMATAMA(ia=indeed,current;ari=clear,white,appearance(ariari=clear,undisturbed,bare as a trunk without branches);tamatama=treat with marks of disgust)、「実に・(真っ直ぐな武器である)槍を・敵意を持って扱うこと(槍玉)」(「イア」のA音と「アリ」の語頭のA音が連結して「イアリ」から「ヤリ」と、「タマタマ」の反復語尾が脱落して「タマ」から「ダマ」となった)
の転訛と解します。
物事をする人。行う人。仕手。腕前のある人。物事に巧みな人。手腕家。敏腕家。牛を使う人。牛車をあやつり動かす人。また、それに巧みな人。物を与える人。物をくれる人。船と船を結ぶもやい綱。妓楼で、諸事の取り持ち、また、遊女の監督や指導をする女。遣手婆。やりごと(詐欺)をする人。ペテン師。取引いす場の売り手。
この「やりて」は、
「イア・リテ」、IA-RITE(ia=indeed,that,the said,each,every;rite=performed,completed,fulfilled)、「いわゆる・(万事)そつなくやり遂げる人(遣り手)」(「イア」が「ヤ」となった)
の転訛と解します。
心中の思いを晴らす場・方法・対象がない。思いを晴らすことができず、つらくせつない。やるかたない。気苦労が多い。気持ちのゆとりがない。施すべき手段・方法がない。どうしょうもない。
この「やるせない」は、
「イア・アル・テ・ナイ」、IA-ARU-TE-NAI(ia=indeed,that,the said,each,every;aru=follow,pursue;te=not;nai=nei=to denote proximity to or connection with the speaker)、「実に・(心の中の)思いを遂げることが・何としても・できない状況にある(遣瀬無い)」(「イア」のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「イアル」から「ヤル」と、「テ」のT音がS音に変化して「セ」となった)
の転訛と解します。
(動詞「やれる(破)」の連用形の名詞化とする説がある)裂けること。破れること。裂けた所。裂けた物。刷り損じた印刷物。
この「やれ」は、
「イア・レヘ」、IA-REHE(ia=indeed,that,the said,each,every;rehe=wrinkle,fold in the skin,wizened,stunted,puny)、「いわゆる・(皺くちゃになった)見るも無惨な姿になつたもの(やれ)」(「イア」が「ヤ」と、「レヘ」のH音が脱落して「レ」となった)
の転訛と解します。
若い男。特に前髪を剃り落として一人前になつた若者。男を罵って言う語。また、動物などを人に見立ててそれを罵っていう語。前髪を剃った歌舞伎俳優。遣ろう歌舞伎の役者。男色を売る者。かげま。
この「やろう」は、
「イア・ラウ」、IA-RAU(ia=indeed;rau=entangle,engage,entangled,confused)、「実に・(急に一人前扱いされるようになって)戸惑っている者(野郎)」(「イア」が「ヤ」と、「ラウ」のAU音がOU音に変化そて「ロウ」となった)
の転訛と解します。
(「止む事無し」が一語の形容詞に転じた語とする説がある)やむを得ない。よんどころない。なおざりに出来ない。うち捨てて置かれない。ひと通りでない。並々でない。重々しい。権威がある。格別である。特別である。地位・家柄などが第一流である。高貴である。貴重である。尊い。もったいない。恐れ多い。
この「やんごとない」は、
「イア・ナ・(ン)ゴト・ナイ」、IA-NA-NGOTO-NAI(ia=indeed,that,the said,each,every;na=from,belonging to,by way of,satisfied;ngoto=head,be deep,be intense,penetrate,firmly(whakangoto=impress,mark,direct,desire desperately);nai=nei,neinei=stretched forward,reaching out)、「実に・(限界を超えるほど)全く・どうしょうもない・部類に属する事柄である(やんごとない)」または「実に・(限界を超えるほど)全く・(人々の頭に立つ)高貴な・部類に属する人または事柄である(やんごとない)」(「イア」が「ヤ」と、「ナ」が「ン」と、「(ン)ゴト」のNG音がG音に変化して「ゴト」となった)
の転訛と解します。
小児が、または小児のように、わがまま勝手な振る舞いをすること。駄々をこねて無理をいうこと。また、そのさまやその人。
この「やんちゃ」は、
「イア・アナ・チア」、IA-ANA-TIA(ia=indeed,that,the said,each,every;ana=denoting continuance of action or state;tia=stick in,take a vigorous stroke in paddling)、「いわゆる・(小児が)だだをこねるような・振る舞いをする人またはそのさま(やんちゃ)」(「イア」のA音と「アナ」の語頭のA音が連結して「イアナ」から「ヤン」と、「チア」が「チャ」となった)
の転訛と解します。
(慨嘆・絶望の辞である「已矣哉」「已矣乎」「已矣」などの訓読み。「やんぬる」は「やみぬる」の変化したものとする説がある)もう今となってはどうにもしかたがない。もうおしまいだ。
この「やんぬるかな」は、
「イア・ナ・(ン)グル・カ(ン)ガ」、IA-NA-NGURU-KANGA(ia=indeed,that,the said,each,every;na=from,belonging to,by way of,satisfied;nguru=utter a suppressed groan,sigh,or grunt;kanga=curse,abuse,execrate)、「実に・(もうだめだと)絶望して嘆き・人を呪う・というような行為をする(やんぬるかな)」(「イア」が「ヤ」と、「ナ」が「ン」と、「(ン)グル」のNG音がN音に変化して「ヌル」と、「カ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「カナ」となった)
の転訛と解します。
「ユ」
(動詞「ゆう(結う)」の連用形の名詞化とする説がある)@結うこと。結ぶこと。くくること。束ねること。紐・髪・標(しめ)などを結ぶこと。
A農作業などで、互いに労力を交換して助け合うこと。田植えや刈り取りなどで、互いに雇ったり雇われたりすること。また、その人。乳幼児を入れて、つり下げて揺する、籠もり要の桶または籠。くくり束ねたものをかぞえるのに用いる。 (この「ゆい」は、地名編(その九)の4 由比(ゆい)の項の共同作業の結いを参照してください。)
この「ゆい」は、
@「イ・フイ」、I-HUI(i=past time,by,by reason of,in the act of;hui=put or add together,meet,assembly)、「まとめて・束ねること(結い)」(「イ」のI音と「フイ」のH音が脱落して「ウイ」となったその語頭のU音がれんけつして「ユイ」となった)
A「イ・ウイ、I-UI(i=past time,by,by reason of;ui=disentangle,ask)、(労働の貸し借りを清算する面倒や、乳幼児の子守の面倒、物や銭の計数の面倒を)一挙に解決する・ためのもの(仕組み。道具)(結い)」(「イ」のI音と「ウイ」の語頭のU音が連結して「ユイ」となった)
の転訛と解します。
(「いいいれ(言入れ)」の変化した「ゆいいれ」に充てた「結納」の湯桶読みとする説がある)婚約が成立したしるしに、婿嫁両家が互いに金銭・品物をとりかわすこと。納幣。納采。ゆいいれ。ゆいれ。
この「ゆいのう」は、
「イ・ウイ・ノホ」、I-UI-NOHO(i=by,by reason of,for want of,with;ui=disentangle,ask;noho=sit,settle,marry)、「結婚の・申込に・伴うもの(結納)」(「イ・ウイ」が「ユイ」と、「ノホ」のH音が脱落して「ノオ」から「ノウ」となつた)
の転訛と解します。
日が暮れかかっているとき。日が暮れて、夜になろうとしているとき。日暮れ。ゆうべ。ゆうがた。
この「ゆう」は、
「ヰウ」、WHIU(throw,place,be gathered together)、「(投げ出される)日が沈む(時刻)(夕)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユウ」となった)
の転訛と解します。
(古くは「ゆうけ」)夕方の食事。夕飯。晩飯。
この「ゆうげ」は、
「ヰウ・カイ」、WHIU-KAI(whiu=throw,place,be gathered together;kai=eat,drink,food)、「(投げ出される)日が沈む(時刻の)・食事(夕餉)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユウ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」から「ゲ」となった)
の転訛と解します。
(「さり」は来る、近づくの意を表す動詞「さる(去)」の連用形の名詞化とする説がある)夕方になること。また、その時。夕方。夕刻。ゆうされ。ゆさり。
この「ゆうさり」は、
「ヰウ・タリ」、WHIU-TARI(whiu=throw,place,be gathered together;tari=carry,bring)、「(投げ出される)日が沈む(時刻が)・近づいてくる(時刻。夕去り)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユウ」と、「タリ」のT音がS音に変化して「サリ」となった)
の転訛と解します。
兄弟の乎。甥。姪。兄弟、親戚、また、他人の子を自分の子としたもの。仮に結ぶ親子関係の子の称。厳密には養子と区別される。
この「ゆうし」は、
「ヰウ・チヒ」、WHIU-TIHI(whiu=throw,place,be gathered together;tihi=summit,top,lie in a heap)、「(兄弟、親戚の子などを)自分の子とし・その地位を引き上げたもの(猶子)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユウ」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シ」となった)
の転訛と解します。
(学識のある意で、もと「有識」と書かれたが、官職典故に通じていることをいうようになって「有職」ともかかれるようになったという)学問に精通していること。学識のあること。また、そのさまやその人。音楽などの諸芸道にすぐれていること。また、その人。才知・人柄・家柄・容貌などの優れたひと。朝廷や仙洞わはじめとする公家の儀礼・教示・官職などの故実に通し゜゛ていること。また、その人。有職家。ゆうしき。
この「ゆうそく」は、
「ヰウ・タウ・ウク」、WHIU-TAU-UKU(whiu=satidfied with food,surfeited;tau=alight,settle down,be suitable,be possible;uku=ally,supporting tribe)、「学識に満ち溢れ・能力が優れている・互いに協力する氏族(有職)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユウ」と、「タウ」のU音と「ウク」の語頭のU音が連結して「タウク」となり、T音がS音に、AU音がO音に変化して「ソク」となった)
の転訛と解します。
夕方になって、風・並み・雲などが起こり立つこと。夏に、雲が急に立って、短時間に激しく降る大粒の雨。多く雷鳴を伴って午後から夕方にかけて降る。夕立の雨。夕立。(この「ゆうだち」は、雑楽篇(その一)の235ゆうだち(夕立)の項を参照してください。)
この「ゆうだち」は、
「ヰウ・タハ・アチ」、WHIU-TAHA-ATI(whiu=throw,place,be gathered together;taha=side,pass on one side,go by;ati=descendant,clan)、「(投げ出される)日が沈む(時刻の)・通り過ぎて行く・部類の(雨)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユウ」と、「タハ」のH音が脱落して「タ」となったそのA音が「アチ」の語頭のA音と連結して「タチ」から「ダチ」となった)
の転訛と解します。
(古くは「ゆうへ」であったとされる)(「夕(ゆう)方(へ)」の意)日が没して暗くなろうとする時刻。夜を中心とした時間区分の表し方で、その暗くなりはじめをいう。宵の前。夕方。朝になって夜の時間のむはじまりを回想していうところから転じて、前日の夕方、または夕方から宵にかけてをいう。昨夜。昨晩。ゆんべ。ある特別な催しが行われる夜。(この「ゆうべ」については、国語篇(その十六)の212ゆうべ(昨夜)の項を参照してください。)
この「ゆうべ」は、
「ヰウ・パエ」、WHIU-PAE(whiu=throw,place,be gathered together;pae=horizen,lie on one side,perch)、「地平線(または水平線)に・(投げ出される)日が沈む(時刻)(夕べ)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユウ」と、「パエ」のAE音がE音に変化して「ペ」から「ベ」となった)
の転訛と解します。
なんらかの関わり合い。関係。ゆかり。由来。わけ。由緒。
この「ゆえん」は、
「ヰウ・エナ」、WHIU-ENA(whiu=throw,place,be gathered together(whakawhiu=oppressed,afflict);ena=plural of definitive tena,those)、「あれらの・(人を悩ませる)関わり合い(所以。由縁)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「ユ」と、「エナ」が「エン」となった)
の転訛と解します。
(「湯泡(ゆあわ)」の変化したものか、または「硫」の字音「ル」を日本化して「ユ」と発音したものかとする説がある)硫黄。硫黄木の略。
この「ゆおう」は、
「イフ・アウ」、IHU-AU(ihu=nose;au=smoke,gall,cloud,mist,fog)、「(火をつけると)嫌な臭いがする煙を出して・鼻を刺激するもの(硫黄)」(「イフ」のH音が脱落して「イウ」から「ユ」と、「アウ」のAU音がOU音に変化して「オウ」となった)
の転訛と解します。
家の中に、一段高く構えてあって、人が起き伏しするところ。とこ。建築で、根太などによって、地面から高く平面に板などを張り渡して、人が座ったり、歩いたりするところ。(この「ゆか」は、雑楽篇(その二)の1032床(ゆか)の項を参照してください。)
この「ゆか」は、
「イ・ウカ」、I-UKA(i=past tense,beside;uka=hard,be fixed(ukauka=bear,support,sustain))、「(人や物をその上に)載せて・いるもの(床)」 (「イ」のI音と「ウカ」の語頭のU音が連結して「ユカ」となった)
の転訛と解します。
(動詞「ゆく(行)」の形容詞化したもの。心ひかれ、そこに行きたいと思う意。「床」は宛字とする説がある)それに心がひかれ、実際に自分で接してみたいという気持ちを表す。なつかしい。恋しい。慕わしい・情趣や気品、優美さなどがあってなんとなく心がひかれる。上品で深みがある。
この「ゆかしい」は、
「ヒ・ウカ・チヒ」、HI-UKA-TIHI(hi=raise,draw up,rise;uka=hard,be fixed(ukauka=bear,support,sustain,be preserved,last);tihi=summit,top,lie in a heap)、「最高に・(高い)上品な境地に・到達している(状況)(ゆかしい)」(「ヒ」のH音が脱落して「イ」となり、「ウカ」の語頭のU音と連結して「イウカ」から「ユカ」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シイ」となった)
の転訛と解します。
(「ゆかたびら(湯帷子)」の略とする説がある)入浴時または入浴後に着用する麻の単(ひとえ)。ゆぐ。ゆまき。ゆかた。(この「ゆかた」は、雑楽篇(その二)の1043風呂(ふろ)の項の「浴衣(ゆかた)」を参照してください。)
この「ゆかた」は、
「イ・ウカ・タ」、I-UKA-TA(i=past tense,beside,with,upon;uka=be fixed,stanch blood;ta=dash,beat,lay)、「(入浴後に)汗を止める・ために・着る(衣服。浴衣)」(「イ」のI音と「ウカ」の語頭のU音が連結して「ユカ」となった)
の転訛と解します。
(「齋(ゆ)酒(き)」の意とする説がある)神聖な酒。(「神聖な酒を奉る地」の意からとする説がある)天皇の即位後初めて行われる大嘗祭の時、神事に用いられる新穀・酒料を奉るように卜定される国郡のうち、第一のもの。また、その斎場。第二のものは、1362すき(主基)という。(この「ゆき」については、雑楽篇(その一)の332大嘗の項の由機国を参照してください。)
この「ゆき」は、
「イ・ウキ」、I-UKI(i=past tense,beside;uki=distant times past or future(ukiuki=old,continuous,undisturbed,peaceful))、「過去となった・(治世の)永続(を象徴する。国。斎田。そこで穫れた新穀)」(「イ・ウキ」が「ユキ」となった)
の転訛と解します。
雲中の氷晶が併合成長して生じた、白色・不透明の結晶が降ってくるもの。(この「ゆき」については、雑楽篇(その一)の239ゆき(雪)の項を参照してください。)
この「ゆき」は、
「ヰウ・キ」、WHIU-KI(whiu=throw,place,be gathered together;ki=full,very)、「(大地に)たくさん・(天から投げ出されて)降り積むもの(雪)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」となった)
の転訛と解します。
(「行平鍋(ゆきひらなべ)」の略。有原行平が須磨で潮を汲ませて塩を焼いた故事にちなむという)土鍋の一種。陶製の平鍋で、把手、注口があり、蓋をそなえたもの。粥などを煮るに用いる。
この「ゆきひら」は、
「ヰウ・キヒ・ヒラ」、WHIU-KIHI-HIRA(whiu=throw,place,be gathered together;kihi=cut off,destroy cmpletely;hira=numerous,great,widespread)、「(鍋の縁を)切り・落とした・(広々とした)平たい(鍋)(行平)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」と、「キヒ」のH音が脱落して「キ」となった)
の転訛と解します。
(「こんこん」は「来ん来ん」で、「雪よもっと降れ降れ」の意とする説がある)雪が降るとき、小児がこれを喜んではやしうたう語句。
この「ゆきやこんこん」は、
「ヰウ・キ・イア・コネコネ」、WHIU-KI-IA-KONEKONE(whiu=throw,place,be gathered together;ki=full,very;ki=full,very;ia=indeed;konekone=shy,weariness,repugnance)、「(大地に)たくさん・(天から投げ出されて)降り積むもの(雪)が・実に・疲れを知らずに降ることだなあ(雪やこんこん)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」と、「イア」が「ヤ」と、「コネコネ」が「コンコン」となった)
の転訛と解します。
(「なし」は接尾語とする説がある)予想もしないようなさまである。にわかである。不意である。思いがけない。突然である。思慮を巡らさずに事をなすさまである。軽はずみである。不注意である。
この「ゆくりなし」は、
「ヰウ・クリ・ナチ」、WHIU-KURI-NATI(whiu=throw,place,be gathered together;kuri,kurikuri=fusty,evil-smelling;nati=pinch or contract)、「厭な臭いが・(いつのまにか)まつわりついて・離れない(ゆくりなし)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」と、「ナチ」のT音がS音に変化して「ナシ」となった)
の転訛と解します。
(「ゆきおひ(靫負)」の変化した語とする説がある。古くは「ゆけい」)令制前、大王の親衛隊。衛門府の別称。また、そこの官人。
この「ゆげい」は、
「ヰウ・ケイ」、WHIU-KEI(whiu=throw,put,place,be gathered together;kei=at,on,in,with,in possession of)、「(矢を箙(えびら)に)差して・持ち歩く職業(またはその人)(靫負)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」と、「ケイ」が「ゲイ」となった)
の転訛と解します。
ゆさゆさと振り動かす。揺り動かす。揺する。ゆかぶる。いすぶる。気持ちを動揺させる。特に、しかけて相手を混乱、動揺させる。
この「ゆさぶる」は、
「ヰウ・タプ・ル」、WHIU-TAPU-RU(whiu=throw,put,place,be gathered together;tapu=under religious or superstitious restriction,beyond one's power;ru=shake,agitate,scatter)、「(相手に)禁忌(を破ったこと)を・突きつけて・揺り動かす(揺さ振る)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」と、「タプ」のT音がS音に変化して「サプ」から「サブ」となった)
の転訛と解します。
揺り動かして洗う。ざっと洗う。
この「ゆすぐ」は、
「ヰウ・ツ・(ン)グ(ン)グ」、WHIU-TU-NGUNGU(whiu=throw,put,place,be gathered together;tu=fight with,energetic;ngungu=glance off,turn aside,lead astray)、「(水の中に)放り出して・懸命に・揺り動かす(濯ぐ)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」と、「ツ」のT音がS音に変化して「ス」と、「(ン)グ(ン)グ」のNG音がG音に変化し、反復語尾が脱落して「グ」となった)
の転訛と解します。
自分が所有する物を他に与える。物、権利、地位などをそっくりそのまま他の人に授け与える。譲渡する。譲与する。たの人にゆだねる。まかせる。他の人に押しつける。責任などを転嫁する。自分を後にし他を先にする。譲歩する。辞退して他の人がそれに代わるようにする。ひけをとる。
この「ゆずる」は、
「ヰウ・ツツル」、WHIU-TUTURU(whiu=throw,put,place,be gathered together;tuturu=fixed,permanent)、「(自分の物、権利、地位などを)放り出して(他人のものとして)・(その状態を)固定化する(譲る)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」と、「ツツル」の反復語頭が脱落し、T音がS音に変化して「スル」から「ズル」となった)
の転訛と解します。
沖縄および奄美地方の祈祷師。主に女性であるが、まれに男性も存在する。(この「ゆた」については、雑楽篇(その一)の115ゆた(巫女)の項を参照してください。)
この「ゆた」は、
「イ・ウタ」、I-UTA(i=past tense,beside;uta=put persons or goods on board(utanga=bearer of burden))、「(霊媒という)重荷を背負った(巫女)」(「イ」のI音と「ウタ」の語頭のU音が連結して「ユタ」となった)
の転訛と解します。
(「か」は接尾語とする説がある)満ち足りていて不足のないさま。富んでいてゆとりのあるさま。豊富。富裕。ひろぴろとしていてゆとりのあるさま。ふっくらとしたさま。豊満で美しいさま。
この「ゆたか」は、
「ヰウ・タカ」、WHIU-TAKA(whiu=throw,put,place,be gathered together;taka=heap,lie in a heap,heap up,collect into heaps)、「集められて・山のようになっている(豊か)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」となった)
の転訛と解します。
気を許すこと。たかをくくって、注意を怠ること。ぬかりがあること。怠けおこたること。物事をなおざりにすること。(四国地方の方言で)ゆったりとした気分を持つこと。
この「ゆだん」は、
「ヰウ・タ(ン)ガ」、WHIU-TANGA(whiu=throw,put,place,be gathered together;tanga,tatanga=alert)、「注意を・(放り出した)怠った(油断)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「ダン」となった)
または(四国地方の方言)「ヰウ・タ(ン)ガタ(ン)ガ」、WHIU-TANGATANGA(whiu=throw,put,place,be gathered together;tangatanga=loose,not tight,easy,comfortable)、「快適な気分に・満ちている(ゆだん)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」と、「タ(ン)ガタ(ン)ガ」の反復語尾が脱落し、NG音がN音に変化して「タナ」から「ダン」となった)
の転訛と解します。
(「たん(湯)・ぽ(婆)」にさらに「ゆ(湯)」を重ねたもの。「たん」「ぽ」はそれぞれ「湯」「婆」の唐宋音)保温のために温湯を入れる、金属製または陶製の容器。布団の中にいれて用いる。
この「ゆたんぽ」は、
「イ・ウ・タ(ン)ガ・パウ」、I-U-TANGA-PAU(i=ferment,turn sour;u=be firm,be fixed,reach its limit;tanga=be assembled;pau=comsumed,exhausted,denoting the complete or exhaustive character of any action)、「泡とともに湧き出すのが・頂点に達している(沸騰する)湯を・(まとめて)入れて・保温の用に供する物(湯湯婆)」(「イ・ウ」が「ユ」と、「タ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「タナ」から「タン」と、「パウ」のAU音がO音に変化して「ポ」となった)
の転訛と解します。
(「ゆ(齋)」に上代の格助詞「つ」の付いたものとする説がある)(名詞の前に付いて)神聖な。清浄なの意を表す。(「ゆつ磐群」「ゆつ爪櫛」など。なお、日本書紀では「ゆつ」に代え「いほつ(五百箇)」と記す例がある。)
この「ゆつ」、「いほつ」は、
「イ・ウツ(・イ・ワ・ムラ)」、I-UTU(-I-WHA-MURA)(i=past tense,beside;utu=spur of a hill;;wha=be disclosed;mura=blaze,flame(mumura=glow,redden))、「((血で)赤く染まった・(大地からその先端を)現わし・たもの(岩)の・)その上に(血がほとばしった)(ゆつ)」(「イ・ウツ」が「ユツ」となった)
「イ・ウツ(・ツマウ・クチ)」、I-UTU(-TUMAU-KUTI)(i=past time,beside;utu=spur of a hill;tumau=fixed;kuti=draw tightly together,pinch)、「(姫を縮めたもの(櫛)を)頭の上に(・しっかりと(固定した)挿した)(ゆつ)」(「イ・ウツ」が「ユツ」となった)
「イ・ホツ」、I-HOTU(i=past time,beside;hotu=heave,as the swell of the sea)、「波のように・うねっている(高低がある)(いほつ)」
の転訛と解します。
動作や気持ちにゆとりがあるさまを表す語。のんびりとくつろいでいるさま。ゆるゆる。
この「ゆっくり」は、
「ヰウ・ツク・ウリ」、WHIU-TUKU-URI(whiu=throw,put,place,be gathered together;tuku=let go,allow,settle down;uri=offspring,descendant,relative,race)、「(気心の知れた)親族と・一緒に・住んでいる(ゆっくり)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」と、「ツク」の語尾のU音と「ウリ」の語頭のU音が連結して「ツクリ」から「ックリ」となった)
の転訛と解します。
洗い粉などを包んだ入浴用の布袋やへちま。また、入浴用の手ぬぐい。
この「ゆて」は、
「ヰウ・タイ」、WHIU-TAI(whiu=throw,put,place,be gathered together;tai,taitai=dash,knock,brush)、「(洗い粉などを)纏めて包んだもの(布袋)で・(身体を)こするもの(湯手)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」と、「タイ」のAI音がE音に変化して「テ」となった)
の転訛と解します。
温泉宿にいて入浴客の世話や接待をする女。江戸・大坂などの風呂屋にいた一種の私娼。
この「ゆな」は、
「イ・ウ・ナナ」、I-U-NANA(i=ferment,turn sour;u=be firm,be fixed,reach its limit;nana=tend carefully,nuese)、「泡とともに湧き出すのが・頂点に達している(沸騰する)湯(の温泉や風呂屋で)・(入浴客の)世話をする者(湯女)」(「イ・ウ」が「ユ」と、「ナナ」の反復語尾が脱落して「ナ」となった)
の転訛と解します。
布地を湯気にさらしたり、湯でしめらしたりして、しわなどを伸ばすこと。
この「ゆのし」は、
「イ・ウ・ノチ」、I-U-NOTI(i=ferment,turn sour;u=be firm,be fixed,reach its limit;noti=pinch or contract,as with a band or ligature(whakanoti=draw together with a cord,as a bag,etc.,cover fire with ashes,to prevent it from burning quickly out))、「泡とともに湧き出すのが・頂点に達している(沸騰する)湯で・(しめらせた布地を)抑えてしわを伸ばすこと(湯熨斗)」(「イ・ウ」が「ユ」と、「ノチ」のT音がS音に変化して「ノシ」となった)
の転訛と解します。
豆乳を煮立て、その上面にできる薄皮をすくい取った食品。
この「ゆば」は、
「イ・ウ・パ」、I-U-PA(i=ferment,turn sour;u=be firm,be fixed,reach its limit;pa=block up,obstruct,prevent)、「泡とともに湧き出すのが・頂点に達している(沸騰する)(豆乳の湯で)・(豆乳の蒸発を)遮断するもの(湯葉)」(「イ・ウ」が「ユ」と、「パ」が「バ」となった)
の転訛と解します。
(「ゆいはた(結機)」の変化したものとする説がある)絞り染め。また、絞り染めにした布や革。くくりぞめ。目結(めゆい)。ゆうはた。
この「ゆはた」は、
「イ・ウ・パタ」、I-U-PATA(i=ferment,turn sour;u=be firm,be fixed,reach its limit;pata=drop of water,etc.,cause,occasion,advantage,fruit)、「(布を糸で)しっかりと縛って・(発酵する)染液に漬けて・(絞り染めの)製品となったもの(纈)」(「イ・ウ」が「ユ」と、「パタ」のP音がF音を経てH音に変化して「ハタ」となった)
の転訛と解します。
(「ゆまり(尿)」の変化した語とする説がある)尿。小便。
この「ゆばり」は、
「ヰウ・パリ」、WHIU-PARI(whiu=throw,put,place,be gathered together;pari=flowing,of the tide only,flow over,of the tide)、「(勢いよく)放出して・流れるもの(尿)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」と、「パリ」が「バリ」となった)
または「イ・ウ・パリ」、I-U-PARI(i=ferment,turn sour;u=be firm,be fixed,reach its limit;pari=flowing,of the tide only,flow over,of the tide)、「泡とともに湧き出すのが・頂点に達している(沸騰する)(湯。湯のように暖かい)・流れるもの(尿)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」と、「パリ」が「バリ」となった)
の転訛と解します。
人間の手・足の末端の、それぞれ五本に枝分かれしている部分。また、人間以外の動物のそれに相当または類似する部分。および。
この「ゆび」は、
「イ・ウ・ピヒ」、I-U-PIHI(i=past tense,beside;u=be firm,be fixed,reach its limit;pihi=cut,split)、「(手足の先の)割れて・しま・った部分(指)」(「イ・ウ」が「ユ」と、「ピヒ」のH音が脱落して「ビ」となった)
の転訛と解します。
主として子供が約束の印として互いに小指を曲げて引っかけあうこと。
この「ゆびきりげんまん」は、
「イ・ウ・ピヒ・キリ・(ン)ゲネ・マネネ」、I-U-PIHI-KIRI-NGENE-MANENE(i=past tense,beside;u=be firm,be fixed,reach its limit;pihi=cut,split;kiri=skin,bark;ngene=wrinkle,fold;manene=importunate,begging,asking again and again)、「(手の先の)割れて・しま・った部分(指)の・皮膚を・折り重ねて・何度となく約束を確認すること(指切り玄万)」(「イ・ウ」が「ユ」と、「ピヒ」のH音が脱落して「ビ」と、「(ン)ゲネ」のNG音がG音に変化して「ゲネ」から「ゲン」と、「マネネ」の反復語尾が脱落して「マネ」が「マン」となった)
の転訛と解します。
柚子の実の上部を切って中身をくりぬき、胡麻や生姜を混ぜ入れた味噌を詰め、切った皮を蓋にして蒸し、干したもの。現在では、求肥に柚子のすりおろした皮や汁を加えたものなどもいう。ゆびし。ゆみそがま。
この「ゆべし」は、
「イ・ウ・ペチ」、I-U-PETI(i=ferment,turn sour;u=be firm,be fixed,reach its limit;peti=heap up(whakapeti=collect,gather))、「泡とともに湧き出すのが・頂点に達している(沸騰する)(湯。湯で蒸した)・多くの材料を集めた菓子(柚餅子)」(「イ・ウ」が「ユ」と、「ペチ」のT音がS音に変化して「ペシ」から「ベシ」となった)
の転訛と解します。
(「いめ」の変化した語とする説がある)睡眠中にいろいろな物事を現実のことのように見たり聞いたり感じたりする現象。
この「ゆめ」は、
「イ・ウメ」、I-UME(i=past tense,from,beside,with,by,at;(Hawaii)ume=to draw,attract,entice)、「(既に経験した)前夜に見た・魅力的なもの(夢)」(「イ・ウメ」が「ユメ」となった)
の転訛と解します。
(「努」「努力」「勤」「愼」「夢」などをあてる)(強く注意を促す意からという説がある)齋みつつしんで。気を付けて。つとめて。(禁止の語句とともに用いる)決して(〜するな)。必ず(〜するな)。
この「ゆめ」は、
「イ・ウ・マイ」、I-U-MAI(i=from,beside,with,by,at;u=be firm,be fixed,reach its limit;mai=to indicate direction or motion towards)、「(一定の)方向または行為に・向かって・それを確かなものとするようにせよ(ゆめ)」(「イ・ウ」が「ユ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
触れると重大な結果をもたらすので、触れてはならない。はばかるべきである。神聖であるので触れてはならない。恐れ慎むべきである。恐れ多い。恐ろしい。汚れているので忌み避けねばならない。不吉である。縁起が悪い。いやな感じである。うとましい。いまいましい。気がかりである。心配である。程度が甚だしい。一通りでない。大変である。容易でない。非常に優れている。すばらしく立派である。
この「ゆゆしい」は、
「ヰウ・ヰウ・チヒ」、WHIU-WHIU-TIHI(whiu=satisfied,full belly,penalty;tihi=summit,top,lie in a heap)、「(触れると)最高に・重い・処罰が科される(ので触れてはならない)(由々しい)」または「最高に・満足の・極みである(非常に優れている)(由々しい)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シイ」となった)
の転訛と解します。
(「めく」は接尾語とする説がある)物、人や映像がゆらゆらとゆっくり揺れる。ゆっくり揺れ動く。ゆらつく。揺れ動いて快い音をたてて鳴る。ある考えが一時的に頭に浮かぶ。
この「ゆらめく」は、
「イ・ウラ(ン)ガ・マエ・ク」、I-URANGA-MAE-KU(i=from,beside,with,by,at;uranga=act,circumstance,etc.,of becoming firm;mae=languid,listless,whithered;ku=silent)、「(物、人や映像がその動きに)つれて・(力無く)ゆらゆらと・静かに・(固定化の途中)揺れ動く(揺らめく)」(「イ」のI音と、「ウラ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ウラ」となったその語頭のU音が連結して「ユラ」と、「マエ」のAE音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
(「ゆる(緩)」「ゆるい(緩)」と同語源とする説がある)引き張ったものをゆるめる。捕らえたものを逃がす。解放する。また、身から放す。罪、とがを謝らせる。欠点などをとがめないですませる。罰したものを赦免する。釈放する。ある行為を差し支えないとして許可する。禁を解く。気持ちを緩める。願いを聞き入れる。など。
この「ゆるす」は、
「ヰウ・ルツ」、WHIU-RUTU(whiu=satisfied,full belly,penalty;rutu=dash down,fell,overcome,try to obtain by flattery)、「罰を・(圧倒する)無かったことにする(許す)」または「(相手が)満足するように・(機嫌をとる)相手の希望を認める(許す)」(「ヰウ」のWH音が脱落して「イウ」から「ユ」と、「ルツ」のT音がS音に変化して「ルス」となった)
の転訛と解します。
結ぶ。縛る。くくる。
この「ゆわえる」は、
「イ・ウワ・ヘイ・ル」、I-UWHA-HEI-RU(i=from,beside,with,by,at;uwha=calm,gentle;hei=tie round the neck,be bound or entangled;ru=shake,agitate,scatter)、「(何かを)奮って・穏やかに・縛り・上げる(結わえる)」(「イ・ウワ」が「ユワ」と、「ヘイ」のH音および語尾のI音が脱落して「エ」となった)
の転訛と解します。
(「ゆみて(弓手)」の変化した語とする説がある)弓を持つ方の手。左の手。馬手(めて)に対していう。左の方。左側。
この「ゆんで」は、
「ヒ・ウ(ン)ガ・テ」、HI-UNGA-TE(hi=raise,rise;unga=act,circumstance,etc.,of becoming firm;te=crack)、「(何かの物を)高く・保持する・(指が分かれる)手(左手)」(「ヒ」のH音が脱落して「イ」と、「ウ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「ウナ」となり、「イ・ウナ」が「ユン」と、「テ」が「デ」となった)
の転訛と解します。
「ヨ」
(竹の節と節の間をいう「よ(節)」と同語源で、時間的・空間的に限られた区間の意とする説がある)人が生まれてから死ぬまでの期間。一代。一期。一生。生涯。人生。寿命。年齢。ある時代。年代。国が或る支配者によつて統治される機関。同一の系統、政体によって主権が維持され、継承される期間。ある者が家督を相続し、家長としてその家を統率する期間。時節。季節。機会。世間。社会。世の中。など。
この「よ」は、
「イホ」、IHO(up above,from above,downwards,down,immediate sequence of events or ideas,etc.)、「(人または社会のある時点から前(過去)または後(未来)のまとまりのある)一定の期間(世)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」となった)
の転訛と解します。
@(宵)日が暮れて間もない頃。また、日暮れから夜中までの間。古代では、夜を、よい、よなか、あかときに三区分した。初夜。初更。祭り。特に、祇園祭などの夏に行われる祭りの前夜。
A(今宵)今夜。今晩。夜が明けた後、昨夜のことをいう。ゆうべ。
この「よい」、「こよい」は、
「イ・オヒ」、I-OHI(i=from,beside,with,by,in the time of,at the time that;ohi=grow,be vigorous(ohinga=childhood,youth))、「あの・(若い)日が暮れて間もない時間(宵)」(「イ」のI音と、「オヒ」のH音が脱落した「オイ」の語頭のO音が連結して「ヨイ」となった)
「カウ・イ・オヒ」、KAU-I-OHI(kau=alone,as soon as;i=from,beside,with,by,in the time of,at the time that;ohi=grow,be vigorous(ohinga=childhood,youth))、「直近の・あの・(若い)日が暮れて間もない時間(今宵)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「イ」のI音と、「オヒ」のH音が脱落した「オイ」の語頭のO音が連結して「ヨイ」となった)
の転訛と解します。
(「かん」は「羹」の唐音)棹物の一種。中国の羊肉の羹(あつもの)を原形とするもの。古く禅宗文化とともに渡来したが、日本では小豆を主原料として羊の肝の形につくって蒸し、汁に入れて供された。後、蒸し物のまま茶菓子として供されるようになったのが蒸し羊羹の始まりという。
この「ようかん」は、
「イ・アウ・カノ」、I-AU-KANO(i=past tense,from,beside,with,by;au=firm,intense;kano=kind,seed(kakano=berry,small fruit))、「(種子の)小豆の餡を・固め・たもの(羊羹)」(「イ」のI音と、「アウ」のAU音がOU音に変化して「オウ」となったその語頭のO音と連結して「ヨウ」と、「カノ」が「カン」となった)
の転訛と解します。
@楊(やなぎ)の枝。呪物として、病気を治したり、人に害を与えたりするためのまじないに用いた。
A歯の垢を取り除き、清潔にするための道具。総(ふさ)楊枝として用いた。
B歯の間にはさまったものを取り去ったり、食物を刺したりするのに用いる、先端の尖った細くて短い木の棒。つま楊枝。小楊枝。
この「ようじ」は、
@「イ・ハウ・チ」、I-HAU-TI(i=past tense,from,beside,with,by;hau=famous,be heard;ti=throw,cast,overcome)、「(圧倒する)病気を治し、人を害する・効用があることで・有名なもの(楊枝)」(「イ」のI音と、「ハウ」のH音が脱落し、AU音がOU音に変化して「オウ」となったその語頭のO音と連結して「ヨウ」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」から「ジ」となった)
A「イ・アウ・ウチ」、I-AU-UTI(i=past tense,from,beside,with,by;au=string,cord;uti=bite)、「(先端を)噛んで・(糸の)総(ふさ)状に・したもの(楊枝)」(「イ」のI音と、「アウ」のAU音がOU音に変化して「オウ」となったその語頭のO音と連結して「ヨウ」となり、その語尾のU音と「ウチ」の語頭のU音が連結し、T音がS音に変化して「ヨウシ」から「ヨウジ」となった)
B「イ・ハウ・チヒ」、I-HAU-TIHI(i=past tense,from,beside,with,by;hau=project,overhang,exceed,be in excess;tihi=summit,top,lie in a heap)、「先端を・鋭く尖らせ・たもの(楊枝)」(「イ」のI音と、「ハウ」のH音が脱落し、AU音がOU音に変化して「オウ」となったその語頭のO音と連結して「ヨウ」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シ」から「ジ」となった)
の転訛と解します。
(「ややく(稍)」に「う」の音が加わってできた語か、「やくやく(漸漸)」の変化した語か、「やをやく」の変化した語かなどとする説がある)次第に。だんだん。少しづつ。ようやっと。ようよう。そろそろと。ゆっくり。徐々に。かろうじて。やっとのことで。もはや。すでに。
この「ようやく」は、
「イ・アウ・イ・アク」、I-AU-I-AKU(i=past tense,from,beside,with,by;au=firm,intense;aku=delay,take time over anything)、「決着・したが・時間が・かかった(漸く)」(「イ」のI音と、「アウ」のAU音がOU音に変化して「オウ」となったその語頭のO音と連結して「ヨウ」と、「イ」のI音と「アク」の語頭のA音が連結して「ヤク」となった)
の転訛と解します。
斧(おの)。一般的には、小型のものをいうが、地域によっては、大型のものもいう。(この「よき」については、雑楽篇(その二)の1048斧(おの)の項の斧(よき)を参照してください。)
この「よき」は、
「イオ・オキ」、IO-OKI(io=hard,tough;(Hawaii)oki=to cut,separate)、「丈夫な(苛酷な使用に耐える)・(木などを)切るもの(斧)」(「イオ」の語尾のO音と「オキ」の語頭のO音が連結して「ヨキ」となった)
の転訛と解します。
(「余慶」から転じた語で、「計」は宛字とする説がある)物の余ること。一定数量より多くあること。また、そのもの。あまり。余分。他の物、他の場合などに比べて程度がさらに上であるさま。必要の度を超えて、無益であること。ない方がよいのに、あること。また、そのさま。
この「よけい」は、
「イホ・ケヒ」、IHO-KEHI(iho=up above;kehi=defame,speak ill of)、「余分であると・非難する(余計)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「ケヒ」のH音が脱落して「ケイ」となった)
の転訛と解します。
出会わないように、脇へ寄る。ぶつからないように避ける。前もって災害などを防ぐ。災いなどから逃れようとする。脇へ押しやる。別にしてのけておく。除外する。
この「よける」は、
「イ・ホカイ・ル」、I-HOKAI-RU(i=past tense,from,beside,with,by;hokai=extended,far apart;ru=shake,agitate,scatter)、「奮って・そのものから・離れる(除ける)」(「イ」のI音と、「ホカイ」のH音が脱落し、AI音がE音に変化して「オケ」となったその語頭のO音と連結して「ヨケ」となった)
の転訛と解します。
物事を無理に押し通すこと。我を通すこと。また、そのような人。
この「よこがみやぶり」は、
「イ・ホコ・(ン)ガミ・イ・アプ・リ」、I-HOKO-NGAMI-I-APU-RI(i=past tense,from,beside,with,by;hoko=exchange,barter,buy,sell,merchandise;ngami,whakangami=swallow up;apu=bark as a dog,squall,gust;ri=screen,protect,bind)、「物の売り買いの・際に・(値段の)高騰に・急に大声で騒いで・抵抗すること(横紙破り)」(「イ」のI音と、「ホコ」のH音が脱落して「オコ」となったその語頭のO音とが連結して「ヨコ」と、「(ン)ガミ」のNG音がG音に変化して「ガミ」と、「イ」のI音と「アプ」の語頭のA音が連結して「ヤプ」から「ヤブ」となった)
の転訛と解します。
横に車を押して動かすように、理に合わないこと。理不尽なこと。棒・長刀などの扱い方の一つで、横ざまに振り回すこと。
この「よこぐるま」は、
「イ・ホコ・クル・マハ」、I-HOKO-KURU-MAHA(i=past tense,from,beside,with,by;hoko=exchange,barter,buy,sell,merchandise;kuru=strike with the fist,pound,pelt;maha=many,abundance)、「「物の売り買いの・際に・殴りかかって・大暴れすること(横車)」(「イ」のI音と、「ホコ」のH音が脱落して「オコ」となったその語頭のO音とが連結して「ヨコ」と、「マハ」のH音が脱落して「マ」となった)
の転訛と解します。
畳、敷物などを横ざまに強いてある正座。上席。横手の座席。横側にある座敷。隣座。囲炉裏の奥正面の家長の座る席。この席だけ横長に敷物が敷いてあるからいう。勘定吟味役の異称。
この「よこざ」は、
「イホ・カウ・タ」、IHO-KAU-TA(iho=heart,inside,kernel,pith,essenceof a tree,etc.;kau=alone,only;ta=dash,lay)、「(家族の中心)家長・だけが・座る場所(横座)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」と、「タ」のT音がS音に変化して「サ」から「ザ」となった)
の転訛と解します。
横の方向であること。また、そのさま。よこむき。正しくないこと。道に外れていること。横暴なこと。また、そのさま。邪悪。非道。よこさま。
この「よこしま」は、
「イオ・コチ・マハ」、IO-KOTI-MAHA(io=tough,hard,obstinate;koti=divide,interrupt,cut off,so cut across the path of any one;maha=many,abundance)、「強く・たいへん・(妨害する)道に外れた行為をする(邪)」(「イオ」が「ヨ」と、「コチ」のT音がS音に変化して「コシ」と、「マハ」のH音が脱落して「マ」となった)
の転訛と解します。
(「よ」は「善し」の語幹で、「よごと(善事)」からとする説がある)寿(ほぎ)祝うことば。祝いことば。特に、天皇の御代の長久・繁栄を祝うことば。祈ることば。のりとごと。
この「よごと」は、
「イホ・(ン)ゴト」、IHO-NGOTO(iho=principal person or tohunga(skilled person,priest) in the crew of a canoe;ngoto=be deep,be intense(whakangoto=impress,mark))、「(組織の)首長が発する・(聞く者に)深い感銘を与える言葉(寿詞)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「(ン)ゴト」のNG音がG音に変化して「ゴト」となった)
の転訛と解します。
(最後に「よさこい」という囃子詞がつくところからの称)高知県の代表的民謡。(この「よさこいぶし」については、国語篇(その十二)の382よさこい節の項を参照してください。)
この「よさこいぶし」は、
「イ・アウタ・コイ・プ・チ」、I-AUTA-KOI-PU-TI(i=past tense;auta=toss,writhe,encroach upon;koi=move about,good,suitable;pu=blow gently(whakapu=make a long continuous sound);ti=throw,cast)、「(坊さんが)気もそぞろに・うろうろして・いたよ(と歌う)・長く歌われる・歌」(「アウタ」のAU音がO音に変化して「オタ」から「オサ」となり、語頭の「イ」と連結して「ヨサ」と、「プ」が「ブ」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」となった)
の転訛と解します。
(「さり」は来る、近づくの意を表す動詞「さる」の連用形の名詞化とする説がある)寄る。夜中。やぶん。特に、今夜、今晩の意を表すこともある。
この「よさり」は、
「イホ・タリ」、IHO-TARI(iho=heart,inside,kernel,pith,essence of a tree,etc.;tari=carry,bring)、「(夜の)中心に・近づいてくる(時刻。夜さり)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「タリ」のT音がS音に変化して「サリ」となった)
の転訛と解します。
(「寄こす」と同根で、物事に関係づけていくことの意とする説がある)物事の起こった理由。由来。わけ。いわれ。物事の内容。事の趣旨。また、形式名詞のようにも用いる。こと。わけ。むね。儀。いきさつ。次第。由緒ありげな家柄。また、その人たちの持つ美的感覚。情趣。風流。おくゆかしさ。関係があること。よすが。たよりどころ。つて。ゆかり。縁。かかわりを持つための方法。それを口実にすること。それらしく見せること。伝え聞いた事柄であることを示すことば。
この「よし」は、
「イホ・チ」、IHO-TI(iho=heart,inside,kernel,pith,essence of a tree,etc.,that wherein consists the strength of a thing,object of reliance;ti=throw,cast)、「(提示された)明らかになつた・物事の核心およびそれから派生するもろもろのこと(由)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」となった)
の転訛と解します。
(形容詞「よし」からで、「可(よ)し」と仮に許す意とする説がある)満足ではないが、仕方がないとして放任・許容するさま。まあいい。ままよ。(多くしたに逆接の仮定条件わ表す語を伴って)たとい。かりに。万一。よしんば。
この「よし」は、
「イ・オチ」、I-OTI(i=past tense,from,beside,with,by;oti=then,but)、「それが・そういうことであるならば(よし)」(「イ」のI音と、「オチ」のT音がS音に変化した「オシ」の語頭のO音とが連結して「ヨシ」となった)
の転訛と解します。
(古くは「よすか」で、「寄す処(か)」の意とする説がある)身ゃ心を寄せて頼りとすること。ゆかりとすること。よりどころとすること。また、そのものや、こと。つて。よるべ。ちなみ。頼りとする人の胃で、特に、夫または妻。また、血縁の者。知己。てがかり。手段。方法。
この「よすが」は、
「イオ・ツ(ン)ガ」、IO-TUNGA(io=tough,hard,obstinate;tunga=send(tungatunga=beckon,make signs))、「堅い(切り離しがたい)・(自分を招く縁)関係(縁。因。便)」(「イオ」が「ヨ」と、「ツ(ン)ガ」のT音がS音に、NG音がG音に変化して「スガ」となった)
の転訛と解します。
(動詞「よせる(寄)」の連用形の名詞化とする説がある)迫り近づくこと。押し寄せること。一所に集めること。気持ちをそちらに傾けること。頼ったり、信任したり、後援したりすること。後ろ盾となって世話をする人。後見。縁。ゆかり。ちなみ。子細。わけ。いわれ。(「よせせき」「よせば」の略)落語、講談、漫才、浪曲、手品音曲などの大衆芸能を上演する場所。
この「よせ」は、
「イオ・タイ」、IO-TAI(io=lock of hair;tai,taitai=dash,knock,perform certain ceremonies to remove tapu,etc.;the ceremony apparently originally involving striking the object with a twig)、「(髷を結った頭)群衆に・禁忌を解くまじないをする(寄)」(「イオ」が「ヨ」と、「タイ」のT音がS音に、AI音がE音に変化して「セ」となった)
の転訛と解します。(各地の祭りで、大釜に湯を沸かし、湯に浸した笹を振って熱湯の滴を集まった人々に振りかけ、魔除けにする行事があるが、古代からの慣習の名残りであろう。)
自分とは別の世界に属すると認識される物事や人、また、そういう対象に対して抱く心情やそれに対してとる態度などを表す。身近てないところ。かけ離れたところ。他の場所。外部。関係や関心がないこと。無縁な存在。ひとごと。間接的な関わり方。親密でない人。世間一般の人。他の集団。
この「よそ」は、
「イホ・タウ」、IHO-TAU(iho=object of reliance;tau=turn away,look in another direction)、「頼りにするもの・からかけ離れた存在(余所)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「タウ」のT音がS音に、AU音がO音に変化して「ソ」となった)
の転訛と解します。
服装、用具などを整え身につける。身づくろいをする。身支度を整える。よそおう。飾り整える。よそおう。船・車などを出発や使用可能なように飾り整える。飲食物を整え用意する。
この「よそう」は、
「イホ・タウフ」、IHO-TAUHU(iho=principal person or tohunga(skilled person,priest) in the crew of a canoe;tauhu=tahu=ridge-pole of a house,any similar rod used as a stiffener,etc.)、「(組織の)首長の・(外出の際にその身分を示す飾り棒や飾り旗を立てるように)服装・用具などを整えて出発の準備をする(装。粧)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「タウフ」のT音がS音に、AU音がO音に変化し、H音が脱落して「ソウ」となった)
の転訛と解します。
(動詞「よそおう(装)」の連用形の名詞化とする説がある)身につける服装、用具などを飾りととのえること。身づくろいすること。威儀をととのえること。また、そのようにした姿・様子。飾りつけること。格式のあるいでたち。人やむ物事の姿・様子。準備すること。
この「よそおい」は、
「イホ・タフ・オイ」、IHO-TAHU-OI(iho=principal person or tohunga(skilled person,priest) in the crew of a canoe;tahu=tauhu=ridge-pole of a house,any similar rod used as a stiffener,etc.;oi=heoi=denoting completeness or suficiency of a statement or enumeration)、「(組織の)首長の・(外出の際にその身分を示す飾り棒や飾り旗を立てるように)服装・用具などを整えて出発の準備を・完全に行う(装。粧)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「タフ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「サウ」となり、更にそのAU音がO音に変化して「ソ」となった)
の転訛と解します。
関係がない。無関係である。隔てがましい。親しみをもたない。他人行儀である。うとうとしい。
この「よそよそしい」は、
「イホ・タウ・イホ・タウ・チヒ」、IHO-TAU-IHO-TAU-TIHI(iho=object of reliance;tau=turn away,look in another direction;tihi=summit,top,lie in a heap)、「頼りにするもの・からかけ離れた存在であることが・全く・もって・(最高)最大の状態である(余所余所しい)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「タウ」のT音がS音に、AU音がO音に変化して「ソ」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シイ」となった)
の転訛と解します。
ヨタカ科の鳥。鷹匠が鷹を眠らせないために、夜間に拳に載せて行くこと。また、その鷹。夜遅くまで出歩く者のたとえ。特に、夜間に街頭で客を引く低級な売春婦。
この「よたか」は、
「イ・ホ・タ・アカ」、I-HO-TA-AKA(i=past tense;ho=droop;ta=the...of,dash,beat,lay;aka=clean off,scrape away)、「日が沈ん・だ後(夜間)に(動き回る)・素早く舞い降りて・(獲物を)浚ってゆく(鳥。鷹)またはその鷹のような人(夜鷹)」(「イ」のI音と「ホ」のH音が脱落した「オ」のO音が連結して「ヨ」と、「タ」のA音と「アカ」の語頭のA音が連結して「タカ」となった)
の転訛と解します。
知恵の足りない者。役に立たない者。愚か者。うすのろ。ばか・よた。素行不良の若者。ならず者。遊び人。よた。
この「よたもの」は、
「イ・オタ・モノ」、I-OTA-MONO(i=past tense,from,beside,with,by;ota=unripe,uncooked,refuse,dregs;mono=plug,disable)、「全く・未熟で・無能な(屑のような人間)(与太者)」(「イ」のI音と「オタ」の語頭のO音が連結して「ヨタ」となった)
の転訛と解します。
(「よっぴとい(夜一夜)」の変化した語とする説がある)一晩中ずっと。夜通し。夜もすがら。よっぴとよ。
この「よっぴて」は、
「イ・ホ・ツ・ピタイタイ」、I-HO-TU-PITAITAI(i=past tense;ho=droop;tu=fight with,energetic;pitaitai,whakapitaitai=nibble)、「日が沈ん・だ後(夜間)に・懸命に・時間を(食いちぎるように)過ごす(夜っぴて)」(「イ」のI音と「ホ」のH音が脱落した「オ」のO音が連結して「ヨ」と、「ツ」が「ッ」と、「ピタイタイ」の反復語尾が脱落し、AI音がE音に変化して「ピテ」となった)
の転訛と解します。
(「よきほど」の変化した語とする説がある。「余程」は江戸時代以降の宛字)程度や数量が適当であるさま。よい程度であるさま。ほどよいさま。適度を超えてかなりな程度であるさま。ずいぶん。たいそう。相当。度を超えて十分すぎるのでもうやめたい、やめてもらいたいさま。大概。いいかげん。
この「よっぽど」は、
「イ・ホツ・ポト」、I-HOTU-POTO(i=past tense,from,beside,with,by;hotu=sob,sigh,desire eagerly,long,heave,as the swell of the sea,break,as dawn;poto=short,denoting the exhaustive character of an action,etc.,showing that all the things spoken of have been dealt with)、「期待・した程度に比して・少ないかまたは充分すぎるほど(余程)」(「イ」のI音と「ホツ」のH音が脱落した「オツ」のO音が連結して「ヨツ」から「ヨッ」と、「ポト」が「ポド」となった)
の転訛と解します。
組みする仲間。同志。一味。政党政治で、政権を担当している政党。
この「よとう」は、
「イホ・トウ」、IHO-TOU(iho=heart,inside,object of reliance;tou=thy)、「あなたの・頼りとするもの(同志。与党)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」となった)
の転訛と解します。
流れが滞り水がたまる。水や空気の流れが止まって動かなくなる。物事が順調に進まないで滞る。また、動かないで停滞する。躊躇する。底に沈みたまる。沈殿する。
この「よどむ」は、
「イ・アウト・ム」、I-AUTO-MU(i=past tense,from,beside,with,by;auto=trailing behind,slow,drag out,protract;mu=silent)、「(物の)動きが遅れ・て・静止する(淀む)」(「イ」のI音と「アウト」のAU音がO音に変化して「オト」となったその語頭の〇音と連結して「よと」から「ヨド」となった)
の転訛と解します。
夜間に仕事をすること。また、その仕事。よなび。よな。夜の房事。
この「よなべ」は、
「イ・ホ・ナペ」、I-HO-NAPE(i=past tense;ho=droop;nape=weave)、「日が沈ん・だ後(夜間)に・(布を)織る仕事をする(夜鍋)」(「イ」のI音と「ホ」のH音が脱落した「オ」のO音が連結して「ヨ」と、「ナペ」ガ「ナベ」となった)
の転訛と解します。
(副詞「よに(世に)」に助詞「も」がついて意味を強めた語とする説がある)極めて。たいそう。また、いかにも。さも。(否定の語を伴って)決して。断じて。どんなことがあっても。
この「よにも」は、
「イ・ホニ・マウ」、I-HONI-MAU(i=past tense,from,beside,with,by;honi=nibble,graze,skirt round,devoure,consume;mau=fixed,continuing,caught,entangled)、「(たとえ)些細な欠点や後退が・あった・としても(大勢には影響がない)(世にも)」(「イ」のI音と「ホニ」のH音が脱落した「オニ」の語頭のO音が連結して「ヨ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」となった)
の転訛と解します。
@(動詞「よばう(呼)」の連用形の名詞化とする説がある)異性に対し結婚を求めて声をかけること。言い寄ること。求婚すること。恋人のもとへ忍んで通うこと。
A特に、夜、男が女の寝所へ忍び入って情を通じること。よばえ。
この「よばい」は、
@「イ・ハウ・パイ」、I=HAU-PAI(i=past tense,from,beside,with,by;hau=eager,brisk,seek;pai=good,excellent,suitable,pleasant)、「熱心に・(異性を)求めて行われる・素晴らしいこと(夜這い)」(「イ」のI音と「ハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化した「ホ」のO音が連結して「ヨ」と、「パイ」が「バイ」となった)
A「イ・ホ・パイ」、I-HO-PAI(i=past tense,from,beside,with,by;ho=droop;pai=)、「日が沈ん・だ後(夜間)に(行われる)・素晴らしいこと(夜這い)」(「イ」のI音と「ホ」のO音が連結して「ヨ」と、「パイ」が「バイ」となった)
の転訛と解します。
夜間に航行する船。江戸時代の淀川をはじめ旅客の多い河川で使われた乗合船のうち、夕方出港師TEM寄る走り、翌朝終着河岸に着くように運航した船。ぼた餅をいう、女房詞。
この「よふね」は、
「イ・ホ・フア・ネイ」、I-HO-HUA-NEI(i=past tense;ho=droop;hua=abundance;nei,neinei=stretch forward,reaching out)、「日が沈ん・だ後(夜間)に(運航する)・極めて・大きな(船)(夜船)」(「イ」のI音と「ホ」のH音が脱落した「オ」のO音が連結して「ヨ」と、「フア」の語尾のA音が脱落して「フ」と、「ネイ」の語尾のI音が脱落して「ネ」となった)
の転訛と解します。
@(後世「よぼろ」「よおろ」ともいう)膝の後ろの凹んでいる部分。ひかがみ。うつあし。よほろくぼ。
A古代、国家のために徴発された人民。律令制の正丁。
この「よほろ」は、
@「イホ・ホロ」、IHO-HORO(iho=inside;horo=fall in fragment,drop off or out)、「(膝の内部)後ろが・凹んでいる場所(よほろ)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」となった)
A「イオ・ホロ」、IO-HORO(io=tough,hard;horo=run,quick)、「頑丈で・機敏な男子(丁)」(「イオ」が「ヨ」となった)
の転訛と解します。
独り言に愚痴をいうこと。わけのわからない繰り言をいうこと。不平をかこつこと。また、そのことば。人の発言・意見を罵っていうのにも用いられる。
この「よまいごと」は、
「イ・ホマイ・(ン)ゴト」、I-HOMAI-NGOTO(i=past tense,from,beside,with,by;homai=give to the person speaking,to suggest a course of action;ngoto,ngotongoto=make a clicking noise by placing the tongue against the front of the palate and drawing in the breath)、「ぶつぶつと(人に分からない言葉を)・(人に語りかけるように)話・かけること(世迷い言)」(「イ」のI音と「ホマイ」のH音が脱落した「オマイ」の語頭のO音が連結して「ヨマイ」と、「(ン)ゴト」のNG音がG音に変化して「ゴト」となった)
の転訛と解します。
人の死後、その魂が行くという所。死者の住む国。あの世。よみの国。(この「よみ」については、国語篇(その五)の252ししくしろ(宍串ろ)の項のよみ(黄泉)を参照してください。)
この「よみ」は、
「イオ・ミヒ」、IO-MIHI(io=muscle,line,spur,ridge;mihi=sigh for,lament)、「嘆き悲しむ・山(の上の場所。死者の住むという黄泉の国)」(「イオ」が「ヨ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)(古代人は「黄泉の国は山の上にある」と信じていたと考えられます。古典篇(その二)の1の(2)のa「黄泉の国」は、山の上にあるの項を参照してください。)
の転訛と解します。
(「黄泉(よみ)から帰る」の意とする説がある)一旦死んだ人が生き返る。蘇生する。一旦衰えたものが力を得て再び盛んになる。衰退したものが、また盛行する。息を吹き返す。
この「よみがえる」は、
「イ・ハウミ・(ン)ガエ・ル」、I-HAUMI-NGAE-RU(i=past tense,from,beside,with,by;haumi=join,lengthen by addition,reserve,lay aside;ngae=wheeze;ru=shake,agitate,scatter)、「(生命が)延び・て・頑張って・苦しいながらも息を吹き返した(甦る)」(「イ」のI音と「ハウミ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化した「オミ」の語頭のO音が連結して「ヨミ」と、「(ン)ガエ」のNG音がG音に変化して「ガエ」となった)
の転訛と解します。
(「よみ」は形容詞「よし」の語幹に「み」の付いたものとする説がある)よしとする。めでたたえる。ほめる。よみんず。
この「よみする」は、
「イ・アウミヒ・ツル」、I-AUMIHI-TURU(i=past tense,from,beside,with,by;aumihi=sigh for,greet,welcome;turu=last a short time(turua=be done for a short time))、「(あることを)賞賛に・値すると・した(嘉する)」(「イ」のI音と「アウミヒ」のAU音がO音に変化し、H音が脱落した「オミ」の語頭のO音が連結して「ヨミ」と、「ツル」のT音がS音に変化して「スル」となった)
の転訛と解します。
祭礼で本祭の前日の夜に行われる小祭。宵まつり。宵宮。宵宮まつり。>
この「よみや」は、
「イ・ハウミ・イア」、I-HAUMI-IA(i=past tense,from,beside,with,by;haumi=join,lengthen by addition,reserve,lay aside;ia=indeed)、「(祭りの期間が)実に・延長され・たもの(夜宮)」(「イ」のI音と「ハウミ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化した「オミ」の語頭のO音が連結して「ヨミ」と、「イア」が「ヤ」となった)
または「イ・ホ・ミヒ・イア」、I-HO-MIHI-IA(i=past tense;ho=droop;mihi=sigh for,greet,admire;ia=indeed)、「日が沈ん・だ後(夜間)に(行う)・実に・尊崇すべき(神の社の祭り)(夜宮)」(「イ」のI音と「ホ」のH音が脱落した「オ」のO音が連結して「ヨ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」と「イア」が「ヤ」となった)
の転訛と解します。
(声に出して言葉や数などを、一つ一つ順に節をつけるように区切りを入れながら(唱えるように)ヰウ行為を表すのが原義とする説がある)声に出して一つ一つ区切りながらいう。詩歌をつくる。詠ずる。文章など書かれた文字をたどってみていく。漢字の字音を国語の訓で表す。など。
この「よむ」は、
「イ・ハウ・ム」、I-HAU-MU(i=past tense,from,beside,with,by;hau=eager,brisk,seek;mu=silent)、「無言で・(書かれた文字の意味を)熱心に理解・する(読む)」(「イ」のI音と「ハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化した「ホ」のO音が連結して「ヨ」となった)
の転訛と解します。
息子と結婚してその家の一員となった女性。妻。女房。他人の妻を呼んでいう。人妻。
この「よめ」は、
「イ・ホホ・マイ」、I-HOHO-MAI(i=past tense,from,beside,with,by;hoho=standing out,prominent;mai,maimai=a dance,oe haka,to welcome guest at a tangi(lamentation))、「(家の中でその)地位を確立・した・(踊りを踊る)女性(嫁)」(「イ」のI音と「ホホ」の反復語尾及びH音が脱落した「オ」のO音が連結して「ヨ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
ネズミの異称。特に正月三が日の間、鼠をいう忌み言葉。
この「よめがきみ」は、
「イ・ホホ・マイ・(ン)ガキ・ミヒ」、I-HOHO-MAI-NGAKI-MIHI(i=past tense,from,beside,with,by;hoho=standing out,prominent;mai,maimai=a dance,oe haka,to welcome guest at a tangi(lamentation);ngaki=prifix.used in "unnenecessarily""suddenly""patiently"etc.;mihi=sigh for,greet,admire)、「(家の中でその)地位を確立・した・(踊りを踊る)女性(嫁)を・敬って・そっとしておこう(嫁が君)」(「イ」のI音と「ホホ」の反復語尾及びH音が脱落した「オ」のO音が連結して「ヨ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」と、「(ン)ガキ」のNG音がG音に変化して「ガキ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)
の転訛と解します。
暮れ方から夜明けまでずっと。一晩中。夜通し。終夜。
この「よもすがら」は、
「イ・ホ・モツ・カ・アラ」、I-HO-MOTU-KA-ARA(i=past tense;ho=droop;motu=separated,moved to a distance;ka=take fire,be lighted,burn;ara=rise,awake,raise)、「日が沈ん・だ後(夜間)に・ずっと・灯を灯して・起きていること(夜もすがら)」(「イ」のI音と「ホ」のH音が脱落した「オ」のO音が連結して「ヨ」と、「モツ」のT音がS音に変化して「モス」と、「カ」のA音と「アラ」の語頭のA音が連結して「カラ」から「ガラ」となった)
の転訛と解します。
@夜に活躍する動物。ネズミ・キツネ・タヌキの類。
A夜着など夜に身をおおうもの。
この「よもの」は、
@「イ・ホ・モノア」、I-HO-MONOA(i=past tense;ho=droop;monoa=admire,desire)、「日が沈んで・夜になるのを・切望している動物(夜物)」(「イ」のI音と「ホ」のH音が脱落した「オ」のO音が連結して「ヨ」と、「モノア」の語尾のA音が脱落して「モノ」となった)
A「イ・ホ・マウ・ノア」、I-HO-MAU-NOA(i=past tense;ho=droop;mau=fixed,continuing;noa=without restraint,without consideration,idly,merely)、「日が沈ん・だ後(夜間)に・(身に)単に・着けるもの(夜物)」(「イ」のI音と「ホ」のH音が脱落した「オ」のO音が連結して「ヨ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「ノア」の語尾のA音が脱落して「ノ」となった)
の転訛と解します。
(副詞「よも」に助詞「や」を付けて意味を強めた語とする説がある)@(打ち消しの語を伴って)そういうことはほとんどありえないであろうという予測を表す語。まさか。万が一にも。とても。
A確実性の高い予測を表す語。きっと。たぶん。おそらく。
この「よもや」は、
@「イオ・マウ・イア」、IO-MAU-IA(io=tough,hard,obstinate;mau=perceive,bring,carry;ia=indeed)、「(そういうことを)察知する(または実現する)ことは・実に・困難である(よもや)」(「イオ」が「ヨ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「イア」が「ヤ」となった)
A「イ・アウモウ・イア」、I-AUMOU-IA(i=past tense,from,beside,with,by;aumou=constant,persistent;ia=indeed)、「(そういうことは)実に・常に・ある(または起こる)ことである(よもや)」(「イ」のI音と、「アウモウ」のAU音がO音に、OU音がO音に変化した語頭のO音と連結して「ヨモ」と、「イア」が「ヤ」となった)
の転訛と解します。
(「よもやも(四面八面)」の変化した語かとする説がある)諸方。おちこち。世間。世上。さまざま。雑多。いろいろ。たくさん。四方にある山々。
この「よもやま」は、
「イオ・マウ・イア・マハ」、IO-MAU-IA-MAHA(io=tough,hard,obstinate;mau=fixed,continuing,entangled;ia=indeed;maha=many,abundance)、「込み入って・錯綜した(話が)・実に・たくさんある(四方山)」(「イオ」が「ヨ」と、「マウ」のAU音がO音に変化して「モ」と、「イア」が「ヤ」と、「マハ」のH音が脱落して「マ」となった)
の転訛と解します。
(神霊の「寄り坐し」の意とする説がある)修験者や巫子が神降ろしをする際、神霊や物の怪を寄りつかせるための小童や人形。寄り。
この「よりまし」は、
「イ・オリ・マ・アチ」、I-ORI-MA-ATI(i=past tense,from,beside,with,by;ori=cause to wave to and fro,sway,move about;ma=white,clean;ati=offspring,descendant,clan,beginning)、「(神霊が)寄り・つく・清らかな・(氏族の子孫である)童子または(神降ろしのはじまりの役を受け持つ)人形(寄坐)」(「イ」のI音と「オリ」の語頭のO音が連結して「ヨリ」と、「マ」のA音と「アチ」の語頭のA音が連結し、T音がS音に変化して「マシ」となった)
の転訛と解します。
時々。おりおり。(単独で、または「に」を伴って用いる。)
この「よりより」は、
「イオ・リ・イオ・リ」、IO-RI-IO-RI(io=twitch;ri=bind)、「時々(筋肉がピクッと動くことが)・起こる・時々(筋肉がピクッと動くことが)・起こる(度度)」(「イオ」が「ヨ」となった」)
の転訛と解します。
着用して身体を庇護する武具。胴から大腿部にかけて庇護する武具の総称。
この「よろい」は、
「イオ・ロイ」、IO-ROI(io=spur,ridge;roi=secured,tied,knot,bond)、「(細長い隆起部)胸・背を・(安全に)保護するもの(鎧)」(「イオ」が「ヨ」となった)
の転訛と解します。
嬉しく思う。快く思う。心に喜悦を感じる。慶事や恩恵に対して感謝する。お礼の言葉を述べる。慶事として祝福する。快く受け入れる。
この「よろこぶ」は、
「イ・ハウ・ラウ・コア・プ」、I-HAU-RAU-KOA-PU(i=past tense,from,beside,with,by;hau=famous,resound,be heard;rau=hundred,multitude;koa=glad,joyful,rejoice over;pu=tribe,bunch,heap)、「(百の)たくさんの・喜ばしい・ことが(まとまってやってきた)と・声高に・しゃべる(喜ぶ)」(「イ」のI音と、「ハウ」のH音が脱落し、AU音がO音に変化した「オ」のO音とが連結して「イオ」から「ヨ」と、「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」と、「コア」の語尾のA音がだつらくして「コ」と、「プ」が「ブ」となった)
の転訛と解します。
(古代では「よし」が積極的な判定を下すのに対して、「よろし」は消極的で、「よし」よりも低い評価を表すとされる)好ましい。心に適う。満足できる。適当である。ふさわしい。正しい。凶に対して、吉である。ます゜まずまずの程度である。十分ではないが、まあよい。特に、身分・家柄・経済状態・教養などがまずまずの程度である。平凡である。是認できる。
この「よろしい」は、
「イ・ホ・ラウ・チヒ」、I-HO-RAU-TIHI(i=past tense,from,beside,with,by;ho=put out the lips,pout,shout;rau=entangle,engage,embarrassed,confused;tihi=summit,top,lie in a heap)、「たいへん・困惑して・不機嫌そうに・しゃべる(宜しい)」(「イ」のI音と「ホ」のH音が脱落した「オ」のO音が連結して「イオ」から「ヨ」と、「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」と、「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シイ」となった)
の転訛と解します。
数の単位としての万。数の非常に多いことを表す。たくさん。あまた。種類や形、様子などがさまざまであること。また、そのさま。いろいろ。種々。すべてのこと。全部揃っていること。全部。
この「よろず」は、
「イホ・ラウ・ツ」、IHO-RAU-TU(iho=up,above,from above;rau=hundred,multitude;tu=stand,be erect,be set)、「百の数を・はるかに超える(たくさんの)数が・ある(万)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」と、「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」と、「ツ」のT音がS音に変化して「ス」が「ズ」となった)
の転訛と解します。
足どりがふらついてよろよろする。よろける。よろぼう。浮気をする。誘惑に乗る。
この「よろめく」は、
「イ・アウロロ・マイ・ク」、I-AURORO-MAI-KU(i=past tense;auroro=slope,incline;mai=to indicate direction or motion towards;ku=firm,stiff,thickened)、「(身体が)傾い・て・(元へ)戻・そうとする(よろよろする)(蹌踉めく)」(「イ」のI音と、「アウロロ」のAU音がO音に変化し、反復語尾が脱落した「オロ」の語頭のO音とが連結して「ヨロ」と、「マイ」のAI音がE音に変化して「メ」となった)
の転訛と解します。
(「よ(世)はい(延)」の意かとする説がある)生物が生きてこの世を過ごして行く間。年齢。とし。年のころ。年配。
この「よわい」は、
「イホ・ワイ」、IHO-WHAT(iho=up,above,from above,downwards;whai=possessing,equipped,becoming,acquiring the shape or character of,settled,constantly resident)、「(生物が)生まれ落ちてから後・(この世を)過ごしていく間(齢)」(「イホ」のH音が脱落して「イオ」から「ヨ」となった)
の転訛と解します。
強い力や勢いがない。勢力が強くない。強度が足りない。壊れやすい。劣っている。欠点がある。意志が強固でない。心がぐらつきやすい。身体が丈夫でない。物事の度合いが小さい。など。
この「よわい」は、
「イオ・ウア・ハイ」、IO-UA-HAI(io=tough,hard,obstinate;ua=used in expostulation;hai=not)、「強く・あっては・ならない(弱い)」(「イオ」が「ヨ」と、「ウア」のA音と「ハイ」のH音が脱落した「アイ」の語頭のA音が連結して「ウアイ」から「ワイ」となった)
の転訛と解します。
そうするより外にしようがない。やむを得ない。余儀ない。どうにも手を外せない。
この「よんどころない」は、
「イ・オ(ン)ゲ・トコラウ・ナイ」、I-ONGE-TOKORAU-NAI(i=past tense,from,beside,with,by;onge=scarce,rare;tokorau=absent,at a distance,separate,divorce;nai=nei,neinei=stretched forward,reaching out)、「極めて稀な・ことに・たいへん・遠くに居て不在である(ためにどうしょうもない状況である)(拠ん所ない)」(「イ」のI音と、「オ(ン)ゲ」のNG音がN音に変化した「オネ」の語頭のO音とが連結して「イオネ」から「ヨン」と、「トコラウ」のAU音がO音に変化して「トコロ」から「ドコロ」となった)
の転訛と解します。
(「よま(夜間)」の変化した語とする説がある)夜間。奉公人が夜間に貰う暇。逢い引きなどに利用された。
この「よんま」は、
「イ・オ(ン)ゲ・マ」、I-ONGE-MA(i=past tense,from,beside,with,by;onge=scarce,rare,rarity,treasure;ma=white,clean,freed from tapu)、「極めて貴重・な・(世間の拘束から解放された)自由な時間(夜間)」(「イ」のI音と、「オ(ン)ゲ」のNG音がN音に変化した「オネ」の語頭のO音とが連結して「イオネ」から「ヨン」となった)
の転訛と解します。
「ラ」
(地名「ラオス」からとする説がある)キセルの火皿と吸い口をつなぐ竹の管。また、それに使う竹。ラオス参の斑紋のある竹を用いたところからいうとされる。
この「らお」は、
「ラオ」、RAO(they two)、「かの二つ(火皿と吸い口をつなぐもの)(羅宇)」
の転訛と解します。
(「らくしょ(落書)」からとする説がある)門、壁、塀など、書くべきではないところに文字や絵のいたずら書きをすること。また、その書いたもの。
この「らくがき」は、
「ラク・(ン)ガキ」、RAKU-NGAKI(raku=scratch,scrape;ngaki=used in word as "unnecessarily")、「(不必要な)いたずらで・(引っ掻いて)書いたもの(落書き)」(「(ン)ガキ」のNG音がG音に変化して「ガキ」となった)
の転訛と解します。
池や沼などに降り立つ雁。干菓子の一種の名称。もち米・うるち米・小麦・大麦・粟・大豆・小豆・などの穀物を粉にして、水飴・砂糖水などを加えて練り、型に入れて焙炉で乾燥させたもの。(古くは、干し飯を煎り、粉にして、砂糖蜜で固めたものであったらしい。)
この「らくがん」は、
「ラ・アク・(ン)ガ(ン)ガ」、RA-AKU-NGANGA(ra,rara=expose to the heat of a fire,dry,scorch;aku=delay,scrape out,cleanse(akuaku=firm,strong);nganga=stone of fruit,hail,dregs,refuse)、「(穀物などを)煎って・固めて・小片にしたもの(落雁)」(「ラ」のA音と「アク」の語頭のA音が連結して「ラク」と、「(ン)ガ(ン)ガ」の最初のNG音がG音に、次のNG音がN音に変化して「ガナ」から「ガン」となった)
の転訛と解します。
欠落した語。書き落としたことば。一つの話の終わりの言葉。話の結び。演芸の一つ。滑稽を主とした話芸で、終わりに落ちのあるもの。
この「らくご」は、
「ラクア・(ン)ガウ」、LAKUA-NGAU((Hawaii)lakua=to talk incongruously,mixing proper and inproper talk;ngau=raise a cry,make a disturbance,indistinct or inarticulate of speech)、「真面目な話に不真面目な話を混ぜ込んだ・(直裁でない)聞く人の興味をそそる話(落語)」(「ラクア」の語尾のA音が脱落して「ラク」と、「(ン)ガウ」のNG音がG音に、AU音がO音に変化して「ゴ」となった)
の転訛と解します。
(「めん」は綿羊の略とする説がある)羊の異名。西洋人の妾(めかけ)となった日本の女。また、それを罵っていう語。
この「らしゃめん」は、
「ラ・チア・メネ」、RA-TIA-MENE(ra=wed;tia=slave,servant;mene=show wrinkles,contort the face)、「(西洋人と)結婚して・その召使(妾)となり・人々の顰蹙(ひんしゅく)を買った女性(ラシャメン)」(「チア」のT音がS音に変化して「シャ」と、「メネ」が「メン」となった)
の転訛と解します。
馬場の周囲に設けた柵。内埒と外埒(または高く作った雄埒と低く作った雌埒)がある。物の周囲に設けた柵。転じて、物事の区切り。適当な範囲。また、物事に結末をつけること。
この「らち」は、
「ララ・チチ」、RARA-TITI(rara=rib(whakarara=score,mark in parallel line);titi=peg,pin,stick in,as a pegs,feathers,etc.)、「並行線をなして・杭が並んでいるもの(柵)(埒)」(「ララ」の反復語尾が脱落して「ラ」と、「チチ」の反復語尾が脱落して「チ」となった)
の転訛と解します。
(「ろうじ(搦氈j」の変化した語とする説がある)出家後の年数。また、その年数による僧の座の順序。ろうじ。物事の順序。次第。ろうじ。
この「らっし」は、
「ラ・アツ・チ」、RA-ATU-TI(ra=sun,day,sail;atu=to indicate a direction or motion onwards,to indicate reciprocated action;ti=throw,cast,overcome)、「(出家の後)修行を・続け・た期間(搦氈j」(「ラ」のA音と「アツ」の語頭のA音が連結して「ラツ」から「ラッ」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」となった)
の転訛と解します。
「リ」
(名詞「りき(力)」の動詞化とする説がある)身体に力を入れる。言葉や態度で力を示す。力のありそうな様子を示す。威勢よく振る舞う。威張る。はりきる。着飾ったり格好をつけたりする。きばる。張りがある。きりっと引き締まる。
この「りきむ」は、
「リリ・キ・ヒム」、RIRI-KI-HIMU(riri=be angry,quarrel,urge with vehemency;ki=full,very;himu=the large posts of palisadee of a fort,carved in grotesque human forms)、「(集落の入り口に立つ)グロテスクな人物の彫像のように・たいへん・怒って様子をする(力む)」(「リリ」の反復語尾が脱落して「リ」と、「キ」のI音と「ヒム」のH音が脱落した「イム」の語頭のI音が連結して「キム」となった)
の転訛と解します。
@礼儀や義理を堅く守ること。極めて義理堅いこと。実直なこと。正直なこと。また、そのさま。
A馬鹿正直なこと。また、そのさまやその人。健康なこと。じょうぶなこと。また、そのさま。
この「りちぎ」は、
「リリ・チヒ・(ン)ギア」、RIRI-TIHI-NGIA(riri=urge with vehement,fight,prowess;tihi=summit,top,lie in a heap;ngia=seem,appear to be)、「勇猛果敢に・(礼儀や義理を守るという)高い境地にいる・ように見える行為または人(律儀)」(「リリ」の反復語尾が脱落して「リ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」と、「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」となった)
「リヒ・チヒ・(ン)ギア」、RIHI-TIHI-NGIA(rihi=flat;tihi=summit,top,lie in a heap;ngia=seem,appear to be)、「(平らに)馬鹿正直に・(礼儀や義理を守るという)高い境地にいる・ように見える行為または人(律儀)」(「リヒ」のH音が脱落して「リ」と、「チヒ」のH音が脱落して「チ」と、「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」となった)
の転訛と解します。
(形容動詞「ナリ」(一派をたてる)意から、また、「立破」の意からとする説がある)厳かで美しいこと。見事なこと。また、そのさま。十分に整っているさま。不足や欠点のないさま。
この「りっぱ」は、
「リリ・ツ・ウパ」、RIRI-TU-UPA(riri=urge with vehement,fight,prowess;tu=fight with,energetic;upa=fixed,at rest,satisfied)、「勇猛果敢に・懸命に取り組んで・満足すべき結果となった(立派)」(「リリ」の反復語尾が脱落して「リ」と、「ツ」のU音と「ウパ」の語頭のU音が連結して「ツパ」から「ッパ」となった)
の転訛と解します。
流れて行くこと。広まること。病気や災害などが一時的に広く世間にひろがること。急にある現象が世間一般にゆきわたること。特に、服装や化粧、世間の評判、または主義思想のある様式などが一時的に世間にもてはやされて行われること。はやり。
この「りゅうこう」は、
「リウ・コウ」、RIU-KOU(riu=pass by,disappear;kou=good)、「(良い物として)世間にもてはやされて・(流れて行く)広まるもの(流行)」(「リウ」が「リュウ」となった)
の転訛と解します。
@(〜する)物事を整えおさめること。うまく処理すること。
A(〜する)食物として口に合うように無材料を整え加工すること。調理。割烹。調理した食物。また、その膳部。
この「りょうり」は、
「リリ・ハウ・ウリ」、RIRI-HAU--URI(riri=urge with vehement,fight,prowess;hau=eager,brisk,seek(whakahau=seek,command),food used in the ceremonies;uri=desecndant,relative,race)、@「熱心に・物事を解決する・(行為と)同様の行為(料理)」またはA「(勇猛な)包丁捌きの冴えを見せて・(儀式として)食物を調理する・(行為と)同種の行為(l)Cl)」(「リリ」の反復語尾が脱落して「リ」となったそのI音と、「ハウ」のH音が脱落し、AU音がOU音に変化した「オウ」の語頭のO音とが連結して「リオウ」から「リョウ」となり、その語尾のU音と「ウリ」の語頭のU音が連結して「リョウリ」となった)
の転訛と解します。
非常に賢い。きりりと引き締まった感じである。若々しくて勇ましい。雄々しい。
この「りりしい」は、
「リリ・チヒ」、RIRI-TIHI(riri=urge with vehement,fight,prowess;tihi=summit,top,lie in a heap)、「(最高に)たいへん・勇ましく雄々しい(凜々しい)」(「チヒ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シイ」となった)
の転訛と解します。
「ル」
天皇・皇帝・王などの行幸の時、その代理として都城に止まり、執政すること。主人、また、家人が外出した時、その家を守ること。また、その人。主婦。留守番。外出し、不在になること。注意が一方に集中して、他方に及んでいないこと。
この「るす」は、
「ルル・ツ」、RURU-TU(ruru=enclose,draw closer together,take shelter;tu=stand,be set)、「門戸を閉じて(隠れ場所に入る)・状態になる(留守)」(「ルル」の反復語尾が脱落して「ル」と、「ツ」のT音がS音に変化して「ス」となった)
の転訛と解します。
「レ」
身分や家柄などの高いさま。その存在や価値などが確かなものとして、周囲からみとめられているさま。整っていて立派なさま。きちんとしたさま。明白であるさま。はっきりとしているさま。
この「れっきとした」は、
「レイ・キ・ト・チタハ」、REI-KI-TO-TITAHA(rei=anything made of ivory,cherished possession,jewel;ki=full,very;to=drag,haul;titaha=lean to one side,decline)、「象牙製品や宝石などを・多数所有して・(家が)傾く・ほどである(歴とした)」(「レイ」が「レッ」と、「チタハ」の最初のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シタ」となった)
の転訛と解します。
擂り粉木をいう近畿・中国・四国地方の語。
この「れんぎ」は、
「レ(ン)ガ・(ン)ギア」、RENGA-NGIA(renga=fine particles,meal(rengarenga=crushed,pounded,beaten);ngia=seem,appear to be)、「(食物を)磨り潰すもの・のように見えるもの(連木)」(「レ(ン)ガ」のNG音がN音に変化して「レナ」から「レン」と、「(ン)ギア」のNG音がG音に変化し、語尾のA音が脱落して「ギ」となった)
の転訛と解します。
「ロ」
敵に囲まれて城に立て籠もること。城の籠もって守ること。家に引き籠もって外出しないこと。
この「ろうじょう」は、
「ラウ・チオフ」、RAU-TIOHU(rau=catch,as in a net,gather into a basket,etc.,embarrassed,entangled,confused ;tiohu=stoop)、「(城に)立て籠もって・身を屈める(籠城)」(「ラウ」のAU音がOU音に変化して「ロウ」と、「チオフ」のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シオウ」から「ショウ」、「ジョウ」となった)
の転訛と解します。
(「ろず(蘆頭)」の変化した語かとする説がある)傷がつくなどして売り物にならない商品。保管中に生ずる商品の損害。転じて、役に立たない者などをいう。ろうずもの。
この「ろうず」は、
「ラウ・ツ」、RAU-TU(rau=embarrassed,entangled,confused;tu=stand;tu=stand,be placid,remain,be set)、「困惑する・残り物(ろうず)」(「ラウ」のAU音がOU音に変化して「ロウ」と、「ツ」のT音がS音に変化して「ス」から「ズ」となった)
の転訛と解します。
糸または紙をより合わせたものを芯として、その周囲を蝋またはパラフィン蝋で塗り固め、円柱状に整形して灯火の用に供するもの。ろうしょく。らっそく。らんそく。
この「ろうそく」は、
「ロウ・ト・ク」、ROU-TO-KU(rou=a long stick used to reach anything;to=stove;ku=silent)、「長い棒状で・静かに・燃える(灯りとなる)もの(蝋燭)」(「ト」のT音がS音に変化して「ソ」となった)
の転訛と解します。
(「労(ろう)いたし」の変化した語とする説がある)こちらが何かと世話をしていたわってやりたい気持にかられる。また、そういう気持にさせるようなありさまである。可憐でいとおしい。姿やしぐさやたたずまいなどが、弱々しくいじらしい。和歌・連歌などで、心深く、艶で美しい。(「ろう」は「ろうたける」の「臈」と意識してできた語か)洗練された美しさがある。上品で、すきとおるように美しい。
この「ろうたし」は、
「ロウ・タハ・アチ」、ROU-TAHA-ATI(rou=a long stick used to reach anything,stretch out,intoxicated as with tutu juice;taha=side,edge,pass on one side,go by;ati=offspring,descendant,clan)、「(酒に酔った)魅力にとりつかれた気持が・通り過ぎて行く・のと同類の状況(臈たし)」(「タハ」のH音が脱落した「タ」のA音と「アチ」の語頭のA音が連結し、T音がS音に変化して「タシ」となった)
の転訛と解します。
(下に打消しの語を伴って)物事の程度が十分でないさま。満足な状態でないさま。ろくだま。ろくすっぽう。ろくそっぽう。物事を満足に成し遂げないさまを表す語。まともに。ろくに。ろくろく。ろくすっぽう。ろくそっぽ。ろくそっぽう。
この「ろくすっぽ」は、
「ロク・ツポウ」、ROKU-TUPOU(roku=bend,be weighed down,grow weak,decline,of a person dying,a fire going out,etc.;tupou=bow the head,dive,rush of current,steep,headlong)、「(物事を)軽視して・(水に飛び込むように)行動を起こす(ろくすっぽ)」(「ツポウ」のT音がS音に変化して「スポウ」から「スッポ」となった)
の転訛と解します。
(「碌」は宛字)人がまともでないこと。また、その人。役に立たないのらくらもの。道楽者。
この「ろくでなし」は、
「ロク・タエ・ナチ」、ROKU-TAE-NATI(roku=bend,be weighed down,grow weak,decline,of a person dying,a fire going out,etc.;tae=arrive,come,go,reach,extend to,;nati=pinch or contract,as by means of a ligature,etc.)、「(思想や行動に重みがなく)死にかかった人に・全く・近づいた人(碌でなし)」(「タエ」のAE音がE音に変化して「テ」から「デ」と、「ナチ」のT音がS音に変化して「ナシ」となった)
の転訛と解します。
(回転運動をする機会の総称とされる)円形の陶器を作る回転円盤。台上に陶土を置き、円盤ごと旋回させながら手で種を種々の形を作る。物を引き寄せたり、また、吊したりするのに用いる滑車。地に据え付けて、縄の端を重い物に結び、軸に取り付けた柄を押して軸を回転させ、縄を巻いて引くもの。まんりき。しゃち。神楽桟。木工旋盤のこと。(この「ろくろ」は、地名篇(その八)の132轆轤(ろくろ)の項を参照してください。)
この「ろくろ」は、
ロク・ラウ、ROKU-RAU(roku=bend,wane of the moon;rau=leaf,blade of a weapon)、「曲がっている(または新月のように尖っている)・刃物(またはその刃物を使って木椀などを削る回転式の装置)」(「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」となった)
の転訛と解します。
(露地)覆うものの何もないむきだしの土地。屋根などのない土地。地面。地上。(路地)屋敷や寺などの庭内や門内の通路。町中の家と家の間の狭い道。茶室に付属する庭。(露路。仏語)煩悩を離脱した境地。王土。国土。
この「ろじ」は、
「ラウ・チ」、RAU-TI(rau=project,extend(rarau=lay hold of,settle down,remain,take root);ti=throw,cast,overcome)、「伸び広がって・いる土地(露地。路地)」(「ラウ」のAU音がO音に変化して「ロ」と、「チ」のT音がS音に変化して「シ」から「ジ」となった)
の転訛と解します。
(「りょりつ(呂律)」の変化した語とする説がある)ものを言うときの調子。言葉の調子。
この「ろれつ」は、
「ロレ・ツ」、RORE-TU(rore=rainbow,entangle,impede,deceive,intoxicated;tu=stand,be erect,be turned up,)、「(言葉が)縺(もつ)れて・いる(ろれつ)」
の転訛と解します。
「ワ」
自称。男女ともに用いる。あ。われ。わが。自分自身。対称。相手を親しんでいう。また、相手を卑しめていう場合もある。(この「わ」は、国語篇(その十七)の302あずましーの項の「わ」を参照してください。)
この「わ」は、
「ワ」、WA(=mea=used of persons whom it is unnecessary or imposible to name,so-and-so,such-and-such)、「(名乗るほどの者ではない)私」
の転訛と解します。
東北地方の方言で、巫女(みこ)をいう。
この「わか」は、
「ワカ」、WAKA(canoe,medium of an atua(god),crew of a canoe)、「(神と人の)仲介をする人(巫女)」
の転訛と解します。
(代名詞「わ」に助詞「が」、名詞「まま」が結合したものとする説がある)自分の思うままになること。自分の思い通り。他を顧慮することなく、自分勝手に振る舞うこと。身勝手なこと。また、そのさま。重うままに贅沢をつくすこと。
この「わがまま」は、
「ワハ(ン)ガ・ママ」、WAHANGA-MAMA(wahanga=wahi=break,split,break through,break open;mama=perform certain rites with the object of nullifying a hostile spell or of removing tapu,free from tapu)、「世間の禁忌(または道徳)を無視して・一般の常識の壁を突破する(ブレイクスルー)ような考えまたは行動(わがまま)」(「ワハ(ン)ガ」のH音が脱落し、NG音がG音に変化して「ワガ」となった)
の転訛と解します。
一つのものが別々になる。分離する。また、区分される。路や、流れなどが、ある所からいくつかに分岐する。離れ去る。区別がつく。差別ができる。差異が生じる。
この「わかれる」は、
「ワワ・カレ・ル」、WAWA-KARE-RU(wawa=be scattered,be separated;kare=object of passionate affection,long for,desire ardently;ru=shake,agitate,scatter)、「奮って・分かれることを・切望する(分かれる)」(「ワワ」の反復語尾が脱落して「ワ」となった)
の転訛と解します。
胸の側面で、腕の付け根のすぐ下の部分。衣服の脇にあたる部分。事物のかたわら。側面。そば。横。主なものの次に位置し、その補助をするもの。物事の終わった後。二の次のもの。あとまわし。そっちのけ。のけもの。など。
この「わき」は、
「ワ・アキ」、WA-AKI(wa=definite space,area;aki=abute on)、「(胸または物の)隣に位置する・場所(脇)」(「ワ」のA音と「アキ」の語頭のA音が連結して「ワキ」となった)
の転訛と解します。
物や物事をきちんと見分ける。識別する。弁別する。借金・借物を返済する。支払う。また、弁償する。人として当然知っているべきことを身につけている。自分の置かれた立場をよく理解し、行動を律する。
この「わきまえる」は、
「ワキ・マハ・ヱル」、WHAKI-MAHA-WHERU(whaki=reveal,disclose;maha=gratified,satisfied,depressed,resigned;wheru=inactive,slow,ill at ease,weary,oppressed,mope)、「真実を暴露することは・自制して・(消極的に)ほどほどにする(弁える)」(「マハ」のH音が脱落して「マ」と、「ヱル」のWH音が脱落して「エル」となった)
@木の若葉。
A病気や虫におかされて枯れた葉。特に夏の頃、紅葉のようにアカまたは黄白色に色づき枯れた葉。
この「わくらば」は、
@「ワ・クラ・パ」、WHA-KURA-PA(wha=leaf;kura=red,glowing;pa=spreading)、「赤く・芽を吹いた・葉(病葉)」(「パ」が「バ」となった)
A「ワ・ク・ラパ」、WHA-KU-RAPA(wha=leaf;ku=wearied,exhausted;rapa=wide,flat,flash,split open(whakarapa=glow,standing aloof))、「枯れて・(赤または黄白色に)色づいた・葉(病葉)」(「ラパ」が「ラバ」となった)
の転訛と解します。
@(動詞「わけ(分)」の連用形の名詞化したものとする説がある)分割・分配すること。食べ残しの食物。食べ残し。また、供物のお下がり。芸娼妓などが稼ぎ高を抱え主と折半すること。勘定。支払い。村中の小区分。相撲などの引き分け。
A(「訳」と書くことが多い)物事を判断すること。また、その内容。事情や理由。いきさつ。
この「わけ」は、
@「ワワ・カイ」、WAWA-KAI(be scattetred,be separated;kai=quantity,number,anything produced in profusion,products,thing,eat,food)、「物や金銭などを・分割、分配すること(わけ(分))」(「ワワ」の反復語尾が脱落して「ワ」と、「カイ」のAI音がE音に変化して「ケ」となった)
A「ウア・ケ」、UA-KE(ua=used in a somewhat obscure construction;ke=different,other,of non-identity,different,of another kind,strange,rxtraordinary)、「他と異なった事柄が生じた・事情または理由(わけ(訳))」(「ウア」が「ワ」となった)
の転訛と解します。
令制前の姓(かばね)の一つ。皇別の氏の姓。地方を治めた家柄の姓として多い。
この「わけ」は、
「ワカイ(ン)ガ」、WAKAINGA(distant home)、「(本貫の地を離れた)遠隔地に住んだ(氏族)(わけ(別))」(「ワカイ(ン)ガ」のAI音がE音に変化し、名詞形語尾のNGA音が脱落して「ワケ」となった)
の転訛と解します。
年若い人。わかもの。青年。貴族の家に仕える年若な女房。
この「わこうど」は、
「ウアカハ・フトト」、UAKAHA-HUTOTO(uakaha=vigorous,strenuous,difficult;hutoto=bloody)、「元気に満ち溢れた・血の気の多い(若者)(若人)」(「ウアカハ」のH音が脱落して「ワカ」となったその語尾のA音と、「フトト」のH音および反復語尾が脱落して「ウト」となったその語頭のU音が連結してOU音に変化して「ワコウト」から「ワコウド」となった)
の転訛と解します。
(「わごりょう(我御寮)」の変化した御とする説がある)対称。対等もしくはそれ以下の相手に対して親しみをもって用いる語。男女ともに用い、「そなた」より軽い。
この「わごりょ」は、
「ワ・(ン)ゴリ・アウ」、WA-NGORI-AU(wa=mea=used of persons whom it is unnecessary or imposible to name,so-and-so,such-and-such;ngori=weak,listless(ngoringori=a small black eel,slave);au=difinitive pronoun.your,of you,of yours)、「名前を呼ぶほどのことのない・弱い(立場の)・お前(我御寮)」(「(ン)ゴリ」のNG音がG音に変化して「ゴリ」となり、「アウ」のAU音がO音に変化して「オ」となり、「ゴリ・オ」が「ゴリョ」となった)
の転訛と解します。
深い意味や重大な意図をもつ行為や行事。意識的に何事かをすること。また、その行為。しわざ。おこない。仏事。抱擁。習慣化した孤影。仕事。つとめ。職業。出来事。事柄。技芸。技術。手段。腕前。
この「わざ」は、
「ワタ(ン)ガ」、WATANGA(object of desire)、「(物事を)望んで行う・その目的とするもの(技。業)」(「ワタ(ン)ガ」のT音がS音に変化し、名詞形語尾のNGA音が脱落して「ワサ」から「ワザ」となった)
の転訛と解します。
滑稽な動作をして舞い歌い、神や人を楽しませること。また、その業をする人。滑稽な事柄。冗談。
この「わざおぎ」は、
「ワタ(ン)ガ・ホ(ン)ギ」、WATANGA-HONGI(watanga=object of desire;hongi=salute by pressing the noses together)、「礼儀正しく挨拶をする・職業の人間(俳優)」(「ワタ(ン)ガ」のT音がS音に変化し、名詞形語尾のNGA音が脱落して「ワサ」から「ワザ」と、「ホ(ン)ギ」のH音が脱落し、NG音がG音に変化して「オギ」となった)
の転訛と解します。
(「わざ」は神のしわざの意、「わい」は「さきわい(幸い)」などの「わい」と同じ。悪い結果をもたらす神の仕業の意かとする説がある)悪い結果をもたらすような種々の事柄、気配。また、その悪い結果。身にふりかかる障害、病気、天災、難儀など。また、そういう状態であるさま。災難。災厄。凶事。曲事。不功。不快であること。いやなこと。どうにも処置のしようのないこと。(この「わざわい」については、雑楽篇(その一)の363のり(規範。法。則)の項のわざはひ(災)を参照してください。)
この「わざわい」は、
「ワタ(ン)ガ・ワヒ」、WATANGA-WAHI(watanga=object of desire;wahi=break,split)、「(幸福・安穏・成功などの)望みが・断たれる(原因であるもの)(禍。災)」(「ワタ(ン)ガ」のT音がS音に変化し、名詞形語尾のNGA音が脱落して「ワサ」から「ワザ」と、「ワヒ」のH音が脱落して「ワイ」となった)
の転訛と解します。
数量などの少ないさま。いささか。すこしばんり。程度、度合いの少ないさま。かろうじて。やっとのことで。少ないさま。狭いさま。また、ささやかで、粗末なさま。貧弱なさま。
この「わずかに」は、
「ワツ・カニヒ」、WHATU-KANIHI(whatu=weave garments,baskets,etc.;kanihi=patch a garment)、「織物を織るのに・当て布をすること(は殆ど無いことだ)(僅かに)」(「ワツ」のT音がS音に変化して「ワス」から「ワズ」と、「カニヒ」のH音が脱落して「カニ」となった)
の転訛と解します。
覚えていたことが自然に頭から消える。ある物事の記憶がなくなる。物事についての記憶をなくしてしまう。失念する。
この「わすれる」は、
「ワツ・レイ・ル」、WHATU-REI-RU(whatu=weave garments,baskets;rei=leap,rush,run;ru=shake,agitate,scatter)、「織物を織ることが・(織る手順・場所などの意識が頭から)走り・去る(忘れる)」(「ワツ」のT音がS音に変化して「ワス」と、「レイ」のEI音がE音に変化して「レ」となった)
の転訛と解します。
(「わさ(早稲)」の変化した語とする説がある)稲の品種のうちで早く成熟するもの。また、その米。(早生)一般に、他の品種よりも成長が早いこと。普通より早熟なこと。また、そのもの。転じて、早熟な子供のたとえ。(この「わせ」については、雑楽篇(その二)の542いね(稲)の項のわせ(早稲)を参照してください。)
この「わせ」は、
「ワ・タエ」、WA-TAE(wa=definite space,be far advanced;tae=arrive,come,reach)、「(他の品種よりも)先に・成熟する(品種)」(「タエ」のAE音がE音に変化して「テ」から「セ」となった)
の転訛と解します。
海。
この「わた」は、
「ウ・アタ」、U-ATA(u=be fixed,reach its limit;ata=clearly,openly,form)、「極限まで・広がっているもの(海)」(「ウ」のU音と「アタ」の語頭のA音が連結して「ワタ」となった)
の転訛と解します。
@輪のような形状にかがまり曲がる。蛇などがとぐろを巻く。くねり曲がる。心がねじ曲がる。悪意がある。心の中に、ある考え、感情が滞っている。滞って動かないでいる。
A人を欺してある物を自分の物にする。横領する。
この「わだかまる」は、
@「ワタ・カハ・マル」、WHATA-KAHA-MARU(whata=elevate,support,hang,be suspended,be laid,rest;kaha=rope,noose,etc.;maru=power,shadow,shelter(marumaru=shaded,loom large))、「(縄のような)曲がりくねったものが・不気味な姿で・横たわっている(わだかまる)」(「ワタ」が「ワダ」と、「カハ」のH音が脱落して「カ」となった)
A「ワタ(ン)ガ・カマ・アル」、WATANGA-KAMA-ARU(watanga=object of desire;kama=eager;aru=follow,pursue)、「(他人の)物が欲しくて・(熱心に)方策を講じて・(手に入れるまで)追求する(わだかまる)」(「ワタ(ン)ガ」の名詞形語尾のNGA音が脱落して「ワタ」から「ワダ」と、「カマ」の語尾のA音と「アル」の語頭のA音が連結して「カマル」となった)
の転訛と解します。
(わたくし)公(おほやけ)に対して、その人個人に関すること。自己一身にかかわること。うちうちのこと。公平さ、公平さを欠いた、その人本位の好悪などの感情、えこひいきする心。不平等な取り計らい。私情。私心。自分の利益をはかって不法を行うこと。公然ではないこと。ひそか。内々に。自分勝手。自称。男女ともに丁寧な言い方。
(わたし。「わたくし」の変化した語とする説がある)自称。「わたくし」よりくだけた言い方。現在では自分をさす、最も普通のことば。(この「わたくし」「わたし」については、国語篇(その九)の041の項を参照してください。)
この「わたくし」、「わたし」は、
「ワタ・クチ」、WHATA-KUTI(whata=elevate,hang,be laid;kuti=contract)、「平伏して・小さくなっている者(卑称。私)」(「クチ」のT音がS音に変化して「クシ」となった)
「ワタ・チ」、WHATA-TI(whata=elevate,hang,be laid;ti=throw,cast,overcome)、「平伏して・ぐったりしている者(卑称。私)」(「チ」のT音がS音に変化して「シ」となった)
の転訛と解します。
車が通り過ぎたあとに残る車輪の跡。車輪。
この「わだち」は、
「ワ・アタ・チ」、WA-ATA-TI(wa=definite space,area;ata=form,shape,shadow;ti=throw,cast,overcome)、「土地(の上)に・残された・(車輪の)形(轍)」(「ワ」のA音と「アタ」の語頭のA音が連結して「ワタ」から「ワダ」となった)
の転訛と解します。
@(「つ」は「の」の意の古い格助詞で、「海(わた)つ霊(み)」の意とする説がある)海の神。その地方地方の海、雨、水を司どるといわれる。
A(海神がいる所の意から転じて)海。海原。(これらの「わたつみ」については、古典篇(その三)の「(3) ヒコホホデミ」の項を参照してください。)
この「わたつみ」は、
「ウ・アタ・ツ・ミヒ」、U-ATA-TU-MIHI(u=be fixed,reach its limit;ata=clearly,openly,form;tu=stand,settle;mihi=greet,admire)、「極限まで・広がっているところ(=海)に・居る・尊い(海神。(その神が住む)海)」(「ウ」のU音と「アタ」の語頭のA音が連結して「ワタ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となった)
の転訛と解します。
(「わらわ(童)」の変化した語とする説がある)子供のことを罵っていう語。また、一般に、子供。男子が自分のことを卑下していう語。男を罵っていう語。年少の奉公人。年若い下僕。
この「わっぱ」、「」は、
「ワツ・パ」、WHATU-PA(whatu=stone,victim slain at the dedication of a house or pa(stockade);pa=stockade,fortified place)、「集落の・生け贄(にされる者)(わっぱ)」(「ワツ」が「ワッ」となった)
の転訛と解します。
紐・縄などを輪の形にしたもの。また、それを仕掛けること。縄や竹などを輪の形にしてその中に入った鳥や獣を締めて生け捕りにするための仕掛け。広く網や落とし穴を用いる仕掛けもいう。転じて他人を陥れるための計略、落とし穴。
この「わな」は、
「ワナ」、WHANA(rush,be thrown out suddenly)、「急に(動物などを捕らえる仕掛けが)作動するもの(罠)」
の転訛と解します。
(動詞「わびる(侘)」の連用形の名詞化とする説がある)わびしく思う。思いわずらうこと。気落ちすること。閑居を楽しむこと。また、その所。茶道・俳諧などでいう閑寂な風趣。簡素の中にある落ち着いたさびしい感じ。
この「わび」は、
「ワ・アピアピ」、WA-APIAPI(wa=definite place,area,be far advanced;apiapi=crowded,dense,confined,constricted)、「(人の心を締め付ける)わびしく思うまたは(濃密である)閑寂な風趣がある・(俗世間を)遠く離れた場所または境地(侘び)」(「ワ」のA音と「アピアピ」の反覆語尾が脱落した「アピ」の語頭のA音が連結して「ワピ」から「ワビ」となった)
の転訛と解します。
謝ること。謝罪すること。また、その言葉。
この「わびる」は、
「ワハ・ピ・ル」、WAHA-PI-RU(waha=mouth,voice,carry on the back;pi=slight,take no notice of;ru=shake,agitate,scatter)、「(重荷を背負ったように)平身低頭して・不注意であったと・懸命に言う(詫びる)」(「ワハ」のH音が脱落して「ワ」と、「ピ」が「ビ」となった)
の転訛と解します。
(「わ」は擬声語、「めく」は接尾語とする説がある)大声で叫ぶ。大きな声で叫び騒ぐ。おめく。怒って大声を出す。
この「わめく」は、
「ウ・アマイ・ク」、U=AMAI-KU(u=be fixed,reach its limit;amay=giddy,dizzy;ku=wearied,exhausted)、「極限に達する・(目眩を起こすほどの)大きな声を出して・疲れ切る(わめく)」(「ウ」のU音と「アマイ」のAI音がE音に変化して「アメ」となったその語頭のA音が連結して「ワメ」となった)
の転訛と解します。
(「わやく」の変化した語とする説がある)道理に合わないこと。無理を言ったりしたりすること。また、そのさま。無法。無茶。駄目なこと。無駄なこと。むちゃくちゃになること。だいなしになること。また、そのさま。もろいこと。弱いこと。また、そのさま。
この「わや」は、
「ワ・イア」、WA-IA(wa,whakawa=accuse,bring a formal charge against,condemn,investigate;ia=indeed)、「全く・(非難されても仕方がない)駄目だ(わや)」(「イア」が「ヤ」となった)
の転訛と解します。
稲・麦などの茎を干したもの。
この「わら」は、
「わら」、WHARA(a plant,sail made in a special way for a war-canoe,floor mat,etc.)、「(戦闘用カヌーの帆、床の敷物等に加工する)細長い葉を持つ植物(藁)」
の転訛と解します。
喜びや可笑しさなどの心情を、声または顔の表情で表出する。おかしがって顔をくずし、声を立てる。哄笑する。えむ。つぼみが開く。花が咲く。果実が熟して裂け開く。張るになつて芽が出たり、花が咲いたりして景色が明るく見える。など。(この「わらう」については、国語篇(その九)の144 to laughの項を参照してください。)
この「わらう」は、
「ウ・アラ・フ」、U-ARA-HU(u=representing an inarticulate sound;ara=rise,rise up,raise;hu=resound,hiss,bubble up)、「言葉ではない・高い音(笑い声)が・湧いて出る(笑う)」(「ウ」のU音と「アラ」の語頭のA音が連結して「ワラ」となり、「フ」のH音が脱落して「ウ」となった)
の転訛と解します。
(「わらんじ」の変化した語とする説がある)つま先の長い緒を周囲にある乳(ち)に通して、足にまといつける草履に似た藁製の履き物。わらんじ。わらんず。わろうず。わらず。(この「ぞうり」については、雑楽篇(その二)の1053ぞうり(ぞうり)の項のわらじ(わらじ)を参照してください。)
この「わらじ」は、
「ワラ・チ」、WHARA-TI(whara=a plant(possibly applied to any plant with ensiform leaves);ti=throw,overcome)、「(細長い剣先状の葉をもつ植物)藁で作ったもので・(足に履いて)履き潰すもの(草鞋)」(「チ」が「ジ」となった)
の転訛と解します。
(「わらわべ」の変化した「わらんべ」の撥音「ン」の無表記化したものとする説がある)子ども。子どもら。召し使う子ども。また、召し使う童姿の男女。自分の妻をへりくだっていう語。
この「わらべ」は、
「ワラ・パイ」、WARA-PAI(wara=make an indistinct sound,murmur;pai=good,excellent,suitable,pleasant,handsome)、「低い声で笑う・快活な子ども(童)」(「パイ」のAI音がE音に変化して「ペ」から「ベ」となった)
の転訛と解します。
(「童病」の意かとする説がある)間欠熱の一種。悪寒・発熱が隔日または毎日、時を定めておこる病気。おこり。えやみ。
この「わらわやみ」は、
「ワラ・アハ・イア・ミヒ」、WARA-AHA-IA-MIHI(wara=make an indistinct sound,desire;aha=what?,who?,do anything whatever;ia=indeed,rushing stream;mihi=sigh for,express discomfort)、「心のままに・何をするか分からない(習性があるもの。童)が罹る・急に襲ってくる・(不快な症状)病気(わらわやみ)」(「ワラ」の語尾のA音と「アハ」の語頭のA音が連結して「ワラハ」から「ワラワ」と、「イア」が「ヤ」と、「ミヒ」のH音が脱落して「ミ」となつた)
の転訛と解します。
(「割前勘定」の略とする説がある)勘定の総額を等分に割って各人が支払うこと。また、各人が自分の注文に応じて支払うこと。
この「わりかん」は、
「ウ・アリ・カネ」、U-ARI-KANE(u=be fixed;ari=excuse;kane=choke(kanekane=pungent))、「(各人の支払いの額が多い少ないという)苦情を・勘弁してもらう・決定(割り勘)」(「ウ」のU音と「アリ」の語頭のA音が連結して「ワリ」と、「カネ」が「カン」となった)
の転訛と解します。
檜の白木で折箱のように作り、内部に仕切りを設け、かぶせ蓋にした容器。弁当箱として用いる。また、それに入れた携帯用の食物。
この「わりご」は、
「ワリ・カウ」、WARI-KAU(wari=watery;kau=empty)、「水気の多い(食物)の・(中が空の)容器(破子)」(「カウ」のAU音がO音に変化して「コ」から「ゴ」となった)
の転訛と解します。
(「割り下地」の略とする説がある)だし汁を醤油、みりん、砂糖などで味付けした鍋物用の煮汁。
この「わりした」は、
「ワリ・チタハ」、WARI-TITAHA(wari=watery;titaha=lean to one side,have a different tendency)、「変わった味がする・汁(割下)」(「チタハ」の最初のT音がS音に変化し、H音が脱落して「シタ」となった)
の転訛と解します。
(「ことわり(理)ない(無い)の意とする説がある)道理に外れている。分別がない。わきまえを失っている。理性でどうにもならない。無理である。強引である。どうしようもなくつらい。耐えがたく苦しい。どうにもやるせない。やりようがない。どうしょうもない。どうしていいかわからない。とほうにくれる。など。
この「わりない」は、
「ワ・アリ・ナイ」、WHA-ARI-NAI(wha=be disclosed;ari=excuse;nai=nei,neinei=stretched forward,reaching out)、「過ちや不都合な行為を容赦し・決して追求しないということが・明らかになった状況(わりない)」(「ワ」のA音と「アリ」の語頭のA音が連結して「ワリ」となった)
の転訛と解します。
あるべき状態でない。不適切である。不都合である。また、好ましくない。いけない。道徳上よくない。社会的通念、道に反する。また、性質がよくない。めでたくない。運にめぐまれない。不吉である。価値や品質、機能、成績などの程度が低い。期待される状態でない。間柄がうまくいっていない。むつまじくない。好ましくない結果を招く。ためにならない。善意でない。やり方や程度が適切でない。(この「わるい」については、国語篇(その九)の105 bad の項を参照してください。)
この「わるい」は、
「ワ・ルイ」、WHA-RUI(wha=disclosed;rui=brandish)、「やたらに剣を振り回す(ような悪行が)・明るみに出るような(悪い)」
の転訛と解します。
自称。わたくし。あれ。わ。その人自身。自分自身。対称。多く中世以降に用いられ、目下や身分の低い者に呼びかける語。そなた。後に相手を卑しめて用いる。おまえ。(この「われ」については、国語篇(その九)の041 I の項を参照してください。)
この「われ」は、
「ワレ」、WARE(ignorant,thoughtless)、「無知な者(我)」
の転訛と解します。
(「腕白」は宛字。「かんぱく(関白)」の変化した語とする説がある)子ども。とくに男の子がいたずらでいうことを聞かないこと。いうことを聞かないで遊びくわったりれ、悪さをすること。また、その子どもや、そのさま。無理ゃわがままをいう意で、大人に用いることがある。(この「わんぱく」については、国語篇(その十六)の219わんぱくものの項を参照してください。)
この「わんぱく」は、
「ワナ・パク」、WANA-PAKU(wana=bud,seedling(wananga=threatening,defiant words and behaviour);paku=make a sudden sound or report,extend,beat,knock)、「(若くて)反抗的な言葉や態度を・投げ付けること(わんぱく)」(「ワナ」が「ワン」となった)
の転訛と解します。
トップページ | 国語篇一覧 | この篇のトップ | 語 句 索 引 |
0 平成26年12月1日
「ハ」から「ホ」までを書き込みました。
1 平成27年4月1日
2491-2ぼんさい(盆栽)・ぼんけい(盆景)の項を追加しました。
2 平成27年8月5日
「マ」から「ワ」までを追加修正しました。
3 平成28年12月15日
2259-2ばんのう(万能)および2583-2まんのう(万能)の項を追加し、3039わびる(詫びる)、3043わらう(笑う)および3044わらじ(草鞋)の解釈を修正し、3041わやの解釈の一部を補正しました。
国語篇(その二十三)終り
U R L: http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/
タイトル: 夢間草廬(むけんのこや) ポリネシア語で解く日本の地名・日本の古典・日本語の語源 作 者: 井上政行(夢間) Eメール: muken@iris.dti.ne.jp ご 注 意: 本ホームページの内容を論文等に引用される場合は、出典を明記して ください。 http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/timei05.htm,date of access:05/08/01 など) このHPの内容をそのまま、または編集してファイル、電子出版または出版物として 許可なく販売することを禁じます。 Copyright(c)2015 Masayuki Inoue All right reserved |