Undead & Buried

承前 9月16日 9月17日 9月18日 9月19日・前 9月19日・後 9月20日 9月21日 9月22日・前 9月22日・後 結末


9月19日・後

【突入:第16下水道維持管理施設】

CM:(ロス博士)「これで我々には一刻の猶予もなくなったと思うのだが、どうだろうか?」。
ニコラス「そうだな」。これでどうするかだよね。今晩中に行動を起こすのか、起こさないのか?
スティーヴ現在活力は治りますけど、意志力と負傷が問題ですね。それでも行きますか?
ニコラスせっかくゾンビを8体消したのだから、この機を逃す手はないとも思うんだが。
トム行くのはバーカー・キッチンか、7533番地ですか?
スティーヴその下にある下水管理施設跡への入り口がどちらにあるかですね。とりあえず行きますか。
CM:どちらに?
スティーヴ7533番地の空き家。
トムそうだね。
ニコラスわざわざ手がかりに住所が残っていたくらいだからね。そちらでしょう。

 エンヴォイたちは電撃的に7533番地への侵入を決行します。裏口の南京錠の<開錠>には辛くも(ロス博士が)成功し、ついにエンヴォイたちは7533番地の屋内に足を踏み入れます。

 空気中にホコリが舞って、すべての上に降り積もっている。古い衣料品店の中にはまだパーティションが立っていて、いくつかのマネキンが壊れて、床中に転がっている。壁の一面に沿って古いカウンターが置いてあり、窓は内側から木が打ち付けられている。床のホコリがわずかに乱されているので、数年前から誰かがここにいた事が分かる。いくつかの家具は最近動かされたようだ。乱された跡はおそらく警察の捜査によるものなのだろうが、そうだとしたら、彼らは立ち去る前に良く辺りを見回していかなかったのだろう。

ニコラス我々が見なければならないのは地下でしょう。
スティーヴつまり床ってわけですね。
CM:床を探す? 調査をする? では知覚力の判定をどうぞ。
ニコラスL成功!
CM:店の開店当時からここにあると思しき衣料品を見つけました。ボロボロと手の中で崩れて行きます。
トムH成功!
CM:部屋の角の床のひび割れに押し込まれた古いお守りを見つけます。高価な金箔ロケットには献呈の辞が書かれています。「永遠の愛を、ライア・カッター(1940-1986)」。
トム「なんだこれは?」。
ニコラスライア・カッター? 今までの調査では出てきていない名前だな。
スティーヴゾンビにされた死者の内の一人かもしれませんね、単純に。
トムう〜む。
スティーヴC成功!!
CM:スティーヴはちょっとした装飾品を見つけました。5ドルくらいの価値があります。後で皆で分け合ってください。
一同:(笑)。
CM:では。トムとスティーヴはもう一度知覚力で一般判定をしてください。
トムスティーヴ成功。
CM:トムが見つけたロケットが押し込まれていたひび割れが、落とし戸の隙間である事に気付きます。
スティーヴ「やはり……」。
トム「……あったか」。
ニコラス「分かっていたよ、最初から」。
一同:いやいや(笑)。
スティーヴ落とし戸を開けて、降りていきましょう。
CM:下へと続く梯子があります。梯子は赤茶けたサビに覆われています。下からは汚水の悪臭がムワッと吹き上げてきます。皆さんはその強烈な悪臭に吐き気を催しますが、くららは【鈍感味覚・臭覚】(ドローバック)を持っているので、へっちゃらです。深呼吸しています。
一同:(笑)。
ニコラスここから出入りした痕跡はあるの?
CM:落とし度に取り付けられた金具が擦れて削れた跡があるので、最近頻繁に開け閉めされた雰囲気はありますね。

 落とし戸を開けると、真っ暗闇へ降りていくための小さな梯子のシャフトがある。横棒は錆びていて、要修理状態だが、おそらく君たちの体重は支えられるだろう。寒くて湿っぽい濡れた石の臭いが下から上がってきて、それにはかすかに腐敗臭が含まれている。
 降りて行く時、肉が腐敗する臭いが次第に強まり、空気はますます悪臭を孕む。梯子の先は最下層の小さな部屋(Area 1)になっている。床はホコリとゴミで汚れており、古い水道管が壁際に積み上げられている。ドアの上にある石のプレートにはこう書かれている。「第16下水道維持管理施設」。

第16下水維持管理施設

CM:扉は「くゎぁぁぁん……」という重く軋んだ音を立てて開きます。皆さんが足を踏み入れた場所は少し広くなっていて(Area 2)、手すりの向こう側(Area 8)は一段低くなっています。下から見ると、今いる場所はテラスというか、2階のバルコニーのような位置にあるとご理解ください。ここであなたたちを迎えてくれたのは、死臭と腐臭の壁です。
スティーヴおおっと。
CM:では皆さん、活力の一般判定をお願いします。
トムスティーヴ成功!
CM:くららも成功しています。
ニコラス……。
一同:え? え?
ニコラス……98っていうのは、一体どういう……。
CM:了解しました。失敗したニコラスは1D5ラウンドの間、嘔吐します。
ニコラス(コロコロ)3。
CM:ではニコラスは6ポイントの現在活力を失います。悪臭にやられて、ニコラスはゲロゲロしています。この施設にいる間は当然リラックスなどできないので、この6ポイントは回復しないとお考えください。
ニコラスええ〜?
スティーヴエリア内にはゾンビはいるんですか?
CM:とりあえず動くものはいませんが、死臭と腐臭が濃く立ち込めていますので、先ほど戦ったゾンビたちがいても、不思議ではない雰囲気です。
 さて、皆さんが入ってきた扉のすぐ右に梯子があって、下のエリア(Area 8)へ降りられるようになっています。もちろん手すりを越えて「とうっ!」と飛び降りる事も可能です。悪臭はバルコニーの下のエリアから漂ってくるようです。下のエリアとバルコニーの高低差は4.5メートルくらいです。
スティーヴライトで下のエリアを照らしてみますが?
CM:頼りない明かりに、重ねられた木枠と古い水道管の山、そして死体の山が浮かび上がります。バルコニーの上からでは、それ以上はっきりとは見えないね。
スティーヴおおう……。
CM:下のエリアは、かつては下水が大量に流れ込む場所だったのかもしれません。ただし、ここは既に放棄された施設ですので、今は水が流れ込んでいるような事はありません。そのような場所に死体がいくつも折り重なって山を形成しているわけです。おかしいですねぇ、このような場所に死体があるのは。
ニコラス死体が動く気配は?
CM:今のところ、ライトに照らされている範囲では動くものはありません。
ニコラス「……行くしかないな」。
スティーヴ「……降りよう」。
トム「うむ」。

 錆びた梯子は恐ろしい軋みを上げるが、君たちの体重を支えるには十分な強度があるように見える。降りていく途中で、梯子の横棒が君たちの手と衣服に暗赤色の錆の跡を残していく。
 今、君たちがいるのは木枠、古い水道管、様々な腐敗の程度にある数多くの死体がある大きな部屋だ(Area 8)。死体は床に散らばっている――正確な数は分からないが、1ダース以上ありそうだ。動くものはなく、君たちが探している頭のない怪物は見当たらない。
 4つのトンネル――2つは部屋の左側に、もう2つは右側にある――が下水道に通じている。
 部屋の向こう側は一段高い壇になっており、ドアが3つある。

ニコラス死体を見てみるけど、浮浪者風の死体はあるわけ?
CM:いいえ。浮浪者が多数行方不明になっているという話でしたが、少なくともここにある死体は浮浪者のものではありません。それなりの服を着ています。死体には新しいものもあれば、古いものもあります。
ニコラス新しいもの? 浮浪者の事件は数ヶ月前に収束しているっていうことだったよね? 新しい犠牲者ってこんなにいたっけ?
スティーヴ少なくとも、我々は掴んでいませんね。……死体の周りに足跡はありませんか? というか、死体が自分で歩いてきて倒れたのかどうかが知りたいんですが。
トム誰かに運ばれてきたじゃなくて、ってわけね。
CM:なるほど。じゃあ、<追跡>だね。足跡探しは<追跡>で統一してきたからな。
スティーヴH成功。
CM:死体の周りには皆さんのものではない足跡がたくさんあります。
ニコラス「俺たち以外の誰かが出入りしていたということか」。
トム「あるいは、ゾンビ自身のものかも……」。
スティーヴ足跡はどちらの方向から来ていますか?
CM:下水へ向かう4本のトンネルの方から来ているね。
ニコラス壇の方へ向かっている足跡はありますか?
CM:あります。
スティーヴ「壇を調べてみよう」。
CM:コンクリートの壇に近づくと、それが乾いた血で覆われている事に気付く。
ニコラス「ここで何かが行われたと言う事か?」。
CM:(くらら)「可能性はあるわね」などと言っていると、背後の死体の山の方から物音がし始めて、皆さんのうなじが総毛立ちます。
スティーヴ背後を振り返ると……?
CM:折り重なっていた死体が、一斉に立ち上がりました。ゾンビは17体います。
一同:じゅ、17体!?
CM:おっと、戦闘開始の前に恐怖判定ですね。恐怖判定は敵の数が多いとマイナスが付くのを前回の戦闘の時は忘れていました。PCの3倍以上の敵がいるので、-20%でよろしくお願いします。
ニコラス失敗! 現在意志力を13ポイント失って、10ラウンド逃走!!
一同:(笑)。
CM:ニコラスはもういないも同然なので、代わりにくららの分のダイスでも振っていてください。
ニコラスくらら(代理)……は〜い。
スティーヴまさかここが最終戦闘ではないでしょうし、先が思いやられますな〜(笑)。



【ゾンビーズ!!】

 再びミニチュアを並べて乱戦開始です。
 ニコラスという前線を失ったエンヴォイたちでしたが、頼もしくもロス博士がレイピアを振るってその役目を引き受けます。ゾンビ自体がそれほど強い敵ではなく(数が多いのでウンザリしますが)、またスティーヴが《防御球》という強力なディシプリンを使ってゾンビに接近を許さず、次々にヘッドショットを成功させてゾンビの数を減らしていきます。

CM:くららは現在意志力で段階判定をしてください。
くらら(代理)? (コロコロ)L成功。
CM:ふむ、了解です(※くららは何者かに《影響力》ディシプリンを使われ、その支配下に落ちます。後々、この影響がエンヴォイたちを苦しめることになるので、お忘れなく)
一同:……何だ?

 負傷しつつも9ラウンドかけて、エンヴォイたちはゾンビを2体まで減らします(最も多くのゾンビを葬ったのは、くらら(代理)でした)。

CM:もう少しでゾンビ殲滅という所まで来た皆さんは、目の端に手と頭のないゾンビが右手のトンネルの一つにヨロヨロと入っていく姿を捉えました。
くらら(代理)おっ!? どの方向へ行ったかは確認できているわけね?
CM:ニコラス以外には確認できています。
くらら(代理)(苦笑)。

 結局10ラウンド目にまたしてもくららの拳銃が最後のゾンビの頭を撃ち抜き、悪臭紛々たる空間での大乱戦は終了したのでした。

スティーヴロス博士の残り活力4ポイントですよ(笑)。とりあえずニコラスが帰ってくるまで休息しましょう。
くらら(代理)ニコラスもう戻ってきても良いよね? 「くっ! 頭と手がないゾンビを追っていったのだが、見失ってしまった!」と言いながら帰って……来る訳にはいかないよね、やっぱり。
一同:(苦笑)。
スティーヴさて、これからどうするかですね。ゾンビ・マスターを追うか、もっと良く周辺を調べるか? 頭と手を見つけていないので追跡して良いものかどうか、難しい所ですね。
トムうん。
ニコラス「どこに向かったのかというのを確かめておきたいっていうのはある」。
スティーヴ「確かに、奴が向かった場所に何かがあるかもしれない」。
CM:ではゾンビ・マスターが逃げていった方向へと追跡していくと、その先は行き止まりというか、眼下に轟々と下水が流れるのを見下ろす壁に開いた穴のような場所になっています。絶壁に面して開いた開口部を想像してください。あんな感じです。
一同:ふむふむ。
CM:そしてゾンビ・マスターの姿がないところを見ると、おそらく奴は流れる下水の中に飛び込んだのでしょう。
トム「ま、追跡不可能ってところか」。
ニコラス「だな」。
スティーヴここまでですね。では引き返して、改めて血の跡がある壇を調べてみましょう。
CM:血塗れの壇を調べてみますよ、と。知覚力の段階判定をしてください。
ニコラスC成功!
CM:ニコラスは壇の中央付近の床に落とし戸が隠されている事に気付きました。さすがに戦闘に参加しなかっただけあって消耗していないので、目敏く見つけることができました。「まだ元気ですよー」みたいな。
ニコラス(笑)。
スティーヴ落とし戸を隠すために血を塗りたくったのかな? とりあえず開けてみますが。
CM:ガチャガチャ! どうやら開かないようです。
ニコラス鍵が掛かっている?
CM:施錠されているというよりも、立て付けが悪いと言うか、歪んでしまって開かないような感じです。
スティーヴ<開錠>ではなくて筋力勝負ということですか?
ニコラスではバールのようなものでこじ開ければ……。
CM:しかし、残念ながらアメリカではまだ「てこの原理」は支点と力点までしか発見されていないので……。
ニコラス作用点がまだか!(笑)
CM:-10%の修正を受けて筋力ロールをお願いします。
ニコラス複数人で協力はできないの?
CM:「協力」という精神はまだ新大陸では発見されていません。
ニコラスホントかよ!?(笑)
CM:落とし戸の手がかりが小さすぎるので、複数人で力を合わせるのは難しいのです。
トム筋力60の俺が最高かな? (コロコロ)H成功。
CM:開かない!
スティーヴ「何か道具を持ち込んで壊すしかなさそうだな」。
ニコラス「今は無理だとしても、何とかして開けよう、ここは。とりあえず他の場所を調査してみようぜ」。

 落とし戸の捜査は後回しにして、エンヴォイたちは残された場所の調査に当たります。
 「ポンプ室2(Area 12)」と「空き部屋(Area 11)」を調べた後、「ポンプ室1(Area 10)」へとやって来ました。

CM:巨大なポンプが6機あります。サビサビですね。何年も稼動していないのは間違いないでしょう。整備しなおさなければ動く事はないでしょうね。
ニコラス何かが隠されていないかどうか念入りに調べます。
CM:うっ! 鋭い!! 知覚力の段階判定をお願いします。
トムH成功!
CM:ポンプの他にも部屋の隅には木箱があったりパイプが積み重ねられたりしているんですけど、2本のパイプの間に、小さな黄麻布の袋があることに気付きます。気付いたのはトムだけなので、トムの判断で見なかったことにもできます。
トム「……ん、ん〜。何もないなぁ」みたいな。いやいや、皆さんに教えますよ。「袋があるぞ」。
ニコラス「ん? なんだそりゃ?」。
トム「開けてみよう」。
CM:トムが袋を掴んでその隠し場所から取り出した時は、袋の縫い目が切れてたらしく、中から2つの手が袋から零れ落ちた。男性の手は腕からもぎ取られたかのように見える。
ニコラス「……あとは頭か」。

 疲弊したエンヴォイたちはいったん撤収する事にします。夕刻にロス博士の家の前でゾンビに囲まれてから、ほぼ一晩中ゾンビを追いかけて下水道維持管理施設までやってきたので、時刻はもう明け方です。戦闘に参加しなかったニコラスを落とし戸の見張りに残すという残酷な案も提出されましたが、さすがにそれは可哀相なので、全員揃って地上に戻る事にしました。落とし戸がどうにも気になるので、明日(正確には今日だが)はドリル等の工具を携えて強引に落とし戸を開ける予定です。
 去り際に倒したゾンビたちを調べたエンヴォイたちは、このゾンビたちが皆カッター家の遺品を身につけている事に気付きます。カッター家といえば、7533番地の廃店舗でトムが見つけたロケットに刻まれていた家名です。
 新たな謎を抱えて、エンヴォイたちは朝日の射す地上へと戻ったのでした。




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